JPS643800Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はトラクタ用エンジンのオイルパン取付
構造、特にバランサ装置を収納するオイルパンの
左右両側にボルト取付座を形成し、複数本のボル
トによりオイルパンをシリンダブロツクの下面に
締結するトラクタ用エンジンのオイルパン取付構
造に関する。

（従来技術） 一般にトラクタ用エンジンは、その前端部に前
車輪用フロントアクスルブラケツトが締結され、
後端面にミツシヨンケースが締結されており、エ
ンジン自体がミツシヨンケースとフロントアクス
ルブラケツトとの連結用剛体フレームとして利用
されている。

従つてエンジンの剛性を高くするために、シリ
ンダブロツクにオイルパンを剛直に締結する必要
がある。エンジンの後端部には、ミツシヨンケー
スがマウンテイングフランジを介してシリンダブ
ロツク及びオイルパンに締結されるので、マウン
テイングフランジがシリンダブロツクとオイルパ
ンとの間の締結強化部材としての役目を果たす。
従つてエンジン後端部の剛性は比較的高く保たれ
る。ところがエンジン前端部のフロントアクスル
ブラケツトは、エンジン前端部にフアン装置等を
備える関係上、オイルパンの部分のみに締結され
ている。従つてエンジン前端部における剛性は低
い。

（考案の目的） オイルパンの外径の左右幅が、前車輪の切り角
度（操向角度）の確保のために一定幅に制限さ
れ、またオイルパンの内部の最小左右幅が、バラ
ンサ装置収納スペースを確保するために、バラン
サ装置に対応する部分において制限されるのを考
慮して、バランサ装置に対応しないオイルパン前
端部のボルト取付座を、残りのボルト取付座より
もオイルパン内部側へ広く形成し、大きい直径の
ボルトによりオイルパン前端部をシリンダブロツ
クに締結できるようにすることにより、オイルパ
ンの前端部の剛性を高くし、フロントアクスルブ
ラケツトを強固に支持できるようにしようとする
ものである。

（考案の構成） (イ) バランサ装置を収納するオイルパンの左右両
側にボルト取付座を形成して、オイルパンを複
数のボルトによりシリンダブロツクの下面に締
結し、 (ロ) オイルパンの前端部にフロントアクスルブラ
ケツトを締結するトラクタ用エンジンにおい
て、 (ハ) バランサ装置に対応しないオイルパン前端部
のボルト取付座を、残りのボルト取付座よりも
オイルパン内部側へ広く形成し、 (ニ) 上記前端部のボルト取付座に、残りのボルト
取付座のボルトよりも大きい直径のボルトを取
り付ける。

（実施例） 第１図において、１はシリンダブロツク、２は
オイルパン、３フロントアクスルブラケツト、４
はミツシヨンケースであり、フロントアクスルブ
ラケツト３はオイルパン２の前端面にボルト５に
より締結されており、ミツシヨンケース４はマウ
ンテングフランジ６を介してシリンダブロツク１
及びオイルパン２の後端面にボルト８により締結
されている。フランジ６自体は複数本のボルト１
０によりシリンダブロツク１及びオイルパン２の
後端面に締結され、シリンダブロツク１とオイル
パン２の間の締結補強部材としての役目を果たし
ている。

オイルパン２内にはバランサケース１１が収納
されており、バランサケース１１はシリンダブロ
ツク１の下面１ａに固着されている。ケース１１
内には例えば２次２軸バランサ軸が左右（第１図
の表面側と裏面側）に１対備えられている。

オイルパン２はシリンダブロツク１の下面１ａ
に複数本のボルト１２及び複数本の大径のボルト
１３により締結されている。上記ボルト１２，１
３の配置及びオイルパン２のボルト取付座１５，
１６の構造は次のようになつている。

即ち第１図の底面図を示す第２図において、ボ
ルト取付座１５，１６はオイルパン２の左右両側
に形成されており、上記取付座１５，１６のう
ち、バランサケース１１に対応しないオイルパン
前端部の取付座１６は、残りの取付座１５よりも
オイルパン内部側、即ちクランク軸中心線Ｏ側へ
広く（深く）形成されている。広い取付座１６に
取り付けられボルト１３は残りの取付座１５に取
り付けられるボルト１２よりも、直径が大きくな
つている。即ちオイルパン２の前端部は、直径が
大きいボルト１３によりシリンダブロツク１の前
端部に剛直に締結されている。

オイルパン２の外径の左右幅Ｌは、広い取付座
１６の部分においても、狭い取付座１５の部分に
おいても同じである。即ちオイルパン２の左右幅
Ｌが広い取付座１６の部分において特に広くなる
ことはない。

第３図において、２０は前述の１対のバランサ
軸である。

（作用） フロントアクスルブラケツト３はオイルパン２
の前端部に締結されているが、オイルパン２の前
端部は直径が大きいボルト１３により剛直にシリ
ンダブロツク１に締結されているため、フロント
アクスルブラケツト３は、オイルパン２と大きい
直径のボルト１３を介してシリンダブロツク１と
に強固に支持される。

（考案の効果） (1) バランサ装置に対応しないオイルパン前端部
のボルト取付座１６を、残りのボルト取付座１
５よりもオイルパン２の内部側へ広く形成し、
上記オイルパン前端部の取付座１６のボルト１
３を、残りのボルト取付座１５のボルト１２よ
りも直径を大きくしているので、フロントアク
スルブラケツト３がオイルパン２のみの前端部
に締結されているとしても、フロントアクスル
ブラケツト３は、オイルパン２と、大きい直径
のボルト１３を介してシリンダブロツク１に剛
直に支持される。

(2) 広い取付座１６はオイルパン２の内部側に広
くなるように形成されているので、オイルパン
２の外径の左右幅Ｌが従来のものより広くなる
ことはなく、前車輪の切り角を充分に確保する
ことができる。またエンジンも大形化しない。

(3) バランサ装置に対応するボルト取付座１５は
オイルパン２の内部側へ広く形成されないの
で、バランサ装置収納スペースを広く確保でき
バランサ装置として従来の規格（大きさ）のも
のをそのまま利用し、製造コストを低く抑える
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したトラクタ用エンジン
の側面図、第２図は底面部分図、第３図は第２図
の−断面図である。 １……シリンダブロツク、２……オイルパン、
３……フロントアクスルブラケツト、１１……バ
ランサケース（バランサ装置）、１５……広いボ
ルト取付座、１６……取付座、１７……太い直径
のボルト、１８……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バランサ装置を収納するオイルパンの左右両側
   にボルト取付座を形成して、オイルパンを複数の
   ボルトによりシリンダブロツクの下面に締結し、
   オイルパンの前端部にフロントアクスルブラケツ
   トを締結するトラクタ用エンジンにおいて、バラ
   ンサ装置に対応しないオイルパン前端部のボルト
   取付座を、残りのボルト取付座よりもオイルパン
   内部側へ広く形成し、上記前端部の取付座に、残
   りのボルト取付座のボルトよりも大きい直径のボ
   ルトを取り付けたことを特徴とするトラクタ用エ
   ンジンのオイルパン取付構造。