JPS6335145Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関において、そのシリンダヘ
ツドにおける動弁室のブローバイガスを抽出する
場合のオイルセパレータに関するものである。

〔従来の技術〕

一般にシリンダヘツドにおける動弁室のブロー
バイガスは、吸気用エアクリーナ又は吸気マニホ
ールド或いは排気マニホールド等に抽気するが、
この抽気に際してはブローバイガスに含まれてい
るオイルミストを捕集分離するようにしなければ
ならない。この場合、従来は、シリンダヘツドに
おける動弁室を覆うヘツドカバーの内面に、ブロ
ーバイガス中のオイルミストを捕集分離するため
のオイルセパレータを設けるのが一般的であつ
た。

しかし、このようにヘツドカバーの内面にオイ
ルセパレータを設けることは、動弁室の容積をそ
の内部にオイルセパレータを設ける分だけ大きく
しなければならないので、ヘツドカバーの高さが
高くなつて、機関の大型化を招来し、しかも、こ
のようにヘツドカバーにオイルセパレータを設け
た場合、オイルセパレータはオイルミストを発生
する動弁機構に近づくので、オイルミストを完全
に分離するためにはオイルセパレータを大きくし
なければならないのであつた。

そこで、先行技術としての実開昭58−12616号
公報は、シリンダヘツドの側面に、シリンダブロ
ツクにおけるクランクケース内にブローバイガス
通路を介して連通するチヤンバーを凹み形成し、
このチヤンバーには、当該チヤンバーを密閉する
蓋体を、シール用のガスケツトを挟んで取付け
て、この蓋体に設けた抽出口からブローバイガス
を抽出することを提案している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、この先行技術のものは、前記従来の場
合よりも、シリンダヘツドガバーを小型化できる
利点を有する反面、シリンダブロツクの内部に、
前記シリンダヘツドの側面におけるチヤンバー
と、シリンダブロツクにおけるクランクケース内
とを連通するブローバイガス通路を、シリンダヘ
ツドの上面における動弁室とクランクケースとを
連通するオイル落し通路とは別個に設けるように
しなければならないから、只でさえ複雑なシリン
ダブロツクが益々複雑になつて、その鋳造の困難
性が増大するのであり、しかも、シリンダヘツド
の側面に凹み形成したチヤンバーには、蓋体とガ
スケツトとを必要するので、部品点数が多くな
り、前記シリンダブロツクにおける鋳造の困難性
の増大と相俟つて、大幅なコストアツプを招来す
るのである。

しかも、シリンダブロツクの側面には、前記チ
ヤンバーに対する蓋体が突出するから、シリンダ
ブロツクに前記のようにブローバイガス通路を形
成することと相俟つて、シリンダブロツクの大型
を招来するのであつた。

本考案は、先行技術における前記の問題を解消
することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、シリンダブ
ロツクの上面にシリンダヘツドをガスケツトを介
して接合締結し、且つ、前記シリンダブロツク及
びシリンダヘツドに、シリンダヘツドの上面にお
ける動弁室とシリンダブロツクにおけるクランク
ケースとを連通するオイル落し通路を形成して成
る内燃機関において、前記シリンダブロツクとシ
リンダヘツドとの接合面には、一端が前記オイル
落し通路に連通し、且つ、気筒列の方向に延びる
チヤンバーを、シリンダブロツク及びシリンダヘ
ツドのうちいずれか一方又は両方を凹ませて形成
し、該チヤンバーの他端に、ブローバイガスの抽
出口を設ける構成にした。

〔考案の作用・効果〕

本考案は、前記のように、シリンダブロツクと
シリンダヘツドとの接合面に、内燃機関において
既存のオイル落し通路を介して動弁室及びクラン
クケースに連通するオイルセパレータ用のチヤン
バーを形成したことにより、内燃機関において既
存のオイル落し通路をそのまゝ前記チヤンバーへ
のブローバイガス通路として利用することがで
き、前記先行技術のように、シリンダブロツクの
内部に、チヤンバーへのブローバイガス通路を別
個に別個に形成する必要がないから、シリンダブ
ロツクにおける形状がより複雑化することが回避
できるのである。

また、前記オイルセパレータ用のチヤンバー
を、シリンダブロツクとシリンダヘツドとの接合
面に形成したことにより、当該チヤンバーには、
前記先行技術のような蓋体を必要としないから、
シリンダブロツク及びシリンダヘツドの側面から
突出しないと共に、部品点数を少なくできるので
ある。

従つて、本考案によると、前記先行技術のもの
に比べて、製造コストの低減を図ることができる
と共に、内燃機関の小型・軽量化を図ることがで
きる効果を有する。

しかも、本考案は、前記オイルセパレータ用の
チヤンバーを、気筒列の長手方向に延びるように
形成したことにより、当該オイルセパレータ用の
チヤンバーの長さを、内燃機関の大型化を招来す
ることなく長くすることができるから、そのオイ
ルミストの捕集分離率を向上できる効果をも有す
る。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面について説明する
と、図において符号１は、下部にクランクケース
（図示せず）を備えたシリンダブロツク、符号２
は、該シリンダブロツク１の上面にガスケツト３
を介して接合締結したシリンダヘツド、符号４
は、該シリンダヘツド２の上面を覆つて動弁室５
を形成するヘツドカバーを各々示し、前記動弁室
５内には、吸気弁及び排気弁に対するカム軸６及
び揺動アーム７，８、更には、吸気弁及び排気弁
に対するばね９，１０等からなる動弁機構１１が
設けられ、また、動弁室５は、シリンダブロツク
１及びシリンダヘツド２内に形成したオイル落し
通路１２，１３を介してシリンダブロツク１の下
部のクランクケースに連通している。

そして、前記シリンダヘツド２におけるシリン
ダブロツク１への接合面には、前記オイル落し通
路１２の近傍位置に、オイルセパレータ用のチヤ
ンバー１４を、気筒列の方向の延びるように凹み
形成し、該チヤンバー１４内を、シリンダヘツド
２に一体に造形した邪魔板１５，１６等にて入口
室１７から出口室１８までの間をジグザグ通路に
構成し、その一端における入口室１７を、ガスケ
ツト３に穿設した孔１９及びシリンダブロツク１
のオイル落し通路１３に対して枝通路２０を介し
て連通する一方、他端における出口室１８にブロ
ーバイガスの抽出口２１を設けて成るものであ
る。

前記ブローバイガスの抽出口２１を吸気用エア
クリーナ（図示せず）等のブローバイガス処理部
に接続すると、シリンダヘツド２の動弁室５にお
けるブローバイガスは、シリンダヘツド２におけ
るオイル落し通路１２、シリンダブロツク１にお
けるオイル落し通路１３、その枝通路２０、及び
ガスケツト３における孔１９を介して、チヤンバ
ー１４の入口室１７に入り、出口室１８に向つて
流れる間にオイルミストが除かれたのち、抽出口
２１からブローバイガス処理部に抽気されるので
あり、前記チヤンバー１４で捕集されたオイル
は、ガスケツト３に穿設した孔２２等より、オイ
ル落し通路１３を経てクランクケースに流下する
のである。

この場合、チヤンバー１４は、前記実施例のよ
うにシリンダヘツド２に凹み形成することに代え
て、シリンダブロツク１に凹み形成したり、或い
はシリンダブロツク１及びシリンダヘツド２の両
方にわたつて凹み形成したりしても良く、チヤン
バー１４内には、邪魔板１５，１６に変えて金網
等の他のオイル分離手段を設けても良いのであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は機関要
部の縦断正面図、第２図は第１図の平面図、第３
図は第１図の−視拡大断面図である。 １……シリンダブロツク、２……シリンダヘツ
ド、３……ガスケツト、４……ヘツドカバー、５
……動弁室、１２，１３……オイル落し通路、１
４……チヤンバー、１７……入口室、１８……出
口室、２１……ブローバイガス抽出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクの上面にシリンダヘツドをガ
   スケツトを介して接合締結し、且つ、前記シリン
   ダブロツク及びシリンダヘツドに、シリンダヘツ
   ドの上面における動弁室とシリンダブロツクにお
   けるクランクケースとを連通するオイル落し通路
   を形成して成る内燃機関において、前記シリンダ
   ブロツクとシリンダヘツドとの接合面には、一端
   が前記オイル落し通路に連通し、且つ、気筒列の
   方向に延びるチヤンバーを、シリンダブロツク及
   びシリンダヘツドのうちいずれか一方又は両方を
   凹ませて形成し、該チヤンバーの他端に、ブロー
   バイガスの抽出口を設けて成る内燃機関における
   ブローバイガスのオイルセパレータ。