JP4240907B2 - 磁性流体シール装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対運動する磁性流体シール装置に関するものであり、例えば精密機械のダストシール装置、真空シール装置、カメラのズームレンズ部の遮光シール装置、防滴シール装置等に適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、相対的に運動を行う2部材としてのシャフトとハウジングとの隙間を密封するためのシール装置としては、通常、ゴムや樹脂等の弾性材料からなるOリングやパッキンが用いられていた。
【0003】
しかし、これらの弾性材料を用いたシール装置では、シール装置とシャフトとの固体同士が摺接してシール機能を発揮するものであるため、摩擦損失が大きくなると共に、摺動部の摩耗によるシール機能の低下のために、長期間の使用に耐えられない問題、摩耗粉が装置内を汚す問題、弾性材料の形状が摩擦抵抗で変形しシール漏れが発生する問題、シャフトに傷ができるとシール漏れが発生する問題等があった。
【0004】
そのため、このような問題を解決するシール装置として、磁性流体シール装置が用いられることがある。
【0005】
従来の磁性流体シール装置は、図15、図16に示すように強磁場部に吸着・保持し得る特性を備えた磁性流体を利用している。そして、2領域間の密封は、ハウジングの内側に備えられた環状の磁石により形成される磁気回路の磁束に磁気的に保持させた磁性流体をシャフトに接触させることにより行われている。
【0006】
図15、図16の磁性流体シール装置の構成は、磁性体からなるシャフト2と、シャフト2を取り囲むハウジング1に固定される1対の環状のポールピース8と、1対の環状のポールピース8の間に挟持され軸方向に異極(NS極)が着磁された環状磁石3と、磁性流体4と、を備えている。
【0007】
そして、シャフト2と1対のポールピース8と環状磁石3とで一回りする磁気回路を形成し、磁性流体4をシャフト2と各々の環状のポールピース8との間に保持することによってシール機能を発揮する。
【0008】
図15、図16の磁性流体シール装置では、シャフト2と磁性流体4とが接触する構成であり、固体同士の摺動部がないため、摩擦損失が小さくなると共に、摩耗がないためダストが発生せず、また長期間の使用に耐えることができる。
【0009】
この磁性流体シール装置は、低摩擦で完全密封可能な回転運動を行う回転軸用のシール装置として実用化され、コンピュータ用磁気ディスク、半導体製造装置等に用いられるダストシール装置や、密封領域の両側で圧力差の存在する真空装置等に用いられる真空シール装置等、多方面で応用されている。
【0010】
さらに、図17に示すように磁性流体4が接触しているシャフト2あるいはハウジング1表面を磁性流体4が濡れないように表面改質膜6で表面改質することにより、磁性流体シール装置を往復動シール装置としても使用できるようになった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0012】
従来技術の磁性流体シール装置は、寿命が磁性流体の基油や活性剤の蒸発によるゲル化等の特性変化で決まってしまうという問題があった。
【0013】
また、往復動シール装置として使用する場合には、磁性流体がシャフト表面の表面改質膜と長時間接触していると徐々に表面改質膜の撥油性が変化してしまい、特に停止状態の位置での接触時間が最も長いため停止状態の位置の撥油性変化が寿命を決めてしまうという問題があった。
【0014】
さらに、ハウジングと固定される部分を接着するという手間がかかっており、取り付け容易化も望まれていた。
【0015】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、長寿命化を図った高性能な磁性流体シール装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって、2部材間に配置されて2部材の内少なくとも一方との隙間に磁束を通過させる磁気回路を形成する磁気回路形成手段と、該磁気回路形成手段が形成した磁気回路の前記隙間を通過する磁束によって磁気的に保持されて前記2部材の内少なくとも一方の表面に接触して前記隙間を密封する炭化水素ベースの磁性流体と、該磁性流体との相溶性が低くかつ表面張力が前記磁性流体の表面張力よりも小さいもので前記磁性流体の表面を被覆する、シリコーンオイル又はフッ素系オイルを用いた被覆流体と、を備えており、該被覆流体は、前記磁性流体が前記磁気回路形成手段により保持される位置へ充填された後、前記磁性流体の表面に滴下されて、前記磁性流体の表面を被覆するか、あるいは、前記磁性流体と前記被覆流体とをエマルジョン状態に混合して前記磁性流体の保持位置へ充填し、前記磁性流体だけを前記磁気回路形成手段の磁束によって引き寄せることで、前記磁性流体の表面を被覆することを特徴とする。
【0017】
ここで、被覆流体の被覆量は、単分子層が形成されれば十分であるが、被覆流体自体の蒸発による減少を考慮し、使用環境、被覆流体の蒸発率、必要寿命から決定する。
【0018】
この構成によると、磁性流体を被覆流体によって被覆することで磁性流体の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0020】
磁性流体が磁気回路形成手段によって保持される位置へ充填された後、磁性流体の表面に被覆流体を滴下して、被覆流体で前記磁性流体の表面を被覆するとに、被覆流体による磁性流体の被覆が良好に行える。
【0022】
あるいは、磁性流体と被覆流体とをエマルジョン状態に混合して磁性流体の保持位置へ充填し、磁性流体だけを磁気回路形成手段の磁束によって引き寄せることで、被覆流体で磁性流体の表面を被覆するによっても、被覆流体による磁性流体の被覆が良好に行える。
【0024】
磁性流体が炭化水素ベースであることに対して、被覆流体としてシリコーンオイル又はフッ素系オイルを用いることによ、被覆流体の被覆が良好に維持できる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。
【0042】
本実施の形態は、磁性流体シール装置を精密機械のダストシール装置、真空シール装置、コンパクトカメラのズームレンズ部やフォーカスレンズ部の遮光シール装置、防滴シール装置等として適用するものである。
【0043】
(第1の実施の形態)
図1を用いて第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置の構成について説明する。図1は第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【0044】
図1に示す磁性流体シール装置は、回転及び往復移動可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動及び相対往復運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転及び往復する。ハウジング1とシャフト2は非磁性材で構成されている。
【0045】
磁性流体シール装置は、ハウジング1に取り付けられて軸方向に着磁された同極を接着された一対の環状磁石3と、一対の環状磁石3の内周に保持された磁性流体4と、磁性流体4を被覆する被覆流体5と、シャフト2表面に撥油処理としてなされた表面改質膜6と、を備える。
【0046】
ここで、一対の環状磁石3が磁気回路形成手段となっている。そして、一対の環状磁石3が形成した磁気回路の環状磁石3とシャフト2との間の隙間を通過する磁束によって磁気的に磁性流体4を保持している。なお、本実施の形態では、一対の環状磁石3は、軸方向に着磁された同極を接着された状態であり、軸方向中央部の磁束密度を大きくする方法が採られている。また、一対の環状磁石3の接着方法は、この軸方向に着磁された同極を接着する着磁方法に限られるものではない。
【0047】
環状磁石3としては、単極或いは多極着磁された金属又は磁石粉を充填した有機材料等からなる永久磁石を用いることができ、本実施の形態では一例としてリング状のプラスチックマグネットを用いる。その他、ゴムマグネット等も用いることができる。
【0048】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0049】
表面改質膜6としては、フッ素系表面改質膜を用いている。
【0050】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。そしてさらに、被覆流体5は、表面張力が表面改質膜6の表面張力よりも大きくかつ表面改質膜6の撥油性を変化させないものである。
【0051】
ここで、被覆流体5の被覆量は、単分子層が形成されれば十分であるが、被覆流体5自体の蒸発による減少を考慮し、使用環境、被覆流体の蒸発率、必要寿命から決定する。
【0052】
なお、被覆流体5としては、シリコーンオイルの他にフッ素系オイルを用いることもできる。
【0053】
この被覆流体5は、磁性流体4の保持位置への充填後、磁性流体4の表面に滴下されて、磁性流体4の表面を被覆する方法が採られる。これにより、磁性流体4の被覆が良好に行える。
【0054】
また、上記の被覆流体5の磁性流体4の表面への滴下する方法以外にも、磁性流体4と被覆流体5とをエマルジョン状態に混合して充填し、磁性流体4だけを環状磁石3の磁束によって引き寄せることで、被覆流体5が磁性流体4の表面を被覆する方法を採ってもよい。
【0055】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0056】
また、磁性流体4と表面改質膜6との直接の接触を防止して、表面改質膜6の撥油性変化が低減でき、これによっても装置の長寿命化を図ることができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
図2は第2の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第2の実施の形態は、ハウジング1にスリーブ7を固定し、スリーブ7に径方向及び軸方向に相対移動可能に一対の環状磁石3を内包させたものである。その他の構成は第1の実施の形態と同じ構成である。
【0058】
本実施の形態では、ハウジング1に固定したスリーブ7を備える。スリーブ7は、円筒状の非磁性材であるポリフェニレンオキサイド製のもので、軸方向両端部で突出部が内径方向に突出するように中央部が凹んで凹部が形成されている。
【0059】
そして、この凹部の中に一対の環状磁石3が隙間を有して配置される。このため、凹部の隙間部分だけ一対の環状磁石3は径方向及び軸方向に相対移動可能となっている。
【0060】
このスリーブ7は、スリーブ7の凹部内に一対の環状磁石3を挿入可能とする弾性変形特性を有しており、一対の環状磁石3のスムーズな装着ができる。
【0061】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0062】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0063】
表面改質膜6としては、フッ素系表面改質膜を用いている。
【0064】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。そしてさらに、被覆流体5は、表面張力が表面改質膜6の表面張力よりも大きくかつ表面改質膜6の撥油性を変化させないものである。
【0065】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0066】
また、磁性流体4と表面改質膜6との直接の接触を防止して、表面改質膜6の撥油性変化が低減でき、これによっても装置の長寿命化を図ることができる。
【0067】
さらに、このような磁性流体シール装置は、一対の環状磁石3が保持する磁性流体4によって浮揚支持されており、一対の環状磁石3がスリーブ7の凹部内で径方向及び軸方向に相対移動可能であるため、偏心時等に磁性流体4による密封性はそのままに一対の環状磁石3の位置を移動することができ、装置の偏心時等の追随性が向上する。
【0068】
(第3の実施の形態)
図3は第3の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第3の実施の形態は、被覆流体5を用いる磁性流体シール装置を回転ダストシール装置に適用したものである。
【0069】
図3に示す磁性流体シール装置は、回転可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転する。ハウジング1は非磁性材で構成され、シャフトは磁性材で構成されている。
【0070】
磁性流体シール装置は、ハウジング1に取り付けられた一対のポールピース8と、その一対のポールピース8の間に挟まれる軸方向に着磁された環状磁石3と、一対のポールピース8の内周先端に保持された磁性流体4と、磁性流体4を被覆する被覆流体5と、を備える。
【0071】
ポールピース8は、シャフト2との間に磁性流体4を保持する隙間を有し、ハウジング1内周に嵌合される。
【0072】
ここで、環状磁石3、ポールピース8、シャフト2、ポールピース8を一回りとする磁気回路が形成され、これらが磁気回路形成手段となっている。そして、この磁気回路のポールピース8とシャフト2との間の隙間を通過する磁束によって磁気的に磁性流体4を保持している。
【0073】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0074】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0075】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0076】
なお、磁性流体シール装置の隣には、ベアリング9が配置されている。
【0077】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0078】
(第4の実施の形態)
図4は第4の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第4の実施の形態は、被覆流体5を用いる磁性流体シール装置を回転真空シール装置に適用したものである。
【0079】
図4に示す磁性流体シール装置は、回転可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転する。ハウジング1は非磁性材で構成され、シャフト2は磁性材で構成されている。
【0080】
磁性流体シール装置は、ハウジング1に取り付けられた一対のポールピース8と、その一対のポールピース8の間に挟まれる軸方向に着磁された環状磁石3と、一対のポールピース8の内周先端に保持された磁性流体4と、磁性流体4を被覆する被覆流体5と、を備える。
【0081】
本実施の形態では、シャフト2の表面に、ポールピース8と対向して複数の突起2aが形成されている。
【0082】
ポールピース8は、シャフト2との間に磁性流体4を保持する隙間を有し、ハウジング1内周に嵌合される。ポールピース8とハウジング1との間には、ポールピース8の外周に形成されたOリング溝に挿入されたOリング10が介在している。
【0083】
ここで、環状磁石3、ポールピース8、シャフト2、ポールピース8を一回りとする磁気回路が形成され、これらが磁気回路形成手段となっている。そして、この磁気回路のポールピース8とシャフト2の突起2aとの間の隙間を通過する磁束によって磁気的に磁性流体4を保持している。
【0084】
よって、本実施の形態では、ポールピース8とシャフト2の各突起2aとの間にそれぞれ磁性流体4が保持されている。
【0085】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0086】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0087】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0088】
なお、磁性流体シール装置の両隣には、ベアリング9が配置されている。
【0089】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0090】
(第5の実施の形態)
図5は第5の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第5の実施の形態は、被覆流体5を用いる磁性流体シール装置を回転ダストシール装置に適用したものである。
【0091】
図5に示す磁性流体シール装置は、回転可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転する。ハウジング1及びシャフト2は非磁性材で構成されている。
【0092】
磁性流体シール装置は、軸方向に着磁された同極を接着された一対の環状磁石3と、一対の環状磁石3の内外周に保持された磁性流体4と、磁性流体4を被覆する被覆流体5と、ハウジング1に固定したスリーブ7と、を備える。
【0093】
ここで、一対の環状磁石3が磁気回路形成手段となっている。そして、一対の環状磁石3が形成した磁気回路の環状磁石3とシャフト2との間の隙間を通過する磁束によって磁気的に磁性流体4を保持している。また、環状磁石3とスリーブ7との間の隙間を通過する磁束によっても磁気的に磁性流体4を保持している。
【0094】
スリーブ7は、円筒状の非磁性材であるポリフェニレンオキサイド製のもので、軸方向両端部で突出部が内径方向に突出するように中央部が凹んで凹部が形成されている。
【0095】
そして、この凹部の中に一対の環状磁石3が隙間を有して配置される。このため、凹部の隙間部分だけ一対の環状磁石3は径方向及び軸方向に相対移動可能となっている。
【0096】
このスリーブ7は、スリーブ7の凹部内に一対の環状磁石3を挿入可能とする弾性変形特性を有しており、一対の環状磁石3のスムーズな装着ができる。
【0097】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0098】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0099】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0100】
なお、磁性流体シール装置の隣には、ベアリング9が配置されている。
【0101】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0102】
さらに、このような磁性流体シール装置は、一対の環状磁石3が保持する磁性流体4によって浮揚支持されており、一対の環状磁石3がスリーブ7の凹部内で径方向及び軸方向に相対移動可能であるため、偏心時等に磁性流体4による密封性はそのままに一対の環状磁石3の位置を移動することができ、装置の偏心時等の追随性が向上する。
【0103】
(第6の実施の形態)
図6は第6の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第6の実施の形態は、多孔質体として被覆流体含浸スリーブ11を備えたものである。
【0104】
図6に示す磁性流体シール装置は、回転及び往復移動可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動及び相対往復運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転及び往復する。ハウジング1とシャフト2は非磁性材で構成されている。
【0105】
磁性流体シール装置は、軸方向に着磁された同極を接着された一対の環状磁石3と、一対の環状磁石3の内周に保持された磁性流体4と、磁性流体4を被覆する被覆流体5と、シャフト2表面に撥油処理としてなされた表面改質膜6と、一対の環状磁石3を取り囲んでハウジング1に固定された被覆流体含浸スリーブ11と、を備える。
【0106】
ここで、一対の環状磁石3が磁気回路形成手段となっている。そして、一対の環状磁石3が形成した磁気回路の環状磁石3とシャフト2との間の隙間を通過する磁束によって磁気的に磁性流体4を保持している。
【0107】
被覆流体含浸スリーブ11は、円筒状の非磁性材であり、軸方向両端部で突出部が内径方向に突出するように中央部が凹んで凹部が形成されている。そして、この凹部の中に一対の環状磁石3が配置される。
【0108】
この被覆流体含浸スリーブ11は、被覆流体含浸スリーブ11の凹部内に一対の環状磁石3を挿入可能とする弾性変形特性を有しており、一対の環状磁石3のスムーズな装着ができる。
【0109】
なお、被覆流体含浸スリーブ11は、弾性変形特性を有さず、一対の環状磁石3が装着できるように分割構成されていてもよい。
【0110】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0111】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0112】
表面改質膜6としては、フッ素系表面改質膜を用いている。
【0113】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。そしてさらに、被覆流体5は、表面張力が表面改質膜6の表面張力よりも大きくかつ表面改質膜6の撥油性を変化させないものである。
【0114】
ここで、被覆流体含浸スリーブ11の突出部の先端は、磁性流体4及び被覆流体5の両方に接触するように構成されている。これにより、被覆流体含浸スリーブ11から被覆流体5の補充が可能となっている。
【0115】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0116】
また、磁性流体4と表面改質膜6との直接の接触を防止して、表面改質膜6の撥油性変化が低減でき、これによっても装置の長寿命化を図ることができる。
【0117】
さらに、磁性流体4を被覆する被覆流体5を被覆流体含浸スリーブ11から補充でき、さらなる長寿命化を図ることができる。
【0118】
(第7の実施の形態)
図7は第7の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第7の実施の形態は、多孔質体として被覆流体含浸スリーブ11を備え、被覆流体含浸スリーブ11と一対の環状磁石3との間に隙間を形成したものである。
【0119】
図7に示す磁性流体シール装置は、回転及び往復移動可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動及び相対往復運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転及び往復する。ハウジング1とシャフト2は非磁性材で構成されている。
【0120】
磁性流体シール装置は、軸方向に着磁された同極を接着された一対の環状磁石3と、一対の環状磁石3の内周に保持された磁性流体4と、磁性流体4を被覆する被覆流体5と、シャフト2表面に撥油処理としてなされた表面改質膜6と、一対の環状磁石3を隙間を有して取り囲んでハウジング1に固定された被覆流体含浸スリーブ11と、を備える。
【0121】
ここで、一対の環状磁石3が磁気回路形成手段となっている。そして、一対の環状磁石3が形成した磁気回路の環状磁石3とシャフト2との間の隙間を通過する磁束によって磁気的に磁性流体4を保持している。
【0122】
被覆流体含浸スリーブ11は、円筒状の非磁性材であり、軸方向両端部で突出部が内径方向に突出するように中央部が凹んで凹部が形成されている。そして、この凹部の中に一対の環状磁石3が隙間を有して配置される。このため、凹部の隙間部分だけ一対の環状磁石3は径方向及び軸方向に相対移動可能となっている。
【0123】
この被覆流体含浸スリーブ11は、被覆流体含浸スリーブ11の凹部内に一対の環状磁石3を挿入可能とする弾性変形特性を有しており、一対の環状磁石3のスムーズな装着ができる。
【0124】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0125】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0126】
表面改質膜6としては、フッ素系表面改質膜を用いている。
【0127】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。そしてさらに、被覆流体5は、表面張力が表面改質膜6の表面張力よりも大きくかつ表面改質膜6の撥油性を変化させないものである。
【0128】
ここで、被覆流体含浸スリーブ11の突出部の先端は、磁性流体4及び被覆流体5の両方に接触するように構成されている。これにより、被覆流体含浸スリーブ11から被覆流体5の補充が可能となっている。
【0129】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0130】
また、磁性流体4と表面改質膜6との直接の接触を防止して、表面改質膜6の撥油性変化が低減でき、これによっても装置の長寿命化を図ることができる。
【0131】
さらに、磁性流体4を被覆する被覆流体5を被覆流体含浸スリーブ11から補充でき、さらなる長寿命化を図ることができる。
【0132】
そしてさらに、このような磁性流体シール装置は、一対の環状磁石3が保持する磁性流体4によって浮揚支持されており、一対の環状磁石3が被覆流体含浸スリーブ11の凹部内で径方向及び軸方向に相対移動可能であるため、偏心時等に磁性流体4による密封性はそのままに一対の環状磁石3の位置を移動することができ、装置の偏心時等の追随性が向上する。
【0133】
(第8の実施の形態)
図8は第8の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第8の実施の形態は、一対の環状磁石3の軸方向両端面に多孔質体として被覆流体含浸環状体12を備えたものである。その他の構成は第2の実施の形態と同じ構成である。
【0134】
本実施の形態では、一対の環状磁石3の軸方向両端面にそれぞれ被覆流体含浸環状体12を備える。被覆流体含浸環状体12は、環状磁石3に接着されている。
【0135】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0136】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0137】
表面改質膜6としては、フッ素系表面改質膜を用いている。
【0138】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。そしてさらに、被覆流体5は、表面張力が表面改質膜6の表面張力よりも大きくかつ表面改質膜6の撥油性を変化させないものである。
【0139】
ここで、被覆流体含浸環状体12の内周先端は、磁性流体4及び被覆流体5の両方に接触するように構成されている。これにより、被覆流体含浸環状体12から被覆流体5の補充が可能となっている。
【0140】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0141】
また、磁性流体4と表面改質膜6との直接の接触を防止して、表面改質膜6の撥油性変化が低減でき、これによっても装置の長寿命化を図ることができる。
【0142】
さらに、磁性流体4を被覆する被覆流体5を被覆流体含浸環状体12から補充でき、さらなる長寿命化を図ることができる。
【0143】
そしてさらに、このような磁性流体シール装置は、一対の環状磁石3が保持する磁性流体4によって浮揚支持されており、一対の環状磁石3がスリーブ7の凹部内で径方向及び軸方向に相対移動可能であるため、偏心時等に磁性流体4による密封性はそのままに一対の環状磁石3の位置を移動することができ、装置の偏心時等の追随性が向上する。
【0144】
(第9の実施の形態)
図9は第9の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第9の実施の形態は、スリーブ7の外周に弾性体としてのゴム13を焼き付けたものである。その他の構成は第5の実施の形態と同じ構成である。
【0145】
本実施の形態では、スリーブ7とハウジング1との間にゴム13を介在させるために、スリーブ7のハウジング1側の外周にゴム13を焼き付けている。
【0146】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0147】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0148】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0149】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0150】
さらに、このような磁性流体シール装置は、一対の環状磁石3が保持する磁性流体4によって浮揚支持されており、一対の環状磁石3がスリーブ7の凹部内で径方向及び軸方向に相対移動可能であるため、偏心時等に磁性流体4による密封性はそのままに一対の環状磁石3の位置を移動することができ、装置の偏心時等の追随性が向上する。
【0151】
そして、スリーブ7の外周にゴム13が焼き付けられていることから、スリーブ7の取り付けの際の接着が不要となり、手間がかからず、取り付けの容易化が図れる。
【0152】
(第10の実施の形態)
図10は第10の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第10の実施の形態は、スリーブ7の外周にOリング溝を形成し、Oリング溝に弾性体としてのOリング14を装着するものである。その他の構成は第5の実施の形態と同じ構成である。
【0153】
本実施の形態では、スリーブ7とハウジング1との間にOリング14を介在させるために、スリーブ7のハウジング1側の外周にOリング溝を形成し、そのOリング溝にOリング14を装着している。
【0154】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0155】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0156】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0157】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0158】
さらに、このような磁性流体シール装置は、一対の環状磁石3が保持する磁性流体4によって浮揚支持されており、一対の環状磁石3がスリーブ7の凹部内で径方向及び軸方向に相対移動可能であるため、偏心時等に磁性流体4による密封性はそのままに一対の環状磁石3の位置を移動することができ、装置の偏心時等の追随性が向上する。
【0159】
そして、スリーブ7の外周にOリング14が装着されていることから、スリーブ7の取り付けの際の接着が不要となり、手間がかからず、取り付けの容易化が図れる。
【0160】
(第11の実施の形態)
図11は第11の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第11の実施の形態は、ポールピース8の外周に弾性体としてのゴム15を焼き付けたものである。その他の構成は第3の実施の形態と同じ構成である。
【0161】
本実施の形態では、ポールピース8とハウジング1との間にゴム15を介在させるために、ポールピース8のハウジング1側の外周にゴム15を焼き付けている。
【0162】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0163】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0164】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0165】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0166】
そして、ポールピース8の外周にゴム15が焼き付けられていることから、ポールピース8の取り付けの際の接着が不要となり、手間がかからず、取り付けの容易化が図れる。
【0167】
(第12の実施の形態)
図12は第12の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第12の実施の形態は、一対のポールピース8に挟まれた環状磁石3の外周側の空間に弾性体としてのゴム製角リング16を挿入したものである。その他の構成は第3の実施の形態と同じ構成である。
【0168】
本実施の形態では、一対のポールピース8及び環状磁石3とハウジング1との間にゴム製角リング16を介在させるために、一対のポールピース8に挟まれた環状磁石3の外周側の空間にゴム製角リング16を挿入している。
【0169】
ゴム製角リング16は、挿入時にポールピース8の外周端よりもハウジング1側へ突き出る寸法のものである。
【0170】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0171】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0172】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0173】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0174】
そして、環状磁石3の外周側の空間にゴム製角リング16を挿入していることから、一対のポールピース8及び環状磁石3の取り付けの際の接着が不要となり、手間がかからず、取り付けの容易化が図れる。
【0175】
(第13の実施の形態)
図13は第13の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第13の実施の形態は、被覆流体5を用いる磁性流体シール装置を回転ダストシール装置に適用したものである。
【0176】
図13に示す磁性流体シール装置は、回転可能な2部材としての筒状のハウジング1と、ハウジング1に挿入されたシャフト2と、の間に備えられている。ハウジング1とシャフト2との間では相対回転運動が行われるものであり、本形態ではシャフト2だけが回転する。ハウジング1とシャフト2は非磁性材で構成されている。
【0177】
磁性流体シール装置は、軸方向に着磁されてハウジング1とシャフト2との間に配置された環状磁石3と、環状磁石3の内外周端部にそれぞれ保持された磁性流体4と、磁性流体4を被覆する被覆流体5と、ハウジング1及びシャフト2にそれぞれ嵌合されたスリーブ7,18と、スリーブ7,18に焼き付けられた弾性体としてのゴム17,19と、を備える。
【0178】
ここで、環状磁石3が磁気回路形成手段となっている。そして、環状磁石3が形成した磁気回路の磁束によって環状磁石3の内外周端部とスリーブ7,18との間に磁性流体4を磁気的にそれぞれ保持している。
【0179】
スリーブ7,18は、円筒状の非磁性材であるポリフェニレンオキサイド製のもので、軸方向両端部で突出部が突出するように中央部が凹んで凹部が形成されており、この凹部の中に環状磁石3の内外周端部が隙間を有してそれぞれ配置される。そして、磁性流体4が環状磁石3の内外周端とスリーブ7,18の凹部との隙間に充填されている。
【0180】
このスリーブ7,18は、スリーブ7,18の凹部内に環状磁石3を挿入可能とする弾性変形特性を有しており、環状磁石3のスムーズな装着ができる。
【0181】
本実施の形態では、スリーブ7とハウジング1との間及びスリーブ18とシャフト2との間にゴム17,19を介在させるために、スリーブ7のハウジング1側の外周にゴム17を焼き付け、スリーブ18のシャフト2側の内周にゴム19を焼き付けている。
【0182】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0183】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0184】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0185】
なお、磁性流体シール装置の隣には、ベアリング9が配置されている。
【0186】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0187】
さらに、このような磁性流体シール装置は、環状磁石3が保持する磁性流体4によって浮揚支持されており、環状磁石3がスリーブ7,18の凹部内で径方向及び軸方向に相対移動可能であるため、偏心時等に磁性流体4による密封性はそのままに環状磁石3の位置を移動することができ、装置の偏心時等の追随性が向上する。
【0188】
そして、スリーブ7,18にゴム17,19が焼き付けられていることから、スリーブ7,18の取り付けの際の接着が不要となり、手間がかからず、取り付けの容易化が図れる。
【0189】
さらにまた、環状磁石3とスリーブ7,18との間に予め磁性流体4を充填した状態で、ハウジング1とシャフト2の間にワンタッチで容易に装着されるので、予め磁性流体4を充填した装置の組み上がった状態で装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。
【0190】
(第14の実施の形態)
図14は第14の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示している。第14の実施の形態は、スリーブ7,18にOリング溝を形成し、Oリング溝に弾性体としてのOリング20,21を装着するものである。その他の構成は第13の実施の形態と同じ構成である。
【0191】
本実施の形態では、スリーブ7とハウジング1との間及びスリーブ18とシャフト2との間にOリング20,21を介在させるために、スリーブ7のハウジング1側の外周にOリング溝を形成しそのOリング溝にOリング20を装着し、スリーブ18のシャフト2側の内周にOリング溝を形成しそのOリング溝にOリング21を装着している。
【0192】
そして、本実施の形態でも、磁性流体4の表面を被覆流体5で被覆している。
【0193】
磁性流体4としては、炭化水素ベースのものを用いている。
【0194】
被覆流体5としては、シリコーンオイルを用いている。被覆流体5は、磁性流体4との相溶性が低くかつ表面張力が磁性流体4の表面張力よりも小さいものである。
【0195】
以上の構成の磁性流体シール装置は、磁性流体4を被覆流体5によって被覆することで磁性流体4の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0196】
さらに、このような磁性流体シール装置は、環状磁石3が保持する磁性流体4によって浮揚支持されており、環状磁石3がスリーブ7,18の凹部内で径方向及び軸方向に相対移動可能であるため、偏心時等に磁性流体4による密封性はそのままに環状磁石3の位置を移動することができ、装置の偏心時等の追随性が向上する。
【0197】
そして、スリーブ7,18にOリング20,21が装着されていることから、スリーブ7,18の取り付けの際の接着が不要となり、手間がかからず、取り付けの容易化が図れる。
【0198】
さらにまた、環状磁石3とスリーブ7,18との間に予め磁性流体4を充填した状態で、ハウジング1とシャフト2の間にワンタッチで容易に装着されるので、予め磁性流体4を充填した装置の組み上がった状態で装置の装着ができ、装着が容易になると共に、磁性流体充填量の管理がし易くなる。
【0199】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、磁性流体を被覆流体によって被覆することで磁性流体の蒸発による特性変化を低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【0200】
また、磁性流体と表面改質膜との直接の接触を防止して、表面改質膜の撥油性変化が低減でき、装置の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図2】第2の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図3】第3の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図4】第4の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図5】第5の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図6】第6の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図7】第7の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図8】第8の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図9】第9の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図10】第10の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図11】第11の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図12】第12の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図13】第13の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図14】第14の実施の形態に係る磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図15】従来技術の磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図16】従来技術の磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【図17】従来技術の磁性流体シール装置を示す半断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 シャフト
2a 突起
3 環状磁石
4 磁性流体
5 被覆流体
6 表面改質膜
7,18 スリーブ
8 ポールピース
9 ベアリング
10 Oリング
11 被覆流体含浸スリーブ
12 被覆流体含浸環状体
13 ゴム
14 Oリング
15 ゴム
16 ゴム製角リング
17,19 ゴム
20,21 Oリング

Claims (3)

  1. 互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって、
    2部材間に配置されて2部材の内少なくとも一方との隙間に磁束を通過させる磁気回路を形成する磁気回路形成手段と、
    該磁気回路形成手段が形成した磁気回路の前記隙間を通過する磁束によって磁気的に保持されて前記2部材の内少なくとも一方の表面に接触して前記隙間を密封する炭化水素ベースの磁性流体と、
    該磁性流体との相溶性が低くかつ表面張力が前記磁性流体の表面張力よりも小さいもので前記磁性流体の表面を被覆する、シリコーンオイル又はフッ素系オイルを用いた被覆流体と、
    を備え
    該被覆流体は、前記磁性流体が前記磁気回路形成手段により保持される位置へ充填された後、前記磁性流体の表面に滴下されて、前記磁性流体の表面を被覆することを特徴とする磁性流体シール装置。
  2. 互いに相対移動可能に組付けられる2部材間をシールする磁性流体シール装置であって、
    該2部材間に配置されて該2部材の内少なくとも一方との隙間に磁束を通過させる磁気回路を形成する磁気回路形成手段と、
    該磁気回路形成手段が形成した磁気回路の前記隙間を通過する磁束によって磁気的に保持されて2部材の内少なくとも一方の表面に接触して前記隙間を密封する炭化水素ベースの磁性流体と、
    該磁性流体との相溶性が低くかつ表面張力が前記磁性流体の表面張力よりも小さいもので前記磁性流体の表面を被覆する、シリコーンオイル又はフッ素系オイルを用いた被覆流体と、
    を備え、
    記被覆流体は、前記磁性流体と前記被覆流体とをエマルジョン状態に混合して前記磁性流体の保持位置へ充填し、前記磁性流体だけを前記磁気回路形成手段の磁束によって引き寄せること前記磁性流体の表面を被覆することを特徴とする磁性流体シール装置。
  3. 記磁気回路形成手段は、軸方向に着磁された同極を接着した一対の環状磁石からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性流体シール装置。
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