JPS634697B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電子ビーム露光装置に関し、特に被露
光材料が載置されたステージの移動誤差の補正を
高速に行い得る電子ビーム露光装置に関する。

電子ビーム露光装置においてはステージの移動
と電子ビームの偏向とによつて材料に所望の図形
を露光するようにしているが、該ステージの機械
的な移動は露光に要求される高い精度で行うこと
はできない。そのため該ステージの移動量を例え
ばレーザ測長計によつて精密に測定し、実際の移
動量と設定移動量との差を求め、この差信号に応
じて電子ビームを偏向し、該ステージの移動誤差
を補正するようにしている。しかしながらこのよ
うな補正は補正のための電子ビームの偏向量が電
子ビームの偏向歪による影響が無視できる範囲で
あれば良いが、実際の移動量と設定移動量との差
が大きくなり、それにつれて補正のための電子ビ
ームの偏向量が増加すると偏向歪による影響が無
視できなくなる。従つて補正のための電子ビーム
の偏向量が一定以上になる場合には電子ビームの
偏向によつて補正し得る範囲にまで再びステージ
を機械的に移動させている。この二重のステージ
移動は装置の高スループツト化のためにステージ
を高速で移動させた場合に強く生じ、結果として
高スループツト化が達成できない。

本発明はステージの移動誤差の補正を短時間に
行い得、高スループツト化を可能とする電子ビー
ム露光装置を提供することを目的とする。

本発明に基づく電子ビーム露光装置は被露光材
料に照射される電子ビームを偏向するための偏向
手段、該偏向手段に供給される偏向信号を発生す
る偏向信号発生手段、該電子ビームの偏向に伴う
偏向歪を補正するため該偏向信号発生手段と該偏
向手段との間に設けられた偏向歪補正回路、該被
露光材料が載置されるステージ、該ステージを駆
動するための駆動手段、該ステージの移動量を測
定する測定手段、該測定された移動量とステージ
の設定移動量との差を求める手段、該差信号をそ
の大きさに応じて２種の経路に切換えて供給する
ための手段とを備え、該差信号は該一方の経路に
よつて前記偏向信号発生手段と前記偏向歪補正回
路との間に供給され、該差信号は他方の経路によ
つて該偏向歪補正回路の出力信号区と共に電子ビ
ームの偏向信号として供給されることを特徴とす
る。

以下添付図面に基づき本発明の一実施例を詳述
する。

図中１は電子銃であり、該電子銃１から発生し
た電子ビームは収束レンズ２によつてステージ３
上に載置された被露光材料４上に照射される。該
ステージ３はモータを含むステージ制御手段５に
よつて２次元的に移動させられるが該制御手段５
にはコンピユータ６からセツトレジスタ７を介し
て制御信号が供給され該レジスタ７にはステージ
の設定移動量が記憶される。該ステージ上の被露
光材料４に照射される電子ビームは偏向板８，９
によつて偏向されるが該偏向板８，９にはコンピ
ユータ６から偏向歪補正回路１０、Ｄ−Ａ変換器
１１及び１２、増幅器１３及び１４を介して偏向
信号が供給される。該偏向歪補正回路１０は偏向
歪が無視できない電子ビームの偏向量について、
予め偏向信号自体を変換し、該偏向歪の補正を行
つている。該コンピユータ６からは大偏向信号と
小偏向信号との２種の信号が発生させられるが、
該大偏向信号は高精度のＤ−Ａ変換器１１、増幅
器１３を介して偏向板８に供給され、該小偏向信
号は高速度Ｄ−Ａ変換器１２、増幅器１４を介し
て偏向板９に供給される。

上述したステージ３はステージ制御手段５によ
つて所望の距離移動させられるが、その移動はレ
ーザ測長計１５によつて監視され実際の移動量は
カウンタ１６によつて保持される。該カウンタ１
６に保持された実際の移動量と前記セツトレジス
タ７にセツトされた設定移動量は比較回路１７に
おいて比較され、その差信号はレジスタ回路１８
に供給される。該レジスタ回路１８は供給された
差信号の絶対値の大きさに応じ、該差信号を２種
の経路に切換えて供給する。該差信号の絶対値が
定められた値より大きい場合該差信号は前記偏向
歪補正回路１０に供給されてコンピユータ６から
の偏向信号と加算されると共に偏向歪補正の処理
がなされる。一方該差信号の絶対値が定められた
値より小さい場合、該差信号はＤ−Ａ変換器１９
を介してアナログ信号に変換された後前記Ｄ−Ａ
変換器１２からの小偏向信号と加算され、偏向板
９に供給される。

上述した如き構成において材料４の露光はステ
ージ３の機械的移動、偏向板８による電子ビーム
の大偏向及び偏向板９による電子ビームの小偏向
によつて行われる。ここで材料４上の特定のフイ
ールドの露光が終了し、該フイールドに接続した
次のフイールドの露光を行う場合、ステージ３を
所定量移動させるべくコンピユータ６から信号が
レジスタ７を介してステージ制御手段５に供給さ
れる。該ステージの移動が終了すると比較回路１
７においてレジスタ７にセツトされた設定移動量
とカウンタ１６に保持された実際の移動量との差
が求められその差信号は上述したステージ移動の
誤差を補正するための偏向信号として用いるため
レジスタ回路１８に供給される。該レジスタ回路
１８においては該差信号の絶対値の大きさを判別
し、該信号値が特定の値より大きい場合、すなわ
ち該差信号による電子ビームの偏向量が歪が無視
できない程大きい場合には、該差信号は前記偏向
歪補正回路１０に供給される。該補正回路１０に
おいては、該差信号によつてコンピユータ６から
供給される偏向信号が該ステージの移動誤差に対
応した分だけ補正され更に偏向歪の補正処理が施
される。該補正回路１０からの大偏向信号は偏向
板８に供給されて電子ビームを偏向し、材料４上
で電子ビームをサブフイールド毎に移動させ、又
小偏向信号は該サブフイールド内の図形の描画信
号として偏向板９に供給される。

一方フイールド間のステージ移動の後、比較回
路１７から得られる差信号が特定の値より小さい
場合、すなわち該差信号による電子ビームの偏向
歪が無視できる値である場合には該差信号はＤ−
Ａ変換器１９によつてアナログ信号に変換された
後小偏向信号と加算され、偏向板９に供給され
る。この結果ステージ３の移動誤差は電子ビーム
の偏向によつて補正され正確な図形の露光を行う
ことができる。

このように上述した実施例においてはステージ
の移動誤差量に応じて該誤差信号を２種の経路に
切換えて供給するように構成し、該誤差信号が大
きく、誤差の補正を電子ビームの偏向によつて行
うには偏向歪が無視できない場合にはその誤差に
対応した信号を偏向歪補正回路に供給し、偏向歪
による影響を無くした上で電子ビームの偏向によ
つて該誤差を補正するようにしているため従来の
如くステージの機械的な移動を複数回行う必要が
無くなり、更に移動誤差量をある程度無視してス
テージを高速で移動させることができるため、装
置の高スループツト化を計ることができる。尚第
１図に実施例においてＤ−Ａ変換器１９の出力信
号とＤ−Ａ変換器１２の出力信号とを加算するよ
うにしたが、偏向板８，９以外に移動誤差補正用
の偏向板を設けＤ−Ａ変換器１９の出力信号を該
移動誤差補正用の偏向板に供給するようにしても
良い。又電子ビームによる図形の描画を大偏向信
号と小偏向信号とによつて行うようにしたが、単
一の偏向信号によつて描画を行うようにしても良
い。

第２図は本発明の他の実施例を示しており、図
中第１図と同一部分は同一番号を付し、その詳細
な説明を省略する。この実施例において比較回路
１７において求められた設定移動量と実際の移動
量との差信号は引算回路２０を介してレジスタ回
路１８に供給される。該引算回路２０においては
該差信号と該レジスタ回路１８から偏向歪補正回
路１０に供給される信号との差が求められる。こ
のような構成においてステージ３の移動誤差が大
きい場合、比較回路１７からの差信号はレジスタ
回路１８によつて偏向歪補正回路１０に供給され
ると共に引算回路２０に供給される。ここでステ
ージ３が完全に停止している場合には引算回路２
０の出力は零となるが通常ステージ３は移動後に
おいても微少ではあるが機械的に振動しており該
引算回路２０の出力は完全に零とはならない。従
つてレジスタ回路１８には差信号が供給される
が、この差信号強度は予め設定してある特定値よ
り小さいため該差信号の供給経路は切換わり、該
差信号はＤ−Ａ変換器１９を介して偏向板９に供
給される。この時、初期の状態で偏向歪補正回路
１０に供給された差信号はレジスタ回路１８内の
記憶部に保持され引算回路２０からの信号変化に
無関係に常に偏向歪補正回路１０及び引算回路２
０に供給されている。ここで引算回路２０からの
差信号が特定の値より小さい場合、すなわち該差
信号による電子ビームの偏向歪が無視できる程度
である場合の電子ビームの偏向補正はコンピユー
タ６からの指令によりステージ３の移動後の該ス
テージの機械的振動の周期よりかなり高い周期例
えば100KHzで行われる。尚一つのサブフイール
ドの露光が終了し次のサブフイールドの露光を行
うためステージを移動させる時には該レジスタ回
路１８内の記憶部に保持された信号はコンピユー
タ６からの指令によつてクリアーされる。

上述した実施例においてはステージ移動直後の
大きな誤差は偏向歪補正回路において補正処理が
行われ、機械的振動の如きステージの微小変動は
速い周期で補正処理を行うようにしているため、
ステージの移動を高精度に制御する必要がなくな
り、高速度でステージを移動させることができる
と共に、移動直後にステージが振動している状態
であつても直ちに電子ビームによつて材料の露光
を正確に行うことができ材料の全露光時間を著し
く短縮することができる。

以上本発明を詳述したが本発明はステージの移
動誤差が大きい場合でも再びステージを移動させ
ることなく露光を開始できるもので、装置の高ス
ループツト化を可能とするものである。尚本発明
は上述した実施例に限定されることなく幾多の変
形が可能である。例えば移動誤差が大きい場合、
レジスタ回路の出力信号を偏向歪補正回路に供給
するようにしたが該出力信号を偏向歪補正回路以
前においてコンピユータからの偏向信号に加算す
るように構成しても良く、いずれにしても該出力
信号について偏向歪の補正処理がなされれば良
い。又本発明はペンシルビームによつて露光を行
うもの、矩形ビームによつて面積露光を行うもの
等あらゆる電子ビーム露光装置に適用し得るもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は夫々本発明の一実施例を示
すブロツク図である。 １：電子銃、２：収束レンズ、３：ステージ、
４：被露光材料、５：ステージ制御手段、６：コ
ンピユータ、７：セツトレジスタ、８，９：偏向
板、１０：偏向歪補正回路、１１，１２：Ｄ−Ａ
変換器、１３，１４：増幅器、１５：レーザ測長
計、１６：カウンタ、１７：比較回路、１８：レ
ジスタ回路、１９：Ｄ−Ａ変換器、２０：引算回
路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被露光材料に照射される電子ビームを偏向す
   るための偏向手段、該偏向手段に供給される偏向
   信号を発生する偏向信号発生手段、該電子ビーム
   の偏向に伴う偏向歪を補正するため、該偏向信号
   発生手段と該偏向手段との間に設けられた偏向歪
   補正回路、該被露光材料が載置されるステージ、
   該ステージを駆動するための駆動手段、該ステー
   ジの移動量を測定する測定手段、該測定された移
   動量とステージの設定移動量との差を求める手
   段、該差信号をその大きさに応じて２種の経路に
   切換えて供給するための手段とを備え、該差信号
   は該一方の経路によつて前記偏向信号発生手段と
   前記偏向歪補正回路との間に供給され、該差信号
   は他方の経路によつて該偏向歪補正回路の出力信
   号と共に電子ビームの偏向信号として供給される
   ことを特徴とする電子ビーム露光装置。 ２ 該差信号が該一方の経路によつて前記偏向信
   号発生手段と前記偏向歪補正回路との間に供給さ
   れた後、その後の該差信号の変動分のみ該他方の
   経路によつて該偏向歪補正回路の出力信号と共に
   電子ビームの偏向信号として供給される特許請求
   の範囲第１項記載の電子ビーム露光装置。