JPH071377Y2 - 梁への床パネルの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、パネル工法の建築物における梁への床パネル
の取付構造に関するものである。

【従来の技術】

パネル工法の建築物では、床は床パネル４によって形成
されるものであり、床パネル４は梁１に端部を結合させ
ることによって取り付けられている。第６図は梁１への
床パネル４の取り付けの一例を示すものであり、梁１の
上下のフランジ8,8間に断面コ字型の取付金物９をボル
トナット10で固定し、枠材11の上面に面板12を張って形
成される床パネル４を梁１の側方に配設して、枠材11と
取付金物９とをボルトナット10で結合させることによっ
て、取付金物９を介して床パネル４を梁１に取り付ける
ようにしている。

【考案が解決しようとする課題】

しかしこのものでは、取付金物９を梁１に固定するため
のボルトナット10のボルト頭10aがフランジ８の上面や
下面から突出することになり、例えば耐力壁13の取り付
けなどにボルトナット10のボルト頭10aが邪魔になると
いう問題があった。すなわち、耐力壁13はＨ型鋼などの
左右一対の縦材14,14の上端間と下端間に型鋼などの横
材15,15を組み付けると共にこの両面に面板16を張るこ
とによって第５図に示すように、耐力材として形成され
るものであり、縦材14の下端と上端にそれぞれ脚材17が
取り付けてある。そしてこの耐力壁13の取り付けは、耐
力壁13の脚材17を梁１のフランジ８上に載置すると共に
この脚材17をボルトナットでフランジ８に結合させるこ
とによっておこなわれているが、取付金物９を固定する
ボルトナット10のボルト頭10aがフランジ８から突出し
ていると、このボルトナット10のボルト頭10aが邪魔に
なって脚材17をフランジ８に結合させることができず、
耐力壁13の取り付けができなくなるのである。特に柱と
隣接する箇所、すなわち梁１の端部においては梁１に床
パネル４を取り付ける箇所と梁１に耐力壁13を取り付け
る箇所とが一致するために、耐力壁13の取り付けは不能
になるものであった。 このために、第７図に示すように、脚材17を耐力壁13の
縦材14と分離して形成し、梁１のフランジ8,8間に取付
金物９を取り付けるボルトナット10でこの脚材17も同時
にフランジ８に取り付けるようにし、脚材17をこのよう
にフランジ８に取り付けた後に脚材17に耐力壁13の縦材
15をボルトナットで結合させることが試みられている。
第７図において18は通し柱、19は柱18に梁１を接合する
ための接合金物である。この方法では取付金物９を取り
付けるためのボルトナット10のボルト頭10aが邪魔にな
るようなことなく、耐力壁13の取り付けをおこなうこと
ができるが、脚材17を分離した部材として取り扱わなけ
ればならないために、施工の部品点数が増加して施工性
が悪くなるという問題があった。 本考案は上記の点に鑑みて為されたものであり、床パネ
ルを梁に取り付けるための取付金物を梁に固定する際の
ボルト頭が梁のフランジに突出することがない梁への床
パネルの取付構造を提供することを目的とするものであ
る。

【課題を解決するための手段】

本考案に係る梁への床パネルの取付構造は、一方の端部
を結合片20、他方の端部を連結片21として水平断面略Ｚ
字型に屈曲させて取付金物３を形成し、梁１のウェブ２
に結合片20を取り付けることによって連結片21を梁１の
側方へ突出させて取付金物３を固定し、梁１の側方に配
設させる床パネル４の周囲の枠材11の外面を取付金物３
の連結片21の外面に結合して成ることを特徴とするもの
である。

【作用】

本考案にあっては、床パネル４を取り付けるための取付
金物３は梁１のウェブ２に固定するようにしているため
に、取付金物３を梁１に固定する際のボルト頭が梁１の
フランジ８に突出することがない。

【実施例】

以下本考案を実施例によって詳述する。 第２図及び第３図はそれぞれ取付金物３の一例を示すも
のであり、それぞれ梁１のウェブ２の反対側面に取り付
けるために対称形に形成してある。取付金物３は平断面
略Ｚ字型に屈曲させて一方の端部を結合片20、他方の端
部を連結片21として形成されるものであり、結合片20と
連結片21の内側にはそれぞれ補強板22が溶接して取り付
けてある。また結合片20と連結片21にはそれぞれ通孔23
が穿設してあり、連結片21の内側には通孔23の周縁にて
ナット24が溶接して取り付けてある。一方、梁１は例え
ば第４図のようにウェブ２の上下にフランジ8,8を設け
たＨ型鋼で形成されるものであり、梁１の端面には端部
プレート25が設けてある。また梁１の端部においてウェ
ブ２には通孔26が穿設してあり、同様に梁１の端部にお
いてフランジ8,8には通孔27を穿設すると共に通孔27の
周縁にてナット28が溶接固着してある。 梁１はその端部の端部プレート25を柱18にボルトナット
で止めることによって柱18間に架設されているものであ
り、この梁１に床パネル４の端部を支持させるにあたっ
ては、第１図（ａ）に示すように、まず梁１のウェブ２
の両面にそれぞれ第２図と第３図の取付金物3,3を配設
し、各取付金物3,3の結合片20,20をウェブ２に当接させ
ると共に結合片20,20の通孔23とウェブ２の通孔26とを
ボルトナット10で結合させて取付金物3,3を固定する。
このように取付金物３を梁１に取り付けた状態で取付金
物３の連結片21がフランジ８の先端よりも側方へ突出す
るように、取付金物３の大きさを形成してある。そして
床パネル４は枠材11の上面に面板12を張って形成される
ものであり、梁１の側方に床パネル４を配設して、枠材
11に設けた通孔29から取付金物３の連結片21に設けた通
孔23にボルト30を通すと共にボルト30を連結片21に固着
したナット24に螺合することによって、床パネル４の端
部を取付金物３に結合させ、取付金物３を介して床パネ
ル４を梁１のウェブ２に取り付けることができる。一
方、２階など階上の間仕切り壁として形成される耐力壁
13は第１図（ｂ）に示すように、その下端に設けた脚材
17を梁１のフランジ８に載置し、脚材17を通したボルト
30をフランジ８の通孔27に挿通すると共にフランジ８に
固着したナット28に螺合することによって、梁１のフラ
ンジ８に結合させて取り付けることができる。

【考案の効果】

上述のように本考案にあっては、梁のウェブに梁の側方
へ突出させて取付金物を固定し、梁の側方に配設される
床パネルの端部を取付金物に結合するようにしたので、
床パネルを梁に取り付けるための取付金物は梁のウェブ
に固定されていて、取付金物を梁に固定する際のボルト
頭が梁のフランジに突出することがないものであり、梁
のフランジに耐力壁などを取り付ける際に何等支障が生
じるようなおそれがないものである。また、一方の端部
を結合片、他方の端部を連結片として水平断面略Ｚ字型
に屈曲させて取付金物を形成し、梁のウェブに結合片を
取り付けることによって連結片を梁の側方へ突出させて
取付金物を固定し、梁の側方に配設される床パネルの周
囲の枠材の外面を取付金物の連結片の外面に結合するよ
うにしたので、床パネルの枠材の外面と取付金物の連結
片の外面とを結合させて床パネルの取り付けをおこなう
ことができ、取付金物の上に床パネルの端部を載置して
取り付ける場合のように床パネルの上面が梁の上面から
大きく上方へ突出してしまうようなことなく床パネルの
取り付けをおこなうことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）（ｂ）は本考案の一実施例の一部の水平断
面図と一部の正面図、第２図（ａ）（ｂ）（ｃ）と第３
図（ａ）（ｂ）（ｃ）はそれぞれ取付金物の拡大した正
面図と側面図と平面図、第４図（ａ）（ｂ）（ｃ）は同
上の梁の一部の縮小した正面図と側断面図と平面図、第
５図は耐力壁の縮小概略図、第６図は従来例の縮小した
一部の断面図、第７図は他の従来例を示す一部の分解し
た正面図である。 １は梁、２はウェブ、３は取付金物、４は床パネル、11
は枠材、20は結合片、21は連結片である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一方の端部を結合片、他方の端部を連結片
   として水平断面略Ｚ字型に屈曲させて取付金物を形成
   し、梁のウェブに結合片を取り付けることによって連結
   片を梁の側方へ突出させて取付金物を固定し、梁の側方
   に配設される床パネルの周囲の枠材の外面を取付金物の
   連結片の外面に結合して成る梁への床パネルの取付構
   造。