JPS636461Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンのリコイルスターターに関
し、リコイルスターターが故障したときに、クラ
ンクハンドルでエンジンを始動できるようにする
ことを目的とする。

従来では、リコイルスターターが故障すると、
エンジンを始動できず、メーカーやデーラーがリ
コイルスターターを修理してくれるまで、ユーザ
ーはエンジンを運転できない問題がある。この問
題は泥水等が侵入することの多い農機に搭載され
るエンジンの場合に多い。

本考案者は、リコイルスターターの故障時にク
ランクハンドルでエンジンを始動できるようにす
ることにより、リコイルスターターの修理を待つ
間も、エンジンを始動して使用できるようにする
ことを考え出し、エンジンにリコイル装置用の始
動軸のほかにクランクハンドル用の始動軸をも設
けておく事を、本考案に先立つて考えた。

しかし、クランクハンドル用の始動軸及びこの
始動軸用のギヤが余分に要り、これを組込むため
のスペース分だけエンジンが大形化するうえ、部
品点数が増え構造が煩雑になる分だけエンジンの
製造コストが高くなる。

そのうえ、クランクハンドル用の始動軸は滅多
に使わないものであるにも拘わらず、エンジンを
運転している間中、外部に露出した状態で回転
し、危険である。

この危険を防止するために、その始動軸を安全
カバーで覆うことも考えたが、さらに部品点数が
増え構造が煩雑化する欠点がある。

本考案は、上記欠点をさらに解消するために、
リコイルスターターを取外した状態で、リコイル
スターター用の始動軸をクランクハンドル用の始
動軸として使用できるようにすることにより、ク
ランクハンドル専用の始動軸及び始動ギヤを省略
できるようにするものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は水冷横形デイーゼルエンジンを示し、
図中符号１はエンジン全体を示し、このエンジン
１はクランクケース２の上方にラジエータ３と燃
料タンク４とを左右に並べて載置固定してある。

クランクケース２の左端部はシリンダヘツド５
で蓋されシリンダヘツド５の左端面にヘツドカバ
ー６が取り付けてあり、シリンダヘツド５の前後
面にはそれぞれ吸気管７及び排気管８がそれぞれ
取付けてある。

クランクケース２の前面にはギヤケース９が取
付けてあり、ギヤケース９の前面（機壁）９ａに
は手動操作されるリコイルスターター１０が取付
けてある。

このリコイルスターター１０は、第２図に示す
ように、椀状に形成したケーシング１１の周囲の
鍔部１２をビス１３によりギヤケース９の前面９
ａに着脱可能に固定したもので、ケーシング１１
の内部にはその前面中央から支軸１４を固着立設
し、支軸１４に回転可能に枢支したローププーリ
１５とローププーリ１５を捲戻すリコイルバネ１
６及びリコイルロープ１７を引き出した時に爪１
８が突出してリコイルスターター１０の出力軸１
９の前面に取付けたリコイルカツプ２０に係合し
て回転を出力軸１９に伝えるようにした作動部２
１が内装してある。

リコイルスターター１０の出力軸１９は円筒状
に形成されたボス部２２の後面に回転伝動凹部２
３を形成し、この回転伝動凹部２３がギヤケース
９の前面９ａから突出する始動軸２４の入力軸部
分２５の回転伝動突起２６に嵌合させてある。

始動軸２４に回転が伝えられると、始動ギヤ２
７を介して動弁カムギヤ２８に伝え、動弁カムギ
ヤ２８から図外のアイドルギヤを介してクランク
軸（図示略）を始動回転させるようになる。

又、クランクケース２の右側前面には手回しハ
ンドル２９が備えつけてあり、これはリコイルス
ターター１０が土砂や塵埃などで故障した時に使
用するもので、リコイルスターター１０に故障が
発生すると、リコイルスターターを止めつけてい
るスタータケース１１の鍔部１２のビス１３を螺
解してスタータケース１１をギヤケース９の前面
９ａから取外すと、始動軸２４の入力軸部分２５
にリコイルスターター１０の出力軸１９部分が嵌
合した状態で露出する。

そして、リコイルスターター１０の出力軸１９
部分を始動軸２４の入力軸部分２５に止めつけて
いるボルト（固定手段）３１を螺解して出力軸１
９部分を入力軸部分２５から抜き去ると始動軸２
４の入力軸部分２５の回転伝動突起２６があらわ
れ、ここに手回しハンドル２９の伝動係合部３２
を嵌合し、手回しハンドル２９をランキングする
とエンジン１が始動するようになる。

本考案は、以上に述べたように、エンジンのク
ランクハンドル用の始動軸にリコイルスタータの
出力軸部分を嵌合させてリコイルスターターを取
付けてあるので、リコイルスターターに故障が発
生すると、リコイルスターターを取外すだけで始
動軸の回転伝動突起が露出し、この回転伝動突起
をクランクハンドルで始動操作するだけでエンジ
ンの始動が速やかに行なうことができる。

しかも、リコイルスターターで操作される始動
軸の他にクランクハンドル用の始動軸を設けるも
のに比べて部品点数を少なくできるとともに、ク
ランクハンドル用の始動軸を設けるスペースが不
要であり、このスペースのためにエンジンが大形
化することもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は横形水
冷エンジンの概略正面図を示し、第２図は要部の
縦断側面図を示す。 １……エンジン、９ａ……１の機壁（ギヤケー
スの前壁）、１０……リコイルスターター、１９
……出力軸、２２……ボス部、２３……回転伝動
凹部、２４……始動軸、２５……入力軸部分、２
６……回転伝動突起、３１……固定手段（ボル
ト）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン１の機壁９ａ外に始動軸２４の入力軸
   部分２５を突出させ、リコイルスターター１０を
   入力軸部分２５の外側に配置して機壁９ａに着脱
   可能に固定し、入力軸部分２５の周面から回転伝
   動突起２６を突設し、リコイルスターター１０の
   出力軸１９のボス部２２の後面に回転伝動凹部２
   ３を形成し、回転伝動凹部２３を回転伝動突起２
   ６に回転伝動状に嵌合させた状態で、ボス部２２
   を入力軸部分１９に固定手段３１で着脱可能に固
   定した事を特徴とするエンジンのリコイルスター
   ター。