JPS643542Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は建造物の外装などに用いられる建築
用パネルの歪みを取る歪取り装置に関する。

（従来の技術） 建造物の外装などに用いられる建築用パネルに
おいては、躯体に取り付けられる以前に、パネル
の加工誤差や熱伸縮が原因でパネル面が全面にわ
たりあるいは部分的に膨出又は凹む等の歪が発生
する性質がある。この歪みを取るために、従来よ
りパネルの歪取り装置がパネルに設けられている
が、従来のパネル歪取り装置は、第１図に示すよ
うに、パネル体Ｄの建物躯体Ｅ側に取付けた歪取
り用力骨Ａとこの歪取り用力骨Ａの躯体側の側面
に交叉状に固定され、パネル体の周縁部に載置さ
れる支持用力骨Ｂと、支持用力骨Ｂに移動可能に
ねじ止めされるとともに上記歪取り用力骨Ａに係
止される押え金具Ｃからなるものであるが、この
押え金具Ｃが長孔Ｈを介してねじＦにより支持用
力骨Ｂに螺合されている。そして、長孔Ｈを利用
して押え金具Ｃをパネル体の建物躯体側面に対し
て接近離反することにより、パネル面の歪みを除
き、この歪みを除いた位置においてねじＦを締め
つけ、補助ねじＧの締着によりこの状態を確保す
るものであつた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上述した従来の歪取り装置では
矩形断面の支持用力骨Ｂが、その見込み寸法だけ
建物躯体Ｅ側に突出しているため、建物躯体Ｅと
パネル面との間隔（奥行）ｌを大きくとらなけれ
ばならず、この奥行を大きくとれない場合には、
支持用力骨の断面積を小さくしてその歪取りに要
する強度を犠性にしなければならないという問題
があつた。そこで、この考案は、上記従来の歪取
り装置の問題点を解決すべくなされたもので、建
物躯体Ｅとパネル面との間隔（奥行）ｌが大きく
とれない場合でも、パネル面に生ずる歪みを効果
的に補正できる歪取り装置を提供することにあ
る。

（課題を解決するための手段） この考案に係る歪取り装置は、歪取り用力骨を
パネル対の建物躯体側の面に固定し、上記歪取り
用力骨の側壁に形成した欠除部に支持用力骨を交
叉状に嵌入して、この交叉部分で両力骨を互いに
結合するとともに、支持用力骨の両端又は一端を
上記パネル体の建物躯体側の面に対して接近離反
能にし、且つ、上記支持用力骨の両端又は一端を
歪みを除去した状態で固定手段によりパネル体の
周縁部に固定可能としたものである。

（実施例） 以下、この考案を第２図以下に示す実施例に基
づいて具体的に説明する。

パネル体３は、アルミニウムなどの金属板を成
形した平面部３ａと周縁部３ｂを有し、周縁部３
ｂは、パネルの端部を四周にわたり躯体側に折り
返した外周折曲げ片３ｃと、該折曲げ片の内側に
四周にわたり取り付けられた補強材４からなつて
いる。

補強材４は、パネル面に接する基片４ａと基片
４ａの両端から躯体側に立設した長短２つの立上
り片４ｂ，４ｃからなり、短寸の立上り片４ｃを
外周折曲げ片３ｃに当接してネジ１３，１８によ
り、パネル体の躯体側の面９に固定されている。

長寸の立上り片４ｂには、後述する支持用力骨
２への取付部と補強材４への取付部を有する断面
Ｌ字形の支持体６を、パネル体３の建物躯体側の
面に対して、接触離反可能に取り付けるための奥
行き方向の長孔２５が形成されている。

補強材４の長寸の立上り片４ｂの外縁には、
各々力骨１，２の縁部の位置において支持点アン
カー１２が取り付けられている。パネル体の外周
折曲げ片３ｃの適宜位置においては補強材４の短
寸の立上り片４ｃを介して、一般アンカー１１
が、それぞれねじ１３，１８により取付けられ、
この各アンカー１１，１２の他端縁は、躯体Ｅか
ら突出した鉄筋９に溶接される鉄製支持材１９と
ねじ２０により固定されている。支持点アンカー
１２は、一般アンカー１１より更に補強材４の長
寸の立上り片４ｂの方向に延長される平面部をも
ち、その端縁に直立部を具え、この直立部と補強
材４の短寸の立上り片４ｃの側面を当接させた状
態で、側方のねじ２２により補強材４側面に固定
されている。歪取り用力骨１は、断面〓状で上端
縁に折曲縁１６を具え、パネル体３の躯体側に植
設するスタツドボルト１４とこれに螺合するナツ
ト１５により、パネル体３の建物躯体側の面に密
着固定され、又、歪取り用力骨１は、ネジ２４に
より補強材４に取り付けられたコ字状の連結具１
０を介して補強材４に取り付けられている。

支持用力骨２は、断面中空矩形状の管体に形成
され、上記歪取り用力骨１の側壁に穿設される貫
通孔７に嵌入されている。

支持用力骨２の両端には、上記支持体６がネジ
２１により固定されており、上記補強材４に設け
られた長孔２５に挿通したネジ２２をゆるめた状
態で、長孔２５の範囲内で支持体６を移動するこ
とにより支持用力骨２は、パネル体３の建物躯体
側の面に対して接近離反可能となつている。さら
に、歪みを除去した状態で、ネジ２２を締付ける
ことにより支持用力骨２の両端又は一端は支持体
６を介して補強材４に固定される。

なお、歪取り用力骨１の上方折曲端縁１６には
固定金具５がねじ１７により固定されている。さ
らに支持用力骨２の中央部分にはねじ２３により
固定金具５の中央部分が螺着されていることによ
つて、歪取り用力骨１と支持用力骨２は係合交叉
状態で結合されている。固定金具５は、一方にお
いて支持用力骨２の挿通用貫通孔７を穿設したた
めに生ずる歪取り用力骨１の強度の弱化を補強す
るためのものである。

さらにまた、この実施例においては、歪取り用
力骨１の側壁貫通孔７内に支持用力骨２を挿通し
ているものであるが、固定金具５と同様の補強手
段をあらかじめ考慮するならば、両力骨１，２の
嵌合手段は、上記のものに限定されることなく、
例えば、両力骨とも交叉部分を欠除し、この欠除
部分を互に嵌合することにより組立てることもで
きる。また、両力骨１，２の結合手段はこれに限
定されることなく、緊密な貫通状態としてもよい
し、さらに溶接してもよい。

この実施例の構成は、以上のとおりであるか
ら、ネジ２２をゆるめた状態で支持用力骨２の両
端もしくは一端をパネル体３の建物躯体側の面に
対して接近離反することにより、歪取り用力骨１
を移動させる。歪取り用力骨１はパネル体３に密
着固定しているので平面部３ａを全面にわたり、
あるいは部分的に膨出したり凹ましたりできる。
従つてパネル平面部３ａが全面にわたりあるい
は、部分的に膨出又は凹むことにより生じている
歪を除去することができる。

例えば第５図イのようにパネル平面部３ａが、
建物躯体側方向に凹んだ状態の場合は、ネジ２２
をゆるめた状態で支持用力骨２の両端を図中矢印
のようにパネル体３の建物躯体側の面に対して接
近させると、支持用力骨２と結合状態にある歪取
り用力骨１が図中矢印の方向へ押される結果、パ
ネル平面部３ａを全面にわたり建物躯体側と反対
側方向に膨出させることができるのであり、これ
により歪みを除去することができる。

第５図ロのようにパネル平面部３ａが建物躯体
側と反対側方向に膨出した状態の場合は、ネジ２
２をゆるめた状態で支持用力骨２の両端を図中矢
印のように、パネル体３の建物躯体側の面に対し
て離反させると、支持用力骨２と結合状態にある
歪取り用力骨１が、図中矢印の方向へ引張られる
結果、パネル平面部３ａを全面にわたり、建物躯
体側方向に凹ますことができるのであり、これに
より歪みを除去することができる。

第５図ハのように、パネネ平面部３ａの歪取り
用力骨１の図中左側が、建物躯体側方向に凹んで
あり、さらに、歪取り用力骨１の図中右側が、建
物躯体側と反対側方向に膨張した状態の場合はネ
ジ２２をゆるめた状態で、支持用力骨２のパネル
平面部３ａの凹んだ側の一端を図中矢印のように
パネル体３の建物躯体側の面に対して接近させ、
かつ、支持用力骨２のパネル平面部３ａの膨出し
た側の他端を図中矢印のようにパネル体３の建物
躯体側の面に対して離反させると支持用力骨２と
結合状態にある歪取り用力骨１が、図中右側が上
がつて図中左側が下がつて傾斜する結果、支持用
力骨２を接近させた側のパネル平面部３ａが膨出
し、かつ支持用力骨２を離反させた側のパネル平
面部３ａが凹むので、これにより歪みを除去する
ことができる。

又、この調整により歪みを取り除いた状態で、
支持用力骨２の両端を支持体６を介してネジ２２
によりパネル体３に固定することができる。

このパネル体の歪みを除去し、支持用力骨２の
両端を支持体６に固定する作業はあらかじめ工場
において行なわれる。そしてこの作業の完了した
パネルを建築現場に運び、建造物の躯体Ｅの突出
状の鉄筋９に溶接した支持材１９を介して、これ
に固定する一般アンカー１１と支持点アンカー１
２により、補強材４とともにパネル体３を固定す
るのである。

（考案の効果） この考案は、歪取り用力骨を上記要旨とする構
成のように固定可能としたので、パネルの奥行ｍ
は従来のものに比べて小さくなり、奥行ｍを大き
くとることができない建物の場合に於いても充分
にパネルを収めることができるという優れた効果
を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の重ね交叉歪取装置の縦断面図、
第２図はこの考案の装置を具えたパネルの斜視
図、第３図と第４図はそれぞれ第２図の装置のＸ
−Ｘ，Ｙ−Ｙ縦断面図、第５図イ〜ハは歪取りの
種々の態様を示す。 １……歪取り用力骨、２……支持用力骨、３…
…パネル体、４……補強材、３ａ……平面部、３
ｂ……周縁部、３ｃ……折曲げ片、４ａ……基
片、４ｃ，４ｃ……立上り片、５……固定金具、
６……支持体、７……貫通孔、１０……連結具、
１１……一般アンカー、１２……支持点アンカ
ー、１４……スタツドボルト、１５……ナツト、
１９……支持材、２５……長孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 歪取り用力骨をパネル体の建物躯体側の面に固
   定し、上記歪取り用力骨の側壁に形成した欠除部
   に支持用力骨を交叉状に嵌入して、この交叉部分
   で両力骨を互いに結合するとともに、支持用力骨
   の両端又は一端を、上記パネル体の建物躯体側の
   面に対して接近離反可能にし、且つ、上記支持用
   力骨の両端又は一端を歪みを除去した状態で、固
   定手段によりパネル体の周縁部に固定可能として
   なる建築用パネルの歪取り装置。