JPS6355580B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、屋根面の傾斜方向に沿つて配設し
た複数の溝状の支持材と、該支持材間に敷設する
屋根板と、上記屋根板に被着して屋根板の側部を
被覆するカバー材とからなる屋根に関するもので
ある。

一般住宅や寺院等の建築物においては、銅等の
金属板または金属瓦で屋根を葺くことが行なわれ
ている。このような屋根の施工は、一般に熟練し
た作業者の腕と感を頼りに行なわれており、この
ため施工の迅速化、規格化等を図ることが困難で
あり、特に熟練作業者の不足している昨今では建
築コストの増加、工期の長期化を招いている。

本発明は上記に鑑み提案されたもので、上面が
開放する溝状の支持材と、屋根面の傾斜方向に沿
つて平行に配設した隣り合う支持材間に敷設する
屋根板と、上記支持材に被着して左右の屋根板の
側部を被覆するカバー材とからなり、上記支持材
は下面部及び下面部の左右側縁から縦方向に延び
る左右の側面部を有し、下面部と左右の側面部と
で排水溝を形成し、両側面部の上縁には溝状の内
側に屈曲する鍔部を設けてあり、屋根板は左右の
側縁に上記支持材の鍔部に載置して止着される側
縁部及び前縁の前縁部と後縁の後縁部とを有し、
カバー材の後端には支持材の固定部を設け、屋根
面の傾斜方向に沿つて配設した支持材の隣り合う
支持材間に敷設した屋根板の側縁部が支持材の鍔
部に止着され、下側に位置する屋根板の後縁部と
上側に位置する屋根板の前縁部とが係合し、カバ
ー材の固定部が支持材に固定されて左右の屋根板
の側部を被覆することにより、体裁が良好で、温
度変化による屋根板の伸縮に対処でき、しかも熟
練技術を持たない一般作業者でも容易かつ迅速に
施工することのできる雨仕舞の良好な屋根を提供
しようとするものである。

以下、本発明を実施例の図面にもとづいて説明
する。

第１図は、本発明に係る屋根の平面図であり、
縦、横の長さを所定の寸法にした金属質の屋根板
１を屋根面に傾斜方向に沿い列状に敷設すると共
に、複数列を配設し、隣り合う屋根板列の間にカ
バー材を２…を被せた状態を示す。

屋根板１は、板材を横方向に緩く湾曲させ、左
右の各側部を弧状にして上を向くように屈曲形成
したもので、その両側には水平部３及び垂直部４
からなる側縁部５が一体に屈曲成形されており、
上記水平部３の前端部及び後端部には係止爪挿入
孔６ａ，６ｂが穿設され、また長さの途中に爪貫
通孔７，７が穿設されている。また、この屋根板
１の前縁部（傾斜下端部）には下方に逆コ字状に
屈曲した挿入係合部８を、後縁部（傾斜上端部）
には上方に逆コ字状に屈曲した受入係合部９を
各々一体に形成してある。また第２図及び第４図
で示すように、屋根板１の約下半分を上半分より
やや上方に屈曲させて隆状部１０としたのは、上
記挿入係合部８と受入係合部９とを噛み合わせる
ことにより雨水浸入防止空間１１を形成すること
ができるようにするためである。

上記屋根板１は、第３図に示すように、母屋１
２上に固定した下地材１３により上半分が支持さ
れ、下地材１３にネジ１４等により固定した支持
材１５により左右側縁部５，５が支持される。

支持材１５は長尺な金属板を成形したもので、
幅のほぼ中央に長さ方向に沿つて延びる突条１６
を形成した下面部１７と、該下面部１７の左右側
縁に直立状となつて対向方向に弾性的に屈曲可能
な左右の側面部１８，１８とを有し、各側面部１
８，１８の上縁に断面鉤形の鍔部１９，１９を長
さ方向に有し、該鍔部１９上面には屋根板１の側
縁部５を止める屋根板用止着部２０…と、カバー
材２を止めるカバー材用止着部２１とを交互に一
定間隔で設けてなる。鍔部１９は第３図で示すよ
うに側面部１８の上縁を内側に向けて屈曲する。
なお、突条１６に換えて隆出部を適宜間隔で設
け、この隆出部にネジ穴を開設するようにしても
よい。

第４図で示す屋根板用止着部２０の実施例は、
鍔部１９上面の一部を上向き爪状に切り起したも
ので、右側面部１８の爪２０′と左側面部１８の
爪２０′とが対向する。なお支持材１５の長さ方
向に並んだ爪２０′と爪２０′との間隔は、屋根板
１の前端部と後端部とに開設してある両係止爪挿
入孔６ａ，６ｂの間隔に等しい。また第４図で示
すカバー材用止着部２１の実施例は、鍔部１９上
面の一部を対向する上向き爪状に切り起したもの
で、屋根板用止着部２０，２０の間隔内であつて
屋根板１の爪貫通孔７に対応する位置にある。し
たがつて支持材１５の鍔部１９の上方に屋根板１
の側縁部５を臨ませ、両係止爪挿入孔６ａ，６ｂ
内に屋根板用止着部２０の爪２０′を下方から挿
通すると、カバー材用止着部２１の爪２１′が爪
貫通孔７内を下から貫通し、水平部３上面に突出
する。そして前端部の係止爪挿入孔６ａから突出
している爪２０′を屈曲すると屋根板１の傾斜下
端部分を支持材１５の鍔部１９に止着することが
できる。また、この屋根板１の後端部上に別な屋
根板１の前端部を載せ、下段の屋根板１の受入係
合部９と上段の屋根板１の挿入係合部８とを噛み
合わせた後、下段の屋根板１の係止爪挿入孔６ｂ
から突出している爪２０′を上段の屋根板１の前
端部の係止爪挿入孔６ａ内に挿通すると、上段に
臨ませた屋根板１の爪貫通孔７内にカバー材用止
着部２１の爪２１′を貫通すると共に、後端部の
係止爪挿通孔６ｂ内に屋根板用止着部２０の爪２
０′を挿通することができる。そして、上段の屋
根板１の係止爪挿通孔６ａから突出している爪２
０′を屈曲すると、下段に位置する屋根板１の傾
斜上端部分と上段に位置する屋根板１の傾斜下端
部分とを支持材１５の鍔部１９に同時に止着する
ことができる。

上記作業を繰り返すと、横方向に隣り合う支持
材１５の間隔内に屋根板１…を屋根の傾斜方向に
沿つて葺くことができる。そして支持材１５の鍔
部１９にカバー材２を止着することにより、各屋
根板１の側部を被覆する。カバー材２は、上方に
凸の半円筒状に成形されており、その両側部下方
には屋根板１の隆状部１０と形状の合致する切欠
部２２が設けられ、また、この切欠部２２を含む
屋根板１との当接部には内方へ屈曲した弾接縁２
３が連続して形成されている。そしてこのカバー
材２上端部の固定部２４にはカバー材用止着部２
１の爪２１′を挿通する挿入孔２５が穿設されて
いる。したがつて棟方向に並んだ屋根板１，１の
間隔にこのカバー材２を被せ、挿入孔２５内にカ
バー材用止着部２１の爪２１′を挿入して該爪２
１′を屈曲すると、このカバー材２は屋根板１の
側部間隙を塞いだ状態で支持材１５上に止着され
る。そしてこのカバー材２の上端固定部２４上に
上段に位置する別のカバー材２の下端部を被せ、
上記と同様に、挿入孔２５内にカバー材用止着部
２１の爪２１′を挿入して該爪２１′を屈曲するこ
とにより上段のカバー材２を支持材１５上に止着
する。このようにして支持材１５の傾斜下端から
傾斜上端に向つてカバー材２を順次止着し、棟方
向に並んだ屋根板１，１の側部間隙を塞ぐ。な
お、下段のカバー材２の固定部２４上面に上段の
カバー材２の下端部を被せる場合、下段のカバー
材２の弾接縁２３下面に上段のカバー材２の弾接
縁２３を係合することにより上段のカバー材２の
傾斜下端部を止着する。したがつて各カバー材２
は、風雨により剥されたりすることはない。ま
た、カバー材２の傾斜下端部を下段に位置するカ
バー材用止着部２１の爪２１′により止着すると、
弾接縁２３の全長が屋根板１の両側部上面に弾接
し、カバー材２の下面と屋根板１の両側部上面と
の間に雨水浸入防止空間２６を、屋根板１の両側
部下面と支持材１５の外面と下地材１３上面との
間に通気空間２７を形成する。

雨水浸入防止空間２６は、下方に凸の屋根板１
と、上方に凸のカバー材２とによつて構成される
ものであるため毛細管現象を防止するに充分な広
さであり、かつ屋根板１の両側部は上方に屈曲し
ているから風雨の浸入防止、すなわち雨仕舞は極
めて確実である。なお上下の屋根板１間の雨仕舞
は噛み合い状態となる上記受入係合部９と挿入係
合部８、及び両係合部間の雨水浸入防止空間１１
によつて確保される。

一方、通気空間２７は、通気が良好なので、屋
根板１下面や支持材１５外側面に生じた結露水の
蒸発を促進する。したがつて下地材１３が腐るこ
とを未然に防止する効果がある。

また、激しい風雨等により万一雨水が前記雨水
浸入防止空間２６を通つて支持材１５の上端から
側面部１８，１８間隔に浸入した場合、この雨水
は、支持材１５の下面部１７に形成された長さ方
向の排水溝２８内を流下し、軒先に排水される。
なお、排水溝２８内の雨水は、支持材１５を固定
するネジ１４のネジ穴が突条１６の上面に開口す
るので、このネジ穴から漏れることはない。した
がつて下地材１３や断熱材（図示せず）等は濡れ
ることがなく、腐らない。

上記構成に係る屋根を葺くには、下地材１３な
どの上面に支持材１５を屋根面の傾斜方向に沿つ
て複数本平行に並べてネジ１４等により固定す
る。このとき、支持材１５が上面開放する溝状に
なつているので、長さの短いネジ１４等で止着す
ることができ、作業が容易である。次に隣り合う
支持材１５，１５の各間隔内に屋根板１…を屋根
面の傾斜下端（軒先）から傾斜上端（棟）に向つ
て敷設する。屋根板１を支持材１５に止着するに
は、前述したように、屋根板１の左右の側縁部
５，５を隣り合う支持材１５，１５の鍔部１９，
１９に載せ、屋根板用止着部２０の爪２０′を屋
根板１の係止爪挿入孔６ａ，６ｂに挿通し、該爪
２０′を屈曲することにより止着すると共に、傾
斜方向に隣り合う下段の屋根板１の後端部上面に
上段の屋根板１の前縁部を噛合状に載せて支え
る。そして支持材１５にカバー材２…を屋根面の
傾斜下端から傾斜上端に向つて止着することによ
り、棟方向に隣り合う屋根板１，１の間隔を塞ぐ
と共に、屋根板１の側部を被覆する。なお、支持
材１５にカバー材２を止着するには、前述したよ
うに、屋根板１の爪貫通孔７から突出しているカ
バー材用止着部２１の爪２１′をカバー材２の挿
入孔２５に挿通し、この爪２１′を屈曲すればよ
い。

なお、屋根板用止着部２０やカバー材用止着部
の爪の数、形状及び方向は、強度などを考慮して
適宜に定める。

上記工事は、支持材１５の鍔部１９に予め設け
てある屋根板用止着部２０に屋根板１の側縁部５
を止着し、カバー材用止着部２１にカバー材２を
止着するだけであるので、一般作業員が容易かつ
迅速に施工することができる。また、屋根板１の
敷設ピツチの狂いも極めて少ないなど、施工上の
ミスを未然に防止でき、屋根の仕上りが良好とな
る。

なお、上記実施例においては、屋根板用止着部
２０、カバー材用止着部２１を爪状に形成した
が、屋根板１やカバー材２を止着できればどのよ
うな構成でもよい。例えば鏃状の突起でもよい。
要するに屋根板やカバー材を止着でき、尚且つ施
工前に予め位置が定められていればよい。

以上説明したように本発明によれば、極めて容
易に熟練技術を持たない一般作業者でも簡単かつ
迅速に施工することができ、施工期間を大幅に短
縮すると共に人件費を削減して安価な屋根を提供
することができる。また、本発明の屋根は、内部
に溝状の支持材を有し、この支持材は下面部及び
該下面部の左右側縁から縦方向に延びる左右の側
面部とを有し、左右の側面部は対向方向に弾性的
に屈曲可能なので、屋根板の側縁部を強固に支持
するばかりではなく、温度変化により屋根板が膨
張収縮しても緩衝することができ、屋根板が破損
することがない。そして内部に雨水浸入防止空間
及び通気空間を形成しているので、屋根板の密接
部分で発生する毛細管現象による雨水の浸入を防
止することができ、しかも万一カバー材の裏面に
まで雨水が浸入してきた場合には、下面部と該下
面部から縦方向に延びる左右の側面部とで形成す
る排水溝が雨樋の機能をなすので、浸入した雨水
を支持材を介して軒先に排出することができて雨
仕舞が著しく良好である。更に、本発明は溝状に
形成した支持材や雨水浸入防止空間及び通気空間
のために風通しが極めて良好であるので、結露水
などの蒸発を促進して湿気を追放し、下地板など
の腐食を防止することができる。そして、本発明
は下面部と側面部を有して上面が開放する溝状の
支持材を用いているので、中実な柱状の支持材に
比べて著しく軽量になり、また対向する両側面部
の上縁には溝状の内部に屈曲する鍔部を設けてあ
り、この各鍔部にカバー材の後端の固定部を固定
するとともに屋根板の側縁部を止着するので、支
持材が金属質であつてもカバー材や屋根板を強固
に、しかも安定した状態で簡単に固定できるばか
りでなく、鍔部が支持材の溝状の内側に屈曲して
いるので、仮に支持材の鍔部と屋根板の側縁部と
の止着部分及び支持材の鍔部とカバー材の固定部
との固定部分から雨水が浸透しても溝状の支持材
の内部に流入するので屋根の内側にまで染み込む
ことがなく、実用的価値の高いものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
屋根の一部欠截平面図、第２図は第１図の−
線に沿う断面図、第３図は第２図の−線に沿
う断面図、第４図は屋根材、支持材、カバー材の
斜視図である。 １……屋根板、２……カバー材、５……側縁
部、１５……支持材、１７……下面部、１８……
側面部、１９……鍔部、２４……固定部、２８…
…排水溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上面が開放する溝状の支持材と、屋根面の傾
   斜方向に沿つて平行に配設した隣り合う支持材間
   に敷設する屋根板と、上記支持材に被着して左右
   の屋根板の側部を被覆するカバー材とからなり、
   上記支持材は下面部及び下面部の左右側縁から縦
   方向に延びる左右の側面部を有し、下面部と左右
   の側面部とで排水溝を形成し、両側面部の上縁に
   は溝状の内側に屈曲する鍔部を設けてあり、屋根
   板は左右の側縁に上記支持材の鍔部に載置して止
   着される側縁部及び前縁の前縁部と後縁の後縁部
   とを有し、カバー材の後端には支持材の鍔部への
   固定部を設け、屋根面の傾斜方向に沿つて配設し
   た支持材の隣り合う支持材間に敷設した屋根板の
   側縁部が支持材の鍔部に止着され、下側に位置す
   る屋根板の後縁部と上側に位置する屋根板の前縁
   部とが係合し、カバー材の固定部が支持材の鍔部
   に固定されて左右の屋根板の側部を被覆している
   ことを特徴とする屋根。