JPH0247214Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はブローバイガスから潤滑油を分離して
吸気管へ送る、４弁式内燃機関のヘツドカバーの
構造に関するものである。

［従来の技術］ 公知のように、燃焼行程で燃焼室からピストン
リングとピストンとの間隙またはピストンリング
とシリンダ内周壁との間隙からクランク室へ吹き
抜けたブローバイガスは、クランク室の潤滑油ミ
ストと一緒にシリンダ壁部に設けた通路を経て、
シリンダヘツドに形成したカム室へ導かれ、カム
室で潤滑油を分離され、ブローバイガスだけが吸
気管へ戻される。

ところが、シリンダヘツドが吸気弁用カム軸を
覆うバンクと排気弁用カム軸を覆うバンクとに分
割されている４弁式内燃機関では、例えば実開昭
59−7244号公報に開示されるように、左右のバン
クの内部を互いに連通するものは、１対のカム軸
を互いに連動連結する歯車の収容部を覆う歯車カ
バー部だけである。歯車により潤滑油が飛散され
ている歯車カバー部では、ブローバイガスから潤
滑油を分離できない。そこで、各バンクでブロー
バイガスから潤滑油を分離するとなれば配管が複
雑になる。

実開昭59−157516号公報に開示される４弁式内
燃機関のブローバイガス処理装置では、ヘツドカ
バーのカム軸の上側を覆う左右１対のバンクの間
に、点火栓を装着する円筒壁と底板とにより動弁
機構室から隔離された油分離室を形成し、油分離
室の一端側にブローバイガス入口を、他端側にガ
ス出口を形成してある。上述のブローバイガス処
理装置では、ヘツドカバーが外側周壁と内筒壁と
で、シリンダヘツドの上端壁に重合せ結合される
だけであるから、ヘツドカバーの剛性が弱く、ヘ
ツドカバーの肉厚を厚くしないと、シリンダヘツ
ドとの剛固な結合強度が得られない。また油分離
室を区画するために、ヘツドカバーに底板を必要
とし、部品点数や組立工数が増加する。

実開昭60−75620号公報に開示される４弁式内
燃機関のブローバイガス処理装置でも、ヘツドカ
バーのカム軸を覆う左右１対のバンクの間の接続
部（カム軸駆動用チエーン室）において、ヘツド
カバーの周壁とこれに平行な隔壁と底板とにより
油分離室を形成し、動弁機構室から油分離室へブ
ローバイガスを導いて油を分離した後、導管から
吸気管へ送るものであり、底板を必要とするので
部品点数や組立工数の増加を来す。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案の目的は上述の問題に鑑み、ヘツドカバ
ーと一体に油分離室が形成され、ヘツドカバーの
内部でブローバイガスが油を分離されて吸気管へ
戻される、構成が簡単で剛性が高い、４弁式内燃
機関のヘツドカバーの構造を提供することにあ
る。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成はシ
リンダヘツドの吸気弁用カム軸と排気弁用カム軸
の動弁機構を各別に収容するカム室の上側を覆う
左右１対のバンクを、一端においてカム軸を互い
に連動連結する歯車の収容部を覆う歯車カバー部
により接続し、他端において前後１対の接続壁を
含む箱形の油分離室により接続し、油分離室の底
部をシリンダヘツドの上端壁により区画し、油分
離室の両側壁の下縁に各カム室と連なる通路を設
け、油分離室の上部から吸気管へブローバイガス
を送出する導管を接続したものである。

［作用］ 油分離室はヘツドカバーの左右のバンクを接続
する前後１対の接続壁の内側に形成され、シリン
ダヘツドの上端壁により閉鎖される。

クランク室へ吹き抜けたブローバイガスは、シ
リンダ壁部の通路を経て、シリンダヘツドとヘツ
ドカバーにより囲まれた各バンクへ入り、各バン
クから通路を経て油分離室へ吸引される。油分離
室で油が分離され、ブローバイガスだけが導管を
経て吸気管へ吸引される。

油分離室で分離された油は、シリンダヘツドの
カム室のギヤラリへ溜り、オイルパンへ戻され
る。

［考案の実施例］ 第２図に示すように、４弁式内燃機関はピスト
ン２を嵌合するシリンダ３の上端に、シリンダヘ
ツド５が結合され、シリンダヘツド５に吸気ポー
ト１４を開閉する吸気弁１６と、排気ボート４を
開閉する排気弁６が支持される。シリンダヘツド
５の上端壁に吸気弁１６と排気弁６を駆動するカ
ム軸１７，７が各別に支持される。カム軸１７，
７の上側はシリンダヘツド５の上端壁に結合した
ヘツドカバー２１により覆われる。公知のカム軸
１７，７により吸気弁１６と排気弁６をそれぞれ
駆動する動弁機構を収容するカム室２８（第４
図）が、シリンダヘツド５に形成される。

第３図にその中間部分を省略して示すように、
ヘツドカバー２１はカム軸１７の上側を覆うバン
ク２１ａと、カム軸７の上側を覆うバンク２１ｂ
とに分割して構成され、一端部でバンク２１ａ，
２１ｂの幅が拡張され、かつ前後１対の接続壁２
４により互いに接続される。前後１対の接続壁２
４の内部に歯車カバー部が形成され、シリンダヘ
ツド５のカム軸１７，７を連動連結する歯車９，
８の収容部が、歯車カバー部により覆われる。一
方のカム軸７がシリンダヘツド５とヘツドカバー
２１との他端部から外方へ突出され、公知のベル
トによりクランク軸と回転結合される。

第４図に示すように、シリンダヘツド５は他端
部でクランク軸と平行に延びる両側壁３５と端壁
３３とにより箱形に構成される。シリンダヘツド
５の中央にクランク軸と平行に延びる２条の中央
壁３９が設けられ、中央壁３９の間に燃料噴射ノ
ズル穴３７が設けられる。各シリンダごとにカム
室２８を区画する隔壁３８が、側壁３５と中央壁
３９との間に設けられる。カム室２８の内部に、
吸気弁１６のタペツトを案内支持する１対のタペ
ツト穴３６ａと、排気弁６のタペツトを案内支持
する１対のタペツト穴３６ｂとが備えられる。

シリンダヘツド５の端壁３３と隔壁３８にカム
軸１７を支持する断面半円形の軸穴１７ｂと、カ
ム軸７を支持する軸穴７ｂとが設けられ、各軸穴
１７ｂ，７ｂの上側に公知の軸受キヤツプを重ね
合せ、かつボルトをボルト穴３２へ締結してカム
軸が支持される。各側壁３５、中央壁３９、端壁
３３、隔壁３８は互いに連続する平坦な上端壁面
を形成する。シリンダヘツド５の上端壁面に重ね
合されるように、ヘツドカバー２１も第１図に示
すように各バンク２１ａ，２１ｂを区画する側壁
３５ａ、中央壁３９ａ、端壁３３ａの下端面が平
坦で互いに連続している。ヘツドカバー２１の端
壁３３ａにカム軸７の外端部を支持する半円形の
軸穴７ａが設けられる。

従来、１対のバンク２１ａ，２１ｂは、一端部
の接続壁２４に形成したカム軸１７，７を連動連
結する歯車９，８を覆う歯車カバー部だけで接続
され、他端部には接続壁もない。

第１図に示すように、本考案によれば、１対の
バンク２１ａ，２１ｂが他端部で前後１対の接続
壁２２により接続され、前後１対の接続壁２２の
内部に油分離室３０が形成される。油分離室３０
はヘツドカバー２１の端部で左右のバンク２１
ａ，２１ｂの中央壁３９ａの間に区画され、上側
はヘツドカバー２１の天壁で覆われ、下側は開放
されている。油分離室３０はヘツドカバー２１を
シリンダヘツド５の上側へ重ね合せた時、シリン
ダヘツド５の上端壁により底部を閉鎖される。各
バンク２１ａ，２１ｂの内部と油分離室３０を結
ぶ通路２６が、油分離室３０の両側壁すなわち中
央壁３９ａの下縁部を切り欠いで形成される。

第５図に示すように、油分離室３０を区画する
接続壁２２に穴２３ａが設けられ、穴２３ａに導
管２３の始端が接続され、終端が図示してない機
関の吸気管に接続される。

次に、本考案装置の作動について説明する。公
知のように燃焼室１９からシリンダ３とピストン
２との嵌合部の隙間を経てクランク室へ吹き抜け
たブローバイガスは、図示してないシリンダ３の
壁部とシリンダヘツド５とにそれぞれ設けた通路
を経て、シリンダ５とヘツドカバー２１とで密閉
されたバンク２１ａ，２１ｂへ入る。

ブローバイガスは各バンク２１ａ，２１ｂから
通路２６を経て油分離室３０へ流入する。ブロー
バイガスは油分離室３０で潤滑油を分離され、穴
２３ａから導管２３を経て吸気管へ吸引される。
一方、油分離室３０で分離された潤滑油は、通路
２６または底壁（シリンダヘツド５の上端壁）の
通路２５を経て、シリンダヘツド５のカム室２８
に形成したギヤラリに溜まり、ギヤラリからオイ
ルパンへ戻される。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、シリンダヘツドの吸気
弁用カム軸と排気弁用カム軸の動弁機構を各別に
収容するカム室の上側を覆う左右１対のバンク
を、一端においてカム軸を互いに連動連結する歯
車の収容部を覆う歯車カバー部により接続し、他
端において前後１対の接続壁を含む箱形の油分離
室により接続し、油分離室の底部をシリンダヘツ
ドの上端壁により区画し、油分離室の両側壁の下
縁に各カム室と連なる通路を設け、油分離室の上
部から吸気管へブローバイガスを送出する導管を
接続したものであるから、ヘツドカバーを高くし
ないでヘツドカバーの他端側接続壁に、必要十分
な容積の油分離室が確保され、油分離室でブロー
バイガスから分離された潤滑油は動弁機構へ戻さ
れ、ブローバイガスは導管を経て吸気管へ戻され
る。

本考案によると、１対のバンクが一端部で歯車
カバー部を形成する接続壁で連通され、他端部で
油分離室を形成する接続壁で連通されるので、ヘ
ツドカバーの剛性強度が高められ、機関の運転騒
音の低減に役立つ。

油分離室はヘツドカバーの内側に左右のバンク
を区画する周壁と接続壁とで区画され、底部はシ
リンダヘツドの上端壁で区画されるので、従来例
のように底板を結合するなどの必要がなく、部品
点数や組立工数が節減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る４弁式内燃機関のヘツド
カバーの底面図、第２図は同ヘツドカバーを備え
た４弁式内燃機関の正面断面図、第３図は同ヘツ
ドカバーの平面図、第４図はシリンダヘツドの平
面図、第５図は第３図の線−による側面断面
図である。 ５：シリンダヘツド、７，１７：カム軸、２
１：ヘツドカバー、２１ａ，２１ｂ：バンク、２
２，２４：接続壁、２３：導管、２６：通路、２
８：カム室、３０：油分離室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドの吸気弁用カム軸と排気弁用カ
   ム軸の動弁機構を各別に収容するカム室の上側を
   覆う左右１対のバンクを、一端においてカム軸を
   互いに連動連結する歯車の収容部を覆う歯車カバ
   ー部により接続し、他端において前後１対の接続
   壁を含む箱形の油分離室により接続し、油分離室
   の底部をシリンダヘツドの上端壁により区画し、
   油分離室の両側壁の下縁に各カム室と連なる通路
   を設け、油分離室の上部から吸気管へブローバイ
   ガスを送出する導管を接続したことを特徴とす
   る、４弁式内燃機関のヘツドカバーの構造。