JPS6316814Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はエンジンのブリーザ装置に関するもの
である。

（従来技術） 一般に、エンジンにおいて、ブローバイガスを
吸気系に返すことが行われており、その場合、ブ
ローバイガスにはオイル等が含有されていること
から、一旦ブリーザ室を通すことでオイル（オイ
ルミスト）等を減らしてから吸気系に戻すことが
行われている。

そこで、従来、例えば実公昭57−6728号公報に
示されるように、ヘツドカバーの上側にブリーザ
室を配設したものがある。

また、圧力バランスの点から、新気を導入する
通路を設けることも行われているが、高負荷高回
転時にはブローバイガス量が増えるため、前記新
気導入用通路からもブローバイガスが流出するこ
とになり、そのまま大気中に解放することが望ま
しくないので、前記新気導入用通路にもオイル分
離のための別のブリーザ室を設けてやる必要があ
る。

そのため、上記公報の技術のようにヘツドカバ
ーの上側にブリーザ室を設ける構造では、エンジ
ンの高さが高くなり搭載性が悪くなるとともに、
スペースの点で不利であつた。

（考案の目的） 本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、エ
ンジンの高さを高くすることなく、デツドスペー
スを有効に利用して、オイルセパレート機能を有
するブリーザ室を設けることができるエンジンの
ブリーザ装置を提供することを目的とするもので
ある。

（考案の構成） 本考案は、シリンダヘツド上面とヘツドカバー
とで囲まれた空間内の略中央に吸排気弁を直接駆
動する共通のカムシヤフトを突出配置してなる多
気筒エンジンのブリーザ装置の改良に関するもの
である。

本考案は、上記目的を達成するために、上記多
気筒エンジンにおいて、上記ヘツドカバーより上
記空間内にシリンダ軸方向においてカムシヤフト
と重合する位置まで突出する隔壁によつてカムシ
ヤフトの両側に沿つて独立した２つのブリーザ室
を形成し、該各ブリーザ室をエンジンの吸気通路
に接続してなることを特徴とし、上記カムシヤフ
トの両側のデツドスペースを有効に利用して２つ
のブリーザ室を配置したものである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を、図面に沿つて説明す
る。

第１図および第２図に示すロツカアームを備え
ていないダイレクト駆動タイプの多気筒エンジン
において、１はシリンダヘツドで、その上面とヘ
ツドカバー２とで囲まれた空間Ａ（カムシヤフト
室）内の略中央に、吸気弁３および排気弁（図示
せず）を直接駆動し開閉制御する吸排気弁共通の
カムシヤフト４が突出配置され、その下方に該カ
ムシヤフト４に沿つて吸排気弁の軸部が直線状に
配置されている。

上記カムシヤフト４の両側に沿つて、ヘツドカ
バー２より上記突間Ａ内へシリンダ軸方向におい
てカムシヤフトと重合する位置まで突出する隔壁
５，６が形成され、該隔壁５，６の下側に蓋板
７，８がシール材９，１０を介して取付けられ
て、相互に独立した２つのブリーザ室すなわち第
１および第２ブリーザ室１１，１２が形成され、
該両ブリーザ室１１，１２は一側において開口部
１１ａ，１２ａを通じて空間Ａに開口している。

前記第１ブリーザ室１１の接続口１１ｂは、逆
止弁１３が取付けられ、ブローバイガスが流出す
る連通路１４を介して吸気通路１５の絞り弁１６
下流に接続されている。なお、逆止弁１３は、第
１ブリーザ室１１から吸気通路１５への流れのみ
を許容するものである。一方、第２ブリーザ室１
２の接続口１２ｂは、新気が導入される別の連通
路１７を介してエアクリーナ１８に接続されてい
る。第２ブリーザ室１２は、第１ブリーザ室１１
よりも容積が大きく、しかも複数のバツフルプレ
ート１９が配設され、高負荷高回転時において第
２ブリーザ室１２を通じて大気中にブローバイガ
スが流出する場合に、オイルが十分に分離される
ようになつている。

また、２０はシリンダブロツク、２１はピスト
ン、２２はピストン２１上面と対向するシリンダ
ヘツド１内壁に部分的に設けられた凹部で、ピス
トン２１が上死点にあるときのシリンダヘツド１
の内壁面とピストン２１の上面との間に、上記凹
部２２よりなる燃焼室と、上記凹部２２に隣接し
た微小間隙のスキツシユゾーン（図示せず）とが
形成されるように構成されている。２３は点火プ
ラグ、２４は吸気ポートである。

上記のように構成すれば、ブローバイガス量が
少ない低負荷運転時には、ブローバイガスが、第
１ブリーザ室１１、逆止弁１３、連通路１４を介
して、吸気通路１５の絞り弁１６下流に戻され、
しかして吸入混合気とともに燃焼室（図示せず）
で燃焼される。この際、ブローバイガスの流出に
よりシリンダヘツド１上面とヘツドカバー２とで
囲まれた空間Ａ内の圧力が低下するので、新気が
エアクリーナ１８、連通路１７、第２ブリーザ室
１２を介して導入され、圧力バランスが図られ
る。

一方、高負荷運転時には、ブローバイガスの量
が増大して前記空間Ａ内の圧力が高まるので、第
１ブリーザ室１１側からのみならず第２ブリーザ
室１２側からもブローバイガスが流出することと
なる。この場合、第２ブリーザ室１２を介して流
出するブローバイガスは大気に解放されることと
なるが、第２ブリーザ室１２では容積が大きくか
つ多数のバツフルプレート１９を備えていること
から、効果的にオイルが分離されるので、エアク
リーナ１８のエレメント１８ａが濡れるという不
具合も生じないし、大気中にオイルが解放される
こともほとんどない。

なお、第２図において、F₁，F₂はそれぞれ低
負荷運転時におけるブローバイガス、新気の流
れ、F₃，F₄はそれぞれ高負荷運転時におけるブ
ローバイガスの流れを示す。

上記実施例では、逆止弁１３は単なる逆流防止
機能を有するだけであるが、吸気負圧が設定値以
下のときのみ吸気通路１５側への流れを許可する
ようにしてもよい。

（考案の効果） 本考案は上記のように構成したから、エンジン
の高さを高くすることなく、デツドスペースを有
効に利用してブリーザ室を設けることができ、そ
れによつてブローバイガスに対して必要なオイル
セパレータ効果を得ることができる。また、ブリ
ーザ室は形成する隔壁はシリンダ軸方向において
カムシヤフトと重合する位置まで突出されている
ために、該ブリーザ室の容積は大きく形成するこ
とができ、特に上記実施例における第２ブリーザ
室にあつてはそのブローバイガスおよび新気の如
何なる流量に対しても円滑に流通できるという効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を例示するもので、第
１図はエンジンのブリーザ装置の全体構成図、第
２図はヘツドカバーの底面図である。 １……シリンダヘツド、２……ヘツドカバー、
３……吸気弁、４……カムシヤフト、１１……第
１ブリーザ室、１２……第２ブリーザ室、１５…
…吸気通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツド上面とヘツドカバーとで囲まれ
   た空間内の略中央に吸排気弁を直接駆動する共通
   のカムシヤフトを突出配置してなる多気筒エンジ
   ンにおいて、上記ヘツドカバーより上記空間内に
   シリンダ軸方向においてカムシヤフトと重合する
   位置まで突出する隔壁によつてカムシヤフトの両
   側に沿つて独立した２つのブリーザ室を形成し、
   該各ブリーザ室をエンジンの吸気通路に接続して
   なることを特徴とするエンジンのブリーザ装置。