JPS603938Y2 - エンジンのブロ−バイガス処理装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンのブローバイガス処理装置の改良に関
する。

従来より、エンジンの熱焼室からピストンのピストンリ
ングの部分を通じて漏れるブローバイガスを、ｐｃｖ弁
を介して吸気通路に還流して混合気とともに燃焼させる
ブローバイガス処理装置は知られている。

この装置においては、還流の際に、ブローバイガスに混
合されているオイルミスト（クランクケース内で発生し
たもの）を除去するため、シリンダへラドカバー内にオ
イルセパレータ室を形成し、それによってオイルをクラ
ンクケースのオイルパンに回収するように構成していた
。

一方、動弁機構が配設されている部分、すなわち動弁室
（シリンダへラドカバー内の空間）にも、カムシャフト
のカム面に焼付き現象が起こるのを防止するためにオイ
ルが用いられているので、多量のオイルミストが発生し
ている。

ところが、上記オイルセパレータ室を有する従来の装置
では、該オイルセパレータ室と、動弁室とが遮断されて
いないため、該動弁室内に発生したオイルミストがオイ
ルセパレータ室へ流れ、その結果、該オイルセパレータ
室には多量のオイルミストが流入されることになるため
、分離されずに吸気通路に還流されるオイルミスト量が
増加してオイル量が減少するという欠点があった。

本考案はかかる点に鑑みなされたもので、シリンダヘッ
ドとへラドカバーとにより形成される空間を、動弁機構
を配設した動弁室と、クランクケースからのブローバイ
ガスからオイルを分離するオイルセパレータ室とに、前
記シリンダヘッドとへラドカバーとにまたがって形成さ
れた仕切壁にて分割することにより、上記従来の欠点を
解消することができるエンジンのブローバイガス処理装
置を提供することを目的とする。

以下、本考案の構成を、実施例について、図面に沿って
説明する。

１はエンジンのシリンダヘッド、２はへラドカバーで、
シリンダヘッド１の上側に合せ面３にて結合されている
。

４はへラドカバー２土壁内面から下方に延設された上部
仕切壁で、シリンダヘッド１の内壁上面から上方に延設
された下部仕切壁５とにより、後述の動弁機構が配設さ
れた動弁室６と、クランクケース（図示省略）からのブ
ローバイガスに混合しているオイルミストを分離するオ
イルセパレータ室７とに完全に分割する仕切壁を構成し
ている。

そのため、仕切壁によってシリンダヘッド１とへラドカ
バ−２とにより形成される空間を利用して大きい容量の
オイルセパレータ室７を形成することができ、オイルセ
パレータ室７の分離能力を向上できる。

８はブローバイガス通路で、上流端がクランクケースに
、下流端がオイルセパレータ室７にそれぞれ接続されて
いる。

オイルセパレータ室７は、ヘッドカバー２の土壁内面か
ら下方に合せ面３まで延設された上側部分９ａと、シリ
ンダヘッド１と一体的に形成されて該上側部分９ａと合
せ面３で当接する下側部分９ｂとにより構成される複数
の上部邪魔板９と、シリンダヘッド１の内壁上面から上
方に延設された複数の下部邪魔板１０とが交互に等間隔
に配設されている。

各下部邪魔板１０の上端縁１０ａは、合せ面３の部分ま
で延びている。

したがって、上部邪魔板９と下部邪魔板１０とは、上部
邪魔板９の下側部分９ｂの長さだけ重複している。

これにより、オイルセパレータ室７に導入されたブロー
バイガスは、第２図の矢符Ａに示す如く、蛇行すること
になる。

シリンダヘッド１の内壁１１において、下部邪魔板１０
にて区分される部分の略中夫にオイルリターン孔１２が
穿孔され、分離されたオイル（オイルミスト）を回収し
、オイルリターン通路１３を通じてクランクケースのオ
イルパンに戻すように構成されている。

なお、１４は吸気通路に通じるガス吐出口である。

１５はカムシャフトのカムで、タペット１６の動きを規
制している。

タペット１６の下面にはバルブステム１７の上端面が当
接し、バルブステム１７の上端部には割り環１８を介し
てばね座１９が設けられている。

該ばね座１９と、シリンダヘッド１に形成されたバルブ
ステム１７の軸受部２０との間にはコイルスプリング２
１が介装され、タペット１６をカム面に押付ける方向に
常時付勢している。

２２は調整シムで、タペット１６とカム１５とのクリア
ランスを調整する。

上記の構成によれば、ブローバイガス通路８を経て、ク
ランクケースのオイルミストを含んだブローバイガスが
、オイルセパレータ室７に導入されると、ブローバイガ
スが、オイルセパレータ室７内を蛇行する間に、オイル
ミストが完全に分離され、オイルリターン孔１２を通じ
てオイルリターン通路１３に回収され、クランクケース
のオイルパンに戻される。

一方、動弁室６に発生するオイルミストは、仕切壁（上
部仕切壁４、下部仕切壁５）により、ブローバイガスと
混合することはないので、オイルの損耗はほとんど起こ
らず、オイル量の変化も小さい。

本考案は、上記のように、動弁機構が配設される動弁室
と、クランクケースからのブローバイガスからオイルを
分離するオイルセパレータ室とを仕切壁にて分割したた
め、簡単な構成によりシリンダヘッドとへラドカバーと
により形成される空間を有効に利用することにより大き
い容量のオイルセパレータ室を形成することができて、
該オイルセパレータ室の分離能力を向上でき、さらに動
弁室からオイルセパレータ室へのオイルミストの混合が
防止され、オイル量の減少を防止することができるとい
う実用上優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を例示するもので、第１図はシ
リンダヘッドにシリンダカバーを結合した状態の縦断面
図、第２図は第１図の■−■線に沿う断面図である。 １・・・・・・シリンダヘッド、２・・・・・・ヘッド
カバー、３・・・・・・合せ面、４・・・・・・上部仕
切壁、５・・・・・・下部仕切壁、６・・・・・・動弁
室、７・・・・・・オイルセパレータ室、８・・・・・
・ブローバイガス通路、１２・・・・・・オイルリター
ン孔、１３・・・・・・オイルリターン通路、Ａ・・・
・・・ブローバイガスの流れる方向。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘッドとへラドカバーとにより形成される空間
   を、シリンダヘッドとへラドカバーとにまたがって形成
   された仕切壁にて、動弁機構を配設した動弁室と、クラ
   ンクケースからのブローバイガスからオイルを分離する
   オイルセパレータ室とに分割したことを特徴とするエン
   ジンのブローバイガス処理装置。