JP3116285B2 - 木目模様化粧材 - Google Patents

木目模様化粧材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木目模様をもつ化粧材
の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】家具、家電製品、建材などの製造によく
使用されている、木目模様をもつ化粧シートや化粧板の
ような化粧材は、木目が天然木のそれに近いだけでな
く、天然木のもつ「深み」や「照り」(木目板のもつ光
沢であって複雑な模様状に存在し、見る角度によっても
変化するもの)を感じさせるものが好まれる。そこで、
さまざまな製品が試作され提供されていて、たとえば、
いわゆる光輝性顔料を含有するインキの下柄ベタ印刷層
と、その上の導管柄印刷層とを重ねて照りをもたせたも
のがある。しかし、在来のものは、光沢が均一単純であ
り、奥行感も不十分であって、まだ天然木の質感を十分
に表現しているとはいえない。
【0003】そこで出願人は、透明なプラスチックのシ
ートの裏面に木目模様を表現した印刷層を設けたもの
を、光輝性顔料を含有する層を介して基材上に積層して
なる木目模様化粧材を開発し、すでに提案した(特開平
2−295738号)。この化粧材は、天然木に近い照
りをもつものの、依然として全面均一な光沢であり、天
然木にくらべれば単調であり、深みに関しても改善の余
地があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、木目
模様をもつ化粧材であって、模様状の照りに加えて深み
をそなえ天然の木材に近い質感を与えるものを提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の木目模様化粧材
は、基本的には図1に構成を示すように、透明なプラス
チックのシート(6)の、裏面には木目模様印刷層
(5)を設け、表面には、マット材を含んだツヤ調整イ
ンキのシート全面を覆う層(7)と、前記木目模様印刷
層の導管部に同調したツヤ消しインキ層(8)とをこの
順に設けたものを、パール顔料を含有する接着層(2)
を介して基材(1)上に積層してなるものである。
【0006】本発明で使用する基材は、板状のものとシ
ート状のものとを包含する。板状の基材には、合板、パ
ーチクルボード、インシュレーションボードなどの木質
系基材、石こうボード、石綿パーライト板、ケイ酸カル
シウム板、グラスウール、ロックウールなどの無機質基
材、鉄板、塩ビ被覆鋼板、亜鉛板、アルミニウム板、鉛
板、銅板などの金属板、発泡ポリエチレン、発泡ポリス
チレン、ウレタンフォーム、フェノールフォームなどの
発泡プラスチックの板、またはフェノール樹脂、メラミ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル
樹脂などのプラスチックの板などがある。これらを用い
て得た化粧板は、直ちに壁材などの構造材料として使用
できる。
【0007】シート状の基材としては、薄葉紙、クラフ
ト紙、ラテックス含浸紙、混抄紙、チタン紙、リンター
紙、板紙、石こうボード紙などの紙類や、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、
ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのプラ
スチックのシートがある。シート状基材の厚さは、強度
や製造および後加工のしやすさを考えると、0.05〜
0.6mmの範囲がよい。本発明の化粧材がシート状で
ある場合、他の材料に貼り合わせて使用することはもち
ろんである。
【0008】パール顔料を含有する接着層の形成は、接
着剤にパール顔料を適宜の割合で混合したものを塗布す
ることによるか、または、パール顔料を添加したインキ
のベタ印刷またはプラスチックシートを積層することに
よって行なえばよい。前者は板状の基材を使用する場合
に好都合であり、後者はシート状の基材を使用する場合
に適する方法である。
【0009】パール顔料とは、具体的には貝殻の内側の
部分や真珠を粉砕したものや、マイカ、マイカの微粒子
にTiO2または酸化鉄を焼き付けたものである。パー
ル顔料は、木の照りをよく再現できて好ましい。
【0010】木目模様を印刷するインキは、木目柄の印
刷に常用されている黒ないし茶系の色インキである。パ
ール顔料の与える光沢を生かすという観点からは、半透
明のインキを用いることが好ましいが、導管部の印刷に
は、隠蔽性のある濃色のインキが適当である。木目模様
印刷層(5)は、図2に示すように、木目柄の印刷層
(51)のほかに、隠蔽性を有するインキ、たとえば酸
化チタンのような隠蔽性の高い顔料を添加したインキを
用いて、木肌の部分を表現した木肌調印刷層(52)を
組み合わせて構成してもよい。
【0011】透明なプラスチックのシートは、無色のも
のでも有色のものでもよい。材料はポリ塩化ビニル、ポ
リエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリ
ル樹脂またはポリウレタンなどが使用でき、とくにポリ
塩化ビニルが適当である。シートの厚さは、0.05m
m以上であれば足りる。
【0012】ツヤ調整インキ層は、化粧材の表面に好ま
しいツヤを与えるとともに、透明なプラスチックシート
の全面を覆って保護層としての役割をもつものであるか
ら、表面物性のよい樹脂をビヒクルとしたインキを用い
て形成するとよい。ビヒクルとして使用する樹脂は、ア
ミノアルキド樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、または各種の
アクリレートを含有する電離放射線硬化性樹脂が適当で
ある。
【0013】ツヤ調整インキには、適量のマット材を分
散させて、所望のツヤ消し度を与える。使用できるマッ
ト材は、マイカ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、
炭酸バリウム、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーンの
ような無機質中空体、あるいは樹脂ビーズなどである。
【0014】ツヤ調整インキ層の形成は、上記したイン
キをグラビアコート、ロールコート、スプレーコート、
フローコートなど既知の手段によりベタ印刷し、後述す
るその上に印刷したツヤ消しインキとともに、加熱や電
離放射線の照射など適宜の手段により硬化させることに
よって行なえばよい。
【0015】ツヤ消しインキ層は、木目模様の導管部と
同調したパターンに形成して、その部分が凹部であるか
のように見せるためのものであり、ツヤ調整インキより
もツヤ消し度の高いインキを用いて設ける。ツヤ消しイ
ンキとしては、ツヤ調整インキと同様なビヒクルに、ツ
ヤ調整インキよりも大量のツヤ消し材を分散し、天然木
の導管の色調に近づけるため、さらにカーボンブラック
などの着色顔料を添加したインキを使用すればよい。た
だし、着色顔料の添加は必須ではない。
【0016】本発明の木目模様化粧材の別の態様とし
て、図2に示すように、透明なプラスチックのシート
(6)の裏面に、木目模様印刷層(5)に加え、木目模
様印刷層(5)に同調した絵柄をパール顔料を含有する
インキで印刷し、パール顔料を含有する接着層(2)の
光沢度とは異なる光沢度を有するか、または異なる色調
を有する印刷模様層(4)、およびシート(6)の全面
に及ぶ透明インキ層(3)を順に設けたものもある。こ
れは、図1の基本的態様にくらべて、層天然木に近い外
観を与えることができ、推奬される態様である。
【0017】パール顔料を含有する層のほかにパール顔
料含有インキの模様印刷層を設けるのは、天然木のもつ
複雑な照りを表現するためのであり、両層の間に透明イ
ンキ層を設けて段差を与えることにより、積層体に奥行
と立体感を与え、その効果が高まる。この態様におい
て、パール顔料含有インキの模様印刷層の形成に使用す
るインキには、前記したパール顔料を添加したものを用
いればよく、その際、パール顔料を含有する層と、パー
ル顔料含有インキの模様印刷層とは、光沢および(また
は)色調(明度、彩度および色相を意味する)を異なら
せ、両層が目視で識別できるようにすると、とくに良好
な結果が得られる。透明インキには、パール顔料含有イ
ンキ層およびパール顔料を含有する層それぞれの材料を
考慮して、適当なものをえらべばよい。
【0018】パール顔料含有インキで印刷する模様とし
ては、写真製版により局部的に光沢の異なる部分を抽出
した版を用いてもよいし、木目模様と同調する人工的な
模様をデザインして用いてもよい。この模様は、図2に
示すように木目模様と重なってもよいし、ズラしてもよ
い。一般にズラして同調させたほうが、木目の照りをよ
く表現できて好ましい。
【0019】
【作用】本発明の化粧材は、透明なプラスチックのシー
トの裏面に木目模様を印刷したものを、パール顔料を含
有する接着層を介して基材上に積層するという既知の構
成に加えて、表面にツヤ調整インキ層およびツヤ消しイ
ンキ層を設けたことにより、落ちついた深みのある意匠
を実現した。これが、基材の全面に及ぶパール顔料を含
有する層と、その上の木目模様印刷層とで表現した、木
目や木肌の模様とくにそれらの照りとあいまって、天然
木と同様な質感を与える。
【0020】とくに、上記の構成に加えパール顔料を含
有するインキ層と透明インキ層をも設けたものは、光沢
がパール顔料を含有する接着層と微妙に異なる部分がで
き、また奥行が出て、天然木のもつ複雑で微妙な質感と
照りを一層よく再現する。
【0021】
【実施例】無色透明な厚さ0.12mmのポリ塩化ビニ
ルシート(理研ビニル工業製)に、印刷インキ「化V
F」(昭和インク工業所製)で木目模様を印刷し、つぎ
に酸化チタン被覆雲母系のパール顔料(ゴールドパー
ル:ホワイトパール=9:1の配合)を15重量%含有
するインキ「VWパール」(諸星インク製)で、木目模
様と同調した照り光沢模様を抽出したパターンを印刷
し、最後に無色透明なインキ「化VF」(上記)でベタ
印刷した。
【0022】上記のようにして用意した印刷シートの印
刷面とは反対の面に、ツヤ調整インキとしてマット材を
5重量%含有するインキ「YP.No.18」(昭和イ
ンク工業所製)をベタ印刷し、ついでマット材含有率が
20重量%でカーボンブラックを含む黒色のツヤ消しイ
ンキ「G&M」(同)で、木目模様の導管部に同調した
パターンを印刷したのちに、加熱、乾燥、養生によりこ
れらを硬化させて、ツヤ調整インキ層およびツヤ消しイ
ンキ層を設けた。
【0023】接着剤「BA−820」(中央理化製)に
ゴールドパール単独のパール顔料を20重量%添加した
ものを、目止め加工した合板「HCP合板」(大倉工業
製)の全面にロールコートし、その上に上記シートを木
目模様の印刷面と接着剤層が接するように積層して、本
発明の化粧材であって板状のものを得た。
【0024】
【発明の効果】本発明の化粧材は、天然木のもつ複雑な
模様のような光沢すなわち「照り」と、「深み」とをあ
わせそなえ、天然木によく似た外観をもつ。本発明の化
粧材を建材や家具などの製造に使用すれば、高級感のあ
るものが低コストで得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化粧材の基本的な態様を説明するた
めの、模式的な断面図。
【図2】 本発明の化粧材の好ましい態様を説明するた
めの、図1と同様な図。
【符号の説明】
1 基材 2 パール顔料を含有する接着層 3 透明インキ層 4 パール顔料を含有するインキの模様印刷層 5 木目模様印刷層 51 木目柄の印刷層 52 木肌調印刷層 6 透明なプラスチックシート 7 ツヤ調整インキ層 8 ツヤ消しインキ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮川 昭 香川県坂出市笠指町4−17 (56)参考文献 特開 昭53−42279(JP,A) 特開 昭56−56862(JP,A) 実開 平2−146026(JP,U) 実開 昭57−70863(JP,U) 特公 昭49−39166(JP,B1) 特公 昭45−24679(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明なプラスチックのシートの、裏面に
    は木目模様印刷層を設け、表面には、マット材を含んだ
    ツヤ調整インキのシート全面を覆う層と、前記木目模様
    印刷層の導管部に同調したツヤ消しインキ層とをこの順
    に設けたものを、前記木目模様印刷層の側を基材に向け
    て、パール顔料を含有する接着層を介して基材上に積層
    してなる木目模様化粧材。
  2. 【請求項2】 透明なプラスチックのシートの裏面に、
    木目模様印刷層に加え、木目模様印刷層に同調した絵柄
    をパール顔料を含有するインキで印刷してなり、パール
    顔料を含有する接着層の光沢度とは異なる光沢度を有す
    るか、または異なる色調を有する模様印刷層、およびシ
    ートの全面に及ぶ透明インキ層を順に設けたものを使用
    した請求項1の化粧材。
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