JPWO2002021631A1 - 非水電解液二次電池用添加剤、非水電解液二次電池、非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤及び非水電解液電気二重層キャパシタ - Google Patents

非水電解液二次電池用添加剤、非水電解液二次電池、非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤及び非水電解液電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有することを特徴とする非水電解液二次電池及び非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤である。一般式(1) (PNF2)n但し、一般式(1)においてnは3〜14を表す。また、支持塩及び前記非水電解液二次電池用添加剤を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有することを特徴とする非水電解液二次電池又は非水電解液電気二重層キャパシタである。

Description

技術分野
本発明は、耐劣化性に優れ、かつ、非水電解液が低粘度であるため低内部抵抗で導電性に優れ、低温特性に優れた非水電解液二次電池及び非水電解液電気二重層キャパシタ、並びにこれらに用いる添加剤に関する。
背景技術
従来から、特にパソコン・VTR等のAV・情報機器のメモリーバックアップやそれらの駆動電源用の二次電池として、ニッケル−カドミウム電池が主に使用されてきた。近年では、このニッケル−カドミウム電池に代替するものとして、電圧・エネルギー密度が高く自己放電性に優れる非水電解液二次電池が特に注目されており、種々の開発が行われ、一部は商品化されている。ノート型パソコンや携帯電話等は、現在その半数以上がこの非水電解液二次電池によって駆動している。
前記非水電解液二次電池においては、負極の材料として、カーボンが多用されており、電解液として、該負極の表面にリチウムが生成した場合の危険性の低減及び高駆動電圧化を目的として各種有機溶媒が電解液として使用されている。また、特にカメラ用の非水電解液二次電池においては、前記負極の材料として、アルカリ金属(特に、リチウム金属やリチウム合金)等が用いられており、前記電解液として、通常エステル系有機溶媒等の非プロトン性有機溶媒が使用されている。
しかし、前記非水電解液二次電池は、高性能ではあるものの、劣化し易いため、長期に亘って高性能を維持することができず問題となっていた。このため、劣化が起こらず長期に亘って高い充放電容量、高い導電性、低い内部抵抗等の電池特性を維持し得る非水電解液二次電池の開発が強く要請されていた。
また、特に気温の低い地方や時期においては、低温条件下でも長時間に亘って優れた電池特性を有する必要があり、低温特性にも優れた非水電解液二次電池が要求されていた。
一方、非水電解液電気二重層キャパシタは、分極性電極と電解質との間に形成される電気二重層を利用したコンデンサであり、1970年代に開発製品化され、1980年代に揺籃期を迎え、1990年代から成長展開期を迎えた製品である。
かかる電気二重層キャパシタは、電極表面において電解液から電気的にイオンを吸着するサイクルが充放電サイクルである点で、物質移動を伴う酸化還元反応のサイクルが充放電サイクルである電池とは異なる。
このため、電気二重層キャパシタは、電池と比較して瞬間充放電特性に優れ、充放電を繰り返してもこの瞬間充放電特性は殆ど劣化しない。
また、電気二重層キャパシタにおいては、充放電時に充放電過電圧がないため、簡単でかつ安価な電気回路で足りる。更に、残存容量が分かり易く、−30〜90℃の広範囲の温度条件下に亘って耐久温度特性を有し、無公害性である等、電池に比較して優れた点が多いため、近年地球環境に優しい新エネルギー貯蔵製品として脚光を浴びている。
前記電気二重層キャパシタは、正・負の分極性電極と電解質とを有するエネルギー貯蔵デバイスであり、前記分極性電極と電解質との接触界面においては、極めて短い距離を隔てて正・負の電荷が対向して配列し、電気二重層を形成する。電解質は、電気二重層を形成するためのイオン源としての役割を担うため、分極性電極と同様に、エネルギー貯蔵デバイスの基本特性を左右する重要な物質である。
前記電解質としては、従来、水系電解液、非水電解液、及び、固体電解質等が知られているが、電気二重層キャパシタのエネルギー密度の向上の点から、高い作動電圧を設定可能な非水電解液が特に脚光を浴び、実用化が進んでいる。
かかる非水電解液としては、例えば、炭酸カーボネート(炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、γ−ブチロラクトン等の高誘電率の有機溶媒に、(CP・BFや、(CN・BF等の溶質を溶解させた非水電解液が現在実用化されている。
しかし、これらの非水電解液電気二重層キャパシタは、高性能ではあるものの、劣化し易いため、長期に亘って高性能を維持することができず問題となっていた。このため、劣化を防止し、長期に亘って、前記非水電解液電気二重層キャパシタの各種の特性を高く維持し得る技術の開発が強く要請されていた。
また、特に気温の低い地方や時期においては、低温条件下でも長期に亘って優れた電気特性を有する必要があり、低温特性にも優れた非水電解液電気二重層キャパシタが要求されていた。
発明の開示
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、諸要求に応え、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、非水電解液二次電池に添加することにより、電池として必要な電池特性等を維持しつつ、耐劣化性に優れ、非水電解液の界面抵抗が低く、かつ、内部抵抗が低いため導電性が高く、低温特性に優れた非水電解液二次電池を作製可能な非水電解液二次電池用添加剤、及び、該非水電解液二次電池用添加剤を含有し、耐劣化性に優れ、非水電解液の界面抵抗が低く、かつ、内部抵抗が低いため導電性が高く、低温特性に優れた非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
また、本発明は、非水電解液電気二重層キャパシタに添加することにより、充分な電気特性を維持しつつ、耐劣化性に優れ、非水電解液の界面抵抗が低く、内部抵抗が低いため導電性が高く、かつ、低温特性に優れた非水電解液電気二重層キャパシタを作製可能な非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤、及び、該非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を含有し、電気導電性等の充分な電気特性を維持しつつ、耐劣化性に優れ、非水電解液の界面抵抗が低く、内部抵抗が低いため導電性が高く、かつ、低温特性に優れた非水電解液電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有することを特徴とする非水電解液二次電池用添加剤を提供する。
一般式(1) (PNF
但し、一般式(1)においてnは3〜14を表す。
また、本発明は前記非水電解液二次電池用添加剤及び支持塩を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有することを特徴とする非水電解液二次電池を提供する。
さらに、本発明は下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有することを特徴とする非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を提供する。
一般式(1) (PNF
但し、一般式(1)においてnは3〜14を表す。
また、本発明は支持塩及び前記非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有することを特徴とする非水電解液電気二重層キャパシタを提供する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
1.非水電解液二次電池及び非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤
前記本発明の非水電解液二次電池及び非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤は、ホスファゼン誘導体を含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
−ホスファゼン誘導体−
前記非水電解液二次電池用添加剤に、前記ホスファゼン誘導体を含有させる理由としては、以下の通りである。
即ち、従来の非水電解液二次電池において、電解液として用いられているエステル系等の電解液においては、例えば、支持塩であるLiPF塩等のリチウムイオン源等が、経時と共にLiF及びPFに分解し発生するPFガスや、該発生したPFガスが更に水等と反応して発生する弗化水素ガス等により、腐蝕が進行して劣化すると考えられる。つまり、非水電解液の導電性が低下する上に、発生する弗化水素ガスで極材が劣化する現象が起こる。
一方、前記ホスファゼン誘導体は、例えば、前記LiPF等のリチウムイオン源の分解を抑制し安定化に寄与する。したがって、従来の非水電解液に前記ホスファゼン誘導体を添加することにより、前記非水電解液の分解反応が抑制され、腐蝕、劣化を好適に抑制することが可能となる。
更に、前記ホスファゼン誘導体は常温(25℃)で低粘度の液体である。このため、該ホスファゼン誘導体を含有する本発明の非水電解液二次電池用添加剤を添加することにより、非水電解液の低粘度化が達成され、低内部抵抗及び高い導電率を有する非水電解液二次電池を提供することが可能となる。
更にまた、前記ホスファゼン誘導体を含有する本発明の非水電解液二次電池用添加剤を添加することにより、非水電解液に優れた低温特性を付与することが可能となる。このため、特に気温の低い地方や時期において、低温条件下で使用しても、長時間に亘って優れた放電特性を示す非水電解液二次電池を提供することが可能となる。
また、前記非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤に、前記ホスファゼン誘導体を含有させる理由としては、以下のように推測される。
即ち、従来の非水電解液電気二重層キャパシタにおいては、非水電解液中の電解液或いは支持塩の分解又は反応によって生成する化合物が、電極及びその周辺部材を腐食させたり、また、この分解又は反応により支持塩自体の量が減少するので、電気特性に支障をきたしキャパシタの性能を悪化させると考えられる。
一方、前記ホスファゼン誘導体は、電解液或いは支持塩の分解又は反応を抑制し、安定化に寄与する(特にPF塩に対して有効に働く。)。したがって、従来の非水電解液にホスファゼン誘導体を添加することにより、電気特性を維持しつつ、劣化を防止することが可能となる。
更に、前述のとおり前記ホスファゼン誘導体は常温(25℃)で低粘度の液体である。このため、該ホスファゼン誘導体を含有する本発明の非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を添加することにより、非水電解液の低粘度化が達成され、低内部抵抗及び高い導電率を有する非水電解液電気二重層キャパシタを提供することが可能となる。
更にまた、前記ホスファゼン誘導体を含有する本発明の非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を添加することにより、非水電解液に優れた低温特性を付与することが可能となる。このため、特に気温の低い地方や時期において、低温条件下で使用しても、長時間に亘って優れた電気特性を示す非水電解液電気二重層キャパシタを提供することが可能となる。
−−分子構造−−
前記ホスファゼン誘導体は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1) (PNF
但し、一般式(1)においてnは3〜14を表す。
前記一般式(1)において、nとしては、非水電解液に、優れた低温特性を付与し得、非水電解液の低粘度化が可能な点で、3〜4が好ましく、3がより好ましい。
なお、通常ホスファゼン誘導体のようなハロゲン元素(フッ素)を含む化合物においては、ハロゲンラジカルの発生が問題となることがあるが、前記ホスファゼン誘導体は、分子構造中のリン元素がハロゲンラジカルを捕促し、安定なハロゲン化リンを形成するため、このような問題は発生しない。
前記一般式(1)におけるn値を適宜選択することにより、より好適な粘度、沸点、混合に適する溶解性、低温特性等を有する非水電解液の合成が可能となる。これらのホスファゼン誘導体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−引火点−−
前記ホスファゼン誘導体の引火点としては、特に制限はないが、発火の抑制等の点から、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。
前記ホスファゼン誘導体が、100℃以上に引火点を有していると、発火等が抑制され、また、仮に電池又はキャパシタ内部で発火等が生じても、引火して電解液表面に燃え広がる危険性を低下させることが可能となる。
なお、前記引火点とは、具体的には、物質表面に炎が広がり、少なくとも該物質表面の75%を覆う温度をいう。前記引火点は、空気と可燃性混合物を形成する傾向度を見る尺度となるものであり、本発明においては、以下のミニフラッシュ法により測定した値を用いた。即ち、密閉したカップ方式で、4mlの小さな測定チャンバー、加熱カップ、フレーム、イグニッション部、及び、自動フレーム感知システムを備えた装置(自動引火測定器)(MINIFLASH、GRABNER INSTRUMENTS社製)を用意し、測定する試料1mlを加熱カップに入れ、カバーをし、カバー上部から加熱カップを加熱開始した。以降、一定間隔で試料温度を上昇させ、カップ内の蒸気と空気混合物へ一定温度間隔でイグニッションさせ、引火を検知した。引火が検知された時の温度を引火点と認定した。
前記本発明の非水電解液二次電池及び非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤の添加量としては、後述の本発明の非水電解液二次電池又は非水電解液電気二重層キャパシタにおけるホスファゼン誘導体の含有量の好ましい数値範囲に相当する量が好適である。前記添加量を前記数値範囲内の値に調整することにより、非水電解液の耐劣化性、低粘度化、及び、低温特性等の本発明の効果を好適に付与できる。
以上説明した本発明の非水電解液二次電池及び非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤によれば、非水電解液二次電池又は非水電解液電気二重層キャパシタに添加することにより、電池として必要な電池特性又はキャパシタとしての十分な電気特性等を維持しつつ、耐劣化性に優れ、非水電解液の界面抵抗が低く、かつ、内部抵抗が低いため導電率が高く、優れた低温特性を有する非水電解液二次電池又は非水電解液電気二重層キャパシタを作製可能な非水電解液二次電池及び非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を提供することができる。
2.非水電解液二次電池
前記本発明の非水電解液二次電池は、正極と、負極と、非水電解液と、を有し、必要に応じてその他の部材を有する。
−正極−
前記正極の材料としては、特に制限はなく、公知の正極材料から適宜選択して使用できる。例えば、V、V13、MnO、MoO、LiCoO、LiNiO、LiMn等の金属酸化物、TiS、MoS等の金属硫化物、ポリアニリン等の導電性ポリマー等が好適に挙げられ、これらの中でも、高容量で安全性が高く電解液の濡れ性に優れる点で、LiCoO、LiNiO、LiMnが特に好適である。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、電極として公知の形状の中から適宜選択することができる。例えば、シート状、円柱形状、板状形状、スパイラル形状等が挙げられる。
−負極−
前記負極の材料としては、リチウム又はリチウムイオン等を吸蔵・放出可能であれば特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、リチウムを含む材料、具体的には、リチウム金属自体、リチウムと、アルミニウム、インジウム、鉛、又は、亜鉛等との合金、リチウムをドープした黒鉛等の炭素材料などが好適に挙げられる。これらの中でも、安全性がより高い点で、黒鉛等の炭素材料が好ましい。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記負極の形状としては、特に制限はなく、前記正極の形状と同様の公知の形状から適宜選択することができる。
−非水電解液−
前記非水電解液は、前記本発明の非水電解液二次電池用添加剤及び支持塩を含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
−−支持塩−−
前記支持塩としては、例えば、リチウムイオンのイオン源等が好ましく、該リチウムイオンのイオン源としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、及び、LiAsF、LiC4FSO、Li(CFSON、Li(CSON等のリチウム塩が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記支持塩の配合量としては、前記非水電解液(溶媒成分)1kgに対し、0.2〜1モルが好ましく、0.5〜1モルがより好ましい。
前記配合量が、0.2モル未満の場合には、非水電解液の充分な導電性を確保することができず、電池の充放電特性に支障をきたすことがある一方、1モルを超える場合には、非水電解液の粘度が上昇し、前記リチウムイオン等の充分な移動度が確保できないため、前述と同様に非水電解液の充分な導電性を確保できず、電池の充放電特性に支障をきたすことがある。
−−非水電解液二次電池用添加剤−−
前記非水電解液二次電池用添加剤は、前記本発明の「非水電解液二次電池用添加剤」の項で既に述べたのと同様であり、前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有する。
−−粘度−−
前記非水電解液の25℃における粘度としては、10mPa・s(10cP)以下が好ましく、5mPa・s(5cP)以下がより好ましく、4.0mPa・s(4.0cP)以下が更に好ましい。
前記粘度が、10mPa・s(10cP)以下であれば、低内部抵抗、高導電率等の優れた電池特性を有する非水電解液二次電池となる。
なお、本発明において、粘度は、粘度測定計(R型粘度計Model RE500−SL、東機産業(株)製)を用い、1rpm、2rpm、3rpm、5rpm、7rpm、10rpm、20rpm、及び、50rpmの各回転速度で120秒間ずつ測定し、指示値が50〜60%となった時の回転速度を分析条件とし、その際の粘度を測定することによって求めた。
−−導電率−−
前記非水電解液の導電率は、前記非水電解液の粘度を前記好ましい数値範囲内に調整することにより容易に好適な値とすることができ、該導電率としては、0.75mol/l濃度のリチウム塩溶解液での導電率で、2.0mS/cm以上が好ましく、5.0mS/cm以上がより好ましい。
前記導電率が2.0mS/cm以上であれば、前記非水電解液の充分な導電性を確保できるため、非水電解液二次電池の内部抵抗を抑制し、充放電時の電位降下又は電位上昇を抑えることが可能となる。
なお、前記導電率は、下記の測定方法により測定して得られた値である。即ち非水電解液二次電池に、5mAの定電流を印加しながら、導電率計(商品名:CDM210型、ラジオメータートレーディング(株)製)を用いて、所定条件(温度:25℃、圧力:常圧、水分率:10ppm以下)下で測定した。
なお、前記導電率は、理論的には、先ず非水電解液のコンダクタンス(Gm)を求め、これからケーブル抵抗(R)の影響を除いて、電解液そのもののコンダクタンス(G)を求め、得られた(G)と、既知のセル定数(K)から、導電率K=G・K(S/cm)を求めることができる。
−−含有量−−
前記非水電解液における前記ホスファゼン誘導体の総含有量としては、該ホスファゼン誘導体を含有することにより得られる効果によって、非水電解液に、より好適に「低温特性」を付与し得る第1の含有量、非水電解液をより好適に「低粘度化」し得る第2の含有量、及び、非水電解液に好適に「耐劣化性」を付与し得る第3の含有量の3通りの含有量が挙げられる。
前記「低温特性」の観点からは、前記ホスファゼン誘導体の第1の含有量としては、1体積%以上が好ましく、3体積%以上がより好ましく、5体積%以上が更に好ましい。
前記含有量が、1体積%に満たないと、非水電解液の凝固点を充分に低くできず、低温特性が充分でないことがある。
尚、前記「低温特性」は、下記低温特性の評価により測定・評価した。即ち、20℃において、上限電圧4.5V、下限電圧3.0V、充電電流50mAの条件で充電した後、低温(0℃、−10℃、−20℃)において、放電電流を100mAとして放電する充放電を50サイクルまで繰り返した。この時の低温における放電容量を、20℃において測定した放電容量と比較し、下記式(2)より放電容量残存率を算出した。合計3本の電池について、同様に測定・算出し、これらの平均値をとり、低温特性の評価とした。
式(2):放電容量残存率=
低温放電容量/放電容量(20℃)×100(%)
前記「低粘度化」の観点からは、前記非水電解液における前記ホスファゼン誘導体の第2の含有量としては、3〜80体積%が好ましい。また、低温特性と低粘度化とを高度に両立する観点からは、5〜80体積%がより好ましい。
前記含有量が、3体積%未満では、非水電解液を充分に「低粘度化」できないことがあるほか、凝固点降下との関係で、ホスファゼン誘導体の添加による低温特性の向上効果が発現しないことがあり、一方、80体積%を超える場合には、双極子モーメントが小さく、支持塩の溶解度が低下するため、良好な電池特性が得られないことがある。
前記「耐劣化性」の観点からは、前記非水電解液における前記ホスファゼン誘導体の第3の含有量としては、2体積%以上が好ましく、3〜75体積%がより好ましい。また、低温特性と耐劣化性とを高度に両立する観点からは、5〜75体積%がより好ましい。
前記含有量が、前記数値範囲内であれば、好適に劣化を抑制することができる。
尚、「劣化」とは、前記支持塩(例えば、リチウム塩)の分解をいい、該劣化防止の効果を下記安定性の評価方法により評価した。
(1)先ず、支持塩を含む非水電解液を調製後、水分率を測定する。次に、高速液体クロマトグラフィー(イオンクロマトグラフィー)により、非水電解液中の弗化水素の濃度を測定する。更に、目視により非水電解液の色調を観察した後、充放電試験により充放電容量を算出する。
(2)上記非水電解液を2ヶ月間グローブボックス内で放置した後、再び、水分率、弗化水素の濃度を測定し、色調を観察し、充放電容量を算出し、得られた数値の変化により安定性を評価する。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、安全性の点で、非プロトン性有機溶媒等が特に好ましい。
前記非水電解液に、非プロトン性有機溶媒が含有されていると、該非プロトン性有機溶媒は前記負極の材料と反応することがないので、安全性が高く、また、前記非水電解液の低粘度化が可能であり、非水電解液二次電池としての最適なイオン導電性が容易に達成される。
前記非プロトン性有機溶媒としては、特に制限はないが、前記非水電解液の低粘度化の点で、エーテル化合物やエステル化合物等が挙げられ、具体的には、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、メチルエチルカーボネート、等が好適に挙げられる。
これらの中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル化合物、1、2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状エステル化合物、等が好ましく、前記環状のエステル化合物は比誘電率が高くリチウム塩等の溶解性に優れる点で好ましく、前記鎖状のエステル化合物は低粘度であるため、前記非水電解液を低粘度化させることができる点で好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用するのが好ましい。
−−非プロトン性有機溶媒の粘度−−
前記非プロトン性有機溶媒の25℃における粘度としては、非水電解液の粘度を容易に低下させることができる点で、10mPa・s(10cP)以下が好ましく、5mPa・s(5cP)以下がより好ましい。
−その他の部材−
前記その他の部材としては、非水電解液二次電池において、正負極間に、両極の接触による電流の短絡を防止する役割で介在させるセパレーター、通常電池に使用されている公知の各部材などが好適に挙げられる。
が挙げられる。
前記セパレーターの材質としては、両極の接触を確実に防止し得、かつ、電解液を通したり含んだりできる材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルムが特に好適である。
<非水電解液二次電池の内部抵抗>
前記非水電解液二次電池の内部抵抗(Ω)は、前記非水電解液の粘度を前記好ましい数値範囲内に調整することにより容易に好適な値とすることができ、該内部抵抗(Ω)としては、0.1〜0.3(Ω)が好ましく、0.1〜0.25(Ω)がより好ましい。
なお、前記内部抵抗は、公知の測定方法、例えば下記内部抵抗の測定方法により得ることができる。即ち、非水電解液二次電池を作製し、充放電曲線を測定した際、充電停止(Charge Rest)又は放電停止(Discharge Rest)に伴う電位のふれ幅を測定して得る。
<非水電解液二次電池の容量>
前記非水電解液二次電池の容量としては、LiCoOを正極とした場合、充放電容量(mAh/g)で、140〜145(mAh/g)が好ましく、143〜145(mAh/g)がより好ましい。
なお、前記充放電容量は、公知の測定方法、例えば、半開放型セルあるいは、密閉型コインセル(日刊工業新聞社発行、リチウムイオン2次電池、芳尾真幸参照)を用い、充放電試験を行い、充電電流(mA)、時間(t)及び極材重量(g)より、容量を求める方法によって測定することができる。
<非水電解液二次電池の形態>
前記非水電解液二次電池の形態としては、特に制限はなく、コインタイプ、ボタンタイプ、ペーパータイプ、角型又はスパイラル構造の円筒型電池等、種々の公知の形態が好適に挙げられる。
前記スパイラル構造の場合、例えば、シート状の正極を作製して集電体を挟み、これに、負極(シート状)を重ね合わせて巻き上げる等により非水電解液二次電池を作製することができる。
<非水電解液二次電池の性能>
前記本発明の非水電解液二次電池は、耐劣化性に優れ、非水電解液の界面抵抗が低く、かつ、内部抵抗が低いため導電率が高く、低温特性に優れる。
3.非水電解液電気二重層キャパシタ
前記本発明の非水電解液電気二重層キャパシタは、正極と、負極と、非水電解液と、を有し、必要に応じてその他の部材を有する。
−正極−
前記正極の材料としては、特に制限はないが、通常、炭素系の分極性電極が好ましい。該分極性電極としては、通常、比表面積及びかさ比重が大きく、電気化学的に不活性で、抵抗が小さい等の特性を有する電極が好ましい。
前記分極性電極としては、特に制限はないが、一般的には、活性炭を含有し、必要に応じて導電剤やバインダー等のその他の成分を含有する。
−−活性炭−−
前記活性炭の原料としては、特に制限はなく、例えば、フェノール樹脂のほか、各種の耐熱性樹脂、ピッチ等が好適に挙げられる。
前記耐熱性樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ビスマレイミドトリアジン、アラミド、フッ素樹脂、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂が好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記正極に用いられる活性炭の形体としては、より比表面積を高くして、非水電解液電気二重層キャパシタの充電容量を大きくする点から、粉末状、繊維布状等の形体が好ましい。
また、これらの活性炭は、非水電解液電気二重層キャパシタの充電容量をより高くする目的で、熱処理、延伸成形、真空高温処理、圧延等の処理がなされていてもよい。
−−その他の成分(導電剤、バインダー)−−
前記導電剤としては、特に制限はないが、黒鉛、アセチレンブラック等が挙げられる。
前記バインダーの材質としては、特に制限はないが、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の樹脂が挙げられる。
−負極−
前記負極としては、前記正極と同様の分極性電極が好適に挙げられる。
−非水電解液−
前記非水電解液は、支持塩及び前記本発明の非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を含有し、必要に応じてその他の成分を含有する。
−−支持塩−−
前記支持塩としては、従来公知のものから選択できるが、良好な非水電解液における電気導電性等の電気特性を示す点で、四級アンモニウム塩が好ましい。
前記四級アンモニウム塩は、前記非水電解液において、電気二重層を形成するためのイオン源としての役割を担う溶質であり、非水電解液の電気導電性等の電気特性を効果的に向上させることが可能な点で、多価イオンを形成し得る四級アンモニウム塩であることが必要とされる。
前記四級アンモニウム塩としては、例えば、(CHN・BF、(CHN・BF、(CH(CN・BF、CH(CN・BF、(CN・BF、(CN・BF、CH(CN・BF、(CN・BF、(C13N・BF、(CN・ClO、(CN・BF4、(CN・PF、(CN・AsF、(CN・SbF、(CN・CFSO、(CN・CSO、(CN・(CFSON、(CN・BCH(C、(CN・B(C、(CN・B(C、(CN・B(C等が好適に挙げられる。また、これらの四級アンモニウム塩のヘキサフルオロリン燐酸塩でも構わない。さらに、分極率を大きくすることで、溶解度を向上させることができるため、異なるアルキル基がN原子に結合した四級アンモニウム塩を使用してもよい。
更に、前記四級アンモニウム塩としては、例えば、以下の構造式(1)〜(10)で表わされる化合物等が好適に挙げられる。
Figure 2002021631
尚、上記構造式において、Meは、メチル基を表わし、Etは、エチル基を表わす。
これらの四級アンモニウム塩の中でも、特に、高い電気導電性を確保する点からは、陽イオンとして(CHや、(C等を発生し得る塩が好ましい。また、式量が小さい陰イオンを発生し得る塩が好ましい。
これらの四級アンモニウム塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記支持塩の配合量としては、前記非水電解液(溶媒成分)1kgに対し、0.2〜1.5モルが好ましく、0.5〜1.0モルがより好ましい。
前記配合量が、0.2モル未満の場合には、非水電解液の充分な電気導電性等の電気特性を確保することがある一方、1.5モルを超える場合には、非水電解液の粘度が上昇し、電気導電性等の電気特性が低下することがある。
−−非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤−−
前記非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤は、前記本発明の「非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤」の項で述べたのと同様であり、前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有する。
−−粘度−−
前記非水電解液の25℃における粘度としては、10mPa・s(10cP)以下が好ましく、5mPa・s(5cP)以下がより好ましく、4.0mPa・s(4.0cP)以下が更に好ましい。
前記粘度が、10mPa・s(10cP)以下であれば、低内部抵抗、高導電率等の優れた電気特性を有する非水電解液電気二重層キャパシタとなる。
なお、本発明において、粘度は、粘度測定計(R型粘度計Model RE500−SL、東機産業(株)製)を用い、1rpm、2rpm、3rpm、5rpm、7rpm、10rpm、20rpm、及び、50rpmの各回転速度で120秒間ずつ測定し、指示値が50〜60%となった時の回転速度を分析条件とし、その際の粘度を測定することによって求めた。
−−導電率−−
前記非水電解液の導電率は、前記非水電解液の粘度を前記好ましい数値範囲内に調整することにより容易に好適な値とすることができ、該導電率としては、四級アンモニウム塩溶解液(1モル/kg)の導電率で、2.0mS/cm以上が好ましく、5.0mS/cm以上がより好ましい。
前記導電率が2.0mS/cm以上であれば、前記非水電解液の充分な導電性を確保できるため、非水電解液電気二重層キャパシタの内部抵抗を抑制し、充放電時の電位降下又は電位上昇を抑えることが可能となる。
なお、前記導電率は、下記の測定方法により測定して得られた値である。即ち非水電解液電気二重層キャパシタに、5mAの定電流を印加しながら、導電率計(商品名:CDM210型、ラジオメータートレーディング(株)製)を用いて、所定条件(温度:25℃、圧力:常圧、水分率:10ppm以下)下で測定した。
なお、前記導電率は、理論的には、先ず非水電解液のコンダクタンス(Gm)を求め、これからケーブル抵抗(R)の影響を除いて、電解液そのもののコンダクタンス(G)を求め、得られた(G)と既知のセル定数(K)とから、導電率K=G・K(S/cm)を求めることができる。
−−含有量−−
前記非水電解液における前記ホスファゼン誘導体の総含有量としては、該ホスファゼン誘導体を含有することにより得られる効果によって、非水電解液に、より好適に「低温特性」を付与し得る第1の含有量、非水電解液をより好適に「低粘度化」し得る第2の含有量、及び、非水電解液に好適に「耐劣化性」を付与し得る第3の含有量の3通りの含有量が挙げられる。
前記「低温特性」の観点からは、前記ホスファゼン誘導体の第1の含有量としては、1体積%以上が好ましく、3体積%以上がより好ましく、5体積%以上が更に好ましい。
前記含有量が、1体積%に満たないと、非水電解液の凝固点を充分に低くできず、低温特性が充分でないことがある。
尚、前記「低温特性」は、0℃、−5℃、及び、−10℃のそれぞれの温度において内部抵抗(Ω)を測定し、20℃において測定した内部抵抗(Ω)と比較し評価することができる。
前記「低粘度化」の観点からは、前記非水電解液における前記ホスファゼン誘導体の第2の含有量としては、3〜80体積%が好ましい。
前記含有量が、3体積%未満では、非水電解液を充分に「低粘度化」できないことがあるほか、凝固点降下との関係で、ホスファゼン誘導体の添加による低温特性の向上効果が発現しないことがあり、一方、80体積%を超える場合には、双極子モーメントが小さく、支持塩の溶解度が低下するため、良好な電気特性が得られないことがある。
前記「耐劣化性」の観点からは、前記非水電解液における前記ホスファゼン誘導体の第3の含有量としては、2体積%以上が好ましく、3〜75体積%がより好ましい。また、低温特性と耐劣化性とを高度に両立する観点からは、5〜75体積%がより好ましい。
前記含有量が、前記数値範囲内であれば、好適に劣化を抑制することができる。
尚、「劣化」とは、前記支持塩の分解をいい、該劣化防止の効果を前記安定性の評価方法により評価した。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、安全性の点で、非プロトン性有機溶媒が特に好ましい。
前記非水電解液に、前記非プロトン性有機溶媒が含有されていると、非水電解液の低粘度化、電気導電性の向上が容易に達成される。
前記非プロトン性有機溶媒としては、特に制限はなく、前述のものが挙げられる。その中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル化合物、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状エステル化合物、等が好ましく、前記環状のエステル化合物は比誘電率が高く支持塩の溶解能に優れる点で好ましく、前記鎖状のエステル化合物は低粘度であるため、前記非水電解液を低粘度化させることができる点で好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−非プロトン性有機溶媒の粘度−−
前記非プロトン性有機溶媒の25℃における粘度としては、非水電解液の粘度を容易に低下させることができる点で、10mPa・s(10cP)以下が好ましく、5mPa・s(5cP)以下がより好ましい。
−その他の部材−
前記その他の部材としては、セパレーター、集電体、容器等が挙げられる。
前記セパレーターは、非水電解液電気二重層キャパシタの短絡防止等を目的として、正負電極間に介在される。該セパレーターとしては、特に制限はなく、通常、非水電解液電気二重層キャパシタのセパレーターとして用いられる公知のセパレーターが好適に用いられる。
その材質としては、例えば、微多孔性フィルム、不織布、紙等が好適に挙げられる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルムが特に好適である。
前記集電体としては、特に制限はなく、通常非水電解液電気二重層キャパシタの集電体として用いられる公知のものが好適に用いられる。該集電体としては、電気化学的耐食性、化学的耐食性、加工性、機械的強度に優れ、低コストであるものが好ましく、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、導電性樹脂等の集電体層等が好ましい。
前記容器としては、特に制限はなく、通常非水電解液電気二重層キャパシタの容器として用いられる公知のものが好適に挙げられる。
前記容器の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、導電性樹脂等が好適である。
前記セパレーター、集電体、及び、容器のほか、前記その他の部材としては、通常非水電解液電気二重層キャパシタに使用されている公知の各部材が好適に挙げられる。
<非水電解液電気二重層キャパシタの内部抵抗>
前記非水電解液電気二重層キャパシタの内部抵抗(Ω)としては、0.1〜0.3(Ω)が好ましく、0.1〜0.25(Ω)がより好ましい。
なお、前記内部抵抗は、公知の測定方法、例えば下記内部抵抗の測定方法により得ることができる。即ち、非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、充放電曲線を測定した際、充電停止(Charge Rest)又は放電停止(Discharge Rest)に伴う電位のふれ幅を測定して得る。
<非水電解液電気二重層キャパシタの形態・用途>
前記非水電解液電気二重層キャパシタの形態としては、特に制限はなく、シリンダ型(円筒型、角型)、フラット型(コイン型)等の公知の形態が、好適に挙げられる。
前記非水電解液電気二重層キャパシタは、例えば、種々の電子機器、産業用機器、航空用機器などのメモリーバックアップ用や、玩具、コードレス用機器、ガス機器、瞬間湯沸し機器等の電磁ホールド用や、腕時計、柱時計、ソーラ時計、AGS腕時計等の時計用の電源等として好適に用いられる。
<非水電解液電気二重層キャパシタの性能>
前記本発明の非水電解液電気二重層キャパシタは、充分な電気導電性等の電気特性を維持しつつ、耐劣化性に優れ、非水電解液の界面抵抗が低く、内部抵抗が低いため導電率が高く、かつ、低温特性に優れる。
実施例
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[非水電解液の調製]
ジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):ジエチルカーボネート/エチレンカーボネート=1/1)(非プロトン性有機溶媒)98mlに、ホスファゼン誘導体(前記一般式(1)において、nが3である環状ホスファゼン誘導体)(非水電解液二次電池用添加剤)2mlを添加(2体積%)し、更に、LiBF(支持塩)を0.75モル/kgの濃度で溶解させ、非水電解液(25℃における粘度:3.6mPa・s(3.6cP)、0.75mol/lリチウム塩溶解液の導電率:7.5mS/cm)を調製した。
なお、前記非水電解液の粘度及び導電率は、それぞれ前述の測定方法により測定した。
<劣化の評価>
得られた非水電解液について、前述の安定性の評価方法と同様に、非水電解液調製直後及び2ヶ月間グローブボックス内で放置後の水分率(ppm)、弗化水素濃度(ppm)、充放電容量(mAh/g)を測定・算出し、劣化の評価を行った。この時、充放電容量(mAh/g)は、重量既知の正極又は前述の負極を用いて充放電曲線を測定し、得られた充電量、放電量を用いた電極の重量で除することにより求めた。また、非水電解液調製直後及び2ヶ月間グローブボックス内で放置後の非水電解液の色調変化を目視により観察した。結果を表1に示す。[非水電解液二次電池の作製]
化学式LiCoOで表されるコバルト酸化物を正極活物質として用い、LiCoO100部に対して、アセチレンブラック(導電助剤)を10部、テフロンバインダー(結着樹脂)を10部添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50重量%混合溶媒)で混練した後、ロール圧延により厚さ100μm、幅40mmの薄層状の正極シートを作製した。
その後、得られた正極シート2枚を用いて、表面に導電性接着剤を塗布した、厚さ25μmのアルミニウム箔(集電体)を挟み込み、これに厚さ25μmのセパレーター(微孔性フィルム:ポリプロピレン性)を介在させ、厚さ150μmのリチウム金属箔を重ね合わせて巻き上げ、円筒型電極を作製した。該円筒型電極の正極長さは約260mmであった。
前記円筒型電極に、前記非水電解液を注入して封口し、単三型リチウム電池を作製した。
<電池特性等の測定・評価>
得られた電池について、20℃において、初期の電池特性(電圧、内部抵抗)を測定・評価した後、下記評価の方法により、充放電サイクル性能を測定・評価した。これらの結果を表1に示す。
<<充放電サイクル性能の評価>>
上限電圧4.5V、下限電圧3.0V、放電電流100mA、充電電流50mAの条件で、50サイクルまで充放電を繰り返した。この時の充放電の容量を、初期における充放電の容量と比較し、50サイクル後の容量減少率を算出した。合計3本の電池について、同様に測定・算出し、これらの平均値をとり、充放電サイクル性能の評価とした。
<低温特性の評価(低温放電容量の測定)>
得られた電池について、放電時の温度を、低温(0℃、−10℃、−20℃)とした外は、前記「充放電サイクル性能の評価」と同様の条件で、前述のように50サイクルまで充放電を繰り返した。この時の低温における放電容量を、20℃において測定した放電容量と比較し、下記式(2)より放電容量残存率を算出した。合計3本の電池について、同様に測定・算出し、これらの平均値をとり、低温特性の評価とした。結果を表1に示す。
式(2):放電容量残存率=
低温放電容量/放電容量(20℃)×100(%)
(実施例2)
実施例1の「非水電解液の調製」において、ジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒を99mlとし、ホスファゼン誘導体を1ml(1体積%)としたほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製(25℃における粘度:3.6mPa・s(3.6cP)、0.75mol/lリチウム塩溶解液の導電率:7.6mS/cm)し、耐劣化性の評価を行った。また、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製し、初期の電池特性(電圧、内部抵抗)、充放電サイクル性能、及び、低温特性をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の「非水電解液の調製」において、ホスファゼン誘導体を、ホスファゼン誘導体(前記一般式(1)において、nが3であって、6つのFの代わりに、6つのメトキシエトキシエトキシ基を置換基として有する環状ホスファゼン誘導体)に代えた外は、実施例1と同様に非水電解液を調製(25℃における粘度:8.0mPa・s(8.0cP)、0.75mol/lリチウム塩溶解液の導電率:6.0mS/cm)し、耐劣化性の評価を行った。また、実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製し、初期の電池特性(電圧、内部抵抗)、充放電サイクル性能、及び、低温特性をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
Figure 2002021631
(実施例3)
[非水電解液の作製]
プロピレンカーボネート(非プロトン性有機溶媒)98mlに、ホスファゼン誘導体(前記一般式(1)において、nが3である環状ホスファゼン誘導体)(非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤)2mlを添加(2体積%)し、更に、テトラエチルアンモニウムフルオロボレート(CN・BF(支持塩)を1モル/kgの濃度で溶解させ、非水電解液(25℃における粘度:3.8mPa・s(3.8cP))を調製した。
<劣化の評価>
得られた非水電解液について、前述の安定性の評価方法と同様に、20℃において、非水電解液調製直後及び2ヶ月間グローブボックス内で放置後の水分率(ppm)、弗化水素濃度(ppm)、内部抵抗(Ω)を測定・算出し、耐劣化性の評価を行った。この時、内部抵抗(Ω)は、重量既知の正極又は前述の負極を用いて充放電曲線を測定し、得られた充電量、放電量を用いた電極の重量で除することにより求めた。また、非水電解液調製直後及び2ヶ月間グローブボックス内で放置後の非水電解液の色調変化を目視により観察した。結果を表2に示す。[正極・負極(分極性電極)の作製]
活性炭(商品名:Kuractive−1500、クレラケミカル社製)、アセチレンブラック(導電剤)及びテトラフルオロエチレン(PTFE)(バインダー)を、それぞれ、質量比(活性炭/アセチレンブラック/PTFE)で8/1/1となるように混合し、混合物を得た。
得られた混合物の100mgを採取し、これを20mmφの耐圧カーボン製容器に入れて、圧力150kgf/cm、常温の条件下で圧粉成形し、正極及び負極(分極性電極)を作製した。
[非水電解液電気二重層キャパシタの作製]
得られた正極及び負極と、アルミニウム金属板(集電体)(厚み:0.5mm)と、ポリプロピレン/ポリエチレン板(セパレーター)(厚み:25μm)と、を用いてセルを組み立て、真空乾燥によって充分に乾燥させた。
前記セルを前記非水電解液で含浸し、非水電解液電気二重層キャパシタを作製した。
<非水電解液電気二重層キャパシタの電気導電性の測定>
得られたキャパシタに、5mAの定電流を印加しながら、導電率計(商品名:CDM210、ラジオメータートレーディング(株)製)を用いて電気導電性を測定した。結果を表2に示す。
尚、非水電解液電気二重層キャパシタの25℃における電気導電性としては、5.0mS/cm以上であれば、実用上問題のないレベルである。
<低温特性の評価>
得られた非水電解液電気二重層キャパシタについて、0℃、−5℃、及び、−10℃のそれぞれの温度において内部抵抗(Ω)を測定し、20℃において測定した内部抵抗(Ω)と比較し評価した。0℃、−5℃、及び、−10℃のそれぞれの温度における内部抵抗(Ω)を表2に示す。
(実施例4)
実施例3の「非水電解液の調製」において、プロピレンカーボネートを99mlとし、ホスファゼン誘導体を1ml(1体積%)としたほかは、実施例3と同様にして非水電解液を調製(25℃における粘度:3.9mPa・s(3.9cP))し、劣化の評価を行った。また、実施例3と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、電気導電性、低温特性をそれぞれ測定・評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例3の「非水電解液の調製」において、ホスファゼン誘導体を、ホスファゼン誘導体(前記一般式(1)において、nが3であって、6つのFの代わりに、6つのメトキシエトキシエトキシ基を置換基として有する環状ホスファゼン誘導体)に代えた外は、実施例3と同様に非水電解液を調製(25℃における粘度:8.0mPa・s(8.0cP))し、劣化の評価を行った。また、実施例3と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、電気導電性、低温特性をそれぞれ測定・評価した。結果を表2に示す。
Figure 2002021631
【特許請求の範囲】
【請求項1】削除
【請求項2】削除
【請求項3】下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有する非水電解液二次電池用添加剤及び支持塩を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有し、非水電解液におけるホスファゼン誘導体の含有量が5〜80体積%である非水電解液二次電池。
一般式(1) (PNF
但し、一般式(1)において、nは3〜14を表す。
【請求項4】下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有する非水電解液二次電池用添加剤及び支持塩を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有し、非水電解液におけるホスファゼン誘導体の含有量が5〜75体積%である非水電解液二次電池。
一般式(1) (PNF
但し、一般式(1)において、nは3〜14を表す。
【請求項5】非水電解液の25℃における粘度が、4.0mPa・s(4.0cP)以下である請求項3に記載の非水電解液二次電池。
【請求項6】非水電解液が、非プロトン性有機溶媒を含む請求項3に記載の非水電解液二次電池。
【請求項7】非プロトン性有機溶媒が、環状又は鎖状のエステル化合物を含有する請求項6に記載の非水電解液二次電池。
【請求項8】削除
【請求項9】削除
【請求項10】支持塩及び下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有する非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有し、非水電解液におけるホスファゼン誘導体の含有量が3〜80体積%である非水電解液電気二重層キャパシタ。
一般式(1) (PNF
但し、一般式(1)において、nは3〜14を表す。
【請求項11】支持塩及び下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有する非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有し、非水電解液におけるホスファゼン誘導体の含有量が3〜75体積%である非水電解液電気二重層キャパシタ。
一般式(1) (PNF
但し、一般式(1)において、nは3〜14を表す。
【請求項12】非水電解液の25℃における粘度が、4.0mPa・s(4.0cP)以下である請求項10に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ。
【請求項13】非水電解液が、非プロトン性有機溶媒を含む請求項10に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ。
【請求項14】非プロトン性有機溶媒が、環状又は鎖状のエステル化合物を含有する請求項13に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ。

Claims (14)

  1. 下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有することを特徴とする非水電解液二次電池用添加剤。
    一般式(1) (PNF
    但し、一般式(1)においてnは3〜14を表す。
  2. 請求項1に記載の非水電解液二次電池用添加剤及び支持塩を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有することを特徴とする非水電解液二次電池。
  3. 非水電解液におけるホスファゼン誘導体の含有量が、1体積%以上である請求項2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 非水電解液におけるホスファゼン誘導体の含有量が、2体積%以上である請求項2に記載の非水電解液二次電池。
  5. 非水電解液の25℃における粘度が、4.0mPa・s(4.0cP)以下である請求項2に記載の非水電解液二次電池。
  6. 非水電解液が、非プロトン性有機溶媒を含む請求項2に記載の非水電解液二次電池。
  7. 非プロトン性有機溶媒が、環状又は鎖状のエステル化合物を含有する請求項6に記載の非水電解液二次電池。
  8. 下記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体を含有することを特徴とする非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤。
    一般式(1) (PNF
    但し、一般式(1)においてnは3〜14を表す。
  9. 支持塩及び請求項8に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ用添加剤を含有する非水電解液と、正極と、負極と、を有することを特徴とする非水電解液電気二重層キャパシタ。
  10. 非水電解液におけるホスファゼン誘導体の含有量が、1体積%以上である請求項9に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ。
  11. 非水電解液におけるホスファゼン誘導体の含有量が、2体積%以上である請求項9に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ。
  12. 非水電解液の25℃における粘度が、4.0mPa・s(4.0cP)以下である請求項9に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ。
  13. 非水電解液が、非プロトン性有機溶媒を含む請求項9に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ。
  14. 非プロトン性有機溶媒が、環状又は鎖状のエステル化合物を含有する請求項13に記載の非水電解液電気二重層キャパシタ。
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