JPWO2001075206A1 - インクジェット捺染装置、インクジェット捺染方法及びインクジェット捺染布帛 - Google Patents
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Abstract
布帛に染料インクを吐出するインクジェットノズルを有する捺染部と、布帛を上記捺染部側へ供給する布帛供給部と、上記捺染部にて捺染された布帛を乾燥せしめる乾燥部とを備えたインクジェット捺染装置において、上記乾燥部の下流側に、近接して布帛を熱処理する加熱部が設けられていること特徴とするインクジェット捺染装置。
Description
技術分野
本発明は、インクジェット方式を用いる捺染装置、インクジェット捺染方法及びかかる方法により捺染された布帛に関するものである。
背景技術
従来、布帛に図柄を印捺する方法としては、スクリーン捺染法,ローラ捺染法,ロータリースクリーン捺染法,転写捺染法等が用いられてきた。しかし、これらの印捺方法では図柄の変更毎にスクリーン枠,彫刻ローラ,転写紙等を用意する必要があり、これらスクリーン枠,彫刻ローラ,転写紙の作成はかなり高価であるため、かなりのロットを生産しなれば不経済であるという問題点とともに、ファッションの多様化に迅速に対応出来ないという欠点を有していた。これらの欠点を解決するために、スキャナーによる見本読み取りまたはコンピューターソフトによる画像作成などの手段によってコンピュータで画像処理を行い、その結果をインクジェット方式で印捺するインクジェット捺染技術が開発されてきた。かかるインクジェット捺染技術の一例として、特開平6−270401号に記載された方法が知られている。
かかる文献に記載された従来のインクジェット捺染装置の一実施形態を図2に示す。
まず、布帛供給部(4)から送り出された捺染対象の布帛(1)を下流側の捺染部(3)の方向に移送し、ワークステーション等の情報処理部から送信されたデジタル信号に基づいて、走行するインクジェットノズル(2)より染料インクを吐出せしめ、布帛(1)に付与する。
その後、布帛(1)は乾燥部(5)を通過することにより、所望の水分率になる様乾燥され、さらに巻き取りローラ等の布帛回収手段(8)によって回収されるのである。この様にして染料インクが付与された布帛(1)は、続いて一般的に染色・捺染工程で用いられる湿熱処理装置などの発色・固着手段に供給されて発色・固着の工程を経た後、適宜洗浄や仕上げ処理を施され、製品となる。
しかしながら、上記の方法の場合、通常発色・固着処理は捺染工程を経て巻き上げられた複数個の布帛ロールをバッチ処理するため、布帛ロールによっては保管場所や乾燥後の経過時間が異なるようになり、その結果同一条件で発色・固着処理を施した場合であっても、濃度や色調に差異が生じ、均一な捺染品位の製品を提供できないという問題を有していた。
インクジェット捺染法は、従来の他の捺染方法に比べると非常に微細な柄を鮮明に印刷できるという優れた利点を有する捺染方法である。したがって、濃度や色調の差異が生じた場合には、このようなインクジェット捺染方法の利点が十分に生かされず、高品位の捺染布帛を得ることができなくなる場合がある。このためインクジェット捺染法においては、特にかかる点の改善が必要とされている。
また、捺染工程後、巻き取り等によって回収した布帛に対して加熱を行う場合、布帛の移動という労力が必要となること、搬送時間が必要とされること、加熱前の保管場所の確保が必要となること、等の観点からもインクジェット印捺後に布帛を回収することは望ましくない。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであって、ロット間の濃度や色調の差異を減少させることが可能で、工程の簡略化が可能なインクジェット捺染装置、ロット間の濃度や色調の差異の少ないインクジェット捺染方法およびロット間の濃度や色調の差異の少ない高品位のインクジェット捺染布帛の提供を目的とするものである。
発明の開示
上記の目的は、布帛に染料インクを吐出するインクジェットノズルを有する捺染部と、布帛を上記捺染部側へ供給する布帛供給部と、上記捺染部にて捺染された布帛を乾燥せしめる乾燥部と、上記乾燥部の下流側に設けられた布帛を熱処理する加熱部からなるインクジェット捺染装置によって達成される。
発明を実施するための最良の形態
まず、請求項1にかかるインクジェット捺染装置について説明する。
図1に示すように、本発明のインクジェット捺染装置は、布帛(1)に染料インクを吐出するインクジェットノズル群(2)を有する捺染部(3)と、布帛(2)を上記捺染部(3)側へ供給する布帛供給部(4)と、上記捺染部(3)にて捺染された布帛(2)を乾燥せしめる乾燥部(5)とを備え、更に上記乾燥部(5)の下流側に、布帛(1)を熱処理する加熱部(6)を設けたものである。
上記布帛(1)は、特に限定されるものではなく、その形態としては織物,編み物,不織布などであって、且つ染料によって着色されるものであればよい。またその原料となる繊維も特に限定されるものではなく、具体的には、綿、羊毛、絹、麻、レーヨン等の天然繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、及び各種繊維の混紡、交織などよりなるものが挙げられる。
また、鮮明な画像を得るためには、布帛の立毛や起毛は少ないほど望ましい。このため使用する布帛の表面の毛羽長さが0.9mm以下であるとともに、0.5〜0.9mmの長さの毛羽の毛羽密度が30本/mm2以下であり、かつ0.5mm未満の長さの毛羽の毛羽密度が30本/10cm2以下であるようにすることが望ましい。
このような条件を満足させるためには、長繊維織物を用いるか、短繊維織物を用いる場合には毛羽伏せ剤処理、酵素減量処理、原布毛焼+精錬等の準備後の毛焼きの二回毛焼処理、原布毛焼+精錬等の準備後の剪毛処理等の処理を実施することが望ましい。
布帛は、先ず(A)撥水剤及び柔軟撥水剤から選ばれる少なくとも1種または、(B)撥水剤及び柔軟撥水剤から選ばれる少なくとも1種、及びヒドロトープ剤を分散もしくは溶解せしめた処理液(以下前処理剤)にて前処理する、処理液を付与する方法としてはパッティング法、スプレー法、コーティング法などが挙げられ、必要に応じて熱処理を行うことが望ましい。
撥水剤を使用する場合、撥水剤の種類は特に限定されないが、フッ素系化合物、シリコン系化合物、ジルコニウム系化合物等一般的な撥水剤が何れも使用できる。
撥水柔軟剤を使用する場合、撥水柔軟剤の種類は特に限定されないが、オクタデシルエチレン尿素、酢酸ジルコニウム、ポリオレフィン系化合物、ワックス系化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。
かかる撥水剤及び/又は柔軟撥水剤の使用量は吸水性がJIS L 1096A法(滴下法)で5秒以上〜240秒以下になるように用いる。5秒未満または240秒を越すと、鮮明性及び均染性が向上しない。
本発明においては固着性及び均染性を向上させるために、ヒドロトープ剤を使用することもできる。かかるヒドロトープ剤として具体的には、尿素、モノメチル尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。これらの中でも特に尿素を用いることがもっとも好ましい。これらのヒドロトープ剤の使用量はパッディング法を対象に処方を作るときは、布帛の質量に対して0.1〜30質量%固着するように用いる。0.1質量%未満では固着性及び均染性が向上せず、30質量%以上では効果の割に経済的ではなく、後の取り扱いが困難になる。
そして前処理剤には固着反応剤、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ性物質を添加してもよい。
更に、撥水処理においては、撥水剤及び柔軟撥水剤から選ばれる少なくとも1種と糊剤を併用して実施しても良く、糊剤としては、デンプン、可溶化デンプン、水溶性デンプン、水溶性デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーガムなどのガム類、ゼラチン、膠などの水溶性蛋白質、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、4級化水溶性カチオンポリマーなどの水溶性合成高分子化合物などが使用できる。更に揉布処理を併用することにより、染液の滲みを防止できる。
特に、上記糊剤としてカルボキシメチルセルロース、エーテル化カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一種と、水溶性アクリル系樹脂及びマレイン酸系樹脂から選ばれる少なくとも一種を併用するのが好ましい。
捺染部(3)は、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置(図示しない)により出力された画像信号を受け、布帛に対してインクジェットノズルによって印捺するための部分である。かかる捺染部(3)は具体的には、布帛(1)の幅方向に往復移動可能なインクジェットノズル群(2)を具備したものである。かかるインクジェットノズル群(2)より複数色のインクを吐出することにより、布帛に対して捺染を施すものである。
上記インクジェットノズルの方式は特に限定されるものではないが、具体的に使用可能な方法としては、(A)ノズル内に発熱抵抗素子を埋め込み、その発熱によりインクを沸騰せしめ、その泡の圧力によりインクを吐出せしめるバブルジェット方式、(B)圧電素子に電気信号を加えて変形させインク室の体積変化を励起してインク粒子を吐出せしめるパルスジェット方式、(C)超音波振動しているノズルからインクを加圧連続噴射させて粒子化せしめ、粒子を荷電量に制御一定電解中を通過偏向させ、記録,非記録粒子に分けて記録する荷電制御方式等が挙げられる。
上記インクジェットノズル群(2)を構成する個々のノズルには、それぞれ染料タンクから染料インクが供給されている。該染料としては、イエロー,マゼンタ,シアンの三原色とブラック(墨色)の4色を用いることが望ましく、これによって125色以上の配合色を表現することができる。
これらの染料としては、少なくとも布帛上でのCIE1976(L,a,b)空間において定義される知覚色度指数が下記の範囲である染料(I〜IV)を使用するのが好ましい。
I イエロー :(a)−20〜0 (b) 50〜90
II レッド :(a) 50〜70 (b) 0〜20
III ブルー :(a)−50〜−10 (b)−50〜20
IV ブラック :(a) −6〜6 (b) −6〜6
なお、これらの染料は各色2色以上の染料を併用してもよく、また、下記の如き範囲の染料を併用しても良い。
V イエロー :(a) 0〜20 (b) 50〜90
VI イエロー :(a) 20〜70 (b) 40〜90
(オレンジ)
VII レッド :(a) 50〜70 (b)−20〜0
VIII ブルー :(a)−10〜20 (b)−50〜−20
IX バイオレット:(a) 20〜70 (b)−50〜−20
X グリーン :(a)−70〜−20 (b) 50〜90
XIネイビーブルー:(a)−10〜10 (b)−20〜5
さらに求められる捺染品位に応じて上記4色の淡色インクや、バイオレット、オレンジ、グリーンなどの特色が用いられる。
特に布帛上でのCIE1976(L,a,b)空間において定義される知覚色度指数が下記の範囲である、7種の染料を併用した場合に色相範囲の広い、非常に鮮明な捺染布帛を得ることができることが分かっている。
1.イエロー1 :(a)−20〜0, (b) 50〜90
2.イエロー2 :(a) 0〜20, (b) 50〜90
又は (a) 40〜60, (b) 40〜80
3.レッド1 :(a) 50〜70, (b) 0〜20
4.レッド2 :(a) 50〜70, (b)−20〜0
5.ブルー1 :(a)−40〜−10, (b)−50〜−10
6.ブルー2 :(a)−10〜20, (b)−50〜−20
7.ブラック :(a) −5〜5, (b) −5〜5
また、3原色と墨色では、グリーン、オレンジ、バイオレットの一部は、十分表現できない場合が生ずるため、このような色相を表現する必要がある場合には、3原色と墨色の染料に加えて、オレンジ(上記VI)、バイオレット(上記IX)、グリーン(上記X)の中から選ばれる少なくとも1種、特に下記のa値、b値を持つ染料を追加使用することが望ましい。
オレンジ :(a) 40〜60, (b) 50〜80
バイオレット:(a) 25〜50, (b)−45〜−20
グリーン :(a)−70〜−40, (b) 50〜80
また、捺染品位に応じて、この他に三原色とブラックの淡色インクを併用することもできる。
染料としては、反応染料、酸性染料、直接染料、分散染料、カチオン染料、蛍光染料などが、染色する布帛の繊維の種類に応じて用いられるが、染液は、表面張力30〜65ダイン/cm(特に40〜50ダイン/cm)、25℃における粘度4cps以下(特に1〜2cps)に調整されるのがよい。
3原色及び墨色染料としては、染色後、確実な染色堅牢度を得ることができるので、次のようなものを使用するのが好ましい。なお、番号はCIナンバーを示す。
(1)直接染料
イエロー 28,30,106
レッド 79,80,83,92
ブルー 71,78,86,106,189,199,207,218
ブラック 62,113
(2)酸性染料
(3)反応染料
イエロー 2,81,95,116,142,161,オレンジ12
レッド 4,24,45,108,218
ブルー 2,5,15,19,41,49,72,75,190
ブラック 1,8
(4)分散染料
イエロー 79,160
レッド 50,72,127,146,154
ブルー 73,142,198,224
ブラック 1
更に、本発明では、非常に小さなドットとして布帛に染液を付着させるため、超微小滴の染液を安定して吐出できるように、染料は、無機塩類、分散剤、溶解剤などを除去して使用するのが好ましい。例えば、ナトリウム、カリウム、リン及び銅の含有量が0.01%以下に調整され、かつアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が各々0.015%以下に調整されている水溶性染料を用いるのがよい。特に、1価及び2価の金属が10ppm以下に調整されたとき、20℃の水に対する溶解度が50g/l以下である水溶性染料の使用が好ましい。
この種の水溶性染料としては、下記の如きものが例示できる。番号はCIナンバーを示す。
(1)直接染料
イエロー 28,106
レッド 80,83,89
ブルー 80,106,189,199,207
(2)酸性染料
(3)反応染料
本発明において上記の染料を溶解もしくは分散せしめる媒体としては、従来の一般的捺染における媒体、従来のインクジェット方式に用いられる媒体が使用でき、水又は水と有機溶媒との混合物が挙げられるが、水を用いるのが一般的である。また染料インクには各種の分散剤、pH調整剤、伝導度調整剤などを必要に応じて添加することが望ましい。
添加剤としては、乾燥防止剤としてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール類及び尿素などを100〜300g/lの割合で使用するのが好ましい。
布帛供給部(4)は、布帛(1)を上記捺染部(3)に向けて送出するための部分である。一定の速度で布帛を供給することができれば、特に限定なく公知の手段を使用することができるが、その一例としては、低速回転するモータと遠心クラッチにより間欠的に回転する布帛保持ローラ(7)に巻き付けられているロール状の布帛(1)を拡布状の布帛(1)として送り出すものが例示される。
上記の布帛供給部(4)より送り出された布帛(1)は、ベルトコンベア等により捺染部(3)まで搬送され、上述の様に染料インクを付与された後、さらに下流側に搬送される。
乾燥部(5)は、捺染部(3)を通過した布帛(1)の水分量を調整するための部分である。加熱部(6)の前に乾燥部(3)を設けることによって、滲みなどの問題が改善され、鮮明なインクジェット捺染布帛を得ることが可能となる。かかる乾燥部(5)は、布帛中の水分を3〜30質量%とすることによって、捺染布帛の発色を良好とするための部分であり、かかる目的を達成できる限りは乾燥部(5)の形態は特に限定されず、公知の乾燥手段を適宜使用することができる。また、捺染部(3)と加熱部(6)と間の搬送時間を通常より長く取ることによって、自然乾燥により布帛中の水分を上記の数値範囲に調節することも可能であるが、熱風加熱等の乾燥手段を設けるほうが、乾燥状態を一定に保つことが容易となる点でより好ましい。本発明の乾燥部(5)として使用することのできる好ましい乾燥手段としては、例えば熱風乾燥機、シリンダー乾燥機、マイクロ波乾燥機、遠赤外線乾燥機、真空乾燥機、ベーキング機、テンター、シュリンク乾燥機、ホットフルー、ローラードライヤー等の装置が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
加熱部(6)は、布帛(1)に対して湿熱処理又は乾熱処理を施す部分である。かかる加熱部(6)は、繊維に対して染料分子を固定させるための工程を行うための部分である。かかる加熱部(6)は筐体内に密閉された空間を有し、かかる密閉された空間を加熱するための加熱媒体を設けた形態が好ましい。処理対象となる布帛によって処理条件が異なるため、加熱媒体は処理条件を容易に変更できることが望ましく、また捺染品の品位のばらつきという課題を解決するためには、処理条件を一定に保持することが必要とされるため、かかる形態が望ましい。
また、筐体中で繊維を搬送するための搬送手段を設けることが必要となる。素材によっては長時間の滞留を必要とするため、ガイドローラーを設け、布帛を蛇行させることを可能とすることによって、省スペース化、省エネルギー化を図ることが望ましい。かかるガイドローラーの配置は、搬送経路を容易に変更することができ、布帛の加熱部(6)への滞留時間が容易に変更可能であるような形態とすることが望ましい。種種の布帛に対して対応が可能であることが望ましいためである。
加熱手段としては、湿熱処理装置、乾熱処理装置、高温高圧処理装置等、通常の捺染装置に用いられる加熱手段が用いられる。装置全体を特定の布帛のみを処理するための装置として用いる場合には、用いる布帛に対応した処理が可能となる装置を設ければ良く、種種の布帛の処理を単一の装置のみで行う場合は、単一の筐体に湿熱処理手段、乾熱処理手段、高温高圧処理手段を同時に設け、切り替えによって必要な処理を行うことが出来るようにするか、並列的に必要な手段を複数設け、ロット毎に使用する加熱手段を切替えることによって、種種の布帛に対応可能とすることができる。
加熱条件としては、布帛(1)の素材が綿100%である場合、上記密閉空間が、湿度80〜95%RH、温度100〜110℃、また布帛(1)の素材がポリエステル100%である場合、湿度60〜85%RH、温度175〜190℃とした場合に良好な発色が得られる様になる。
加熱部(6)の次には、(8)の布帛回収手段を設ける。これにより捺染処理の完了した布帛を回収し、次工程を行う。かかる布帛回収手段はローラーへの巻き取り、振り落とし等が挙げられるが、次工程を行う上で望ましいでの回収を行うことができれば、特に限定されるものではない。
次に、本発明の布帛の捺染方法にかかる発明について説明する。
本発明の捺染方法においては、まず布帛に対してインクジェットノズルにより吐出された染料インクを付着させることにより捺染する工程を有する。かかる工程により所望の柄を布帛に付与する。
次いで、かかる布帛を乾燥させる。乾燥方法は特に限定されるものではなく、上述した一般の乾燥方法が用いられる。乾燥工程により布帛の水分は3〜30%とされることが望ましい。水分率が3%未満であると、得られた製品はインクのドットが見えて印刷調になり、また染料が繊維内部に浸透しないため固着率が悪く濃度が出ず、一方水分率が30%を超えると滲みが発生し、かつ完全に裏まで染料インクが浸透するため濃度がでないので、上記の水分率とすることが望ましい。
その後、巻き取り、振り落とし等の工程を経ず、連続的に熱処理を行うことによって染料を固着させる。かかる熱処理の条件は上述した通りである。
かかる熱処理を経た後、水洗、乾燥を行う。かかる水洗、乾燥工程は、一旦巻き取り、振り落とし等の手段によって布帛を回収した後、通常の水洗、乾燥工程を経ることによって行う。
産業上の利用可能性
以上の説明の様に、本発明のインクジェット捺染装置およびインクジェット捺染方法によれば、1ロットの布帛の中での捺染品位のばらつきや、他ロットとの捺染品位のばらつきという問題を解消することが可能となるため、高品質で均質なインクジェット捺染製品を安定して供給することが出来るようになる。また、加熱部が捺染部/乾燥部と近接して設けられているので、製造工程や運搬時間の短縮、さらに一旦巻き取ったロールの保管場所や別途湿熱処理装置を設ける必要がなくなるので、迅速に且つ低コストで捺染布帛を製造できるようになるという効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明のインクジェット捺染装置を表す模式図であり、図2は従来のインクジェット捺染装置を表す模式図である。
図中の1は布帛を示す。図中の2はインクジェットノズルを示す。図中の3は捺染部を示す。図中の4は布帛供給部を示す。図中の5は乾燥部を示す。図中の6は加熱部を示す。図中の7は布帛保持ローラーを示す。図中の8は布帛回収手段を示す。図中の9は布帛進行方向を示す。
本発明は、インクジェット方式を用いる捺染装置、インクジェット捺染方法及びかかる方法により捺染された布帛に関するものである。
背景技術
従来、布帛に図柄を印捺する方法としては、スクリーン捺染法,ローラ捺染法,ロータリースクリーン捺染法,転写捺染法等が用いられてきた。しかし、これらの印捺方法では図柄の変更毎にスクリーン枠,彫刻ローラ,転写紙等を用意する必要があり、これらスクリーン枠,彫刻ローラ,転写紙の作成はかなり高価であるため、かなりのロットを生産しなれば不経済であるという問題点とともに、ファッションの多様化に迅速に対応出来ないという欠点を有していた。これらの欠点を解決するために、スキャナーによる見本読み取りまたはコンピューターソフトによる画像作成などの手段によってコンピュータで画像処理を行い、その結果をインクジェット方式で印捺するインクジェット捺染技術が開発されてきた。かかるインクジェット捺染技術の一例として、特開平6−270401号に記載された方法が知られている。
かかる文献に記載された従来のインクジェット捺染装置の一実施形態を図2に示す。
まず、布帛供給部(4)から送り出された捺染対象の布帛(1)を下流側の捺染部(3)の方向に移送し、ワークステーション等の情報処理部から送信されたデジタル信号に基づいて、走行するインクジェットノズル(2)より染料インクを吐出せしめ、布帛(1)に付与する。
その後、布帛(1)は乾燥部(5)を通過することにより、所望の水分率になる様乾燥され、さらに巻き取りローラ等の布帛回収手段(8)によって回収されるのである。この様にして染料インクが付与された布帛(1)は、続いて一般的に染色・捺染工程で用いられる湿熱処理装置などの発色・固着手段に供給されて発色・固着の工程を経た後、適宜洗浄や仕上げ処理を施され、製品となる。
しかしながら、上記の方法の場合、通常発色・固着処理は捺染工程を経て巻き上げられた複数個の布帛ロールをバッチ処理するため、布帛ロールによっては保管場所や乾燥後の経過時間が異なるようになり、その結果同一条件で発色・固着処理を施した場合であっても、濃度や色調に差異が生じ、均一な捺染品位の製品を提供できないという問題を有していた。
インクジェット捺染法は、従来の他の捺染方法に比べると非常に微細な柄を鮮明に印刷できるという優れた利点を有する捺染方法である。したがって、濃度や色調の差異が生じた場合には、このようなインクジェット捺染方法の利点が十分に生かされず、高品位の捺染布帛を得ることができなくなる場合がある。このためインクジェット捺染法においては、特にかかる点の改善が必要とされている。
また、捺染工程後、巻き取り等によって回収した布帛に対して加熱を行う場合、布帛の移動という労力が必要となること、搬送時間が必要とされること、加熱前の保管場所の確保が必要となること、等の観点からもインクジェット印捺後に布帛を回収することは望ましくない。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであって、ロット間の濃度や色調の差異を減少させることが可能で、工程の簡略化が可能なインクジェット捺染装置、ロット間の濃度や色調の差異の少ないインクジェット捺染方法およびロット間の濃度や色調の差異の少ない高品位のインクジェット捺染布帛の提供を目的とするものである。
発明の開示
上記の目的は、布帛に染料インクを吐出するインクジェットノズルを有する捺染部と、布帛を上記捺染部側へ供給する布帛供給部と、上記捺染部にて捺染された布帛を乾燥せしめる乾燥部と、上記乾燥部の下流側に設けられた布帛を熱処理する加熱部からなるインクジェット捺染装置によって達成される。
発明を実施するための最良の形態
まず、請求項1にかかるインクジェット捺染装置について説明する。
図1に示すように、本発明のインクジェット捺染装置は、布帛(1)に染料インクを吐出するインクジェットノズル群(2)を有する捺染部(3)と、布帛(2)を上記捺染部(3)側へ供給する布帛供給部(4)と、上記捺染部(3)にて捺染された布帛(2)を乾燥せしめる乾燥部(5)とを備え、更に上記乾燥部(5)の下流側に、布帛(1)を熱処理する加熱部(6)を設けたものである。
上記布帛(1)は、特に限定されるものではなく、その形態としては織物,編み物,不織布などであって、且つ染料によって着色されるものであればよい。またその原料となる繊維も特に限定されるものではなく、具体的には、綿、羊毛、絹、麻、レーヨン等の天然繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維、及び各種繊維の混紡、交織などよりなるものが挙げられる。
また、鮮明な画像を得るためには、布帛の立毛や起毛は少ないほど望ましい。このため使用する布帛の表面の毛羽長さが0.9mm以下であるとともに、0.5〜0.9mmの長さの毛羽の毛羽密度が30本/mm2以下であり、かつ0.5mm未満の長さの毛羽の毛羽密度が30本/10cm2以下であるようにすることが望ましい。
このような条件を満足させるためには、長繊維織物を用いるか、短繊維織物を用いる場合には毛羽伏せ剤処理、酵素減量処理、原布毛焼+精錬等の準備後の毛焼きの二回毛焼処理、原布毛焼+精錬等の準備後の剪毛処理等の処理を実施することが望ましい。
布帛は、先ず(A)撥水剤及び柔軟撥水剤から選ばれる少なくとも1種または、(B)撥水剤及び柔軟撥水剤から選ばれる少なくとも1種、及びヒドロトープ剤を分散もしくは溶解せしめた処理液(以下前処理剤)にて前処理する、処理液を付与する方法としてはパッティング法、スプレー法、コーティング法などが挙げられ、必要に応じて熱処理を行うことが望ましい。
撥水剤を使用する場合、撥水剤の種類は特に限定されないが、フッ素系化合物、シリコン系化合物、ジルコニウム系化合物等一般的な撥水剤が何れも使用できる。
撥水柔軟剤を使用する場合、撥水柔軟剤の種類は特に限定されないが、オクタデシルエチレン尿素、酢酸ジルコニウム、ポリオレフィン系化合物、ワックス系化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。
かかる撥水剤及び/又は柔軟撥水剤の使用量は吸水性がJIS L 1096A法(滴下法)で5秒以上〜240秒以下になるように用いる。5秒未満または240秒を越すと、鮮明性及び均染性が向上しない。
本発明においては固着性及び均染性を向上させるために、ヒドロトープ剤を使用することもできる。かかるヒドロトープ剤として具体的には、尿素、モノメチル尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。これらの中でも特に尿素を用いることがもっとも好ましい。これらのヒドロトープ剤の使用量はパッディング法を対象に処方を作るときは、布帛の質量に対して0.1〜30質量%固着するように用いる。0.1質量%未満では固着性及び均染性が向上せず、30質量%以上では効果の割に経済的ではなく、後の取り扱いが困難になる。
そして前処理剤には固着反応剤、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ性物質を添加してもよい。
更に、撥水処理においては、撥水剤及び柔軟撥水剤から選ばれる少なくとも1種と糊剤を併用して実施しても良く、糊剤としては、デンプン、可溶化デンプン、水溶性デンプン、水溶性デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーガムなどのガム類、ゼラチン、膠などの水溶性蛋白質、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、4級化水溶性カチオンポリマーなどの水溶性合成高分子化合物などが使用できる。更に揉布処理を併用することにより、染液の滲みを防止できる。
特に、上記糊剤としてカルボキシメチルセルロース、エーテル化カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一種と、水溶性アクリル系樹脂及びマレイン酸系樹脂から選ばれる少なくとも一種を併用するのが好ましい。
捺染部(3)は、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置(図示しない)により出力された画像信号を受け、布帛に対してインクジェットノズルによって印捺するための部分である。かかる捺染部(3)は具体的には、布帛(1)の幅方向に往復移動可能なインクジェットノズル群(2)を具備したものである。かかるインクジェットノズル群(2)より複数色のインクを吐出することにより、布帛に対して捺染を施すものである。
上記インクジェットノズルの方式は特に限定されるものではないが、具体的に使用可能な方法としては、(A)ノズル内に発熱抵抗素子を埋め込み、その発熱によりインクを沸騰せしめ、その泡の圧力によりインクを吐出せしめるバブルジェット方式、(B)圧電素子に電気信号を加えて変形させインク室の体積変化を励起してインク粒子を吐出せしめるパルスジェット方式、(C)超音波振動しているノズルからインクを加圧連続噴射させて粒子化せしめ、粒子を荷電量に制御一定電解中を通過偏向させ、記録,非記録粒子に分けて記録する荷電制御方式等が挙げられる。
上記インクジェットノズル群(2)を構成する個々のノズルには、それぞれ染料タンクから染料インクが供給されている。該染料としては、イエロー,マゼンタ,シアンの三原色とブラック(墨色)の4色を用いることが望ましく、これによって125色以上の配合色を表現することができる。
これらの染料としては、少なくとも布帛上でのCIE1976(L,a,b)空間において定義される知覚色度指数が下記の範囲である染料(I〜IV)を使用するのが好ましい。
I イエロー :(a)−20〜0 (b) 50〜90
II レッド :(a) 50〜70 (b) 0〜20
III ブルー :(a)−50〜−10 (b)−50〜20
IV ブラック :(a) −6〜6 (b) −6〜6
なお、これらの染料は各色2色以上の染料を併用してもよく、また、下記の如き範囲の染料を併用しても良い。
V イエロー :(a) 0〜20 (b) 50〜90
VI イエロー :(a) 20〜70 (b) 40〜90
(オレンジ)
VII レッド :(a) 50〜70 (b)−20〜0
VIII ブルー :(a)−10〜20 (b)−50〜−20
IX バイオレット:(a) 20〜70 (b)−50〜−20
X グリーン :(a)−70〜−20 (b) 50〜90
XIネイビーブルー:(a)−10〜10 (b)−20〜5
さらに求められる捺染品位に応じて上記4色の淡色インクや、バイオレット、オレンジ、グリーンなどの特色が用いられる。
特に布帛上でのCIE1976(L,a,b)空間において定義される知覚色度指数が下記の範囲である、7種の染料を併用した場合に色相範囲の広い、非常に鮮明な捺染布帛を得ることができることが分かっている。
1.イエロー1 :(a)−20〜0, (b) 50〜90
2.イエロー2 :(a) 0〜20, (b) 50〜90
又は (a) 40〜60, (b) 40〜80
3.レッド1 :(a) 50〜70, (b) 0〜20
4.レッド2 :(a) 50〜70, (b)−20〜0
5.ブルー1 :(a)−40〜−10, (b)−50〜−10
6.ブルー2 :(a)−10〜20, (b)−50〜−20
7.ブラック :(a) −5〜5, (b) −5〜5
また、3原色と墨色では、グリーン、オレンジ、バイオレットの一部は、十分表現できない場合が生ずるため、このような色相を表現する必要がある場合には、3原色と墨色の染料に加えて、オレンジ(上記VI)、バイオレット(上記IX)、グリーン(上記X)の中から選ばれる少なくとも1種、特に下記のa値、b値を持つ染料を追加使用することが望ましい。
オレンジ :(a) 40〜60, (b) 50〜80
バイオレット:(a) 25〜50, (b)−45〜−20
グリーン :(a)−70〜−40, (b) 50〜80
また、捺染品位に応じて、この他に三原色とブラックの淡色インクを併用することもできる。
染料としては、反応染料、酸性染料、直接染料、分散染料、カチオン染料、蛍光染料などが、染色する布帛の繊維の種類に応じて用いられるが、染液は、表面張力30〜65ダイン/cm(特に40〜50ダイン/cm)、25℃における粘度4cps以下(特に1〜2cps)に調整されるのがよい。
3原色及び墨色染料としては、染色後、確実な染色堅牢度を得ることができるので、次のようなものを使用するのが好ましい。なお、番号はCIナンバーを示す。
(1)直接染料
イエロー 28,30,106
レッド 79,80,83,92
ブルー 71,78,86,106,189,199,207,218
ブラック 62,113
(2)酸性染料
(3)反応染料
イエロー 2,81,95,116,142,161,オレンジ12
レッド 4,24,45,108,218
ブルー 2,5,15,19,41,49,72,75,190
ブラック 1,8
(4)分散染料
イエロー 79,160
レッド 50,72,127,146,154
ブルー 73,142,198,224
ブラック 1
更に、本発明では、非常に小さなドットとして布帛に染液を付着させるため、超微小滴の染液を安定して吐出できるように、染料は、無機塩類、分散剤、溶解剤などを除去して使用するのが好ましい。例えば、ナトリウム、カリウム、リン及び銅の含有量が0.01%以下に調整され、かつアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が各々0.015%以下に調整されている水溶性染料を用いるのがよい。特に、1価及び2価の金属が10ppm以下に調整されたとき、20℃の水に対する溶解度が50g/l以下である水溶性染料の使用が好ましい。
この種の水溶性染料としては、下記の如きものが例示できる。番号はCIナンバーを示す。
(1)直接染料
イエロー 28,106
レッド 80,83,89
ブルー 80,106,189,199,207
(2)酸性染料
(3)反応染料
本発明において上記の染料を溶解もしくは分散せしめる媒体としては、従来の一般的捺染における媒体、従来のインクジェット方式に用いられる媒体が使用でき、水又は水と有機溶媒との混合物が挙げられるが、水を用いるのが一般的である。また染料インクには各種の分散剤、pH調整剤、伝導度調整剤などを必要に応じて添加することが望ましい。
添加剤としては、乾燥防止剤としてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール類及び尿素などを100〜300g/lの割合で使用するのが好ましい。
布帛供給部(4)は、布帛(1)を上記捺染部(3)に向けて送出するための部分である。一定の速度で布帛を供給することができれば、特に限定なく公知の手段を使用することができるが、その一例としては、低速回転するモータと遠心クラッチにより間欠的に回転する布帛保持ローラ(7)に巻き付けられているロール状の布帛(1)を拡布状の布帛(1)として送り出すものが例示される。
上記の布帛供給部(4)より送り出された布帛(1)は、ベルトコンベア等により捺染部(3)まで搬送され、上述の様に染料インクを付与された後、さらに下流側に搬送される。
乾燥部(5)は、捺染部(3)を通過した布帛(1)の水分量を調整するための部分である。加熱部(6)の前に乾燥部(3)を設けることによって、滲みなどの問題が改善され、鮮明なインクジェット捺染布帛を得ることが可能となる。かかる乾燥部(5)は、布帛中の水分を3〜30質量%とすることによって、捺染布帛の発色を良好とするための部分であり、かかる目的を達成できる限りは乾燥部(5)の形態は特に限定されず、公知の乾燥手段を適宜使用することができる。また、捺染部(3)と加熱部(6)と間の搬送時間を通常より長く取ることによって、自然乾燥により布帛中の水分を上記の数値範囲に調節することも可能であるが、熱風加熱等の乾燥手段を設けるほうが、乾燥状態を一定に保つことが容易となる点でより好ましい。本発明の乾燥部(5)として使用することのできる好ましい乾燥手段としては、例えば熱風乾燥機、シリンダー乾燥機、マイクロ波乾燥機、遠赤外線乾燥機、真空乾燥機、ベーキング機、テンター、シュリンク乾燥機、ホットフルー、ローラードライヤー等の装置が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
加熱部(6)は、布帛(1)に対して湿熱処理又は乾熱処理を施す部分である。かかる加熱部(6)は、繊維に対して染料分子を固定させるための工程を行うための部分である。かかる加熱部(6)は筐体内に密閉された空間を有し、かかる密閉された空間を加熱するための加熱媒体を設けた形態が好ましい。処理対象となる布帛によって処理条件が異なるため、加熱媒体は処理条件を容易に変更できることが望ましく、また捺染品の品位のばらつきという課題を解決するためには、処理条件を一定に保持することが必要とされるため、かかる形態が望ましい。
また、筐体中で繊維を搬送するための搬送手段を設けることが必要となる。素材によっては長時間の滞留を必要とするため、ガイドローラーを設け、布帛を蛇行させることを可能とすることによって、省スペース化、省エネルギー化を図ることが望ましい。かかるガイドローラーの配置は、搬送経路を容易に変更することができ、布帛の加熱部(6)への滞留時間が容易に変更可能であるような形態とすることが望ましい。種種の布帛に対して対応が可能であることが望ましいためである。
加熱手段としては、湿熱処理装置、乾熱処理装置、高温高圧処理装置等、通常の捺染装置に用いられる加熱手段が用いられる。装置全体を特定の布帛のみを処理するための装置として用いる場合には、用いる布帛に対応した処理が可能となる装置を設ければ良く、種種の布帛の処理を単一の装置のみで行う場合は、単一の筐体に湿熱処理手段、乾熱処理手段、高温高圧処理手段を同時に設け、切り替えによって必要な処理を行うことが出来るようにするか、並列的に必要な手段を複数設け、ロット毎に使用する加熱手段を切替えることによって、種種の布帛に対応可能とすることができる。
加熱条件としては、布帛(1)の素材が綿100%である場合、上記密閉空間が、湿度80〜95%RH、温度100〜110℃、また布帛(1)の素材がポリエステル100%である場合、湿度60〜85%RH、温度175〜190℃とした場合に良好な発色が得られる様になる。
加熱部(6)の次には、(8)の布帛回収手段を設ける。これにより捺染処理の完了した布帛を回収し、次工程を行う。かかる布帛回収手段はローラーへの巻き取り、振り落とし等が挙げられるが、次工程を行う上で望ましいでの回収を行うことができれば、特に限定されるものではない。
次に、本発明の布帛の捺染方法にかかる発明について説明する。
本発明の捺染方法においては、まず布帛に対してインクジェットノズルにより吐出された染料インクを付着させることにより捺染する工程を有する。かかる工程により所望の柄を布帛に付与する。
次いで、かかる布帛を乾燥させる。乾燥方法は特に限定されるものではなく、上述した一般の乾燥方法が用いられる。乾燥工程により布帛の水分は3〜30%とされることが望ましい。水分率が3%未満であると、得られた製品はインクのドットが見えて印刷調になり、また染料が繊維内部に浸透しないため固着率が悪く濃度が出ず、一方水分率が30%を超えると滲みが発生し、かつ完全に裏まで染料インクが浸透するため濃度がでないので、上記の水分率とすることが望ましい。
その後、巻き取り、振り落とし等の工程を経ず、連続的に熱処理を行うことによって染料を固着させる。かかる熱処理の条件は上述した通りである。
かかる熱処理を経た後、水洗、乾燥を行う。かかる水洗、乾燥工程は、一旦巻き取り、振り落とし等の手段によって布帛を回収した後、通常の水洗、乾燥工程を経ることによって行う。
産業上の利用可能性
以上の説明の様に、本発明のインクジェット捺染装置およびインクジェット捺染方法によれば、1ロットの布帛の中での捺染品位のばらつきや、他ロットとの捺染品位のばらつきという問題を解消することが可能となるため、高品質で均質なインクジェット捺染製品を安定して供給することが出来るようになる。また、加熱部が捺染部/乾燥部と近接して設けられているので、製造工程や運搬時間の短縮、さらに一旦巻き取ったロールの保管場所や別途湿熱処理装置を設ける必要がなくなるので、迅速に且つ低コストで捺染布帛を製造できるようになるという効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明のインクジェット捺染装置を表す模式図であり、図2は従来のインクジェット捺染装置を表す模式図である。
図中の1は布帛を示す。図中の2はインクジェットノズルを示す。図中の3は捺染部を示す。図中の4は布帛供給部を示す。図中の5は乾燥部を示す。図中の6は加熱部を示す。図中の7は布帛保持ローラーを示す。図中の8は布帛回収手段を示す。図中の9は布帛進行方向を示す。
Claims (4)
- 布帛に染料インクを吐出するインクジェットノズルを有する捺染部と、布帛を上記捺染部側へ供給する布帛供給部と、上記捺染部にて捺染された布帛を乾燥せしめる乾燥部と、上記乾燥部の下流側に設けられた布帛を熱処理する加熱部からなるインクジェット捺染装置。
- 上記加熱部が、布帛導入口及び布帛排出口を備えた筐体と、該筐体内部に配設されたガイドローラーからなるものであって、布帛が上記筐体内部を屈曲して走行し得る様にガイドローラーが複数本設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット捺染装置。
- インクジェットノズルにより吐出された染料インクを布帛に対して捺染する工程
捺染された布帛を乾燥せしめる工程
かかる乾燥工程の後、布帛を回収することなく連続的に熱処理を行う工程
からなる布帛のインクジェット捺染方法。 - インクジェットノズルにより吐出された染料インクを布帛に対して捺染する工程
捺染された布帛を乾燥せしめる工程
かかる乾燥工程の後、布帛を巻き取ることなく連続的に熱処理を行う工程
によって製造されたことを特徴とするインクジェット捺染布帛。
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