JPS6345441Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は鉄骨ピンブレース工法における矩形
断面の柱とＩ形断面の梁の接合構造に関するもの
である。

従来柱と梁の接合構造としては第１図に示すよ
うなものがある。これは柱ａと梁ｂを接合するた
めの接合部材ｄとして、厚物板をベンダーで曲げ
加工したものを用いたものである。接合部材ｄの
上下にはブレースｃを取り付けるための接合片ｅ
が取り付けられ、中に補強リブｆを溶接してあ
る。そして梁ｂの接合は梁のフランジを接合部材
ｄにボルト固定して行なつている。

この考案の柱と梁の接合構造は所定寸法にカツ
トしたＴ形鋼を利用してより合理的な設計を可能
とし、コストダウンを図つたものである。

すなわちこの考案の柱と梁の接合構造では、Ｔ
形鋼からなるジヨイント部材３のフランジ面を矩
形断面の鉄骨柱１を沿わせて接合し、このジヨイ
ント部材３のウエブ面にＩ形断面の鉄骨梁２のウ
エブをジヨイント板６を介してウエブ面どうしで
接合している。また、ジヨイント部材３は鉄骨梁
２の梁せいより長尺として端部に垂直ブレースを
接合できるようになつている。さらに、ジヨイン
ト部材３の上部にはウエブの左右いずれか一方の
側に鉄骨梁２の上フランジを支持する梁受け部材
７を取付け、梁の接合に際し仮受けできるように
してある。

以下、図示した実施例について説明する。

図中１は矩形断面の鉄骨柱、２はＨ形鋼からな
る鉄骨梁、３は所定寸法にカツトしたＴ形鋼を加
工してなるジヨイント部材、４および５はそれぞ
れ上階および下階の垂直ブレースを示す。

組立てにおいてはまずジヨイント部材３をボル
ト８ｃを用いて柱１に取り付ける。８ａ，８ｂは
そのためのボルト孔であり、縦方向に沿わせたジ
ヨイント部材３のフランジ面と柱１の側面とを接
合する。

またジヨイント部材３の上部にはフランジ面と
ウエブ面の双方に対して垂直に取り付けた梁受け
部材７があり、柱１を立ち上げた後、梁２の上フ
ランジをこの梁受け部材７に載せて仮支持させ
る。

この梁受け部材７はジヨイント部材３のウエブ
の左右いずれか一方の側のみに取り付けてある。
例えば、第１図の従来例のような場合、第７図ｂ
に示すように、仮置き時に鉄骨梁２とウエブと梁
受け部７′がぶつかり合うため、柱１を移動させ
なければならない。これに対し、この考案では梁
受け部材７がジヨイント部材３のウエブの左右い
ずれか一方のみに取り付けてあるため、第７図ａ
に示すように柱１を移動させることなく梁受け部
材７上に鉄骨梁２の上フランジを載せることがで
きる。また、仮支持の状態においては、第８図ｂ
に示すように梁受け部材７″が鉄骨梁２の下フラ
ンジを載置する構造の場合、鉄骨梁２が左右にこ
ろびやすく危険であるのに対し、この考案のよう
に鉄骨梁２の上フランジを支持する構造では第８
図ａに示すように鉄骨梁２が倒れる心配はなく、
矢印で示す方向に手を添える程度の横力をかけて
さえいればころげ落ちる危険性は全くない。

次に梁２の自重を梁受け部材７に受け持たせた
状態で、梁２をジヨイント部材３に接合する。こ
の接合は梁２のウエブに固定したジヨイント板６
を利用して、ボルト９ｃによつて行なう。

その後上階および下階の垂直ブレース４，５の
羽子板金物をボルト１０ｃ，１１ｃで、ジヨイン
ト部材３に接合する。この接合はジヨイント部材
３の上端部および下端のボルト孔１０ａ，１１ａ
および羽子板金物のボルト孔１０ｂ，１１ｂを利
用する。

第５図ａ，ｂ，ｃ，ｄはこの考案で使用するジ
ヨイント部材３の一例を示したもので、Ｔ形鋼を
所定長さに切断し、鉄骨柱１の外面に接合される
フランジ部分にはボルト孔８ａを、接合フランジ
６と当接するウエブ部分には中間にボルト孔９ａ
を、そしてその上下には垂直ブレース４，５を取
付けるためのボルト孔１０ａ，１１ａを穿設して
ある。また、このジヨイント部材３の上部には前
述のようにウエブの一方の側に梁受け部材７が溶
接等により固定されている。

第６図ａ，ｂ，ｃ，ｄはジヨイント部材３の他
の例を示したもので、接合される鉄骨梁２の梁せ
いが小さく、また上階がなく、下側のみ垂直ブレ
ースが取付けられる場合のものである。

この考案は以上の構成からなり次のような利点
特徴を有する。

矩形断面の鉄骨柱のいずれの方向についても
全く同様に鉄骨梁を接合することができる。

Ｔ形鋼からなるジヨイント部材を鉄骨梁の梁
せいより長尺として、そのウエブ端部に垂直ブ
レースを接合するため、ピンブレース工法にお
けるブレースの取付けが容易となる。またフラ
ンジ面を鉄骨柱外面に当接させたＴ形鋼からな
るジヨイント部材のウエブにブレースを取付け
るため、応力の伝達もスムーズで、期待どおり
の十分な性能を発揮できる。

梁をウエブジヨイントの形式にしたことで、
従来のコ字状に曲げ加工した接合部材の上下に
鉄骨梁の上下フランジを接合する形式に比べ梁
荷重がスムーズに柱に伝わり、構造的信頼性が
高い。

梁の接合に際して、梁受け部材が鉄骨梁の上
フランジを仮受けして接合できるため、施工時
の仮設資材の削減、作業性の向上が図れ、かつ
上フランジを仮受けするため鉄骨梁が倒れて、
ころげ落ちる心配がない。また、梁受け部材は
Ｔ形鋼からなるジヨイント部材のウエブの左右
いずれか一方の側のみに取り付けてあるため、
鉄骨梁の仮受けに際し、鉄骨梁のウエブとぶつ
かり合うことがなく、スムーズに仮受けが行な
える。また、梁受け部材は梁の高さ内に納ま
り、梁の外に露出しないので、壁部材等との取
合もよい。

ブレースも連続した同一体のジヨイント部材
に取り付けているため構造的信頼性が高い。

柱とジヨイント部材の結合、ジヨイント部材
と梁およびブレースとの結合が非常にシンプル
な構造になつており、生産コストを低減させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す正面図、第２図はこの考
案の実施例を示す分解斜視図、第３図は平面図、
第４図は正面図、第５図ａ，ｂ，ｃ，ｄはそれぞ
れジヨイント部材の平面図、正面図、左側面図お
よび右側面図、第６図ａ，ｂ，ｃ，ｄはそれぞれ
ジヨイント部材の他の例を示す平面図、正面図、
左側面図および右側面図、第７図ａ，ｂは鉄骨梁
の仮受けの様子を従来例と比較するための平面
図、第８図ａ，ｂは同じく仮受けの安定性を比較
するための断面図である。 １……鉄骨柱、２……鉄骨梁、３……ジヨイン
ト部材、４，５……垂直ブレース、６……ジヨイ
ント板、７……梁受け部材、８ａ，８ｂ，９ａ，
９ｂ，１０ａ，１０ｂ，１１ａ，１１ｂ……ボル
ト孔、８ｃ，９ｃ，１０ｃ，１１ｃ……ボルト、
８ｄ，９ｄ……ワツシヤー、９ｅ……ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. Ｔ形鋼からなるジヨイント部材３のフランジ面
   を矩形断面の鉄骨柱１に沿わせて接合し、該ジヨ
   イント部材３のウエブ面にＩ形断面の鉄骨梁２の
   ウエブをジヨイント板６を介して接合し、かつ該
   ジヨイント部材３を該鉄骨梁２の梁せいより長尺
   として端部に垂直ブレース５接合部を設け、さら
   に該ジヨイント部材３の上部に、梁の接合に際し
   て該鉄骨梁２の上フランジを支持する梁受け部材
   ７を該ジヨイント部材３のウエブの左右いずれか
   一方の側のみに取付けてある鉄骨ピンブレース構
   造における柱と梁の接合構造。