JPS6327080Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関用ピストンに関するものであ
り、更に詳しく述べれば内燃機関用ピストンのス
カート部の厚みに関するものである。

従来内燃機関用ピストンのスカート部の厚みは
一様な厚さで作られている。サーマルフロー型の
ピストンであるとか、鋳込み時の中子抜きの為勾
配がついている例はあるが、これはピストンの高
さ方向においてついているだけで円周方向につい
ては一様厚さに構成されている。

このような構成であるため、ピストンのスラス
ト反スラスト方向の斜め方向においてはガス圧力
及びスラツプにより大きな変形が生じている。ま
たスツプによるエネルギー吸収がスカート部で一
様でないための衝突時、即ちスラツプ時の音の発
生も大きいという欠点がある。

内燃機関用ピストンについて、特公昭49−5121
号公報には、いわゆる鼓形スカート付きピストン
のスカートにスリツトを設けて変形し易くする技
術が示されている。しかし、かかる公知技術で
は、ピストンピンボスはスカート部に連結されて
いないので、スカート部の剛性が小さく、側圧力
および筒内圧力に対して変形が大きく、焼き付き
を起こし易い。

また、実開昭49−105705号公報には、スカート
部の肉厚をピストンピン孔の付近を最大にし、ピ
ストンピン孔から最も離れた部分を最小として順
次円周方向に肉厚を変化させ、かつ、スカート部
とピストンピンボスとを間隙６で分離し、スカー
ト部がスラスト圧力による影響と、ピストンボス
の熱膨脹の影響とを受ないようにした技術が示さ
れている。しかし、かかる公知技術によれば、間
隙６によりスカート部の剛性が低くなり、側圧力
および筒内圧力に対しての変形が大きく焼き付き
を起し易い。

また、実公昭40−16162号公報には、スカート
部の下端部に補強用のリブを形成し、スカート部
の熱による変形を少なくする技術が示されてい
る。しかし、かかる公知技術では、スカート部の
スラスト圧力による影響を抑えることはできな
い。

また、実公昭51−43307号公報には、スカート
部の下端部に補強用のリブを形成し、ピストンピ
ンボスとスカート部とを間隙６で分離し、スカー
ト部がピストンピンボスの熱膨脹による影響を受
けないようにする技術が示されている。しかし、
かかる公知技術では、スラスト反力による影響を
抑えることができず、また間隙６によりスカート
部の剛性が低くなり、側圧力および筒内圧力に対
しての変形が大きく、焼き付きを起し易い。

従つて本考案の目的は、スカート部に加わる斜
め方向の大きい変形を抑えるとともに、スラツプ
エネルギーをスカート部全体で吸収させるように
した内燃機関用ピストンを提供するにある。

本考案によれば、周囲に円筒状のスカート部を
備え、ピストンピン孔が形成された内燃機関用ピ
ストンにおいて、スカート部をピストンピンボス
に連結し、スカート部の肉厚をピストンピン孔の
付近を最大とし、ピストンピン孔から最も離れた
部分を最小として順次円周方向に肉厚を変化させ
るとともに、ピストンの軸線方向においてピスト
ンピン孔位置を最小とし、対向する方向を最大と
して順次軸線方向に肉厚を変化させている。

以下本考案の実施例を添付した図面を参照しつ
つ説明する。

まず第１図により従来技術に係る内燃機関用ピ
ストンのスカート部について説明すれば、１はピ
ストンでありピストンピン孔２の軸線を含む断面
を示しており、そのスカート部３の厚みは円周方
向において一様となつており、結局上記の欠点が
ある。

そこで本考案に係るスカート部について第２図
を参照しつつ説明する。１はピストン、２はピス
トンピン孔、３はスカート部である。スカート部
３はピストンピン孔２が形成されたピストンピン
ボス２ａに連結され、そのスカート部３の肉厚は
その円周方向における位置により順次かえられて
いる。即ちピストンピン孔２の近傍の厚みは肉厚
部３ａとなつており、ピストンピン孔２から最も
遠い位置において、その厚みは最小の肉薄部３ｂ
となつている。例えばピストンの外形Ｄを133mm
とした場合、ta（３ａ部分の厚み）＝４〜4.5mm、
tb（3b部分の厚み）＝2.5mmに構成するとよい。

また、第３図に示すように、スカート部３の軸
線方向の断面は、ピストンピン孔２の位置、すな
わちピストンピン孔２を含み軸線に直角な平面Ｐ
上の部分を最小厚みtcの内薄部３ｃとし、上下方
向の部分が最大厚みtdの肉厚部３ｄとなるよう
に、順次軸線方向に厚く形成されている。

従つて、ピストンのスラツプ時において、スラ
スト反スラスト方向からの外力による肉薄部３ｂ
の変形は若干大きくなるがこの部分で変形エネル
ギーが吸収され、またスラツプ時等において変位
の大きい部分を肉厚部３ｄとして剛性を増してい
るのでピストン全体の異常変形が減じ、スカツフ
や焼き付きの恐れがなくなるばかりでなく、ピス
トンスラップによる衝突音の低減を計ることがで
きるに至つたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術に係る内燃機関用ピストンの
ピストンピン孔の軸線位置における断面図、第２
図は本考案に係る内燃機関用ピストンのピストン
ピン孔の軸線位置における断面図、第３図は第２
図−断面における断面図である。 １……ピストン、２……ピストンピン孔、２ａ
……ピストンピンボス、３……スカート部、３
ａ，３ｄ……スカート部の肉厚部、３ｂ，３ｃ…
…スカート部の肉薄部、ta，td……肉厚部の厚
み、tb，tc……肉厚部の厚み。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周囲に円筒状のスカート部を備え、ピストンピ
   ン孔が形成された内燃機関用ピストンにおいて、
   スカート部をピストンピンボスに連結し、スカー
   ト部の肉厚をピストンピン孔の付近を最大とし、
   ピストンピン孔から最も離れた部分を最小として
   順次円周方向に肉厚を変化させるとともに、ピス
   トンの軸線方向においてピストンピン孔位置を最
   小とし、対向する方向を最大として順次軸線方向
   に肉厚を変化させたことを特徴とする内燃機関用
   ピストン。