JPS6346669Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、冷却フインの振動及びそれに伴うビ
ビリ音の発生を防止した内燃機関の冷却フイン騒
音防止装置に関するものである。

冷却フインを備えた空冷内燃機関にあつては、
機関の回転によつてこの冷却フインが振動し、そ
れに伴つてビビリ音が発生するという問題があ
る。

このため、従来では第１図に示すような対策が
施される。

この図示例の場合には、シリンダヘツドとクラ
ンクケースを、シリンダブロツク１に組付けてい
るテンシヨンボルト２に緩衝ゴム管３を被嵌し、
この緩衝ゴム管３で冷却フイン４…の振動やビビ
リ音を吸収するようになつている。

尚、この場合には、緩衝ゴム管３は冷却フイン
４のテンシヨンボルト挿通用孔４ａ…内周面及び
テンシヨンボルト２外周の双方に密接していなけ
れば効果がない。

しかし、このように緩衝ゴム管３外周が冷却フ
イン４のテンシヨンボルト挿通用孔４ａの内周に
密接するように該緩衝ゴム管３の外径を設定した
のでは、テンシヨンボルト２をテンシヨンボルト
挿通用孔４ａに挿入する際に、緩衝ゴム管３がこ
のテンシヨンボルト挿通用孔４ａ内周面に引つか
かり、円滑に挿入できないという不都合がある。

実公昭45−12659号公報にも冷却フインの振動
やそれに伴うビビリ音の発生を防止した従来技術
が開示されている。

この従来技術は、各フインの先端近傍に略Ｕ字
状の切込みを施し、この切込みに弾性体棒を嵌着
することによつて、各フインの先端を該弾性体棒
で互いに連結して各フインの振動をこの棒で吸収
するようになつている。

しかし、この場合には、各フインの先端近傍に
切込みを施さなければならず、その形成工程が煩
雑であるだけでなく、弾性体棒は、冷却フインの
振動を防止するようこの切込みに強固に組付けら
れなければならず、そのための組付工程が面倒で
あるなどの不都合があつた。

本考案の目的は、上記事情に鑑みてなされたも
ので、機関の回転に伴つた冷却フインの振動及び
ビビリ音の発生を防止するだけでなく、その取付
けが簡単にできるようにした内燃機関の冷却フイ
ン騒音防止装置を提供するにある。

上記目的を達成するため本考案は、シリンダヘ
ツドをシリンダブロツクに組付けるべく該シリン
ダブロツクの各冷却フインに穿孔されているテン
シヨンボルト挿通用孔に挿通されるテンシヨンボ
ルトと、該テンシヨンボルトを嵌装する管状の緩
衝ゴムを具備し、該緩衝ゴムを上記シリンダブロ
ツクとクランクケース間の距離よりも長寸の寸法
に形成すると共に、その内径を上記テンシヨンボ
ルトの外径より大径とし、且つその外径を冷却フ
インのテンシヨンボルト挿通孔の内径より小径と
する一方、上記緩衝ゴムに、上記シリンダヘツド
をシリンダブロツクに組付けるべく締結すること
によつて、該緩衝ゴムの両端がシリンダヘツド及
びクランクケース間で押圧されて屈曲しながら各
冷却フインのテンシヨンボルト挿通用孔内周面に
押接される薄肉部及び該薄肉部とテンシヨンボル
ト挿通用孔内周面との押接により押し返されてテ
ンシヨンボルト外周に押接される厚肉部とを軸方
向へ交互に形成したことを特徴としている。

以下図面を参照して本考案を具体的に説明す
る。

第２図乃至第４図は本考案の一実施例であり、
第２図はテンシヨンボルトによつてシリンダヘツ
ド及びクランクケースをシリンダブロツクに組付
けた後であつて締付ける以前の状態の縦断面図、
第３図は緩衝ゴムを被嵌した状態のテンシヨンボ
ルトの一部縦断面図、第４図は第２図においてテ
ンシヨンボルトを締付けた状態の一部拡大図であ
る。

これらの図において、符号１１はシリンダヘツ
ド、符号１２はクランクケースであり、これらシ
リンダヘツド１１及びクランクケース１２は、シ
リンダブロツク１３を挟むようにしてテンシヨン
ボルト１４よつて該シリンダブロツク１３に組付
けられるようになつている。

上記シリンダヘツド１１には、テンシヨンボル
ト挿通用孔１１ａが穿孔されている。

又、上記シリンダブロツク１３の外周径方向に
は冷却フイン１５…が一体に突設されていおり、
この各冷却フイン１５…には上記シリンダヘツド
１１のテンシヨンボルト挿通用孔１１ａに連通し
たテンシヨンボルト挿通用孔１５ａ…が穿孔され
ている。

一方、上記クランクケース１２には、上記各冷
却フイン１５の各テンシヨンボルト挿通用孔１５
ａ…に連通するネジ孔１２ａが穿孔されている。

又、上記テンシヨンボルト１４は、両端に雄ね
じ１４ａ，１４ｂが螺刻され、その一方は、クラ
ンクケース１２のネジ孔１２ａに螺着され、他方
は上記シリンダヘツド１１から突出した突出部に
ナツト１６が螺着されるようになつている。この
テンシヨンボルト１４の中途には、第２図及び第
３図に示す緩衝ゴム１７が被嵌されるようになつ
ている。

この緩衝ゴム１７は、管状に形成され、上記ク
ランクケース１２の端面１２ｂからシリンダヘツ
ド１１の端面１１ｂまでの距離よりも僅か長寸の
寸法を有している。この緩衝ゴム１７は、上記テ
ンシヨンボルト１４の外径よりも大径の内径を有
し、且つ上記冷却フイン１５に穿孔されているテ
ンシヨンボルト挿通用孔１５ａの内径より小径の
外径を有している。この緩衝ゴム１７の長手方向
には上記冷却フイン１５…のフインピツチに合わ
せて薄肉部１７ｂ及び厚肉部１７ａが交互に形成
され、薄肉部１７ｂは、各冷却フイン１５…のテ
ンシヨンボルト挿通用孔１５ａ内に配設される位
置に形成され、又、厚肉部１７ａは各冷却フイン
１５…間に位置するよう形成されている。

しかして、このようなテンシヨンボルト１４に
よつてシリンダヘツド１１、シリンダブロツク１
３及びクランクケース１２を組付けるものである
が、上記緩衝ゴム１７は上記各冷却フイン１５の
テンシヨンボルト挿通用孔１５ａの内径よりも小
径の外径をもつているので、テンシヨンボルト１
４に被嵌されたままで各冷却フイン１５のテンシ
ヨンボルト挿通用孔１５ａ内に隙間を保つて円滑
に挿入される。尚、緩衝ゴム１７を先にテンシヨ
ンボルト挿通用孔１５ａ内に挿入し、その後該緩
衝ゴム１７内にテンシヨンボルト１４を挿入して
も良い。このとき、緩衝ゴム１７の薄肉部１７ｂ
は各冷却フイン１５のテンシヨンボルト挿通用孔
１５ａ内に位置するよう配設される。そして、上
記テンシヨンボルト１４の先端は、クランクケー
ス１２のねじ孔１２ａに螺着される一方、他端は
シリンダヘツド１１のテンシヨンボルト挿通用孔
１１ａから突出した突出部においてナツト１６に
よつて螺着される。

しかる後、シリンダヘツド１１とクランクケー
ス１２とが更に接近するようナツト１６を締め付
けることによつて、緩衝ゴム１７の両端はシリン
ダヘツド１１及びクランクケース１２によつて両
側から押圧される。すると、この緩衝ゴム１７の
薄肉部１７ｂは、剛性が小さいので外方へ撓み、
その結果、第４図に示すように、各冷却フイン１
５のテンシヨンボルト挿通用孔１５ａ内に押接さ
れる一方、該緩衝ゴム１７の厚肉部１７ａは押し
返されてテンシヨンボルト１４の外周に押接され
る。このとき、上記薄肉部１７ｂは、各冷却フイ
ン１５の総てのテンシヨンボルト挿通用孔１５ａ
内周面に押接される。

かくして、この緩衝ゴム１７は、屈曲状態で各
冷却フイン１５とテンシヨンボルト１４間で強固
に挟持されることになつて冷却フイン１５の振動
やビビリ音を吸収する。

尚、以上の説明では、シリンダヘツド１１、シ
リンダブロツク１３及びクランクケース１２とに
三分割された場合について説明したが、シリンダ
ブロツク１１とクランクケース１２とは一体に形
成しても良い。

以上説明したように本考案によれば、冷却フイ
ンのテンシヨンボルト挿通用孔内周面とテンシヨ
ンボルトとの間に緩衝ゴムを遊嵌状態で挿入する
一方、この緩衝ゴムは、シリンダヘツドをシリン
ダブロツクに組付け、締結することによつて、上
記テンシヨンボルト外周と各冷却フインの総ての
テンシヨンボルト挿通用孔内周面の両方に押接す
るべく変形するよう構成したので、該緩衝ゴムを
被嵌したテンシヨンボルトは、テンシヨンボルト
挿通用孔内に隙間をあけて円滑に挿入できる上に
シリンダヘツドをシリンダブロツクに締結した後
は、緩衝ゴムは、機関の回転に基づいた総ての冷
却フインの振動やビビリ音を確実に吸収できる効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す冷却フインとテンシヨン
ボルトとの一部縦断面図、第２図乃至第４図は本
考案の一実施例であり、第２図はテンシヨンボル
トによつてシリンダヘツドをクランクケース及び
シリンダブロツクに組付けた後であつて締め付け
る以前の状態の縦断面図、第３図は緩衝ゴムを被
嵌した状態のテンシヨンボルトの一部縦断面図、
第４図は第２図においてテンシヨンボルトを締め
付けた状態の一部拡大図である。 １１…シリンダヘツド、１２…クランクケー
ス、１３…シリンダブロツク、１４…テンシヨン
ボルト、１５…冷却フイン、１５ａ…テンシヨン
ボルト挿通用孔、１７…緩衝ゴム、１７ａ…厚肉
部、１７ｂ…薄肉部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドをシリンダブロツクに組付ける
   べく該シリンダブロツクの各冷却フインに穿孔さ
   れているテンシヨンボルト挿通用孔に挿通される
   テンシヨンボルトと、該テンシヨンボルトを嵌装
   する管状の緩衝ゴムを具備し、該緩衝ゴムを上記
   シリンダブロツクとクランクケース間の距離より
   も長寸の寸法に形成すると共に、その内径を上記
   テンシヨンボルトの外径より大径とし、且つその
   外径を冷却フインのテンシヨンボルト挿通孔の内
   径より小径とする一方、上記緩衝ゴムに、上記シ
   リンダヘツドをシリンダブロツクに組付けるべく
   締結することによつて、該緩衝ゴムの両端がシリ
   ンダヘツド及びクランクケース間で押圧されて屈
   曲しながら各冷却フインのテンシヨンボルト挿通
   用孔内周面に押接される薄肉部及び該薄肉部とテ
   ンシヨンボルト挿通用孔内周面の押接により押し
   返されてテンシヨンボルト外周に押接される厚肉
   部とを軸方向へ交互に形成したことを特徴とする
   内燃機関の冷却フイン騒音防止装置。