JPS636456Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、横型エンジンの始動装置において、
始動力を入力する部分の装置に関し、クランクハ
ンドル式・ロープ式・リコイル式等、始動方式の
異なるどの始動装置でも、任意に取付けられるよ
うにすることにより、始動装置の異なるエンジン
を簡単に安価に量産できるようにすることを目的
とする。

横型エンジンの始動装置は、従来ではクランク
ハンドル式のものが用いられていたが、最近では
エンジンの用途の多様化、搭載スペースの圧縮化
等の関係から、ロープ式のものを用いたい場合、
またはリコイル式のものを用いたい場合も出てき
た。

始動方式の異なる複数種のエンジンを量産する
場合、始動操作部から始動軸を経て始動ギヤに至
るまでの構造が、始動方式の異る始動装置ごとに
変わる。このため、始動方式が異るごとに、エン
ジンのギヤケース内に組込む始動軸や始動ギヤ及
びこれらの枢支部の形状・大きさ・構造等を変え
なければならず、エンジンの量産性が悪く、製造
コストが高くつく。

本考案は、上記欠点を解消することを目的と
し、そのために、エンジンのギヤケースの軸受筒
に始動軸を枢支し、始動軸のギヤケース外に突出
する前端部に始動装置の出力部の取付板を固設
し、取付板の前面に始動装置の出力部の取付面と
締付固定部とを形成し、始動方式の異なるどの始
動装置の出力部でも取付板に取付けられるように
することにより、エンジンのギヤケース内に組込
む始動軸や始動ギヤ及びこれらの枢支部の形状・
大きさ・構造等を、どの始動方式の始動装置に対
しても共通化させるものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は水冷横型デイーゼルエンジンの正面図
を示し、このエンジン１はクランクケース（エン
ジン本体）２の上方にラジエータ３と燃料タンク
４とを左右に並べて載置固定してあり、クランク
ケース２の横側方にはシリンダヘツド５とヘツド
カバー６とを順に固定してある。

シリンダヘツド５の前後両端面にはエアクリー
ナ７に連通する吸気管８と、マフラ９に連通する
排気管１０とがそれぞれ固着されるとともに、ク
ランクケース２の前面にはギヤケース１１が取付
けてある。

ギヤケース１１の前壁１１ａの中央部前面には
始動軸１２が突出させてあり、この始動軸１２は
第２図及び第３図に示すようになつている。

即ち、この始動軸１２はギヤケース１１の前壁
１１ａに形成したボス状の軸受筒１３に枢支さ
れ、始動軸１２の後端部には始動ギヤ１４が固設
されるとともに前端部１２ｂには出力板１５を取
付けてある。

取付板１５の前面には始動装置Ｓの出力部１６
の取付面１７と締付固定部１８とが形成してあ
り、このエンジン１がクランクハンドル１９で始
動されるようなエンジン１である場合には、クラ
ンクハンドル１９で操作される伝動軸２０が取付
けられる。

この伝動軸２０は後端部に円板状の取付け鍔２
１を形成するとともに、その中間部に回転伝動用
突起２２を形成したもので、取付鍔２１のボルト
挿通孔２３から挿入したボルト２４を取付板１５
の締付固定部１８に螺締して固着するようになつ
ている。

そうして、ギヤケース１１の前壁１１ａから突
出した始動軸１２の周囲は、安全筒２５で覆われ
る。

安全筒２５は筒状に形成した本体２５ａの後端
部に取付部２６を形成し、この取付部２６をギヤ
ケース１１の前面の取付座２７にボルト２８で固
定したものである。

そして、クランクハンドル１９で始動軸１２が
始動回転すると、この回転は始動軸１２の後端部
１２ａに設けた始動ギヤ１４からカムギヤ２９を
介してクランクギヤ３０に伝えられ、クランク軸
３１を回転させるようになる。

次に、作業機への搭載との関係で、クランクハ
ンドル式エンジンからリコイルスタータ付エンジ
ンに変更する場合を説明する。

先ず、始動軸１２の周囲を覆つている安全筒２
５を取り外し、伝動軸２０を露出させ、伝動軸２
０を始動軸１２の取付板１５に固定しているボル
ト２４を螺解すると取付板１５の始動装置Ｓの取
付面１７があらわれる。

こうして取付面１７があらわれるとここに椀状
のリコイルカツプ３３をボルト２４で締付固定部
１８に固定し、リコイルスタータ３４のスタータ
ケース３５がその周縁の鍔部３６をボルト２８で
ギヤケース１１の前面の取付座２７に固定する。

こうして、スタータケース３５がギヤケース１
１に固着され、スタータノブ３７を引くと、スタ
ータケース３５内に装着したリール３８が回転
し、この回転でリコイル爪３９が突出してリコイ
ルカツプ３３に係合して始動ギヤ２４に回転を伝
えるようになる。

また、始動装置Ｓをロープスタート式にする場
合は、第４図に示すように、始動軸１２の前端部
の取付板１５に始動ロープ４０の捲掛伝動用プー
リ４１をボルト２４で固着すればよい。

本考案によると、クランクハンドル式・ロープ
式・リコイル式等、始動方式の異なるどの始動装
置の出力部でも、取付板に簡単に組付けることが
できる。これにより、始動方式が異なる複数種の
エンジンを量産する場合に、ギヤケース内に組込
まれる始動軸・始動ギヤ及びこれらの枢支部を共
通化できるので、それらの部品の製造ライン・組
立ラインを共通化させて、エンジンの生産コスト
を引下げることができる。

なお、ユーザにおいて、予備の始動装置を用意
しておく場合には、エンジンに取付けてある始動
装置が故障して、エンジンが始動不能になつたと
きに、その故障した始動装置と予備の始動装置と
をエンジンのギヤケース外の取付板の位置でユー
ザーでも簡単に交換できるので、メーカーかデー
ラの修理を待たずにすぐにエンジンを始動させて
運転使用できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は横型水
冷デイーゼルエンジンの正面図、第２図は要部の
横断平面図、第３図は要部の縦断正面図であり、
第４図は別実施例を示す要部の横断平面図であ
る。 １……エンジン、２……エンジン本体（クラン
クケース）、５……シリンダヘツド、１１……ギ
ヤケース、１１ａ……１１の前面、１２……始動
軸、１２ａ……１２の後端部、１２ｂ……前端
部、１３……軸受筒、１４……始動ギヤ、１５…
…取付板、１６……出力部、１７……取付面、１
８……締付固定部、２９……カムギヤ、３０……
クランクギヤ、Ｓ……始動装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 横型エンジン１のエンジン本体２の横側面にシ
   リンダヘツド５を設けるとともに、前面にギヤケ
   ース１１を固定し、ギヤケース１１内にクランク
   ギヤ３０、カムギヤ２９及び始動ギヤ１４を設
   け、クランクギヤ３０に対してカムギヤ２９及び
   始動ギヤ１４を連動連結し、始動ギヤ１４の前側
   でギヤケース１１の前壁１１ａ部分から軸受筒１
   ３を後ろ向きに突設し、軸受筒１３に始動軸１２
   を貫通させて回転自在に枢支し、始動軸１２の後
   端部１２ａに始動ギヤ１４を固設し、始動軸１２
   の前端部１２ｂに始動装置Ｓの出力部１６の取付
   板１５を固設し、この取付板１５をギヤケース１
   １の前壁１１ａの近くに位置させ、取付板１５の
   前面に始動装置Ｓの出力部１６の取付面１７と締
   付固定部１８とを形成した事を特徴とする横型エ
   ンジンの始動用入力装置。