JPS642983Y2

JPS642983Y2 -

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Publication number: JPS642983Y2
Application number: JP10816684U
Authority: JP
Priority date: 1984-07-19
Filing date: 1984-07-19
Publication date: 1989-01-25
Also published as: JPS6123537U

Description

【考案の詳細な説明】技術分野この考案は、自動変速機の変速制御装置を構成
する油圧サーボピストンの改良に関する。

技術的背景自動変速機には、流体クラツチまたはトルクコ
ンバータと遊星歯車装置および変速制御装置等か
ら構成されたものがあるが、このための変速制御
装置は機関からトルクコンバータを経て取出され
た回転運動を遊星歯車で所定比に変速させて出力
軸から取り出す際に変速比の制御を行う。

すなわち変速制御装置は、複数のクラツチ、ブ
レーキ等の摩擦係合手段を備え、これら摩擦係合
手段のON，OFF（断続）の組合せにより、遊星
歯車の出力軸を変速制御する。

そして、従来の変速制御装置を構成する油圧サ
ーボピストンとしてのブレーキピストンは、例え
ばトランスミツシヨンケースに固定されるセンタ
サポートのシリンダ部に対して中間軸（または入
出力軸）方向に摺動自由に収納され、図示しない
シフト弁からの油圧によりON−OFF制御され
る。

このブレーキピストンは中間軸心線を中心とし
て環状に形成され、剛性の高い部分と低い部分と
が環状になるように交互に例えば３箇所ずつ連結
されており、高剛性の部分はその突起部で摩擦係
合部材を成すブレーキデイスクを押圧し、他方の
低剛性の部分はリターンスプリングの収納凹部に
なつている。

ところが、従来のブレーキピストンは、全体的
な剛性が低いために組付時の押込力や作動時の油
圧力によりブレーキピストン自体が変形しやす
く、シリンダ部での摺動不良やＯリング部（シー
ル部）からの油圧洩れを生じ、充分なブレーキ作
用を発揮しない。

一方、ブレーキピストンの剛性を充分に高くす
るために、とくにピストン薄肉部を厚めにする
と、ブレーキピストン全体として厚肉となつても
ともと厚肉の部分は必要以上に肉がつくこととな
り、また、従来の変速機では各部へのオイル供給
通路とブレーキピストンを前後に近接する構成を
とる以上、ブレーキピストンを厚肉にすれば、そ
のぶんだけオイル供給通路をズラさなければなら
ず、変速機全体の軸方向寸法が大きくなるという
問題がある。

考案の目的本考案は、このような問題を解決するためにな
されたもので、各部へオイルを供給する基本的な
油路構成をほとんど変更することなく、油圧サー
ボピストン特にブレーキピストンの剛性を高めて
変形による摩擦係合装置作動不良を防止すること
を目的とする。

考案の構成および作用本考案の自動変速機の油圧サーボピストン装置
は次のように構成する。トランスミツシヨンケー
ス内にその軸方向に配されたシリンダ部に対して
作動油圧に応じて軸方向に摺動する環状の油圧サ
ーボピストンを設け、このピストンの前端面に摩
擦係合部材を押圧する突起部と油圧サーボピスト
ン用のリターンスプリングを収納する窪み部を交
互に環状に配設し、油圧サーボピストンの後端面
には、前記窪み部の裏面に対応する位置にシリン
ダ部底面に向つて突出する補強用突起を設ける。

本考案によるブレーキピストン装置の一例とし
ては、トランスミツシヨンケースに固定されるセ
ンタサポートの前面外周に出力軸方向に軸心線を
もつシリンダ部を環状に形成し、この環状シリン
ダ部に対して作動油圧に応じて出力軸方向に摺動
する環状のブレーキピストンを設け、このブレー
キピストンの前端面にブレーキデイスクを圧着す
る突起部とブレーキピストンのリターンスプリン
グを収納する窪み部を交互に環状に設け、ブレー
キピストンの後端面には、前記窪み部の裏面に対
応する位置にシリンダ部底面に向つて突出する補
強用突起を設ける。

このように、ブレーキピストンの窪み部の裏面
（薄肉部分）に補強用の突起を設けたので、ブレ
ーキピストン全体を厚肉にすることなくブレーキ
ピストンの剛性を高めることができる。したがつ
て、ブレーキピストンの変形量を最小限に抑え、
シリンダ内部からの圧油洩れを防止する。

また、ブレーキピストンを摺動自由に嵌合する
センタサポートには、前記補強用突起を収納する
シリンダ部を除いたもともと厚肉の位置で各部へ
オイルを導くオイル通路を形成するように構成す
れば、ブレーキピストンを挟んで反対側にセツト
されるリターンスプリングなどの取付けスペース
を制限することはなく、変速機の軸方向スペース
の増大を避けられる。

実施例本考案の実施例を図面にもとづいて説明する。
第１図は本考案を適用した自動変速機の要部をあ
らわし、第２図〜第６図はそのブレーキピストン
を示す。

図示しないトルクコンバータからの回転力は、
入力軸１からクラツチ２または３を介して中間軸
４または５に伝達され、この中間軸４または５か
ら遊星歯車装置６または７を経て出力軸８から取
り出されるようになつている。

中間軸５と一体のハブ９の外周には、複数の摩
擦板１０が環状に配設され、これら摩擦板１０に
圧着自在のブレーキデイスク１１の外周端が、ト
ランスミツシヨンケース１２に固定される環状部
材１３の内周に片持固定されている。

そして、その後方でトランスミツシヨンケース
１２に固定されるセンタサポート１４の前面外周
には、中間軸（出力軸）方向に軸心線をもつシリ
ンダ部１４ａを環状に形成し、この環状シリンダ
部１４ａに対して作動油圧に応じて中間軸方向に
摺動する環状のブレーキピストン１５を設ける。

第１図〜第６図に示すように、ブレーキピスト
ン１５の前端面には、前記ブレーキデイスク１１
を押圧（圧着）する突起部１６が略円周方向に３
個設けられ、これら突起部１６の間にブレーキピ
ストン１５のリターンスプリング１７の一端１７
ａを収納するリターンスプリング収納穴（窪み
部）１８を同じく円周方向の３箇所にそれぞれ６
個ずつ形成する。

一方、ブレーキピストン１５の後端面には、前
記スプリング収納穴１８の裏面に対応する位置
に、センタサポート１４のシリンダ部１４ａに向
つて突出する突起１９を円周方向の３箇所に設け
る。

なお、ブレーキピストン１５の外周および内周
には、Ｏリング２０，２１が嵌合するシール溝２
２，２３が設けられる。スプリング収納穴１８に
嵌まるリターンスプリング１７の他端１７ｂは、
環状部材１３に固定されるストツプリング２４で
位置決めされる。

そしてこの場合、クラツチ３のクラツチピスト
ン２５を作動させるための油室２６に圧油を供給
するオイル供給通路２７は、前記ブレーキピスト
ン１５の突起１９と対面する位置を除いたセンタ
サポート１４の厚肉部に開口されている。すなわ
ち、この実施例では、ブレーキデイスク１１を押
圧する突起部１６のブレーキピストン裏面側にお
いて、センタサポート１４に半径方向に開口する
オイル供給通路２７が設けられる。

このように構成されるので、センタサポート１
４のシリンダ部１４ａに図示しない油路を通じて
圧油が供給されると、ブレーキピストン１５は図
で左方に移動して突起部１６でブレーキデイスク
１１を押圧する。逆に、シリンダ部１４ａへの油
圧が解放されると、リターンスプリング１７の働
きによりブレーキピストン１５を右方に移動して
ブレーキを解除する。

本実施例では、リターンスプリング収納穴１８
を形成したブレーキピストン１５の薄肉の部分の
裏面（後端面）に補強用の突起１９を設け、ブレ
ーキピストンの軸方向の肉厚を増大したので、そ
の剛性が高められて作動油圧漏れなどの障害を確
実に防止することができる。また、クラツチ３の
駆動用オイル供給通路２７は、ブレーキピストン
１５の突起１９と対面する位置を除いた部分に形
成しているので、変速機の軸方向スペースを増加
しなくとも簡便な手段によりブレーキピストン１
５を補強することができる。

なお、この実施例では、トランスミツシヨンケ
ース１２の内部に収納した１つのブレーキピスト
ン１５に本考案を適用した場合を説明したが、第
１図では示されない前方側（左方側）の第２のブ
レーキピストンにも同時に本考案を適用してもよ
いことはもちろんである。

考案の効果以上のように、本考案によれば、環状ブレーキ
ピストンの後端面に円周方向の補強用突起を数箇
所で設けたので、ブレーキピストンの剛性が高め
られて、その変形による摺動不良や油圧漏れに伴
う作動不良を解消することができるとともに、各
部への従来の油路構成をほとんど変更することな
くブレーキピストンを補強できるので、補強用突
起と反対側のリターンスプリング配置スペースな
どのトランスミツシヨン軸方向スペースを増大す
ることなく、本来のブレーキピストン機能を確保
できる。

また、従来おこなわれていたブレーキピストン
の鋳鉄化などの材質強化による剛性アツプにくら
べて、軽量なブレーキピストンをほとんど重量増
することなく、補強できるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例をあらわす組立構成断
面図、第２図はその要部としてのブレーキピスト
ンの平面図、第３図は同じくブレーキピストンの
裏面図、第４図は第２図の−線断面図、第５
図は第４図のＡ部分の拡大断面図、第６図は第４
図のＢ部分の拡大断大断面図である。１……入力軸、４，５……中間軸、８……出力
軸、１１……ブレーキデイスク、１２……トラン
スミツシヨンケース、１４……センタサポート、
１４ａ……シリンダ部、１５……ブレーキピスト
ン、１６……突起部、１７……リターンスプリン
グ、１８……リターンスプリング収納穴（窪み
部）、１９……補強用突起、２７……オイル供給
通路。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

トランスミツシヨンケース内にその軸方向に配
されたシリンダ部に対して作動油圧に応じて軸方
向に摺動する環状の油圧サーボピストンにおい
て、このピストンの前端面に摩擦係合部材を押圧
する突起部とピストンのリターンスプリングを収
納する窪み部を交互に環状に配設し、ピストンの
後端面には、前記窪み部の裏面に対応する位置に
シリンダ部底面に向つて突出する補強用突起を設
けたことを特徴とする自動変速機の油圧サーボピ
ストン装置。