JPS6346526B2 - - Google Patents

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JPS6346526B2
JPS6346526B2 JP54085294A JP8529479A JPS6346526B2 JP S6346526 B2 JPS6346526 B2 JP S6346526B2 JP 54085294 A JP54085294 A JP 54085294A JP 8529479 A JP8529479 A JP 8529479A JP S6346526 B2 JPS6346526 B2 JP S6346526B2
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JP
Japan
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transparent conductive
conductive film
producing
film according
oxidizing gas
Prior art date
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Application number
JP54085294A
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English (en)
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JPS569906A (en
Inventor
Shozo Kawazoe
Takao Matsui
Takahiko Moriuchi
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nitto Electric Industrial Co Ltd filed Critical Nitto Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP8529479A priority Critical patent/JPS569906A/ja
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Publication of JPS6346526B2 publication Critical patent/JPS6346526B2/ja
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Manufacturing Of Electric Cables (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
この発明は透明導電性膜の製造法に関する。詳
しくはプラスチツクを基材としてこれに酸化イン
ジウムを主体とする透明導電性膜を形成する方法
に関する。 一般に、可視光線領域で透明であり、かつ導電
性を有する薄膜は、液晶デイスプレイ、エレクト
ロ・ルミネツセンスデイスプレイなどの新しいデ
イスプレイ方式における透明電極のほか、透明物
品の帯電防止や電磁波遮断などのために利用され
ている。 従来、このような透明導電性膜としてガラス上
に酸化第二スズ膜や酸化インジウム膜などを形成
してなるものが知られている。しかるにこの種の
膜は基材がガラスであるために可撓性、加工性な
どに劣り用途によつては好ましくない。そこで近
年、プラスチツクを基材とした透明導電性膜が可
撓性、加工性、耐衝撃性、重量などの面で優れて
いるものとして脚光を浴びるようになつてきた。 ところがこのような透明導電性膜は、素材であ
るプラスチツクが耐熱性に劣るため、その製造法
としてガラスを基材としたものと同様の方法を採
ることができなかつた。 ガラスを基材とする従来の方法は、数百度の高
温に加熱されたガラス上に四塩化スズの塩酸水溶
液を吹付けた後、高温度で酸化処理して酸化第二
スズからなる薄膜を形成する方法である。また最
近では酸化イソジウムなどを蒸発源とし、これを
通常300℃ないし350℃程度に加熱されたガラス上
に10-4〜10-5mmHg程度の高真空下で真空蒸着す
る方法も知られている。 明らかなように、いずれの方法もガラス基材を
高温に加熱しておかなければならない。これはま
た前述の真空蒸着に際して系内に水蒸気もしくは
水蒸気を含むガスを導入するようにした他の公知
の方法においてもいえることである。この方法は
低抵抗、たとえば100Ω/cm2以下の導電性膜を得
ることを目的としているが、この場合でもやはり
ガラス基材を300℃ないし350℃に加熱することが
必要とされている。 このようにガラスを基材とした従来の方法はい
ずれも基材を高温に加熱することを不可欠とし、
これによらなければ所望する導電性膜を形成でき
なかつた。よつてこれらの方法を耐熱性に劣るプ
ラスチツクを基材としたものに適用することはで
きなかつたのである。 そこでこの問題を克服するために今日まで種々
の改良法が提案されてきた。これらの提案法はほ
とんど真空蒸着法を利用したものであり、一般に
酸化インジウム(もしくはこれと少量の酸化スズ
などとの混合酸化物)を蒸発源としたものと、金
属インジウムを蒸発源としたものとに大別でき
る。 前者の酸化インジウムを蒸発源とする方法は、
特公昭51−35431号公報や特公昭51−37667号公報
などにみられるように、プラスチツク基材上に酸
化インジウムを蒸着させるに当たり、基材を全く
加熱しないかあるいはプラスチツク基材に許容し
うる適度な温度に加熱しながら、1×10-3mmHg
以下、通常1×10-4〜1×10-5mmHg程度の高真
空下で真空蒸着させ、この真空蒸着後さらに酸化
処理、主に酸化性ガス雰囲気中での加熱処理を行
なうものである。 ところがこの提案法では真空蒸着後の酸化処理
として相当苛酷な条件が要求される。たとえば空
気中での加熱処理によるときは実用時間での最適
温度が通常200℃ないし250℃もしくはそれ以上の
温度となる。酸化処理の目的は真空蒸着時に酸化
インジウムが低次の酸化物に分解するためこれを
酸化処理によつて高次の酸化物に変換することに
あるが、上述のような苛酷な条件では使用するプ
ラスチツク基材の材質に自ずと制限を受ける。 しかもこの方法によると蒸発源が酸化物である
ため蒸発源の加熱温度を1300℃以上、通常1500〜
1700℃程度の高温にしなければならない。その結
果蒸発源の容器として特殊処理した高価なるつぼ
などが必要とされる。また蒸発源とプラスチツク
基材との間の一般的に適用される距離では、輻射
によりプラスチツク基材が高温度に加熱されるお
それが多分にあり、この点からも使用できるプラ
スチツク基材が限られてしまう。 一方後者の金属インジウムを蒸発源とする方法
は、一般に真空系内に酸化性ガスを導入して2×
10-2〜1×10-4mmHg程度の比較的低い真空度で
金属インジウムをその酸化物に変換しながらプラ
スチツク基材上に真空蒸着させようとするもので
ある。たとえば特公昭40−14304号公報には上記
の真空蒸着に当たりプラスチツク基材を予め100
℃以上、通常110〜150℃程度の温度に加熱するこ
とによつて金属インジウムの酸化物への変換を助
ける方法が開示されている。また特公昭43−8137
号公報には同様の真空蒸着に当たり蒸着速度を16
Å/秒以上、通常150Å/秒以上の高速度にする
一方、金属インジウムの酸化物への変換を補促す
るために真空蒸着後一般に100℃前後の温度に数
時間加熱処理する工程を附加した方法が開示され
ている。 明らかなように、これらの方法ではプラスチツ
ク基材は全く加熱されないかもしくは比較的低い
温度に加熱されるだけであり、また蒸発源の加熱
も低い(金属インジウムでは通常700℃前後)た
め、輻射によつて蒸発源から受ける熱も僅かとい
える。さらに真空蒸着後に加熱処理する場合でも
その温度は種々のプラスチツク基材に対して充分
許容できる温度である。 このように金属インジウムを蒸発源とする方法
は、使用するプラスチツク基材にほとんど制限を
受けないという大きな利点がある。 しかるにこの発明者らは、これらの方法を詳細
に検討した結果、これらの方法では得られる導電
性膜の特性、とくに透明性が充分に満足しうるも
のとならないことを知つた。たとえば酸化性ガス
として酸素ガスを使用して前記いずれかの方法で
得た透明導電性膜の600nmの可視光線透過率を
調べると、一般に約30%から約50%程度の透過率
しか示さない。また前記の両方法を適宜組み合
せ、たとえば特公昭40−14304号公報にしたがつ
てプラスチツク基材を適当に加熱した状態で真空
蒸着させた後、さらに特公昭43−8137号公報に開
示されるような加熱処理を施こすなどの手段を採
つた場合でも、可視光線透過率の向上はほとんど
認められなかつた。 この発明の目的は、このような事情に照らして
金属インジウムを蒸発源とする真空蒸着法によ
り、この蒸着法の前記の利点、つまり熱的見地か
らみて使用するプラスチツク基材の材質にほとん
ど制限を受けないという利点を損なうことなく、
膜特性とくに透明性に優れる導電性膜を得ること
にある。 ところで、一般の真空蒸着法においては真空系
内に水蒸気が存在することは均一で品質に優れる
蒸着膜を形成するのに有害であると信じられ、そ
の排除のための努力がなされてきた。もちろん前
述したように非常に特殊な例として高温に加熱さ
れたガラス板上に酸化インジウムなどの蒸着膜を
形成する場合に蒸着膜の表面抵抗を非常に低くす
る目的で真空系内に水蒸気を導入させるという提
案はなされているが、この場合でも水蒸気の導入
は膜の透過性を損なうものと考えられていた。 ところがこの発明者らは、前記の目的を達成す
るための研究過程において、金属インジウムを蒸
発源としてこれを酸化性ガス雰囲気中でプラスチ
ツク基材上に真空蒸着させる場合は真空系内にむ
しろ水蒸気が適当量存在することが望ましく、こ
の方法で真空蒸着させた後さらに空気中での加熱
処理のような酸化処理を施こしたとき蒸着膜の透
明性が著るしく改善されるという驚くべき事実を
見出すに至つた。 またこの発明者らの別の知見によると、酸化性
ガス雰囲気中で真空蒸着させた後、さらに酸化処
理する方法では、酸化性ガスとして酸素ガスと窒
素、アルゴンのような不活性ガスとの混合ガスを
使用した方が望ましく、酸素ガスを単独で使用す
ると酸化処理工程での透明性の向上が低く、
600nmの可視光線透過率を約60%以上にするこ
とはできなかつた。 しかるに前記の方法で酸化性ガス雰囲気中に水
蒸気を所定量混入させるようにすると、酸化性ガ
スとして酸素ガスを単独で使用する場合でも酸化
処理による透明性の向上が顕著に認められ、通常
60〜80%の透過率が得られることが判明した。 この発明は、以上の知見をものにしてなされた
ものであり、その要旨とするところは、金属イン
ジウムを主たる蒸発源とし、これを酸化性ガスか
らなる雰囲気中でプラスチツク基材上に真空蒸着
させるに当たり、上記の酸化性ガスとして酸素ガ
スを単独で使用するとともにこのガス中に水蒸気
を含ませ、さらにこの真空蒸着により形成された
蒸着膜に酸化処理を施こすことを特徴とする透明
導電性膜の製造法にある。 この発明において用いられるプラスチツク基材
は熱的見地からみてその材質にほとんど制限を受
けることはない。後述するように真空蒸着時にプ
ラスチツク基材が80℃を超える温度に加熱される
ことはなく、また蒸発源が金属インジウムである
ため蒸発源からの輻射熱も僅かであり、さらに酸
化処理も比較的穏やかな条件で足りるからであ
る。 したがつてこの発明では従来公知の各種のプラ
スチツクを任意に使用できる。具体的にはポリエ
ステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカー
ボネート、ポリイミド、ポリパラバン酸、ポリア
ミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、トリアセ
テート、ポリアクリル、セルロース樹脂、フツ素
樹脂などがある。これらのプラスチツクはこれを
基材として使用するに当つて適宜シート、フイル
ム、その他の成型品として用いられる。 またこれらのプラスチツク基材は真空蒸着に先
立つて、溶剤洗浄、超音波洗浄などにより除塵、
清浄し、必要ならば蒸着膜とプラスチツク基材と
の接着性や耐摩擦性を向上させるために下塗り層
を形成したり、表面処理を施こすこともできる。
下塗り層の形成は酸化処理過程における基材と蒸
着膜とのひずみを緩和するためにも有効である。 下塗り層を形成するには、通常有機溶剤型、エ
マルジヨン型、無溶剤型などの樹脂塗料を調製し
て、これを使用するプラスチツク基材上に所定厚
みに塗工し、次いで加熱、常温硬化もしくは電子
線・紫外線照射などの適宜の手段で乾燥させれば
よい。 ここに用いられる樹脂には、たとえばエポキシ
樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アルキ
ツド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、
アクリル樹脂などの公知の樹脂が広く包まれる。
また塗工手段としてはグラビヤロールコーテイン
グ、マイヤバーコーテイング、ドクターブレード
コーテイング、リバースロールコーテイング、デ
イツプコーテイング、エアーナイフコーテイン
グ、キスコーテイング、ニツプコーテイング、フ
アンテンコーテイングなどの方法が採用される。 表面処理を施こす方法としては、コロナ放電処
理、火炎処理、スパツタリング処理、化成処理、
酸化剤処理などがある。これらの表面処理はとく
にプラスチツク基材と蒸着膜との接着性を向上さ
せるのに有効な手段となる。 この発明において用いられる蒸発源は金属イン
ジウムであり、場合によりこの金属インジウムに
金属錫のような他の金属を少量ドーピイングさせ
たものも使用できる。その形状はとくに制限はな
く、棒状、フイルム状、粒状、粉末状などの任意
の形状で用いられる。 この発明においては、このような蒸発源を酸化
性ガスからなる雰囲気中で前述したプラスチツク
基材上に真空蒸着させるに当たり、少なくとも酸
化性ガスとして酸素ガスを単独で使用するととも
にこのガス中に水蒸気を含ませなければならな
い。 ここで酸素ガスを単独で使用する理由は酸素ガ
スと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガ
スを使用したのではこの発明の目的とする透明性
に優れる導電性膜が得られないからというわけで
はない。この方法もまた非常に有効な方法であ
り、この発明と異なる発明として別途出願中であ
る。 この発明者らはその理由として次の二点をとく
に強調したい。第一は、先にも触れたとおり、水
蒸気を系内に含ませないで真空蒸着させる場合は
酸化性ガスとして酸素ガスを単独で使用すると、
この蒸着後さらに酸化処理を施こしても蒸着膜の
透明性の向上はそれほど認められない。これに対
しこの発明により真空系内に水蒸気を含ませるよ
うにすると、酸素ガスを単独で使用するときでも
その後の酸化処理によつて透明性を大きく向上で
きたからである。 第二は、水蒸気を含ませる場合でも、酸化性ガ
スとして酸素ガスを単独で使用するかあるいは窒
素、アルゴンなどの不活性ガスと混合して使用す
るかにより、真空蒸着ないしその後の酸化処理の
条件が多少相違するということである。これにつ
いては以下の説明のなかで必要に応じて触れるこ
とにする。 次にこのような酸素ガス中に水蒸気を含ませる
には、酸素ガスを水槽ないし一定湿度雰囲気内を
通過させればよい。もちろん他の加湿手段を採る
こともできる。水蒸気量は酸素ガスからなる酸化
性ガスの相対湿度が約30%以上、好適には約50%
以上となるようにするのがよい。相対湿度が低す
ぎるとこの発明の効果、つまり酸化処理による透
明性の向上をほとんど期待できないか、あるいは
酸化処理の条件を相当苛酷に、たとえば空気中
200℃以上の加熱処理としなければならず不適当
である。 この発明の真空蒸着法によれば、まずベルジヤ
のような蒸着装置内をあらかじめ10-5mmHg程度
の高真空とし、その後に前記の加湿ガスを導入し
て適度の真空度に調整する。この真空度は得られ
る透明導電性膜の特性に大きく影響する。この発
明におけるもつとも好適な真空度としては装置内
の雰囲気圧が5×10-2〜1×10-3mmHgとなるよ
うにするのがよい。真空度が低くなりすぎると、
とくに1×10-1mmHgより低い真空度になると、
蒸発源が速かに酸化されて蒸着操作に支障をきた
しやすく、また蒸着効率も悪くなり、さらに蒸着
膜の表面が凹凸になつてその後に酸化処理を行な
つても透明な膜が得られなくなる。一方真空度が
高くなりすぎても好ましくなく、高度の真空系で
は酸化処理による透明性の顕著な向上は認められ
なくなる。 このような適度な真空度下で蒸発源を抵抗加
熱、電子ビーム、誘導加熱などの適宜の手段によ
り蒸発させてプラスチツク基材上に蒸着させる
が、このときの蒸着速度は通常2〜10Å/秒であ
る。しかし望むならこれより非常に高速度にして
もよい。たとえば高速蒸着によつて膜厚を薄くし
て酸化処理後の可視光線透過率ないし表面抵抗を
より高くできる。 またこの真空蒸着に当たり、プラスチツク基材
はあらかじめ加熱しておく必要は全くない。後記
の実施例にも示されるように基材の加熱は透明性
の向上に却つて悪影響をおよぼす傾向が認められ
る。この点は酸化性ガスとして酸素ガスを単独で
使用する場合の特異な現象であり、酸素ガスと不
活性ガスとを併用するこの発明者らの他の発明
(この場合は適度な加熱であれば透明性に悪影響
を与えないかもしくは多少好結果を持たらす)と
も異なつている。 このためプラスチツク基材が蒸発源からの輻射
熱によつてある程度加熱されるおそれがある場
合、たとえば蒸発源からの距離が非常に短かい場
合、この基材をむしろ冷却ロールなどの簡単な手
段で強制的に冷却した方がより望ましい。しかし
ながら基材の加熱温度が80℃までの温度であれば
目的とする透明度は充分に得られる。したがつて
基材の温度が上記の温度より高くならないよう
に、とくに好適には50℃を越える温度にならない
ようにすれば、この発明の実施にほとんど支障を
きたすことはない。 このようにして得られる蒸着膜は、プラスチツ
ク基材表面に均一にかつ強固に付着し、主として
低次の酸化物である酸化インジウムからなり黒褐
色で低い透明性を有するものである。この蒸着膜
の厚さは通常500〜2000Åであるが、必要ならこ
れより薄くしあるいは厚くしても差し支えない。
薄い膜厚は酸化処理の条件をより緩和にしかつ酸
化処理後の可視光線透過率および表面抵抗を高く
するのに有効であり、また厚い膜は表面抵抗を逆
に低くするのに有効である。しかし膜厚があまり
に薄くなりすぎると局部的に欠陥を生じやすく、
逆に厚くなりすぎると酸化処理を苛酷な条件、た
とえば高温度で長時間の加熱処理としなければな
らず好ましくない。 次のこの発明においては上記の蒸着膜を酸化処
理する。この処理によつて始めて真空蒸着時に水
蒸気を含ませたことによる効果として膜の透明性
を大きく向上できる。なおこのような効果が得ら
れる理由については現在のところ必ずしも解明さ
れているとはいえない。 酸化処理は一般に空気や酸素、オゾンなどの酸
化性雰囲気下で加熱処理することによつて実施さ
れる。もちろん他の酸化処理として陽極酸化処
理、化成処理、グロー放電酸化処理、オートクレ
ーブ処理などの方法を採用することもできる。 この発明においては酸化処理の条件を苛酷にす
る必要は全くない。たとえば空気中での加熱処理
によるときは通常200℃までの温度とすればよい。
もつとも好適には空気中150〜200℃の処理温度を
選ぶのがよい。なお酸化性ガスとして酸素ガスと
不活性ガスとの混合ガスを使用したこの発明者ら
の他の発明方法と対比すれば、やや酷しい条件と
した方がよい。処理時間は上記の加熱処理温度で
通常30〜60分程度の短時間で足りる。もちろん必
要ならこれ以上の処理時間としてもよい。 かくして得られるこの発明の透明導電性膜は、
一般に表面抵抗が10KΩ/cm2以下、通常0.1〜5K
Ω/cm2であり、また600nmの可視光線透過率が
60%以上、とくに好ましい実施態様によれば70%
以上で通常80%程度までの良好な透明性を有して
いる。また膜厚を非常に薄くしたものではさらに
高い透過率ないし表面抵抗が得られるし、逆に非
常に厚くしたものでは表面抵抗のより低い導電性
膜が得られる。 このようにこの発明法により形成される透明導
電性膜は、導電性および透明性に優れているた
め、基材がプラスチツクであることによる可撓
性、加工性、耐衝撃性、重量などの面での長所が
活かされて、新しいデイスプレイ方式における透
明電極のほか、透明物品の帯電防止や電磁波遮断
などの種々の用途に有効に利用することができ
る。 なおこの利用に当つて透明導電性膜の摩耗を防
いだり、耐湿性を持たせるために、必要ならばこ
の膜上に保護コーテイングを従来知られている方
法で施こしてもよい。また導電性膜に接着性など
を附与するために、必要ならばこの膜上にさらに
適宜の加工を施こすこともできる。 以上詳述したとおり、この発明法によれば真空
蒸着時にプラスチツク基材をあえて加熱する必要
はなく、また酸化処理の条件も比較的穏やかな条
件で足りるから、金属インジウムを主たる蒸発源
とする従来の真空蒸着法の利点、たとえば熱的見
地からプラスチツク基材の材質にほとんど制限を
受けないという利点はなんら損なわれず、しかも
上記蒸着法を採用した従来技術では到底達成でき
なかつた膜特性とくに透明性を大きく向上できる
という利点が得られる。 以下に、この発明を実施例に基づいてより具体
的に説明する。なおこの発明はこれらの実施例に
なんら限定されるものではない。 実施例 1 ベルジヤ内を1×10-5mmHgに排気した後、相
対湿度約95%の酸素ガスを導入して、5.0×10-3
mmHgの真空度に調整した。次にタングステンボ
ートに装填された金属インジウムを抵抗加熱によ
つて加熱蒸発させ、蒸発源から約9cmの距離にセ
ツトされた厚さ100μのポリエステルフイルム上
に3Å/秒の蒸着速度で真空蒸着した。 得られた蒸着膜は厚さが1000Åで、黒褐色不透
明であつた。またこの蒸着膜の表面抵抗と600n
mの可視光線透過率を調べたところ、表面低抗は
4.8KΩ/cm2、可視光線透過率は24%であつた。 なお可視光線透過率は蒸着膜を形成しないポリ
エステルフイルムを補償光路に入れて測定した。
この明細書に記載される可視光線透過率はすべて
上記の方法に準じて測定したものである。 次に上記の蒸着膜を空気中150℃で60分間加熱
処理してこの発明の透明導電性膜を得た。この膜
の表面抵抗は0.7KΩ/cm2、可視光線透過率は77
%であつた。 比較例 1 相対湿度約95%の酸素ガスの代りに乾燥酸素ガ
スを使用し、かつプラスチツク基材であるポリエ
ステルフイルムを真空蒸着時130℃に加熱すると
ともに、真空蒸着後の酸化処理を施こさなかつた
以外は、実施例1と同様にして透明導電性膜を得
た。この方法は特公昭40−14304号公報に記載さ
れる方法に準じたものである。 得られた膜の表面抵抗は28KΩ/cm2、可視光線
透過率は約30%であつた。 比較例 2 相対湿度約95%の酸素ガスの代りに乾燥酸素ガ
スを使用した以外は実施例1と全く同様にして真
空蒸着膜を得た。この膜の表面抵抗は40KΩ/
cm2、可視光線透過率は21%であつた。次にこの蒸
着膜を実施例1と同じ条件で酸化処理して透明導
電性膜を得た。この方法は特公昭43−8137号公報
に記載される方法に準じたものである。ただし蒸
着速度は実施例1と同じ3Å/秒にした。 得られた透明導電性膜は表面抵抗が2.1KΩ/
cm2、可視光線透過率が51%であつた。 またこの方法において酸化処理の条件を150℃
で120分、200℃で30分および200℃で60分に変え
て得られた透明導電性膜は、それぞれ表面抵抗が
2.4KΩ/cm2、8KΩ/cm2および10KΩ/cm2であり、
また可視光線透過率が55%、40%および53%であ
つた。 比較例 3 相対湿度約95%の酸素ガスの代りに乾燥酸素ガ
スを使用するとともに、プラスチツク基材である
ポリエステルフイルムを真空蒸着時130℃に加熱
した以外は、実施例1と全く同様にして透明導電
性膜を得た。 この膜の表面抵抗は1.1KΩ/cm2、可視光線透
過率は約30%であつた。 実施例 2 酸化処理の条件を150℃で30分、150℃で120分、
200℃で30分および200℃で60分にした以外は、実
施例1と全く同様にして4種の透明導電性膜を得
た。 これらの膜の表面抵抗はそれぞれ3.2KΩ/cm2
1.2KΩ/cm2、1.4KΩ/cm2および1.6KΩ/cm2であ
つた。また可視光線透過率はそれぞれ71%、79
%、71%および78%であつた。 実施例 3 実施例1において蒸着雰囲気の真空度を変え
て、真空度と得られる透明導電性膜の特性との関
係を調べた。結果は下記の第1表に示されるとお
りであつた。この表からも明らかなようにこの発
明においては雰囲気圧が5×10-2〜1×10-3mm
Hgとなるようにするのがとくに望ましいことが
判る。
【表】 実施例 4 実施例1において蒸着雰囲気の相対湿度を変え
て、相対湿度と得られる透明導電性膜の特性との
関係を調べた。結果は下記の第2表に示されると
おりであつた。この表からも明らかなように、こ
の発明においては相対湿度が約30%以上、とくに
好適には約50%以上となるようにするのがよいこ
とが判る。
【表】
【表】 実施例 5 実施例1において金属インジウムの蒸着時にプ
ラスチツク基材であるポリエステルフイルムを加
熱して、基材の加熱温度と得られる透明導電性膜
の特性との関係を調べた。結果は下記の第3表に
示されるとおりであつた。なお基材の加熱手段は
セラミツクヒーターにより、また加熱温度の測定
はサーモラベルにより行なつた。表中非加熱(実
施例1に相当する)の場合の基材温度は約35℃で
あつた。
【表】 上表から明らかなように、この発明においては
プラスチツク基材をむしろ加熱しない方が可視光
線透過率に好結果が得られている。また80℃、と
くに50℃までの加熱温度であれば充分に満足でき
る透明性が得られていることが判る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 金属インジウムを主たる蒸発源とし、これを
    酸化性ガスからなる雰囲気中でプラスチツク基材
    上に真空蒸着させるに当たり、上記の酸化性ガス
    として酸素ガスを単独で使用するとともにこのガ
    ス中に水蒸気を含ませ、さらにこの真空蒸着によ
    り形成された蒸着膜に酸化処理を施こすことを特
    徴とする透明導電性膜の製造法。 2 真空蒸着時の雰囲気圧を5×10-2〜1×10-3
    mmHgとした特許請求の範囲第1項記載の透明導
    電性膜の製造法。 3 酸化性ガスの相対湿度が約30%以上となるよ
    うな水蒸気量とした特許請求の範囲第1項または
    第2項記載の透明導電性膜の製造法。 4 酸化性ガスの相対湿度が約50%以上となるよ
    うな水蒸気量とした特許請求の範囲第1項または
    第2項記載の透明導電性膜の製造法。 5 真空蒸着時のプラスチツク基材の温度が80℃
    以下となるようにした特許請求の範囲第1項ない
    し第4項のいずれかに記載の透明導電性膜の製造
    法。 6 真空蒸着時のプラスチツク基材の温度が50℃
    以下となるようにした特許請求の範囲第1項ない
    し第4項のいずれかに記載の透明導電性膜の製造
    法。 7 真空蒸着時の蒸着速度を2〜10Å/秒とした
    特許請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに
    記載の透明導電性膜の製造法。 8 蒸着膜の厚さを500〜2000Åとした特許請求
    の範囲第1項ないし第7項のいずれかに記載の透
    明導電性膜の製造法。 9 酸化処理として酸化性ガス雰囲気中での加熱
    処理を採用した特許請求の範囲第1項ないし第8
    項のいずれかに記載の透明導電性膜の製造法。 10 酸化性ガス雰囲気中での加熱処理を空気中
    200℃までの加熱温度で行なう特許請求の範囲第
    9項記載の透明導電性膜の製造法。 11 酸化性ガス雰囲気中での加熱処理を空気中
    150〜200℃の加熱温度で行なう特許請求の範囲第
    9項記載の透明導電性膜の製造法。 12 透明導電性膜の可視光線(600nm)透過
    率が60〜80%、表面抵抗が0.1〜5kΩ/cm2である
    特許請求の範囲第1項ないし第11項のいずれか
    に記載の透明導電性膜の製造法。
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