JPWO2002095271A1 - 磁性流体シール装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、相対運動する磁性流体シール装置に関するものであり、例えば半導体製造装置、液晶パネルディスプレイ製造装置、ハードディスク製造装置、光学部品製造装置等の生産機のダストシールや、カメラ、ハードディスクドライブ、光学部品等の製品に内蔵するダストシールとして適用されるものである。
背景技術
従来の相対運動する磁性流体シール装置は、2部材間の隙間を、2部材の内一方の部材側に保持された磁性流体で他方の部材表面に接触して隙間を密封していた。
従来の磁性流体シール装置の構成例を第24図に示す。一般に軸方向に着磁された磁石103を2枚のポールピース104で挟んで接着して非磁性のハウジング101に設置し、ポールピース104と磁性材のシャフト102との隙間に磁性流体105を充填する構成が取られる。
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
この従来技術の磁性流体シール装置は、ハウジングに固定されるため、ハウジングとシャフトとの偏芯の許容値は、ポールピースとシャフトとの隙間以下となり、ハウジングとシャフトとの同軸度に高い精度が必要であった。
また、この様な構成では、磁性流体の充填を装置組立後に行わなければならないという煩雑さと磁性流体充填量の管理が難しいといった欠点があった。
さらに、磁石とポールピースとは、一定の厚さが必要なため、薄型化に限界があった。また、磁石とポールピースとを接着しなければならないという欠点もあった。
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、2部材の偏芯の許容値を拡大してシール性の向上を図ると共に、磁性流体を装置組込み前に注入可能にすることによって品質のバラツキが低減でき、かつ構成部材を削減して薄型化を図った製造容易な磁性流体シール装置を提供することにある。
発明の開示
本発明は、上記した課題を解決するために以下の構成を採用する。
上記目的を達成するために本発明にあっては、
互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって、
2部材間に配置された磁力を発生する磁力発生手段と、
該磁力発生手段の2部材との対向端に磁気的に保持されて前記磁力発生手段と2部材の各部材表面との間の2つの隙間を密封する磁性流体と、
を備え、
前記磁性流体で前記磁力発生手段を浮揚支持し、前記磁力発生手段及び前記磁性流体で2部材間をシールすることを特徴とする。
したがって、磁力発生手段と2部材の各部材表面との間の2つの隙間の和が2部材の偏芯の許容値となり、同軸度の精度が低くてもシール性を発揮することができる。また、従来用いていたポールピースなどの部材が必要なくなり、構成部材が削減でき装置の薄型化にも有効であり、かつ部材同士の接合の必要もなく製造容易となる。さらに、磁力発生手段が磁性流体により磁気力で浮揚しているので、磁力発生手段を慣性体として、磁性流体を粘性減衰手段とする回転イナーシャダンパとしての機能も発揮する。
少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合されたスリーブを備え、
該スリーブの前記磁力発生手段との対向面に溝を形成したことが好適である。
これにより、磁力発生手段とスリーブとの間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。
前記スリーブは、軸方向部と該軸方向部から各々軸方向で反対側の端部で径方向に突出した突出部とからなる2つの断面L字状部材を有し、該断面L字状部材の前記軸方向部が重ね合わされて構成されることが好適である。
これにより、磁力発生手段のスリーブの溝内への配置が容易になる。また、構成部品が弾性変形性を有しなくても構成できるので、材料選定の自由度が大きくなる。
前記スリーブの前記磁力発生手段との対向面の少なくとも溝以外の表面部分に撥油性膜を形成したことが好適である。
これにより、磁性流体が溝以外の表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
前記スリーブは、径方向に突出した部分をゴム状弾性体で構成したことが好適である。
これにより、ゴム状弾性体を変形させることにより、磁力発生手段のスリーブの溝内への配置が容易になる。
前記スリーブは、前記一方の部材に嵌合する部分をゴム状弾性体で構成したことが好適である。
これにより、スリーブの一方の部材との嵌合に両者の接着が不要となる。
前記磁力発生手段の2部材との対向端を尖らせており、尖らせた先端に磁束を集中させて前記磁性流体を磁気的に保持したことが好適である。
これにより、磁性流体が分散せず効率よく集中して保持されるため、磁性流体充填量を削減することができる。
前記スリーブの溝も前記磁力発生手段の尖らせた対向端に合わせた形状に形成したことが好適である。
これにより、磁性流体の分散をさらに防止することができる。
前記磁力発生手段の尖らせた対向端と前記スリーブの溝との隙間は、前記磁力発生手段の尖らせた対向端の先端に向かうほど狭くなることが好適である。
これにより、さらに磁性流体充填量を削減することができる。
前記磁力発生手段の尖らせた対向端は、断面三角状の突起形状であることが好適である。
これにより、尖らせた先端に磁束を集中させて磁性流体を分散せず効率よく集中して保持することができる。
前記磁力発生手段の尖らせた対向端は、断面円弧状の突起形状であることが好適である。
これにより、尖らせた先端に磁束を集中させて磁性流体を分散せず効率よく集中して保持することができる。
少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合されたスリーブを備え、
該スリーブの少なくとも軸方向両側端部に撥油性膜を形成したことが好適である。
これにより、磁力発生手段とスリーブとの間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、磁性流体がスリーブの軸方向両側端部にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
2部材は相対往復移動可能であって、
少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合された2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延びるスリーブを備えたことが好適である。
これにより、磁力発生手段とスリーブとの間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延びるスリーブ上の磁性流体を滑らせることができる。
前記スリーブは、前記磁力発生手段との対向面に2部材の往復移動長さに応じた溝を形成したことが好適である。
これにより、磁力発生手段とスリーブとの間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、溝外への磁性流体の飛散も防止されるので、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、2部材の往復移動長さに応じたスリーブの溝内で磁性流体を滑らせることができる。
前記スリーブの前記磁力発生手段との対向面に撥油性膜を形成したことが好適である。
これにより、相対往復移動時に滑る磁性流体が表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
前記スリーブは、前記スリーブの溝内に前記磁力発生手段を挿入可能とする弾性変形特性を有することが好適である。
これにより、磁力発生手段のスムーズな装着ができる。
2部材及び前記スリーブは、非磁性材であることが好適である。
これにより、磁性流体を磁力発生手段の磁極に集め、磁力発生手段を磁気的に浮揚させることができる。
少なくとも2部材の内一方の部材の前記磁力発生手段との対向面に溝を形成したことが好適である。
これにより、従来用いていたポールピースやスリーブなどの部材が必要なくなり、磁力発生手段と磁性流体だけで装置を構成でき、構成部材が削減でき、薄型化が大幅に可能となる。
少なくとも2部材の内一方の部材の前記磁力発生手段との対向面に撥油性膜を形成したことが好適である。
これにより、磁性流体が一方の部材表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
前記磁力発生手段は、前記溝内に前記磁力発生手段を挿入可能とする弾性変形特性を有することが好適である。
これにより、磁力発生手段のスムーズな装着ができる。
前記磁力発生手段の前記磁性流体と接触させない部分に撥油性膜を形成したことが好適である。
これにより、磁性流体が磁力発生手段表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
前記磁力発生手段の前記磁性流体と接触させない部分に切り欠き部を形成したことが好適である。
これにより、磁力発生手段の軽量化が図れ、より確実に磁力発生手段を浮揚させることができる。
前記磁力発生手段の2部材間に延びる側面に切り欠き部を形成したことが好適である。
これにより、磁力発生手段の軽量化が図れ、より確実に磁力発生手段を浮揚させることができる。
前記磁力発生手段の2部材との対向端面の中央部に切り欠き部を形成したことが好適である。
これにより、磁力発生手段の軽量化が図れ、より確実に磁力発生手段を浮揚させることができる。
前記磁力発生手段は、軸方向或いは径方向に単極或いは多極着磁された磁石であることが好適である。
これにより、磁石が磁性流体と共に2部材間を埋めて2部材間のシールを行うことができる。
互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって、
2部材にそれぞれ嵌合された磁力を発生するスリーブ状磁力発生手段と、
該スリーブ状磁力発生手段間に配置された非磁性体と、
該スリーブ状磁力発生手段の前記非磁性体との対向面に磁気的に保持されて前記スリーブ状磁力発生手段と前記非磁性体との間の2つの隙間を密封する磁性流体と、
を備え、
前記磁性流体で前記非磁性体を浮揚支持し、前記非磁性体及び前記磁性流体で2部材間をシールすることを特徴とする。
したがって、非磁性体と2部材の各部材表面との間の2つの隙間の和が2部材の偏芯の許容値となり、同軸度の精度が低くてもシール性を発揮することができる。また、従来用いていたポールピースなどの部材が必要なくなり、構成部材が削減でき装置の薄型化にも有効であり、かつ部材同士の接合の必要もなく製造容易となる。さらに、非磁性体が磁性流体により磁気力で浮揚しているので、非磁性体を慣性体として、磁性流体を粘性減衰手段とする回転イナーシャダンパとしての機能も発揮する。特に、磁気力を変えないで非磁性体を薄く軽くできるため、装置を大径化しても非磁性体を磁気的に浮揚させることができる。
少なくとも一方の前記スリーブ状磁力発生手段の前記非磁性体との対向面に溝を形成したことが好適である。
これにより、スリーブ状磁力発生手段と非磁性体との間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。
前記スリーブ状磁力発生手段は、軸方向部と該軸方向部から各々軸方向で反対側の端部で径方向に突出した突出部とからなる2つの断面L字状部材を有し、該断面L字状部材の前記軸方向部が重ね合わされて構成されることが好適である。
これにより、非磁性体のスリーブ状磁力発生手段の溝内への配置が容易になる。また、構成部品が弾性変形性を有しなくても構成できるので、材料選定の自由度が大きくなる。
前記スリーブ状磁力発生手段の前記非磁性体との対向面の少なくとも溝以外の表面部分に撥油性膜を形成したことが好適である。
これにより、磁性流体が溝以外の表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
前記スリーブ状磁力発生手段の少なくとも軸方向両側端部に撥油性膜を形成したことが好適である。
これにより、スリーブ状磁力発生手段と非磁性体との間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、磁性流体がスリーブ状磁力発生手段の軸方向両側端部にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
2部材は相対往復移動可能であって、
少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合された前記スリーブ状磁力発生手段を2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延ばしたことが好適である。
これにより、スリーブ状磁力発生手段と非磁性体との間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延びるスリーブ状磁力発生手段上に磁性流体を保持することができる。
前記スリーブ状磁力発生手段は、前記非磁性体との対向面に2部材の往復移動長さに応じた溝を形成したことが好適である。
これにより、スリーブ状磁力発生手段と非磁性体との間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、溝外への磁性流体の飛散も防止されるので、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、2部材の往復移動長さに応じたスリーブ状磁力発生手段の溝内で磁性流体を保持することができる。
前記スリーブ状磁力発生手段は、前記スリーブ状磁力発生手段の溝内に前記非磁性体を挿入可能とする弾性変形特性を有することが好適である。
これにより、非磁性体のスムーズな装着ができる。
前記非磁性体は、前記スリーブ状磁力発生手段の前記溝内に前記非磁性体を挿入可能とする弾性変形特性を有することが好適である。
これにより、非磁性体のスムーズな装着ができる。
前記非磁性体の前記磁性流体と接触させない部分に撥油性膜を形成したことが好適である。
これにより、磁性流体が非磁性体表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
前記非磁性体の前記磁性流体と接触させない部分に切り欠き部を形成したことが好適である。
これにより、非磁性体の軽量化が図れ、より確実に非磁性体を浮揚させることができる。
前記非磁性体の2部材間に延びる側面に切り欠き部を形成したことが好適である。
これにより、非磁性体の軽量化が図れ、より確実に非磁性体を浮揚させることができる。
前記非磁性体の2部材との対向端面の中央部に切り欠き部を形成したことが好適である。
これにより、非磁性体の軽量化が図れ、より確実に非磁性体を浮揚させることができる。
前記スリーブ状磁力発生手段は、軸方向或いは径方向に単極或いは多極着磁された磁石であることが好適である。
これにより、磁石が2部材にそれぞれ嵌合されて磁性流体を保持することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。
本実施の形態は、磁性流体シール装置を半導体製造装置、液晶パネルディスプレイ製造装置、ハードディスク製造装置、光学部品製造装置等の生産機のダストシールや、カメラ、ハードディスクドライブ、光学部品等の製品に内蔵するダストシールとして適用するものである。
(第1の実施の形態)
第1図を用いて第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置の構成について説明する。第1図は第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第1図に示す磁性流体シール装置は、回転移動可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転する。ハウジング1とシャフト2は非磁性材で構成されている。
磁性流体シール装置は、径方向に着磁されてハウジング1とシャフト2との間に配置された環状磁石3(磁力発生手段)と、環状磁石3の内外周端部にそれぞれ保持された磁性流体4,5と、ハウジング1及びシャフト2にそれぞれ嵌合されたスリーブ6,7と、を備える。
環状磁石3の磁極である内外周面の近傍には磁場勾配が発生しており、その磁場勾配内に置かれた磁性流体4,5は高磁場側(磁石表面)に吸引され、その反作用として非磁性体であるスリーブ6,7は低磁場側への斥力を受ける。その結果、環状磁石3はスリーブ6,7と非接触の状態で磁性流体4,5中に浮揚され、同時に磁性流体4,5が環状磁石3とスリーブ6,7との隙間を密封する機能を発揮する。
環状磁石3としては、比重の小さいプラスチック磁石等が好適である。また、環状磁石3の着磁は、磁石表面近傍の磁場強度を高める上で磁石断面の長手方向(本実施の形態では径方向)に行うのが好ましく、多極着磁を行えば更なる向上が可能である。ただし、環状磁石3の寸法、材質及び着磁方法は、環状磁石3がスリーブ6,7と非接触の状態で磁性流体4,5中に浮揚する条件を満足するものであれば、上記の記載に限定されない。
一方、磁性流体4,5としては、Fe3O4やMn・ZnFe2O4等の微粒子を油,水,有機溶媒等の中にコロイド状に分散させたものを用いている。
スリーブ6,7は、非磁性ステンレス、アルミ合金、銅合金、チタン等の非磁性金属製又はポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネイト、ポリアセタール等の樹脂製の円筒状部材で、軸方向両端部で突出部が突出するように中央部が凹んで溝が形成されており、この溝の中に環状磁石3の内外周端部が隙間を有してそれぞれ配置される。そして、磁性流体4,5が環状磁石3の内外周端とスリーブ6,7の溝との隙間に充填されている。
このスリーブ6,7は、スリーブ6,7の溝内に環状磁石3を挿入可能とする弾性変形特性を有しており、環状磁石3のスムーズな装着ができる。
また、スリーブ6,7の軸方向両端部の突出部(即ち、環状磁石3との対向面の内溝以外の部分)には、表面に撥油性膜8,9が形成されている。この撥油性膜8,9によって、スリーブ6,7の溝内の磁性流体4,5が外部へぬれ広がることが防止される。
なお、撥油性膜8,9の形成処理としては、膜形成以外にコーティングや塗布等による処理もあり、フッ素系撥油剤などの材料を用いる。
以上の磁性流体シール装置は、環状磁石3とスリーブ6,7との間に予め磁性流体4,5を充填した状態で、ハウジング1とシャフト2の間にワンタッチで容易に装着される。
このような磁性流体シール装置では、環状磁石3が保持する磁性流体4,5によって浮揚支持されており、装置がどのような向きに置かれても環状磁石3が浮揚する。
そして、環状磁石3と磁性流体4,5とで、ハウジング1とシャフト2間のシールを行う。この効果は、ハウジング1に対してシャフト2を環状磁石3の内外周面とスリーブ6,7との2つの隙間の合計分の偏芯によってシール機能を発揮することができる。
したがって、環状磁石3の内外周の両方に磁性流体4,5を保持する隙間を有する構成であり、両方の隙間の和がハウジング1とシャフト2との同軸度の許容値となり、精度が低くてもシール性を発揮することができる。
そして、環状磁石3が磁性流体4,5により磁気力で浮揚しているので、環状磁石3を慣性体として、磁性流体4,5を粘性減衰手段とする回転イナーシャダンパとしての機能も発揮する。
また、磁性流体シール装置に用いている部材も、ポールピース等の部材が無く、環状磁石3だけが厚みを必要とするので、構成部材が削減でき、装置の薄型化ができる。また、ポールピース等の部材などとの部材同士の接合の必要もなく製造容易となる。
さらに、スリーブ6,7の溝に環状磁石3の内外周端部を配置するので、予め磁性流体4,5を充填した装置の組み上がった状態で装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなった。
(第2の実施の形態)
第2図は第2の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第2の実施の形態は、環状磁石3の径方向側面に撥油性膜10を形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
環状磁石3には、磁性流体4,5と接触させない部分、即ち環状磁石3の角部を除いた径方向側面に、撥油性膜10を形成した。
ただし、環状磁石3の径方向側面の角部は、撥油性膜10が形成されておらず、磁性流体4,5の付着によりシールや磁気浮揚に関係する。
これにより、磁性流体4,5が環状磁石3の径方向側面にぬれ広がり、シールに必要な磁性流体量が減少することを防止でき、より少ない予め充填する磁性流体充填量であらゆる向きに対してシール機能を発揮することができる。
(第3の実施の形態)
第3図は第3の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第3の実施の形態は、環状磁石3の径方向側面に切り欠き部11を形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
環状磁石3には、磁性流体4,5と接触させない部分、即ち環状磁石3の角部を除いたハウジング1とシャフト2間に延びる径方向側面に、切り欠き部11を形成した。
これにより、環状磁石3の軽量化が図られ、より低い飽和磁化の磁性流体4,5或いはより少ない磁性流体充填量であらゆる向きに対して環状磁石3を浮揚することができる。
(第4の実施の形態)
第4図は第4の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第4の実施の形態は、環状磁石3の径方向側面の切り欠き部11に加えて内外周面の中央部に切り欠き部12を形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
環状磁石3には、第3の実施の形態と同様に磁性流体4,5と接触させない部分、即ち環状磁石3の角部を除いたハウジング1とシャフト2間に延びる径方向側面に、切り欠き部11を形成した。
加えて、環状磁石3の角部を除いたハウジング1又はシャフト2のいずれかと対向する内外周面の中央部にも切り欠き部12を形成した。
これにより、環状磁石3の軽量化がさらに図られ、さらにより低い飽和磁化の磁性流体4,5或いはより少ない磁性流体充填量であらゆる向きに対して環状磁石3を浮揚することができる。
(第5の実施の形態)
第5図は第5の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第5の実施の形態は、シャフト2に嵌合されるスリーブ71に溝を形成せず、環状磁石3と対向する対向面の軸方向両端部に撥油性膜9を形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
シャフト2に嵌合されるスリーブ71は、第1の実施の形態のような溝が形成されない円筒状である。また、スリーブ71の環状磁石3と対向する対向面の軸方向両端部に撥油性膜9が形成されている。
この様な構成でも、環状磁石3はあらゆる向きに対して磁気力で浮揚し、シャフト2の回転に対してダストシールとして機能する。
なお、本実施の形態とは逆に、ハウジング1のスリーブに溝を形成せず、環状磁石3と対向する対向面の軸方向両端部に撥油性膜8を形成しても同様の効果を得ることができる。
(第6の実施の形態)
第6図は第6の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第6の実施の形態は、ハウジング1とシャフト2との間に相対往復運動も行われており、シャフト2に嵌合されるスリーブ72を軸方向に往復運動長さ分に延ばし、環状磁石3と対向する対向面の全てに撥油性膜13を形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態においては、ハウジング1とシャフト2との間に相対回転運動が行われているだけでなく、ハウジング1とシャフト2との間に相対往復運動も行われており、本形態ではシャフト2が往復運動する。
このため、磁性流体を滑らせることにより磁性流体シール装置を安定して支持する必要があり、本形態ではシャフト2に嵌合されるスリーブ72を軸方向にシャフト2が往復運動する長さ分に延ばし、スリーブ72上の磁性流体5を滑らせる構成である。
この際、磁性流体5のスリーブ72上へのぬれ防止として、シャフト2に嵌合されるスリーブ72には、環状磁石3と対向する対向面の全てに撥油性膜13が形成されている。
この様な構成でも、環状磁石3はあらゆる向きに対して磁気力で浮揚し、シャフト2の回転・往復運動に対してダストシールとして機能する。もちろん、本実施の形態は、シャフト2が往復運動のみを行う場合にも好適である。
なお、本実施の形態とは逆に、ハウジング1のスリーブを軸方向に往復運動長さ分に延ばし、環状磁石3と対向する対向面の全てに撥油性膜を形成しても同様の効果を得ることができる。
(第7の実施の形態)
第7図は第7の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第7の実施の形態は、ハウジング1とシャフト2との間に相対往復運動も行われており、シャフト2に嵌合されるスリーブ73に溝を形成せずに軸方向に往復運動長さ分に延ばし、環状磁石3と対向する対向面の全てに撥油性膜を形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態においては、第6の実施の形態と同様に、ハウジング1とシャフト2との間に相対回転運動が行われているだけでなく、ハウジング1とシャフト2との間に相対往復運動も行われており、本形態ではシャフト2が往復運動する。
このため、磁性流体を滑らせることにより磁性流体シールを安定して支持する必要があり、本形態ではシャフト2に嵌合される円筒状のスリーブ73を軸方向にシャフト2が往復運動する長さ分に延ばし、スリーブ73上の磁性流体5を滑らせる構成である。
この際、磁性流体5のスリーブ73上へのぬれ防止として、シャフト2に嵌合されるスリーブ73には、環状磁石3と対向する対向面の全てに撥油性膜14が形成されている。
ここで、第6の実施の形態と異なり、シャフト2に嵌合されるスリーブ73は、第1の実施の形態のような溝が形成されない円筒状である。
この様な構成でも、環状磁石3はあらゆる向きに対して磁気力で浮揚し、シャフト2の回転・往復運動に対してダストシールとして機能する。もちろん、本実施の形態は、シャフト2が往復運動のみを行う場合にも好適である。
なお、本実施の形態とは逆に、ハウジング1のスリーブを軸方向に往復運動長さ分に延ばし、環状磁石3と対向する対向面の全てに撥油性膜を形成し、第1の実施の形態のような溝が形成されていなくても同様の効果を得ることができる。
(第8の実施の形態)
第8図は第8の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第8の実施の形態は、ハウジング1内周に溝を形成し、その中に弾性変形特性のある環状磁石(ゴムマグネット等)31を挿入し、環状磁石31の内外周側に形成される隙間に磁性流体4,5を充填したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態においては、ハウジング1及びシャフト2共にスリーブは嵌合されず、ハウジング1に直接、環状磁石31の外周端部が隙間を有して配置される溝が形成されている。
ここで、環状磁石31は、ハウジング1の溝へ変形されて挿入される必要があるので、弾性変形特性(可撓性)を有するゴムマグネットが用いられる。
そして、ハウジング1の溝へ環状磁石31が挿入された後に、磁性流体4が環状磁石31とハウジング1の溝との隙間に充填され、磁性流体5が環状磁石31とシャフト2表面との隙間に充填される。
この様な構成でも、環状磁石31はあらゆる向きに対して磁気力で浮揚し、シャフト2の回転に対してダストシールとして機能する。
なお、シャフト2に溝を形成する構成や、ハウジング1とシャフト2の両方に溝を形成する構成でも同様の効果を得ることができる。
(第9の実施の形態)
第9図は第9の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第9の実施の形態は、弾性変形特性のある環状磁石(ゴムマグネット等)32とシャフト2表面との間に直接隙間を形成し、ハウジング1のスリーブ61に形成する溝を深く形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態においては、シャフト2にスリーブは嵌合されず、弾性変形特性(可撓性)のある環状磁石(ゴムマグネット等)32とシャフト2表面との間に直接磁性流体5を充填する隙間を形成している。
また、ハウジング1に嵌合されるスリーブ61は、環状磁石32外周面との間により大きな隙間を有するようにスリーブ61に形成される溝を深くしている。このスリーブ61の軸方向両端部の突出部(即ち、環状磁石32との対向面の内溝以外の部分)には、表面に撥油性膜8が形成されている。
この様な構成でも、ハウジング1に対してシャフト2を環状磁石32の内外周面の2つの隙間の合計分の偏芯でもシール機能を発揮することができ、環状磁石32はあらゆる向きに対して磁気力で浮揚し、シャフト2の回転運動に対してダストシールとして機能する。
(第10の実施の形態)
第10図は第10の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第10の実施の形態は、第9の実施の形態において磁性流体5と接触するシャフト2表面に撥油性膜15を形成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態は、第9の実施の形態の構成に加えて、磁性流体シール装置を装着する際に、少なくとも環状磁石32内周面に担持した磁性流体5が接触する範囲のシャフト2表面に予め撥油性膜15を形成している。
これにより、磁性流体シール装置に予め磁性流体4,5を充填した状態で磁性流体シール装置の装着作業を行うことができる。また、本実施の形態は、シャフト2の往復運動又は回転・往復運動に対してダストシールとして機能する。
(第11の実施の形態)
第11図は第11の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第11の実施の形態は、第1の実施の形態においてスリーブ6,7をそれぞれ2分割した断面L字状部材で構成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態は、第11図(a)に示すように、スリーブ6,7がそれぞれ2分割した2つの断面L字状部材から構成されている。2つの断面L字状部材は、軸方向部と軸方向部から各々軸方向で反対側の端部で径方向に突出した突出部とからなり、2つの断面L字状部材の軸方向部が重ね合わされて1つのスリーブ6,7となる。
ここで、図の右側の断面L字状部材を先に装着し、その後に図の左側の断面L字状部材を重ね合わせるので、その図の左側の断面L字状部材に予め環状磁石3の配置及び磁性流体4,5の充填を行っておけば容易に装置を構成することができる。あるいは、図の左側の断面L字状部材の中に環状磁石3を挿入し、続いて図の右側の断面L字状部材を重ね合わせた後、磁性流体4,5を充填しておけば、シール装置として組み上がった状態で装置に装着できる。
この時の環状磁石3の着磁パターンを第11図(b)、第11図(c)にそれぞれ示す。第11図(b)は単極着磁の環状磁石3であり、第11図(c)は多極着磁の環状磁石3である。この環状磁石3は軸方向に並んで極を有するものである。
これにより、環状磁石3のスリーブ6,7の溝内への配置が容易になる。また、環状磁石3やスリーブ6,7といった構成部品が弾性変形性を有しなくても装置を構成できるので、材料選定の自由度が大きくなる。
(第12の実施の形態)
第12図は第12の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第12の実施の形態は、第1の実施の形態においてスリーブ6,7をそれぞれ剛体部とゴム部とから構成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態は、スリーブ6が剛体部6aとゴム部6bとから構成されている。また、スリーブ7が剛体部7aとゴム部7bとから構成されている。
剛体部6a,7aは、軸方向部と軸方向部の図において左側で突出する突出部とを有する断面L字形状である。
ゴム部6b,7bは、ハウジング1又はシャフト2に嵌合する軸方向部と軸方向部の図において右側で突出する突出部とを有する断面L字形状である。ゴム部6b,7bは、変形し易いゴム状弾性体である。
そして、剛体部6a,7aの軸方向部にゴム部6b,7bの軸方向部を重ね合わせることで容易にスリーブ6,7を構成することができる。
この構成では、予めスリーブ6,7を構成し、構成されたスリーブ6,7のゴム部6b,7bの突出部を曲げて環状磁石3を挿入し、その後に磁性流体4,5を充填する。
また、スリーブ6,7に環状磁石3の挿入及び磁性流体4,5を充填が終了してシール装置を完成した後に、スリーブ6,7のゴム部6b,7bの軸方向部がそれぞれハウジング1又はシャフト2に嵌合することで装着される。
これにより、スリーブ6,7のゴム部6b,7bの突出部を曲げて環状磁石3を挿入することができ、環状磁石3のスリーブ6,7の溝内への配置が容易になる。
また、ゴム部6b,7bの軸方向部がそれぞれハウジング1又はシャフト2に嵌合することができ、両者の嵌合に接着が不要となる。
(第13の実施の形態)
第13図は第13の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第13の実施の形態は、第12の実施の形態と同様に第1の実施の形態においてスリーブ6,7をそれぞれ剛体部とゴム部とから構成したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態は、スリーブ6が剛体部6aとゴム部6bとから構成されている。また、スリーブ7が剛体部7aとゴム部7bとから構成されている。
剛体部6a,7aは、磁性流体4,5に接触する軸方向部からなる円筒状形状である。
ゴム部6b,7bは、ハウジング1又はシャフト2に嵌合する軸方向部と軸方向部の図において左右側で突出する突出部とを有する。ゴム部6b,7bは、変形し易いゴム状弾性体である。
そして、剛体部6a,7aをゴム部6b,7bの軸方向部内に重ね合わせることで容易にスリーブ6,7を構成することができる。
この構成では、予めスリーブ6,7を構成し、構成されたスリーブ6,7のゴム部6b,7bの突出部を曲げて環状磁石3を挿入し、その後に磁性流体4,5を充填する。
また、スリーブ6,7に環状磁石3の挿入及び磁性流体4,5を充填が終了してシール装置を完成した後に、スリーブ6,7のゴム部6b,7bの軸方向部がそれぞれハウジング1又はシャフト2に嵌合することで装着される。
これにより、スリーブ6,7のゴム部6b,7bの突出部を曲げて環状磁石3を挿入することができ、環状磁石3のスリーブ6,7の溝内への配置が容易になる。
また、ゴム部6b,7bの軸方向部がそれぞれハウジング1又はシャフト2に嵌合することができ、両者の嵌合に接着が不要となる。
(第14の実施の形態)
第14図は第14の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第14の実施の形態は、第12、第13の実施の形態と同様に第1の実施の形態においてスリーブ6,7をそれぞれ剛体部とゴム部とから構成したものである。また、環状磁石3及びスリーブ6,7の形状を磁性流体3,4の充填量を削減するために変形したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態は、環状磁石3のハウジング1及びシャフト2との対向端を断面三角状の突起形状に尖らせており、尖らせた先端に磁束を集中させて磁性流体4,5を磁気的に保持している。
そして、スリーブ6が剛体部6aとゴム部6bとから構成されている。また、スリーブ7が剛体部7aとゴム部7bとから構成されている。
このスリーブ6,7の溝は、環状磁石3の断面三角状の突起形状に尖らせたハウジング1及びシャフト2との対向端に合わせて断面三角状の溝となっている。
剛体部6a,7aは、一辺にテーパを形成して図の左側のスリーブ6,7の溝壁面を構成している。
ゴム部6b,7bは、ハウジング1又はシャフト2に嵌合する軸方向部と軸方向部の図において右側でスリーブ6,7の溝壁面を構成して突出する突出部とを有する。ゴム部6b,7bは、変形し易いゴム状弾性体である。
そして、剛体部6a,7aをゴム部6b,7bの軸方向部内に重ね合わせることで容易にスリーブ6,7を構成することができる。
この構成では、予めスリーブ6,7を構成し、構成されたスリーブ6,7のゴム部6b,7bの突出部を曲げて環状磁石3を挿入し、その後に磁性流体4,5を充填する。
また、スリーブ6,7に環状磁石3の挿入及び磁性流体4,5を充填が終了してシール装置を完成した後に、スリーブ6,7のゴム部6b,7bの軸方向部がそれぞれハウジング1又はシャフト2に嵌合することで装着される。
これにより、スリーブ6,7のゴム部6b,7bの突出部を曲げて環状磁石3を挿入することができ、環状磁石3のスリーブ6,7の溝内への配置が容易になる。
また、環状磁石3の断面三角状の突起形状に尖らせたハウジング1及びシャフト2との対向端に磁束を集中させて磁性流体4,5を磁気的に保持するので、磁性流体4,5が分散せず効率よく集中して保持されるため、磁性流体充填量を削減することができる。
さらに、ゴム部6b,7bの軸方向部がそれぞれハウジング1又はシャフト2に嵌合することができ、両者の嵌合に接着が不要となる。
(第15の実施の形態)
第15図は第15の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第15の実施の形態は、第12、第13、第14の実施の形態と同様に第1の実施の形態においてスリーブ6,7をそれぞれ剛体部とゴム部とから構成したものである。また、第14の実施の形態と同様に環状磁石3及びスリーブ6,7の形状を磁性流体3,4の充填量を削減するために変形したものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態は、環状磁石3のハウジング1及びシャフト2との対向端を断面円弧状の突起形状に尖らせており、尖らせた先端に磁束を集中させて磁性流体4,5を磁気的に保持している。
そして、スリーブ6が剛体部6aとゴム部6bとから構成されている。また、スリーブ7が剛体部7aとゴム部7bとから構成されている。
このスリーブ6,7の溝は、環状磁石3の断面円弧状の突起形状に尖らせたハウジング1及びシャフト2との対向端に合わせて断面円弧状の溝となっている。
そして、環状磁石3の断面円弧状の突起形状に尖らせた対向端とスリーブ6,7の溝との隙間は、環状磁石3の断面円弧状の突起形状に尖らせた対向端の先端に向かうほど狭くなる。
剛体部6a,7aは、一辺に断面円弧状のテーパを形成して図の左側のスリーブ6,7の溝壁面を構成している。
ゴム部6b,7bは、ハウジング1又はシャフト2に嵌合する軸方向部と軸方向部の図において右側でスリーブ6,7の溝壁面を構成して突出する突出部とを有する。ゴム部6b,7bは、変形し易いゴム状弾性体である。
そして、剛体部6a,7aをゴム部6b,7bの軸方向部内に重ね合わせることで容易にスリーブ6,7を構成することができる。
この構成では、予めスリーブ6,7を構成し、構成されたスリーブ6,7のゴム部6b,7bの突出部を曲げて環状磁石3を挿入し、その後に磁性流体4,5を充填する。
また、スリーブ6,7に環状磁石3の挿入及び磁性流体4,5を充填が終了してシール装置を完成した後に、スリーブ6,7のゴム部6b,7bの軸方向部がそれぞれハウジング1又はシャフト2に嵌合することで装着される。
これにより、スリーブ6,7のゴム部6b,7bの突出部を曲げて環状磁石3を挿入することができ、環状磁石3のスリーブ6,7の溝内への配置が容易になる。
また、環状磁石3の断面円弧状の突起形状に尖らせたハウジング1及びシャフト2との対向端に磁束を集中させて磁性流体4,5を磁気的に保持するので、磁性流体4,5が分散せず効率よく集中して保持されるため、磁性流体充填量を削減することができる。
ここで、環状磁石3の断面円弧状の突起形状に尖らせた対向端とスリーブ6,7の溝との隙間が、環状磁石3の断面円弧状の突起形状に尖らせた対向端の先端に向かうほど狭くなっているため、隙間の一番狭い部分に磁性流体4,5を集中し易くなり、さらに磁性流体充填量を削減することができる。
さらに、ゴム部6b,7bの軸方向部がそれぞれハウジング1又はシャフト2に嵌合することができ、両者の嵌合に接着が不要となる。
(第16の実施の形態)
第16図を用いて第16の実施の形態に係る磁性流体シール装置の構成について説明する。第16図は第16の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
以下の実施の形態では、上記第1〜第15の実施の形態では、軸径が大きくなると環状磁石の磁気浮揚力がその環状磁石の重力よりも小さくなってしまい、大径化に限界があることに鑑み、非磁性体を磁気的に浮揚する構成としたものである。
第16図に示す磁性流体シール装置は、回転移動可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転する。ハウジング1とシャフト2は非磁性材で構成されている。
磁性流体シール装置は、ハウジング1及びシャフト2にそれぞれ嵌合されたスリーブ状磁石15,16(スリーブ状磁力発生手段)と、ハウジング1とシャフト2との間に配置された非磁性体17と、スリーブ状磁石15,16の内外周にそれぞれ保持された磁性流体4,5と、を備える。
スリーブ状磁石15の内周面、及びスリーブ状磁石16の外周面の近傍には磁場勾配が発生しており、その磁場勾配内に置かれた磁性流体4,5は高磁場側(磁石表面)に吸引され、その反作用として非磁性体17は低磁場側への斥力を受ける。その結果、非磁性体17はスリーブ状磁石15,16と非接触の状態で磁性流体4,5中に浮揚され、同時に磁性流体4,5が非磁性体17とスリーブ状磁石15,16との隙間を密封する機能を発揮する。
スリーブ状磁石15,16の材質としては、可撓性を有するゴム磁石等が好適である。また、スリーブ状磁石15,16の着磁は、非磁性体17がスリーブ状磁石15,16と非接触の状態で磁性流体4,5中に浮揚する条件を満足するものであれば、どのような方法(方向、極数)を用いてもよい。
一方、磁性流体4,5としては、Fe3O4やMn・Fe2O4等の微粒子を油,水,有機溶媒等の中にコロイド状に分散させたものを用いている。
非磁性体17の材質としては、非磁性ステンレス、アルミ合金、銅合金、チタン等の非磁性金属又はポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネイト、ポリアセタール等の樹脂が好適である。
このスリーブ状磁石15,16は、軸方向両端部で突出部が突出するように中央部が凹んで溝が形成されており、この溝の中に非磁性体17の内外周端部が隙間を有してそれぞれ配置される。そして、磁性流体4,5がスリーブ状磁石15,16の溝と非磁性体17の内外周端との隙間に充填されている。
このスリーブ状磁石15,16は、スリーブ状磁石15,16の溝内に非磁性体17を挿入可能とする弾性変形特性を有しており、非磁性体17のスムーズな装着ができる。
スリーブ状磁石15,16の材質として可撓性は有しないが磁気力の強い焼結金属性等を用いた場合には、非磁性体17の材質として樹脂やゴム等の可撓性を有するものを用いればよい。
また、スリーブ状磁石15,16の軸方向両端部の突出部(即ち、非磁性体17との対向面の内溝以外の部分)には、表面に撥油性膜18,19が形成されている。この撥油性膜18,19によって、スリーブ状磁石15,16の溝内の磁性流体4,5が外部へぬれ広がることが防止される。
なお、撥油性膜18,19の形成処理としては、膜形成以外にコーティングや塗布等による処理もあり、フッ素系撥油剤などの材料を用いる。
以上の磁性流体シール装置は、スリーブ状磁石15,16と非磁性体17との間に予め磁性流体4,5を充填した状態で、ハウジング1とシャフト2の間にワンタッチで容易に装着される。
このような磁性流体シール装置では、スリーブ状磁石15,16の保持する磁性流体4,5によって非磁性体17が浮揚支持されており、装置がどのような向きに置かれても非磁性体17が浮揚する。
そして、非磁性体17と磁性流体4,5とで、ハウジング1とシャフト2間のシールを行う。この効果は、ハウジング1に対してシャフト2をスリーブ状磁石15,16と非磁性体17の内外周面との2つの隙間の合計分の偏芯によってシール機能を発揮することができる。
したがって、非磁性体17の内外周の両方に磁性流体4,5を保持する隙間を有する構成であり、両方の隙間の和がハウジング1とシャフト2との同軸度の許容値となり、精度が低くてもシール性を発揮することができる。
そして、スリーブ状磁石15,16が保持する磁性流体4,5により磁気力で非磁性体17が浮揚しているので、非磁性体17を慣性体として、磁性流体4,5を粘性減衰手段とする回転イナーシャダンパとしての機能も発揮する。
また、磁性流体シール装置に用いている部材も、ポールピース等の部材が無く、非磁性体17だけが厚みを必要とするので、構成部材が削減でき、装置の薄型化ができる。また、ポールピース等の部材などとの部材同士の接合の必要もなく製造容易となる。
さらに、スリーブ状磁石15,16の溝に非磁性体17の内外周端部を配置するので、予め磁性流体4,5を充填した装置の組み上がった状態で装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなった。
特に、環状磁石が磁気的に浮揚される上記第1〜第15の実施の形態とは異なり非磁性体17が磁気的に浮揚されるので、磁気力を変えないで非磁性体17を薄く軽くできるため、軸径が大きくなる場合に装置を大径化しても非磁性体17を磁気的に浮揚させることができる。
なお、本実施の形態以下の実施の形態におけるスリーブ状磁石の着磁方向は径方向、軸方向のいずれでもよい。
(第17の実施の形態)
第17図は第17の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第17の実施の形態は、非磁性体17の径方向側面に撥油性膜20を形成したものである。その他の構成は第16の実施の形態と同じ構成である。
非磁性体17には、磁性流体4,5と接触させない部分、即ち非磁性体17の角部を除いた径方向側面に、撥油性膜20を形成した。
ただし、非磁性体17の径方向側面の角部は、撥油性膜20が形成されておらず、磁性流体4,5の付着によりシールや磁気浮揚に関係する。
これにより、磁性流体4,5が非磁性体17の径方向側面にぬれ広がり、シールに必要な磁性流体量が減少することを防止でき、より少ない予め充填する磁性流体充填量であらゆる向きに対してシール機能を発揮することができる。
(第18の実施の形態)
第18図は第18の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第18の実施の形態は、非磁性体17の径方向側面に切り欠き部21を形成したものである。その他の構成は第16の実施の形態と同じ構成である。
非磁性体17には、磁性流体4,5と接触させない部分、即ち非磁性体17の角部を除いたハウジング1とシャフト2間に延びる径方向側面に、切り欠き部21を形成した。
これにより、非磁性体17の軽量化が図られ、より低い飽和磁化の磁性流体4,5或いはより少ない磁性流体充填量であらゆる向きに対して非磁性体17を浮揚することができる。
(第19の実施の形態)
第19図は第19の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第19の実施の形態は、非磁性体17の径方向側面の切り欠き部21に加えて内外周面の中央部に切り欠き部22を形成したものである。その他の構成は第16の実施の形態と同じ構成である。
非磁性体17には、第3の実施の形態と同様に磁性流体4,5と接触させない部分、即ち非磁性体17の角部を除いたハウジング1とシャフト2間に延びる径方向側面に、切り欠き部21を形成した。
加えて、非磁性体17の角部を除いたハウジング1又はシャフト2のいずれかと対向する内外周面の中央部にも切り欠き部22を形成した。
これにより、非磁性体17の軽量化がさらに図られ、さらにより低い飽和磁化の磁性流体4,5或いはより少ない磁性流体充填量であらゆる向きに対して非磁性体17を浮揚することができる。
(第20の実施の形態)
第20図は第20の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第20の実施の形態は、シャフト2に嵌合されるスリーブ状磁石161に溝を形成せず、非磁性体17と対向する対向面の軸方向両端部に撥油性膜19を形成したものである。その他の構成は第16の実施の形態と同じ構成である。
シャフト2に嵌合されるスリーブ状磁石161は、第11の実施の形態のような溝が形成されない円筒状であり、非磁性体17と対向する対向面の軸方向両端部に撥油性膜19が形成されている。
この様な構成でも、スリーブ状磁石161上に磁性流体5が保持され、非磁性体17はあらゆる向きに対して磁気力で浮揚し、シャフト2の回転に対してダストシールとして機能する。
なお、本実施の形態とは逆に、ハウジング1のスリーブ状磁石に溝を形成せず、非磁性体17と対向する対向面の軸方向両端部に撥油性膜18を形成しても同様の効果を得ることができる。
(第21の実施の形態)
第21図は第21の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第21の実施の形態は、ハウジング1とシャフト2との間に相対往復運動も行われており、シャフト2に嵌合されるスリーブ状磁石162を軸方向に往復運動長さ分に延ばしたものである。その他の構成は第16の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態においては、ハウジング1とシャフト2との間に相対回転運動が行われているだけでなく、ハウジング1とシャフト2との間に相対往復運動も行われており、本形態ではシャフト2が往復運動する。
このため、磁性流体5をスリーブ状磁石162上の平面部全てに保持することにより非磁性体17を浮揚させて磁性流体シール装置を安定して支持する必要があり、本形態ではシャフト2に嵌合されるスリーブ状磁石162を軸方向にシャフト2が往復運動する長さ分に延ばし、スリーブ状磁石162上の磁性流体5を平面部全てに保持させた構成である。
この際、磁性流体5のスリーブ状磁石162上の軸方向両端部へのぬれ防止として、シャフト2に嵌合されるスリーブ状磁石162の軸方向両端部には、撥油性膜19が形成されている。
この様な構成でも、非磁性体17はあらゆる向きに対して磁気力で浮揚し、シャフト2の回転・往復運動に対してダストシールとして機能する。もちろん、本実施の形態は、シャフト2が往復運動のみを行う場合にも好適である。
なお、本実施の形態とは逆に、ハウジング1のスリーブ状磁石を軸方向に往復運動長さ分に延ばし、非磁性体17と対向する対向面に磁性流体を保持しても同様の効果を得ることができる。
(第22の実施の形態)
第22図は第22の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第22の実施の形態は、ハウジング1とシャフト2との間に相対往復運動も行われており、シャフト2に嵌合されるスリーブ状磁石163に溝を形成せずに軸方向に往復運動長さ分に延ばし、非磁性体17と対向する対向面の軸方向両端部を除く平面部に磁性流体5を保持し、軸方向両端部に撥油性膜19を形成したものである。その他の構成は第16の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態においては、第20の実施の形態と同様に、ハウジング1とシャフト2との間に相対回転運動が行われているだけでなく、ハウジング1とシャフト2との間に相対往復運動も行われており、本形態ではシャフト2が往復運動する。
このため、磁性流体5をスリーブ状磁石163上の軸方向両端部を除く平面部に保持することにより非磁性体17を浮揚させて磁性流体シール装置を安定して支持する必要があり、本形態ではシャフト2に嵌合される円筒状のスリーブ状磁石163を軸方向にシャフト2が往復運動する長さ分に延ばし、スリーブ状磁石163上の磁性流体5を軸方向両端部を除く平面部に保持させた構成である。
この際、磁性流体5のスリーブ状磁石163上へのぬれ防止として、シャフト2に嵌合されるスリーブ状磁石163には、非磁性体17と対向する対向面の軸方向両端部に撥油性膜19が形成されている。
ここで、第21の実施の形態と異なり、シャフト2に嵌合されるスリーブ状磁石163は、第16の実施の形態のような溝が形成されない円筒状である。
この様な構成でも、非磁性体17はあらゆる向きに対して磁気力で浮揚し、シャフト2の回転・往復運動に対してダストシールとして機能する。もちろん、本実施の形態は、シャフト2が往復運動のみを行う場合にも好適である。
なお、本実施の形態とは逆に、ハウジング1のスリーブ状磁石を軸方向に往復運動長さ分に延ばし、非磁性体17と対向する対向面に磁性流体を保持し、第16の実施の形態のような溝が形成されていなくても同様の効果を得ることができる。
(第23の実施の形態)
第23図は第23の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第23の実施の形態は、第16の実施の形態においてスリーブ状磁石15,16をそれぞれ2分割した断面L字状部材で構成したものである。その他の構成は第16の実施の形態と同じ構成である。
本実施の形態は、第23図(a)に示すように、スリーブ状磁石15,16をそれぞれ2分割した2つの断面L字状部材で構成したものである。2つの断面L字状部材は、軸方向部と軸方向部から各々軸方向で反対側の端部で径方向に突出した突出部とからなり、2つの断面L字状部材の軸方向部が重ね合わされて1つのスリーブ状磁石15,16となる。
ここで、図の右側の断面L字状部材を先に装着し、その後に図の左側の断面L字状部材を重ね合わせるので、その図の左側の断面L字状部材に予め非磁性体17の配置及び磁性流体4,5の充填を行っておけば容易に装置を構成することができる。あるいは、図の左側の断面L字状部材の中に非磁性体17を挿入し、続いて図の右側の断面L字状部材を重ね合わせた後、磁性流体4,5を充填しておけば、シール装置として組み上がった状態で装置に装着できる。
この時のスリーブ状磁石15の着磁パターンを第23図(b)、第23図(c)にそれぞれ示す。第23図(b)は単極着磁のスリーブ状磁石15であり、第23図(c)は多極着磁のスリーブ状磁石15である。このスリーブ状磁石15は軸方向に並んで極を有するものである。
これにより、非磁性体17のスリーブ状磁石15,16の溝内への配置が容易になる。また、非磁性体17やスリーブ状磁石15,16といった構成部品が弾性変形性を有しなくても構成できるので、材料選定の自由度が大きくなる。
産業上の利用の可能性
以上説明したように、本発明は、磁性流体で磁力発生手段を浮揚支持し、磁力発生手段及び磁性流体で2部材間をシールすることで、磁力発生手段と2部材の各部材表面との間の2つの隙間の和が2部材の偏芯の許容値となり、同軸度の精度が低くてもシール性を発揮することができる。また、従来用いていたポールピースなどの部材が必要なくなり、構成部材が削減でき装置の薄型化にも有効であり、かつ部材同士の接合の必要もなく製造容易となる。さらに、磁力発生手段が磁性流体により磁気力で浮揚しているので、磁力発生手段を慣性体として、磁性流体を粘性減衰手段とする回転イナーシャダンパとしての機能も発揮する。
少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合されたスリーブを備え、スリーブの磁力発生手段との対向面に溝を形成したことで、磁力発生手段とスリーブとの間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。
スリーブは、軸方向部と軸方向部から各々軸方向で反対側の端部で径方向に突出した突出部とからなる2つの断面L字状部材を有し、断面L字状部材の軸方向部が重ね合わされて構成されることで、磁力発生手段のスリーブの溝内への配置が容易になる。また、構成部品が弾性変形性を有しなくても構成できるので、材料選定の自由度が大きくなる。
スリーブの磁力発生手段との対向面の少なくとも溝以外の表面部分に撥油性膜を形成したことで、磁性流体が溝以外の表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
スリーブは、径方向に突出した部分をゴム状弾性体で構成したことで、ゴム状弾性体を変形させることにより、磁力発生手段のスリーブの溝内への配置が容易になる。
スリーブは、一方の部材に嵌合する部分をゴム状弾性体で構成したことで、スリーブの一方の部材との嵌合に両者の接着が不要となる。
磁力発生手段の2部材との対向端を尖らせており、尖らせた先端に磁束を集中させて磁性流体を磁気的に保持したことで、磁性流体が分散せず効率よく集中して保持されるため、磁性流体充填量を削減することができる。
スリーブの溝も磁力発生手段の尖らせた対向端に合わせた形状に形成したことで、磁性流体の分散をさらに防止することができる。
磁力発生手段の尖らせた対向端とスリーブの溝との隙間は、磁力発生手段の尖らせた対向端の先端に向かうほど狭くなることで、さらに磁性流体充填量を削減することができる。
磁力発生手段の尖らせた対向端は、断面三角状の突起形状であることで、尖らせた先端に磁束を集中させて磁性流体を分散せず効率よく集中して保持することができる。
磁力発生手段の尖らせた対向端は、断面円弧状の突起形状であることで、尖らせた先端に磁束を集中させて磁性流体を分散せず効率よく集中して保持することができる。
少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合されたスリーブを備え、スリーブの少なくとも軸方向両側端部に撥油性膜を形成したことで、磁力発生手段とスリーブとの間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、磁性流体がスリーブの軸方向両側端部にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
2部材は相対往復移動可能であって、少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合された2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延びるスリーブを備えたことで、磁力発生手段とスリーブとの間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延びるスリーブ上の磁性流体を滑らせることができる。
スリーブは、磁力発生手段との対向面に2部材の往復移動長さに応じた溝を形成したことで、磁力発生手段とスリーブとの間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、溝外への磁性流体の飛散も防止されるので、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、2部材の往復移動長さに応じたスリーブの溝内で磁性流体を滑らせることができる。
スリーブの磁力発生手段との対向面に撥油性膜を形成したことで、相対往復移動時に滑る磁性流体が表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
スリーブは、スリーブの溝内に磁力発生手段を挿入可能とする弾性変形特性を有することで、磁力発生手段のスムーズな装着ができる。
2部材及びスリーブは、非磁性材であることで、磁性流体を磁力発生手段の磁極に集め、磁力発生手段を磁気的に浮揚させることができる。
少なくとも2部材の内一方の部材の磁力発生手段との対向面に溝を形成したことで、従来用いていたポールピースやスリーブなどの部材が必要なくなり、磁力発生手段と磁性流体だけで装置を構成でき、構成部材が削減でき、薄型化が大幅に可能となる。
少なくとも2部材の内一方の部材の磁力発生手段との対向面に撥油性膜を形成したことで、磁性流体が一方の部材表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
磁力発生手段は、溝内に磁力発生手段を挿入可能とする弾性変形特性を有することで、磁力発生手段のスムーズな装着ができる。
磁力発生手段の磁性流体と接触させない部分に撥油性膜を形成したことで、磁性流体が磁力発生手段表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
磁力発生手段の磁性流体と接触させない部分に切り欠き部を形成したことで、磁力発生手段の軽量化が図れ、より確実に磁力発生手段を浮揚させることができる。
磁力発生手段の2部材間に延びる側面に切り欠き部を形成したことで、磁力発生手段の軽量化が図れ、より確実に磁力発生手段を浮揚させることができる。
磁力発生手段の2部材との対向端面の中央部に切り欠き部を形成したことで、磁力発生手段の軽量化が図れ、より確実に磁力発生手段を浮揚させることができる。
磁力発生手段は、軸方向或いは径方向に単極或いは多極着磁された磁石であることで、磁石が磁性流体と共に2部材間を埋めて2部材間のシールを行うことができる。
また、本発明は、磁性流体で非磁性体を浮揚支持し、非磁性体及び磁性流体で2部材間をシールすることで、非磁性体と2部材の各部材表面との間の2つの隙間の和が2部材の偏芯の許容値となり、同軸度の精度が低くてもシール性を発揮することができる。また、従来用いていたポールピースなどの部材が必要なくなり、構成部材が削減でき装置の薄型化にも有効であり、かつ部材同士の接合の必要もなく製造容易となる。さらに、非磁性体が磁性流体により磁気力で浮揚しているので、非磁性体を慣性体として、磁性流体を粘性減衰手段とする回転イナーシャダンパとしての機能も発揮する。特に、磁気力を変えないで非磁性体を薄く軽くできるため、装置を大径化しても非磁性体を磁気的に浮揚させることができる。
少なくとも一方のスリーブ状磁力発生手段の非磁性体との対向面に溝を形成したことで、スリーブ状磁力発生手段と非磁性体との間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。
スリーブ状磁力発生手段は、軸方向部と軸方向部から各々軸方向で反対側の端部で径方向に突出した突出部とからなる2つの断面L字状部材を有し、断面L字状部材の軸方向部が重ね合わされて構成されることで、非磁性体のスリーブ状磁力発生手段の溝内への配置が容易になる。また、構成部品が弾性変形性を有しなくても構成できるので、材料選定の自由度が大きくなる。
スリーブ状磁力発生手段の非磁性体との対向面の少なくとも溝以外の表面部分に撥油性膜を形成したことで、磁性流体が溝以外の表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
スリーブ状磁力発生手段の少なくとも軸方向両側端部に撥油性膜を形成したことで、スリーブ状磁力発生手段と非磁性体との間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、磁性流体がスリーブ状磁力発生手段の軸方向両側端部にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
2部材は相対往復移動可能であって、少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合されたスリーブ状磁力発生手段を2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延ばしたことで、スリーブ状磁力発生手段と非磁性体との間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延びるスリーブ状磁力発生手段上に磁性流体を保持することができる。
スリーブ状磁力発生手段は、非磁性体との対向面に2部材の往復移動長さに応じた溝を形成したことで、スリーブ状磁力発生手段と非磁性体との間に予め磁性流体を充填した状態での装置の装着ができ、装着が容易になると共に、溝外への磁性流体の飛散も防止されるので、磁性流体充填量の管理がし易くなる。また、2部材の往復移動長さに応じたスリーブ状磁力発生手段の溝内で磁性流体を保持することができる。
スリーブ状磁力発生手段は、スリーブ状磁力発生手段の溝内に非磁性体を挿入可能とする弾性変形特性を有することで、非磁性体のスムーズな装着ができる。
非磁性体は、スリーブ状磁力発生手段の溝内に非磁性体を挿入可能とする弾性変形特性を有することで、非磁性体のスムーズな装着ができる。
非磁性体の磁性流体と接触させない部分に撥油性膜を形成したことで、磁性流体が非磁性体表面にぬれ広がり、シールに用いる磁性流体量が減少することが防止できる。
非磁性体の磁性流体と接触させない部分に切り欠き部を形成したことで、非磁性体の軽量化が図れ、より確実に非磁性体を浮揚させることができる。
非磁性体の2部材間に延びる側面に切り欠き部を形成したことで、非磁性体の軽量化が図れ、より確実に非磁性体を浮揚させることができる。
非磁性体の2部材との対向端面の中央部に切り欠き部を形成したことで、非磁性体の軽量化が図れ、より確実に非磁性体を浮揚させることができる。
スリーブ状磁力発生手段は、軸方向或いは径方向に単極或いは多極着磁された磁石であることで、磁石が2部材にそれぞれ嵌合されて磁性流体を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第2図は、第2の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第3図は、第3の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第4図は、第4の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第5図は、第5の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第6図は、第6の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第7図は、第7の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第8図は、第8の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第9図は、第9の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第10図は、第10の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第11図は、第11の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図及び環状磁石の着磁状態を示す図である。
第12図は、第12の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第13図は、第13の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第14図は、第14の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第15図は、第15の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第16図は、第16の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第17図は、第17の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第18図は、第18の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第19図は、第19の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第20図は、第20の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第21図は、第21の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第22図は、第22の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
第23図は、第23の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図及びスリーブ状磁石の着磁状態を示す図である。
第24図は、従来技術の磁性流体シール装置を示す半断面図である。
Claims (39)
- 互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって、
2部材間に配置された磁力を発生する磁力発生手段と、
該磁力発生手段の2部材との対向端に磁気的に保持されて前記磁力発生手段と2部材の各部材表面との間の2つの隙間を密封する磁性流体と、
を備え、
前記磁性流体で前記磁力発生手段を浮揚支持し、前記磁力発生手段及び前記磁性流体で2部材間をシールすることを特徴とする磁性流体シール装置。 - 少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合されたスリーブを備え、
該スリーブの前記磁力発生手段との対向面に溝を形成したことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の磁性流体シール装置。 - 前記スリーブは、軸方向部と該軸方向部から各々軸方向で反対側の端部で径方向に突出した突出部とからなる2つの断面L字状部材を有し、該断面L字状部材の前記軸方向部が重ね合わされて構成されることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブの前記磁力発生手段との対向面の少なくとも溝以外の表面部分に撥油性膜を形成したことを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブは、径方向に突出した部分をゴム状弾性体で構成したことを特徴とする請求の範囲第2項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブは、前記一方の部材に嵌合する部分をゴム状弾性体で構成したことを特徴とする請求の範囲第2項又は第5項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段の2部材との対向端を尖らせており、尖らせた先端に磁束を集中させて前記磁性流体を磁気的に保持したことを特徴とする請求の範囲第1項、第2項、第5項又は第6項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブの溝も前記磁力発生手段の尖らせた対向端に合わせた形状に形成したことを特徴とする請求の範囲第7項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段の尖らせた対向端と前記スリーブの溝との隙間は、前記磁力発生手段の尖らせた対向端の先端に向かうほど狭くなることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段の尖らせた対向端は、断面三角状の突起形状であることを特徴とする請求の範囲第7項、第8項又は第9項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段の尖らせた対向端は、断面円弧状の突起形状であることを特徴とする請求の範囲第7項、第8項又は第9項に記載の磁性流体シール装置。
- 少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合されたスリーブを備え、
該スリーブの少なくとも軸方向両側端部に撥油性膜を形成したことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の磁性流体シール装置。 - 2部材は相対往復移動可能であって、
少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合された2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延びるスリーブを備えたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の磁性流体シール装置。 - 前記スリーブは、前記磁力発生手段との対向面に2部材の往復移動長さに応じた溝を形成したことを特徴とする請求の範囲第13項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブの前記磁力発生手段との対向面に撥油性膜を形成したことを特徴とする請求の範囲第13項又は第14項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブは、前記スリーブの溝内に前記磁力発生手段を挿入可能とする弾性変形特性を有することを特徴とする請求の範囲第2項、第4項、第14項又は第15項に記載の磁性流体シール装置。
- 2部材及び前記スリーブは、非磁性材であることを特徴とする請求の範囲第2項、第3項、第4項、第7項〜第16項に記載の磁性流体シール装置。
- 少なくとも2部材の内一方の部材の前記磁力発生手段との対向面に溝を形成したことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の磁性流体シール装置。
- 少なくとも2部材の内一方の部材の前記磁力発生手段との対向面に撥油性膜を形成したことを特徴とする請求の範囲第18項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段は、前記溝内に前記磁力発生手段を挿入可能とする弾性変形特性を有することを特徴とする請求の範囲第2項、第4項、第14項又は第15項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段の前記磁性流体と接触させない部分に撥油性膜を形成したことを特徴とする請求の範囲第1項〜第20項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段の前記磁性流体と接触させない部分に切り欠き部を形成したことを特徴とする請求の範囲第1項〜第21項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段の2部材間に延びる側面に切り欠き部を形成したことを特徴とする請求の範囲第22項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段の2部材との対向端面の中央部に切り欠き部を形成したことを特徴とする請求の範囲第22項又は第23項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記磁力発生手段は、軸方向或いは径方向に単極或いは多極着磁された磁石であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第24項に記載の磁性流体シール装置。
- 互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって、
2部材にそれぞれ嵌合された磁力を発生するスリーブ状磁力発生手段と、
該スリーブ状磁力発生手段間に配置された非磁性体と、
該スリーブ状磁力発生手段の前記非磁性体との対向面に磁気的に保持されて前記スリーブ状磁力発生手段と前記非磁性体との間の2つの隙間を密封する磁性流体と、
を備え、
前記磁性流体で前記非磁性体を浮揚支持し、前記非磁性体及び前記磁性流体で2部材間をシールすることを特徴とする磁性流体シール装置。 - 少なくとも一方の前記スリーブ状磁力発生手段の前記非磁性体との対向面に溝を形成したことを特徴とする請求の範囲第26項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブ状磁力発生手段は、軸方向部と該軸方向部から各々軸方向で反対側の端部で径方向に突出した突出部とからなる2つの断面L字状部材を有し、該断面L字状部材の前記軸方向部が重ね合わされて構成されることを特徴とする請求の範囲27項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブ状磁力発生手段の前記非磁性体との対向面の少なくとも溝以外の表面部分に撥油性膜を形成したことを特徴とする請求の範囲第27項又は第28項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブ状磁力発生手段の少なくとも軸方向両側端部に撥油性膜を形成したことを特徴とする請求の範囲第26項に記載の磁性流体シール装置。
- 2部材は相対往復移動可能であって、
少なくとも2部材の内一方の部材に嵌合された前記スリーブ状磁力発生手段を2部材の往復移動長さに応じて軸方向に延ばしたことを特徴とする請求の範囲第26項に記載の磁性流体シール装置。 - 前記スリーブ状磁力発生手段は、前記非磁性体との対向面に2部材の往復移動長さに応じた溝を形成したことを特徴とする請求の範囲第31項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブ状磁力発生手段は、前記スリーブ状磁力発生手段の溝内に前記非磁性体を挿入可能とする弾性変形特性を有することを特徴とする請求の範囲第27項、第29項又は第32項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記非磁性体は、前記スリーブ状磁力発生手段の前記溝内に前記非磁性体を挿入可能とする弾性変形特性を有することを特徴とする請求の範囲第27項、第29項又は第32項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記非磁性体の前記磁性流体と接触させない部分に撥油性膜を形成したことを特徴とする請求の範囲第26項〜第34項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記非磁性体の前記磁性流体と接触させない部分に切り欠き部を形成したことを特徴とする請求の範囲第26項〜第35項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記非磁性体の2部材間に延びる側面に切り欠き部を形成したことを特徴とする請求の範囲第36項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記非磁性体の2部材との対向端面の中央部に切り欠き部を形成したことを特徴とする請求の範囲第36項又は第37項に記載の磁性流体シール装置。
- 前記スリーブ状磁力発生手段は、軸方向或いは径方向に単極或いは多極着磁された磁石であることを特徴とする請求の範囲第26項〜第38項に記載の磁性流体シール装置。
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