JPS6337462Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジンのブローバイカス中のオイ
ル分離を行なうオイルセパレータに関し、特にシ
リンダヘツドカバーに設けられたものの改良に関
するものである。

（従来技術） 従来より、この種のオイルセパレータとして、
例えば実開昭57−148009号公報に開示されている
ように、エンジンのシリンダヘツドカバーの内壁
に流入口および流出口を有し該流入口と流出口と
の間に仕切壁により蛇行流路が形成されたオイル
セパレータ室を設け、クランクケース内で発生し
たブローバイガスを、上記オイルセパレータ室の
流入口から蛇行流路に導入し、ブローバイガスが
蛇行する際にブローバイガス中に含まれた揮発エ
ンジンオイルをその慣性力により蛇行流路の壁面
に液滴として析出せしめ、このエンジンオイルを
オイルパンに回収するとともに、エンジンオイル
が分離されたブローバイガスをエアクリーナ等の
エンジンの吸気通路に流入させるようにしたもの
は従来公知である。

ところが、上記公知例のものでは、シリンダヘ
ツドカバーの内部に動弁系の各種部材が配設され
ているため、スペース上の制約からオイルセパレ
ータ室の容量の拡大、即ち蛇行流路の拡大が望め
ず、ブローバイガスに対するオイル分離機能の改
善には限界があり、従つて、エンジンオイルの消
費量が多くなり、特にデイーゼルエンジンにあつ
ては、吸気系に吸入された揮発オイルの燃焼によ
つてオーバラン現象が発生するという問題があつ
た。

そこで本出願人は、本出願人が先に出願した実
用新案登録出願（実願昭58−155191号（実開昭60
−63018号公報参照））の明細書において、シリン
ダヘツドカバー内に、該シリンダヘツドカバーの
上壁に沿う上壁部と側壁部に沿う側壁部とを有す
る断面略Ｌ字状のプレート部材を取り付けて該シ
リンダヘツドカバー内に、該シリンダヘツドカバ
ーの上壁とプレート部材の上壁部で囲繞される上
部室とシリンダヘツドカバーの側壁とプレート部
材の側壁部で囲繞される側部室よりなる大容量の
オイルセパレータ室を該シリンダヘツドカバー内
の遊休空間を利用して形成し、もつてブローバイ
ガスに対するオイル分離機能の向上とオイル燃焼
によるオーバラン現象の抑制とを図るようにした
オイルセパレータを提案した。

ところが、この先出願のオイルセパレータにお
いては、第９図に示す如く、略Ｌ字状断面形状を
有する如く折曲形成された形状の変化し易いプレ
ート部材６５を、しかもシリンダヘツドカバー６
０の内面にその開口端側から当てがつて（即ち、
作業状態の確認が行ないにくい状態で）両者をビ
ス止めによつて固着するようにしているため、該
プレート部材６５の位置決めがむつかしく該プレ
ート部材６５がシリンダヘツドカバー６０の幅方
向（水平方向）にズレ易い。従つて、場合によつ
ては、プレート部材６５とシリンダヘツドカバー
６０との水平方向における取付誤差により、該プ
レート部材６５の上下方向に延びる側壁部６５ａ
と、該プレート部材６５の端面を閉塞する如くシ
リンダヘツドカバー６０と一体形成される略Ｌ字
状の仕切壁６４の外周部６４ａとの間に隙間６６
が形成され、エンジン運転時にオイルセパレータ
室６２内に導入されたブローバイガスの一部がこ
の隙間６６を通つて空間６７内に漏出するという
おそれがあつた。

また、略Ｌ字状に折曲形成されたプレート部材
６５を用いた場合には、その折曲角度の製作・加
工上のバラツキにより、該プレート部材６５の端
部と仕切壁６４の外周部６４ａとの間に隙間が生
じ、この間におけるシール性が損なわれるという
おそれもある。

（考案の目的） 本考案は、略Ｌ字状の断面形状を有するプレー
ト部材によつてシリンダヘツドカバーの上部と側
部にオイルセパレータ室を形成するようにしたエ
ンジンのオイルセパレータにおいて、シリンダヘ
ツドカバーに対するプレート部材の取付誤差を可
及的に減少させること、及びシリンダヘツドカバ
ーへの取付状態時におけるプレート部材の形状を
常に正規形状に保持することによりブローバイガ
スに対するシール性を良好ならしめ、もつてブロ
ーバイガスに対するオイル分離能力を良好に維持
し、併せてプレート部材のシリンダヘツドカバー
に対する組付性の向上を図ることを目的とするも
のである。

（考案の構成） 本考案の温度のオイルセパレータは、上壁と該
上壁の両端から下方へ延び且つシリンダ列方向に
延びた対向する２つの側壁とをそなえたシリンダ
ヘツドカバー内に、上記ヘツドカバーの上壁及び
一方の側壁に沿う上壁部と側壁部とからなる略Ｌ
字状断面を有するプレート部材を固定してなるエ
ンジンのオイルセパレータにおいて、上記シリン
ダヘツドカバーに、その上記上壁と一方の側壁と
に跨がつて延びしかも上記プレート部材の断面形
状と対応した略Ｌ字状形状を呈する仕切壁を形成
して該仕切壁に上記プレート部材のシリンダ列方
向端部を当接させ得る如くする一方、上記プレー
ト部材の上記ヘツドカバーに対する固定部を該プ
レート部材の上記両壁部のうち上壁部のみに設定
し、さらに上記プレート部材の上壁部の反側壁部
側の端部に該端部から外方に向つて下降傾斜状態
で延出する折り曲げ部を設けたことを特徴とする
ものである。

（作用） このように構成することにより、本考案のエン
ジンのオイルセパレータにおいては、 (1) プレート部材をシリンダヘツドカバー内にそ
の下方から差し入れる場合、該プレート部材に
設けた折り曲げ部が該プレート部材の端部から
外方に向つて下降傾斜しているところから、差
し入れ途中において該折り曲げ部がシリンダヘ
ツドカバー４の側壁に押圧された時には該折り
曲げ部が撓曲変形することにより該プレート部
材の差し入れ動作が許容される。

(2) プレート部材のシリンダヘツドカバーへの取
付時には、折り曲げ部がシリンダヘツドカバー
の一方の側壁に圧接してその弾発力によつて該
プレート部材を他方の側壁側に押圧することか
ら、該プレート部材をシリンダヘツドカバー側
へ押し付けることにより自動的に該プレート部
材をシリンダヘツドカバーに対して定の取付位
置に正確に位置決めすることができる。

(3) プレート部材をシリンダヘツドカバー内の所
定の取付け位置に配置した状態においては、該
プレート部材の上壁部の反側壁部側に設けた折
り曲げ部材の弾発力によつて該プレート部材の
上壁部が側壁部側に押しつけられるところか
ら、例え該プレート部材にその製作・加工上に
おいてその上壁部と側壁部との間の折曲角度に
バラツキがあつたとしても、その取付状態にお
いては強制的に上記折曲角度が所定角度に設定
され該プレート部材の形状が正規形状に保持さ
れる。

等の作用が得られる。

（考案の効果） 従つて、本考案のエンジンのオイルセパレータ
においては、 (1) シリンダヘツドカバー内へのプレート部材の
組付状態においては、該プレート部材が所定の
取付位置に正確に位置決めされるとともに、該
プレート部材の形状がその製作・加工上のバラ
ツキの如何にかかわらず常に正規形状とされる
ことから、該プレート部材とシリンダヘツドカ
バーの仕切壁との間に隙間が生じるということ
がなくこの部分のシール性が確保され、ブロー
バイガスに対するオイル分離能力が良好に維持
される。

(2) プレート部材の端部に設けられた折り曲げ部
が該端部から外方に向つて下降傾斜せしめられ
るところから、該折り曲げ部の存在にかかわら
ず該プレート部材のシリンダヘツドカバー内へ
の差し込みを容易に行なうことができ、それだ
けシリンダヘツドカバーに対するプレート部材
の組付性が向上する。

等の実用的効果が得られる。

（実施例） 以下、本考案のエンジンのオイルセパレータを
自動車用デイーゼルエンジンに適用した場合を実
施例として説明すると、第１図には自動車用デイ
ーゼルエンジン１が示されており、図中符号２は
シリンダブロツク、３はシリンダヘツド、４はシ
リンダヘツドカバー、５はオイルパン、６はカム
シヤフトである。このシリンダヘツドカバー４内
には後述するプレート部材８によつて、本考案の
主体であるオイルセパレータ９が形成されてお
り、クランクケース１０内のブローバイガスは連
通路（図示省略）を通つてシリンダブロツク４内
の空間７内に導入されたのち、該空間７からオイ
ルセパレータ９のオイルセパレータ室２０内に導
入され、該オイルセパレータ９内でオイル分が分
離されたのちガス導出管１９からエンジンの吸気
通路側に還流せしめられる。以下、第２図ないし
第８図に基づいてこのオイルセパレータ９の構造
並びにその作用を説明する。

シリンダヘツドカバー４は、第２図ないし第６
図に示す如く上壁４０と一対の側壁（第１側壁４
１と第２側壁４２）により略形断面をもつ長方
形筐状に一体形成されている。このシリンダヘツ
ドカバー４の長手方向中央部の内面には、第２図
及び第３図に示す如く、第２側壁４２の上端部４
２ａから上壁４０を経て第１側壁４１の上下方向
中間位置４１ａに至る略Ｌ字状の第１仕切壁４３
がシリンダヘツドカバー４の幅方向に向けて形成
されている。また、シリンダヘツドカバー４の一
方の端部４ｂ寄り位置には、第２図及び第４図な
いし第６図に示す第２側壁４２の上端部４２ａか
ら上壁４０の中間位置にかけてシリンダヘツドカ
バー４の幅方向に延びる横壁部４４ａと、該横壁
部４４ａの端部から第１側壁４１に沿つて前記第
１仕切壁４３側にのびる縦壁部４４ｂよりなる略
Ｌ字状の（平面形状）の第２仕切壁４４が形成さ
れている。さらに、縦壁部４４ｂの第１仕切壁４
３側の端部には、第２図及び第４図に示す如く第
１側壁４１の上端部４１ｂから上壁４０の中間部
にかけて略Ｌ字状の第１偏向壁４６が、また該第
１偏向壁４６と前記第２仕切壁４４の横壁部４４
ａの中間位置には第２図及び第５図に示す如く、
第２側壁４２から上壁４０の中間位置にかけて第
２偏向壁４７がそれぞれ形成されている。

このシリンダヘツドカバー４の第１仕切壁４３
と第２仕切壁４４の横壁部４４ａとの間は、後述
するプレート部材８によつて覆蓋されて蛇行流路
状のオイルセパレータ室２０とされている。即
ち、プレート部材８は、第８図に示す如くシリン
ダヘツドカバー４の上壁４０に沿う上壁部１１
と、第１側壁４１に沿う側壁部１２とにより略Ｌ
字状断面を有する如く折曲形成されており、且つ
その長手方向寸法は前記シリンダヘツドカバー４
の第１仕切壁４３と第２仕切壁４４の横壁部４４
ａとの間隔に相当する長さとされている。又、上
壁部１１の外端部１１ａは若干下方に折曲されて
略帯状の上側フランジ部１３とされている。さら
に、この上側フランジ部１３の長手方向両端部１
３ｂ，１３ｂには、第７図及び第８図に示す如く
該端部１３ｂ，１３ｂからさらに斜下方に向つて
折曲延出するリツプ状の折り曲げ部１６，１６が
一体形成されている。一方、側壁部１２の下端部
１２ａには、帯状の下側フランジ部１４が該側壁
部１２に連続し且つ略水平方向外方に延出する如
く一体形成されている。又、上壁部１１の肩部１
１ｂは中央フランジ部１５とされている。この上
側フランジ部１３と下側フランジ部１４と中央フ
ランジ部１５には、それぞれビス穴２６，２６…
…が形成されている。従つて、プレート部材８
を、その上壁部１１をシリンダヘツドカバー４の
上壁４０側に、また側壁部１２をシリンダヘツド
カバー４の第１側壁４１を対向せしめる如く該シ
リンダヘツドカバー４の開口端側から差し込み、
その一端８ａの端面を前記第１仕切壁４３の内面
に衝合させ、また他端８ｂを第２仕切壁４４の横
壁部４４ａ上に重ね合わせた状態で該プレート部
材８の各ビス穴２６，２６……からビス２８，２
８……を該各ビス穴２６，２６……に対して重合
連通するシリンダヘツドカバー４側のビス受穴２
７，２７……にねじ込んで該プレート部材をシリ
ンダヘツドカバー４側に固定することにより、該
シリンダヘツドカバー４とプレート部材８の間
に、プレート部材８の側壁部１２とシリンダヘツ
ドカバー４の第１側壁４１と第２仕切壁４４の縦
壁部４４ｂで囲まれた側壁部２３と、プレート部
材８の上壁部１１とシリンダヘツドカバー４の上
壁４０と縦壁部４４ｂで囲まれた上部室２４より
なる蛇行流路状のオイルセパレータ室２０が形成
される。尚、側部室２３の一端２３ａは、プレー
ト部材８の下側に形成される空間７内に開口する
ガス流入口２１とされ、また他端２３ｂは、第１
偏向壁４６の下方に形成された絞り通路２９を介
して上部室２４に連通せしめられている。又、上
部室２４には、シリンダヘツドカバー４の上壁４
０を内外方向に貫通して設けたガス流出口２２が
開口せしめられている。このガス流出口２２は、
図示しない連通管を介してエンジン１の吸気通路
に連通せしめられている。従つて、エンジン１の
クランクケース１０内からシリンダヘツドカバー
４内の空間７内に導かれたブローバイガスは、ガ
ス流入口２１からオイルセパレータ室２０の側部
室２３内に入り、さらに該側部室２３から絞り通
路２９において絞られながら上部室２４内に導入
され、該上部室２４内を第１偏向壁４６及び第２
の偏向壁４７によつて偏向せしめられながら流下
し、ガス流出口２２からエンジン１の吸気通路側
に戻される。この間、ブローバイガス中のオイル
は、絞り通路２９における絞り作用と蛇行流路作
用とによつてオイルセパレータ室２０の各壁面に
液滴となつて折出され、さらにプレート部材８の
下側フランジ部１４に設けたオイル排出口２５か
ら空間７側に流下排出される。

ところで、上述の如くシリンダヘツドカバー４
の内面にプレート部材８を取付ける場合、該プレ
ート部材８が略Ｌ字状に折曲形成されており、
（即ち、折曲角度が外力等により変化し易い）、し
かもその取付に際しては比較的深いシリンダヘツ
ドカバー４の底部（即ち、上壁４０側）に押し込
んだ状態で該シリンダヘツドカバー４の開口端か
ら手を差し入れて（即ち、作業状態の確認が困難
な状況）ビス止めをしなければならないため、そ
の取付位置、とりわけシリンダヘツドカバー４の
幅方向における取付位置が狂い易く、また、その
取付状態においてプレート部材の形状そのものが
正規形状と異なつているというような事態も発生
し易く、従つて従来技術の項で述べた如く第１仕
切壁４３とプレート部材８の間にシリンダヘツド
カバー４の幅方向に開く隙間ができ易くなる（第
９図参照）。ところが、この実施例のものにおい
ては、プレート部材８の上壁部１１の外端部１１
ａに折り曲げ部１６，１６を形成しているため、
プレート部材８の取付けに際し、該プレート部材
８をシリンダヘツドカバー４の上壁４０側に押し
付けてゆくと、第７図において鎖線図示する如く
外方に延出していた折り曲げ部１６′がシリンダ
ヘツドカバー４の第２側壁４２の内面に当接して
弾性的に撓曲変形せしめられ（実線図示、符号１
６）、該折り曲げ部１６の弾発力（反力）によつ
てプレート部材８は第１側壁４１側に強制的に押
圧され、第４図ち示す如く該プレート部材８の肩
部８ｃが第１偏向壁４６の隅部４６ａに当接する
まで第１側壁４１側に移動せしめられる。即ち、
プレート部材８のシリンダヘツドカバーに対する
位置決めと、該プレート部材８の正規形状への形
状修正とが同時に行なわれることになる。このた
め、この状態でビス２８，２８……によりプレー
ト部材８をシリンダヘツドカバー４側に固定した
場合には、第３図に示す如く第１仕切壁４３に対
してプレート部材の端面８ｂが性格に衝合し、両
者間のシール性が確保されている。従つて、ブロ
ーバイガスに対するオイル分離能力が良好に維持
されることになる。又、プレート部材８の取付け
に際しては、作業者は何ら位置決め作業を行なう
ことなくただ単にプレート部材８をシリンダヘツ
ドカバー４の上壁４０側に押しつけてビス２８，
２８……を取り付けるという簡易作業を行なうこ
とのみによつてプレート部材８を所定位置に正確
に位置決めすることができるため、作業能率が向
上することになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例に係るオイルセパレータ
を備えた自動車用デイーゼルエンジンの縦断面
図、第２図は第１図の−矢視図、第３図は第
２図の−縦断面図、第４図は第２図の−
縦断面図、第５図は第２図の−縦断面図、第
６図は第２図の−縦断面図、第７図は第３図
の部拡大図、第８図は第１図において示された
プレート部材の拡大斜視図、第９図は本出願人が
先に出願したオイルセパレータの要部縦断面図で
ある。 １……エンジン、２……シリンダブロツク、３
……シリンダヘツド、４……シリンダヘツドカバ
ー、５……オイルパン、６……カムシヤフト、７
……空間、８……プレート部材、９……オイルセ
パレータ、１０……クランクケース、１１……プ
レート部材の上壁部、１２……プレート部材の側
壁部、２０……オイルセパレータ室、２１……ガ
ス流入口、２２……ガス流出口、２３……側部
室、２４……上部室、２５……オイル排出口、２
９……絞り通路、４０……シリンダヘツドカバー
の上壁、｛４１，４２｝……シリンダヘツドカバ
ーの側壁、｛４３，４４｝……仕切壁、｛４６，４
７｝……偏向壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上壁と該上壁の両端から下方へ延び且つシリン
   ダ列方向に延びた対向する２つの側壁とをそなえ
   たシリンダヘツドカバー内に、上記ヘツドカバー
   の上壁及び一方の側壁に沿う上壁部と側壁部とか
   らなる略Ｌ字状断面を有するプレート部材を固定
   してなるエンジンのオイルセパレータであつて、
   上記シリンダヘツドカバーに、その上記上壁と一
   方の側壁とに跨がつて延びしかも上記プレート部
   材の断面形状と対応した略Ｌ字状形状を呈する仕
   切壁を形成して該仕切壁に上記プレート部材のシ
   リンダ列方向端部を当接させ得る如くする一方、
   上記プレート部材の上記ヘツドカバーに対する固
   定部を該プレート部材の上記両壁部のうち上壁部
   のみに設定し、さらに上記プレート部材の上壁部
   の反側壁部側の端部に該端部から外方に向つて下
   降傾斜状態で延出する折り曲げ部を設けたことを
   特徴とするエンジンのオイルセパレータ。