JPS636360B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は表面に凹凸模様を有する化粧材に関す
るものである。

従来より表面に凹凸模様を有する化粧材は多く
の種類が製造されており、またその製造方法も
種々の方法が知られている。そのうち最も一般的
に行なわれている方法はエンボス版にてエンボス
加工を行なうことにより化粧板表面に凹凸を具現
させる方法であるが、この方法は模様と凹凸とを
同調させることが困難であるばかりでなく、エン
ボスにより基材が傷みやすく、また金属ロールに
凹凸を施す等エンボス版の作製にも多くの手間と
費用を必要とする等の問題点があつた。

このような欠点を解消するために前記の如き機
械的なエンボス加工を施さないで凹凸を形成する
方法が種々提案されている。そのような方法の１
つに発泡剤を含有するインキを用いて基材表面に
模様を施しその上に必要に応じて樹脂塗料を施し
てから加熱発泡させる方法がある。

この方法においては前記機械的にエンボス加工
を施す方法における問題点は解消するが、発泡剤
を含有するインキを加熱発泡させた場合に発泡に
より形成された凸部形状はなだらかなものを表現
することは極めて困難であり、従つて盛り上り形
状がソフトでなだらかな曲線を要求される製品に
は適していないという新たな問題点を有する。

また別の方法として木片や金属片等を模様状に
基材に配置しその上に樹脂シートを貼着したり又
は樹脂塗料を塗布する方法も知られている。しか
しながらこの方法においては木片や金属片等を用
いるために複雑な凹凸模様を形成することは不可
能に近く、従つて凹凸模様は極めて単調なものに
限定されるという欠点を有する。

本発明は前述の種々の問題点や欠点を解消すべ
くなされたものである。すなわち本発明の目的は
表面に凹凸模様を有する化粧材を製造する新規な
方法を提供しようとすることである。

次に本発明について図面を参照しながら更に詳
細に説明する。

本発明の化粧材は基材１と化粧シート２とが一
体に積層されており、基材１と化粧シート２との
間には表面に凹凸を形成するのに充分な量の発泡
性樹脂組成物３が模様状に施されており、この発
泡性樹脂組成物３により表面には凹凸模様が具現
されて成るものである。第１図はこのような化粧
材の一実施態様を示す斜視図である。

化粧シート２はフイルム状物ないしシート状物
５に所望の模様４が形成されているもので必要に
応じて所望の模様４の上に更に表面保護樹脂層６
が施されている場合もある。

本発明の凹凸模様を有する化粧材は発泡性樹脂
組成物３が模様状に厚く施されているためその形
状が化粧シート２を介して表面に具現されてい
る。

発泡性樹脂組成物３は着色されていないもので
あつてもよいが着色されているものを用いた場合
には後述する如く独特の効果を奏するので好まし
い。

本発明の化粧材用の基材１としては合板、パー
チクルボード等の木質材、ハードボード又はイン
シユレーシヨンボード等の繊維板、石綿スレート
板、特殊石綿セメント板、ケイ酸カルシウム板、
又は石膏ボード等の無機質板等を用いることがで
き、更には金属板を用いることができる。またこ
のような板状体物に紙、合成紙、樹脂混抄紙、不
織布、樹脂フイルム等のフイルム状物ないしシー
ト状物を貼着したりあるいはシーラー処理、その
他の前処理を必要に応じて施しておくことができ
る。このような基材１は柔軟性に乏しいものであ
ることが好ましい。

本発明で用いる化粧シート２は薄葉紙、薄葉紙
にメラミンアルキツド樹脂やウレタン樹脂等によ
り樹脂加工した樹脂加工紙、樹脂混抄紙、不織
布、合成紙、熱可塑性樹脂フイルム等に所望の模
様４を施したもので、柔軟性を有するものが使用
できる。

本発明においては化粧シート２と基材１とを一
体に積層する場合には所望の模様４を施した面が
上面になるようにする他、フイルム状物ないしシ
ート状物５として透明性を有するものを用いれば
所望の模様４を施した面が内側になるようにする
こともできる。

次に本発明の化粧材の製造方法について更に詳
細に説明する。まず必要に応じてフイルム状物な
いしシート状物５の一方の面に所望の模様を施
す。所望の模様を施すには従来公知の方法によつ
て施すことができ、例えば平版印刷、グラビア印
刷、凸版印刷、スクリーン印刷等の印刷方法を用
いることができる。

所望の模様としては幾何学模様、木目模様、抽
象柄模様等任意のものでよい。また艶出しインキ
や艶消しインキ等を用いて部分的に艶のある部分
や艶のない部分を形成させて光沢差を設けておく
ことにより、化粧材の立体感をより向上させるこ
とができる。

所望の模様４を施すのに用いられる印刷インキ
としては従来公知のものでよく、例えば酢酸セル
ロース、硝酸セルロース、塩化ビニル、アクリル
酸エステル、酢酸ビニル等の樹脂をバインダーと
した乾燥固化型のインキや、メラミンアルキツ
ド、ウレタン、ポリエステル等の樹脂をバインダ
ーとした反応硬化型のインキ等が使用できる。こ
れらのインキは酸化シリカやホワイトカーボン等
を混入しておいてもよい。

また柔軟性を有するフイルム状物ないしシート
状物５の他方の面には、表面に凹凸を形成するの
に充分な量の発泡性樹脂組成物３にて模様を施し
て化粧シート２を作成する。この場合所望の模様
４を施す工程と発泡性樹脂組成物３にて模様を施
す工程の順序は任意であり、更に、所望の模様４
の上に更に着色透明の樹脂を塗布しておくことも
できる。

発泡性樹脂組成物３にて模様を施す方法は、グ
ラビア印刷、スクリーン印刷、グラビアオフセツ
ト印刷、フレキソ印刷等公知の印刷方法を使用す
ることができる。

発泡性樹脂組成物３に用いられる樹脂としては
アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂
等を主成分としたものが好ましい。また加熱発泡
は基材１に貼着する前又は後のいずれに行なつて
もよい。発泡性樹脂組成物３による模様は所望の
模様４と同調させることによつて意匠性の面で非
常に有利になるが、もちろん同調しないものであ
つてもよい。このような化粧シート２２を基材１
に接着剤を介して前記発泡性樹脂組成物３が内側
になるようにして重ね合わせる。この場合接着剤
は化粧シート２２の発泡性樹脂組成物３を施した
面に塗布しておいてもよく、あるいは基材１の上
に塗布しておいてもよい。この時に用いる接着剤
としては従来公知のものを用いることができ、例
えば酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢
酸ビニル樹脂又はこれらにイソシアネートを混入
した熱硬化型接着剤を用いることもできる。次い
でプレスロール又はプレス板等で加圧することに
より化粧シート２２と基材１とを一体に貼着する
と共に表面に凹凸模様を具現させる。

なお柔軟性を有する化粧シートとして紙質のも
のを用いた場合には接着剤の水分又は油分等によ
り化粧シートが膨潤状態となるのでこのような状
態のうちに加熱発泡させることが望ましい。また
柔軟性を有する化粧シートとして熱可塑性樹脂シ
ート又はフイルムを用いた場合には加熱すること
により化粧シートが軟化するのでこのように軟化
した状態で発泡させることが望ましい。これらの
場合において接着剤の乾燥と加熱発泡とは同時に
行なうこともできる。

本発明においては所望の模様として木目模様を
施しておき、該木目模様の骨版部を艶出しインキ
にて印刷しておき、また、この同じ骨版部に相当
する部分の裏面に隠蔽性を有するような着色され
た発泡性樹脂組成物にて模様を施しておき、これ
を柔軟性に乏しい基材に接着剤を介して貼着した
場合には、発泡性樹脂組成物により化粧材の表面
に凹凸が具現され、しかもこの凸部形状はなだら
かでソフトな曲線となり、更にこの凸部は艶出し
インキにより光沢を有するので、天然の木質感に
富んだ化粧材が得られ、しかもその製造工程は極
めて平易である。

本発明において化粧シートの表面と裏面の印刷
の同調は、投光した場合簡単に表面の絵柄又は裏
面の絵柄が識別できる為、透過型光電管検知器及
び反射型光電管検知器を併用して行なうことがで
きる。

本発明の化粧材は凹凸を形成するために発泡性
樹脂組成物により凹凸模様を形成するので複雑な
模様も極めて容易にかつ短時間に形成できる。更
に発泡性樹脂組成物による凹凸模様は柔軟性を有
するフイルム状物ないしシート状物を基材に貼着
して表面に具現するので凸部形状は発泡性樹脂組
成物の形状がそのまま現われないでソフトななだ
らかな曲線を表現でき独特な効果を出すことがで
きる。

更に裏面に施した発泡性樹脂組成物に着色した
ものを用いた場合にはその色がフイルム状物ない
しシート状物を通してその表面から透けて見える
ためにボカシ効果を出すことができ模様の立体感
を更に向上させることができる。更にまた一般に
艶出しインキ又は艶消しインキを使用して平面上
に模様を形成した場合、45゜程度の斜光線にしな
いと全反射は目視できないが、本発明の化粧材で
はなだらかな盛り上り形状があるためにどの角度
からも全反射による光沢が認められる。

このような化粧材は天井材、内壁材、ラツク、
家具等その用途は広範囲に及ぶ。

次に本発明の実施例を示す。

実施例 １ 昭和高分子(株)製の樹脂混抄紙であるTSシート
の表面にグラビア印刷にて木目模様を印刷し、こ
の上にメラミンアルキツド系樹脂により表面保護
層を形成させ、裏面には発泡剤としてダウケミカ
ル(株)製のサランマイクロスフエアを混入し、更に
隠蔽性をもたせるために酸化チタンを加えた印刷
インキにて表面の木目模様に同調するように骨版
にて印刷した。

次いで裏面には更に熱活性化接着剤としてエチ
レン酢酸ビニルを主成分とするものを塗布し、連
続ラミネートロールプレスによりラワン合板に仮
接着させ、120〜200℃に加熱することによつて発
泡剤混入インキを発泡させ表面に凹凸模様を有す
る化粧板を得た。

実施例 ２ 可塑剤含有量20部の半硬質透明塩化ビニル樹脂
をカレダー圧延加工した厚さ150μの透明塩化ビ
ニルフイルムの裏面に、発泡剤を含有したアクリ
ル−酢酸ビニル系樹脂に着色顔料を混入した樹脂
により抽象模様を同様に印刷した。

このものをラワン合板にエチレン酢酸ビニルエ
マルジヨン接着剤を15ｇ／ｍ塗布した基材にその
発泡剤を含む模様面を向けて加熱・冷却ロールプ
レスで仮接着した。その後120〜200℃程度の乾燥
炉を通し、接着剤の乾燥と同時に塩化ビニルフイ
ルムを軟化させた状態で発泡剤を発泡させ、塩化
ビニルフイルムに柄と同調した凹凸模様を設けた
化粧材を得た。

実施例 ３ 実施例２において発泡インキに速硬化型メラミ
ン樹脂又は熱開環型イソシアネートを混入したも
のを用いた結果発泡部が相当硬い化粧材が得られ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の化粧材の一実施態様を示す斜
視図、第２図は発泡性樹脂組成物を施した化粧シ
ートの断面図をそれぞれ示す。 １……基材、２……化粧シート、３……発泡性
樹脂組成物、４……模様、５……フイルム状物な
いしシート状物、６……表面保護樹脂層、２２…
…化粧シート。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 柔軟性を有する化粧シートの片面に発泡性樹
   脂組成物を模様状に施し、該発泡性樹脂組成物の
   発泡温度以下で乾燥した後、又は該発泡性樹脂組
   成物の発泡温度以上に加熱して発泡させた後、柔
   軟性に乏しい基材と前記化粧シートとを前記発泡
   性樹脂組成物が内側になるように接着剤を介して
   貼着し、発泡性樹脂組成物を発泡させていない場
   合は該発泡性樹脂組成物の発泡温度以上に加熱し
   て発泡させることによつて、表面に凹凸模様を具
   現させることを特徴とする凹凸模様を有する化粧
   材の製造方法。