JPS6340089Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は集合した連続紙筒苗を列状に引き出
し、個々の苗に分離して本圃に定植する移植機の
苗分離装置に関するものである。

本考案で連続紙筒苗とは、作物の苗を育苗する
個々の紙筒が連結部を介して数球状に連結したも
のである。通常連結部を蛇行状に折り曲げ、水溶
性糊で接着し蜂巣状集合体としたものが使用さ
れ、例えば特公昭55−30805号に示されているよ
うな連結部に外部に通ずる切り込みを入れ、これ
を分離誘導部とし分離を容易にしたものが常用さ
れる。

上記連続紙筒苗を連続的に分離し、本圃に定植
する移植機も知られており、特公昭55−30805号
公報、実公昭55−39700号公報にその例が記載さ
れている。これらの移植機は苗台上に載置した連
続紙筒苗群をその先端紙筒より連続して引き出
し、回転体で挾持しながら１対の斜設ローラ又は
円錐ローラに供給し、該ローラの回転を早くして
個々の紙筒苗に分離し、シユートを介して落下し
て植付けるものである。この種の移植機は、根菜
類の育苗に使用する細長紙筒の移植には有効で、
紙筒の伸縮、土詰め硬さの硬軟にかかわらず良好
な植付けを示すものである。

しかし野菜類、たばこ等の育苗に使用するよう
な高さに対し口径の大きいずんぐり型の紙筒で育
苗した紙筒苗の移植に使用すると、前記連結部の
分離誘導部が充分とれず、分離が不完全となると
か、落下途中で苗が転倒し移植作業を中止せざる
を得ないとか、前記分離用ローラの挾持が不充分
で不完全な分離となる等多くの欠点がある。

本考案は従来の連続紙筒用移植機を改良し、確
実に個々の苗に分離して、本圃に定植できる安価
な移植機を得んと研究を進め、従来の落下方式に
よる移植手段を排し、移植機の苗台を後方に向け
て傾斜させ、連続紙筒苗を列状に繰り出し、前記
苗台の傾斜部に対向して設けた回転式移植装置の
移植杆により１個１個の苗を握持、分離して本圃
に植付けるようにして解決したもので、その特徴
とするところは、前記苗台の繰り出し部裏側には
歯車を介して回動する１対の苗押えアームを交差
して設け、常時弾気閉鎖する如くなし、各アーム
の先端にはそれぞれ苗押え板を固定し、苗台上に
立上らせて前記苗繰り出し部前面に位置さすと共
に前記苗押えアームの一方の軸に開口アームを固
定し、前記回転移植装置に設けた間口アーム作動
機構の回転軌跡に望ます点にある。

以下本考案の例を図面により説明する。

図中１は移植機の機枠を示し、機枠１の前方に
はエンジン２を搭載させ、車輪３を取付けてあ
る。車輪３はその車軸４に鎖車５を固定し、該鎖
車５とエンジン２の間にチエン６を張設し回転さ
せ機体を矢印方向に前進さす。

機枠１の上部には苗台７を固定するが、苗台７
は水平又は緩傾斜する苗載置部７ａと機体の進行
後方に向け急傾斜する引き出し部７ｂよりなり、
載置部７ａには集合した連続紙筒苗８を立錐状態
で載置し、その前端を引き出して列状となし、引
き出し部７ｂに誘導して連続紙筒苗８−Ａとして
降下さす。尚図では載置部７ａを板状として示し
たが、前記引き出しを助けるため、ベルトコンベ
ヤーとし、該コンベヤーの先端軸を支点とし上下
動できるようにしておくとよい。

傾斜した引き出し部７ｂの面と対向する位置に
移植装置９を設けるが、該移植装置９は回転する
１対の回転円板１０，１０に移植杆１１を放射状
に固定し、移植杆１１の先端が引き出し部７ｂの
表面に近接し、苗を補促して回転するようにした
ものである。

前記引き出し部表面には引き出された苗を誘導
するため１対のガイド板１２，１２を設け苗の誘
導路とするが、該ガイド板１２，１２は連続紙筒
苗８−Ａの高さ以下の高さを有し、上方を拡張し
て苗の受け入れを容易とすると共に下方をせばめ
連続紙筒苗８−Ａが通過するに足る間隔としてあ
る。

ガイド板１２，１２の繰り出し口端部には、こ
れと上下対向する位置に１対の押圧板１３，１
３′を上下方向に設け、その中を連続紙筒８−Ａ
が整列して降下する如くしてあり、一方の押圧板
１３′は引き出し部７ａ表面に固定されているが、
他方の押圧板１３は引き出し部７ｂの表裏を貫通
する作動杆１４に固定され、作動杆１４の回動に
より押圧板１３の先端が開閉する如くしてある。
従つて連続紙筒８−Ａは先端が開いた状態で引か
れると降下し、閉じると停止するものである。前
記作動杆１４の回動は軸受けを通して下方に伸長
させ、該伸長部の下端を押圧板１３と平行に折り
曲げ、この折り曲げ部と引き出し部７ｂの裏面に
植設した突起１５との間にスプリング１６を張設
し、作動杆１４に固定した押圧板１３を閉じる方
向に引くが、適宜の手段により前記移植杆１１に
より駆動せられる開口アーム２５と連動する部材
が前記折り曲げ部の先端をスプリング１６に抗し
て押すと開くようにしてある。

前記押圧板１３，１３′の繰り出し端部前方に
は適宜の間隔をおいて１対の苗押え板１７，１７
が左右動するように配し、前記移植杆１１の回転
と連動する機構により開閉させ連続紙筒８−Ａの
先端苗の通過、停止を行なわす。このため苗押え
板１７，１７にはそれぞれの側辺に副い支杆１
８，１８を固定し、この支杆１８，１８を引き出
し部７ｂに設けて穿設した左右対称の弧状長孔１
９，１９を案内路として往復動さす。そして前記
支杆１８，１８の下部は長孔１９，１９を通して
下方に伸び引き出し部７ｂの裏面において交差す
る１対の苗押えアーム２０，２０の先端に直角方
向に植設されている。従つて苗押えアーム２０，
２０は引き出し部７ｂの裏面と平行し、その杆央
にはスプリング２１，２１を設け、常時苗押え板
１７，１７が閉じる方向に引く。又、それぞれの
基部は前記押圧板１３，１３′の側方に設けた揺
動軸２２，２２は引き出し部７ｂに固定した軸受
け２３，２３により回動自在に支持されている。
又、揺動軸２２，２２は引き出し部７ｂの裏面に
おいて歯車２４，２４を固定し、互に噛み合せる
と共に何れか一方の揺動軸２２の上端で、引き出
し部７ｂの上面には開口アーム２５を固定する。
この開口アーム２５は湾曲して立上らせ、更にそ
の端部は湾曲させて移植杆１１の回転路近傍に望
ませてある。従つて、後記の移植杆１１の近傍に
設けた部材が開口アーム２５の端部に当接する
と、これと固定関係にある苗押えアーム２０はス
プリング２１の力に抗して回動し、更に他側の苗
押えアーム２５も歯車２４，２４を介して反対方
向に回動し、支杆１８，１８を長孔１９，１９内
を外方向に移動させるので、苗押え板１７，１７
を開くことになる。又、何れか一方の揺動軸２２
に一方向にのみ押圧する部材を固定し、前記作動
杆１４の湾曲端部に対向させると作動杆１４を回
動させ、押圧杆１３の先端を開くことができる。
このような部材としては弾性体と硬体の組合せに
より簡単に作ることができる。

一方、前記開口アーム２５を作動する移植装置
９は引き出し部７ｂの表面と対向する位置に設け
られ、その回転円板１０，１０は互に平行する円
板で、機枠１に遊嵌した回転軸２６に固定され、
その周辺には一定間隔をおいて移植杆取付台２７
を互に内側に向けて固定し、該台２７の上端には
ピン２８を固定し、該ピン２８に移植杆取付具２
９を回動自在に取付け、この取付具２９に移植杆
１１を固定している。又それぞれの移植杆１１は
上部に苗ホルダー３０を横方向に固定するが、苗
ホルダー３０は板体で構成され連続紙筒８−Ａの
先端紙筒を背部より包み前部を開放するものが好
ましい。又、移植杆１１の下部は屈曲させて屈曲
端部と前記移植杆取付台２７との間にはスプリン
グ３１を張設し、常時下方を引き苗ホルダー３０
を閉じるようにし、下端には自由回転するローラ
３２を取付ける。更に一方の回転円板１０の移植
杆取付台２７の取付反対側に軸３３を放射状に固
定し、その先端に苗押え開口ローラ３４を遊動自
在に軸支させその回転軌跡が前記開口アーム２５
に当接できるようにする。

前記回転円板１０，１０の間にはそれと平行す
る１対のカム３５，３５を設け、機枠１に固定す
ると共にその面を互に対向さす。このため回転円
板１０，１０は回転軸２６に固定されているが、
カム３５，３５は回転軸２６に外挿し、機枠１に
固定したボス３６に固定されるものである。又カ
ム３５，３５は前記ローラ３２，３２に対接し、
常時スプリング３１により押圧されており、その
形状は円弧状で引き出し部７ｂに対向する所より
下側約４分の１周は切欠いてある。このため切欠
き部ではローラ３２，３２の接触が解除され、移
植杆１１はピン２８を中心として急速に回動し苗
ホルダー３０を閉じることになる。

上記装置の回転は車輪３と連動するもので、こ
のため回転円板１０の軸２６に鎖車３７を固定
し、該鎖車３７と車軸４に固定した鎖車３８との
間にチエン３９を張設し回転させる。又、４０は
機枠１の下側に固定したオープナーで背部を中空
としその中を回転円板１０，１０が回転するよう
にしてあり、オープナー４０の後方には鎮圧輪４
１を設けてある。

上記装置の運転に際しては集合紙筒苗８を苗台
７の上に載置し、その繰出し前端を人手で引き出
して列状となしガイド板１２，１２により案内さ
せて押圧板１３，１３′に挾持させ先端の紙筒の
み突出させて苗押え板１７，１７に当接さす。次
いでエンジン２を駆動し、車輪３を回転させて機
体を進行さすと車輪３と連動する回転円板１０，
１０が回転し、その周辺に取付けた移植杆１１は
後端をカム３５に当接させながら回転する。移植
杆１１が回転して引き出し部７ｂに近接すると、
開口ローラ３４が開口アーム２５と接触し、これ
を内方向に押すので、開口アーム２５と固定関係
にある揺動軸２３、歯車２４、苗押えアーム２０
及び苗押え板１７がスプリング２１に抗して回動
し、更に歯車２４，２４の噛合を介して他側の苗
押え板１７も回動する。従つて連続紙筒苗８−Ａ
の先端の苗は支持を失い後続の苗に懸垂状態とな
る。このとき前記揺動軸２３と連動関係にある作
動杆１４が押圧板１３の先端を開くので連続紙筒
苗８−Ａはフリーの状態となる。次の瞬間移植杆
１１のローラ３２，３２がカム３５の支持を失い
解放されるので、苗ホルダー３０はスプリング３
１の効果によつて閉じ先端の苗を挾持する。回転
円板１０，１０が更に回転すると連続紙筒苗８−
Ａは支持を失つているので引張られて前進するが
紙筒１個分前進すると開口ローラ３４が開口アー
ム２５を離れるのでスプリング２１の効果により
苗押え板１７，１７が閉じ、これと連動関係にあ
る押圧板１３も先端を閉じるので連続紙筒苗８−
Ａ列の前進は停止し２番目の紙筒苗が苗押え板１
７，１７に当接する。しかし回転円板１０，１０
は更に回転するので連結部の分離誘導体より破れ
苗ホルダー３０は苗を挾持したまゝオープナー４
０内を回転し、下側において開口ローラ３４とカ
ム３５が接触し苗ホルダー３０は開くので苗は溝
内に放出され後続する鎮圧輪により鎮圧され植付
けられる。

本考案は上述の如くしてなり苗ホルダー３０は
常時閉じる方向にあるので例え土詰が不充分な苗
が送られて来てもスプリング３１の効果により確
実に握持し植付けることができ従来の装置にくら
べ機構を簡素化できるので故障の少ない安価な装
置とすることができる等多くの利点を有するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の装置を装着した移植機の側面
図、第２図は紙筒苗分離装置の側面図、第３図は
要部詳細図で一部切り欠いて示してある。第４図
は移植装置の部分詳細図である。 １……苗台、７ｂ……引き出し部、８−Ａ……
連続紙筒苗、１０……回転円板、１１……移植
杆、１３……押圧板、２０……苗押えアーム、２
４……歯車、２５……開口アーム、３０……苗ホ
ルダー、３４……開口ローラ、３５……カム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 連続した紙筒苗を列状に繰り出す苗台と、該苗
   台に対向し、苗を分離する回転移植装置を有する
   移植機において、前記苗台の繰り出し部裏側に歯
   車を介して回動する１対の閉鎖方向に弾機により
   付勢されている苗押えアームを設け、該アームの
   それぞれに苗押え板を固定して苗押え板を繰り出
   し部表面に立上らすと共に、前記苗押えアームの
   何れか一方の支軸を苗台表面に貫通させて開口ア
   ームを固定し、前記回転移植装置に設けた開口ア
   ーム作動機構の回転軌跡に望ませたことを特徴と
   する連続紙筒苗分離装置。