JPWO2002097529A1 - プロジェクタ - Google Patents

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孝明 小澤
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Abstract

プロジェクタは、内部の光源ランプ411に冷却空気を導入するための光源冷却流路Xが形成された光源装置413と、この光源装置413から出射された光束に光学処理を施す光学素子ユニット600を収納する内部筐体47とを備える。内部筐体47には、光学素子ユニット600の配置に応じて冷却空気を引き通すために、光学素子ユニット600を挟んで互いに対向配置される一対の光学素子冷却用開口部471A,472Aが形成される。また、内部筐体47の下側には、吸気口54Aが開口部471Aに向けられ、排気口54Bが光源冷却流路Xと接続されるファン54が設けられる。矢印の経路で空気が流れるので、光学素子ユニット600および光源ランプ411を充分に冷却できる。

Description

技術分野
本発明は、光源から出射された光束を画像情報に応じて変調し、拡大投写して投写画像を形成するプロジェクタに関する。
背景技術
従来、会議、学会、展示会等でのプレゼンテーションとしてプロジェクタが多用されている。このようなプロジェクタとしては、例えば、光源から出射された光束を変調し、各種の光学部品により画像情報に応じて、拡大投写して投写画像を形成する光学系と、この光学系を収容する外装ケースとを備えた構成等が知られている。さらに、このような光学系は、光源ランプを含む光源装置から出射された光束に光学処理を施す照明光学系と、この照明光学系を構成する光学素子を収納する光学部品用筐体とを備えて構成されている。
このような光学素子のうち、その一つである偏光変換素子では、偏光ビームスプリッタ(PBS)によって、光源ランプから出射された光束が、水平方向と垂直方向の2つの直線偏光に分離されこのうち水平方向の直線偏光は位相差フィルムによって、垂直方向の直線偏光に変換されている。これにより、光源装置から出射された光束が所定方向への直線偏光となるので、光束の利用効率が高められている。
このような偏光変換素子は、偏光ビームスプリッタと樹脂製の位相差フィルムとを接着剤によって接着接合することにより製造されている。このため、偏光変換素子に対して、長期に渡って過度の熱が加えられると、樹脂製の位相差フィルムが変形したり、接着剤の硬化により偏光ビームスプリッタおよび位相差フィルムの相対位置が変化するので、正しく光学処理ができない。
一方、光源装置は、光源ランプの発光によって高熱を発生させており、周辺にある偏光変換素子等の照明光学素子を加熱させる原因となっている。これらの点から、偏光変換素子および光源装置を如何に効率的に冷却するかが重要な課題となっている。
そこで、偏光変換素子や光源装置を含む光学系を冷却するために、光学系を収納する外装ケースに吸排気口を形成するとともに、その内側にファンを配置するような冷却構造を採用していた。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような冷却構造では、外装ケース内にある光学系全体をまんべんなく冷却することができるものの、特に冷却を必要とする偏光変換素子や光源装置が、必ずしも充分に冷却できていないという問題があった。
なお、このような問題は、偏光変換素子に限らず、レンズアレイ等を含むその他の光学素子においても同様であった。
本発明の目的は、光学素子および光源装置を充分に冷却できるプロジェクタを提供することにある。
発明の開示
本発明に係るプロジェクタは、光源ランプを含んで構成され、内部の前記光源ランプに冷却空気を導入するための光源冷却流路が形成された光源装置と、この光源装置から出射された光束に光学処理を施す照明光学系と、この照明光学系を構成する光学素子を収納する光学部品用筐体と、を備えるプロジェクタであって、前記光学部品用筐体には、前記光学素子の配置に応じて冷却空気を引き通すために、互いに前記光学素子を挟んで対向配置される一対の光学素子冷却用開口部が形成され、吸気口が一対の光学素子冷却用開口部のうちの一方の開口部に向けられ、排気口が前記光源冷却流路と接続されるファンを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、ファンが駆動することによって、以下のように空気が流れる。すなわち、光学部品用筐体の外部側にある冷却用の空気が、光学部品用筐体に形成された一対の光学素子冷却用開口部における他方の開口部を介して光学部品用筐体の内部側に流入し、この内部側に流入した冷却空気が、他方の開口部側から一方の開口部側に向かって光学素子に沿って流れる。
すると、光学素子の一方の開口部側へと流れてきた冷却空気は、一方の開口部に対向するファンの吸気口からファンの内部に吸入された後に、ファンの排気口から、この排気口に接続された光源冷却流路へと排出される。
このような流通経路で冷却空気が流れることにより、光学素子および光源ランプが集中的に冷却されるので、光源ランプひいては光源装置、および光学素子を充分に冷却できる。
また、光学部品用筐体の内部側に最初に流入する冷却空気は、この流通経路における空気の中で最も冷たい空気であるので、歪み等が生じ易い光学素子を、より一層効率よく冷却できて、光学素子の長寿命化を図ることができる。
ここでのファンとしては、例えば、シロッコファンを採用できる。シロッコファンは、吸気口の開口部面積よりも排気口の開口部面積が小さく形成されるので、空気の吐出圧をその他のファンに比べて高めることができる。このため、その他のファンに比べて低回転数でありながら同程度の出力を確保でき、静粛性に優れてる。
ここで、前記プロジェクタは、前記光源装置から出射された光束を画像情報に応じて変調する電気光学装置を備え、前記他方の光学素子冷却用開口部には、この電気光学装置を制御する制御基板が対向して配置されることが好ましい。
制御基板は電気光学装置を制御するものであるが、その基板上には、熱に対して弱い回路素子が組み込まれている。
このような制御基板を、他方の光学素子冷却用開口部に対向配置したので、光学部品用筐体の外部側にある冷却用の空気が、他方の光学素子冷却用開口部を介して、光学部品用筐体の内部側へと流入する際に、制御基板に沿って流れることととなるため、制御基板上の回路素子をも冷却する。このように、熱に対して弱い回路素子を冷却できるので電気光学装置、ひいてはプロジェクタの動作を確実にできる。
また、前記光源装置は、前記光源ランプから放射された光束の出射方向を揃えるリフレクタと、このリフレクタの光出射面を塞ぐ透明板とを備え、前記リフレクタおよびこの透明板の接合部分には、前記リフレクタの光軸を中心として対称配置される一対のランプ冷却用開口部が形成され、前記排気口と、この一対のランプ冷却用開口部のいずれかとの間には、ダクト部材を介して接続されていることが好ましい。
このような構成によれば、ファンの排気口とランプ冷却用開口部の一方とをダクト部材で接続したので、ファンから排出される冷却空気が他へと漏れ流出することが少なくなる。このため、ファンから排出される空気を光源冷却流路に確実に送風でき、リフレクタの内部、つまりは光源ランプを効率よく冷却できて、光源ランプの長寿命化を図ることができる。
また、一対のランプ冷却用開口部をリフレクタの光軸を中心とした対称位置に形成することにより、リフレクタの内部を比較的広範囲に渡って空気が流通するので、光源ランプをより一層効率よく冷却できる。
さらに、リフレクタの光出射面を塞ぐ透明板を備えて構成したので、光源ランプが破損した際に、光源ランプのガラスの破片等が飛散することを防止できる。
なお、このようなダクト部材としては、ファンの排気口と一方の光源ランプ冷却用開口部とを繋ぐようなダクトとしてもよいし、ダクト部材の端部が、排気口および一方の光源ランプ冷却用開口部の近傍に配置されていて、ダクト部材の端部が排気口および一方の光源ランプ冷却用開口部に完全には接続されていない状態とされていてもよい。
また、前記ダクト部材には、前記排気口から排出された冷却空気を整流する整流板が形成されていることが好ましい。
このようにすれば、例えば、ファンとしてシロッコファンを使用した場合には、このシロッコファンの回転により排気口から偏心して吐出される冷却空気の吐出方向を整流板で規制できる。このため、整流板によってダクト部材内を流れる冷却空気が整流されて、空気が光源冷却流路へとスムーズに流れるので、より一層効率よく光源ランプを冷却できる。
ここで、前記光ランプにリフレクタおよび透明板を設け、これらリフレクタおよび透明板の接合部分に一対のランプ冷却用開口部を形成し、排気口と一対のランプ冷却用開口部の一方とを接続するダクト部材を設けてプロジェクタを構成した場合において、前記光学部品用筐体から光源装置を取り外す際に、前記ランプ冷却用開口部を塞ぐ開閉機構が設けられていることが好ましい。
このような構成において、例えば、光源ランプが破損して交換が必要となった場合でも、光学部品用筐体から光源装置を取り外す際に、開閉機構によってランプ冷却用開口部が塞がれるので、光源ランプの破片等がランプ冷却用開口部を介して、光学部品用筐体内に飛散することがない。このように、光学部品用筐体内への破片の飛散を防止できるので、プロジェクタの使用者に破片等が付着して、この破片等で怪我を負うような可能性をなくすことができる。
前記光学部品用筐体の外面には、前記一方の光学素子冷却用開口部を囲むとともに、前記ファンの吸気口を囲むようにリブ状の突起が形成されていることが好ましい。
このように、一方の光学素子冷却用開口部および吸気口を囲むようなリブ状の突起を形成したので、一方の光学素子冷却用開口部とファンとの間に、突起の突出寸法分の空間が設けられることになる。
ここで、このような空間を設けずに、吸気口と一方の光学素子冷却用開口部との距離が近くなる場合には、ファンの性質上、ファンが特定の場所における空気ばかりを吸入して、光学素子の特定部位だけを冷却するので、光学素子においてあまり冷却されない部分が存在することとなる。このため、突起を形成して所定の空間を設けることにより、ファンが光学素子近傍の空気をまんべんなく吸入し、光学素子の全体を冷却できる。
また、突起が吸気口および一方の光学素子冷却用開口部を囲むので、突起とファンとの隙間から、吸気口にへと流入する空気を少なくできる。このため、ファンが光学部品用筐体内の空気を確実に吸入するので、光学素子を充分に冷却できる。この際、突起の先端を平坦面状とし、ファンの吸気口の周囲を平坦面状として、突起と吸気口の周囲とが完全に当接するように構成するのが好ましい。このようにすれば、より一層確実に冷却空気を吸入できて光学素子を冷却できる。
さらに、前記一方の光学素子冷却用開口部の近傍内面には、凹状段部からなるエア溜まりが形成されていることが好ましい。
このように凹状段部からなるエア溜まりを形成することにより、冷却する光学素子よりも光学素子冷却用開口部が小さい場合でも、ファンが光学素子近傍の空気をまんべんなく吸入できて、光学素子の全体を冷却できる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.プロジェクタの主な構成〕
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1を上方から見た全体斜視図、図2は、プロジェクタ1を下方から見た全体斜視図、図3〜図5は、プロジェクタ1の内部を示す斜視図である。
具体的に、図3は、図1の状態からプロジェクタ1のアッパーケース21を外した図、図4は、図3の状態からシールド板80、ドライバーボード90、および上内部筐体472を外して後方側から見た図、図5は、図4の状態から光学ユニット4を外した図である。
図1〜図3において、プロジェクタ1は、外装ケース2と、外装ケース2内に収容された電源ユニット3と、同じく外装ケース2内に配置された平面U字形の光学ユニット4とを備え、全体略直方体形状となっている。
外装ケース2は、それぞれ樹脂製とされたアッパーケース21、ロアーケース23で構成されている。これらのケース21、23は、互いにネジで固定されている。
アッパーケース21は、上面部211と、その周囲に設けられた側面部212と、背面部213と、正面部214で形成されている。
上面部211の前方側には、ランプカバー24が嵌め込み式で着脱自在に取り付けられている。また、上面部211において、ランプカバー24の側方には、投写レンズ46の上面部分が露出した切欠部211Aが設けられ、投写レンズ46のズーム操作、フォーカス操作をレバーを介して手動で行えるようになっている。この切欠部211Aの後方側には、操作パネル25が設けられている。
正面部214は、前記アッパーケース21の切欠部211Aと連続した丸孔開口212Aを備え、この丸孔開口212Aに対応して投写レンズ46が配置されている。この正面部214において、丸孔開口212Aとは反対側には、内部の電源ユニット3の前方側に位置した排気口212Bが設けられ、この排気口212Bには、冷却空気を画像投写領域から外れる方向、すなわち図1中左側へ排気するとともに、遮光を兼ねた排気用ルーバ26が設けられている(排気用ルーバ26は実際には、ロアーケース23に取り付けられている)。
ロアーケース23は、底面部231と、その周囲に設けられた側面部232および背面部233とで形成されている。
底面部231の前方側には、プロジェクタ1全体の傾きを調整して投写画像の位置合わせを行う位置調整機構27が設けられている。また、底面部231後方側の一方の隅部には、プロジェクタ1の別方向の傾きを調整する別の位置調整機構28が設けられ、他方の隅部には、リアフット231Aが設けられている。ただし、リアフット231Aは、位置を調整することはできない。さらに、底面部231には、冷却空気の吸気口231Bが設けられている。
一方の側面部232には、コ字形のハンドル29を回動自在に取り付けるための取付部232Aが設けられている。
このような外装ケース2の一方の側面側においては、アッパーケース21およびロアーケース23の各側面部212,232には、ハンドル29を上側にしてプロジェクタ1を立てた場合の足となるサイドフット2A(図2)が設けられている。
また、外装ケース2の背面側には、アッパーケース21の背面部213とロアーケース23の背面部233に跨って開口したインターフェース部2Bが設けられ、このインターフェース部2B内にはインターフェースカバー215が設けられ、さらに、インターフェースカバー215の内部側には、種々のコネクタが実装された図示略のインターフェース基板が配置されるようになっている。また、インターフェース部2Bの左右両側には、各背面部213,233に跨ってスピーカ孔2Cおよび吸気口2Dが設けられている。このうちの吸気口2Dは、内部の電源ユニット3の後方側に位置している。
電源ユニット3は、図4に示すように、電源31と、電源31の側方に配置されたランプ駆動回路(バラスト)32とで構成されている。
電源31は、電源ケーブルを通して供給された電力をランプ駆動回路32や回路素子が設けられた制御基板としてのドライバーボード90(図3)等に供給するものであり、前記電源ケーブルが差し込まれるインレットコネクタ33(図2)を備えている。
ランプ駆動回路32は、電力を光学ユニット4の光源ランプ411に供給するものである。
光学ユニット4は、図4、図6、図12に示すように、光源ランプ411から出射された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成するユニットであり、インテグレータ照明光学系41、色分離光学系42、リレー光学系43、電気光学装置44、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム45(図6)、および投写光学系としての投写レンズ46を備えている。
これら電源ユニット3および光学ユニット4は、上下を含む周囲のアルミ製のシールド板80(図3、図5)で覆われており、これによって、電源ユニット3等から外部への電磁ノイズの漏れを防止している。
〔2.光学系の詳細な構成〕
図4、図6において、インテグレータ照明光学系41は、電気光学装置44を構成する3枚の液晶パネル441(赤、緑、青の色光毎にそれぞれ液晶パネル441R,441G,441Bと示す)の画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系であり、光源装置413と、第1レンズアレイ418と、UVフィルタを含む第2レンズアレイ414と、偏光変換素子415と、第1コンデンサレンズ416と、反射ミラー424と、第2コンデンサレンズ419とを備えている。
光源装置413は、放射状の光線を出射する放射光源としての光源ランプ411と、この光源ランプ411から出射された放射光を揃えて出射するリフレクタ412とを有する。光源ランプ411としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、または高圧水銀ランプが用いられることが多い。リフレクタ412としては、放物面鏡を用いている。放物面鏡の他、平行化レンズ(凹レンズ)と共に楕円面鏡を用いてもよい。
なお、光源装置413については、後でより詳細に説明する。
第1レンズアレイ418は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源ランプ411から出射される光束を、複数の部分光束に分割している。各小レンズの輪郭形状は、液晶パネル441の画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。たとえば、液晶パネル441の画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定する。
第2レンズアレイ414は、第1レンズアレイ418と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ414は、第1コンデンサレンズ416および第2コンデンサレンズ419とともに、第1レンズアレイ418の各小レンズの像を液晶パネル441上に結像させる機能を有している。
偏光変換素子415は、第2レンズアレイ414と第1コンデンサレンズ416との間に配置されるとともに、第2レンズアレイ414と一体でユニット化された光学素子ユニット600を構成している。
このような偏光変換素子415は、第2レンズアレイ414からの光を1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、電気光学装置44での光の利用効率が高められている。
具体的に、偏光変換素子415によって1種類の偏光光に変換された各部分光は、第1コンデンサレンズ416および第2コンデンサレンズ419によって最終的に電気光学装置44の液晶パネル441R,441G,441B上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441を用いた本実施形態のプロジェクタ1(電気光学装置44)では、1種類の偏光光しか利用できないため、他種類のランダムな偏光光を発する光源ランプ411からの光のほぼ半分が利用されない。
そこで、偏光変換素子415を用いることにより、光源ランプ411からの出射光を全て1種類の偏光光に変換し、電気光学装置44での光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換素子415は、たとえば特開平8−304739号公報に紹介されている。
なお、前述の光源装置413と同様に、偏光変換素子415および第2レンズアレイ414を含む光学素子ユニット600についても、後でより詳細に説明する。
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421、422によりインテグレータ照明光学系41から出射された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学系43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432、434を備え、色分離光学系42で分離された色光、青色光を液晶パネル441Bまで導く機能を有している。
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から出射された光束の青色光成分と緑色光成分とが透過するとともに、赤色光成分が反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した赤色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ417を通って赤色用の液晶パネル441Rに達する。このフィールドレンズ417は、第2レンズアレイ414から出射された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Bの光入射側に設けられたフィールドレンズ417も同様である。
ダイクロイックミラー421を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ417を通って緑色用の液晶パネル441Gに達する。一方、青色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ417を通って青色光用の液晶パネル441Bに達する。なお、青色光にリレー光学系43が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ417に伝えるためである。
電気光学装置44は、3枚の光変調装置としての液晶パネル441R,441G,441Bを備え、これらは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441Bによって、画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
クロスダイクロイックプリズム45は、3枚の液晶パネル441R,441G,441Bから出射された各色光毎に変調された画像を合成してカラー画像を形成するものである。なお、クロスダイクロイックプリズム45には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。そして、クロスダイクロイックプリズム45で合成されたカラー画像は、投写レンズ46から出射され、スクリーン上に拡大投写される。
以上説明した各光学系41〜45は、図4、図12に示すように、光学部品用筐体としての合成樹脂製の内部筐体47内に収容されている。
この内部筐体47は、前述の各光学部品414〜419,421〜423,431〜434を上方からスライド式に嵌め込む溝部がそれぞれ設けられた下内部筐体471と、下内部筐体471の上部の開口側を閉塞する蓋状の上内部筐体472とで構成されている。
また、内部筐体47の光出射側にはヘッド部49が形成されている。ヘッド部49の前方側に投写レンズ46が固定され、後方側に液晶パネル441R,441G,441Bが取り付けられたクロスダイクロイックプリズム45が固定されている。
続いて、本発明の要部を構成する光源装置413、光学素子ユニット600およびその近傍における内部筐体47の構造について詳細に説明し、続いて、冷却構造、特に光学素子光源冷却系Bについて詳細に説明する。
〔3.光源装置の構造〕
図7は、光源装置413を示す分解斜視図であり、図8は、光源装置413を構成する吸気側ダクトフレーム550を上方もしくは正面から見た図である。
光源装置413は、前述したように所定の光束を出射する装置であり、図4、図6に加えて、図7に示すように、光源ランプ411およびリフレクタ412を有するランプ本体410と、このランプ本体410を収納する光源ランプ用筐体500とを備えて構成され、内部筐体47(図4参照)に着脱可能とされている。
ここから、図7を用いて光源装置413を説明すると、リフレクタ412の前面である光出射面412Aには、その四隅に前方へと突出する突出片412A1がそれぞれ形成されている。そして、これら4つの突出片412A1には、光出射面412Aから所定の間隔をおいて、この光出射面412Aを覆うようにガラスやプラスチック製等の透明板501が係止されている。リフレクタ412の前面部分がこのような構造であるため、光出射面412Aと透明板501との間には、その一辺が突出片412A1の突出寸法と略同じ寸法で、略長方形状の開口部が、光出射面412Aの上下左右側に4つ形成されることになる(図示を一部省略)。
これらの4つの開口部のうち、上側に形成されている開口部、および、下側に形成されている開口部で、本発明に係るプロジェクタにおける一対のランプ冷却用開口部が構成され、この上側に形成されている開口部が排気側開口部507であり、下側に形成されている開口部が吸気側開口部508である。
このため、排気側開口部507および吸気側開口部508の位置は、光源ランプ411から出射される光束の光軸を中心とした対称位置となっている。
また、排気側開口部507および吸気側開口部508には、図示を省略しているが、光源ランプ411が破損した際に、その破片が飛散することを防止するために、防塵用フィルタが設けられている。
なお、4つの開口部のうち左右側に形成された開口部は、ランプ本体410および光源ランプ用筐体500によって光源装置413が組立てられた際に、光源ランプ用筐体500の側面部512が当接して、この側面部512により塞がれるようになっている。
このような構造であるから、ランプ本体410には、吸気側開口部508を介してランプ本体410の外部側から内部側へ、さらに、排気側開口部507を介してランプ本体410の内部側から外部側へと流れる空気の流通経路としての光源冷却流路Xが形成されている。これにより、光源ランプ411を含むランプ本体410の内部側の冷却が可能とされている(図14参照)。
一方、光源ランプ用筐体500は、ランプ本体410を収納して保護するとともに、光源ランプ411から出射される光束の光軸方向、およびこの光軸方向に直交する方向に、光源ランプ411およびリフレクタ412を含むランプ本体410を位置決め固定し、かつ光源ランプ用筐体500の内部側の冷却を補助するための部材であって、筐体本体510と、排気側蓋部材520と、排気側ダクトフレーム530と、吸気側ダクトフレーム550とを備えて構成される。
筐体本体510は、ランプ本体410の保護および位置決め固定を行うための箱状の部材であり、ランプ本体410における左右の側部に当接する2つの側面部512と、4つの突出片412A1の前面部と当接する正面部513と、ランプ本体410の上部と当接する上面部514とを備えて構成される。
正面部513には、光源ランプ411から出射される光束を阻害しないように、光源ランプ用筐体500から透明板501の前面を露出させるための正面開口部513Aが形成されている。
上面部514において、筐体本体510の前側には、略長方形状の前側開口部503が、さらに、この前側開口部503の後側で上面部514の略中央部分には、その一辺の長さが前側開口部503の長辺よりも小さい略正方形状の中央開口部504が形成されている。なお、図7において、この中央開口部504は、排気側蓋部材520によって塞がれているため、図には隠れている。
また、上面部514において、中央開口部504の後側には、後述する排気側蓋部材520の支持軸523を取り付けるための支持軸受515が形成され、さらに、上面部514において中央開口部504を挟んで対角となるような位置、つまり筐体本体510を正面側から見て左奥側および右手前側の位置には、ねじ孔部516がそれぞれ形成されている。
前側開口部503は、ランプ本体410に設けられた排気側開口部507よりも、その開口面積がやや大きくなるように形成されている。さらに、ランプ本体410および光源ランプ用筐体500によって光源装置413が組立てられた際には、前側開口部503は、排気側開口部507に対して重なりあう位置となるようにされている。
なお、図示を省略しているが、前側開口部503と排気側開口部507との間には、これらの開口部503,507を繋ぐように、ゴムや樹脂等の材料からなる弾性部材が設けられている。この弾性部材により、光源ランプ411が破損した際でも、その破片が飛散することが防止されている。
排気側蓋部材520は、筐体本体510の上面部514の上側に設けられるとともに、上面部514に形成された前側開口部503および中央開口部504を開閉するための部材であって、開口部503,504を塞ぐための平板状の蓋部材本体521と、この蓋部材本体521を軸支する支持軸523と、蓋部材本体521の回動を補助する補助板522とを備えて構成される。
蓋部材本体521は、短辺の長さが前側開口部503の長辺の長さと略同じである略長方形状であって、開口部503,504を完全に覆う大きさに形成されている。
補助板522は、蓋部材本体521の長辺における略中央部分から、蓋部材本体521の短辺に沿った方向へと両側に延出するとともに、その断面形状が「へ」字状とされている。
支持軸523は、蓋部材本体521の後端部521Aに取り付けられ、前述したように支持軸受515で支持されている。
ここで、ランプ本体410および光源ランプ用筐体500によって光源装置413を組立てると、補助板522が下内部筐体471(図4,14参照)に形成された突起に当接し、この突起の当接によって蓋部材本体521が支持軸523を支点として回動する。これにより、蓋部材本体521の先端部521Bが持ち上げられている。
従って、光源装置413が、下内部筐体471に装着されている場合には、蓋部材本体521の先端部521Bが、常に持ち上げられた状態となっていて、開口部503,504が常に開口されている。
一方、光源装置413が、下内部筐体471から取り外されている場合には、前述の突起による当接が解除されて、蓋部材本体521の先端部521Bが下がり、開口部503,504が塞がれている。
排気側ダクトフレーム530は、開口部503,504および排気側蓋部材520を覆うことで、内部を流れる空気が外部へと漏れないようにするための箱形のカバー部材である。
排気側ダクトフレーム530の内部は空洞とされていて、また、排気側ダクトフレーム530の両側面531には、補助板522の位置、形状および動きに合わせて切り欠いた切欠き部532が形成されており(一方を図示略)、排気側蓋部材520の動きを阻害しないようになっている。
また、排気側ダクトフレーム530には、筐体本体510の上面部514に形成された2つのねじ孔部516に、それぞれ対応する位置にねじ部536が形成されている。そして、ねじ孔部516およびねじ部536に、ねじ517が挿通、螺合されて、排気側ダクトフレーム530が筐体本体510に固定されている。
さらに、排気側ダクトフレーム530の両側面531で切欠き部532の後部側には、指の腹に応じた凹みを有する取っ手部533が形成されており、光源装置413が下内部筐体471から取り外しやすくなっている。
なお、図7には隠れているが、排気側ダクトフレーム530と排気側蓋部材520との間には、蓋部材本体521に形成された当接部521Xに当接して、蓋部材本体521を筐体本体510側へと付勢するコイルバネが設けられている。
次に、吸気側ダクトフレーム550は、筐体本体510の下側に設置されて、ランプ本体410の吸気側開口部508を下側から覆う部材であり、シロッコファン54から排出された空気を吸気側開口部508へと案内する吸気側ダクトフレーム本体551と、この吸気側ダクトフレーム本体551に形成された開口部551Aの開閉を行うためのシャッター552とを備えて構成される。
吸気側ダクトフレーム本体551は、図8(A),(B)にも示すように、ランプ本体410の下側に当接する正面凹状の板状部材553と、この板状部材553の先端中央を面外方向に膨出させた空気取込部554とを備えて構成される。
さらに、空気取込部554の中央部には、シロッコファン54から排出される空気を整流する板状の整流板557が形成され、この整流板557は、空気取込部554を2つの空間に仕切っている。この空気取込部554の先端に形成された開口部551Aを介して、シロッコファン54から排出された空気をランプ本体410へと導入する。
ここで、シロッコファン54から排出される空気は、ファンの回転接線方向に沿って流れてくるため、排気口54Bに対して垂直に出てくるのではなく、やや回転方向側に偏心して出てくる。このため、空気取込部554の中央部に整流板557を設けたので、排気口54Bから偏心して出てきた空気が整流板557に当たって向きをかえることにより整流されている。なお、整流板557を空気取込部554の中央部に1つだけ形成したが、形成する数および位置は特に限定されない。
シャッター552は、筐体本体510に対して摺動自在に支持されたシャッター本体555と、このシャッター本体555を摺動方向、つまりは図中の下方向へと付勢する2つのコイルばね556とを備えて構成される。
シャッター本体555は、略長方形板状で、開口部551Aを塞ぐ大きさに形成されている。
2つのコイルばね556は、それぞれ、一端がシャッター552に取り付けられるとともに、他端が筐体本体510の正面部513において、正面開口部513Aの下側に形成された凹み部分513Bに挿入固定される。
ここで、光源ランプ413を構成するリフレクタ412および透明板501と、吸気側ダクトフレーム550との間には、図7に示すように、ダクトキャップ560が配置されている。
ダクトキャップ560は、図9,10にも示すように、ランプ本体410の下側を支持するとともに、シロッコファン54側から流れてくる冷却空気をリフレクタ412内へと効率良く流すための部材であり、その上側は透明板413の形状に応じて湾曲し、前後方向となる厚さ寸法はリフレクタ412の4つの突出片412A1の突出寸法と略同じとされている。
また、図9に示すように、ダクトキャップ560の底面部561には、その略中央に吸気用開口部561Aが形成されている。そして、図10に示すように、底面部561において、吸気用開口部561Aの周辺部分は他の部分に比べて厚さ寸法が小さく(薄く)なっている。つまり、底面部561には、この他の部分から吸気用開口部561Aの中央側へと延出する延出部561Bが形成されていることになる。この延出部561Bの厚さ寸法Tは、約0.5mm以下とされ、他の部分よりも薄くなっている。
このように、底面部561の吸気用開口部561Aの周辺部分を薄く形成することにより、シロッコファン54側から流れてくる冷却空気は、透明板413に沿うようにして、リフレクタ412内に円滑に入りこみ、光源ランプ411の先端部分を効果的に冷却できる(図14参照)。
ここで、ランプ本体410および光源ランプ用筐体500によって光源装置413を組立てると、下内部筐体471(図4参照)に形成された突起(図示略)が当接して、シャッター本体555が持ち上がるように形成されている。
従って、光源装置413が、下内部筐体471に装着されている場合には、シャッター本体555が、常に持ち上げられた状態となっていて、開口部551Aが常に開口されている。一方、光源装置413が、下内部筐体471から取り外されている場合には、この突起による当接が解除されて、シャッター本体555が下がり、開口部551Aが塞がれている。
このように、下内部筐体471から光源装置413を取り外す際には、排気側の開口部503,504および吸気側の開口部551Aが共に塞がれるので、これらの開口部503,504,551Aの内部側となる一対のランプ冷却用開口部としての開口部507,508も塞がれて、本発明を構成する開閉機構が閉じられる。
〔4.光学素子ユニットの構造〕
ここで、光学素子ユニット600の構造について説明する。
図11は、光学素子ユニット600を示す斜視図である。
光学素子ユニット600は、前述したように、第1コンデンサレンズ416と第1レンズアレイ418との間に配置されるとともに、偏光変換素子415および第2レンズアレイ414とが一体でユニット化されたものである。
より具体的に光学素子ユニット600は、図11に示すように、光学素子601である偏光変換素子415および第2レンズアレイ414と、これらの光学素子601を固定する光学素子固定部材602とを備えて構成される。
光学素子固定部材602は、偏光変換素子415と第2レンズアレイ414との間に所定の空間を維持したまま固定する部材であり、このような状態で、下内部筐体471(図4参照)の所定位置にねじ610で固定される。なお、光学素子固定部材602には、このねじ610を挿通するためのねじ孔部603が、光学素子固定部材602の厚さを示す部分である左右両端部の上側に1つずつ形成されている。
また、光学素子固定部材602には、偏光変換素子415と第2レンズアレイ414との間に設けられた空間を利用して、これらの偏光変換素子415および第2レンズアレイ414を冷却するために、図中の上下方向に貫通する冷却流路が形成されている。これにより、光学素子ユニット600の上側には、冷却流路を構成するための略長方形状の吸気側開口部602Aが2つ形成され、一方、この図中には隠れているが、光学素子ユニット600の下側にも、冷却流路を構成するための略長方形状の排気側開口部602Bが2つ形成されている(図13参照)。
従って、このような冷却流路により、光学素子ユニット600の上方にある空気は、吸気側開口部602Aから偏光変換素子415と第2レンズアレイ414との間に入り込み、排気側開口部602Bからでていくことで、偏光変換素子415と第2レンズアレイ414である光学素子601を冷却している。
〔5.内部筐体の構造〕
次に、光学素子ユニット600の近傍、吸気側ダクトフレーム550の近傍における内部筐体47の構造について説明する。
まず、光学素子ユニット600の近傍部分における内部筐体47の構造について説明する。
図14に示すように、上内部筐体472において、光学素子ユニット600の上方となる部分には、光学素子ユニット600の配置に応じて冷却空気を引き通すための光学素子冷却用吸気側開口部472Aが形成されている。また、図12,13に示すように、下内部筐体471において光学素子ユニット600の下方となる部分(図13中では上方)には、光学素子冷却用排気側開口部471Aが形成されている。
さらに、図13に示すように、下内部筐体471の外面(図中上側)には、光学素子冷却用排気側開口部471Aを囲むとともに、シロッコファン54の吸気口54Aを囲む形状であって、リブ状の突起475が形成されている。この突起475の先端部分475Aは、シロッコファン54と正確に当接して外部からの空気が流入しないように、平坦面状に形成されている。この突起475によって、シロッコファン54の吸気口54Aと光学素子冷却用排気側開口部471Aとの間に、突起475の突出寸法分の空間が設けられている。
また、光学素子冷却用排気側開口部471Aの近傍において、下内部筐体471の内面(図中下側)には、凹状段部476からなるエア溜まり476Aが形成されている。この凹状段部476の外面は、突起475の先端部分475Aと同じ高さ位置とされており、突起475の先端部分475Aと同様にシロッコファン54の面と正確に当接するように形成されている。
光学素子ユニット600の近傍における下内部筐体471がこのような構造をしているので、図13に示すように、光学素子ユニット600の内部から、光学素子ユニット600の排気側開口部602Bを介して流出する空気は、矢印610,611のように流れて、シロッコファン54に吸入される。
具体的には、光学素子ユニット600において、図13中右側の排気側開口部602BRから流出する空気は、矢印610のように、真っ直ぐにシロッコファン54の吸気口54Aへと流れ、シロッコファン54に吸入される。
一方、図13中左側の排気側開口部602BLから流出する空気は、矢印611のように、一度凹状段部476の内面に当たってエア溜まり476Aに留まった後に、方向転換してからシロッコファン54の吸気口54Aへと流れ、シロッコファン54に吸入される。
なお、図13,14において、光学素子ユニット600の左右の冷却バランスを、光学素子冷却用排気側開口部471Aまたは光源装置側開口部471Bにおける開口面積を変えることによって、自在に変更できる。
続いて、吸気側ダクトフレーム550の近傍における内部筐体47の構造について説明する。
内部筐体47を構成する下内部筐体471には、吸気側ダクトフレーム550を収納するとともに、下内部筐体471の外面から膨出する膨出部477が形成されている。この膨出部477は、その先端の光源装置側開口部471Bがシロッコファン54の排気口54Bに接続されるとともに、吸気側ダクトフレーム550における空気取込部554の形状に応じて形成されている。このように吸気側ダクトフレーム550の内側が吸気側ダクトフレーム550と下内部筐体471とで二重に覆われており、内側を流れる冷却空気が内部筐体47の外部へと漏れ流出することを確実に防止している。
〔6.シロッコファン〕
次に、シロッコファン54について詳細に説明する。
図12は、光学ユニット4を下方から見た斜視図である。また、図13は、光学ユニット4、つまり下内部筐体471の一部を拡大して示す斜視図である。さらに、図14は、プロジェクタ1における要部を模式的に示す図である。
図12に示すように、シロッコファン54は、下内部筐体471の下側に配置されるファンであり、ねじ孔部541を介して2本のねじ542で下内部筐体471の外面に固定される。
また、シロッコファン54は、図5、図12、図13、図14に示すように、光学素子ユニット600の近傍であって内部筐体47内の空気を吸入して、光源装置413側に排出するファンであって、光学素子冷却用排気側開口部471Aに向けられている吸気口54Aと、光源冷却流路Xと接続される排気口54Bとを備えて構成される。
〔7.冷却構造〕
以上のような構成の本実施形態のプロジェクタ1では、液晶パネル441R,441G,441Bを主に冷却するパネル冷却系Aと、光学素子ユニット600および光源装置413を主に冷却する光学素子光源冷却系Bと、電源31を主に冷却する電源冷却系Cとを備えている。
なお、光学素子光源冷却系Bが、本発明の要部となる冷却系であるため、後で詳細に説明する。まず、パネル冷却系Aおよび電源冷却系Cについて説明する。
図2、図4、図5において、パネル冷却系Aでは、投写レンズ46の両側に配置された一対のシロッコファン51,52が用いられている。シロッコファン51,52によって下面の吸気口231Bから吸引された冷却空気は、液晶パネル441R,441G,441Bを下方から上方に向けて冷却した後、ドライバーボード90(図3)の下面を冷却しながら前方隅部の軸流排気ファン53側に寄せられ、前面側の排気口212Bから排気される。
図4において、電源冷却系Cでは、電源31の後方に設けられた軸流吸気ファン55が用いられる。軸流吸気ファン55によって背面側の吸気口2Dから吸引された冷却空気は、電源31およびランプ駆動回路32を冷却した後、他の冷却系統Aと同様に、軸流排気ファン53によって排気口212Bから排気される。
〔8.光学素子光源冷却系の構造〕
次に、光学素子光源冷却系Bについて詳細に説明する。
パネル冷却系Aと同様にシロッコファン51,52によって下面の吸気口231Bから吸引された冷却空気は、液晶パネル441R,441G,441Bを下方から上方に向けて冷却した後、ドライバーボード90(図3)の下面に到達する。その冷却空気の一部は前記のパネル冷却系Aに流れ、残りの冷却空気は、図14における光学素子光源冷却系Bにおいて、矢印に示すように、シロッコファン54によって引き寄せられて、図14において図示していないドライバーボード90を冷却しながら、このドライバーボード90に対向配置されるとともに、上内部筐体472に形成された光学素子冷却用吸気側開口部472Aから内部筐体47内に入り込む。
そして、内部筐体47内に入り込んだ冷却空気は、光学素子ユニット600の吸気側開口部602Aから光学素子ユニット600の内部に入り、図13における矢印610,611の経路を通って、偏光変換素子415および第2レンズアレイ414を冷却した後に、排気側開口部602Bから出てくる。
次に、排気側開口部602Bから出てきた冷却空気は、図12も参照すると、下内部筐体471に形成された光学素子冷却用排気側開口部471Aから内部筐体47の外へと出て、シロッコファン54の吸気口54Aからシロッコファン54に吸入され、排気口54Bから吐き出される。
この吐き出された冷却空気は、吸気側ダクトフレーム550の空気取込部554の先端に形成された開口部551Aに入り、整流板557によって整流されながら(図7参照)、吸気側ダクトフレーム550に沿ってその方向が90度転換されて、ランプ本体410の吸気側開口部508を経てスムーズに光源冷却流路Xに入る。その後、光源冷却流路Xを通って光源ランプ411を冷却した後に、排気側開口部507からランプ本体410の外へ出て行き、前記冷却系統A,Cと同様に、軸流排気ファン53によって排気口212Bから外装ケース2の外へ排気される。
〔本実施形態の効果〕
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)シロッコファン54が駆動して、図14の矢印で示す光学素子光源冷却系Bのように冷却空気が流れるので、光学素子ユニット600および光源ランプ411が集中的に冷却されるから、光源ランプ411ひいては光源装置413、および光学素子ユニット600を充分に冷却できる。
(2)内部筐体47の内部側に最初に流入する冷却空気が、光学素子光源冷却系Bにおける冷却空気の中で最も冷たいので、光学素子ユニット600の上方に光学素子冷却用吸気側開口部472Aを形成し、最初に冷却空気が入るようにしたので、歪み等が生じ易い光学素子ユニット600を、より一層効率よく冷却できて、光学素子ユニット600の長寿命化を図ることができる。
(3)シロッコファン54の排気口54Bと吸気側開口部508とを吸気側ダクトフレーム550を介して接続したので、シロッコファン54から排出される冷却空気が他へと漏れ流出することが少なくなる。このため、シロッコファン54から排出される冷却空気を光源冷却流路Xに確実に送風でき、リフレクタ412の内部、つまりは光源ランプ411を効率よく冷却できて、光源ランプ411の長寿命化を図ることができる。
(4)一対のランプ冷却用開口部である吸気側開口部508および排気側開口部507を、リフレクタ412の光軸を中心とした対称位置に形成したので、リフレクタ412の内部を比較的広範囲に渡って冷却空気が流通するので、光源ランプ411をより一層効率よく冷却できる。
(5)リフレクタ412の光出射面412Aを塞ぐ透明板501を設けたので、光源ランプ411が破損した際において、その破片が飛散することを防止できる。
(6)吸気側ダクトフレーム550に整流板557を形成したので、吸気側ダクトフレーム550の内側を流れる冷却空気は、整流板557で整流されて光源冷却流路Xへとスムーズに流れる。このため、より一層効率よく光源ランプ411を冷却できる。
(7)光源装置413には、排気側蓋部材520およびダクトフレーム550を含む開閉機構を構成したので、光源ランプ411の破損によって交換が必要となった場合でも、内部筐体47から光源装置413を取り外す際に、開閉機構によってランプ本体410が閉塞されるので、光源ランプ411の破片等が内部筐体47内に飛散することを防止できる。このため、光源ランプ411の破片がプロジェクタ1の使用者に付着して、怪我を負うような可能性をなくすことができる。さらに、光源ランプ用筐体500には、ダクトフレーム530,550を設けたので、筐体500内部に位置するリフレクタ412および光源ランプ411の破損時における破片の飛散も防止できる。
(8)下内部筐体471にリブ状の突起475を形成したので、光学素子冷却用排気側開口部471Aとシロッコファン54の吸気口54Aとの間には、突起475の突出寸法分の空間が設けられることになる。このため、ファン54が光学素子ユニット600の近傍における冷却空気をまんべんなく吸入するので、光学素子ユニット600全体を冷却できる。
(9)突起475がシロッコファン54の吸気口54Aおよび光学素子冷却用排気側開口部471Aを囲むので、突起475とシロッコファン54との隙間から、吸気口54Aへと流入する空気を少なくできる。このため、シロッコファン54が内部筐体47内の冷却空気を確実に吸入するので、光学素子ユニット600を充分に冷却できる。
(10)突起475の先端部分475Aを平坦面とし、突起475とシロッコファン54の吸気口54Aの周囲とが正確に当接するように構成したので、より一層確実に内部筐体47内の冷却空気を吸入できて光学素子ユニットを確実に冷却できる。
(11)下内部筐体471に凹状段部476を形成し、エア溜まり476Aを設けたので、シロッコファン54が光学素子ユニット600近傍の冷却空気をまんべんなく吸入できて、光学素子ユニット600の全体を冷却できる。
(12)ドライバーボード90を、光学素子冷却用吸気側開口部472Aの近傍に対向配置したので、内部筐体47の外部側にある冷却用の空気が、光学素子冷却用吸気側開口部472Aを介して内部筐体47の内部側へと流入する際にドライバーボード90も一緒に冷却する。このため、熱に弱い回路素子を含むドライバーボード90を冷却できるので電気光学装置44、ひいてはプロジェクタ1を確実に動作させることができる。
(13)排気側蓋部材520によってリフレクタ412の背面側へと冷却空気が流れるようにしたので、一般にリフレクタ412の背面側に位置するとともに、発熱しやすい光源ランプ411の電極を冷却するので、より一層、光源ランプ411の長寿命化を図ることができる。
(14)吸気側ダクトフレーム550の内側の空間を、吸気側ダクトフレーム550と下内部筐体471とで二重に覆っているので、この内側を流れる冷却空気が内部筐体47の外部へと漏れ流出することを確実に防止できる。
(15)コイルばねの付勢によって、開口部503,504,551Aの開閉を行うようにしたので、簡単な構造で開閉機構を設けることができる。
〔変形例〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態において、ドライバーボード90を光学素子冷却用吸気側開口部472Aに対向配置したが、他の冷却系によって確実に冷却できるのであれば、特にこの位置に配置しなくてもよい。
また、前記実施形態において、一対のランプ冷却用開口部507,508をリフレクタ412の光軸を中心とした対称位置に形成したが、対称の位置からずれていてもよく、つまりは、リフレクタ412を含む光源装置413に一対の開口部が形成されればよい。さらに、ランプ冷却用開口部507,508を一つずつ設けなくてもよく、例えば、吸気側開口部が1つであって、排気側開口部が2つあるような構造としてもよい。要するに、少なくとも一対の開口部が設けられればよい。
また、吸気側ダクトフレーム550としては、例えば、フレキシブルパイプ等のダクトを用いて、シロッコファン54の排気口54Bと光源冷却流路Xを接続してもよい。
ここで、前記実施形態において、ダクトフレーム530,550および排気側蓋部材520を備えて光源装置413を構成したが、光源ランプ411を確実に冷却できるのであれば、これらの一部を設けてもよいし、全て設けなくてもよい。ただし、前記実施形態の方が、確実に光源装置413を冷却できるという利点がある。
さらに、前記実施形態において、光源装置413に開閉機構を備えたが、特に必要でなければ、設けなくてもよい。また、光源装置413の下側となる吸気側だけ開閉するような開閉機構としてもよい。このような場合には、破損時の破片は下に落ちるので、下側だけを開閉可能にすれば、比較的確実に破片の飛散を防止できる利点がある。ただし、いずれの場合に比べても前記実施形態の方が、光源ランプ411の破損時に破片が確実に飛散しないという利点がある。
前記実施形態において、下内部筐体471に突起475を形成したが、シロッコファン54が確実で、かつ効率よく冷却空気を吸入するのであれば、特に設けなくてもよい。ただし、前記実施形態の方が、光学素子ユニット600の近傍における冷却空気を満遍なく吸入できるという利点がある。
前記実施形態において、下内部筐体471に凹状段部476からなるエア溜まり476Aを形成したが、シロッコファン54が確実で、かつ効率よく冷却空気を吸入するのであれば、特に設けなくてもよい。ただし、前記実施形態の方が、光学素子ユニット600の近傍における冷却空気を満遍なく吸入できるという利点がある。
また、前記実施形態において、光学素子ユニット600を冷却するために、光学素子固定部材602の上下に2つずつ開口部602A,602Bを形成したが、この数や形状は特に限定されない。また、光学素子ユニット600における冷却流路の方向も上下方向に限らず、斜めの方向等のその他の方向としてもよい。
また、前記実施形態においては、偏光変換素子415および第2レンズアレイ414とを一体化した光学素子ユニット600を冷却するように構成したが、これに限らず、例えば、第1コンデンサレンズ416や第1レンズアレイ418等のその他の光学素子を冷却するように構成してもよい。
なお、本実施形態では、ダクトキャップ560の底面部561において、他の部分から吸気用開口部561Aの中央側へと延出する薄い延出部561Bを形成したが、この延出部561Bは、図15に示すように、吸気用開口部561Aに向かって、その厚さ寸法が徐々に小さくなるようなテーパ状としてもよい。つまり、底面部561の上部における開口面積が、底面部561の下部における開口面積よりも大きくなるように形成すればよい。
産業上の利用可能性
本発明は、光源から出射された光束を画像情報に応じて変調し、拡大投写して投写画像を形成するプロジェクタに利用できる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の一実施形態に係るプロジェクタを上方から見た全体斜視図である。
図2は前記実施形態におけるプロジェクタを下方から見た全体斜視図である。
図3は図1の状態からアッパーケースを外した状態を示す斜視図である。
図4は図3の状態からシールド板、ドライバーボード、および上内部筐体を外して後方側から見た斜視図である。
図5は図4の状態から光学ユニットを外した状態を示す斜視図である。
図6は前記実施形態における光学ユニットを模式的に示す平面図である。
図7は前記実施形態における光源装置を示す分解斜視図である。
図8は前記実施形態におけるダクトフレームを上方もしくは正面から見た図である。
図9は前記実施形態におけるダクトキャップの下方から見た図である。
図10は前記実施形態におけるダクトキャップの縦断面図である。
図11は前記実施形態における光学素子ユニットを示す斜視図である。
図12は前記実施形態における光学ユニットを下方から見た斜視図である。
図13は前記実施形態における下内部筐体の一部を拡大して示す斜視図である。
図14は前記実施形態における光学ユニットの要部を模式的に示す図である。
図15は前記実施形態におけるダクトキャップの変形例を示す縦断面図である。

Claims (7)

  1. 光源ランプを含んで構成され、内部の前記光源ランプに冷却空気を導入するための光源冷却流路が形成された光源装置と、この光源装置から出射された光束に光学処理を施す照明光学系と、この照明光学系を構成する光学素子を収納する光学部品用筐体と、を備えるプロジェクタであって、
    前記光学部品用筐体には、前記光学素子の配置に応じて冷却空気を引き通すために、互いに前記光学素子を挟んで対向配置される一対の光学素子冷却用開口部が形成され、
    吸気口が一対の光学素子冷却用開口部のうちの一方の開口部に向けられ、排気口が前記光源冷却流路と接続されるファンを備えることを特徴とするプロジェクタ。
  2. 請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
    前記光源装置から出射された光束を画像情報に応じて変調する電気光学装置を備え、
    前記他方の光学素子冷却用開口部には、この電気光学装置を制御する制御基板が対向して配置されることを特徴とするプロジェクタ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
    前記光源装置は、前記光源ランプから放射された光束の出射方向を揃えるリフレクタと、このリフレクタの光出射面を塞ぐ透明板と、を備え、
    前記リフレクタおよびこの透明板の接合部分には、前記リフレクタの光軸を中心として対称配置される一対のランプ冷却用開口部が形成され、
    前記排気口と、この一対のランプ冷却用開口部のいずれかとの間には、ダクト部材を介して接続されていることを特徴とするプロジェクタ。
  4. 請求項3に記載のプロジェクタにおいて、
    前記ダクト部材には、前記排気口から排出された冷却空気を整流する整流板が形成されていることを特徴とするプロジェクタ。
  5. 請求項3または請求項4に記載のプロジェクタにおいて、
    前記光学部品用筐体からの取り外し時に、前記ランプ冷却用開口部を塞ぐ開閉機構が設けられていることを特徴とするプロジェクタ。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
    前記光学部品用筐体の外面には、前記一方の光学素子冷却用開口部を囲むとともに、前記ファンの吸気口を囲むようにリブ状の突起が形成されていることを特徴とするプロジェクタ。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
    前記一方の光学素子冷却用開口部の近傍内面には、凹状段部からなるエア溜まりが形成されていることを特徴とするプロジェクタ。
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