JPS6237932Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンのブローバイガス処理装置に
関するものである。

一般に、エンジンのブローバイガス処理装置
は、ブローバイガス、即ち燃焼室からピストンと
シリンダとの隙間を通つてクランクケース内に侵
入した未燃ガスを含むガスを吸気通路に戻して再
度燃焼処理するための装置である。ところで上記
ブローバイガスにはクランクケース内を通過する
際に多量のオイルミストが混入しており、該ブロ
ーバイガスをそのまま燃焼するとエンジンオイル
量が減少してしまうという問題があり、この問題
を解決するため、従来、実開昭56−175507号公報
に記載されているように、オイルセパレータ室を
シリンダヘツドとヘツドカバーとで囲まれた空間
内に形成し、ブローバイガスからオイルを分離す
るようにしたものがあつた。

ところで、近年、エンジンの高出力化の要請に
伴なつて、シリンダヘツドとヘツドカバーとで囲
まれたヘツド空間にカムシヤフトを２本設け、該
両カムシヤフト間に点火プラグを配設したいわゆ
るツインカムエンジンが多く生産されており、こ
のようなエンジンにおいては、上記ヘツド空間が
狭くなつてオイルセパレータ室を設けるスペース
があまりなく、また無理に設けようとすれば今度
はヘツドカバーが大きくなつてエンジン全高が高
くなつてしまうという問題があつた。

本考案はかかる状況に鑑みてなされたもので、
ツインカムエンジンにおいて、 目的：エンジン全高を高くすることなく、し
かも、構造が簡単なエンジンのブローバイガス
処理装置を提供することを目的としている。

問題を簡決するための手段 上記目的を達成するために本考案は、シリン
ダヘツドとヘツドカバーとで囲まれた空間内に
平行配置された２本のカムシヤフトと、該両カ
ムシヤフト間の略中央に設けられ点火プラグを
内部に装着する複数のプラグホール壁とを備え
てなる多気筒エンジンにおいて、上記空間を
各々のカムシヤフト側と区画してブローバイガ
スからオイルを分離するオイルセパレータ室を
形成する２つの仕切壁を設け、該仕切壁の少な
くとも一方は上記プラグホール壁との間に隙間
を有することを特徴としている。

上記構成により、セパレータ室に導入された
ブローバイガスはプラグホール壁によりオイル
ミストが分離されながら該プラグホール壁と仕
切壁との間を通過することになるが、本考案は
上述したように従来のエンジンに既存の上記空
間に２つの仕切壁を設けてオイルセパレータ室
を形成しているので、別個にオイルセパレータ
室を設けることによりエンジン全高が高くなる
といつた問題がなく、また複数の既存のプラグ
ホール壁をオイルバツフルとして利用している
のでオイルバツフルを個別に設けるためのコス
トが削減できる。

このように本考案は、簡単な構造でエンジンの
ブローバイガス処理装置を構成できるものとなつ
ている。

以下本考案の実施例を図について説明する。

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示
し、図において１はシリンダヘツドであり、該シ
リンダヘツド１には吸気ポート１ａを開閉する吸
気弁２、排気ポート１ｂを開閉する排気弁３が摺
動自在に支持されており、また上記シリンダヘツ
ド１の上部のカムケース部１ｃにはタペツト摺動
孔１ｄが形成され、該摺動孔１ｄにはタペツト２
ｂ，３ｂが摺動自在に挿入されている。また該タ
ペツト２ｂ，３ｂ内面にはバルブステム２ａ，３
ａの上端面がリテーナ２ｃ，３ｃを介して当接し
ており、このバルブステム２ａ，３ａ及びタペツ
ト２ｂ，３ｂはスプリング２ｄ，３ｄによつて上
方に付勢されている。また上記シリンダヘツド１
のカムケース部１ｃ下方は連通室１ｅとなつてお
り、該カムケース部１ｃの上側縁部には上方に延
びる接合壁１ｆ，１ｇが形成されている。

そして上記シリンダヘツド１の上方にはヘツド
カバー４がガスケツト５を挟持して固着されてお
り、該ヘツドカバー４は横断面大略コ字状のもの
で、該ヘツドカバー４と上記シリンダヘツド１と
で囲まれたヘツド空間６の左右には、吸気用カム
シヤフト７、排気用カムシヤフト８が平行に配置
されており、該両カムシヤフト７，８はシリンダ
ヘツド１に形成された軸受部１ｈとベアリングキ
ヤツプ９とによつて回転自在に支持されており、
さらに上記カムシヤフト７，８はそのカム７ａ，
８ａで上記タペツト２ｂ，３ｂを押し下げて上記
吸・排気ポート１ａ，１ｂを開閉できるようにな
つている。

また上記シリンダヘツド１及びヘツドカバー４
の上記両カムシヤフト７，８間の略中央の４個所
には、円筒状の上、下プラグホール壁４ａ，１ｉ
が形成され、この上、下プラグホール壁４ａ，１
ｉはガスケツト５を介して連続したプラグホール
壁１０を形成しており、その底面には点火プラグ
１１が螺着され、該点火プラグ１１にはプラグホ
ール１０ａ内で点火コード１１ａが接続されてお
り、また上記プラグホール壁４ａの上端開口部に
はキヤツプ１１ｂが嵌合されている。

そして上記シリンダヘツド１及びヘツドカバー
４の上記カムシヤフト７，８の少し内方、即ち上
記プラグホール壁１０の少し外方には、該両シヤ
フト７，８の軸方向に延びる左、右の下仕切壁１
ｊ，１ｋ、左、右の上仕切壁４ｂ，４ｃがそれぞ
れに一体形成され、該左の上、下仕切壁４ｂ，１
ｊ及び右の上、下仕切壁４ｃ，１ｋはガスケツト
５を介して連続して各々吸気側仕切壁１２、排気
側仕切壁１３を形成しており、これにより上記ヘ
ツド空間６を吸、排気カムシヤフト７，８側と区
画しており、また該吸、排気側仕切壁１２，１３
及び上記シリンダヘツド１、ヘツドカバー４とで
囲まれた空間がオイルセパレータ室１４となつて
いる。また該オイルセパレータ室１４の第３図右
側部分のシリンダヘツド１には、ブローバイガス
流入口１４ａが穿設されており、該流入口１４ａ
は上記連通室１ｅを介してブローバイガス通路１
４ｂに連通しており、該ブローバイガス通路１４
ｂは図示しないクランクケースに連通している。
また上記オイルセパレータ室１４の左側部分のヘ
ツドカバー４にはブローバイガス流出口１４ｃが
形成され、これはブローバイガス導通管１５によ
り図示しない吸気通路に連通している。

次に作用について説明する。

本実施例装置では、ブローバイガスはオイルミ
ストを含んだ状態でクランクケースからブローバ
イガス通路１４ｂ、連通室１ｅの右端部を経てブ
ローバイガス流入口１４ａからオイルセパレータ
室１４内に導入される。そして該オイルセパレー
タ室１４内において上記ブローバイガスは両仕切
壁１２，１３とオイルバツフルとして作用するプ
ラグホール壁１０との間の通路１４ｄ、両仕切壁
１２，１３間の滞留室１４ｅを順次進み、この間
に該ブローバイガスはこれからオイルミストが分
離され、その後上記ブローバイガス流出口１４ｃ
から吸気通路に導入されエンジンで再度燃焼され
る。また上記分離されたオイルミストはブローバ
イガス流入口１４ａ及びブローバイガス通路１４
ｂを通つてクランクケース内に還流することとな
る。

また上記連通室１ｅ内の空気にもオイルミスト
が多量に含まれており、この空気も第２図に破線
の矢印で示すように、上記ブローバイガスと同様
に上記オイルセパレータ室１４に導入されここで
オイルミストが分離される。

このように本実施例装置では、２つの仕切壁１
２，１３によりヘツド空間６を各々のカムシヤフ
ト７，８側と区画してオイルセパレータ室１４を
形成し、プラグホール壁１０をオイルバツフルと
して利用したので、従来のようなオイルバツフル
を別個に設ける必要はなく、構造が簡単で、しか
もカムシヤフト廻りのレイアウトに影響を受け
ず、エンジン全高を高くすることなくオイルセパ
レータ室の容積を大きく確保できる。

なお、本考案のブローバイガス処理装置では、
上記実施例において、さらに第２図に二点鎖線で
示すように各滞留室１４ｅの中央に絞り壁１６を
設け分離機能を更に向上するようにしてもよい。

第４図は上記実施例の変形例を示し、本変形例
では上記プラグホール壁１０の同図左側又は右側
が吸気側又は排気側仕切壁１２，１３と交互に接
続されて上記通路１４ｄのうち左側又は右側が交
互に閉塞されている。

この変形例では、ブローバイガスは第４図に実
線の矢印で示すようにオイルセパレータ室１４内
を蛇行しながら進み、この間にオイルミストが分
離されることとなる。

以上のように本考案によれば、ツインカムエン
ジンにおいて、シリンダヘツドとヘツドカバーと
で囲まれた空間に、該空間を各々のカムシヤフト
側と区画する２つの仕切壁を設けてオイルセパレ
ータ室を形成したので、別個にオイルセパレータ
室を設けることによりエンジン全高が高くなると
いつた問題がなく、また複数の既存のプラグホー
ル壁をオイルバツフルとして利用しているのでオ
イルバツフルを個別に設けるためのコストが削減
でき、もつて簡単な構造でかつ安価なエンジンの
ブローバイガス処理装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例によるエンジンのブ
ローバイガス処理装置の断面側面図、第２図は第
１図の−線断面図、第３図は第１図の−
線断面図、第４図は上記実施例の変形例の断面平
面図である。 １……シリンダヘツド、４……ヘツドカバー、
６……空間、７，８……カムシヤフト、１０……
プラグホール壁、１２，１３……仕切壁、１４…
…オイルセパレータ室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドとヘツドカバーとで囲まれた空
   間内に平行配置された２本のカムシヤフトと、該
   両カムシヤフト間の略中央に設けられ点火プラグ
   を内部に装着する複数のプラグホール壁とを備え
   てなる多気筒エンジンにおいて、上記空間を各々
   のカムシヤフト側と区画してブローバイガスから
   オイルを分離するオイルセパレータ室を形成する
   ２つの仕切壁を設け、該仕切壁の少なくとも一方
   は上記プラグホール壁との間に隙間を有すること
   を特徴とするエンジンのブローバイガス処理装
   置。