JPS6350223Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ハンドル向きの変更にかかわらず、
夫々の状態での高速後進走行を回避して安全を図
るように、エンジンを塔載すると共に車輪を軸架
した走行機体に、前後向き変更のために縦軸芯周
りで回転自在に操縦ハンドルを設けると共に作業
装置を連動連結し、前記エンジンからの動力をギ
ア式変速機構を介して前記車輪に伝達するように
構成し、前記ギア式変速機構に対する２本の変速
操作軸のいずれか一方の高速変速位置への変位を
阻止する牽制部材を設けると共に、前記ハンドル
と前記牽制部材とを、前記ハンドルの回転に伴つ
て、後進変速側の変速操作軸にのみ前記牽制部材
が作用するように切換えられる状態で連係してあ
る歩行型作業機の安全機構に関する。

上記のものとしては、従来一般に、縦軸芯周り
で回転自在に支軸を設けると共に、その支軸に、
長手方向に位相を異ならせて、両変速操作軸に選
択的に接当するストツパーアームを取付け、か
つ、ハンドルの向き変更に連動して支軸を回転さ
せ、ハンドルの向き変更に伴つて後進側となる変
速操作軸にのみストツパーアームを作用させるよ
うにしていた。ところが、支軸に２本のストツパ
ーアームを溶接等によつて連設しなければなら
ず、部品点数が多い上に加工に手間を要し、コス
ト高になる欠点があつた。又、ストツパーアーム
を回転させるスペースが必要で組付面でも不利で
あつた。

そこで、部品点数少なく、加工及び組付を容易
に行えるように、支軸に１個の切欠きを形成し、
その切欠きにより変速操作軸の高速変速位置への
変位を許容すると共に非切欠部によつて高速変速
位置への変位を接当阻止するようにし、そして、
変速操作軸の並置された縦方向に支軸を摺動自在
に設けると共に支軸にそれを一方側に摺動変位す
るように付勢するスプリングを設け、かつ、ハン
ドルの向き変更のための回転に伴い、前記スプリ
ングの付勢力に抗して支軸を摺動変位させるよう
にハンドルフレームと支軸との間にカム機構を介
在させたものがあつた。ところが、ハンドルの回
転方向に対してそれと直交する方向に支軸を摺動
させるものであるために、ハンドルに対する回転
操作力が支軸に対する摺動操作力として伝達され
にくく、ハンドルの回転操作が重くなつたり、支
軸あるいはハンドル側の部材が曲げ変形する虞が
あり、又、それらを防止しようとすればカム機構
を精度良く製作しなければならず、ハンドルと支
軸との連係構造が複雑化する欠点があつた。

本考案は、上記の点に鑑み、部品点数少なく、
加工及び組付を容易に行えるものでありながら、
ハンドルの向き変更操作をスムーズにして後進高
速走行を回避できるようにすることを目的とす
る。

本考案は、上記目的の達成のために、冒記した
歩行型作業機の安全機構において、前記牽制部材
を構成するに、牽制軸を縦軸芯周りで回転自在に
設けると共に、前記牽制軸に、その長手方向及び
周方向夫々において位相を異らせた状態で、前記
両変速操作軸の一方のみの高速側への変位を許容
する切欠部を形成してある事を特徴とする。

上記構成による作用は次の通りである。

即ち、ハンドルを向き変更のために回転するに
伴つて牽制軸を回転させ、その回転に伴い、前進
変速側となる変速操作軸にのみ切欠部を対応位置
させてその高速変速を許容しながらも、後進変速
側となる変速操作軸を非切欠部に対応位置させて
その高速変速を牽制軸との接当によつて阻止する
のである。

上記作用による効果を次に示す。

即ち、牽制軸に２個の切欠部を設けることによ
り牽制部材を構成して、ストツパーアームを連設
するものに比べて部品点数少なく、加工及び組付
を容易に行えるようにするものでありながら、牽
制作用姿勢の切換えのための牽制軸の変位を、ハ
ンドルの向き変更のための回転と同様の縦軸芯周
りでの回転構成によつて行わせるから、ハンドル
と牽制軸夫々に接当部材を連設することにより、
ハンドルに対する操作力を何ら方向転換せずに牽
制軸に伝達でき、ハンドルと牽制軸との連係構造
を簡単にできると共に操作力を容易確実に付与
し、軽い操作でもつてスムーズに牽制軸を変位操
作できるようになつた。

以下、本考案の実施例を例示図に基いて詳述す
る。

ミツシヨンケース１の下端部に車輪２，２を軸
架すると共にミツシヨンケース１の前方に突出さ
せてエンジンＥを塔載した台３を連設し、かつ、
ミツシヨンケース１の上方に、縦軸芯Ｐ周りで、
車輪２の後進側に位置する第１状態と前進側に位
置する第２状態とに回動及び固定自在に操縦ハン
ドル４を設けると共に、ミツシヨンケース１の後
部側にロータリ作業装置の一例としてのロータリ
耕耘装置５を連動連結し、歩行型ロータリ作業機
を構成してある。

前記車輪２，２を駆動するに、ミツシヨンケー
ス１に、その内部のギア式変速機構６に対する押
引き変速操作軸７，７を摺動自在に並設し、その
変速操作軸７，７の一端側夫々に第１及び第２係
合部材８，９を取付け、ミツシヨンケース１に横
軸芯Ｑ１周りで揺動自在に取付けたボス部材１０
に縦軸芯Ｑ２周りで回動自在にアーム１１を取付
け、両軸芯Ｑ１，Ｑ２周りでの揺動と回動との協
働により、アーム１１を、前記第１及び第２係合
部材８，９に択一的かつ背反的に係合させ、第１
係合部材８の摺動により、ミツシヨンケース１に
近づく状態で前進高速状態が、他方、離れる状態
で前進低速状態が得られ、そして、第２係合部材
９の摺動によりミツシヨンケース１に近づく状態
で後進高速状態が、他方、遠ざかる状態で後進低
速状態が夫々得られるように構成してある。

前記アーム１１にスプライン嵌合部１２を形成
し、変速レバー１３を周方向に取付位置を変更し
て嵌脱自在に嵌着するように構成してあり、ハン
ドル４の取付向き変更に応じ、操作しやすい位置
に変速レバー１３を取付けられるように構成して
ある。

次に、前記第１及び第２状態夫々での後進を牽
制する機構について説明する。

即ち、前記ミツシヨンケース１の上部に取付け
た支持プレート１４に、第１及び第２係合部材
８，９に択一的に接当する牽制部材１５を取付け
ると共に、その牽制部材１５と、ハンドル４に連
設したハンドルブラケツト４ａとを連係してあ
る。

前記牽制部材１５を構成するに、前記支持プレ
ート１４に縦軸芯Ｐ１周りで回動自在に牽制軸１
６を取付け、その牽制軸１６の、側面視において
第１及び第２係合部材８，９に重複する箇所夫々
に、互いの位相を周方向にほぼ90度異ならせた状
態で切欠部１７，１８を形成し、そして、前記牽
制軸１６の上端にレバー１９を連設すると共に、
レバー１９と支持プレート１４間に巻バネ２０を
介装し、かつ、通常時において牽制軸１６を所定
姿勢に維持するために、支持プレート１４にスト
ツパー２１を連設してある。他方、ハンドルブラ
ケツト４ａに接当部材２２を連設し、前記レバー
１９に接当して牽制軸１６を回転操作すると共に
その操作状態を前記巻バネ２０の付勢力に抗して
接当維持するように構成してある。

上記構成により、ハンドル４を耕耘装置５側に
向けた第１状態では、第５図のイに示すように、
第１係合部材８のみが切欠部１７内に入り込み、
それに対応する変速操作軸７を高速位置まで変速
でき、他方、第２係合部材９が牽制軸１６の外周
面に接当してそれに対応する変速操作軸７の高速
位置への変速を、即ち、後進高速走行を阻止でき
るのである。そして、ハンドル４の向き変更に伴
い、ハンドル４を耕耘装置５と遠い側に向けた第
２状態では、第５図のロに示すように、第２係合
部材９のみを切欠部１８内に入り込ませ、他方、
第１係合部材８を牽制軸１６の外周面に接当さ
せ、後進高速走行を阻止できるのである。

第６図及び第７図は別実施例を示し、前記ハン
ドルブラケツト４ａに、前記接当部材２２よりも
上方でかつ周方向に位相を異ならせて補助接当部
材２３を連設し、他方、前記牽制軸１６に、前記
レバー１９の上方でかつ周方向に所定角度位相を
異ならせて補助レバー２４を連設し、ハンドル４
の向きを第２状態から第１状態に戻すに際し、異
物の詰まり等に起因して、牽制軸１６が巻バネ２
０の付勢力によつて復帰回転しない場合でも、補
助接当部材２３が補助レバー２４に接当して牽制
軸１６を強制回転させ、所定姿勢に切換え、安全
を確実に図るように構成してある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る歩行型作業機の安全機構の
実施例を示し、第１図は歩行型耕耘機の全体側面
図、第２図は要部の一部切欠斜視図、第３図は牽
制軸の斜視図、第４図はハンドル向き反転状態の
要部の一部切欠平面図、第５図は作用説明図であ
り、イはハンドル向き通常状態を、そして、ロは
ハンドル向き反転状態を示す。第６図は別実施例
の要部の一部切欠側面図、第７図は第６図の要部
の一部切欠平面図であり、イはハンドル向き反転
状態を、そして、ロはハンドル向き通常状態を示
す。 ２……車輪、４……ハンドル、５……作業装
置、６……ギア式変速機構、７……変速操作軸、
１５……牽制部材、１６……牽制軸、１７，１８
……切欠部、Ｅ……エンジン、Ｐ……ハンドルの
回動縦軸芯、Ｐ１……牽制軸の回動縦軸芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンＥを塔載すると共に車輪２を軸架した
   走行機体に、前後向き変更のために縦軸芯Ｐ周り
   で回転自在に操縦ハンドル４を設けると共に作業
   装置５を連動連結し、前記エンジンＥからの動力
   をギア式変速機構６を介して前記車輪２に伝達す
   るように構成し、前記ギア式変速機構６に対する
   ２本の変速操作軸７，７のいずれか一方の高速変
   速位置への変位を阻止する牽制部材１５を設ける
   と共に、前記ハンドル４と前記牽制部材１５と
   を、前記ハンドル４の回転に伴つて、後進変速側
   の変速操作軸７にのみ前記牽制部材１５が作用す
   るように切換えられる状態で連係してある歩行型
   作業機の安全機構であつて、前記牽制部材１５を
   構成するに、牽制軸１６を縦軸芯Ｐ１周りで回転
   自在に設けると共に、前記牽制軸１６に、その長
   手方向及び周方向夫々において位相を異らせた状
   態で、前記両変速操作軸７，７の一方のみの高速
   側への変位を許容する切欠部１７，１８を形成し
   てある事を特徴とする歩行型作業機の安全機構。