JPS6344306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は移動農機におけるエンジンよりの熱風
の通過を阻止すべく設けた遮風板に係るものであ
る。

耕耘機等の移動農機において、エンジンからミ
ツシヨンケース側に動力を伝達するベルトはその
外側をベルトカバーで囲繞し、該カバーの開放裏
面もカバーで被覆して安全性を高めるようなされ
ている。

然るにエンジンの冷却風はベルトカバーとは反
対側に設けた冷却フアンの起風により、冷却フイ
ンの間を通つてベルトカバー側に吹抜けるように
なつており、吹抜けて高温となつた熱風が裏カバ
ーに突当つて反発され、その熱風がエンジンとミ
ツシヨンケース間に配設された燃料ホースにぶつ
かつてこれを加熱し、燃料のベーパーロツクを生
じ、エンジンが正常運転出来なくなる欠陥があつ
た。

本考案は上述の実情に鑑み創案されたものであ
つて、殊に、エンジン側方に設けた冷却フアンに
よりエンジンの熱風を反対側に位置するベルト張
設側に強制的に排風させる風路を構成すると共
に、エンジンとミツシヨンケース間にミツシヨン
ケースより前方側に突出させた遮風板を立設し
て、該遮風板により上記エンジンより発生する熱
風を防御する空所を構成し、ここに熱風を避ける
必要のあるキヤブレター並びに燃料ホースを配置
し、上記遮風板をしてベルトカバーの裏カバーを
も兼ねさせるようにしたものである。

本考案の構成を図面に示された一実施例につい
て説明する。１は耕耘機の機体フレーム２の前部
に搭載された空冷式のエンジン、３は機体フレー
ム２の後部に装備されたミツシヨンケース、４は
走行車輪、５は運転操作ハンドル、６は燃料タン
クである。

上記ミツシヨンケース３は左右２体よりなる縦
形のケースを組付ボルト７により組付けて構成さ
れていて、ミツシヨンケース３の上端部より側方
に突設した主軸８には従動プーリー８ａが軸支さ
れている。９ａはエンジン１の出力軸９に固着さ
れた駆動プーリーであつて、該駆動プーリー９ａ
と従動プーリー８ａ間には伝動ベルト１０が懸回
されている。１１は伝動ベルト１０のベルトカバ
ーであつて、内方を開放した箱形に形成されてい
る。

１２はミツシヨンケース３の上部に固着した取
付フレームであつて、その上部には運転操作ハン
ドル５の基部が取付けられている。１３はブラケ
ツトであつて、取付フレーム１２より前方に突出
し、前記燃料タンク６を支持するもので、燃料タ
ンク６はその後端部がブラケツト１３に枢支さ
れ、その枢支ピン１３ａを中心に上下に回動自在
となるようになつている。１４は燃料タンク６を
水平にして固定する際、即ち作業状態における固
定用のボルトである。

１５は可撓材よりなる燃料ホースで、一端は燃
料タンク６の後底部に連結され、他端部はエンジ
ン１後方下部に設けたストレーナー１６を介して
後述のキヤブレター２０に連結されており、燃料
タンク６の固定状態においては後方にたるむよう
設定されている。１７はエンジン１の駆動プーリ
ー９ａとは反対側に設けたフアンケースで、冷却
フアンが内装されており、１８はフアンケース１
７の外側に連設したスタータである。１９は導風
板であつて、エンジン１に設けた冷却フイン１ａ
の外側を被覆するように設けられ、導風板１９と
エンジン１との間に風路を形成し、該風路をフア
ンケース１７から冷却風が通つてエンジン１を冷
却しつつ他側方へ排出されるようになつており、
冷却風がここを通過する間に熱交換によりエンジ
ン１が冷却されると共に冷却風は加熱高温となつ
て排出される。

キヤブレター２０は、エンジン１本体から後
方、即ちミツシヨンケース３方向に突設されてお
り、前記ストレーナー１６からのホース１５ａの
一端が連結されている。２１はエアクリーナー
で、キヤブレター２０の後方に連結され、その空
気取入口は機体側方に張出している。２２はマフ
ラーカバーで、エンジン１の後方に設けたエルボ
ーよりなる排気管２３の先端に設けたマフラーを
内装し、ベルトカバー１１の上方に配設されてい
る。

２４は遮風板であつて、ミツシヨンケース３の
組付ボルト７を利用してミツシヨンケース３に固
定して立設されており、ミツシヨンケース３より
前方に突出し、その遊端部はベルトカバー１１側
に折曲させてある。上記遮風板２４とエアクリー
ナー２１、及びミツシヨンケース３の三者間に上
下方向に長い空所Ａを形成させ、この空所Ａに前
記燃料ホース１５が収納されるよう配設されてい
る。この遮風板２４はベルトカバー１１の、エン
ジン１とミツシヨンケース３間の開放部に対向す
る部位に設けられていて、ベルトカバー１１の裏
側を塞ぎ安全カバーの用をなすと共に、ベルトカ
バー１１の内壁に突当つて反発する熱風を遮蔽し
て、熱風が前記空所Ａを通過しないようにするも
のである。

第５図〜第６図は別の例を示したものであつ
て、遮風板２４ａの遊端部を内方に折曲して平面
視断面Ｌ字状となしたもの、あるいは該遮風板２
４ａの内側に断熱板２４ｂを固着したものであ
り、この様に形成した遮風板２４ａをもつて空所
Ａを構成してあつて、燃料ホース１５の保持が一
層確実となり、又断熱効果も更に向上するもので
ある。

次に、叙上の如く構成した本考案の作用につい
て説明する。

エンジン１を長時間連続駆動させると、エンジ
ン１の内部温度は著しく上昇し、その熱は冷却フ
イン１ａに伝導されるが、フアンケース１７に内
装された冷却フアンにより起風された強制冷却風
がベルト張設側への排出風路を形成して導風板１
９の内側を通過する際、熱交換によつて上記熱を
奪い、熱風化して側方に流出し、その一部はベル
トカバー１１とマフラーカバー２２に遮蔽されな
い部分から機体外側方へ吹抜けるが、一部は矢印
の如くベルトカバー１１の中を通つてその内壁に
ぶつかり、これに反発されて内方に折曲したもの
或いは後方の従動プーリー８ａに阻止されて内方
に廻り込んだものが空所Ａに至ることなく遮風板
２４に遮ぎられて分散し、ベルトカバー１１と遮
風板２４間の上下の隙間等から散逸する。その
際、燃料タンク６より下方のストレーナー１６に
向けて配管された燃料ホース１５は、遮風板２４
により遮風された空間Ａ内に存在するから、燃料
は過熱されてベーパーロツクを生ずることなく、
低温の燃料を円滑にエンジン１に供給することが
出来るものである。

更に、遮風板２４の前方遊端部はベルトカバー
１１側に折曲させてあるのでベルトカバー１１よ
り遮風板２４側へ廻り込んできたエンジン１から
の排出熱風は、遮風板２４の折曲部に誘導されて
矢印の如く適宜機外へ排出されるので、キヤブレ
ター２０部分に廻り込んで来る事がない。したが
つて、該遮風板２４の存在により、キヤブレター
２０部分にエンジン１からの排出熱風が当ること
がないので、キヤブレター２０を低温状態に保持
し、エンジン１への燃料供給作用を円滑になさし
めることが出来る。

本考案はこのように、機体フレームの前部にエ
ンジンを搭載し、後部に左右に分割可能な縦型ミ
ツシヨンケースを装備すると共に、エンジンとミ
ツシヨンケースの側方突出軸間にベルトを張設
し、その外方にベルトカバーを設けてなる移動農
機において、エンジンの上記ベルト張設反対側一
側には冷却フアンを設けて、冷却フアンの起風が
エンジンの冷却フインを通過してベルト張設側に
流れる風路を構成すると共に、エンジン後方には
キヤブレターとこれに連結するエアクリーナーを
配設し、且つ、燃料タンクはミツシヨンケース上
部に設けたブラケツトに上下回動固定可能に枢支
する一方、エンジンとミツシヨンケース間に、ミ
ツシヨンケース組付ボルトを利用してベルトの裏
カバーを兼ねる遮風板を前方に突出するように立
設して、遮風板とエアクリーナー及びミツシヨン
ケース間に空所を構成し、該空所内に燃料タンク
とキヤブレターとを連結する燃料ホースを挿通さ
せ、以て前記キヤブレター並びに燃料ホースをエ
ンジン排出熱風から防御するようにしたので、エ
ンジンより発生する熱風を防御する遮風板と、エ
アクリーナー及びミツシヨンケースの三者によつ
て囲まれる空所を構成し、該空所に熱風を避ける
必要のあるキヤブレター並びに燃料ホースを配置
したからこれらが熱風から遮断されて燃料のベー
パーロツクを生ずることなく、エンジンは長時間
にわたつて良好な運転が出来るものであり、遮風
板はエンジンとミツシヨンケース間のベルトカバ
ー裏側開放部に対向して設けたから遮風板をして
排出風路並びに裏カバーをも兼ねしめたもので、
本来ベルトカバー裏面全体にわたつて設けるべき
裏カバーを省略することが出来、しかも遮風板の
取付けもミツシヨンケースの組付ボルトを利用し
たものであるから別個に取付けの為の部材を必要
とせず、これらにより構造が極めて簡単となる等
の実用的作用効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案装置を施した耕耘機の
一実施例を示したものであつて、第１図は全体側
面図、第２図は一部を破断して示した要部の平面
図、第３図は要部の側面図、第４図は一部を取外
して示した後断面図、第５図は別の実施例を施し
た耕耘機の要部平断面図、第６図は更に別の実施
例を示す要部の平断面図である。 １……エンジン、３……ミツシヨンケース、６
……燃料タンク、１１……ベルトカバー、１５…
…燃料ホース、２０……キヤブレター、２１……
エアクリーナー、２４……遮風板、Ａ……空所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体フレームの前部にエンジンを搭載し、後部
   に左右に分割可能な縦型ミツシヨンケースを装備
   すると共に、エンジンとミツシヨンケースの側方
   突出軸間にベルトを張設し、その外方にベルトカ
   バーを設けてなる移動農機において、エンジンの
   上記ベルト張設反対側一側には冷却フアンを設け
   て、冷却フアンの起風がエンジンの冷却フインを
   通過してベルト張設側に流れる風路を構成すると
   共に、エンジン後方にはキヤブレターとこれに連
   結するエアクリーナーを配設し、且つ、燃料タン
   クはミツシヨンケース上部に設けたブラケツトに
   上下回動固定可能に枢支する一方、エンジンとミ
   ツシヨンケース間に、ミツシヨンケース組付ボル
   トを利用してベルトの裏カバーを兼ねる遮風板を
   前方に突出するように立設して、遮風板とエアク
   リーナー及びミツシヨンケース間に空所を構成
   し、該空所内に燃料タンクとキヤブレターとを連
   結する燃料ホースを挿通させ、以て前記キヤブレ
   ター並びに燃料ホースをエンジン排出熱風から防
   御するようにしたことを特徴とする移動農機にお
   ける遮風板。