JPS6355887B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、田植機における植付部の上下動感度
調節装置に関し、特に、植付部に設けたフロート
の上下動を調節する装置に関するものである。

［従来の技術］ 周知の田植機に、走行車体にフロートを有する
植付部を上下動可能に装着し、前記植付部がフロ
ートを田面に接して植付状態にあるとき、フロー
トの上下動により走行車体に対して植付部を上下
動させ、前記フロートに、上下動感度を調節する
感度調節装置を備えたものがある。そして、この
従来の田植機においては、田面の硬軟によつてフ
ロートの上下動感度を調節し、植付部を適正に上
下動して適正な植付作業を行うようにしている。

［発明が解決しようとする問題点］ この場合、フロートは、その浮力により植付部
を田面に支持すると共に、滑走によつて田面を整
地し苗の植付け条件を良くするようにしている
が、田植機が圃場端部で回行するときには、植付
部は田面から持上げられるので、走行車体の車輪
跡等で凹凸ができて枕地は整地されないことにな
り、後で枕地を植付けるとき植付け条件が悪くな
る問題があつた。

［問題点を解決するための手段］ そこで本発明は、前記感度調節装置を、田面の
硬軟にかかわらず耕盤面の凹凸によつてフロート
が田面で押上げられて植付部を上下制御させる感
度調節域と、田面の表面が旋回時等で車輪によつ
て荒されているときこれを整地するためにほとん
どフロートが押上げられないで田面を整地する整
地調節域とに変更可能に構成してなることを特徴
とする。

［作用］ 上記の構成によつて、本発明は、田植機が圃場
端で旋回する時に、フロートの接地圧を調節して
枕地を整地することによつて、枕地の苗の植付け
条件を良くすることができる。

［実施例］ 以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明
する。

第１図において、符号１で示す走行車体は左右
一端の前輪２、後輪３を装備する４輪形式のもの
で、その後部に、油圧シリンダ４で作動する昇降
リンク５を備え、このリンク５に植付部６を装着
して乗用型田植機を構成している。

植付部６には、フレーム７に前傾状に支持され
マツト状の苗を載置して左右方向に所定のストロ
ークで往復動する苗タンク８と、苗タンク８の下
端部に対向して設けられ、苗タンク８から苗を１
株状に取出して苗面に植付ける植込体９と、フロ
ート７の下側に設けたフロート１０とを具備して
いる。フロート１０は、センターフロート１０ａ
と、センターフロート１０ａの左右両側に設けた
サイドフロート１０ｂとからなり、この両フロー
ト１０ａ，１０ｂは、それぞれの後部をブラケツ
ト１１を介してフレーム７に上下回動可能に枢支
され、また、センターフロート１０ａの前部は、
第２図および第３図に示すようにパンタグラフ状
のリンク体１２および油圧バルブ１３を介してフ
レーム７に上下動可能に取付けられ、サイドフロ
ート１０ｂの前部はリンク体１４を介してフレー
ム７に上下動可能に枢着され、また、両フロート
１０ａ，１０ｂは前側が連動して上下動するよう
に連結されている。油圧バルブ１３は、フロート
１０ａの上下動によつて前記油圧シリンダ４の油
路を切換えて伸縮作動し、昇降リンク５を介して
植付部６をフロート１０ａの上下動と反比例して
上下動するようにしている。

前記リンク体１２の一側には、平面視でクラン
ク状に屈曲したアーム１５の基端部が枢支され、
その先端部にはピン１６を介して２股状の感度調
節枠１７の一端が枢支されている。感度調節枠１
７内には、感度調節ばね１８が、その一端を前記
ピン１６に係止し、他端にワイヤエンド１９を取
付けて設けられ、ワイヤエンド１９に固着した感
度調節ワイヤ２０は、感度調節枠１７の自由端側
に穿設した挿通孔１７ａを貫通して、リンク体１
２に設けたブラケツト２１に支持されたアウタチ
ユーブ２０ａを介して走行車体１側に延びてお
り、走行車体１の操縦座席２２の側部に設けた感
度調節レバー２３に取付けられている。この調節
レバー２３は、操作ボツクス２４に設けたガイド
溝２５に沿つて移動するようになつており、ガイ
ド溝２５は、第２図に示すように縦溝２６と、縦
溝２６を介して選択的に係合することができる複
数（図面では５個）の横溝２７，２７…と、横溝
２７と対応する縦溝２６からさらに延長した延長
縦溝２６ａとからなつている。そして、感度調節
レバー２３が、横溝２７，２７…に係止する範囲
では前記感度調節ばね１８が、感度調節枠１７内
に伸縮される感度調節域と、レバー２３が延長縦
溝２６ａに位置するときワイヤエンド１９が感度
調節枠１７の端部に当接して感度調節枠１７を引
きフロート１０を下方に押下げる整地調節域とが
構成されている。なお、第１図において符号２８
は、前記油圧シリンダ４を作動させ、昇降リンク
５を介して植付部６を昇降させる植付部昇降レバ
ーである。

このような構成においては、田植機が植付作業
を行うとき、植付部昇降レバー２８を操作して植
付部６を下降させ、フロート１０を田面に接して
植付部６の各機構を駆動すると同時に走行車体１
を走行させ田植作業を行う、このとき、例えば田
面が軟弱で、フロート１０が田面に入り込み易い
状態においては、感度調節レバー２３を第２図で
反時計方向に回動して横溝２７の図面で左側寄り
位置に係止する。そうすると、感度調節ワイヤ２
０は感度調節ばね１８に引かれてアーム１５の上
下移動を容易にして、フロート１０ａがリンク体
１２の上下伸縮範囲内で軽く上下動し、これに伴
つて油圧バルブ１３が切換えられて、油圧シリン
ダ４を伸縮させて昇降リンク５を介して植付部６
を上下動し、田面の起伏に応じた適正な植付深さ
を保持しつつ適正な植付作業を行う。

田面が硬い場合には、前記の場合とは反対に、
感度調節レバー２３を第２図で時計方向に回動し
て横溝２７の田面で右側寄り位置に係止する。す
ると、感度調節ばね１８はワイヤ２０により引か
れて、アーム１５を下方に押し下げるように作用
し、フロート１０は田面に押しつけられて起伏に
追従して油圧バルブ１３を切換え、油圧シリンダ
４、昇降リンク５を介して植付部６を上下動し、
適正な植付作業が行われる。また、田面の硬、軟
度合によつて、横溝２７の位置を選択すれば、そ
れに応じてフロート１０の上下動感度が調節され
る。

田植機が圃場端部に来て旋回するときには、植
付部６の駆動を停止すると同時に植付部昇降レバ
ー２８により植付部６を上昇させ、走行車体１を
操向して、田植機を回行させる。この植付部６が
田面から離れて上昇するとき、感度調節レバー２
３を延長縦溝２６ａに位置させると、感度調節ワ
イヤ２０は、ワイヤエンド１９を感度調節枠１７
の端部に当接させ、感度調節枠１７全体を直接引
くことになり、フロート１０は下方に押し下げら
れ、フロート１０の先端が田面の枕地部分に接し
て走行車体１の前後輪２，３等で踏み荒された部
分を均平する。フロート１０の田面への摺接強さ
は、感度調節レバー２３によつて適宜行なえる。
従つて、植付部６が完全に揚上される間に枕地が
整地されることになり、従来では均平が不可能で
あつた枕地のほぼ所定域が均平されることにな
り、植付作業の最終段階で枕地部分を植付ける際
に田面の均平度が良く、良好な植付条件が得られ
る。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明の田植機における
植付部の上下動感度調節装置によれば、フロート
の上下動感度を調節する感度調節域と、この感度
調節域を超えてフロートの接地圧を調節可能な整
地調節域を設けたので、通常の植付け作業状態の
とき、即ち、水田の表土面が均平状態で、耕盤が
凹凸していて、その耕盤の深さの変動に対応して
植付部を上下動制御するときの植付状態における
感度調節領域内では表土面の硬、軟に応じてフロ
ートが表土面から大きく沈み込まない状態に適宜
感度調節をすることにより所定の苗植付け深さで
的確に作業できる。

また、枕地等で旋回時に水田の表土面が荒され
て凹凸があるときは、前記の感度調節領域から外
れてほとんど植付部の上下動制御が行われない整
地調節領域に変更することで水田の表土を的確に
整地させることができる作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を適用した乗用型田植機全体の
側面図、第２図は同要部の側面図、第３図は第２
図に対応した平面図である。 １……走行車体、２……前輪、３……後輪、４
……油圧シリンダ、５……昇降リンク、６……植
付部、７……フレーム、８……苗タンク、９……
植込体、１０……フロート、１１……ブラケツ
ト、１２……リンク体、１３……油圧切換バル
ブ、１４……リンク体、１５……アーム、１６…
…ピン、１７……感度調節枠、１８……感度調節
ばね、１９……ワイヤエンド、２０……感度調節
ワイヤ、２１……ブラケツト、２２……操縦座
席、２３……感度調節レバー、２４……操作ボツ
クス、２５……ガイド溝、２６……縦溝、２６ａ
……延長縦溝、２７……横溝、２８……植付部昇
降レバー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 走行車体にフロートを有する植付部を上下動
   可能に装着し、前記植付部がフロートを田面に接
   して植付状態にあるとき、フロートの上下動によ
   り走行車体に対して植付部を自動的に上下動さ
   せ、前記フロートに、上動抵抗を調節する感度調
   節装置を備えた田植機において、 前記感度調節装置を、田面の硬軟にかかわらず
   耕盤面の凹凸によつてフロートが田面で押上げら
   れて植付部を上下制御させる感度調節域と、田面
   の表面が旋回時等で車輪によつて荒されていると
   きこれを整地するためにほとんどフロートが押上
   げられないで田面を整地する整地調節域とに変更
   可能に構成してなる田植機における植付部の上下
   動感度調節装置。