JPS6337690B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明はガラス瓶などの被覆保護に用いるスリ
ーブ形成用のシートに関するものである。

【従来技術】

従来よりガラス瓶などの外面に熱収縮性を有す
る合成樹脂シートから成るスリーブを被せ加熱す
ることにより上記スリーブを収縮させてガラス瓶
等の保護を図ることが行なわれている。上記合成
樹脂シートとしては、例えば発泡ポリスチレンシ
ートが緩衝性に優れたものとして広く使用されて
いるが、上記発泡ポリスチレンシートは表面の平
滑性に劣り印刷性が良くないと共に、印刷時のシ
ートトラブルが多く大変歩留まりが悪いものであ
つた。また印刷後もシート表面に傷が付き易いも
のであり、更にガラス瓶にスリーブとして収縮被
覆した後にコンベア等でガラス瓶を連続移送する
際にシート表面の滑りが良くないためガラス瓶が
スムーズに移動せず走路の途中で停滞したり、瓶
同士の摩擦により印刷が消えたり汚れたりするこ
とがあつた。 このような問題点に対する一つの解決案として
先きに「収縮性発泡ポリスチレンシートと収縮性
非発泡ポリスチレンフイルムとが積層されてお
り、上記発泡シートは上記非発泡フイルムより収
縮率が大きく且つその表皮層は非発泡フイルムと
の積層面より非積層面の方が厚く、また積層され
たシートの流れ方向の収縮率が60％以下、幅方向
の収縮率が10％以下で且つ流れ方向の収縮率が幅
方向の収縮率より大きく、発泡シート側を内面に
して流れ方向の両端を接合することを特徴とする
スリーブ形成用シート。」が、特願昭57−4294号
（特開昭58−122855号）として提案されており、
この発明によればスリーブ形成用シートを収縮性
非発泡ポリスチレンフイルムと収縮性発泡ポリス
チレンシートとの二層構造としたことにより印刷
性、ガラス瓶の移動性については大幅に改善が期
待できる。

【本発明が解決しようとする問題点】

しかしながら上記発明においては、発泡シート
の表皮層の厚さを非発泡フイルムと積層面、非積
層面とで異ならせたり、発泡シートと非発泡フイ
ルムの収縮率を異ならせたりするなどスリーブ形
成用シートの製作に手間がかかること、また明細
書の記載からすると発泡シートと非発泡フイルム
との積層には熱接着、エチレン―酢酸ビニル共重
合体等の接着剤による接着、共押出の３つの方法
が示されているが、熱接着を行なおうとすると熱
によつてスリーブ形成用シートの収縮、変形、厚
みの不均一などが避けられず、かといつて変形を
生じない温度では接着出来ない。またエチレン―
酢酸ビニル共重合体等の接着剤による接着では完
成したスリーブ形成用シートを瓶に篏めてシユリ
ンクさせる際に熱によつて非発泡フイルムと発泡
シートとの間に“火ぶくれ”と称する気泡が発生
し易く、外観を悪化させる。 特に生果汁等の殺菌処理を高温で行なう場合に
は“火ぶくれ”がより発生し易い。また共押出に
よる方法では非発泡フイルムの外側にしか印刷す
ることが出来ないので、瓶相互の摩擦による印刷
の消え、汚れが防止できないという問題があつ
た。 そこで、本発明者等は上記問題点を解消すべく
研究を行なつた結果、共押出のような方法ではな
く、またエチレン―酢酸ビニル共重合体等の接着
剤を用いることなくシユリンクさせる際に、また
高温殺菌処理等の際に“火ぶくれ”を生じさせな
いような接着方法を見出した。

【問題点を解決するための手段】

シートが効率よくシユリンクするためには非発
泡ポリスチレンフイルム、発泡ポリスチレンシー
ト共に流れ方向の熱収縮率が60〜80％（140℃）
の収縮性を持つことが必要であり、両者の熱収縮
率はほぼ等しいことが必要である。 両者の接着に際し厚さ0.15〜0.4mmの発泡ポリ
スチレンシートはシート製造後少なくとも10日以
上経過したものを用いなければならない。また厚
さ15〜45μの非発泡ポリスチレンフイルムは印刷
インキ中にポリメタクリル酸エステル系のバイン
ダーが少なくとも全固形中20％以上含有するもの
を用いて印刷し、充分に乾燥したものでなければ
ならない。上記発泡ポリスチレンシートと非発泡
ポリスチレンフイルムとは接着剤を用いることな
く非発泡ポリスチレンフイルムの印刷面と発泡ポ
リスチレンシートとを80℃以下の温度で熱圧着す
るのである。 発泡ポリスチレンシートの厚さを0.15〜0.4mm
に限定した理由は、0.15mm未満では衝撃吸収力が
小さ過ぎるし、0.4mmを超えると変形によつて折
れ易くなり、瓶に巻き付ける際に折れじわが入り
易くなるからである。 非発泡ポリスチレンフイルムの厚さを15〜45μ
とした理由は、15μ未満では充分なフイルム強度
が得られず、40μを超えると強度上のメリツトが
認められないからである。 熱圧着温度を80℃以下にしなければならない理
由は、本発明の目的物が熱収縮性のシートである
ため、80℃を超えると熱収縮が大きくて不適当で
あるからである。けれども何等の処理も施すこと
なく80℃以下で熱圧着すると発泡ポリスチレンシ
ートと非発泡ポリスチレンフイルムが接着しな
い。 そこで本発明者等は非発泡ポリスチレンフイル
ムのフイルム面にポリメタクリル酸エステル系の
バインダーを全固形中少なくとも20％以上含有す
る印刷インキにて印刷を施し、充分に乾燥した
後、この印刷済非発泡ポリスチレンフイルムと製
造後10日以上経過した発泡ポリスチレンシートと
を80℃以下の温度条件で熱圧着した処、熱圧着時
の熱収縮率が５％以下に抑えられ、しかも充分接
着し、且つシユリンクさせる際の熱や殺菌処理の
際の熱によつて“火ぶくれ”等のトラブルを発生
せずに美麗な収縮性複合シートを得ることが出来
た。 〔実施例〕 ポリスチレン樹脂 商品名、エスブライト―８ （昭和電工社製） 100重量部 発泡剤 ペンタン（ゴードー溶剤社製）
５重量部 発泡起核剤 重曹―クエン酸（１：１混合） 0.8重量部 を40mmφ発泡押出機に注入しつつ発泡押出を行な
い、厚さ0.3mm、発泡倍率７倍、押出機から出て
来る流れ方向には75％（140℃）収縮する発泡ポ
リスチレンシートを作成し、15日間室温で熱成さ
せた。 厚さ30μで上記発泡ポリスチレンシートとほぼ
等しい熱収縮特性を有する非発泡ポリスチレンフ
イルムの裏面に、ポリメタクリル酸メチルとポリ
メタクリル酸ブチル（１：１混合）を固形分中に
60％含有するグラビアインキを使用して花柄の印
刷を施し充分乾燥させた後、前記発泡ポリスチレ
ンシートと80℃の熱ロール間で熱圧着させてスリ
ーブ形成用収縮性複合シートを製作した。そして
このスリーブ形成用収縮性複合シートの両端をガ
ラス瓶の径に対応した円筒状に貼合わせガラス瓶
に巻き付けた状態に被せた後、熱風でシユリンク
させたものは、単層の発泡ポリスチレンシートに
直接印刷したものに比べて印刷が美麗であり、ま
た表面が非発泡ポリスチレンフイルムで形成され
ているので傷が付き難いと共に平滑であり、滑り
易いのでベルトコンベヤーにて移送中に停滞が発
生し難く、特願昭57−4294号の発明の如く製作に
手間が掛かつたり、印刷が消えたり汚れたりする
ことが無かつた。

【発明の効果】

このように非発泡ポリスチレンフイルムに印刷
を施すので印刷性が良いと共に印刷時のシートト
ラブルが解消され歩留まりが著しく向上すると共
に、印刷が非発泡ポリスチレンフイルムと発泡ポ
リスチレンシートとの間にあるため瓶相互の摩擦
により印刷が消えたり汚れたりすることが無く、
また瓶表面にスリーブとして装着した場合に表面
が非発泡ポリスチレンフイルムで覆われているた
め複合シート表面に傷が付き難く、且つ衝撃吸収
力を有している。またフイルムとシートとの接着
に際して接着剤の塗工を行なわず、印刷インキに
接着性を付与させているので工程が短縮されるな
どの利点が見出された。 以上説明した如く発明に係るスリーブ形成用収
縮性複合シートは多くの利点を有しているもので
あり、工業上多大な価値を有するものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 80℃以下の温度で軟化する熱可塑性ポリメタ
   クリル酸エステル系バインダーを含有する印刷イ
   ンキを使用して片面に印刷を施した厚さ15〜
   45μ、流れ方向の熱収縮率が60〜80％（140℃）
   の非発泡ポリスチレンフイルムに、厚さ0.15〜
   0.4mm、流れ方向の熱収縮率が60〜80％（140℃）
   であつて非発泡ポリスチレンフイルムと収縮率が
   ほぼ等しく製造後少なくとも10日以上経過させた
   発泡ポリスチレンシートを80℃以下の温度で流れ
   方向を一致させて熱圧着することを特徴とするス
   リーブ形成用の収縮性発泡複合シートの製造方
   法。