JPH0563626B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明はシリンダブロツクおよびシリンダヘツ
ドに冷却フインを突設した空冷エンジンに係り、
特にその冷却フインの防振装置に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕 この種の空冷エンジンにおいては、冷却フイン
の共振を防止するため、冷却フイン間にゴムの塊
からなる吸振体を圧入することが行なわれてい
る。

ところが、この防振体は数が多く、圧入に手間
を要する等の不具合があることから、従来、例え
ば実開昭53−207号公報に示されているように、
冷却フインの先端頂部に、これら冷却フイン間が
跨がつてゴム等の弾性シートを当接させるととも
に、この弾性シートの外側に押え板を重ね合わ
せ、この押え板を弾性シートと共に冷却フインの
先端頂部にねじ込み固定することにより、弾性シ
ートを冷却フインの先端頂部に押圧してその振動
を防止するようにしたものが知られている。

しかしながら、この先行技術の構成によると、
押え板および弾性シートは、冷却フインの先端頂
部にねじを介して締付け固定されているため、薄
肉な冷却フインの先端頂部を部分的に大径に形成
しなくてはならず、したがつて、この大径部分の
成形が難しくなることに加えて、上記大径部分に
ねじ孔を開けなくてはならないので、その分作業
に手間が掛かり、コスト高となる等の問題があ
る。

〔発明の目的〕

本発明はこのような事情にもとづいてなされた
もので、取り付けに手間を要しないとともに、冷
却フイン側の構成が複雑化することもなく、コス
トの低減を実現できる空冷エンジンの冷却フイン
防振装置の提供を目的とする。

〔発明の概要〕

すなわち、本発明は上記目的を達成するため、
多数枚の冷却フインに、そのフインの並設方向に
沿つて互いに連通する連通孔を開設し、この連通
孔内に冷却フインの間隔よりも長尺状をなすとと
もに、ねじ部材がねじ込み可能なねじ孔を有した
締付け部材を上記冷却フイン間に跨がつて挿入
し、この締付け部材のねじ孔を冷却フイン間に位
置させるとともに、この冷却フイン間に押えプレ
ートを貫通されたねじ部材を導入して上記ねじ孔
にねじ込むことにより、弾性体を冷却フインの先
端頂部に押し付けるようにしたことを特徴とす
る。

〔発明の実施例〕

以下本発明の一実施例を、第１図ないし第３図
にもとづいて説明する。

図中１は２サイクルエンジンのシリンダブロツ
ク、２はシリンダヘツドであり、シリンダブロツ
ク１の外周面にはシリンダ３の径方向に延びる多
数枚の冷却フイン４…が間隔を存して並設されて
いるとともに、シリンダヘツド２の上面にはシリ
ンダ３の軸方向に延びる多数枚の冷却フイン５…
が間隔を存して並設されている。なお、符号６は
ピストン、７は点火プラグを示す。

ところで、シリンダブロツク１の左右両側面に
は、冷却フイン４…の振動を防止する防振装置
８，８が取り付けられている。この防振装置８，
８について一方側を代表して説明すると、ヘツド
側に位置する４枚の冷却フイン４…は、その全長
が長く形成されており、これら冷却フイン４…の
先端頂部４ａ間には、長方形板状をなしたゴム製
の弾性体９が当接されている。そして、この弾性
体９の外側面には金属製の押えプレート１０が重
ね合わされている。押えプレート１０の外周縁部
は内側に折返されてこの折返し部１０ａで以て弾
性体９の外周囲を覆つており、したがつて、弾性
体９は押えプレート１０の内側に嵌め込まれてい
る。

また、押えプレート１０の両端部に開設した挿
通孔１１には、外側からねじ部材としてのボルト
１２が挿通されており、このボルト１２は弾性体
９に開設した通孔１３を貫通して冷却フイン４…
間に導入されている。

ヘツド側から数えて３枚の冷却フイン４…に
は、これら冷却フイン４…の並設方向に互いに連
通する連通孔１４…が開設されており、これら連
通孔１４…内にはヘツド側から締付け部材１５が
導入されている。この締付け部材１５は冷却フイ
ン４…の間隔よりも長尺な板状に形成されてお
り、その長手方向の中間部に上記ボルト１２がね
じ込み可能なねじ孔１６を備えている。そして、
この締付け部材１５は冷却フイン４…間に跨がつ
て設けられており、その挿入先端部が孔のない４
枚目の冷却フイン４上に当接して連通孔１４内に
抜け止め保持されるとともに、この際、丁度ねじ
孔１６が冷却フイン４，４間に位置し、このねじ
孔１６に上記ボルト１２がねじ込まれている。そ
して、このねじ込みにより、押えプレート１０が
冷却フイン４…の外周に沿うように湾曲されると
ともに、弾性体９が上記押えプレート１０と冷却
フイン４…の先端頂部４ａとの間で挟み込まれ、
この先端頂部４ａに圧接されている。

なお、上記弾性体９のヘツド側の縁部には、折
返し部１０ａの外側に延出する延出部１７が一体
に形成されており、この延出部１７はシリンダブ
ロツク１にシリンダヘツド２を取り付けた際に、
このシリンダヘツド２の外周側の裏面に圧接され
て、シリダヘツド２の振動も防止するようになつ
ている。

このような構成によれば、冷却フイン４…に互
いに連通する連通孔１４…を開設してこの連通孔
１４…内に冷却フイン４…に跨がる締付け部材１
５を挿入し、この締付け部材１５のねじ孔１６に
押えプレート１０を貫通されたボルト１２をねじ
込むようにしたので、このねじ込みにより、冷却
フイン４…の先端頂部４ａ…に弾性体９が押し付
けられ、このため、冷却フイン４…の振動が抑え
られ、不快な共振音の発生を防止することができ
る。しかも、この場合、冷却フイン４…側には単
に孔を開けるだけで良いので、従来のように冷却
フイン４…の形状が複雑化することもなく、した
がつて、その分成形が容易であり、コストの低減
が可能となる。

また、弾性体９も冷却フイン４…の先端頂部４
ａに押し当てた状態で、ボルト１２をねじ込むこ
とで取り付けが完了するので、短時間のうちに簡
単に取り付けることができ、作業に手間を要しな
い。

特に、本実施例の場合は、連通孔１４…内に締
付け部材１５を挿入すると、その挿入先端部が最
下部の孔のない冷却フイン４に当接して抜け止め
がなされ、かつこの際、ねじ孔１６が丁度冷却フ
イン４，４間に位置されるので、締付け部材１５
の保持やねじ孔１６の位置合わせは不要となる。
このため、締付け部材１５を連通孔１４内に挿入
した以降は、単にボルト１２をねじ込むだけで良
いので、作業性が良好となり、弾性体９の取り付
け作業を一層容易に行なる利点がある。

なお、上述した実施例では、締付け部材を連通
孔内に抜け止め保持する手段として、最下部の冷
却フインに孔を開けずに、この冷却フインに締付
け部材の先端部を当接させたが、例えば第４図に
示したように、締付け部材１５の挿入先端とは反
対側の端部に、連通孔１４の開口周縁に引掛かる
フランジ部２１を形成しても良い。

また、本発明に係る防振装置はシリンダブロツ
ク側に限らず、シリンダヘツド側の冷却フインに
設けたり、場合によつてはこれら両方の冷却フイ
ン間が跨がつて設置しても良い。

〔発明の効果〕

以上詳述した本発明によれば、冷却フインには
単に孔を開けるだけで良いので、従来のように冷
却フインの形状が複雑化することもなく、このた
め、その分成形が容易であり、コストの低減が可
能となる。また、弾性体も押えプレートと共にね
じ部材で締付けることで取り付けが完了するの
で、短時間のうちに簡単に取り付けることがで
き、作業に手間を要しない等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明の一実施例を示
し、第１図は断面図、第２図は第１図中−線
に沿う断面図、第３図はシリンダ回りの側面図、
第４図は本発明の他の実施例を示す断面図であ
る。 １……シリンダブロツク、２……シリンダヘツ
ド、４，５……冷却フイン、４ａ……先端頂部、
９……弾性体、１０……押えプレート、１２……
ねじ部材（ボルト）、１４……連通孔、１５……
締付け部材、１６……ねじ孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シリンダブロツクおよびシリンダヘツドに突
   設した冷却フインの先端頂部に、これら冷却フイ
   ン間に跨がつて板状の弾性体を当接させるととも
   に、この弾性体の外側に押えプレートを重ね合わ
   せ、この押えプレートを上記冷却フイン側にねじ
   部材を介して締め付けることにより、上記弾性体
   を冷却フインの先端頂部に押し付けるようにした
   冷却フイン防振装置において、 上記冷却フインに、そのフインの並設方向に沿
   つて互いに連通する連通孔を開設し、この連通孔
   内に冷却フインの間隔よりも長尺状をなすととも
   に、上記ねじ部材がねじ込み可能なねじ孔を有し
   た締付け部材を上記冷却フイン間に跨がつて挿入
   し、この締付け部材のねじ孔を冷却フイン間に位
   置させるとともに、この冷却フイン間に上記押え
   プレートを貫通されたねじ部材を導入して上記ね
   じ孔にねじ込むことにより、上記弾性体を冷却フ
   インの先端頂部に押し付けたことを特徴とする空
   冷エンジンの冷却フイン防振装置。