JPWO2002076668A1 - レーザ加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、加工装置、特にそのレーザ光のエネルギの測定に関するものである。
背景技術
最近の携帯用情報電子機器等では、電子回路基板に導電層と絶縁層が複数回積層されたビルドアップ多層回路基板を用いることで回路の高密度化を図り、機器の小型化を実現している。このビルドアップ多層回路基板では、絶縁層を挟んだ導電層の配線パターン同士の導通を得るためにバイアホールやスルーホールと称する導通穴が絶縁層に多数設けられており、これらの導通穴の穴あけ工法としてレーザ光を利用する加工方法が用いられている。
このような、従来のレーザ光を用いた回路基板穴明け用のレーザ加工装置は第6図のような構成からなる。レーザ発振器1から出射されたレーザ光2は一対の偏向ミラー、一般的にはガルバノメータ式偏向ミラー5(5a,5b)により反射され、スキャニングレンズ6により被照射物、例えば被加工物4の表面に集光される。
ここで、ガルバノメータ式偏向ミラー(以下適宜、「偏向ミラー」と記す)5を用いてスキャニングレンズ6に入射するレーザ光2の角度を変えることにより被加工物4の表面上に有限な偏向領域7が得られる。通常、偏向ミラー5は一対の偏向ミラー5a,5bによる2軸で構成されるため、その偏向領域7は矩形形状となる。2軸の偏向ミラー5a,5bは互いに自在に角度を変えられるため偏向領域7内のあらゆる部位に自在にレーザ光2を照射することができる。被加工物4は2軸からなる駆動テーブル3に固定されており、ひとつの偏向領域7の加工が終了すると、駆動テーブル3により被加工物4を偏向領域7の一辺の長さに相当する距離だけ移動させることにより、被加工物4の表面に連続的に偏向領域7を展開し被加工物4の全面を加工することができる。
ところで、レーザ加工ではレーザ光2のエネルギにより被加工物4の材料成分を除去することにより加工を行うため、良好な加工を行うためには適正なエネルギのレーザ光2を照射する必要がある。そのためこの種のレーザ加工装置では実際に被加工物4に照射されるレーザ光2のエネルギを設定するためのエネルギ測定手段が備えられている。
従来のレーザ加工装置に備えられたレーザ光のエネルギ測定手段の一例を第7図に示す。エアシリンダー16の先端にエネルギ測定部11を設けることにより、スキャニングレンズ6のレーザ光出射側表面に対向する位置にエネルギ測定部11を出し入れ可能とし、エネルギを測定する場合のみにエネルギ測定部11をスキャニングレンズ6のレーザ光出射側表面に対向する位置に移動し、エネルギ測定を行う。なお、エアシリンダー16自体は、加工ヘッドが固定されているコラム(図示せず)に取り付け・固定されている。
このように設けられた従来のエネルギ測定手段11では、スキャニングレンズ6の中央部を通過するレーザ光のエネルギ、すなわち偏向領域7の中央部に照射されるレーザ光のエネルギのみが測定できるように構成されている。
しかしながら、偏向ミラーとスキャニングレンズを用いたレーザ加工装置では通常50mm四方程度の大きさの偏向領域内を加工するため、従来のレーザ加工装置のようにスキャニングレンズの中央部を通過するレーザ光のエネルギのみを測定するだけでは不十分な場合がある。以下にその理由について詳しく説明する。
レーザ加工ではレーザ光のエネルギにより除去された被加工物の材料成分が加工屑として発生するが、偏向ミラーとスキャニングレンズとを用いたレーザ加工装置では、この加工屑がスキャニングレンズのレーザ光出射側表面に付着することによりレーザ光の通過が阻害されてしまい、適正なエネルギが被加工物に照射できなくなる場合がある。そのため、第8図に示すように、通常の偏向ミラー5とスキャニングレンズ6とを用いたレーザ加工装置では、スキャニングレンズ6の近傍に集塵ダクト20やエアーカーテン21などの汚れ防止手段を設けることにより、スキャニングレンズ6のレーザ光出射側表面への加工屑22の付着を防止するようにしている。
しかしながら、この種のレーザ加工装置に用いられるスキャニングレンズ6のレーザ光出射側表面の口径はφ100mm前後と比較的大きい面積を有するため、上述の汚れ防止手段を設けても部分的にエアーの流れが不十分になったり流れによどみが生じるため汚れ防止が不完全となる部位が生じてしまう。そのような部位では長期間の使用にともない次第に加工屑22が付着しレーザ光2の通過が阻害される状態となってしまう。このような加工屑22が付着しスキャニングレンズ6の表面が汚れた部位をレーザ光2が通過すると、加工屑22によりレーザ光2の吸収や散乱が生じ、被加工物4に届くエネルギが減少するため、偏向領域内でエネルギの不均一が生じてしまう。特に第8図に示すような汚れ防止手段の場合は、集塵ダクト20の近傍のスキャニングレンズ6の周縁部に近い部位で流れの不足やよどみが生じやすいため、この部位に加工屑22が付着し易い傾向がある。
スキャニングレンズ6の周縁部に近い部位が加工屑22が付着するなどして汚れが生じていても、スキャニングレンズ6の中央付近については十分な流れがあり上述の汚れ防止手段が有効に作用するため加工屑22の付着を防止することができ、スキャニングレンズ6のレーザ光出射側表面の汚れは生じない。
このような状況下でスキャニングレンズ6の中央部を通過するレーザ光2のエネルギだけを測定してエネルギの設定を行うと、加工屑22が付着し汚れている部位に対応した偏向領域内の位置ではエネルギ不足となってしまい、その位置では良好な加工が困難となる。経験的には、例えばプリント配線基板の構成材料であるエポキシ樹脂の加工屑がスキャニングレンズ6のレーザ光出射側表面の一部に付着すると、その部位では20%以上エネルギが低下し、それに気づかずに加工を行うと偏向領域の一部が加工不良となってしまう。そのような場合には、アルコール等によりスキャニングレンズ6の下面のクリーニングを行うことにより汚れを除去し、偏向領域全体が良好に加工できるようにする必要がある。このように、スキャニングレンズ6のレーザ光出射側表面への加工屑の付着による偏向領域内でのエネルギの不均一が生じても、クリーニングなどの適正なメンテナンスを行えばエネルギ状態は良好となるが、汚れの進展度合いは加工内容により異なるため、適正なメンテナンス時期を定めることが出来ない。またメンテナンス頻度を高くすると生産性を阻害するという問題も生じる。
以上のように、従来のレーザ加工装置では、スキャニングレンズの中央部を通過するレーザ光のエネルギしか測定を行わないため、スキャニングレンズのレーザ光出射側表面の部分的な汚れによる偏向領域内のエネルギの不均一を把握することができず、加工不良を発生する場合がある。特にこの種のレーザ加工装置においては短時間に大量の生産がなされるため、ひとたび上述のように加工不良が発生すると甚大な損失に発展してしまう。このため、スキャニングレンズの不均一な汚れを把握することが課題となっていた。
この発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、偏向領域内のエネルギの不均一を検出することにより、スキャニングレンズの表面の部分的な汚れを判断し、スキャニングレンズ表面のクリーニングなどの適正なメンテナンスを促すことで、安定した加工品質が得られるレーザ加工装置を得ることを目的とする。
発明の開示
この発明は、偏向ミラーにより偏向されたレーザ光を被加工物上に集光するためのスキャニングレンズを備え、前記偏向ミラーと前記スキャニングレンズとを用いることにより偏向領域内の複数の位置にレーザ光を照射し加工を行うレーザ加工装置であり、前記偏向領域内の複数の異なる測定位置に照射されるレーザ光のエネルギを測定するエネルギ測定手段を備えたレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、偏向領域内の複数の異なる位置に照射されるレーザ光のエネルギを測定することができ、スキャニングレンズの汚れによる、レーザ光の照射される位置による部分的なエネルギ低下の発生を知ることができ、その情報を基に適正なメンテナンスを行うことにより加工不良を発生させることなく長期間にわたり安定した加工を行うことを可能としたものである。
また、この発明は、エネルギ測定手段が、被加工物を載置し移動する駆動テーブルに設けられているレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、エネルギ測定手段だけを移動する機構を別途設けることなく偏向領域内の任意の位置に照射されるレーザ光のエネルギを測定することができるものである。
また、この発明は、各測定位置での測定値を予め設定された許容値と比較する比較手段を備えたレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、加工条件から設定されるレーザ光のエネルギの絶対値の大小に左右されること無く、偏向領域内の特定位置での部分的なエネルギの低下を精度良く検出、把握することができるものである。
また、この発明は、測定値と予め設定された許容値とに基きアラーム出力を行うアラーム発生手段を備えたレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、作業者がスキャニングレンズの表面の汚れを認識し、スキャニングレンズの表面のクリーニング等、適切なメンテナンスを行うことができるものである。
また、この発明は、エネルギ測定を予め決められたスケジュールで実施するスケジュール手段を備えたレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、エネルギ測定のし忘れを防止することができるものである。
また、この発明は、測定値を記憶する記憶手段を備えたレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、照射されるエネルギの時間的な変化等を把握することができ、また、記憶された測定値のデータに基き、適切なメンテナンス時期などを導き出すことができるものである。
また、この発明は、測定されたレーザ光のエネルギの測定値をグラフ表示する表示手段を備えたレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、照射されるエネルギの時間的な変化及び照射される位置による相違等を把握することができ、また、表示された測定値のデータに基き、適切なメンテナンス要領などを導き出すことができるものである。
また、この発明は、エネルギ測定手段が、駆動テーブルの被加工物を載置する載置面に凹部を設けこの凹部内に内設されるものであるレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、エネルギ測定手段が加工ヘッド部の周りに取り付けられた部材等と干渉することを避けることができるものである。
また、この発明は、エネルギ測定手段にはディフォーカスされた状態でレーザ光が照射されるようにスキャニングレンズの高さ位置を調整するフォーカス調整手段を備えたレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、エネルギ測定手段に対して、適切な強度のレーザ光の入射が可能となり、強度が高すぎるレーザ光の入射によるエネルギ測定手段の損傷を防止することができるものである。
また、この発明は、エネルギ測定手段が、レーザ光受光部に対して可動式の保護カバーを備えているレーザ加工装置を提供するものである。
したがって、レーザ光受光部に対して加工屑などが付着することを防止でき、長期間にわたり安定したエネルギ測定ができるものである。
発明を実施するための最良の形態
実施の形態1.
この発明の第一の実施の形態によるレーザ加工装置を、第1図乃至図5を用いて説明する。
第1図はこの発明の第一の実施の形態によるレーザ加工装置の概略構成図である。第1図において、符号1乃至7のものは、従来のものと同一または相当のものであるため、詳細な説明は省略することとする。9は折り返しミラー、13は加工ヘッド部である。
ここで、偏向ミラー5a,5b,スキャニングレンズ6及び折り返しミラー9は上下方向、すなわち駆動テーブル3の面に垂直な方向へ移動可能な加工ヘッド部13の中に組み込まれている。偏向ミラー5a,5bを2軸で構成しスキャニングレンズ6へ入射するレーザ光2の角度を変えることで被加工物4の表面上に有限な矩形形状の偏向領域7が得られる。2軸の偏向ミラー5a,5bは互いに自在に角度を変えられるため、偏向領域7内のあらゆる位置に自在にレーザ光を照射することができる。被加工物4は2軸からなる駆動テーブル3に真空吸着により固定されており、ひとつの偏向領域7の加工が終了すると駆動テーブル3により偏向領域7の一辺の長さに相当する距離だけ移動することにより、被加工物4の上に連続的に偏向領域7を展開し被加工物4の加工対象の面を全面、加工することができる。
11は駆動テーブル3の一端の、被加工物4との干渉を避けた位置に組み込まれたエネルギ測定手段としてのエネルギ測定部である。なお、駆動テーブル3は、本来の被加工物4の加工範囲のみならず、エネルギ測定部11による偏向領域7全体のエネルギ測定が可能なだけの、十分大きな稼動範囲を動くものとする。このようにエネルギ測定部11を駆動テーブル3の一端に取り付け駆動テーブル3と一体に移動可能とすることで、エネルギ測定部11だけを移動する機構を別途設けることなく偏向領域7内の任意の位置に照射されるレーザ光のエネルギを測定することができる。
第2図は、この実施の形態によるレーザ加工装置のスキャニングレンズの偏向領城とエネルギ測定部の測定位置との関係を説明する概略図である。
偏向領域7に関してレーザ光2のエネルギを測定するための位置を決めるために、偏向領域7を直行座標系により格子状に分割する場合を示す。偏向領域7内を格子状に分割し、各測定位置Pn(n=1,2,・・・・9)にエネルギ測定部11の受光部11aが移動するよう駆動テーブル3を動かすことにより、偏向領域7内の予め決められた位置に照射されるレーザ光2のエネルギを測定することができる。このように予め決められた測定位置でのエネルギを測定することにより、短時間にスキャニングレンズ6の多くの部位の汚れの状態を把握することができる。
なお、この場合の格子の間隔の設定はスキャニングレンズ6の径やスキャニングレンズ6を通過するレーザ光2の大きさ等に応じて適宜変更できることが望ましい。
第2図において、仮に、偏向領域7内の測定位置P3点にレーザ光が照射される場合にレーザ光が通過するスキャニングレンズ6の該当部位Aに加工屑22が付着していると、該当部位Aを通過するレーザ光2は吸収,散乱を受けるため、他の測定位置のエネルギ測定値と比較して、測定されるエネルギの値が低いことにより、スキャニングレンズ6の該当部位Aの汚れを検知することができる。
なお、この例では、偏向領域7を格子状に分割した場合を述べたが、必ずしも格子状にとらわれること無く、経験的に汚れが生じ易いスキャニングレンズ6の部位に対応する複数の測定位置を予め決めれば良い。
また、この例では、予め測定位置を決めておく場合を述べたが、各測定時に、必要に応じて適宜測定位置を変更するなどしてもよいことは言うまでもない。
なお、上述の例では、駆動テーブル3に設けられたエネルギ測定部11の受光部11aは1個で、その受光部11aを、仮定的に格子状に分割した測定位置Pnに対応させて移動させた場合を示したが、予め複数個の受光部11aを用意して、偏向ミラー5a,5bの動きによって、レーザ光2を、該複数個の受光部11aへ導くようにすることも可能であることは言うまでもない。
第3図は、この実施の形態によるレーザ加工装置の動作フローチャートであり、多数の被加工物について予め決められた枚数が加工される毎に、上述の偏向領域内の複数の異なる位置に照射されるレーザ光のエネルギ測定を自動的に実施する場合の一例である。
被加工物は1枚ずつ駆動テーブル上に搬入され加工が行われ、加工が完了すると搬出される。ここで、加工枚数のカウンタn,エネルギ測定を行うための枚数m,及び決められた許容値Δをそれぞれ予め設定し(S1a,S1b,S1c)、加工するたびにnを加算するようにする(S5)。演算n/mの余りが0になった時点で(S3)、エネルギ測定を実施するようにする(S7)。
次に、偏向領域内の異なる測定位置で測定されたエネルギの測定値若しくは測定値の演算結果と、予め決められた許容値との比較を行うことにより、照射されるエネルギの低下を検知することができる。第3図に示した例では、100枚の加工を行う毎に偏向領域内の各測定位置でのレーザ光のエネルギを測定し、この測定値に関して最小値/平均値を求め、予め設定された許容値Δを超えた場合を検出する例である。例えばΔ=0.8とし、最小値/平均値<0.8を判断することで(S8)、偏向領域全体のエネルギ測定値の平均値に対して20%以上のエネルギ低下が生じる測定位置が発生した場合には、レーザ加工装置の制御装置(図示せず)を介してアラーム出力、例えば、警告灯の点灯や警告音の発生等、を行い、スキャニングレンズのクリーニングなどの実施を促す処理を行う(S9)。
以上のように、偏向領域の異なる測定位置での測定値を演算し、エネルギの低下量を比率で求めて許容値と比較する方法を用いることにより、加工条件から設定されるレーザ光のエネルギの絶対値の大小に左右されること無く、偏向領域内の特定位置での有意なエネルギの低下を精度良く検出、把握することができる。
なお、毎回の偏向領域内の各測定位置のエネルギ測定値はレーザ加工装置の制御装置内の記憶装置に保存するようにし(S71)、また、必要に応じて制御装置内の操作画面上に測定エネルギのグラフ表示を行うようにする(S72)。このようなデータ保存やグラフ表示を行う手段を設けることにより、スキャニングレンズのどの部位が汚れているかを把握することができるとともに、各部位でのエネルギの時間的な変化を把握することができ、スキャニングレンズのクリーニングを行う適正な時期を知ることができる。
以上のような動作フローチャートに基き加工を実施することにより、スキャニングレンズへの加工屑の付着によるエネルギ低下による加工不良を発生させること無く、適正なメンテナンスを実施しながら加工が行えるため、長期間にわたり安定した量産加工が可能となる。また、保存されるデータから適正なメンテナンス時期などの情報を得ることが可能となり、必要最小限のメンテナンスを行うことで生産性への影響を抑えられる。なお、第3図では予め決められるスケジュールを、加工枚数に基き決定しているが、例えばこの他に被加工物を加工した積算時間に基づいて実行してもよい。
第4図は、この実施の形態によるレーザ加工装置のエネルギ測定部11の取り付け位置を説明するための概略図である。上述のとおり、エネルギ測定部11は駆動テーブル3に取り付けられているが、このように駆動テーブル3に取り付ける場合、駆動テーブル3を移動した際に加工ヘッド13に取り付けられた観察用カメラレンズ14等の部材とエネルギ測定部11との干渉を考慮する必要がある。そこで、エネルギ測定部11は駆動テーブル3に凹部を設けて駆動テーブル3の表面すなわち被加工物(図示せず)の載置面よりも低い位置に取り付けるようにする。このようにエネルギ測定部11を駆動テーブル3の表面よりも低い位置に取り付けることにより、加工ヘッド部13の周りに取り付けられた観察用カメラレンズ14などとの干渉を避けることができる。
また、被加工物4を加工する際は、レーザ光2は駆動テーブル3の表面近傍に集光されているため、このままの状態でエネルギ測定手段11によりエネルギ測定を行うとエネルギ密度が高すぎるためエネルギ測定部11の受光部11aを損傷する恐れがある。
そこでエネルギ測定時は加工ヘッド部13を駆動テーブル9の表面に対して上下方向に動かすことによりスキャニングレンズ6の高さ位置を変え、受光部11aに対してレーザ光2がディフォーカス状態で照射されるようになる。このように加工時と測定時とでスキャニングレンズ6の高さ位置を調整する手段(図示せず)を備えることによりエネルギ測定部11の受光部11aにダメージを与えることなく長期間にわたり安定したエネルギ測定が可能となる。なお、この実施の形態のものでは測定時にスキャニングレンズ6を下げることでディフォーカス状態を得ているが、上げることによりディフォーカス状態を得るようにしてもよいことは言うまでもない。
第5図は、この実施の形態によるレーザ加工装置のエネルギ測定部11の保護機構を説明するための概略図である。第5図において、15はエネルギ測定部11を保護するための保護カバーであり、16はエアシリンダーからなる保護カバー15の開閉駆動機構である。このようにエネルギ測定部11に対して可動式の保護カバー15を設け、第5図(a)に示すように、被加工物(図示せず)の加工時等、通常は保護カバー15によってエネルギ測定部11の上面を覆い、エネルギ測定部11を保護する。そして第5図(b)に示すように、エネルギ測定時のみに開閉駆動機構16により保護カバー15を開けることで、エネルギ測定部11の受光部11aに対して加工屑などが付着することが防止でき長期間にわたり安定したエネルギ測定が可能となる。
産業上の利用可能性
以上のように、この発明にかかるレーザ加工装置は、例えば、携帯用情報電子機器等に用いられる多層回路基板の加工において用いられるのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施の形態によるレーザ加工装置の概略構成図である。
第2図は、この発明の実施の形態によるレーザ加工装置のスキャニングレンズの偏向領域とエネルギ測定部の測定位置との関係を説明する概略図である。
第3図は、この発明の実施の形態によるレーザ加工装置の動作フローチャートである。
第4図は、この発明の実施の形態によるレーザ加工装置のエネルギ測定部の取り付け位置を説明するための概略図である。
第5図は、この発明の実施の形態によるレーザ加工装置のエネルギ測定部の保護機構を説明するための概略図である。
第6図は、従来のレーザ加工装置の構成図である。
第7図は、従来のレーザ加工装置のレーザ光のエネルギ測定手段の説明図である。
第8図は、スキャニングレンズへの加工屑の付着を説明する説明図。である。
Claims (10)
- 偏向ミラーにより偏向されたレーザ光を被加工物上に集光するためのスキャニングレンズを備え、前記偏向ミラーと前記スキャニングレンズとを用いることにより偏向領域内の複数の位置にレーザ光を照射し加工を行うレーザ加工装置において、前記偏向領域内の複数の異なる測定位置に照射されるレーザ光のエネルギを測定するエネルギ測定手段を備えていることを特徴とするレーザ加工装置。
- エネルギ測定手段は、被加工物を載置し移動する駆動テーブルに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
- 各測定位置での測定値を予め設定された許容値と比較する比較手段を備えたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のレーザ加工装置。
- 測定値と予め設定された許容値とに基きアラーム出力を行うアラーム発生手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工装置。
- エネルギ測定を予め決められたスケジュールで実施するスケジュール手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
- 測定値を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
- 測定されたレーザ光のエネルギの測定値をグラフ表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
- エネルギ測定手段は、駆動テーブルの被加工物を載置する載置面に凹部を設けこの凹部内に内設されるものであることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
- エネルギ測定手段にはディフォーカスされた状態でレーザ光が照射されるようにスキャニングレンズの高さ位置を調整する手段を備えたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のレーザ加工装置。
- エネルギ測定手段は、レーザ光受光部に対して可動式の保護カバーを備えていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のレーザ加工装置。
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