JPH0517492Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、エンジン潤滑用オイルポンプとミ
ツシヨン潤滑用オイルポンプを別個に備えた２サ
イクルエンジンの潤滑装置に関する。

（従来の技術） 自動２輪車の原動機用等の２サイクルエンジン
では、エンジン潤滑用のオイルをシリンダ、吸気
通路などに強制給油するものが多い。さらにミツ
シヨンギア機構軸受部、摺動部、ギア噛合部、さ
らにはクランク軸軸受部などの潤滑に供せられる
オイルは、別個のミツシヨン潤滑用オイルポンプ
を備えて潤滑性能を高めるようにしたものがあ
る。

このミツシヨン潤滑用オイルポンプは、従来ク
ラツチカバーに取着けているため、クラツチカバ
ーのプロフイールが大型化し、またオイル通路が
長く複雑になり、ポンプ駆動系の部品点数が増し
また組付けやメンテナンスしにくいなどの問題が
あつた。

（考案が解決しようとする問題点） このように、エンジン潤滑用オイルポンプと別
個に備えたミツシヨン潤滑用ポンプは、クラツチ
カバーに取着けると、クラツチカバーの大型化、
オイル通路が長く複雑になり、部品点数が増すな
どの問題があるのに鑑み、この考案は、両ポンプ
の配置を整理して部品点数を削減し、組付け、補
修しやすく、オイル通路を短縮化、クラツチカバ
ーの小型化を図つた２サイクルエンジンの潤滑装
置を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、この考案の２サイク
ルエンジンの潤滑装置は、ミツシヨンケースにミ
ツシヨンカバーを被せ、さらにそのカバー外側方
にクラツチカバーを被せてミツシヨン室とクラツ
チ室とを隣り合わせに区画して形成したものにお
いて、キツク始動装置のキツク軸をクラツチカバ
ーとミツシヨンカバーに軸架し、ミツシヨンカバ
ー内側面にミツシヨン潤滑用オイルポンプを構成
し、その駆動軸を上記キツク軸先端と同軸に突き
合わせると共に、ミツシヨンケース内壁に取着け
たエンジン潤滑用オイルポンプを上記ミツシヨン
潤滑用オイルポンプと同軸に対向し、両ポンプ間
に軸支したオイルポンプドリブンギアの両端に両
ポンプの駆動軸を結合した構成をとる。

（作用） このように、ミツシヨンカバーが単独の部品と
して加工できるので、その内面にミツシヨン潤滑
用オイルポンプを設定しやすく、その駆動軸がキ
ツク軸と同軸に突き合わされているので、さらに
加工が容易である。

ミツシヨン室内に設置したことで、オイル通路
が短縮されると同時にクラツチカバーのプロフイ
ールを小さくする。

さらに、オイルポンプ駆動系をエンジン潤滑用
オイルポンプとミツシヨン潤滑用オイルポンプに
共通に使用したので、部品点数が削減され、コス
トを軽減する。

（実施例） 以下この考案の実施例を示す図に就いて説明す
る。

先ず自動２輪車のエンジン動力伝導系は次のよ
うにレイアウトされる。エンジンのクランク軸１
端のプライマリドライブギア２がカウンタ軸３上
のプライマリドリブンギア４と噛合い、このプラ
イマリドリブンギア４とカウンタ軸３との間には
開閉クラツチ５が介装される。

カウンタ軸３にはミツシヨンギア機構のドライ
ブギア列６が軸装され、ドライブ軸７のドリブン
ギア列８と噛合い、そのギアシフトされた減速比
によりドライブ軸７が駆動される。ドライブ軸７
端にはドライブスプロケツトホイール９が固定さ
れ、チエーンを介して駆動輪に動力を伝える。

上記クランク軸１はクランクケース１０に軸架
され、カウンタ軸３およびドライブ軸７はクラン
クケース１０に連設されたミツシヨンケース１１
に軸架される。

このミツシヨンケース１１は一側が側壁１２に
よつて閉塞され、他側が開放された凹室に形成さ
れ、開放端面１３にミツシヨンカバー１４が被着
されてミツシヨン室１１ａを形成する。１５は被
着用の締着ビスを示す。

上記カウンタ軸３およびドライブ軸７は側壁１
２とミツシヨンカバー１４に跨架される。組付け
の順序としては、先にミツシヨンカバー１４に軸
合し、ドライブ、ドリブンギア列６，８を組付け
て置き、ミツシヨンカバー１４を被せると同時に
側壁１２へ挿し込んで軸合する。ミツシヨンカバ
ー１４を外すとミツシヨンギヤ機構が軸と共に抜
き出すことができるようにしたものである。

カウンタ軸尾端３ａはミツシヨンカバー１４か
ら突出し前記プライマリドリブンギア４および開
閉クラツチ５が軸合される。ドライブ軸先端７ａ
は側壁１２から突出して前記ドライブスプロケツ
トホイール９が固定される。

ミツシヨンケース１１の開放端面１３はミツシ
ヨンカバー１４との合わせ面になつている。その
合わせ面の外周からクラツチケース１６が広拡し
て延設され、クラツチカバー１７を被せてクラツ
チ室１６ａが形成される。クラツチ室１６ａには
上記開閉クラツチ５などと共に、プライマリドラ
イブギア２およびキツク軸１８が収容される。

第３図にも示すように、キツク軸１８はミツシ
ヨンカバー１４を貫通し、先端はミツシヨンカバ
ー１４に設けた軸孔ボス１９に軸支される一方、
キツク軸１８には、リターンスプリング２０が弾
装される。キツクドライブギア２１はヘリカルス
プラインにより軸支され、制動スプリング２２に
よつて軽く制動されている。

キツク操作により、キツク軸１８が回転すると
キツクドライブギア２１が回転しながら軸方向に
移動し、ドライブ軸７端のキツクアイドルギア２
３と噛合つてこれを駆動し、さらにプライマリド
リブンギア４と一体のキツクドリブンギア２４、
プライマリドリブンギア４、プライマリドライブ
ギア２を経てクランク軸１を駆動する。２５はキ
ツクストツパで、ミツシヨンカバー１４に突設し
たストツパ２６に係合してキツク軸１８の停止位
置を規制する。

次に、キツク軸１８軸支部のミツシヨンカバー
１４のミツシヨン室１１ａ側内面にはミツシヨン
潤滑用オイルポンプ２７のポンプ室２８が凹設さ
れポンプカバー２９によつて密封される。ポンプ
室２８にはロータ３０と一体に結合した駆動軸３
１が貫通し、その外端は前記キツク軸１８と同軸
に突き合わされている。

３２は吸入口、３３は吐出口を示す。吐出口３
３はミツシヨンカバー１４に設けたオイル通路３
４に接続され、カウンタ軸３、ドライブ軸７の油
孔３５，３６などに導かれる。

一方、ミツシヨンケース１１の側壁３７にエン
ジン潤滑用オイルポンプ３８が装着され、駆動軸
３９と上記ミツシヨン潤滑用オイルポンプ２７の
駆動軸３１と同軸に対向する。

両駆動軸３１と３９との間には、側壁３７にオ
イルポンプドリブンギア４０が軸支され、その支
軸４１の両端に両駆動軸３１，３９端の角軸３１
ａ，３９ａが挿通されて回転方向に結合する。オ
イルポンプドリブンギア４０はミツシヨンドリブ
ンギアの１つ８ａと噛合つて回転し、両ポンプ２
７，３８を同時に駆動する。

前記キツク軸１８のストツパ２６には、第４図
に示すように補強板４２が添えられる。この補強
板４２を締着するビスねじ４３は、ポンプカバー
２９を締着する締着ねじ４４と共通のねじ穴４５
に螺着される。

〔考案の効果〕

上記の通り、この考案に係る２サイクルエンジ
ンの潤滑装置は、キツク始動装置のキツク軸をク
ラツチカバーとミツシヨンカバーに跨つて軸架
し、ミツシヨン潤滑用オイルポンプをミツシヨン
カバー内面に構成し、エンジン潤滑用オイルポン
プをミツシヨンケースに装着し、これら３者を同
軸上に配置すると共に、キツク軸先端とミツシヨ
ン潤滑用オイルポンプの駆動軸尾端をミツシヨン
カバー内で突き合わせ、両ポンプをその間に軸装
した共通のオイルポンプドリブンギアで駆動する
ようにしたもので、両ポンプの配置が整理されて
部品点数が削減されると同時に組付けや分解整備
がしやすく、特にオイル通路が短縮され、クラツ
チカバーを小型化する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す自動２輪車用
２サイクルエンジン伝導系の側面図、第２図は第
１図のＡ−Ａ矢視断面図、第３図は自動２輪車用
２サイクルエンジン伝導系の要部拡大断面図、第
４図はキツク軸のストツパを示す断面図である。 ３……カウンタ軸、５……開閉クラツチ、６…
…ドライブギア列、７……ドライブ軸、８……ド
リブンギア列、１１……ミツシヨンケース、１４
……ミツシヨンカバー、１７……クラツチカバ
ー、１８……キツク軸、２７……ミツシヨン潤滑
用オイルポンプ、３１……駆動軸、３８……エン
ジン潤滑用オイルポンプ、３９……駆動軸、４０
……オイルポンプドリブンギア。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ミツシヨンケースにミツシヨンカバーを被せ、
   さらにそのカバー外側方にクラツチカバーを被せ
   てミツシヨン室とクラツチ室とを隣り合わせに区
   画して形成したものにおいて、キツク始動装置の
   キツク軸をクラツチカバーとミツシヨンカバーに
   軸架し、ミツシヨンカバー内側面にミツシヨン潤
   滑用オイルポンプを構成し、その駆動軸を上記キ
   ツク軸先端と同軸に突き合わせると共に、ミツシ
   ヨンケース内壁に取着けたエンジン潤滑用オイル
   ポンプを上記ミツシヨン潤滑用オイルポンプと同
   軸に対向し、両ポンプ間に軸支したオイルポンプ
   ドリブンギアの両端に両ポンプの駆動軸を結合し
   たことを特徴とする２サイクルエンジンの潤滑装
   置。