JP4016793B2 - 磁性流体シール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対運動する磁性流体シール装置に関するものであり、例えば、半導体製造装置、液晶パネルディスプレイ製造装置、ハードディスク製造装置、光学部品製造装置等の生産機のダストシールや、カメラ、ハードディスクドライブ、光学部品等の製品に内蔵するダストシールとして適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の磁性流体シール装置は、2部材間の隙間を、2部材の内一方の部材側に保持された磁性流体で他方の部材表面に接触して隙間を密封していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この磁性流体シール装置の構成例を図7に示す。一般に軸方向に着磁された磁石103を2枚のポールピース104で挟んで接着して非磁性のハウジング101に設置し、ポールピース104と磁性材のシャフト102との隙間に磁性流体105を充填する構成がとられる。
【0004】
しかしながら、この磁性流体シール装置は、ハウジング101に固定されるため、ハウジング101とシャフト102との偏芯の許容値は、ポールピース104とシャフト102との隙間以下となり、ハウジング101とシャフト102との同軸度に高い精度が必要であった。
【0005】
また、このような構成では、磁性流体105の充填を装置組立後に行なわなければならないという煩雑さと磁性流体充填量の管理が難しいといった欠点があった。
【0006】
かかる問題を解決するために、本発明者等は、図8に示すように、特願2001−152418号にて、ハウジング1及びシャフト2にそれぞれ嵌合された断面凹状の非磁性体のスリーブ3,4と、該スリーブ3,4間に形成される空間部に配置された環状の磁石5と、該磁石5と上記スリーブ3,4との隙間に充填された磁性流体6,7とで構成されている磁性流体シール装置を提案している。
【0007】
これは、環状磁石5の表面近傍には磁場勾配が発生しており、その磁場勾配下に置かれた磁性流体6,7は高磁場側(環状磁石5の表面)に吸引され、その反作用として非磁性体からなるスリーブ3,4は低磁場側への斥力を受ける。その結果、環状磁石5はスリーブ3,4と非接触の状態で磁性流体6,7中に浮遊し、同時に磁性流体6,7が環状磁石5とスリーブ3,4との隙間を密封する機能を発揮するというものである。
【0008】
また、かかる構成とすることで、以下のような効果を奏する。
【0009】
(1)環状磁石5が磁性流体6,7間で浮遊しているため、環状磁石5とスリーブ3,4との間に形成される径方向隙間(シャフト側のスリーブおよびハウジング側のスリーブと磁石との隙間の2ヶ所)の和が、ハウジング1とシャフト2との同軸度の許容値(環状磁石5とスリーブ3,4とが接触しない条件)となる。また、環状磁石5とスリーブ3,4との間に形成される軸方向隙間(2ヶ所)の和が、ハウジング1とシャフト2との相対位置の軸方向ズレを許容するため、各部材の加工精度ならびに組立精度が低い場合でもシール性能を発揮することができる。
【0010】
(2)環状磁石5とスリーブ3,4との隙間に予め磁性流体6,7を充填した状態で出荷することができ、そのままの状態で装着することができるため、磁性流体シール装置を回転機械等へ装着する作業が容易になるとともに、磁性流体の充填量を磁性流体シール装置を生産するメーカー側で管理することが可能になる(図7に示す従来の磁性流体シール装置では磁性流体の充填を磁性流体シール装置を回転機械等に使用するユーザー側が実施していた)。
【0011】
(3)環状磁石5が磁性流体6,7間で浮遊しているため、シャフト2が回転すると磁性流体の粘性抵抗によって環状磁石5も回転する(速度はシャフトのそれ以下)。すなわち、従来の磁性流体シール装置と比較して磁性流体のせん断速度が減少するため、磁性流体のせん断による劣化を抑制することができ、長寿命である。
【0012】
(4)密封機能に加えて、環状磁石5を慣性体、磁性流体6,7を粘性減衰手段とする回転イナーシャダンパとしての効果も発揮する。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−124216号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、以下のような問題が生じていた。
【0015】
(1)図7の磁性流体シール装置は、磁気回路を形成してシール部の磁場強度を高めることによってシール耐圧の向上を図っている。これに対し、図8の磁性流体シール装置は、環状磁石5表面の磁場を利用するため、形成される磁場は弱く、その為シール耐圧の向上が困難である。すなわち、図8の磁性流体シール装置においては、形成される磁場が弱いので、所望するシール耐圧を確保するために、磁石とスリーブとの隙間を小さく設定する必要がある。このため、所望のシール耐圧を確保しつつ、ハウジング1とシャフト2との同軸度及び軸方向位置ズレの許容値をより大きくとることは難しい。
【0016】
(2)また、スリーブ3,4を製作する際、方法によってはスリーブ内側の隅部にRが残る。かかる場合に、シール耐圧を確保するために、環状磁石5とスリーブ3,4との隙間を小さく設定しようとすると、環状磁石5の角がスリーブ3,4の内側の隅部に接触してしまう(図9(a)参照)。ゆえに、図9(b)に示すようにスリーブの内側の隅部のR寸法に応じて環状磁石5とスリーブ3,4との隙間を広く設定すればよいが、その場合上述の理由によりシール耐圧向上が困難となる。
【0017】
また、上記(2)の問題を解決すべく、環状磁石5の角部を、スリーブ内側の隅部のRよりも大きく面取りするあるいはスリーブ内側の隅部のRに沿ったR形状とする方法を採用しても、それによって環状磁石5角部の磁場が大幅に減少してしまうため、シール耐圧を向上する上では好ましくない。
【0018】
これに対して、上記の問題点を解決する方法として、環状磁石5の材質を磁力の強いものに変更する、あるいは環状磁石5を多極着磁する等が考えられるが、どちらの方法を採用するにしてもコストアップしてしまう。
【0019】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、相対運動する2部材の同軸度及び軸方向位置ズレの許容値を大きくとった場合、あるいは、スリーブの内側隅部Rが大きい場合においても、所望のシール耐圧を確保することができる磁性流体シール装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る磁性流体シール装置にあっては、
互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって
、前記2部材の内一方の部材側に配置され、前記2部材の内他方の部材側に凹部を有する第1のスリーブと、
前記他方の部材側に配置され、前記一方の部材側に凹部を有する第2のスリーブと、
前記第1のスリーブと第2のスリーブの凹部の間に配置され、磁界を形成する磁界形成手段と、
前記磁界形成手段と前記2つのスリーブとの間の隙間で磁気的に保持されて該隙間を密封する磁性流体と、を備え、
前記磁界形成手段が前記磁性流体間で浮遊する磁性流体シール装置において、
前記磁界形成手段と前記第1のスリーブとの径方向隙間の大きさをR1、
前記磁界形成手段と前記第1のスリーブとの間における軸方向両端のそれぞれの軸方向隙間の大きさをW1、
前記磁界形成手段と前記第2のスリーブとの径方向隙間の大きさをR2、
前記磁界形成手段と前記第2のスリーブとの間における軸方向両端のそれぞれの軸方向隙間の大きさをW2、
とした場合、
R1<W1かつR2>W2かつR1<R2、またはR1>W1かつR2<W2かつR1>R2である
ことを特徴とする。
【0021】
ここで、磁界形成手段としては、単体で磁力を発生する磁石等の磁力発生手段、および該磁力発生手段を磁性材で覆った物等が該当する。
【0022】
かかる構成とすることにより、磁界形成手段と第1のスリーブの径方向隙間あるいは磁界形成手段と第2のスリーブの径方向隙間のどちらか小さい方の隙間で該隙間を形成するスリーブと磁界形成手段との間の密封機能を確保しつつ、他方の大きい方の隙間で2部材間の径方向の位置ズレを吸収し、かつ、径方向の隙間が大きい部材間の軸方向隙間を小さくして該隙間を形成するスリーブと磁界形成手段との間の密封機能を確保し、径方向の隙間が小さい部材間の軸方向隙間を大きくして2部材間の軸方向の位置ズレを吸収することができるので、2部材間の径方向の位置ズレおよび軸方向の位置ズレの許容値を大きくとりつつ、所望の密封機能を確保することが可能であり、また、スリーブの内側隅部に大きなRが残る場合においても、所望の密封機能を確保することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
図1を参照して、実施の形態に係る磁性流体シール装置について説明する。
【0025】
図1は、磁性流体シール装置の断面構成図であり、磁性流体シール装置は、圧力差のある高圧側H及び低圧側Lの2領域間にまたがり、2部材としてのハウジング1とシャフト2間の環状隙間に備えられている。
【0026】
ハウジング1とシャフト2とは相対回転運動が行なわれるものであり、本実施の形態ではシャフト2だけが回転する。なお、ハウジング1とシャフト2は非磁性材で構成されている。
【0027】
この磁性流体シール装置は、シャフト2に嵌合されたシャフト側スリーブ(第1のスリーブ)4と、ハウジング1に嵌合されたハウジング側スリーブ(第2のスリーブ)3と、シャフト側スリーブ4とハウジング側スリーブ3の間に配置されて軸方向に着磁され、磁界を形成する磁界形成手段である環状磁石5と、該環状磁石5とハウジング側スリーブ3との隙間に保持された磁性流体6と、環状磁石5とシャフト側スリーブ4との隙間に保持された磁性流体7と、を備え、環状磁石5が、磁性流体6と磁性流体7との間に浮遊している。
【0028】
すなわち、環状磁石5の内外周端部には磁性流体6,7が磁気的にそれぞれ保持されて、磁性流体6,7がスリーブ3,4に対して接触している。
【0029】
この環状磁石5としては、単極あるいは多極着磁された金属または磁石粉を充填した有機材料等からなる永久磁石を用いることができ、本実施の形態では環状磁石の一例として、磁性流体6,7の間に浮遊させることができるように比重の小さいプラスチック磁石を用いる。その他、ゴム磁石等の環状磁石5を用いることもできる。また、環状磁石5の代わりに、単極あるいは多極着磁された金属または磁石粉を充填した有機材料等からなる永久磁石を鉄等の磁性材で覆った物で代用しても良い。
【0030】
一方、磁性流体としては、Fe3O4等の微粒子を炭化水素油の中にコロイド状に分散させた炭化水素油ベース磁性流体を用いている。
【0031】
スリーブ3,4は、円筒状の非磁性材であるステンレス製のもので、軸方向両端部で突出部が突出するように中央部が凹んで溝が形成されており、この溝の中に環状磁石5の内外周端部が隙間を有して配置される。そして、磁性流体6,7が環状磁石5の内外周端とスリーブ3,4の溝との隙間に充填されている。
【0032】
また、かかる構成の磁性流体シール装置は、環状磁石5とスリーブ3,4との間に予め磁性流体6,7を充填した状態で、ハウジング1とシャフト2の間にワンタッチで容易に装着されるものである。
【0033】
そして、このような磁性流体シール装置では、環状磁石5が磁性流体6,7間に浮遊しており、装置がどのような向きに置かれても環状磁石5が浮遊する。
【0034】
また、かかる構成とすることにより、ハウジング1に対して、シャフト2が環状磁石5の内外周面とスリーブ3,4との2つの隙間の合計分偏芯した場合であっても密封機能を発揮することができる。
【0035】
そして、本実施の形態においては、図2に示すように、
環状磁石5とシャフト側スリーブ4との径方向隙間の大きさをR1、
環状磁石5とシャフト側スリーブ4との軸方向隙間の大きさをW1、
環状磁石5とハウジング側スリーブ3との径方向隙間の大きさをR2、
環状磁石5とハウジング側スリーブ3との軸方向隙間の大きさをW2、
とした場合、
R1>W1かつR2<W2かつR1>R2を満足するような形状としている。
【0036】
かかる構成とすることにより、径方向隙間の小さい環状磁石5とハウジング側スリーブ3間の隙間で主に環状磁石5とハウジング側スリーブ3との間の密封機能を担わせ、径方向隙間の大きい環状磁石5とシャフト側スリーブ4間の隙間で主にハウジング1とシャフト2の径方向の位置ズレを吸収させることができる。
【0037】
また、かかる構成とすることにより、軸方向隙間の小さい環状磁石5とシャフト側スリーブ4間の隙間で主に環状磁石5とシャフト側スリーブ4間の密封機能を担わせ、軸方向隙間の大きい環状磁石5とハウジング側スリーブ3間の隙間で主にハウジングとシャフトの軸方向の位置ズレを吸収させることができる。
【0038】
すなわち、かかる構成の磁性流体シール装置のシール耐圧は、環状磁石5に対向するスリーブ3,4の面上の磁場強度Hと正の相関があり、また、スリーブ3,4の面上の磁場強度Hと、環状磁石5とスリーブ3,4との隙間の大きさgとの間には負の相関があり、一般には、H=aXgb(aは正、bは負)という式で表される。したがって、密封機能を高めるにはシール耐圧を大きくする必要があり、そのためには、環状磁石5とスリーブ3,4との隙間は可能な限り小さい方が望ましい。
【0039】
ゆえに、ハウジング1とシャフト2間の密封機能を高めるには上記R1,R2,W1,W2は全て小さい方が望ましい(図5の条件A参照。なお、図5は環状磁石とスリーブとの隙間の設定値と、シール耐圧および位置ズレの許容値との関係を示したものである。)。
【0040】
しかしながら、R1,R2を共に小さくすると、径方向の位置ズレの許容値が小さくなってしまう(図5の条件A,F参照)。同様に、W1,W2を共に小さくすると、軸方向の位置ズレの許容値が小さくなってしまう(図5の条件A,E参照)。
【0041】
これに対して、ハウジング1とシャフト2との径方向,軸方向の位置ズレの許容値を大きくするためには、R1,R2,W1,W2は全て大きい方が望ましい(図5の条件B参照)。
【0042】
しかしながら、R1,W1を共に大きくすると、環状磁石5とシャフト側スリーブ4間のシール耐圧が小さくなり、環状磁石5とハウジング側スリーブ3間のシール耐圧に関わらず、磁性流体シール装置全体のシール耐圧が小さくなり(図5の条件B,D参照)ハウジング1とシャフト2間の密封機能が低くなってしまう。同様に、R2,W2を共に大きくすると、環状磁石5とハウジング側スリーブ3間のシール耐圧が小さくなり、環状磁石5とシャフト側スリーブ4間のシール耐圧に関わらず、磁性流体シール装置全体のシール耐圧が小さくなり(図5の条件B,C参照)ハウジング1とシャフト2間の密封機能が低くなってしまう。
【0043】
そこで、ハウジングとシャフト間の密封機能を確保しつつハウジングとシャフトの径方向および軸方向の位置ズレの許容値を大きくするには、環状磁石5とシャフト側スリーブ4間および環状磁石5とハウジング側スリーブ3間の隙間それぞれに、径方向か軸方向のいずれか一方の隙間を小さく設定することによってシール耐圧を確保すると共に、環状磁石5とスリーブ3,4間の隙間それぞれに、径方向か軸方向のいずれか一方の隙間を大きく設定することによって、ハウジング1とシャフト2との径方向および軸方向の位置ズレの許容値を大きくすることが望ましい(図5の条件G,H参照)。
【0044】
そのためには、R1<W1かつR2>W2かつR1<R2(図5の条件H)、またはR1>W1かつR2<W2かつR1>R2(図5の条件G)のいずれかの条件を満足することが必要であるが、本実施の形態においては、ハウジングは固定され、シャフトが回転することから、環状磁石5とシャフト側スリーブ4間の径方向隙間(R1)を環状磁石5とハウジング側スリーブ3間の径方向隙間(R2)よりも大きくする、つまり、R1>W1かつR2<W2かつR1>R2となるようにしている。かかる構成とすることにより、シャフトが径方向に大きく振れ回る場合にも、環状磁石5とハウジング側スリーブ3間の径方向隙間(R2)を環状磁石5とシャフト側スリーブ4間の径方向隙間(R1)よりも大きくする場合に比べると、環状磁石5の運動を安定させることができる。
【0045】
なお、シャフトが固定され、ハウジングが回転し、ハウジングが径方向に大きく振れ回る場合には、環状磁石5の運動を安定させるために環状磁石5とハウジング側スリーブ3間の径方向隙間(R2)を環状磁石5とシャフト側スリーブ間の径方向隙間(R1)よりも大きくする、つまり、R1<W1かつR2>W2かつR1<R2である方が望ましい。
【0046】
また、かかる構成とすることにより、両スリーブ3,4の環状磁石5が設けられている側の内側隅部Rが大きい場合においても、環状磁石5とシャフト側スリーブ4の隙間および環状磁石5とハウジング側スリーブ3の隙間のそれぞれにおいて、径方向あるいは軸方向のいずれか一方の隙間は大きいことから、両スリーブ3,4の内側隅部Rと環状磁石5の角部が干渉することを防止することができる。
【0047】
さらに、環状磁石5を磁性流体6,7中に浮遊させるために必要な磁気浮遊力の大きさも、上記のシール耐圧と同様、環状磁石5と両スリーブ3,4間の磁場強度Hと正の相関があるが、本実施の形態とすることにより、環状磁石5の径方向および軸方向に一ヶ所ずつ狭い隙間を設けているため、環状磁石5を磁性流体6,7中に浮遊した状態で安定に保つことができる。
【0048】
次に、本実施の形態に係る磁性流体シール装置(実施例)と従来の技術に係る磁性流体シール装置(比較例)との性能比較実験結果について説明する。
【0049】
<実験条件>
実施例と比較例とでは、環状磁石5と両スリーブ3,4との隙間の大きさを異なるようにしただけであり、その他の条件等は全て同じに設定した。
【0050】
環状磁石5と両スリーブ3,4との隙間の大きさは、実施例が、図2に示すように、R1>W1かつR2<W2かつR1>R2を満足する値である、R1=0.3(mm)、R2=0.1(mm)、W1=0.1(mm)、W2=0.3(mm)とし、比較例が、図3に示すように、R1=R2=W1=W2=0.2(mm)とした。
【0051】
その他の条件等は実施例と比較例ともに同じであり、以下のように設定した。
【0052】
(1)磁性流体シール装置寸法;内径(シャフト側スリーブ4の内径)=φ40(mm)、外径(ハウジング側スリーブ3の外径)=φ50(mm)、厚さ=5(mm)(図4参照)
(2)シャフト回転数;100(rpm)
(3)ハウジングに対するシャフトの径方向振れ量(片振り幅);0〜0.4(mm)
(4)ハウジングとシャフトとの相対位置の軸方向ズレ量;0〜0.4(mm)
(5)環状磁石材質;フェライト系プラスチック磁石
(6)環状磁石寸法;内径42.6(mm)、外径47.4(mm)、厚さ2.4(mm)
(7)磁性流体;炭化水素系
【0053】
<実験結果>
ハウジングに対するシャフトの径方向振れ量(片振幅)をパラメータとして、実施例の磁性流体シール装置のシール耐圧と、比較例の磁性流体シール装置のシール耐圧を比較した結果を図6(a)に示す(但し、ハウジングとシャフトとの相対位置の軸方向ズレ量は0mm)。また、ハウジングとシャフトとの相対位置の軸方向ズレ量をパラメータとして、実施例のシール耐圧と、比較例のシール耐圧を比較した結果を図6(b)に示す(但し、ハウジングに対するシャフトの径方向振れ量は0mm)。
【0054】
なお、図6(a),(b)においては、ハウジングに対するシャフトの径方向振れ量およびハウジングとシャフトとの相対位置の軸方向ズレ量がともに0mmである場合の比較例のシール耐圧を1とした比で表している。また、ハウジングに対するシャフトの径方向振れ量およびハウジングとシャフトとの相対位置の軸方向ズレ量は、ともに実験データの一部である0〜0.3(mm)までのデータを記載した。
【0055】
図6(a),(b)に示すように、実施例の磁性流体シール装置のシール耐圧は、いずれの条件においても比較例のそれより高いことが確認された。特に、シャフトの振れ量が大きな場合(0.3(mm))、実施例のシール耐圧は比較例のそれの約2倍となった。
【0056】
なお、これまで、シール耐圧を向上するために、環状磁石とスリーブとの隙間を狭くし磁場強度を高めるほど良いという事実に基づいて検討してきたが、シール耐圧を向上するためには、その他に(1)環状磁石の磁力を強くする、あるいは(2)環状磁石の形状を変更することによっても可能である。上記(2)の場合について詳述すると、(環状磁石の断面の着磁方向長さ)/(他方の長さ)の値が大きいほど良い。ただし、環状磁石に作用する磁気浮遊力のバランス(軸方向・径方向)を良くするためには、(環状磁石の断面の着磁方向長さ)/(他方の長さ)=1であることが望ましい。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、相対運動する2部材の同軸度及び軸方向位置ずれの許容値を大きくとった場合、あるいは、スリーブの内側隅部が大きなRである場合においても、所望のシール耐圧を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る磁性流体シール装置の半断面図である。
【図2】図1のA部の拡大図である。
【図3】比較例1の磁性流体シール装置の寸法を表す図である。
【図4】実施例1及び比較例1の磁性流体シール装置全体の寸法を表す図である。
【図5】磁性流体シール装置の環状磁石とスリーブとの隙間の設定値と、シール耐圧および位置ズレの許容値との関係を示す図である。
【図6】実験結果を表す図である。
【図7】従来の技術の磁性流体シール装置の半断面図である。
【図8】従来の技術の他の磁性流体シール装置の半断面図である。
【図9】従来の技術の他の磁性流体シール装置においてスリーブ4の内側隅部Rが大きい場合の状態図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 シャフト(軸)
3 ハウジング側スリーブ
4 シャフト側スリーブ
5 環状磁石(磁界形成手段)
6,7 磁性流体
Claims (1)
- 互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって、前記2部材の内一方の部材側に配置され、前記2部材の内他方の部材側に凹部を有する第1のスリーブと、
前記他方の部材側に配置され、前記一方の部材側に凹部を有する第2のスリーブと、
前記第1のスリーブと第2のスリーブの凹部の間に配置され、磁界を形成する磁界形成手段と、
前記磁界形成手段と前記2つのスリーブとの間の隙間で磁気的に保持されて該隙間を密封する磁性流体と、を備え、
前記磁界形成手段が前記磁性流体間で浮遊する磁性流体シール装置において、
前記磁界形成手段と前記第1のスリーブとの径方向隙間の大きさをR1、
前記磁界形成手段と前記第1のスリーブとの間における軸方向両端のそれぞれの軸方向隙間の大きさをW1、
前記磁界形成手段と前記第2のスリーブとの径方向隙間の大きさをR2、
前記磁界形成手段と前記第2のスリーブとの間における軸方向両端のそれぞれの軸方向隙間の大きさをW2、
とした場合、
R1<W1かつR2>W2かつR1<R2、またはR1>W1かつR2<W2かつR1>R2である
ことを特徴とする磁性流体シール装置。
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