JP3883476B2 - 核酸配列の増幅方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺伝子工学分野において有用なDNAの合成方法に関し、鋳型となる核酸配列の増幅方法および該方法で増幅された核酸の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子工学分野の研究においてDNAの合成は種々の目的に使用される。このうちオリゴヌクレオチドのような短鎖のDNAの合成を除けば、そのほとんどはDNAポリメラーゼを利用した酵素的方法により実施されている。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)があるが、それは米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号に詳細に記述されている。もう一つの例としては、トレンズ イン バイオテクノロジー(Trends in Biotechnology)第10巻、146〜152頁(1992)に記載の当該方法と逆転写酵素反応を組合わせた逆転写PCR法(RT−PCR法)が挙げられる。上記の方法の開発により、DNAから、若しくはRNAから目的とする領域を増幅することが可能になった。
【0003】
これらのDNA合成方法は、目的とするDNA領域を増幅させるために例えば、二本鎖鋳型DNAの一本鎖への解離(変性)、一本鎖鋳型DNAへのプライマーのアニーリング、プライマーからの相補鎖合成(伸長)の3つのステップからなる反応により、もしくは、”シャトルPCR”(『PCR法最前線』、「蛋白質 核酸 酵素」別冊、第41巻、第5号、425頁〜428頁(1996))と呼ばれる、前述の3ステップ反応のうちプライマーのアニーリングおよび伸長のステップを同一温度で行なう2ステップ反応により実施される。
【0004】
さらに、別法としては、1989年6月14日に公開された欧州特許出願第320,308号に記述されているリガーゼ連鎖反応(LCR;ligase chain reaction)法、あるいはPCR プロトコールズ(PCR Protocols, Academic Press. Inc.,1990)245〜252頁に記述されている転写増幅システム(TAS;transcription-based amplification system)法が挙げられる。上記4法は、次の増幅サイクルのための一本鎖標的分子を再生するために、高温から低温の反応を何回も繰り返す必要がある。このように温度によって反応が制約されるため、反応系は不連続な相またはサイクルで行なう必要がある。
【0005】
従って、上記の方法には広い温度範囲で、かつ、厳密な温度調整を経時的に行なうことのできる高価なサーマルサイクラーを使用することが必要となる。また、該反応は、2種類〜3種類の温度条件で行なうため設定温度にするために要する時間が必要であり、そのロス時間はサイクル数に比例して増大していく。
【0006】
そこで、上記問題点を解決すべく等温状態で実施可能な核酸増幅法が開発された。例えば、特公平7−114718号に記載の鎖置換型増幅(SDA;strand displacement amplification)法、自立複製(3SR;self-sustained sequence replication)法、日本国特許番号第2650159号に記載の核酸配列増幅(NASBA;nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(transcription-mediated amplification)法、日本国特許番号第2710159号に記載のQβレプリカーゼ法、さらに米国特許番号第5,824,517号、国際公開パンフレット第99/09211号、国際公開パンフレット第95/25180号あるいは、国際公開第99/49081号等に記載の種々の改良SDA法が挙げられる。米国特許番号第5,916,777号には等温状態でのオリゴヌクレオチドの酵素的合成方法が記載されている。これらの等温核酸増幅法またはオリゴヌクレオチド合成法の反応においては、プライマーの伸長や、一本鎖伸長生成物(または元の標的配列)へのプライマーのアニーリングや、それに続くプライマーの伸長は、一定温度で保温された反応混合物中で同時に起こる。
【0007】
これらの等温核酸増幅法のうち最終的にDNAが増幅される系、例えば、SDA法は、DNAポリメラーゼと制限エンドヌクレアーゼを介する二本鎖の置換による、試料中の標的核酸配列(およびその相補鎖)の増幅法であるが、該方法では、増幅に使用するプライマーは4種類必要であり、その内の2種類は、制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含むように構築する必要がある。また、該方法では、DNA合成のための基質として、修飾されたデオキシリボヌクレオチド3リン酸、例えばα位のリン酸基の酸素原子が硫黄原子(S)に置換された(α−S)デオキシリボヌクレオチド3リン酸を大量に用いる必要があり、ルーチンワークで反応を行なう遺伝子検査等においては、そのランニングコストが深刻な問題となってくる。さらに該方法では、増幅されたDNA断片中に上記の修飾ヌクレオチド、たとえば(α−S)デオキシリボヌクレオチドが含まれるため、例えば、増幅後のDNA断片を制限酵素長多型(RFLP;restriction enzyme fragment length polymorphism)解析に供しようとする場合に、該断片が制限酵素で切断できないことがある。
【0008】
また、米国特許番号第5,824,517号記載の改良SDA法は、RNAとDNAから構成され、少なくとも3’末端にDNAが配置された構造を必須要件とするキメラプライマーを使用するDNA増幅方法である。また、国際公開パンフレット第99/09211号に記載の改良SDA法は、5’突出末端を生じさせる制限酵素が必要である。また、国際公開パンフレット第95/25180号に記載の改良SDA法は、少なくとも2組のプライマー対を必要とする。さらに、国際公開パンフレット第99/49081号に記載の改良SDA法は、少なくとも2組のプライマーと少なくとも1種類の修飾デオキシリボヌクレオチド3リン酸を必要とする。一方、米国特許番号第5,916,777号は、オリゴヌクレオチドを合成するために、3’末端にリボヌクレオチドを有するプライマーを使用してDNAを合成し、反応終了後にエンドヌクレアーゼによりプライマー伸長鎖中のプライマーと伸長鎖の間にニックをいれて分離させ、テンプレートを消化し、さらにプライマーを回収して再利用するというものである。該方法では、プライマーを再利用する際には反応系よりプライマーを単離したうえで鋳型を再度アニーリングさせる必要がある。
【0009】
上記のように従来の等温核酸増幅法はまだまだ種々の問題をかかえており、低ランニングコストで、かつ結果的に得られたDNA断片をさらに遺伝子工学的な処理に使用することが可能な核酸配列の増幅方法が求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、オリゴヌクレオチドプライマーの存在下にDNA合成反応を行なうことを特徴とする簡便で、効率の良い核酸配列の増幅方法及びDNA増幅断片の大量供給のためのDNA増幅断片の大量製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、リボヌクレオチドが3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマー、エンドリボヌクレアーゼ、およびDNAポリメラーゼの存在下に目的とする領域のDNAを増幅する方法を見出し、優れた遺伝子増幅反応系を構築し、本発明を完成するに至った。該方法は、等温条件下、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを用いる核酸配列の増幅(ICAN;Isothermally chimeric primer used amplification of nucleic acid)法である。
【0012】
本発明の第1の発明は、核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸をこの核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して上記鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、この リボヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0013】
本発明の第2の発明は、少なくとも2種類のプライマーを使用し、核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸を該核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して上記鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、このリボヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(b)工程に再度利用される工程;
(d)(c)工程で得られる遊離した置換鎖を鋳型として(a)工程で使用されたプライマーとは異なる少なくとも1種のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して、置換鎖に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで(a)工程で使用されたプライマーとは異なるプライマーは置換鎖の塩基配列に実質的に相補的なデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、当該リボヌクレオチドはエンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(e)(d)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(f)(e)工程で得られる、プライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(e)工程に再度利用される工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0014】
本発明の第1および第2の発明は、等温で行ってもよく、また鋳型となる核酸配列がDNA配列であってもよい。さらに、第1および第2の発明の(a)工程の前にRNAを鋳型として、逆転写酵素による逆転写反応により一本鎖のcDNAを調製する工程を含んでもよく、該一本鎖のcDNAを鋳型となる核酸配列とすることもできる。また、本発明の第1および第2の発明において、鋳型となるDNAは一本鎖、二本鎖のいずれもが好適に使用できる。二本鎖DNAが鋳型となる場合は、二本鎖DNAを一本鎖に変性する前処理工程の後に本発明の方法を行えばよい。
【0015】
上記発明において、プライマーからの伸長は鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼにより行われることを特徴とする。即ち、本発明には大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損BstDNAポリメラーゼ、およびバチルス カルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損BcaDNAポリメラーゼからなる群から選択されるDNAポリメラーゼが好適に使用できる。また、エンドヌクレアーゼは、エンドリボヌクレアーゼが好適に使用でき、特に限定するものではないが、例えばRNaseHが使用できる。
【0016】
本発明の第3の発明は、核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、およびこのプライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、リボヌクレオチドがエンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドであり;および
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0017】
上記第3の発明において、鋳型となる核酸配列としては、一本鎖DNA、一本鎖DNAに変性された二本鎖DNA、またはRNAから逆転写反応によって得られたcDNAからなる群より選択される核酸配列が例示される。また、上記反応混合物中に2種以上のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを含有させてもよい。本発明に使用される鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼには、上記の第1、第2の発明に使用されるものが好適に使用できる。
【0018】
本発明の第1〜第3の発明に使用されるプライマーは、キメラオリゴヌクレオチドプライマーであり、例えば、プライマーの3’末端又は3’末端側に少なくとも1残基、好ましくは連続した2残基以上のリボヌクレオチドが結合した構造を有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーを用いることができる。
【0019】
また、本発明の第1〜第3の発明に使用される鋳型は、核酸増幅方法によってあらかじめ増幅された核酸であってもよい。該核酸増幅方法は、例えば、TAS法、3SR法、NASBA法、TMA法、Qβレプリカーゼ法、PCR法、LCR法、SDA法が利用できるが、核酸を増幅するための方法であれば、特に限定はない。さらに、本発明の方法は、これらの核酸増幅方法と組み合わせて使用することができる。
【0020】
また、上記核酸増幅反応においては、ランダムプライマーまたは縮重プライマーを使用することができ、特に限定はされないが例えば、少なくともその3’末端又は3’末端側にランダムな配列または縮重した配列を有するプライマーが好適に使用できる。
【0021】
本発明の第4の発明は、上記の第1〜第3の発明に使用できるキメラオリゴヌクレオチドプライマーに関する。このプライマーは、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドを含有し、プライマーの3’末端又は3’末端側にリボヌクレオチドが配置されていることを特徴とする。例えば、少なくとも1残基、好ましくは連続した2残基以上のリボヌクレオチドを含有し、その3’末端よりDNA鎖の伸長が可能なキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、リボヌクレアーゼ、例えばRNaseHの作用により上記リボヌクレオチド残基の3’末端側が切断されるよう設計されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーが挙げられる。
【0022】
本発明の第5の発明は、上記第1〜第3の発明に使用される鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼおよびそれらを含むキットに関する。
【0023】
本発明の第6の発明は、標的核酸を検出するための方法であって、本発明の第1〜3の発明の核酸配列の増幅方法により標的核酸を増幅した後、この核酸を検出する工程を包含することを特徴とする。検出方法には、消光状態になるような距離で配置された2種類以上の蛍光色素で標識されたリボヌクレオチド(RNA)プローブによって標的核酸を検出する方法が包含される。
【0024】
本発明の第7の発明は、本発明の第6の発明の標的核酸の検出方法に使用される鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼおよびそれらを含むキットに関する。
【0025】
本発明の第8の発明は、核酸を所定の領域に整列させた核酸固定化物を作製するための方法に関し、本発明の第1〜3の発明の核酸配列の増幅方法により増幅された核酸を担体上の所定の領域に整列させて固定化する工程を包含することを特徴とする。特に好適には、実質的にその相補鎖を含まない一本鎖の核酸を増幅し、所定の領域に整列させて固定化する方法が挙げられる。
【0026】
本発明の第9の発明は、核酸を所定の領域に整列させた核酸固定化物に関し、本発明の第8の発明の方法によって作製されたものであることを特徴とする。特に好適な核酸固定化物としては、実質的にその相補鎖を含まない一本鎖の核酸を所定の領域に整列させて固定化させた核酸固定化物が挙げられる。
【0027】
本発明の第10の発明は、試料中の標的核酸を検出するための方法に関し、本発明の第9の発明の核酸を所定の領域に整列させた核酸固定化物を使用し、この核酸固定化物上の所定の領域に整列させて固定化された核酸にハイブリダイズした核酸を検出することを特徴とする。
【0028】
本発明の第11の発明は核酸を大量に製造する方法であって、
(a)鋳型となる核酸をこの核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して上記鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程;
を包含することを特徴とする核酸の製造方法に関する。
【0029】
本発明の第12の発明は、少なくとも2種類のプライマーを使用し、核酸を大量に製造する方法であって、
(a)鋳型となる核酸をこの核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して上記鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(b)工程に再度利用される工程;
(d)(c)工程で得られる遊離した置換鎖を鋳型として(a)工程で使用されたプライマーとは異なる少なくとも1種のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して、置換鎖に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで(a)工程で使用されたプライマーとは異なるプライマーは置換鎖の塩基配列に実質的に相補的なデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドはエンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(e)(d)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(f)(e)工程で得られる、プライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(e)工程に再度利用される工程;
を包含することを特徴とする核酸の製造方法に関する。
【0030】
本発明の第13の発明は核酸を大量に製造する方法であって、
(a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、およびこのプライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドがエンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドであり;および
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
を包含することを特徴とする核酸の製造方法に関する。
【0031】
本発明の第14の発明は核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)増幅しようとする配列を含む核酸を核酸増幅反応によって増幅し、鋳型となる核酸を調製する工程;
(b)(a)で得られた鋳型となる核酸を該核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して該鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(c)(b)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(d)(c)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0032】
本発明の第15の発明は少なくとも2種類のプライマーを使用し、核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)増幅しようとする配列を含む核酸を核酸増幅反応によって増幅し、鋳型となる核酸を調製する工程;
(b)(a)で得られた鋳型となる核酸を該核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して該鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(c)(b)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;
(d)(c)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(c)工程に再度利用される工程;
(e)(d)工程で得られる遊離した置換鎖を鋳型として(b)工程で使用されたプライマーとは異なる少なくとも1種のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して、置換鎖に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該(b)工程で使用されたプライマーとは異なるプライマーは置換鎖の塩基配列に実質的に相補的で、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドはエンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(f)(e)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(g)(f)工程で得られる、プライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(f)工程に再度利用される工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0033】
本発明の第16の発明は核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)増幅しようとする配列を含む核酸を核酸増幅反応によって増幅し、鋳型となる核酸を調製する工程;
(b)(a)で得られた鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドがエンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および
(c)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0034】
本発明の第14〜第16の発明においては、増幅しようとする配列を含む核酸を先に核酸増幅反応によって増幅し、該増幅産物を本発明の第1〜3の発明の方法の鋳型となる核酸として用いる。第14〜16の発明に使用する該核酸増幅方法は、核酸を増幅するための方法であれば特に限定はなく、例えば、TAS法、3SR法、NASBA法、TMA法、Qβレプリカーゼ法、PCR法、LCR法、SDA法が利用できる。
【0035】
また、上記核酸増幅反応においては、ランダムプライマーまたは縮重プライマーを使用することができ、特に限定はされないが例えば、少なくともその3’末端又は3’末端側にランダムな配列または縮重した配列を有するプライマーが好適に使用できる。
【0036】
本発明の第17の発明は核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸を該核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して該鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0037】
本発明の第18の発明は少なくとも2種類のプライマーを使用し、核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸を該核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して該鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(b)工程に再度利用される工程;
(d)(c)工程で得られる遊離した置換鎖を鋳型として(a)工程で使用されたプライマーとは異なる少なくとも1種のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して、置換鎖に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該(a)工程で使用されたプライマーとは異なるプライマーは置換鎖の塩基配列に実質的に相補的で、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(e)(d)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(f)(e)工程で得られる、プライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(e)工程に再度利用される工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0038】
本発明の第19の発明は核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0039】
本発明の第20の発明は核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸を該核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して該鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3'末端又は3’末端側に配置され、該リボヌクレオチド含有部位がエンドヌクレアーゼによって切断されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0040】
本発明の第21の発明は少なくとも2種類のプライマーを使用し、核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸を該核酸の塩基配列に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して該鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3'末端又は3’末端側に配置され、該リボヌクレオチド含有部位がエンドヌクレアーゼによって切断されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(b)工程に再度利用される工程;
(d)(c)工程で得られる遊離した置換鎖を鋳型として(a)工程で使用されたプライマーとは異なる少なくとも1種のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して、置換鎖に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該(a)工程で使用されたプライマーとは異なるプライマーは置換鎖の塩基配列に実質的に相補的で、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3'末端又は3’末端側に配置され、該リボヌクレオチド含有部位がエンドヌクレアーゼによって切断されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;
(e)(d)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(f)(e)工程で得られる、プライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(e)工程に再度利用される工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0041】
本発明の第22の発明は核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3'末端又は3’末端側に配置され、該リボヌクレオチド含有部位がエンドヌクレアーゼによって切断されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法に関する。
【0042】
本発明の第23の発明は、核酸の塩基配列を決定するための方法であって、上記第1〜第3の発明及び第14〜第22の発明のいずれか1つの発明の方法の、核酸配列を増幅する工程を包含することを特徴とする核酸の塩基配列の決定方法に関する。
【0043】
【発明の実施の形態】
本明細書においてデオキシリボヌクレオチド(本明細書中ではdNとも記載する)とは、糖部分がD−2−デオキシリボースで構成されたヌクレオチドのことをいい、例えば、塩基部分にアデニン、シトシン、グアニン、チミンを有するものが挙げられる。
【0044】
本明細書においてリボヌクレオチド(本明細書中ではNとも記載する)とは、糖部分がD−リボースで構成されたヌクレオチドのことをいい、塩基部分にアデニン、シトシン、グアニン、ウラシルを有するものが挙げられる。さらに、当該リボヌクレオチドには修飾リボヌクレオチドが包含され、例えばα位のリン酸基の酸素原子を硫黄原子に置き換えた修飾リボヌクレオチド[(α−S)リボヌクレオチド、(α−S)Nとも記載する]やこの他の誘導体等も含まれる。
【0045】
本明細書においてキメラオリゴヌクレオチドプライマーとは、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するプライマーのことを言う。該プライマーは未修飾デオキシリボヌクレオチドおよび/または修飾デオキシリボヌクレオチドあるいは未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含有していてもよい。
【0046】
本発明に使用するキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、該プライマーの3’末端又は3’末端側にリボヌクレオチドを配置し、本発明の方法において核酸鎖が伸長でき、エンドヌクレアーゼで切断でき、鎖置換反応を行うことができるものであれば、いずれもが本発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーに包含される。
【0047】
本明細書において3’末端側とは、核酸、例えば、プライマーにおいて、その中央より3’末端にかけての部分を指す。同様に5’末端側とは、核酸においてその中央より5’末端にかけての部分を指す。
【0048】
本明細書においてエンドヌクレアーゼとは、鋳型核酸にアニーリングした、上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーよりDNAの伸長を行って生成した二本鎖DNAに作用して、該プライマーのリボヌクレオチド部分を特異的に切断するものであればよい。
【0049】
本明細書においてDNAポリメラーゼとは、DNA鎖を鋳型として新たなDNA鎖を合成する酵素のことを言う。特に限定はされないが、ポルI型DNAポリメラーゼ(大腸菌DNAポリメラーゼI、クレノウ断片、Taq DNAポリメラーゼなど)、α型DNAポリメラーゼ(ピロコッカス・フリオサス由来DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)、VENT DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラブス社製)、KOD DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)、DEEP VENT DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラブス社製)及び非α非ポルI型DNAポリメラーゼ(国際公開第97/24444号パンフレット記載のDNAポリメラーゼ)等が挙げられる。また、鎖置換(Strand displacement)活性を有するDNAポリメラーゼとしては、バチルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax、以下、B.caと称す)やバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus、以下B.stと称す)等の好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼ及び該DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体等が挙げられる。さらに、上記クレノウ断片のような鎖置換活性を有し、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有していないDNAポリメラーゼも鎖置換型DNAポリメラーゼに含まれる。さらに、上記DNAポリメラーゼは、複数のDNAポリメラーゼの混合物、特に限定はされないが上記鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ及び鎖置換活性を有さないDNAポリメラーゼを組み合わせた混合物でもよい。
【0050】
本明細書において「鎖置換活性」とは、鋳型となる核酸配列に従ってDNA複製を行う際、DNA鎖を置き換えながら進行し、鋳型鎖にアニーリングしている相補鎖を遊離させる、即ち鎖置換(strand displacement)することができる活性のことをいう。また、本明細書においては、鎖置換により鋳型となる核酸配列から遊離したDNA鎖のことを「置換鎖」と称する。
【0051】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明に使用するキメラオリゴヌクレオチドプライマー
本発明の方法において使用されるプライマーは、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーである。該プライマーには未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含有するオリゴリボヌクレオチドプライマーも含まれる。
【0052】
本発明の方法において使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型核酸の塩基配列の一部に実質的に相補的な塩基配列を有し、その3’末端よりDNA鎖の伸長が可能であり、さらに、DNA合成反応中にエンドヌクレアーゼにより切断される部位をその3’末端又は3’末端側に有するものであれば良い。例えば、その3’末端又は3’末端側にリボヌクレオチドが配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用することができる。当該プライマーは通常、増幅しようとする領域の上流、すなわち鋳型核酸上の増幅しようとする領域に対応する塩基配列の3’側部分に相補的に設計される。なお、ここで「実質的に相補的な塩基配列」とは、使用される反応条件において鋳型となるDNAにアニーリング可能な塩基配列を意味する。このようなキメラオリゴヌクレオチドプライマーあるいはオリゴヌクレオチドプライマーの設計は当業者に公知であり、例えば、ラボマニュアルPCR(宝酒造社発行、第13頁〜第16頁、1996年)を参考に設計することができる。また、市販のプライマー設計ソフト、例えば、OLIGOTM Primer Analysis software(宝酒造社製)を使用することができる。
【0053】
本発明の方法において使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは1以上の修飾リボヌクレオチドを含有するものであってもよい。即ち、本明細書においてリボヌクレオチドは、キメラオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され、エンドヌクレアーゼにより認識あるいは切断されるものであれば、未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドのいずれであってもよく、そのような未修飾あるいは修飾リボヌクレオチドのいずれもが包含される。すなわち、本発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーには、当該プライマーの機能を失わない範囲で未修飾リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチドを使用することができ、さらにこれらを組合せて使用することができる。このような修飾リボヌクレオチドとしては、特に限定するものではないが、たとえば、リン酸基に結合する酸素原子が硫黄原子に置換された(α−S)リボヌクレオチドや、リボースの2位の水酸基がメトキシ基に置換されたリボヌクレオチドが挙げられる。このような修飾リボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、例えば、米国特許第5,003,097号記載の硫化反応試薬(グレンリサーチ社製)を用いた方法で調製した(α−S)リボヌクレオチド3リン酸、あるいは2−OMe−RNA−CE ホスホアミダイド試薬(グレンリサーチ社製)を用いて作製することができる。
【0054】
また、エンドヌクレアーゼによる切断に耐性を付与するような性質の修飾リボヌクレオチドを含有し、本発明の増幅方法に使用できるキメラオリゴヌクレオチドプライマーを設計してもよく、この様なプライマーは、増幅反応工程におけるエンドヌクレアーゼの切断位置を制御し得る点において有用である。
【0055】
本発明の方法で使用するキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、増幅後のDNA断片を一本鎖もしくは二本鎖のいずれの形態で得たいかによって1種類もしくは2種類を使い分けることができる。すなわち、一本鎖DNAが望まれる場合には1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを、また、二本鎖が望まれる場合には2種類のプライマーが使用される。
【0056】
本発明の方法において使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは特に限定はないが約12ヌクレオチドから約100ヌクレオチドの長さのものが好ましい。さらに好ましくは、約15ヌクレオチドから約40ヌクレオチドの長さのプライマーである。その塩基配列は使用される反応条件において鋳型核酸にアニーリングするように、実質的に鋳型核酸に相補的な配列であることが好ましい。該プライマーには、後に示す段階で使用されるエンドヌクレアーゼにより認識される配列を3’末端又は3’末端側に含む。
【0057】
本発明を何ら限定するものではないが、例えば、下記一般式で表す構造をもつオリゴヌクレオチドを本発明のDNA合成方法にプライマーとして使用することができる。
【0058】
一般式:5’−dNa−Nb−dNc3’
(a:11以上の整数、b:0または1以上の整数、c:0または1以上の整数、ただし、b=c=0の場合を除く、dN:デオキシリボヌクレオチド、N:未修飾リボヌクレオチド及び/又は修飾リボヌクレオチド)
【0059】
例えば、上記一般式においてa=11以上の任意の整数で、b=1、c=0のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、b=2、c=0のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、b=3〜5、c=0のキメラオリゴヌクレオチドプライマー、さらにb=2、c=0〜5のキメラオリゴヌクレオチドプライマー等がいずれも本発明に好適に使用できる。即ち、本発明の方法に用いるキメラオリゴヌクレオチドプライマーの3'末端又は3'末端側のリボヌクレオチドの長さは、好ましくは1mer〜15mer、さらに好ましくは、1mer〜10mer、特に好ましくは1mer〜5merである。また、上記一般式中のcの数は、特に限定はなく、本発明の方法に使用できる数を選択すればよいが、通常5以下が好適であり、4、3、2、1、の順に反応結果が良く、特にc=0の場合が最も反応効率がよい。
【0060】
本発明に使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、該プライマーよりDNAポリメラーゼで伸長されたDNA鎖(プライマー伸長鎖)に含まれるリボヌクレオチド含有部位がエンドヌクレアーゼで切断されるような構造を有している。すなわち、上記のキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、エンドヌクレアーゼにより切断を受けるようにリボヌクレオチドがその3’末端又は3’末端側に配置されている。例えば、鋳型核酸にアニーリングした、上記の一般式で表されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーよりDNAの伸長を行って生成した二本鎖DNAにRNaseHを作用させた場合には、上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーのリボヌクレオチド部分が切断され、上記オリゴヌクレオチドプライマーと伸長により合成されたDNA鎖の間にニックの入った二本鎖DNAが生じる。さらに、該ニックの入った部位からDNAポリメラーゼにより鎖置換反応がおこる。従って、プライマーの3’末端から核酸鎖を伸長させることができ、エンドヌクレアーゼにより切断されることができ、そしてDNAポリメラーゼにより鎖置換反応ができるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは全て本発明の方法に使用することができる。
【0061】
これらのキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、任意の核酸配列を持つように、例えばアプライド・バイオシステムズ社(ABI社、Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型を用いて、ホスホアミダイト法により合成できる。また、別法としてリン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法等があるが、いかなる方法で合成されたものであっても良い。
【0062】
(2)本発明に使用されるエンドヌクレアーゼ
本発明に使用されるエンドヌクレアーゼとは、鋳型核酸にアニーリングした、上記(1)に記載のキメラオリゴヌクレオチドプライマーよりDNAの伸長を行って生成した二本鎖DNAに作用して、鎖置換反応が起こるように伸長鎖を切断するものであればよい。即ち、上記の二本鎖DNAのうちのキメラオリゴヌクレオチドプライマー部分にニックを生成する酵素である。特に限定されるものではないが、例えば、本発明にはリボヌクレアーゼが使用でき、特にDNAとRNAとから形成された二本鎖核酸のRNA部分に作用するエンドリボヌクレアーゼH(RNaseH)が好適に使用できる。また、該リボヌクレアーゼには、上記作用を有するものであれば、常温性から耐熱性のリボヌクレアーゼのいずれもが好適に本発明に使用できる。例えば、下記実施例に示すように、約50℃〜約70℃での反応では大腸菌(E.coli)由来のRNaseHが本発明の方法に使用することができる。また、耐熱性リボヌクレアーゼである市販のHybridaseTM Thermostable RNaseH(エピセンターテクノロジーズ社製)等も好適に使用できる。さらに、該リボヌクレアーゼは、天然体および変異体のいずれでも良い。なお、本願明細書に記載されているRNaseHの酵素単位は、実施例中の参考例に示した酵素単位測定方法に基づいて表示された数値である。
【0063】
また、本発明の方法に使用するエンドヌクレアーゼ、例えば、RNaseHの切断反応の効率は上記プライマーの3’末端近傍の塩基配列に左右され、所望のDNAの増幅効率に影響することが考えられるので、使用するRNaseHに最適なプライマーをデザインすることは当然のことである。
【0064】
本明細書において使用されている「ニックを入れる」もしくは「ニッキング」という語は、二本鎖核酸の一方の鎖の内部を切断することを意味する。たとえば、RNaseHはDNAとリボヌクレオチドを含むDNAとのハイブリッド二本鎖核酸に作用し、二本鎖のうちのリボヌクレオチドを含む鎖のリボヌクレオチド部分を選択的に切断することにより、当該ハイブリッド二本鎖核酸にニックを入れる。
【0065】
(3)本発明に使用されるDNAポリメラーゼ
本発明には、DNAの鎖置換(strand displacement)活性を有するDNAポリメラーゼを使用することができる。また、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有しないものが特に好適に使用することができる。
【0066】
本発明において、「鎖置換活性」とは、鋳型となる核酸配列に従ってDNA複製を行う際、DNA鎖を置き換えながら進行し、鋳型鎖にアニーリングしている相補鎖を遊離させる、即ち鎖置換(strand displacement)することができる活性のことをいう。また、本明細書においては、鎖置換により鋳型となる核酸配列から遊離したDNA鎖のこと「置換鎖」と称する。
【0067】
本発明に使用されるDNAポリメラーゼは、上記の鎖置換活性を有するものであれば特に限定はなく、例えば、バチルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax、以下、B.caと称す)やバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus、以下B.stと称す)等の好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体や、大腸菌(以下、E.coliと称す)由来のDNAポリメラーゼIのラージ フラグメント(クレノウ断片)等が挙げられる。また、本発明に使用できるDNAポリメラーゼは、常温性から耐熱性のいずれのものも好適に使用できる。
【0068】
B.caは生育至適温度が約70℃である好熱性細菌であり、この細菌由来のBca DNAポリメラーゼは、DNA依存DNAポリメラーゼ活性、RNA依存DNAポリメラーゼ活性(逆転写活性)、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を持つことが知られている。
【0069】
上記の酵素はその本来の起源より精製して取得されたもの、あるいは遺伝子工学的に生産された組み換え蛋白質の何れであっても良い。また、該酵素は、遺伝子工学的あるいはその他の手法によって置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものであっても良く、このような酵素の例として、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させたBca DNAポリメラーゼであるBcaBEST DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)等が挙げられる。
【0070】
(4)本発明に使用される反応バッファーの組成
本発明に使用される反応バッファーには、緩衝成分、マグネシウム塩、dNTPを含有するものが使用される。緩衝成分は、特に限定はないが、例えば、トリシン、トリス−塩酸、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)が好適に使用できる。特にトリシン、あるいはリン酸塩を緩衝成分として含有するバッファーが本発明に好適である。該緩衝成分の最終濃度は5mM〜100mMの範囲、特に好ましくは20mM〜50mMの範囲であり、またpH6.0〜9.5、特に好ましくはpH7.0〜9.2の範囲のものが使用される。例えば、22mM〜46mMのトリシンを含有するpH7.5〜9.2のバッファー、あるいは25mM〜50mMのリン酸カリウムを含有するpH7.0〜8.0のバッファーが好適に使用される。また、マグネシウム塩としては、特に限定はないが、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムあるいは硫酸マグネシウムが好適に使用でき、その濃度は、最終濃度で1mM〜20mM、特に好ましくは2mM〜10mMの範囲である。また、DNA伸長反応の基質となるdNTP混合物(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)は、最終濃度で、それぞれ0.1mM〜3.0mM、特に好ましくは0.2mM〜1.2mMの範囲である。使用するプライマーの量は、反応液量50μl当たり1pmol〜1000pmolの範囲であり、特に10pmol〜100pmolの範囲が好ましい。さらに、反応液中には増幅反応の安定化等を目的とした添加物を共存させることができ、最終濃度0.1%以下のBSA、最終濃度10%以下のジメチルスルホキシド、あるいは最終濃度4mM以下のプトレスシン2塩酸塩あるいは0.01%以下のプロピレンジアミンを添加してもよい。この他、NMP(1−メチル2ピロロリジノン)、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、ジメチルスルフォキシドおよび/またはホルムアミドを含んでもよく、これらの有機溶媒の添加により、オリゴヌクレオチドプライマーの非特異的なアニーリングが軽減されることが期待される。
【0071】
エンドヌクレアーゼは、例えば、大腸菌由来のRNaseHならば、反応液量50μl当たり3〜200Uの範囲が好ましく、特に15U〜60Uの範囲が好適である。また、DNAポリメラーゼは、例えば、BcaBEST DNAポリメラーゼならば、反応液量50μl当たり0.5U〜100Uの範囲、特に1U〜22Uの範囲が好ましい。特に、前者についてはその種類によって好適に使用できるユニット数が異なる場合が予想されるが、その際には増幅産物量が最大になるように該バッファーの組成および酵素の添加量を調整すればよい。いずれの場合においても、使用する酵素の種類にあわせて反応バッファーの組成等を至適化するのは当然のことである。
【0072】
(5)本発明の核酸配列の増幅方法
本発明の方法は、上記(1)に示されたオリゴヌクレオチドプライマーを少なくとも1種類使用し、さらに上記(2)に示されたエンドヌクレアーゼおよび上記(3)に示されたDNAポリメラーゼを組合わせて実施することができる。当該方法では、伸長反応の基質となるヌクレオチド3リン酸には、PCR法等に使われるdNTP、すなわちdATP、dCTP、dGTP、dTTPの混合物が好適に使用できる。当該dNTPは、使用されるDNAポリメラーゼの基質となる限りにおいては、dNTPのアナログ、たとえば7−デアザ−dGTP等を含んでいてもよい。また、当該方法では、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用するが、当該プライマーは、例えば、DNA合成機等を用いて通常の合成方法と同様に調製することができる。さらに、本発明の方法においては、上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーと通常のオリゴヌクレオチドプライマーを組み合わせて使用することもできる。
【0073】
本発明の方法において鋳型となる核酸、すなわちDNAまたはRNAは、当該核酸を含む可能性のあるあらゆる試料から調製、あるいは単離したものでもよい。このような核酸を含む試料には特に限定はないが、例えば、全血、血清、バフィーコート、尿、糞便、脳脊髄液、精液、唾液、組織(例えば、癌組織、リンパ節等)、細胞培養物(例えば、哺乳動物細胞培養物及び細菌培養物等)のような生体由来試料、ウイロイド、ウイルス、細菌、カビ、酵母、植物及び動物のような核酸含有試料、ウイルス又は細菌のような微生物が混入もしくは感染している可能性のある試料(食品、生物学的製剤等)、あるいは土壌、排水のような生物を含有する可能性のある試料が挙げられる。また、前記試料等を公知の方法で処理することによって得られる核酸含有調製物であっても良い。該調製物としては、例えば細胞破砕物やそれを分画して得られる試料、該試料中の核酸、あるいは特定の核酸分子群、例えば、mRNAを富化した試料等が本発明に使用できる。さらに上記試料中に含まれる核酸が公知方法で増幅されたDNAあるいはRNA等の核酸等も好適に使用できる。
【0074】
これら材料からの核酸含有調製物の調製には特に限定はなく、例えば、界面活性剤による溶解処理、超音波処理、ガラスビーズを用いた振盪撹拌、フレンチプレスの使用等により行うことができる。幾つかの例においては、さらに操作を加えて核酸を精製することが有利である(例えば、内在性ヌクレアーゼが存在するとき)。これらの例において、核酸の精製はフェノール抽出、クロマトグラフィー、イオン交換、ゲル電気泳動または密度勾配遠心分離等の公知方法により実施される。
【0075】
RNA由来の配列を有する核酸を増幅したい場合には、当該RNAを鋳型とした逆転写反応によって合成されたcDNAを鋳型として本発明の方法を実施すればよい。本発明の方法に適用することができるRNAには、逆転写反応に使用されるプライマーが作製可能なものであれば特に制限はなく、試料中の全RNAの他、mRNA、tRNA、rRNA等のRNA分子群、あるいは特定のRNA分子種が挙げられる。
【0076】
上記の逆転写反応に使用されるプライマーは、使用される反応条件において鋳型RNAにアニールするものであれば特に限定されるものではない。該プライマーは、特定の鋳型RNAに相補的な塩基配列を有するプライマー(特異的プライマー)の他、オリゴdT(デオキシチミン)プライマーやランダムな配列を有するプライマー(ランダムプライマー)であっても良い。逆転写用プライマーの長さは、特異的なアニーリングを行う観点から、好ましくは6ヌクレオチド以上であり、更に好ましくは9ヌクレオチド以上であり、オリゴヌクレオチドの合成の観点から、好ましくは100ヌクレオチド以下であり、更に好ましくは30ヌクレオチド以下である。
【0077】
さらに、逆転写用プライマーとして、逆転写後のcDNAを鋳型とした本発明の核酸配列増幅法を行う際に鎖置換反応のためのプライマーとして使用可能なキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用することができる。このようなプライマーは、上記(1)に記載された性質を有し、かつRNAからの逆転写反応に使用できるものであれば特に限定はない。
【0078】
上記の逆転写反応に使用される酵素としては、RNAを鋳型としたcDNA合成活性を有するものであれば特に限定はなく、例えばトリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素(AMV RTase)、モロニーネズミ白血病ウイルス由来逆転写酵素(MMLV RTase)、ラウス関連ウイルス2逆転写酵素(RAV−2 RTase)等、種々の起源の逆転写酵素が挙げられる。このほか、逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼを使用することもできる。また、本発明の目的のためには、高温で逆転写活性を有する酵素が好適であり、例えばサーマス属細菌由来DNAポリメラーゼ(TthDNAポリメラーゼ等)、好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼ等を使用できる。特に限定はないが、例えば、好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼが好ましく、B.st由来DNAポリメラーゼ(Bst DNAポリメラーゼ)、さらにB.ca由来DNAポリメラーゼ(以下、Bca DNAポリメラーゼと記載する)が好ましい。例えば、Bca DNAポリメラーゼは、逆転写反応にマンガンイオンを必要とせず、また、高温条件下で鋳型RNAの二次構造形成を抑制しながらcDNAを合成することができる。上記の逆転写酵素活性を有する酵素も、当該活性を有している範囲において天然体、変異体のいずれもが使用できる。
【0079】
本発明の方法による核酸の増幅においては、あらかじめ鋳型となる核酸を増幅しておくことにより、さらに効率よく目的の核酸を増幅できる場合がある。例えば、極めて少量のゲノムDNA等に存在する核酸配列を増幅する場合には、まず目的の核酸配列を含むDNA断片を適当な核酸増幅方法によって増幅し、次にこうして得られた増幅DNA断片を鋳型とした本発明の核酸の増幅方法を実施することができる。1段階目の増幅工程は本発明の方法で実施されてもよく、また公知の核酸増幅方法、例えばPCR法で実施されてもよい。また、この工程に使用されるプライマーの5’側にある特定の塩基配列を付加しておくことができる。このようなプライマーで増幅された断片を鋳型として使用する場合には、当該プライマーに付加された特定の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用して本発明の核酸増幅方法を実施することができる。すなわち上記のような特定の塩基配列を5’側に付加されたプライマーを使用したPCRを本発明の方法に組み合わせれば、PCRで増幅されたDNA断片を鋳型とした本発明の方法による核酸増幅工程は、増幅しようとする領域の塩基配列とは無関係に共通のキメラオリゴヌクレオチドプライマーで実施することが可能である。
【0080】
通常、上記の1段階目の核酸増幅工程には、目的の核酸配列に応じて、当該配列を特異的に増幅するための特異的プライマー対を作製する必要があるが、非特異的に核酸断片を増幅するようなランダムプライマーや、あらかじめ作成された縮重プライマーのセットから選択されるプライマー対を利用することにより、目的の核酸配列に特異的プライマーを使用することなく鋳型となる核酸を増幅することができる。例えば、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)第24巻、19号、3778〜3783頁(1996)に記載のタグ配列を有するランダムプライマーを使用するPCR法、あるいはジェノミックス(Genomics)第13巻、718〜725頁(1992)に記載のタグ配列を有する縮重プライマー(Degenerate primer)を用いたDOP−PCR(Degenerate Oligonucleotide-Primed PCR)法を利用することにより多種類の鋳型核酸を増幅するために必要なプライマー対の数を少なくすることができる。これらのプライマーはいずれもその3’末端にランダムな配列、縮重した配列を有している。さらに、タグ配列を有するプライマーで増幅された核酸を鋳型として本発明の核酸配列増幅方法を実施する場合には、上記のようにタグ配列と同じ塩基配列を有する1種のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用することにより、同一のタグ配列を有するプライマーで増幅されたすべての核酸を鋳型として本発明の方法を実施することができる。すなわち、ランダムプライマーや縮重プライマーを用いた核酸増幅法と本発明の方法を組み合わせれば、数多くの種類の核酸配列を非常に安価に、かつ大量に供給することができる。
【0081】
上記核酸増幅法に用いられるDNAポリメラーゼとしては、DNA鎖を鋳型として新たなDNA鎖を合成する酵素であれば特に限定はされないが、ポルI型DNAポリメラーゼ(大腸菌DNAポリメラーゼI、クレノウ断片、Taq DNAポリメラーゼなど)、α型DNAポリメラーゼ(ピロコッカス・フリオサス由来DNAポリメラーゼ、VENT DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、DEEP VENT DNAポリメラーゼ)及び非α非ポルI型DNAポリメラーゼ(国際公開第97/24444号パンフレット記載のDNAポリメラーゼ)等が挙げられる。また、少なくとも2種類のDNAポリメラーゼを組み合わせた混合物、例えばタカラ Ex Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)あるいはKOD dash DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)等も好適に使用できる。また、B.ca由来DNAポリメラーゼ、B.st由来由来DNAポリメラーゼ及び該DNAポリメラーゼ及び該DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体、9N DNAポリメラーゼ、Pfu(exo-) DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製)、Tth DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)、Tfl DNAポリメラーゼ(プロメガ社製)等のDNAポリメラーゼも好適に使用できる。
【0082】
また、PCR増幅断片のような直鎖DNA断片を本発明の核酸配列増幅方法の鋳型とする場合、鋳型となる当該直鎖DNA断片の3'末端から本発明の核酸増幅方法に用いるプライマーの5'末端のアニーリング位置との間にスペーサーと呼ばれる配列部分を設けると増幅効率が向上する場合がある。特に限定はないが、例えば、上記スペーサー部分の長さが1塩基〜約70塩基、さらに好ましくは、約5塩基〜約60塩基になるように本発明の核酸増幅方法用プライマーを設定するのが好ましい。なお、本発明の核酸配列増幅用プライマーの配列によっては、上記の好適なスペーサー部分の塩基数が異なる場合があるが、その場合最適なスペーサー部分を本明細書の実施例を参考に検討する事ができる。さらに、本発明の核酸増幅用プライマーのアニーリングする領域の3’側に上記のスペーサー部分が付加されるように、例えばPCRによって本発明の核酸増幅方法の鋳型となる核酸を予め増幅したのち、この増幅断片を本発明の核酸増幅方法の鋳型として使用することができる。1つの態様としては、5’→3’方向に上記スペーサー領域、本発明の核酸増幅方法用プライマー領域及び他の核酸増幅用プライマー領域を有するプライマーを用いて、予め鋳型となる核酸を増幅したのち、この増幅断片を本発明の核酸増幅方法の鋳型として使用することができる。なお、前述の他の核酸増幅用プライマー領域は、例えば、PCR法のような核酸増幅方法のためのプライマー領域であればよく特に限定はされない。あるいは、前述の他の核酸増幅用プライマー領域は、本発明の核酸増幅方法のための別のプライマー領域であってもよい。
【0083】
上記方法により単離したゲノムDNAやPCRフラグメントのような二本鎖DNA、および全RNA若しくはmRNAから逆転写反応で調製されたcDNAのような一本鎖DNAのいずれもが本発明において鋳型DNAとして好適に使用できる。上記二本鎖DNAの場合は、一本鎖DNAに変性する工程(デネーチャー)を施したものが好適に使用できる。
【0084】
また、鋳型がPCR増幅産物のような直鎖状2本鎖DNAにおいては、本発明の方法に用いるプライマーがアニーリングする位置を、該DNAの末端から約50塩基程度内側に設定することにより、前述のデネーチャーの工程を行わなくても本発明の核酸配列の増幅方法を行うことができる場合がある。さらに、RNA由来の配列を有する核酸の増幅を目的とする場合には、本発明のDNAの合成方法に逆転写酵素活性と鎖置換活性とを有するDNAポリメラーゼを使用することにより、RNAを鋳型とした逆転写反応と、当該反応によって生成したcDNAを鋳型にしたDNA増幅反応とを1種類のDNAポリメラーゼで行なうことができる。
【0085】
上記鋳型の長さは、標的配列がその断片中に完全に含まれるか、または標的配列の十分な部分が少なくとも断片中に存在することにより、プライマー配列の十分な結合を提供するようなものがよい。
【0086】
本発明の方法は、鋳型DNAが二本鎖DNAの場合、それらを変性して一本鎖にすることにより鋳型DNA鎖へのプライマーの結合を可能にさせる。二本鎖DNAが変性する温度、例えば約95℃で保持することは好ましい変性法である。他の方法はpHの上昇を含むが、オリゴヌクレオチドプライマーを標的物に結合させるためには、増幅反応時にpHを低下させる必要がある。上記のような二本鎖を一本鎖DNAに変性する工程、もしくは、鋳型がRNAの場合、逆転写反応によりcDNA(一本鎖DNA)を調製する工程の後、等温条件下において、連続的に核酸配列が増幅される。
【0087】
ここで、「連続的に」とは、反応温度、反応液組成の変更を伴わずに反応が進行していることを意味する。また、本明細書において「等温」とは、酵素および核酸鎖が上記各工程において機能する、実質的に一定の温度条件のことを意味する。
【0088】
本発明の核酸増幅方法は、理論によって限定されないが、例えば、等温条件下、下記の工程が並行して連続し、繰返し起こると考えられる:
[1]鋳型となるDNAを少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマーとアニーリングさせる工程;
[2]プライマーの3’末端から鋳型DNAに相補的なDNAの伸長反応を行なう工程;
[3]エンドヌクレアーゼで、[2]で伸長させたDNA鎖を切断する工程;
[4][3]で切断された部位の3’末端からDNA伸長反応を行なうと同時に、[2]で伸長させたDNA鎖を分解することなく鋳型DNAから遊離させる工程;
[5][4]の工程で得られた二本鎖ポリヌクレオチドを用いて[3]〜[4]の工程を繰り返す工程。
【0089】
上記の反応は、例えば、クレノウ断片のような常温性DNAポリメラーゼを使用することにより常温(例えば37℃)でも実施できるが、耐熱性を有する酵素(エンドヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ)を使用して高温、例えば50℃以上で、さらに例えば60℃以上で実施することができる。この場合、プライマーの非特異的なアニーリングが抑制され、DNA増幅の特異性が向上し、また鋳型DNAの二次構造が解消されることによりDNAポリメラーゼの伸長性も向上する。さらに該方法においては、逆転写反応および核酸配列の増幅を連続して行なう態様も可能であり、上記反応に逆転写酵素を組み合わせて、あるいは逆転写活性を有するDNAポリメラーゼを使用して、RNA由来の配列を有するDNAを増幅することができる。
【0090】
本発明の第1の態様は、一本鎖のDNAを鋳型として、少なくとも1種類のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを用いて行なう核酸配列の増幅方法である。
【0091】
すなわち、核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸配列を該核酸の塩基配列の一部に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して上記鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドはエンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法である。
【0092】
本発明の第2の態様は、一本鎖のDNAを鋳型として、少なくとも2種類の本発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを用いて行なう核酸配列の増幅方法である。
【0093】
すなわち、少なくとも2種類のプライマーを使用し、核酸配列を増幅するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸を該核酸の塩基配列の一部に実質的に相補的な少なくとも1種類のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して上記鋳型に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで該プライマーはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、リボヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼによる切断のためにプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(b)(a)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;
(c)(b)工程で得られるプライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(b)工程に再度利用される工程;
(d)(c)工程で得られる遊離した置換鎖を鋳型として(a)工程で使用されたプライマーとは異なる少なくとも1種のプライマーとDNAポリメラーゼにより処理して、置換鎖に相補的なプライマー伸長鎖を合成する工程;ここで(a)工程で使用されたプライマーとは異なるプライマーは置換鎖の塩基配列の一部に実質的に相補的なデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、該リボヌクレオチドはエンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置され;
(e)(d)工程で得られる二本鎖核酸のプライマー伸長鎖のリボヌクレオチド含有部位をエンドヌクレアーゼで切断する工程;および
(f)(e)工程で得られる、プライマー伸長鎖が切断された二本鎖核酸のプライマー部分の3’末端より、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって鋳型に相補的な核酸配列を伸長して鎖置換を行う工程であって、再生されたプライマー伸長鎖を含む二本鎖核酸が(e)工程に再度利用される工程;
を包含することを特徴とする核酸配列の増幅方法である。
【0094】
本発明の第3、第4の態様は、二本鎖のDNAを変性して一本鎖DNAとする前処理の後に、当該一本鎖DNAを鋳型としてそれぞれ第1、もしくは第2の態様の核酸配列の増幅を行う方法である。
【0095】
さらに、本発明の第5、第6の態様は、RNAを鋳型とした逆転写反応により一本鎖のcDNAを調製した後、当該cDNAを鋳型としてそれぞれ第1、もしくは第2の態様の核酸配列の増幅を行う方法である。
【0096】
本発明において、「再生されたプライマー伸長鎖」とは、鎖置換により新たに複製に用いられたオリゴヌクレオチドプライマーから伸長した、鋳型となる核酸配列に相補的なDNA鎖のことを言う。
【0097】
本発明において、「再度利用され」とは、鋳型となる核酸配列と再生されたプライマー伸長鎖で構成された二本鎖DNAを再度鎖置換の工程に利用することを言う。
【0098】
上記の本発明の態様のいずれにおいても、まず一本鎖の鋳型DNAに該DNAに相補的なキメラオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングさせる。次にDNAポリメラーゼの作用により、当該プライマーの3’末端より鋳型DNAの残りの配列に沿って鋳型DNAに相補的なDNA(プライマー伸長鎖)を伸長させて二本鎖DNAを合成する。エンドヌクレアーゼは当該二本鎖DNAに作用してキメラオリゴヌクレオチドプライマー中のリボヌクレオチド部分の3’末端側を切断するが、これ以外の部分は切断しない。即ち、エンドヌクレアーゼは上記の二本鎖DNAにニックを入れるニッキング酵素として作用する。また、該エンドヌクレアーゼは、キメラオリゴヌクレオチドプライマーと鋳型DNAの二本鎖DNA構造を変化させるとも考えられるが、本願発明は理論によって限定はされない。さらに、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼがニックの入った二本鎖DNAのニックの3’末端からDNA鎖を再伸長して新たなプライマー伸長鎖を生成し、同時にニックの3’末端から下流のDNAを遊離させる。こうして先に合成されたプライマー伸長鎖が新たなプライマー伸長鎖に置換される。
【0099】
本発明の核酸配列増幅方法は、鋳型核酸に相補的なキメラオリゴヌクレオチドプライマーと、置換鎖に相補的なもう1種のキメラオリゴヌクレオチドプライマーの2種のプライマーを使用して実施することができる。この場合、一方のプライマーは鋳型となるDNA鎖に結合して鎖置換反応を起し、そして他方のプライマーは上記の鎖置換反応によって遊離した置換鎖に結合し、新たな鎖置換反応を開始する。この態様を使用すると、各反応産物が他のプライマーのための鋳型として機能できることは明らかである。このように鋳型量が増加することにより、非直線的に増幅産物が増加していく。
【0100】
二本鎖DNAを鋳型に用いて本発明の核酸配列増幅方法を実施する場合には、二本鎖DNAを変性する前または後に、キメラオリゴヌクレオチドプライマー、4種のデオキシリボヌクレオチド3リン酸(dNTP)、DNAポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼを反応液に添加する。熱処理により二本鎖DNAを変性し、かつ耐熱性の酵素を使用しない場合には、変性後に酵素を添加することが好ましい。
【0101】
上記(2)に記述されたように、この方法において使用されるエンドヌクレアーゼは、プライマーのリボヌクレオチド部分において鎖を切断するように選択するべきである。特に好ましくはリボヌクレオチドの3’側である。さらにDNAポリメラーゼは、ニックの入ったDNA鎖を合理的な速度で解離させるように選択されるべきである。
【0102】
本発明に使用されるDNAポリメラーゼは、ニックの入った部位から下流への伸長鎖合成に伴い、先に伸長されたDNA鎖の置換を行う必要がある。そして重要なことは置換鎖を分解する可能性のある5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を示さないことである。このようなDNAポリメラーゼ、例えば大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのエキソヌクレアーゼ欠損変異体であるクレノウ断片、BstDNAポリメラーゼ由来の同様の断片(ニューイングランドバイオラブス社製)、B.ca由来のBcaBEST DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)が有用である。シークエネース1.0およびシークエネース2.0(米国バイオケミカル社)、ジーン(Gene)第97巻、13〜19頁(1991)記載のT5DNAポリメラーゼおよびφ29DNAポリメラーゼも使用することができる。通常はエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼであっても、その活性が適当な阻害剤の添加により阻害することが可能な場合は、本発明のDNA合成方法に使用できる。
【0103】
本発明の核酸配列の増幅方法は、変温で行ってもよく、又は等温で行ってもよい。ここで変温とは、各工程の反応を妨げない範囲で各工程の反応温度を変化させることを意味する。すなわち、例えば、プライマーのアニーリング、相補鎖の合成反応、相補鎖のニッキング、そして置換反応のそれぞれに適した温度に変化させる場合のことをいう。
【0104】
次に等温とは、各工程の反応温度を変化させず、各工程が実質的に一定の温度で行われることを意味する。いずれの場合においても、最適の反応条件となるように温度を設定するのは当然である。
【0105】
本発明の核酸配列の増幅方法の1つの特徴としては、核酸の合成方法において温度を上げ下げする必要がないことにある。即ち、本発明は等温での核酸配列の合成方法を提供する。従来の多くの核酸増幅法は、温度を上下することにより合成鎖から標的物を解離する必要があり、例えばサーマルサイクラーのような特別な反応装置を必要とするが、本発明の方法においては一定温度を保持できる装置のみでも実施することができる。
【0106】
このように、本発明の方法は、単一の温度で実施することができる。好ましくは、プライマーの非特異的なアニーリングが低減され、かつ鋳型となる核酸配列にプライマーが特異的にアニーリングするように反応温度、ストリンジェンシーのレベルを設定して実施される。特に限定するものではないが、上記のように耐熱性の酵素を用いて本発明の方法を高温条件下で行う事ができる。さらに、反応の効率を高く保つ観点から、本発明の方法は使用する酵素の活性が十分に保持される適当な温度で行うことが好ましい。従って、使用する酵素にもよるが、好ましい反応温度は、約20℃〜約80℃であり、さらに好ましくは約30℃〜約75℃であり、特に好ましくは、約50℃〜約70℃である。特に高温条件下で反応を行う場合には、常温で反応を行う場合よりも鎖長の長いプライマーを使用することが好ましい。各反応温度に適したプライマーの配列及び長さの設定については、例えば、そのTm値を参考にしてもよく、あるいは市販のプライマー設計ソフト、例えば、OLIGOTM Primer Analysis software(宝酒造社製)を使用してもよい。例えば、本発明の方法において反応温度を55℃から60℃あるいは65℃に設定した場合、該方法に使用するプライマーの長さとしては、特に限定するものではないが、例えば12ヌクレオチド〜100ヌクレオチドの長さ、好ましくは14ヌクレオチド〜50ヌクレオチドの長さ、さらに好ましくは15ヌクレオチド〜40ヌクレオチドの長さのプライマーが使用できる。このように反応温度を上げることの効果としては、鋳型DNAの二次構造を解消できることが挙げられ、GC含量の高い鋳型核酸を使用した場合にも所望の核酸が増幅される。また、長鎖長の領域を増幅する場合においても同様の効果がある。該効果は、約100bp〜約20kbpの範囲で、さらに約200bp〜約4.3kbpの範囲で、特に約250bp〜約1500bpの範囲で認められる。
【0107】
また、本発明の方法において、逆転写酵素活性を持つDNAポリメラーゼ、例えば、BcaBEST DNAポリメラーゼを使用した場合、RNAからcDNAを調製する工程(逆転写反応)を含むRNA由来の核酸配列の増幅を簡便に実施することができる。また、RNAからcDNAを調製する工程を独立させて行い、その生成物(cDNA)を本発明の方法に鋳型DNAとして使用することもできる。
【0108】
いずれの場合においても、本発明の方法においては、適当な方法、例えば酵素を失活させたり反応温度を低下させて反応を停止させるか、または試薬のうちの一つが使い尽くされるかのいずれかまで繰り返される。
【0109】
図1は、一本鎖DNAを鋳型にし、2種のプライマーを使用する場合の一態様を図示したものである。各工程を下記に示すが、各工程は並行、連続して行われる:
(1)鋳型となる一本鎖DNAとキメラオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングさせる工程;
(2)プライマーの3’末端からDNA伸長反応を行ない、プライマー伸長鎖ができる工程;
(3)プライマー中のリボヌクレオチドを含有する部位をエンドヌクレアーゼを用いて切断する工程;
(4)(3)の切断した部位よりDNAポリメラーゼにより鎖置換する工程;
(5)(4)の工程で得られた鋳型および再生されたプライマー伸長鎖からなる二本鎖DNAが(3)の工程に再度利用され、また遊離した置換鎖が(6)の工程以降の反応に利用される工程;
(6)(5)の工程の遊離した置換鎖を鋳型として(1)と異なるオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングさせる工程;
(7)プライマーの3’末端からDNA伸長反応を行ない、プライマー伸長鎖ができる工程;
(8)プライマー中のリボヌクレオチドを含有する部位をエンドヌクレアーゼを用いて切断する工程;
(9)(8)の切断した部位よりDNAポリメラーゼにより鎖置換する工程;
(10)(9)の工程で得られた鋳型および再生されたプライマー伸長鎖が(8)の工程に再度利用される工程。
【0110】
二本鎖DNAが鋳型の場合は、一本鎖DNAへの変性処理の後、それぞれのDNA鎖が上記工程(1)の鋳型になる。従って、得られる増幅産物の量は、一本鎖のDNAを鋳型にする場合よりも多く、また増幅産物の検出においては、一本鎖DNAを鋳型にする場合よりも短時間で行なうことができる。
【0111】
本発明の核酸配列の増幅方法は、核酸配列の増幅を利用した種々の実験操作、例えば核酸の検出、標識、塩基配列の決定に使用することができる。
【0112】
また、本発明の核酸配列の増幅方法は、in situ核酸増幅方法、DNAチップのような固相担体上での核酸増幅方法あるいは多種類の領域を同時に増幅するマルチプレックス核酸増幅方法として使用することができる。
【0113】
本発明の核酸配列の増幅方法の特徴の一つとして、一本鎖のDNAを調製することが可能なことが挙げられる。この目的のためには、1種のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用する方法のみならず、2種のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用する方法を使用することもできる。例えば、2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる場合は、一方のオリゴヌクレオチドプライマー量を他方の量に対して過剰にして増幅反応を行なう、いわゆるアシンメトリック(非対称)−PCR法において採用される方法と同様のプライマー比率によって行なうことができる。この結果、一方の鎖を置換した産物の量が、他方の鎖を置換した産物の量に比べて過剰になる。
【0114】
本発明の核酸配列の増幅方法によれば実質的にその相補鎖を含有しない一本鎖のDNAを調製することができ、例えば、DNAチップのような核酸固定化物を作製するための一本鎖DNA、標的核酸検出のための一本鎖DNAプローブ、または長鎖PCR法のためのメガプライマーを容易にしかも短時間に作製することができる。また、本発明の方法を使用することにより、センス配列のみ、あるいはアンチセンス配列のみを選択して増幅させることが可能である。従って、本発明はセンス配列あるいはアンチセンス配列を有する核酸の製造方法としても有用である。
【0115】
さらに、本発明の核酸配列の増幅方法には経時的な温度調節が可能な反応装置を使用する必要がないため、大容量の反応液を使用して増幅反応を実施することができる。したがって、例えば医薬用途等に使用される核酸の工業的大量製造が可能である。
【0116】
本発明の核酸配列の増幅方法において使用するプライマーの利用効率は、ほぼ100%であり、従来の方法、例えばPCR法の利用効率に比べて5倍〜10倍高くすることができる。
【0117】
(6)本発明の核酸配列の増幅方法のためのキット
本発明は、前述の第1〜第6の態様に記載の核酸配列の増幅方法に使用されるキットを提供する。1つの実施態様において、該キットは、パッケージされた形態において、鎖置換反応におけるDNAポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼの使用のための指示書を含むことを特徴とする。さらに、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼならびに鎖置換反応用緩衝液を含むキットは本発明の方法に好適に使用される。あるいは、市販の鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼを指示書に従って選択し、使用してもよい。さらに、RNAを鋳型とする場合の逆転写反応用試薬を含んでもよい。DNAポリメラーゼは、上記(3)記載の本発明に使用されるDNAポリメラーゼから選択することができる。また、エンドヌクレアーゼは、上記(2)記載のエンドヌクレアーゼから選択することができる。さらに、該鎖置換反応用緩衝液は、上記(4)記載の反応バッファー組成を有するものが好適に使用できる。
【0118】
上記「指示書」とは、当該キットの使用方法、例えば鎖置換反応用試薬液の調製方法、推奨される反応条件等を記載した印刷物であり、パンフレットまたはリーフレット形式の取り扱い説明書のほか、キットに添付されたラベル、キットが納められたパッケージ等に記載されたものを含む。さらに、インターネットのような電子媒体を通し、開示、提供された情報も含まれる。
【0119】
(7)本発明の核酸配列の検出方法および該方法のためのキット
本発明の核酸配列の増幅方法を使用することにより、試料中の標的核酸の検出を行うことができる。当該検出方法は、
(a)上記の本発明の核酸配列の増幅方法により、標的核酸を増幅する工程;および
(b)上記工程により増幅された標的核酸を検出する工程;
を包含する。
【0120】
上記方法は試料中に存在する特定の遺伝子の検出・定量に利用することができる。すなわちDNAまたはRNA等の核酸を含む可能性のあるあらゆる試料から特定の遺伝子を検出・定量することができる。前述の試料としては、特に限定はないが、例えば、全血、血清、バフィーコート、尿、糞便、脳脊髄液、精液、唾液、組織(例えば、癌組織、リンパ節等)、細胞培養物(例えば、哺乳動物細胞培養物及び細菌培養物等)のような生体由来試料、ウイロイド、ウイルス、細菌、カビ、酵母、植物及び動物のような核酸含有試料、ウイルス又は細菌のような微生物が混入もしくは感染している可能性のある試料(食品、生物学的製剤等)、あるいは土壌、排水のような生物を含有する可能性のある試料から特定の遺伝子を検出・定量することができる。さらに例えば、ウイロイド、ウイルス、カビ、細菌あるいはその他の微生物等由来の特定の遺伝子をターゲットとすることにより、該遺伝子の存在の有無によって、試料中のウイロイド、ウイルス、カビ、細菌あるいはその他の微生物の存在を検出・定量する方法等に利用することができる。さらに、生物の遺伝子型の判別や遺伝子の発現状態を調べるために本発明の方法を使用することもできる。上記検出法のための鋳型として使用される核酸は、RNAあるいはDNAのいずれもが好適に使用できる。
【0121】
上記(b)工程には公知の核酸検出方法、例えば電気泳動により特定のサイズの反応産物を検出する方法や、プローブとのハイブリダイゼーションによる検出等を使用することができる。電気泳動による検出ではエチジウムブロマイド等の蛍光物質が使用されるが、プローブとのハイブリダイゼーションを組み合わせてもよい。また、プローブは放射性同位元素による標識の他、ビオチンや蛍光物質のような非放射性の標識を施したものが使用できる。この他、上記(a)工程において標識ヌクレオチドを使用することにより増幅産物の検出を容易とすることや、蛍光偏光法、蛍光エネルギー転移等を利用した検出を行うことも可能である。さらに、適切な検出系を構築することにより、標的核酸を自動的に検出することや、あるいは標的核酸の定量を行うことが可能である。
【0122】
消光状態になるような距離で配置された2種類以上の蛍光物質で標識されたリボヌクレオチド(RNA)プローブを本発明の検出方法に使用することができる。当該プローブは蛍光を発することはないが、これに相補的な標的核酸由来の増幅DNAにアニーリングした場合、RNaseHは該プローブを分解する。この結果、プローブ上の蛍光物質間の距離が増大して蛍光が発せられるようになり、標的核酸の存在を知ることができる。RNaseHを使用して本発明の核酸配列の増幅方法が実施された場合には、その反応液中にプローブを添加するだけで標的核酸を検出することができる。当該プローブの標識に使用される蛍光物質としては、例えば、6−FAM(6-carboxyfluorescein)とTAMRA(N,N,N’,N’-tetramethyl-6-carboxyrhodamine)との組み合わせが好適に使用できる。
【0123】
本発明の核酸配列の増幅方法の等温下における増幅方法においては、サーマルサイクラーのような装置を必要としない。また本発明の増幅方法では、使用するプライマーを1種類もしくは2種類と従来法よりも少なくすることができる。dNTPのような試薬もPCR等で用いられるものを流用できるため、ランニングコストを従来法よりも低くすることができる。そのため、ルーチンワークを行なっている遺伝子検査等の分野で好適に使用できる。さらに、本発明の方法はPCR法よりも短時間により多くの増幅産物を得られることから、簡便、迅速、高感度な遺伝子検出方法として利用することができる。
【0124】
さらに、本発明においては、上記の標的核酸の検出方法に使用されるキットが提供される。該キットは、上記の本発明の核酸配列の増幅方法のためのキットを使用することができる。さらに、標的核酸の増幅に使用するためのキメラオリゴヌクレオチドプライマー、増幅された標的核酸を検出するための試薬、例えばプローブ等を含むものであってもよい。
【0125】
(8)本発明の核酸を所定の領域に整列させた核酸固定化物とその製造方法
DNAチップは、多数の異なる遺伝子あるいはDNAの断片をスライドグラス等の固相担体上の所定の領域あるいは所定の位置に整列させて固定化した核酸固定化物であり、DNAマイクロアレイ(DNAアレイ)とも呼ばれる。DNAチップは、試料より調製した核酸試料、好ましくは標識された核酸試料と接触させてハイブリダイゼーションを行うことにより、核酸試料中に存在する、DNAチップ上の所定の領域に整列させて固定化されたDNAと相補的な配列を有する核酸の存在を調べる目的で使用される。試料中の多数の核酸を一度の操作で検出、定量できることから、DNAチップは遺伝子の発現解析や変異あるいは多型解析を飛躍的に加速させる手段として非常に有用である。二本鎖核酸が所定の領域に整列させて固定化されたDNAチップは適切な変性処理の後にハイブリダイゼーション工程に使用されるが、検出しようとする標的核酸に相補的な一本鎖DNAが所定の領域に整列させて固定化されたDNAチップは、標的核酸の検出に特に好適である。
【0126】
上記のように、本発明の方法により所望のDNAを一本鎖の状態で増幅することができる。増幅物の精製方法に限定はないが、イソプロパノール沈殿による精製が好ましい。こうして得られたDNA、特に好ましくは実質的にその相補鎖を含有しない一本鎖のDNAは、DNAチップ上に固定するDNA断片として好適に使用できる。即ち、本発明の方法は、DNAチップ作製において所定の領域に整列させて固定化するDNAを調製する方法として好適に使用できる。こうして得られたDNAを所定の領域に整列させて固定する担体は不溶性のものであれば特に限定はなく、ガラス、プラスチック等で作製された板状の担体の他、ニトロセルロースやナイロン製の膜状の担体が好適に使用される。また、その固定化にあたっては公知の核酸固定化方法が使用できる。上記のDNAはそのまま担体に固定化を行う他、適当なリンカーを介して、または複数分子のDNAをライゲーションさせたうえで固定化してもよい。
【0127】
本発明の方法により増幅されたDNAを所定の領域に整列させて固定化した核酸固定化物、例えばDNAチップを試料より調製された標的核酸を含む可能性のある核酸試料と接触させ、ハイブリダイゼーションを実施することにより、当該核酸固定化物上の核酸とハイブリダイズした標的核酸を検出、定量することができる。特に、本発明の方法により増幅された一本鎖のDNAを所定の領域に整列させて固定化したDNAチップは、従来よりも簡便な操作で、かつ、高感度、高再現性での標的核酸の検出を可能とする。
【0128】
(9)本発明の核酸の大量製造方法
上記のように、本発明の一態様により等温で実施可能な核酸配列の増幅方法が提供される。該方法は、増幅しようとする核酸の鋳型となる核酸の他、反応に必要な各種成分を混合して等温条件下で反応させることにより、所望の核酸を製造することができる。PCR法では反応混合物の温度を経時的に変化させる必要があるため、反応のスケールは温度制御が可能な容量(通常、200μl以下)に限られ、スケールアップは困難である。一方、当該方法にはこのような制約はなく、反応混合物の容量を増加させることにより大量の核酸を製造することが可能である。当該方法は1分子の鋳型から多数の相補鎖分子が合成され、さらにこれらの相補鎖分子を鋳型とした核酸の合成も可能であることから、鋳型ならびにプライマーを適切に設定することにより、所望の核酸を効率よく、大量に製造することができる。さらにまた、当該方法がPCR法のような特殊な装置、頻繁な温度変化を必要としないことは設備、エネルギーのコスト面からも有利であり、工業的な核酸の大量製造方法としても優れている。
【0129】
また、本発明の方法は、上記のDNAチップに固定化するためのDNA断片のような多種類、かつ大量のDNA断片を供給する方法として有用である。すなわち、1つの態様としては、単純な反応工程でDNA断片を大量に得ることができ、別の態様としては限られた種類のプライマーを使用して非常に多種類のDNA断片を得ることができる。後者は、本発明の方法の鋳型となる核酸を公知の核酸増幅方法、例えばPCR法等であらかじめ増幅する工程を組み合わせて実施することができる。例えば、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)第24巻、19号、3778〜3783頁(1996)に記載のタグ配列を有するランダムプライマーを使用して核酸を増幅する方法あるいは、ジェノミックス(Genomics)第13巻、718〜725頁(1992)に記載の縮重プライマー(Degenerate primer)を用いたDOP−PCR(Degenerate Oligonucleotide-Primed PCR)法に基づき、限られた種類のプライマーを使用してあらゆる種類の鋳型核酸を増幅することができる。さらに、前述のランダムプライマーや縮重プライマーに付加されたタグ配列にあわせて本発明の核酸増幅法に使用されるプライマーを設計すれば、上記の工程で作成されたあらゆる鋳型核酸について1もしくは数種類のプライマーで本発明の核酸増幅反応を実施することができる。このように、適切な鋳型核酸の調製工程と本発明の方法を組み合わせれば、多種類のDNA断片を従来よりも安価で、大量に供給することができる。
【0130】
核酸を含有する医薬としては、細胞内において有用なポリペプチドを発現させるための二本鎖DNA、目的の遺伝子の発現を抑制するための一本鎖アンチセンスDNA等があり、これらは適切な手段、例えばリポソーム等の遺伝子導入用担体を使用して生体に投与される。本発明の核酸の製造方法は、上記のような医薬用途等の一本鎖、もしくは二本鎖の核酸を大量に製造するための方法として好適である。さらに、本発明の方法では、例えば生体内での分解を抑制するようなdNTPのアナログを含有する核酸を製造することも容易である。
【0131】
本発明において増幅されたDNA断片は通常のヌクレオチドにより構成されるため、増幅されたDNAはその内部の制限酵素部位を用いて適当なベクターにサブクローニングすることができる。さらにRFLPのような制限酵素を用いた処理をすることも問題なくでき、遺伝子検査の分野においても広く利用できる。また、本発明において増幅されたDNA断片は、通常のヌクレオチドにより構成されるため、増幅断片中にRNAポリメラーゼのプロモーター配列を組込んでおけば、増幅断片を鋳型としてRNAを合成し、例えば、合成されたRNAをプローブとして使用可能である。当然ながら、通常のdNTPの代わりに蛍光標識されたdNTPを使用して本発明の核酸配列増幅方法を実施することにより、蛍光標識されたDNAプローブを作製することができる。
【0132】
本発明の方法において、最終的に増幅される断片は、その両端に増幅に使用するプライマーに相補的な塩基配列を有さないため、増幅産物の持ち込みによるコンタミネーションを軽減させることができる。従って、ルーチンワークで同じ領域を増幅する遺伝子検査等において有用である。
【0133】
本発明の核酸配列の増幅方法の特徴を以下に列挙する。
1.少ない鋳型量より、大量の核酸を増幅することができる。2種のプライマーを使用した場合には増幅産物は2次関数的に増加する。
2.等温でも実施でき、その場合サーマルサイクラーのような装置を必要としない。このため、容易に反応容量をスケールアップすることができる。
3.通常、増幅反応は1または2種のキメラオリゴヌクレオチドプライマーと2種の酵素(DNAポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼ)で実施される。
4.1分子のプライマーより多数のDNA鎖が合成されるため、プライマー量が増幅産物量を制限することがない。さらに、プライマー使用効率が約100%とPCR法に比べて極めて高い。
5.一本鎖、二本鎖のDNAを目的に応じ選択的に増幅することができる。
6.増幅反応に(α−S)dNTPのようなdNTPアナログを必要としないため、試薬コストが安価である。また、dNTPアナログを含有しない、天然型の核酸を取得することが可能である。
7.他の核酸増幅方法と組み合わせることにより、安価で大量のDNA増幅断片を供給することができる。
【0134】
以上のように、本発明の方法は工業的スケールでの核酸製造に適した方法である。
【0135】
【実施例】
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0136】
参考例
本発明の方法に使用されるRNaseHのユニット数は、以下の方法で測定した。
(1)使用する試薬液の調製
力価測定用反応液:最終濃度がそれぞれ40mMトリス−塩酸(pH7.7、37℃)、4mM塩化マグネシウム、1mM DTT、0.003%BSA、4%グリセロール、24μMポリ(dT)になるように滅菌水で調製した。
【0137】
ポリ[8−3H]アデニル酸溶液:370kBqのポリ[8−3H]アデニル酸溶液を200μlの滅菌水に溶解した。
【0138】
ポリアデニル酸溶液:ポリアデニル酸を3mMになるように滅菌超純水で希釈した。
【0139】
酵素希釈液:最終濃度がそれぞれ25mMトリス−塩酸(pH7.5、37℃)、5mM 2−メルカプトエタノール、0.5mM EDTA(pH7.5、37℃)、30mM塩化ナトリウム、50%グリセロールになるように滅菌水で調製した。
【0140】
熱変性子牛胸腺DNAの調製:子牛胸腺DNA200mgをTEバッファー100mlに懸濁し、膨潤させた。該溶液のUV260nmの吸光度を測定し、1mg/mlの濃度に滅菌超純水で希釈した。次に、該溶液を100℃で10分間加熱後、氷浴中で急冷した。
【0141】
(2)活性測定方法
上記(1)で調製した力価測定用反応液985μlにポリ[8−3H]アデニル酸溶液7μlを加え37℃で10分間保持した。次にポリアデニル酸を最終濃度が24μMになるように8μl加え、さらに37℃で5分間保持した。このようにしてポリ[8−3H]rA−ポリdT反応液1000μlを調製した。次に、該反応液200μlを分取し、30℃で5分間保持した後、任意の希釈系列で希釈した酵素液1μlを加え、これらの反応液を経時的に50μlずつサンプリングして、後の測定に用いた。酵素添加からサンプリングまでの間の時間をY分とした。また、全CPM用反応液50μlおよびブランク用反応液50μlは、酵素液の代わりに酵素希釈液を1μl加えて調製した。該サンプリング溶液に100mMピロリン酸ナトリウム100μl、熱変性子牛胸腺DNA溶液50μlおよび10%トリクロロ酢酸300μl(全CPM測定の場合は、超純水300μl)を加え、0℃で5分間保持後、10000rpmで10分間遠心した。遠心後、得られた上清250μlをバイアルに入れ、アクアゾルー2(NENライフサイエンスプロダクツ社製) 10mlを加え、液体シンチレーションカウンターでCPMを測定した。
【0142】
(3)ユニット計算
各酵素のユニット(Unit)数は、以下の計算式で算出した。
Unit/ ml ={(測定したCPM−ブランクCPM)×1.2*×20×1000×希釈率}×200(μl)/(全CPM×Y分×50(μl)×9**)
1.2*:全CPM中に含まれるポリ[8−3H]rA−ポリdTの50μl当たりのnmol数
9**:補正係数
【0143】
実施例1
(1)鋳型DNAとプライマーの合成
本実施例に鋳型として使用した99塩基の一本鎖DNAおよびプライマーは、DNA合成機(アプライド・バイオシステム社製)を用いて合成した。配列表の配列番号1に上記の99塩基の一本鎖DNAの塩基配列を示す。また、配列表の配列番号2および3に、それぞれ上流プライマーおよび下流プライマーの基本的な塩基配列を示す。本実施例に使用されたプライマーの詳細な構造を以下に示す:
プライマー対1:配列表の配列番号2および3に示される塩基配列を有し、その全体がすべてデオキシリボヌクレオチドで構築されたプライマーの組み合わせ;
プライマー対2:プライマー対1のプライマーの、それぞれの3’末端から2個のデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換され、かつ3’末端から2個めのリボヌクレオチドの5’側リン酸結合がホスホロチオエート結合に置換されたプライマーの組み合わせ;
プライマー対3:プライマー対1のプライマーの、それぞれの3’末端のデオキシリボヌクレオチドのみがリボヌクレオチドに置換され、かつ当該リボヌクレオチドの5’側リン酸結合がホスホロチオエート結合に置換されたプライマーの組み合わせ;
プライマー対4:プライマー対1のプライマーの、それぞれの3’末端から2個のデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換されたプライマーの組み合わせ;
プライマー対5:プライマー対1のプライマーのそれぞれの3’末端から3、4個めのデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換され、かつ3’末端から4個めのリボヌクレオチドの5’側リン酸結合がホスホロチオエート結合に置換されたプライマーの組み合わせ。
【0144】
(2)増幅反応
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させたバチルス・カルドテナックス由来のDNAポリメラーゼであるBcaBEST DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)と、大腸菌由来のRNaseHであるclonedリボヌクレアーゼH(宝酒造社製)を用いて、以下のモデル1〜7の反応系について検討した。
【0145】
反応液は、下記のように調製した。
35mMトリス塩酸バッファー(pH7.5)、0.1mg/ml BSA(牛血清アルブミン)、2.7%グリセロール、5%ジメチルスルオキシド 、各1.4mM dNTP混合物、10mM塩化マグネシウム、それぞれ20pmolの(1)のプライマー対もしくはその一方のプライマー、ならびに0.6ngの合成一本鎖鋳型DNA、5UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、60UのclonedリボヌクレアーゼH、反応液の最終容量50μl。上記反応液を均一に混合し、55℃、60分間保温した後、90℃、2分間加熱して酵素を失活させた。その後、各反応液の8μlを3%ヌシーブ3:1アガロース(宝酒造社製)ゲルにて電気泳動を行なった。以下に各モデルに使用されたプライマーを示す:
モデル1〜5:それぞれプライマー対1〜プライマー対5を使用;
モデル6:プライマー対2のうちの下流プライマーのみを使用;
モデル7:プライマー対4を使用し、RNaseHを添加しない。
【0146】
その結果、モデル2〜5の反応液を使用した場合、約40bp(base pair)〜約90bpの範囲で目的のサイズの増幅断片が確認された。これらの反応系でDNAが増幅されることが明らかとなった。また、一方のプライマーのみを使用したモデル6においても、予想される約70b(base)の増幅断片(一本鎖DNA断片)が確認できた。なお、モデル1および7の反応ではDNAの増幅はまったく認められなかった。
【0147】
(3)増幅産物の確認
上記(2)の、モデル4の反応によって得られた反応液をマイクロコン−100(宝酒造社製)を用いてろ過した後、フィルターにトラップされた増幅DNA断片を回収した。該DNA断片の塩基配列をジデオキシ法により解析した。その結果、上記の反応によって増幅された断片が鋳型DNAと同じ塩基配列を持つDNAである事が確認された。
【0148】
(4)反応時間の検討
上記(2)のモデル2の反応液を調製し、これを種々の時間反応させた場合の増幅産物量の変化を調べた。当該反応液を、0、15、30、60、90、120分間、それぞれ55℃で保温した後、90℃、2分間の処理により酵素を失活させた。各反応液8μlを3% ヌシーブ3:1アガロースゲルを使用した電気泳動にて解析した。電気泳動の結果を図2に示す。図中1〜6はそれぞれ0、15、30、60、90、120分間反応した反応液の泳動されたレーンを、また、Mは分子量マーカーとして、100bp DNA ladder marker(宝酒造社製)が泳動されたレーンを示す。
【0149】
図2に示されるように、反応時間が0分では増幅産物は確認できなかったが、反応時間が15分、30分、60分と長くなるに従い、増幅産物量が増大していることが確認できた。しかし、60分以上の反応では、電気泳動によって確認される増幅産物量はほぼ横ばいであり、使用された反応系での増幅は60分程度でプラトーに達することが示された。
【0150】
実施例2
(1)RNAの調製
本実施例に鋳型として使用するRNAは、ヒト培養細胞HT29(ATCC HTB−38)(大日本製薬社製)からトライゾール試薬(ライフテック社製)を用いて調製した。得られたトータルRNAは、その濃度を1μg/μlに調製した。またRNAの純度を分光学的に調べたところ、OD260/OD280=1.8であった。
【0151】
(2)増幅反応
逆転写活性およびDNAポリメラーゼ活性を有するBcaBEST DNAポリメラーゼとRNaseHエンドヌクレアーゼを用いて、RNAからのcDNAが増幅されるかを検討した。
【0152】
反応液には1μg相当の上記トータルRNAを加え、実施例2と同様の組成に調製した。ジーンバンク(GenBank)登録番号、X01060のヒトトランスフェリンレセプターをコードする領域を増幅のターゲットとし、プライマーとして実施例1に記載のプライマー対2を用いた。
【0153】
上記の反応液を55℃、60分間保温した後、90℃、2分間加熱して酵素を失活させた。この反応液のうちの8μlを3% ヌシーブ3:1アガロースゲルにて電気泳動したところ、予想される56bpの増幅断片が確認できた。さらに、ターゲットとした塩基配列を有するプローブを用いたサザンハイブリダイゼーションを行なった。その5’末端にビオチン標識を付した、配列表の配列番号4に示される塩基配列のDNAプローブを使用してサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、このプローブは上記の増幅断片にハイブリダイズした。即ち、本発明の方法によりターゲットとした領域が正しく増幅されていることが確認された。
【0154】
実施例3
(1)プライマーの合成
二本鎖DNAを鋳型とした場合の本発明の増幅方法について検討した。使用するプライマーは、DNA合成機(アプライド・バイオシステム社製)を用いて合成した。配列表の配列番号5〜13にプライマーの基本的な塩基配列を示す。さらに、本実施例に使用されたプライマーの詳細な構造を以下に示す。プライマー対A〜Fまでは、pUC19DNA(宝酒造社製)を鋳型とした。pUC19のヌクレオチド配列はデータベース、ジーンバンク(GenBank)登録番号、L09137から入手可能である。プライマー対Gの場合は、実施例2で得られたヒト全RNAより配列表の配列番号14および15記載のプライマーおよびTaKaRa RNA PCR Kit(AMV)Ver.2.1(宝酒造社製)用いて、添付の標準プロトコールに従って調製した2本鎖DNA増幅断片を鋳型とした。
【0155】
プライマー対A(増幅断片長約450bp):配列表の配列番号5および6に示される塩基配列を有し、その3’末端2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったプライマーの組み合わせ;
プライマー対B(増幅断片長約250bp):配列表の配列番号5および7に示される塩基配列を有し、その3’末端2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったプライマーの組み合わせ;
プライマー対C(増幅断片長約520bp):配列表の配列番号5および8に示される塩基配列を有し、その3’末端2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったプライマーの組み合わせ;
プライマー対D(増幅断片長約890bp):配列表の配列番号5および9に示される塩基配列を有し、その3’末端2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったプライマーの組み合わせ;
プライマー対E(増幅断片長約130bp):配列表の配列番号10および6に示される塩基配列を有し、その3’末端3塩基がリボヌクレオチドに置き換わったプライマーの組み合わせ;
プライマー対F(増幅断片長約220bp):配列表の配列番号11および6に示される塩基配列を有し、その3’末端3塩基がリボヌクレオチドに置き換わったプライマーの組み合わせ;
プライマー対G(増幅断片長約320bp):配列表の配列番号12および13に示される塩基配列を有し、その3’末端3塩基がリボヌクレオチドに置き換わったプライマーの組み合わせ。
【0156】
(2)増幅反応
反応液は、下記のように調製した。
35mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5)、0.1mg/ml BSA(牛血清アルブミン)、5%ジメチルスルオキシド 、各1.4mM dNTP混合物、10mM塩化マグネシウム、それぞれ60pmolの(1)のプライマー対、ならびに100ngのpUC19鋳型DNA、5.5UのBcaBESTDNAポリメラーゼ、60UのRNaseH、反応液の最終容量50μl。
【0157】
反応条件は以下のとおりである。DNAポリメラーゼおよびRNaseH無添加の反応液を98℃、1分間熱変性処理後、55℃に冷却し、DNAポリメラーゼおよびRNaseHを混合し、55℃、60分間保温した。反応終了後、90℃、2分間加熱して酵素を失活させた。その後、各反応液の8μlを3% ヌシーブ3:1アガロースゲルにて電気泳動を行なった。
【0158】
その結果、いずれのプライマー対においても目的の増幅断片が得られることが確認できた。即ち、本発明の増幅方法において、2本鎖DNAを鋳型として増幅反応を行うことができることを確認した。
【0159】
(3)増幅産物の制限酵素消化
本発明の増幅方法を用いて得られた増幅断片の制限酵素消化について検討した。鋳型DNAとして、pUC19プラスミドDNAを用いた。配列表の配列番号5〜6に記載のpUC19 upper (2)NNプライマーおよびpUC19lower NNプライマーを使用した。なお、該プライマーは、いずれも3’末端の2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったものを用いた。下記に反応液組成を示す。
反応液A:35mM リン酸カリウムバッファー(pH7.5)、10mM塩化マグネシウム、1.4mM dNTP混合物、0.01%BSA、5%DMSO、2.7%グリセロール 、各100pmolずつのpUC19 upper (2)NNプライマーおよびpUC19 lower NNプライマー、500ngのpUC19 DNA、および滅菌蒸留水で反応液容量を48μlに調製した。
【0160】
上記反応液を98℃、1分間熱変性処理した後、55℃に冷却した。次に、60UのE.coli RNaseHおよび5.5UのBcaBESTを添加し、反応液量を50μlにした。該反応液を55℃で1時間インキュベーションした。反応終了後、90℃、2分間加熱処理して酵素を失活させた。その反応液を3%アガロースゲル電気泳動して、得られた増幅産物を精製した。回収された増幅産物は、100μlの滅菌蒸留水に再懸濁した。
【0161】
上記DNA溶液を使用して制限酵素消化を行った。制限酵素は、AccII(宝酒造社製)およびBcnI(宝酒造社製)を使用した。以下に反応液組成を示す。
DNA溶液3μl、10×AccII添付バッファーあるいは10×BcnI添付バッファーを1μl、制限酵素AccIIあるいはBcnIを1μl、さらに滅菌蒸留水で反応液容量を10μlに調製した。該反応液を37℃、30分間反応後、10×ローディングバッファー(loading buffer)を1.5μl加え、そのうちの6μlを3%ヌシーブアガロースゲルで電気泳動した。
【0162】
その結果、AccIIおよびBcnIのいずれの制限酵素においても目的とする制限酵素消化DNA断片が得られた。
【0163】
(4)突然変異検出
本発明の増幅方法を用いた突然変異検出について検討した。鋳型としてpUC19を用いた。配列表の配列番号5〜6にpUC19 upper(2) NNプライマーおよびpUC19 lower NNプライマーの基本的な塩基配列を示した。上記プライマーは、いずれもその3’末端の2塩基がリボ核酸であるキメラオリゴヌクレオチドプライマーである。さらに、pUC19 upper(2) NNプライマーは、3’末端を鋳型と相補的なUおよびミスマッチのA、C、Gに置換した4種類(それぞれ、pUC19 upper(2) NN−U、pUC19 upper(2) NN−A、pUC19 upper(2) NN−CおよびpUC19 upper(2) NN−Gと称する)を作製した。これらのプライマーの組み合わせについて以下に示す。
プライマー対1: pUC19 upper(2) NN-UおよびpUC19 lower NN
プライマー対2: pUC19 upper(2) NN-AおよびpUC19 lower NN
プライマー対3: pUC19 upper(2) NN-CおよびpUC19 lower NN
プライマー対4: pUC19 upper(2) NN-GおよびpUC19 lower NN
【0164】
反応液は、下記のように調製した。
30mMリン酸カリウムバッファー(pH7.3)、0.01%BSA(牛血清アルブミン)、5%DMSO、各1mM dNTP混合物、8mM酢酸マグネシウム、それぞれ60pmolの上記のプライマー対および50ngの鋳型DNA、および滅菌蒸留水で反応液容量を48μlにした。
【0165】
上記反応液を98℃、1分間熱変性処理後、55℃に冷却した。次に、5.5UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、60UのE.coli RNaseHを添加し、55℃、60分間保持した。その後、90℃、2分間加熱して酵素を失活させた。各反応液8μlを使用し、4% ヌシーブ3:1アガロース(宝酒造社製)ゲルにて電気泳動を行なった。その結果、pUC19 upper(2) NNの3’末端が相補的なプライマーの組み合わせのみ目的とする約450bpの増幅断片が検出された。一方、 pUC19 upper(2) NNの3’末端がミスマッチのプライマーの組み合わせについてはいずれも増幅断片は、確認できなかった。
【0166】
実施例4
(1)マイクロチューブでの反応
本発明の増幅方法について反応容量の検討を行った。増幅領域としては、ヒトトランスフェリンレセプターをコードする領域を選択した。配列表の配列番号12および13記載の配列を有するプライマーを使用した。なお、該プライマーは、3’末端の2塩基がリボ核酸に置き換わったものを使用した。鋳型となるDNAは、あらかじめRT−PCR法により得た増幅断片約750bpを使用した。反応容量は、50μl、100μl、300μl、および500μlになるように調製した。下記に反応液組成を示す。
反応液A:5×専用バッファー(135mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、0.5mg/ml BSA、2.5%DMSO)10μl、100mM酢酸マグネシウム 4μl、10mM dNTP混合物 5μl、10μM ATP10μl、BcaBEST DNAポリメラーゼ(22U/μl)1μl、RNaseH(60U/μl)1μl、および滅菌蒸留水で39μlに調製した。反応液B:20μMヒトトランスフェリンレセプターSプライマー(配列番号12)および20μMヒトトランスフェリンレセプタープライマー(配列番号13)をそれぞれ3μl、鋳型DNA約100ngおよび滅菌蒸留水で11μlにした。容量が50μl以上の場合は、上記組成に基づきスケールアップした。
【0167】
増幅反応は、上記B液を98℃、2分間処理した後、55℃、3分間保持した。次に、1500μl容マイクロチューブ中で55℃でプレインキュベーションしたA液に前述のB液を添加し、混和後、55℃で1時間インキュベーションした。反応終了後、氷浴上に移し、反応液8μlを3%アガロースゲル電気泳動した。
【0168】
その結果、いずれの反応容量においても効率よく目的とする約300bpの増幅断片が検出できた。また、鋳型DNAがPCR増幅断片であっても問題なく目的とする増幅断片を得られることを確認した。
【0169】
(2)シャーレでの反応
反応容量の増大に伴う反応液の温度不均一を防ぐために、シャーレを使用して検討を行った。増幅領域としては、ヒトトランスフェリンレセプターをコードする領域を選択した。配列表の配列番号12および13記載の配列を有するプライマーを使用した。なお、該プライマーは、3’末端の2塩基がリボ核酸に置き換わったものを使用した。鋳型となるDNAは、あらかじめRT−PCR法により得た増幅断片約750bpを使用した。反応容量は、10mlになるように調製した。下記に反応液組成を示す。
反応液A:5×専用バッファー(135mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)、0.5mg/ml BSA、2.5% DMSO) 2000μl、100mM 酢酸マグネシウム 800μl、10mM dNTP混合物 1000μlおよび滅菌蒸留水で9.1mlに調製した。
反応液B:60μM ヒトトランスフェリンレセプターSプライマー(配列番号12)および60μM ヒトトランスフェリンレセプタープライマー(配列番号13)をそれぞれ200μl、鋳型DNA 約10μgおよび滅菌蒸留水で500μlにした。
反応液C:BcaBEST DNAポリメラーゼ(22U/μl) 200μl、RNaseH(60U/μl) 200μl。
【0170】
増幅反応は、上記B液を98℃、1分間処理した後、55℃、3分間保持した。次に、直径60mmのプラスティックシャーレ中で55℃でプレインキュベーションしたA液に前述のB液を添加し、さらにC液を添加し混和後、55℃で1時間インキュベーションした。反応終了後、氷浴上に移し、反応液8μlを3%アガロースゲル電気泳動した。
【0171】
その結果、10mlの反応容量であっても目的とする約300bpの増幅断片が効率よく検出できた。また、鋳型DNAがPCR増幅断片であっても問題なく目的とする増幅断片を得られることを確認した。即ち、多量のDNA断片を必要とするDNAチップ作製において、本発明の方法が従来のPCR法と比較しても好適に使用できることを確認した。
【0172】
実施例5
(1)バッファーの種類とRNaseH使用量の関係
バッファーの種類とRNaseHの使用量の関係について検討した。鋳型としてpUC19ベクターに249bpおよび911bpのフラグメントをクローニングして得られたプラスミドDNA(pUC19−249およびpUC19−911と称す)を、プライマーとして配列表の配列番号16〜17記載の配列を有するMF2N3(24)プライマーおよびMR1N3(24)プライマーの3’末端3塩基をリボヌクレオチドにしたキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。該プライマーの組み合わせによりpUC19−249では約450bpの、pUC19−911では約1100bpの増幅断片が得られる。
【0173】
検討するバッファーは、トリス塩酸バッファー、リン酸カリウムバッファー、トリシンバッファー系を選択した。また、RNaseHは、無添加および最終濃度0.3U〜1.2U/μlで検討した。トリス塩酸バッファー系は、10ngのpUC19−249あるいは200ngのpUC19−911、各60pmolのプライマーおよび11U/50μl 反応容量のBcaBEST DNAポリメラーゼ以外は、実施例1(2)と同様に調製した。リン酸カリウムバッファー系についても同様の組成とした。トリシンバッファー系については、最終濃度が34mM トリシンバッファー(pH8.7)、10mM 塩化カリウム、10mM 硫酸アンモニウム、0.01% BSA、1% DMSO、4mM 酢酸マグネシウム、0.5mM dNTP混合物となるように調製した。上記バッファー系についてpUC19−249プラスミド10ng/50μl 反応容量、ならびにpUC19−911プラスミド200ng/50μl 反応容量、各60pmol/50μl 反応容量のプライマー、各濃度となるRNaseH、11U/50μl 反応容量のBcaBEST DNAポリメラーゼになるように調製した。
【0174】
増幅反応は鋳型となるpUC19−249あるいはpUC19−911と各プライマーの混液を98℃で1分間熱変性処理後、55℃まで冷却した後に残りの反応組成混液を添加し、55℃で60分間反応させた。反応終了後、4℃に冷却し、1/10量の0.5M EDTAを添加して反応を停止させた。その後、各反応液の3μlを3%ヌシーブ3:1アガロース(宝酒造社製)ゲルにて電気泳動を行った。
【0175】
その結果、pUC19−249を鋳型とした場合はトリス塩酸バッファー系、リン酸カリウムバッファー系、トリシンバッファー系の順に、pUC19−911を鋳型とした場合はトリス塩酸バッファー系、トリシンバッファー系、リン酸カリウムバッファー系の順に増幅効率の向上が認められた。さらに、RNaseHについては、無添加では目的の増幅断片は得られなかったが、最終濃度0.3U〜1.2U/μlで用いた場合はいずれも目的の増幅断片が得られた。
【0176】
(2)プライマー量の検討
使用するプライマー量が本発明の増幅方法に与える影響を検討した。反応液は、上記(1)記載の組成のうち、鋳型としてpUC19−249を用いた系を使い、リン酸カリウムバッファー系は60U/50μl反応のRNaseHを、トリス塩酸バッファー系、トリシンバッファー系は30U/50μl反応のRNaseHを用いて行った。プライマーの濃度は10pmol〜100pmol/50μlの範囲で検討した。反応条件および増幅確認は、上記(1)記載と同様にした。
【0177】
その結果、どの反応バッファー系を用いた場合も、10pmol〜100pmol/50μlの範囲で目的とする増幅断片が確認できた。
【0178】
(3)反応バッファーのpHの影響
反応液のpHが本発明の増幅方法に与える影響について検討した。反応液は、上記(2)記載の組成と同様にした。pHは、リン酸カリウムバッファー系は、pH7.0〜8.0の範囲で、トリシンバッファー系は、pH7.5〜9.2の範囲で、トリス塩酸バッファー系は、pH7.5〜9.0の範囲で検討した。反応条件および増幅確認は、上記(1)記載と同様にした。
【0179】
その結果、各々のバッファー系で用いたpHの範囲において、目的とする増幅断片が確認できた。
【0180】
(4)添加剤の効果
上記(3)記載のリン酸バッファー系(pH7.5)の反応液組成で、ジメチルスルホキシド(DMSO)の添加効果を検討した。また、ポリアミンの添加効果についても検討した。DMSOの添加量は、無添加〜10%の範囲で検討した。一方、ポリアミンとしては、スペルミン4塩酸塩(シグマ社製)、スペルミジン3塩酸塩(シグマ社製)、アセチルプトレスシン(ナカライ社製)、プトレスシン2塩酸塩(ナカライ社製)、トリメチレンジアミン(ナカライ社製)、プロピレンジアミン(ナカライ社製)、ジアミノメタン2塩酸塩(ナカライ社製)を使用した。添加量は、プロピレンジアミンおよびトリメチレンジアミンは、無添加〜2%の範囲で、それ以外のポリアミンは、無添加〜5mMの範囲で行った。反応条件および増幅確認は、上記(1)記載の方法と同様にした。
【0181】
その結果、DMSOは、無添加〜5%、スペルミン4塩酸塩とスペルミジンは、無添加〜200μM、アセチルプトレスシンとプトレスシン2塩酸塩は、40μM〜40mM、トリメチレンジアミンは、0.002%〜0.02%、プロピレンジアミンは、0.0001%〜0.01%、そしてジアミノメタン2塩酸塩は、0.1μM〜10μMの範囲で、目的のDNA断片が効率よく増幅されることが確認できた。
【0182】
(5)マグネシウム塩の種類の検討
本発明の増幅方法に対するマグネシウム塩の種類について検討した。鋳型としてpUC19DNAを、プライマーとして配列表の配列番号11および6記載の配列を有するpUC19 upper NN249プライマーおよびpUC19 lower NNプライマーを使用した。該プライマー対で、約225bpの増幅断片が得られる。マグネシウム塩は、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムおよび硫酸マグネシウムを使用した。以下に反応液組成を示す。
【0183】
35mMリン酸カリウムバッファー(pH7.3)、最終濃度8mMの塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウム、最終濃度1.0mM dNTP混合物、50ng pUC19DNA、各60pmolの上記プライマー対、60U RNaseH、5.5U BcaBEST DNAポリメラーゼ、および滅菌蒸留水で反応容量50μl。反応条件および増幅確認は、上記(3)と同様にして行った。
その結果、いずれのマグネシウム塩においても目的の増幅断片が確認できた。
【0184】
(6)マグネシウム濃度、およびdNTP濃度の検討
本発明の増幅方法に対するマグネシウム濃度、およびdNTP濃度について検討した。反応液組成は、25ngのpUC19 DNA、種々の濃度のマグネシウム、dNTP以外は上記(5)記載のものと同様にした。反応条件および増幅確認は上記(1)と同様にして行った。
【0185】
最終濃度1mMのdNTPで固定した反応系では、マグネシウム濃度が最終濃度6mM〜10mMの範囲で目的の増幅断片が得られ、また、最終濃度8mMのマグネシウムで固定した反応系ではdNTP濃度が最終濃度0.6〜1.2mMの範囲で目的の増幅断片が得られた。さらに、最終濃度0.5mMのdNTPで固定した反応系では、マグネシウム濃度が最終濃度2mM〜6mMの範囲で目的の増幅断片が得られ、最終濃度4mMのマグネシウムで固定した反応系ではdNTP濃度が最終濃度0.2〜0.8mMの範囲で目的の増幅断片が得られた。
【0186】
(7)リン酸カリウムバッファー濃度、およびトリシンバッファー濃度変化と反応性の検討
本発明の増幅方法に対するリン酸カリウムバッファー濃度、およびトリシンバッファー濃度について検討した。反応液組成は、最終濃度20〜50mMリン酸カリウムバッファー、最終濃度22〜46mMトリシンバッファーとする以外は上記(1)記載のpUC19−249を鋳型とした反応と同様にした。反応条件および増幅確認も上記(1)と同様にして行った。
【0187】
その結果、リン酸カリウムバッファー、トリシンバッファーの濃度が、それぞれ最終濃度20〜50mM、最終濃度22〜46mMの範囲で目的の増幅断片が得られた。
【0188】
(8)BcaBEST DNAポリメラーゼ濃度の検討
本発明の増幅方法に対するBcaBEST DNAポリメラーゼ濃度について検討した。反応液組成はリン酸カリウムバッファー、トリシンバッファー系を用い、BcaBEST DNAポリメラーゼを1〜22U/50μl反応容量の範囲で使用する以外は上記(1)記載のpUC19−249を鋳型とした反応と同様にした。反応条件および増幅確認も上記(1)と同様にして行った。
【0189】
その結果、BcaBEST DNAポリメラーゼ量が1〜22U/50μlの範囲において目的の増幅断片が得られた。
【0190】
実施例6
PCR法との比較
本発明の増幅方法についてPCR法との比較を行った。鋳型は、pUC19プラスミドDNAのマルチクローニングサイトに約150bpおよび約250bpのDNA断片を挿入したものを用いた。該鋳型は、以下のようにして調製した。
【0191】
配列表の配列番号10、11および6記載の配列を有するpUC19 upper 150プライマー、 pUC19 upper 249プライマー、pUC19 lower NNプライマー、を使用し、pUC19プラスミドDNA100pgを鋳型としてPCR反応を行った。 pUC19 upper 150プライマーおよびpUC19 lower NNプライマーの組み合わせでは約150bpの増幅断片、 pUC19 upper 249プライマーおよびpUC19 lower NNプライマーの組み合わせでは、約250bpの増幅断片が得られた。該増幅断片は、マイクロコン−100で精製後、DNA blunting kit(宝酒造社製)を用いて平滑末端化し、pUC19プラスミドのHincIIサイトにサブクローニングした。上記増幅断片の挿入されたプラスミドを用いて、大腸菌JM109を形質転換した。該形質転換体を培養し、その菌体よりQIAGEN plasmid mini kit(キアゲン社製)を用いてDNA挿入プラスミドを精製した。このDNA挿入プラスミドを鋳型として使用した。
【0192】
本実施例において使用するプライマーを配列表の配列番号18〜19に示した。なお、本発明の増幅方法に用いるプライマーは、3’末端3塩基がリボヌクレオチドに置換したものを使用した。以下に反応液組成を示す。
27mMリン酸バッファー(pH7.3)、0.01%BSA(牛血清アルブミン)、5%DMSO 、各1mM dNTP混合物、8mM酢酸マグネシウム、それぞれ60pmolの上記のプライマー対および1ngの鋳型DNA、および滅菌蒸留水で反応液容量を48μlにした。
【0193】
上記反応液を98℃、1分間熱変性処理後、55℃に冷却した。次に、5.5UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、60UのE.coli RNaseHを添加し、55℃、60分間保持した。その後、90℃、2分間加熱して酵素を失活させた。各反応液3μlを4% ヌシーブ3:1アガロース(宝酒造社製)ゲルにて電気泳動を行なった。
【0194】
一方、対照としてPCR法での増幅を行った。反応は、PCR Amplification kit(宝酒造社製)を使用し、配列表の配列番号18〜19に示したリボヌクレオチドを含まないプライマーを各10pmolずつ、1ngの鋳型DNA、および滅菌蒸留水で反応液容量を50μlにした。反応条件は、94℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 40秒を1サイクルとして25サイクル行った。反応終了後、各反応液3μlを4% ヌシーブ3:1アガロース(宝酒造社製)ゲルにて電気泳動を行なった。
【0195】
その結果、挿入断片が、150bpおよび249bpのいずれのプラスミドを鋳型とした場合においてもPCR法より本発明の増幅方法の方が目的の増幅断片が多く確認できた。さらに増幅産物量を数値化するために、上記各反応液20μlをマイクロコン−100にて精製し、その量をベックマンDU−640分光光度計(ベックマン社製)にて定量した。すると本発明の増幅方法の方が挿入断片が150bpのプラスミドを鋳型とした場合は約60倍、挿入断片が250bpの場合は約40倍多く得られることが確認できた。このことから、多量のDNA断片を必要とするDNAチップにおいて、本発明の方法が従来のPCR法と比較しても好適に使用できることを確認した。
【0196】
実施例7
(1)RNAプローブの調製
本発明の増幅方法により得られた増幅断片の検出法について検討した。検出用プローブとして、リボヌクレオチドで構成され、該プローブの両端のリボヌクレオチドに異なる2つの蛍光物質の結合したものを調製した。検出用RNAプローブは、DNA合成機(アプライド・バイオシステム社製)を用いて合成した。その塩基配列を配列表の配列番号20に示す。また、蛍光標識は、5’末端が、6−FAM(グレーンリサーチ社製)、3’末端が、TAMRA(グレーンリサーチ社製)を使用した。
【0197】
(2)増幅反応および検出
鋳型として、0.1および1ngのpUC19DNAを使用した。プライマーは、配列表の配列番号10および8に記載の配列を有するpUC19 upper 150プライマーおよびpUC19 lower 542プライマーで、該プライマーの3’末端2塩基が、リボヌクレオチドに置き換わったものを使用した。
【0198】
反応液組成を以下に示す。
27mMリン酸バッファー(pH7.3)、0.01% BSA、5% DMSO、各1mM dNTP混合物、8mM 酢酸マグネシウム、それぞれ60pmolの上記のプライマー対および0.1または1ngの鋳型DNA、上記RNAプローブ0.1μgおよび滅菌蒸留水で反応液容量を48μlにした。また対照として、鋳型DNAなしのものも調製した。
【0199】
上記反応液を98℃、1分間熱変性処理後、55℃に冷却した。次に、22UのBcaBEST DNAポリメラーゼまたは滅菌水、および60UのE.coli RNaseHを添加し、55℃、60分間保持した。その後、10% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム、ナカライ社製)を5μl添加し、酵素を失活させた。各反応液50μlを滅菌水で等量希釈し、マイクロプレートに移した。検出は、イメージアナライザーFM BIO II Multi−View(宝酒造社製)を用いて励起波長505nmで行った。
【0200】
その結果、BcaBEST DNAポリメラーゼ無添加では、どの鋳型量でも蛍光シグナルは検出されなかった。また、BcaBEST DNAポリメラーゼ添加時においても鋳型DNA量がなしの場合も蛍光シグナルは検出されなかった。一方、鋳型DNAが0.1ngあるいは1ngの場合、いずれも蛍光シグナルを検出することができた。また、同時に0.00003%のエチジウムブロマイドを含む3%アガロース電気泳動においてもBcaBEST DNAポリメラーゼ存在下、鋳型DNA量が0.1ngおよび1ngの場合のみ目的とする約190bpの増幅断片が確認できた。即ち、RNAプローブによる検出法と従来の電気泳動による検出法において同じ結果が得られた。このように、本発明の増幅方法で得られた増幅断片をRNAプローブを用いて検出する方法を確立した。
【0201】
実施例8
本発明の方法で一方のプライマーをデオキシヌクレオチドにした場合について検討した。プライマーは、配列表の配列番号19記載の配列を有するMR1N3(30)と配列表の配列番号58記載の配列を有するM4プライマー(宝酒造社製)を使用した。なお、MR1N3プライマーは、3’末端3塩基がリボヌクレオチドに置換したものを使用した。以下に反応液組成を示す。
27mM リン酸バッファー(pH7.3)、0.01% BSA(牛血清アルブミン)、5% DMSO、各1mM dNTP混合物、8mM 酢酸マグネシウム、それぞれ30pmolの上記のプライマー対および1ngの鋳型DNA、および滅菌蒸留水で反応液容量を24μlにした。
【0202】
上記反応液を98℃、2分間熱変性処理後、55℃に冷却した。次に、11UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、30UのE.coli RNaseHを添加し、反応容量を25μlにした。該反応液を55℃、60分間保持した。その後、90℃、2分間加熱して酵素を失活させた。各反応液5μlを4% ヌシーブ3:1アガロースゲルにて電気泳動を行なった。その結果、目的の増幅断片が確認できた。
【0203】
実施例9
本発明の方法を用いて出血性大腸菌O−157検出を行った。
本実施例において使用するプライマーを配列表の配列番号21〜24に示した。配列番号21と22の組み合わせは、O−157のベロ毒素1をコードする配列を、配列番号23と24の組み合わせは、ベロ毒素2をコードする配列を検出するように、臨床と微生物、第18巻、第4号、507〜513頁(1991)記載のプライマーを構築した。なお、本発明の増幅方法に用いるプライマーは、3’末端3塩基がリボヌクレオチドに置換したものを使用した。鋳型は、ATCC登録番号43895の出血性大腸菌O−157を培養したものを集菌し、適当な細胞数に滅菌水で懸濁した後、98℃で10分間処理した熱抽出物を使用した。以下に反応液組成を示す。
27mM リン酸バッファー(pH7.3)、0.01% BSA(牛血清アルブミン)、5% DMSO 、各1mM dNTP混合物、8mM 酢酸マグネシウム、それぞれ60pmolの上記のプライマー対、104〜106細胞数に相当する鋳型DNA(熱抽出物)、および滅菌蒸留水で反応液容量を48μlにした。
【0204】
上記反応液を98℃、1分間熱変性処理後、55℃に冷却した。次に、5.5UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、60UのE.coli RNaseHを添加し、55℃、60分間保持した。その後、90℃、2分間加熱して酵素を失活させた。各反応液3μlを4% ヌシーブ3:1アガロース(宝酒造社製)ゲルにて電気泳動を行なった。
【0205】
その結果、いずれのプライマー対でも104細胞数相当のDNAを鋳型として、O−157ベロ毒素1および2を検出することができ、本発明の方法が、病毒性細菌の検出方法として利用できることを確認した。
【0206】
実施例10
本発明の方法による長鎖DNA断片の増幅について検討した。鋳型となる2本鎖DNAは、以下のようにして調製した。まず、胃正常部組織由来mRNAから常法によりUni−ZAP XRベクター(ストラタジーン社製)を用いてライブラリーを構築した。次にそのライブラリーをスクリーニングして、インサート部が約2.1kbpおよび約4.3kbpのクローンを用いてインビトロエキシジョンして得られたpBluescriptSK(−)ファージベクターを選択した。さらに、該プラスミドを鋳型として、配列表の配列番号25〜26記載の配列を有するMCR−FプライマーおよびMCR−Rプライマー、PCR Amplification Kit(宝酒造社製)を用いて約2.2kbpおよび約4.4kbpの増幅断片を得た。このPCR断片を本発明の増幅方法の鋳型とした。使用するプライマーは、配列表の配列番号27〜28に記載の配列を有するMF2N3(24)プライマーおよびMR1N3(24)プライマーを使用し、該プライマーは3’末端の3塩基がリボヌクレオチドである。反応液組成を以下に示す。
【0207】
28mM リン酸バッファー(pH7.5)、0.01% BSA(牛血清アルブミン)、1% DMSO、各0.5mM dNTP混合物、4mM 酢酸マグネシウム、各30pmolの上記のプライマー対、0.2mMプトレスシンおよび滅菌水を加え、24.25μlにした。該反応液を92℃で2分間処理して、55℃に冷却した後、30UのRNaseHおよび5.5UのBcaBEST DNAポリメラーゼを加え、反応容量を25μlにし、1時間保持した。反応終了後、4℃に冷却し、0.5M EDTA溶液を2.5μl加えて反応を停止させた。その後、該溶液5μlを1%アガロース電気泳動に供した。
その結果、本発明の方法で約2.2kbpあるいは約4.4kbpの増幅断片を得ることができ、本方法で長鎖DNA断片を増幅できることを確認した。
【0208】
実施例11
本発明の増幅方法で増幅した約400bpのλDNA断片とPCRで増幅した300bpと1000bpのλDNA断片をスポットしたDNAマイクロアレイを作製した。λDNAのヌクレオチド配列はジーンバンク(GenBank)登録番号、V00636、J02459、M17233及びX00906のより入手可能である。本実施例において使用するプライマーを配列表の配列番号25〜26および29〜35に示した。なお、本発明の増幅方法の反応液は、下記のように調製した。
【0209】
34mM トリシン塩酸バッファー(pH8.7)、10mM塩化カリウム、10mM硫酸アンモニュウム、0.01% BSA(牛血清アルブミン)、1%ジメチルスルオキシド、4mM酢酸マグネシウム、各0.5mM dNTP混合物、それぞれ500pmolのプライマー対、ならびに鋳型として100ngのPCR増幅産物、110UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、300UのclonedRNaseH、反応液の最終容量は500μl。上記反応液を均一に混合し、55℃で60分間保温した後、90℃で2分間加熱して酵素を失活させた。この溶液を以下の工程に使用した。また、スポットしたDNA断片は次の通りである。
1.サンプル:λDNAを鋳型にした、配列表の配列番号29と30に記載の配列を有するプライマーの組み合わせによるPCR増幅産物(300bp)をpUC19ベクターにサブクローニング後、配列表の配列番号25と26に記載の配列を有するプライマーでPCR増幅したものを鋳型にして、配列表の配列番号31と32に記載の配列を有するプライマーで、該フライマーの3’末端2塩基がリボヌクレオチドであるキメラオリゴヌクレオチドプライマーで本発明の増幅方法により増幅したもの(増幅サイズは約400bp)。スポットする際のDNA溶液としては、反応液原液、炭酸バッファーでそれぞれ2倍、4倍、8倍、16倍希釈したもの(希釈溶液の炭酸バッファー濃度はすべて50mM)で計5種類。
2.サンプル:上記1で増幅したDNA断片をマイクロコン−100(宝酒造社製)で処理して50mM 炭酸バッファーで次の0.125μg/μl,0.25μg/μl,0.5μg/μl,1.0μg/μl,2.0μg/μlの各濃度に調整したもの、計5種類。
3.陽性コントロール:λDNAを鋳型にした、配列表の配列番号29と30に記載の配列を有するプライマーの組み合わせによるPCR増幅産物(300bp)をマイクロコン−100で処理して50mM 炭酸バッファーで次の0.125μg/μl,0.25μg/μl,0.5μg/μl,1.0μg/μl,2.0μg/μlの各濃度に調整したもの、計5種類。
4.陽性コントロール:λDNAを鋳型にした、配列表の配列番号33と34に記載の配列を有するプライマーの組み合わせによるPCR増幅産物(1000bp)をマイクロコン−100で処理して50mM 炭酸バッファーで次の0.125μg/μl,0.25μg/μl,0.5μg/μl,1.0μg/μlの各濃度に調整したもの、計4種類。
5.陰性コントロール:λDNAを鋳型にした、配列表の配列番号33と35に記載の配列を有するプライマーの組み合わせによるPCR増幅産物(300bp)をpUC19ベクターにサブクローニング後、配列表の配列番号25と26に記載の配列を有するプライマーでPCR増幅したものを鋳型にして、配列表の配列番号31と32に記載の配列を有するプライマーで本発明の増幅方法により増幅したもの(増幅サイズは約400bp)。スポットする際のDNA溶液としては、反応液原液、炭酸バッファーでそれぞれ2倍、4倍、8倍、16倍希釈したもの(希釈溶液の炭酸バッファー濃度はすべて50mM)で計5種類。
6.陰性コントロール:上記5で得られたDNA断片をマイクロコン−100で処理して50mM 炭酸バッファーで次の0.125μg/μl,0.25μg/μl,0.5μg/μl,1.0μg/μl,2.0μg/μlの各濃度に調整したもの、計5種類。
【0210】
調製した各DNA溶液をDNAチップ作製装置(Genetic Microsystems:GMS社製)を用いてアミノ基導入スライドガラス(松浪硝子工業社製)にスポットし、UV照射により固定した。スライドを0.2%SDS、次いで蒸留水で洗浄、乾燥してDNAアレイとした。
【0211】
また、配列表の配列番号29と30に記載の配列を有するプライマーの組み合わせによるPCR増幅産物(300bp)をLabel IT Cy5R Labeling Kit(宝酒造社製)によりCy5標識してプローブとした。次に、IntelliGene(宝酒造社製)の取扱説明書に記載のプレハイブリダイゼーション溶液およびハイブリダイゼーション溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った。まず上記DNAアレイを室温にて2時間プレハイブリダイゼーション処理を行った後、変性したCy5標識プローブを含むハイブリダイゼーション溶液をDNAアレイに滴下し、カバーガラスをかけて周囲をフィルムで密封した。これを65℃で13時間保持した後、カバーガラスを除いて、65℃で2×SSC溶液で5分間、次に65℃で0.2×SSCおよび0.1%SDSを含む溶液で5分間、最後に室温で0.2×SSC溶液で5分間洗浄し、風乾した。これをマイクロアレイスキャナー(GMS社)にかけて各スポットの蛍光シグナルを解析した。
【0212】
この結果、PCR法で増幅した断片(上記3、4の陽性コントロール)および、本発明の方法で増幅した断片(上記1、2のサンプル)をスポットした位置のいずれにおいても蛍光シグナルが確認できた。また、シグナルの強さはサンプル2>陽性コントロール4>サンプル1>陽性コントロール3であった。一方、陰性コントロールの5、6ではシグナルは全く認められなかった。このことから、本発明の方法で増幅したDNA断片は、未精製でもあるいは精製後でもDNAチップを作製するための固定化用DNA断片として好適に使用できることを確認した。
【0213】
実施例12
(i)PCR増幅断片を鋳型とする場合の本発明の方法に使用するプライマーデザインについて検討した。まず、配列表の配列番号36〜41記載の配列を有するプライマーを常法により合成した。各プライマーの構造について以下に示す。(i)R1−S1プライマー:5'末端から7塩基のスペーサー配列、17塩基のM13RV配列(またはRV配列)は、M13RVプライマー(宝酒造社製)のヌクレオチド配列をいう)及び20塩基のλDNA特異的PCR用センスプライマー配列;
(ii)R1−A3プライマー:5'末端から7塩基のスペーサー配列、17塩基のM13RV配列及び20塩基のλDNA特異的PCR用アンチセンスプライマー配列;
(iii)R2−S1プライマー:5'末端から25塩基のスペーサー配列、17塩基のM13RV配列及び20塩基のλDNA特異的PCR用センスプライマー配列;
(iv)R2−A3プライマー:5'末端から25塩基のスペーサー配列、17塩基のM13RV配列及び20塩基のλDNA特異的PCR用アンチセンスプライマー配列;
(v)R3−S1プライマー:5'末端から58塩基のスペーサー配列、17塩基のM13RV配列及び20塩基のλDNA特異的PCR用センスプライマー配列;
(vi)R3−A3プライマー:5'末端から58塩基のスペーサー配列、17塩基のM13RV配列及び20塩基のλDNA特異的PCR用アンチセンスプライマー配列。
【0214】
なお、M13RV 20merは、17塩基のM13RV配列及び5'側に3塩基の計20塩基の配列を有する。従って、M13RV 20merを用いて本発明の方法を実施した場合、上記プライマーのスぺーサー配列の長さは、それぞれ4塩基、22塩基、55塩基となる。さらに、対照として、上記プライマーのスペーサー配列のないプライマーも作成した。
【0215】
上記プライマー対、例えば、R1−S1プライマー/R1−A3プライマーを用いると348bpの増幅断片が得られる。この増幅断片の両端7塩基がスペーサー部分であり、その内側にRV配列、さらに内側にλDNAの配列を含む。
【0216】
同様に、R2−S1プライマー/R2−A3プライマーを用いると増幅断片の両端25塩基がスペーサー部分である384bpの増幅断片が得られ、R3−S1プライマー/R3−A3プライマーを用いると増幅断片の両端58塩基がスペーサー部分である450bpの増幅断片が得られる。一方、対照用プライマーを用いた増幅断片は、スペーサー部分を有さない。これらのPCR増幅断片を鋳型として以下の検討を行った。
【0217】
本実施例においては、配列表の配列番号42及び43記載の配列を有するM13RV−2N 17merプライマー、M13RV−2N 20merプライマーの2種類を用いた。なお、該プライマーは、3'末端の2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったものを用いた。反応は以下のように行った。即ち、前述のプライマー 20μM、約20ngの上記鋳型及び0.01%プロピレンジアミンの混合液5μlを98℃ 2分間変性後、55℃まで冷却した。その後、34mM トリシンバッファー(pH8.7)、10mM 塩化カリウム、10mM 硫酸アンモニウム、0.01% BSA、1% DMSO、4mM 酢酸マグネシウム、0.5mM dNTP、1UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、15UのRNaseHを添加し、最終反応容量を25μlにした。該反応液は、55℃で1時間保持した。反応終了後、4℃に冷却し、0.5M EDTA溶液2.5μlを添加して反応を停止し、該反応液3μlを3% ヌシーブ 3:1アガロース(宝酒造社製)ゲル電気泳動に供した。その結果、M13RV−2N17merを用いた場合は、スペーサー配列が25mer、7mer、58mer、スペーサー配列なしの順に、M13RV−2N 20merを用いた場合は、スペーサー配列が22mer、4mer、55mer、スペーサー配列なしの順に増幅効率がよいことが確認できた。また、上記(i)から(vi)のプライマーのM13RV配列をM13M4配列に変更した場合でも、スペーサー配列と増幅効率の関係は同じ傾向を示した。即ち、PCR増幅断片のような直鎖DNA断片を鋳型とする場合、スペーサー配列(部分)ができるように本発明の方法に用いるプライマーをデザインすることが増幅効率向上につながることを確認した。
【0218】
(2)反応温度を上げた場合の核酸配列増幅方法について、GC含量の高い鋳型の増幅について検討した。まず、ジーンバンク(GenBank)登録番号、AA789328のCDC2−related protein kinase PISSLRE遺伝子領域 307bp(GC含量:62.5%)について配列表の配列番号44と45に記載のPCR増幅用プライマーを、またジーンバンク(GenBank)登録番号、AA706022のType II cytoskeltal 1keratin遺伝子領域 284bp(GC含量:61.3%)について配列表の配列番号46と47に記載のPCR増幅用プライマーをそれぞれ作製した。これらのプライマーを用いて、市販のDNA断片(リサーチジェネティック社製)を鋳型としてPCR増幅した。上記プライマー対を用いることにより、得られたPCR増幅断片は、両端にスぺーサー配列及びM13RV配列を有する。これを本発明の鋳型とした。
【0219】
次に本実施例において使用するプライマーは、配列表の配列番号42記載の配列を有するM13RV−2N 17merプライマーまたは配列表の配列番号43記載の配列を有するM13RV−2N 20merプライマーを用いた。なお、該プライマーは、いずれも3'末端の2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったものを用いた。反応は以下のように行った。即ち前述のプライマー 100pmol、20ngの鋳型及び0.01%プロピレンジアミンの混合液10μlを98℃ 2分間変性後、55℃または、60℃まで冷却した。その後、34mMトリシンバッファー(pH8.7)、10mM KCl、10mM 硫酸アンモニウム、0.01% BSA、1% DMSO、4mM 酢酸マグネシウム、0.5mM dNTP、11UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、30UのRNaseH を添加して、最終反応容量を50μlにした。該反応液を55℃または60℃で1時間保持した。反応終了後、4℃に冷却し、該反応液3μlを3%アガロース電気泳動に供した。その結果を以下の表1に示す。
【0220】
【表1】
Figure 0003883476
【0221】
表1に示したように、反応温度を高くすること(55℃から60℃)、さらに60℃で反応する場合、55℃反応時の至適プライマーよりTm値の高いプライマーを使用することにより、GC含量の高い鋳型の場合でも効率よく目的とする領域を増幅することができた。
【0222】
(3)反応温度が高い場合の核酸配列の増幅方法について増幅断片長と増幅産物の関係を検討した。まず、lambda DNA(宝酒造社製)の800bp領域を増幅できる配列表の配列番号48及び49記載の配列を有するプライマーと400bp領域を増幅できる配列表の配列番号50及び51記載の配列を有するプライマーを常法により合成した。このプライマー対を用いて、λDNAを鋳型としてPCRを行い増幅断片を得た。さらに、実施例5(1)に記載のpUC19−911プラスミドを鋳型とし、配列表の配列番号16〜17記載の配列を有するMF2(24)プライマー及びMR1(24)プライマー用いて増幅した約1.1kbpの増幅断片も調製した。上記プライマー対を用いることにより、得られたPCR増幅断片は、両端にスぺーサー配列及びM13RVあるいはM4配列を有する。これを本発明の鋳型とした。
【0223】
次に本実施例において使用するプライマーは、配列表の配列番号42記載の配列を有するM13RV−2N 17merプライマーまたは配列表の配列番号43記載の配列を有するM13RV−2N 20merプライマーを用いた。なお、該プライマーは、いずれも3'末端の2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったものを用いた。さらに、約1kbp領域の増幅に関しては、配列表の配列番号55記載の配列を有するM13M4−3N 20merプライマーと配列表の配列番号43記載のM13RV−3N 20merプライマーの組み合わせ及び配列表の配列番号56〜57記載の配列を有するM13M4−3N 24merプライマー及びM13RV−3N 24merプライマーの組み合わせで行った。なお、該プライマーは、いずれも3'末端の3塩基がリボヌクレオチドに置き換わったものを用いた。反応は以下のように行った。即ち、前述のプライマー 100pmol、約20ngの鋳型及び0.01%プロピレンジアミンの混合液10μlを98℃ 2分間変性後、55℃または60℃まで冷却した。その後、34mM トリシンバッファー(pH8.7)、10mM 塩化カリウム、10mM 硫酸アンモニウム、0.01% BSA、1% DMSO、4mM 酢酸マグネシウム、0.5mM dNTP、11UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、30UのRNaseHを添加し、最終反応容量を50μlにした。該反応液を55℃または60℃で1時間保持した。反応終了後、4℃に冷却し、0.5M EDTA溶液5μlを添加して反応を停止し、該反応液3μlを3% ヌシーブ3:1アガロース(宝酒造社製)ゲル電気泳動に供した。その結果を表2及び表3に示す。
【0224】
【表2】
Figure 0003883476
【0225】
表2に示したように、増幅に使用するプライマーの長さを17merから20merにし、さらに反応温度を55℃から60℃に高くすることにより、400bp及び800bpの増幅領域において増幅断片を効率よく得ることができた。
【0226】
【表3】
Figure 0003883476
【0227】
さらに、表3に示したように増幅に使用するプライマーの長さを20merから24merにし、さらに反応温度を55℃から65℃に高くすることにより、約1kbpの増幅領域において増幅断片を効率よく得ることができた。また、実施例10に示したような長鎖DNA断片の増幅においても、使用するプライマーを長くし、反応温度を上げることにより上記と同様の結果が得られ、約2kbp以上の増幅領域の場合でも増幅効率が向上することが確認できた。
【0228】
実施例13
(1)本発明の方法についてBcaBEST DNAポリメラーゼ以外の耐熱性DNAポリメラーゼを使用した場合について検討した。耐熱性DNAポリメラーゼとしてBst DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ社製)を使用した。まず、配列表の配列番号52及び53記載の配列を有する5'IDプライマー及び3'IDプライマーを常法により合成した。このプライマー対を用いて、市販のcyclin A遺伝子のDNA断片(リサーチジェネティック社製)を鋳型としてPCRを行い、約300bpの増幅断片を得た。上記プライマー対を用いることにより、得られたPCR増幅断片は、両端にM13RV配列を有する。これを本発明の鋳型とした。
【0229】
次に本実施例において使用するプライマーは、配列表の配列番号42記載の配列を有するM13RV−2N 17merプライマーを用いた。なお、該プライマーは、3'末端の2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったものを用いた。反応は以下のように行った。即ち、前述のプライマー 20μM、約20ngの上記鋳型及び0.01%プロピレンジアミンの混合液10μlを98℃ 2分間変性後、55℃まで冷却した。その後、34mM トリシンバッファー(pH8.7)、10mM 塩化カリウム、10mM 硫酸アンモニウム、0.01% BSA、1% DMSO、4mM 酢酸マグネシウム、0.5mM dNTP、4U、8U、12U及び16UのBst DNAポリメラーゼ、30UのRNaseHを添加し、最終反応容量を50μlにした。また、対照として、11UのBcaBEST DNAポリメラーゼを使用する以外は上記反応液組成と同じものを調製した。該反応液は、55℃で1時間保持した。反応終了後、4℃に冷却し、0.5M EDTA溶液5μlを添加して反応を停止し、該反応液3μlを3% ヌシーブ 3:1アガロース(宝酒造社製)ゲル電気泳動に供した。その結果、いずれのユニット数のBst DNAポリメラーゼを使用した場合でも目的の増幅断片を得ることができた。従って、本発明の方法において、耐熱性DNAポリメラーゼが好適に使用できることを確認した。
【0230】
(2)本発明の方法について常温性DNAポリメラーゼを使用した場合について検討した。常温性DNAポリメラーゼとして5'→3'エキソ活性(−)クレノウ断片(宝酒造社製)を使用した。本発明の方法に用いる鋳型DNAは、上記(1)で調製したものを使用した。
【0231】
次に本実施例において使用するプライマーは、配列表の配列番号54記載の配列を有するM13RV−2N 16merプライマーを用いた。なお、該プライマーは、3'末端の2塩基がリボヌクレオチドに置き換わったものを用いた。反応は以下のように行った。即ち、前述のプライマー 20μM、約20ngの上記鋳型及び0.01%プロピレンジアミンの混合液10μlを98℃ 2分間変性後、40℃まで冷却した。その後、34mM トリシンバッファー(pH8.7)、10mM 塩化カリウム、10mM 硫酸アンモニウム、0.01% BSA、1% DMSO、4mM 酢酸マグネシウム、0.5mM dNTP、0U、2U、4U、6U及び8Uのクレノウ断片、30UのRNaseHを添加し、最終反応容量を50μlにした。該反応液は、40℃で1時間保持した。反応終了後、4℃に冷却し、0.5M EDTA溶液5μlを添加して反応を停止し、該反応液3μlを3% ヌシーブ 3:1アガロース(宝酒造社製)ゲル電気泳動に供した。その結果、クレノウ断片が存在しない場合を除いて、いずれのユニット数の場合でも目的の増幅断片を得ることができた。従って、本発明の方法において、常温性DNAポリメラーゼが好適に使用できることを確認した。
【0232】
実施例14
本発明の方法に用いるキメラオリゴヌクレオチドプライマーについて検討した。鋳型DNA及びプライマー合成は、実施例1(1)記載の方法に従った。本実施例に使用されたプライマーの詳細な構造を以下に示す:
プライマー対1:配列表の配列番号2および3に示される塩基配列を有し、その全体がすべてデオキシリボヌクレオチドで構築されたプライマーの組み合わせ。
プライマー対2:配列表の配列番号59および60に示される塩基配列を有し、それぞれの3’末端から6、7個めのデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換されたプライマーの組み合わせ。
プライマー対3:配列表の配列番号61および62に示される塩基配列を有し、それぞれの3’末端から5、6個めのデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換されたプライマーの組み合わせ。
プライマー対4:配列表の配列番号63および64に示される塩基配列を有し、それぞれの3’末端から4、5個めのデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換されたプライマーの組み合わせ。
プライマー対5:配列表の配列番号65および66に示される塩基配列を有し、それぞれの3’末端から3、4個めのデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換されたプライマーの組み合わせ。
プライマー対6:配列表の配列番号67および68に示される塩基配列を有し、それぞれの3’末端から2、3個めのデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換されたプライマーの組み合わせ。
プライマー対7:配列表の配列番号2および3に示される塩基配列を有し、それぞれの3’末端から1、2個めのデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換されたプライマーの組み合わせ。
プライマー対8:配列表の配列番号67および68に示される塩基配列を有し、それぞれの3’末端から2、3個めのデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドに置換され、かつ3’末端から3個めのリボヌクレオチドの5’側リン酸結合がホスホロチオエート結合に置換されたプライマーの組み合わせ。
【0233】
増幅条件及び検出方法については、実施例1(2)及び(3)記載の方法に準じて行った。その結果、プライマー対2〜8のいずれにおいても目的の長さの増幅断片を確認することができた。また、プライマー対2〜7については、3'末端のデオキシリボヌクレオチドの数が減少するに従って増幅産物量が多くなり、特に3'末端にデオキシリボヌクレオチドがないプライマー対7において最も増幅産物量が多くなることを確認した。一方、プライマー対1については、増幅断片は確認できなかった。さらに、プライマー対6と8のいずれにおいても目的とする増幅断片が確認できたことから、プライマー中に存在するリボヌクレオチドが修飾リボヌクレオチドあるいは未修飾リボヌクレオチドのいずれであっても本発明の方法に好適に使用できることを確認した。
【0234】
【発明の効果】
本発明により、キメラオリゴヌクレオチドプライマーの存在下にDNA合成反応を行うことを特徴とする簡便で、効率の良い核酸配列の増幅方法が提供される。また、本発明により、大量のDNA増幅断片を供給する方法が提供される。また、本発明の核酸配列の増幅方法は、他の核酸増幅方法と組み合わせて使用することにより、効率的な核酸配列の増幅方法が提供される。また、本発明によりウイルス、細菌、カビ、酵母などの微生物等の検出、定量のための核酸配列の検出方法が提供され、本発明の方法で得られたDNA増幅断片をリアルタイムで検出する方法が提供される。さらに本発明により遺伝子の大規模シークエンシング方法が提供される。
【0235】
配列表フリーテキスト
SEQ ID NO:1: Synthetic DNA corresponding to a portion of human transferrin receptor-encoding sequence used as a template.
SEQ ID NO:2: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:3: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:4: Designed oligonucleotide used as a probe for detecting an amplified portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:5: Designed oligonucleotide primer designated as pUC19 upper(2)NN to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:6: Designed oligonucleotide primer designated as pUC19 lower NN to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:7: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:8: Designed oligonucleotide primer designated as pUC19 lower 542 to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:9: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:10: Designed oligonucleotide primer designated as pUC19 upper 150 to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:11: Designed oligonucleotide primer designated as pUC19 upper 249 to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:12: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:13: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:14: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:15: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:16: Designed oligonucleotide primer designated as MF2N3(24) to amplify a portion of plasmid pUC19-249 or plasmid pUC19-911.
SEQ ID NO:17: Designed oligonucleotide primer designated as MR1N3(24) to amplify a portion of plasmid pUC19-249 or plasmid pUC19-911.
SEQ ID NO:18: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:19: Designed oligonucleotide primer designated as MR1N3 to amplify a portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:20: Synthetic RNA used as a probe for detecting an amplified portion of plasmid pUC19.
SEQ ID NO:21: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of vero toxin 1-encoding sequence from hemorrhagic Escherichia coli O-157.
SEQ ID NO:22: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of vero toxin 1-encoding sequence from hemorrhagic Escherichia coli O-157.
SEQ ID NO:23: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of vero toxin 2-encoding sequence from hemorrhagic Escherichia coli O-157.
SEQ ID NO:24: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of vero toxin 2-encoding sequence from hemorrhagic Escherichia coli O-157.
SEQ ID NO:25: Designed oligonucleotide primer designated as MCR-F to amplify a long DNA fragment.
SEQ ID NO:26: Designed oligonucleotide primer designated as MCR-R to amplify a long DNA fragment.
SEQ ID NO:27: Designed oligonucleotide primer designated as MF2N3(24) to amplify a long DNA fragment.
SEQ ID NO:28: Designed oligonucleotide primer designated as MR1N3(24) to amplify a long DNA fragment.
SEQ ID NO:29: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:30: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:31: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:32: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:33: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:34: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:35: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:36: Designed oligonucleotide primer designated as R1-S1 to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:37: Designed oligonucleotide primer designated as R1-A3 to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:38: Designed oligonucleotide primer designated as R2-S1 to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:39: Designed oligonucleotide primer designated as R2-A3 to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:40: Designed oligonucleotide primer designated as R3-S1 to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:41: Designed oligonucleotide primer designated as R3-A3 to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:42: Designed oligonucleotide primer designated as M13RV-2N 17mer.
SEQ ID NO:43: Designed oligonucleotide primer designated as M13RV-2N 20mer.
SEQ ID NO:44: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of CDC2-related protein kinase PISSLRE gene.
SEQ ID NO:45: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of CDC2-related protein kinase PISSLRE gene.
SEQ ID NO:46: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of Type II cytoskeltal 11 keratin gene.
SEQ ID NO:47: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of Type II cytoskeltal 11 keratin gene.
SEQ ID NO:48: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:49: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:50: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:51: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of bacteriophage lambda DNA.
SEQ ID NO:52: Designed oligonucleotide primer designated as 5'ID to amplify a portion of cyclin A DNA.
SEQ ID NO:53: Designed oligonucleotide primer designated as 3'ID to amplify a portion of cyclin A DNA.
SEQ ID NO:54: Designed oligonucleotide primer designated as M13RV-2N 16mer.
SEQ ID NO:55: Designed oligonucleotide primer designated as M13M4-3N 16mer.
SEQ ID NO:56: Designed oligonucleotide primer designated as M13M4-3N 24mer.
SEQ ID NO:57: Designed oligonucleotide primer designated as M13RV-3N 24mer.
SEQ ID NO:58: Designed oligonucleotide primer designated as M13M4 17mer.
SEQ ID NO:59: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:60: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:61: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:62: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:63: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:64: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:65: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:66: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:67: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
SEQ ID NO:68: Designed oligonucleotide primer to amplify a portion of human transferrin receptor-encoding sequence.
【0236】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 図1:本発明における1本鎖DNAに対する方法の一例を示すフローチャートである。図中、黒丸は遊離したDNA鎖が(6)の鋳型DNAであることを示す。
【図2】 図2:本発明の方法により種々の反応時間で増幅された増幅DNA断片の、アガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。

Claims (15)

  1. (1)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および
    (2)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える一定の温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
    を包含することを特徴とする核酸配列を増幅するための方法に使用されるキットであって、パッケージされた形態において、
    (a)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ;
    (b)エンドヌクレアーゼ;
    (c)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える反応バッファー;および
    (d)鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマー
    を含むことを特徴とするキット。
  2. (1)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;
    (2)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える一定の温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程;および
    (3)(2)工程により増幅された標的核酸を検出する工程;
    を包含することを特徴とする試料中の標的核酸を検出するための方法に使用されるキットであって、パッケージされた形態において、
    (a)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ;
    (b)エンドヌクレアーゼ;
    (c)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える反応バッファー;
    (d)鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマー;および
    (e)増幅された標的核酸を検出するための試薬
    を含むことを特徴とするキット。
  3. DNAポリメラーゼとして大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損BstDNAポリメラーゼ、およびバチルス カルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損BcaDNAポリメラーゼからなる群から選択されるDNAポリメラーゼを含有する請求項1または2記載のキット。
  4. エンドヌクレアーゼとしてRNaseHを含有する請求項1〜3いずれか1項記載のキット。
  5. 増幅された標的核酸を検出するための試薬が、消光状態になるような距離で配置された2種類以上の蛍光物質で標識されたリボヌクレオチド(RNA)プローブであることを特徴とする請求項2記載のキット。
  6. 核酸を所定の領域に整列させた核酸固定化物を作製するための方法であって、
    (1)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;
    (2)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える一定の温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程;および、
    (3)(2)工程で増幅された核酸を担体上の所定の領域に整列させて固定化する工程;
    を包含することを特徴とする核酸を所定の領域に整列させた核酸固定化物の作製方法。
  7. 実質的にその相補鎖を含まない一本鎖の核酸を増幅し、担体上の所定の領域に整列させて固定化することを特徴とする請求項6記載の核酸を所定の領域に整列させた核酸固定化物の作製方法。
  8. 核酸配列を大量に製造する方法であって、
    (1)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドがエンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および
    (2)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える一定の温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
    を包含することを特徴とする核酸の製造方法。
  9. 核酸の塩基配列を決定するための方法であって、
    (1)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドがエンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および
    (2)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える一定の温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
    を包含することを特徴とする核酸の塩基配列の決定方法。
  10. 核酸の突然変異を検出するための方法であって、
    (1)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドがエンドヌクレアーゼによる切断のために該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および
    (2)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える一定の温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
    を包含することを特徴とする核酸の突然変異検出方法。
  11. (1)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および
    (2)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える一定の温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程、
    を包含することを特徴とする核酸配列を増幅するための方法に使用される混合物であって、
    (a)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ;
    (b)エンドヌクレアーゼ;
    (c)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える反応バッファー;および
    (d)鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマー
    を含むことを特徴とする混合物。
  12. (1)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、および該プライマーより生成する伸長鎖を切断するエンドヌクレアーゼを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;
    (2)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える一定の温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートする工程;および
    (3)(2)工程により増幅された標的核酸を検出する工程;
    を包含することを特徴とする試料中の標的核酸を検出するための方法に使用される混合物であって、
    (a)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ;
    (b)エンドヌクレアーゼ;
    (c)鋳型となる核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応及び鎖置換反応、並びにエンドヌクレアーゼによる伸長鎖の切断反応が行える反応バッファー;
    (d)鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含有し、該リボヌクレオチドが該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマー;および
    (e)増幅された標的核酸を検出するための試薬
    を含むことを特徴とする混合物。
  13. DNAポリメラーゼとして大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損BstDNAポリメラーゼ、およびバチルス カルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損BcaDNAポリメラーゼからなる群から選択されるDNAポリメラーゼを含有する請求項11または12記載の混合物。
  14. エンドヌクレアーゼとしてRNaseHを含有する請求項11〜13のいずれか1項記載の混合物。
  15. 増幅された標的核酸を検出するための試薬が、消光状態になるような距離で配置された2種類以上の蛍光物質で標識されたリボヌクレオチド(RNA)プローブであることを特徴とする請求項12記載の混合物。
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