JPS6366628B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、釦やホツクの止め具を被服生地に取
付ける際に用いる鋲に関する。

従来技術 鋲を用いる被服用釦は、一般に、柱部の先端を
尖鋭にした鋲を用い、この鋲の柱部を被服生地を
介して釦主体の中空筒部に加圧挿入することによ
り前記柱部の先端部分を変形させて前記中空筒部
に加締固定している。

この種の釦（又はホツク）においては一般に柱
部全体が中実の鋲を用いている。しかし、このよ
うな鋲は、柱部が中実であるため、その先端部を
変形させて加締固定する際に、加締のための加圧
により柱部の先端部分のみならず、柱部として残
存すべき基端部までも変形してしまい、釦主体の
中空筒部が変形した状態になり、その結果柱部全
体が傾斜し、釦が生地に対して傾いてしまう欠点
がある。

また、打出し加工により金属板に中空の柱部を
形成し、この柱部の先端側を奥部が尖鋭の凹部を
有する治具により加圧して角錐状にした鋲が提案
されている（特開昭57―190743号）。しかし、こ
のような鋲は柱部全体が中空になつているため、
ジーンズ用生地のように厚い生地に刺通するとき
の加圧力が前記治具による加圧力によつて柱部が
変形してしまい、ましてや加締のための加圧力に
より柱部として残存すべき部分が変形してしま
う。また、この鋲は中空の柱部を打出し加工によ
り形成するからそれだけ高価である。

発明の目的 本発明は、加締時等における加圧力により基端
部が変形することがなく、しかも製造が容易な鋲
を提供することを第１の目的とする。

また本発明は、加締時等における加圧力により
基端部が変形することのない鋲を容易に製造する
ことができる鋲の製造方法を提供することを第２
の目的とする。

発明の構成 上記第１の目的は本発明によれば、柱部が中実
の基端部と、この基端部に続く中空の先端部とで
構成され、前記先端部が少なくとも二つの傾斜面
で尖鋭にされた鋲とすることにより達成される。

上記第２の目的は、頭部に続く中実の柱部に先
端面側から前記頭部に向う盲孔を形成して前記頭
部に続く中実の基端部とこの基端部の先端側に続
く筒状の先端部とを前記柱部に形成し、次に前記
先端部の少なくとも先端側を絞り加工により円錐
状に形成し、次に前記円錐状の部分を奥部が先細
の角錐形の凹部を有する治具の前記凹部に加圧挿
入して前記円錐状部を角錐状にすることにより達
成される。

実施例 以下、図面に示す実施例に基図いて本発明を説
明する。

第１図ないし第３図に示す鋲１は、頭部２とこ
の頭部２に続く柱部３とからなつている。柱部３
は頭部２に続く中実の基端部４と、この基端部４
に続く先端部５とを有している。先端部５は、中
空部６を有しており、先端７側が４個の傾斜面８
により四角錐状に形成されて先端部７が尖鋭にな
つている。各傾斜面８には、先端７に向けて延び
る凹部９が各々形成されている。先端７は、図示
の例では柱部３の中心線上に位置しているが、か
ならずしも中心線上に位置させる必要はない。

上記鋲１を用いる釦主体１０は、第４図に示す
ように、中空筒状の本体１１と、この本体１１に
嵌着されたカバー１２と、この本体１１とカバー
１２の間に挿入されたプレート１３とを有してい
る。

本体１１は、上端にカバー１２を係止するため
のフランジ部１４を有し、かつ内部中央に底部１
５から立上がる中空筒部１６を有し、この中空筒
部１６の上端には上端部が外側に屈曲されて鋲係
止用のフランジ部１７が形成されている。

この鋲１Ａは、第４図に示すように柱部３を被
服生地１８に挿通させた後、釦主体１０の中空筒
部１６に加圧挿入することにより柱部３の先端部
５を釦主体１０に設けられたプレート１３に加圧
して変形させ、その変形した部分を中空筒部１６
のフランジ部１４に加締固定された状態に使用さ
れる。

この加締固定の際に、鋲１は基端部４が中実で
あるのに対し、先端部５が中空であるから、先端
部５が押し潰されて風船状に膨出し、第４図に示
すように釦主体１０との間に遊びを生じることな
しに加締固定される。

この鋲１によれば、先端部５の先端側が先細に
なつているから、鋲１を生地１８に挿通する際に
生地１８に鋏等による切込部を形成する必要がな
い。また、先端部５が傾斜面８により角錐状に形
成されているから生地への刺通時に摩擦抵抗が少
なく、しかも傾斜面８に凹部９を有するから前記
刺通時における摩擦抵抗がより少なく、従つて厚
い生地であつても前記切込部を形成することなし
に容易に刺通することができる。さらして基端部
４が中実であるのに対し、先端部５が中空である
から、加締固定時に先端部５のみが変形し、しか
も小さな加圧力で容易に加締固定することができ
る。

上述の鋲１は、第５図Ａに示すように頭部２に
続く中実の柱部３を有する鋲母材２０を用い、こ
の鋲母材２０の柱部３に第５図Ｂに示すようにそ
の先端面２１側から頭部２に向けて柱部３の中央
部分にまで延びる盲孔２２を形成して頭部２に続
く中実の基端部４とこの基端部４の先端側に続く
筒状の先端部５とを前記柱部３に形成し、次いで
前記先端部の少なくとも先端側を絞り加工により
第５図Ｃに示すように円錐状に形成し、そした第
５図Ｃ及び第６図に示すように、奥部が先細の四
角錐形をした凹部２３を有し、角錐形をした部分
の各傾斜面２４に突部２５を有する治具２６を用
い、この治具２６の凹部２３に鋲母材２０の先端
部５を加圧挿入して柱部３の先端側を角錐状にす
ることにより製造することができる。

このようにすれば、押出加工をする必要がな
く、加圧力により基端部が変形することがなくし
かも生地への刺通が容易な鋲を容易に製造するこ
とができる。

なお、上述の実施例では鋲１の先端部５が四角
錐であるが、先端部５は三角錐等少なくとも２個
の傾斜面を有する先細になつていればよい。ま
た、傾斜面８にはかならずしも凹部９を形成する
必要はない。さらに、鋲母材２０の柱部３の先端
部６を絞る以前に、第７図に示すように先端面側
から切込み２７を形成してもよい。

以上のように本発明の鋲は、柱部が中実の基端
部と中空の先端部とで構成されているから加締時
等の加圧力により基端部が変形することがなく、
また先端部が少なくとも２個の傾斜面により角錐
状に形成されているから生地への刺通時の摩擦抵
抗が少なく、従つて厚い生地であつても生地に切
込部を形成することなしに容易に刺通することが
できる。

また、本発明の製造方法によれば、押出し加工
をする必要がなく、しかも加圧力により基端部が
変形することがないし生地への刺通が容易な鋲を
容易に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかる鋲の一実施例を示す正
面図、第２図は同鋲の平面図、第３図は同鋲の柱
部の先端側の部分を断面して示す正面図、第４図
は同鋲を使用した鋲の一実施例を示す断面図、第
５図は同鋲の製造方法の説明図、第６図は同鋲の
製造に用いる治具の底面図、第７図は鋲母材の他
の実施例を示す部分断面正面図である。 １：鋲、２：頭部、３：柱部、４：基端部、
５：先端部、６：中空部、８：傾斜面、２２：盲
孔、２３：凹部、２４：傾斜面、２６：治具。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 頭部と、この頭部に続く柱部とからなり、前
   記柱部は少なくとも二つの傾斜面を有する中空で
   かつ尖鋭な先端部を前記頭部に続く中実の基端部
   の先端側に有することを特徴とする鋲。 ２ 前記傾斜面に凹部が形成されている特許請求
   の範囲第１項記載の鋲。 ３ 頭部に続く中実の柱部に先端面側から前記頭
   部に向う盲孔を形成して前記頭部に続く基端部と
   この基端部の先端側に続く筒状の先端部とを前記
   柱部に形成し、次いで前記先端部の少なくとも先
   端側を絞り加工により円錐状に形成し、次に、前
   記円錐状の部分を奥部が先細の角錐形の凹部を有
   する治具の前記凹部に加圧挿入して前記円錐状の
   部分を少なくとも２個の傾斜面を有する角錐状に
   することを特徴とする鋲の製造方法。