JPH0216009Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジンのオイルセパレータ装置、
特にオイルセパレータ室の構造に関するものであ
る。

（従来技術） 従来、燃焼室からクランクケース内に漏れるブ
ローバイガスをオイルセパレータ室に導入して該
室内を通過させることにより、クランクケース内
等でブローバイガスに混合されたオイルミストを
該ブローバイガスから除去して、クランクケース
内に回収するようになつている。

その場合に、オイルミストの回収性を高めるた
めに、例えば実開昭59−518号公報に示されてい
るように、平面の蛇行状通路式の第１オイルセパ
レータと落差式の第２オイルセパレータとを組合
せたものがある。

しかしながら上記従来技術のオイルセパレータ
は、オイルミストの回収性を高めることはできる
ものの、オイルセパレータを複数設ける複雑な構
造であり、さらにヘツドカバーの上方に落差式の
第２オイルセパレータが位置するため、エンジン
の全高が高くなるという問題も生じる。

（考案の目的） 本考案は、上記従来の問題点に着目し、平面の
蛇行状通路式のオイルセパレータのみでオイルス
トの回収能力を向上させると共に、新気導入時に
おけるオイルのクランクケースの早期還元を図れ
るコンパクトなオイルセパレータ装置を提供する
ことを目的とする。

（考案の構成） 本考案の特徴とするところは、ヘツドカバーの
天井壁に設けられた周壁と、該周壁の内方を閉鎖
するように取付けられた底板とにより構成される
オイルセパレータ室がヘツドカバー内上部に形成
されたエンジンにおいて、上記オイルセパレータ
室の内部が上記天井壁と底板との間にわたつて延
びる仕切壁によりシリンダヘツド内からブローバ
イガスを取入れる取入口を備えた第１室と、該第
１室よりブローバイガスの流れの下流の第２室と
に仕切られ、上記仕切壁には上記第１室と第２室
とを連通する連通路が設けられており、該連通路
は仕切壁の下端から上方に向かつて延び上記第２
室に連通する第１通路と、仕切壁の第１室側の側
面から壁内上方に向けてあけられ上記第１通路に
連通する第２通路とを有し、上記第１通路の第２
室側出口側開口は、上記仕切壁と上記第１室の底
板との当接面と略同一高さに位置され、かつ、該
出口側開口は上記第２連通路の第１室入口側開口
より低い位置に開口されると共に、上記連通路の
出口側開口に対向して下方に凹状にくぼみ、かつ
該ブローバイガスの流れの下流で徐々にそのくぼ
みの深さが浅くなるオイル溜り部の上記底板に設
けられたことである。

（考案の効果） 本考案は、蛇行状通路室（第２室）底板に形成
される凹部上方の仕切壁出口側開口の位置をブロ
ーバイガス取入室（第１室）の底板と略同一の高
さに位置させると共に、該仕切壁内の連通路の入
口側開口にかけて一旦上昇した後、下降するよう
構成するものであつて、第２室の凹部に蓄積され
た凝縮オイルを新気導入時、新気の持つ圧力によ
つて連通路出口側開口から入口側開口を経て第１
室へ押し出すと共にブローバイガスが吸気系に導
入される時、ブローバイガス取入口付近の凝縮オ
イルの第２室への移動を第２連通路を下流に行く
につれて上昇させることで最大限に防止し、第１
室側の第２連通路に付着したオイルを第１室に戻
し、新気導入時、クランクケースへのオイル還元
能力の向上を図れる。

上記のように本考案は簡単な構造で、エンジン
の全高を高くすることなくオイルミストの回収性
を高めることができる利点を有する。

（実施例） 以下、本考案の実施例を第１図ないし第３図に
基づいて説明する。

第１図ないし第３図において、エンジンのシリ
ンダヘツド（図示せず）の上端面にヘツドカバー
１が装着され、該ヘツドカバー１の内部上方にオ
イルセパレータ室２が設けられている。

このオイルセパレータ室２は、ヘツドカバー１
の天井壁２ａと、該天井壁２ａから一体的に下方
に垂設された周壁２ｂと、該周壁２ｂの下端にネ
ジ３…３を用いて取付けられた底板４とによつて
閉鎖状に構成され、更に上記ヘツドカバー天井壁
２ａから垂設された仕切壁２ｃによつて第１室で
あるブローバイガス取入室５と第２室である蛇行
状通路室６とに仕切られている。

上記ブローバイガス取入室（第１室）５の底板
４にはブローバイガス取入口７が明けられてい
る。

上記蛇行状通路室（第２室）６内には、周壁２
ｂから突設された突出壁２ｄ，２ｄにより蛇行状
の経路が形成されている。さらに、蛇行状の経
路の終端部にはブローバイガスを外部に排出す
るブローバイガス取出用パイプ８が設けられてい
る。

そして、オイルセパレータ室２内を仕切る仕切
壁２ｃには、ブローバイガス取入室（第１室）５
と蛇行状通路室（第２室）６とを連通する連通路
９が形成されている。

この連通路９は、仕切壁２ｃの蛇行状通路室
（第２室）６側の下端から上方に向けて開けられ
た逆凹状穴から成る第１連通路９ａと、仕切壁２
ｃのブローバイガス取入室（第１室）５側の側壁
２ｅの略中央から壁内上方へ向けて開けられ、か
つ第１連通路９ａに連通する第２連通路９ｂとに
よつて構成されている。

この連通路９のブローバイガス出口側開口９ｃ
に対応する底板４の部分には、凹状のオイル溜り
部４ａが形成されている。

なお、９ｄはブローバイガス入口側開口であ
る。

さらに、実線で示す経路はブローバイガスが
吸気系に導入される時のブローバイガスの流れを
示し、破線で示す経路はオイルセパレータ室な
いしヘツドカバー内が換気される時の新気の流れ
を示すものである。

次に本考案の作用を説明する。ブローバイガス
導入時、ブローバイガス取入口７から導入された
ブローバイガスに含まれるオイルミストのうち粒
子の大きなものは、ブローバイガス取入口７付近
の底板４又は、仕切壁２ｃに付着してブローバイ
ガス取入室（第１室）５に滞溜し、仕切壁２ｃよ
り下流には流れることがない。

さらに、ブローバイガスが第２連通路９ｂを通
過する際、通路が上昇しているので質量のあるオ
イルミストは通路壁面に付着し易く、凝縮したオ
イルはブローバイガス取入室（第１室）５に戻さ
れる。

また、蛇行状通路室（第２室）６に進入したオ
イルミストは突出壁２ｄによつてブローバイガス
から分離され底板４を伝つてオイル溜り部４ａに
溜められる。新気導入時、オイル溜り部４ａに溜
つたオイルのうち出口側開口９ｃであるところの
仕切壁２ｃ第２室６側下端より上方に位置するも
のは新気の圧力が掛かり連通路９中を通つてブロ
ーバイガス取入室（第１室）５に吐出される。こ
れによつてオイルのクランク室への早期還元が図
れ、オイル減少量を少なくすることができる。

本考案の連通路９は上記実施例のものに限定さ
れず、ブローバイガスの入口側が高く、出口側が
低いというものであれば種々の変形例が考えられ
ることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はヘツド
ガバーの一部破断正面図、第２図は第１図のヘツ
ドカバーの一部破断下面図、第３図は本考案の要
部を示す拡大断面図である。 １……ヘツドカバー、２……オイルセパレータ
室、２ｃ……仕切壁、４……底板、４ａ……オイ
ル溜り部、５……ブローバイガス取入室（第１
室）、６……蛇行状通路室（第２室）、９……連通
路、９ａ……第１連通路、９ｂ……第２連通路、
９ｃ……ブローバイガス出口側開口、９ｄ……ブ
ローバイガス入口側開口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ヘツドカバーの天井壁に設けられた周壁と、該
   周壁の内方を閉鎖するように取付けられた底板と
   により構成されるオイルセパレータ室がヘツドカ
   バー内上部に形成されたエンジンにおいて、上記
   オイルセパレータ室の内部が上記天井壁と底板と
   の間にわたつて延びる仕切壁によりシリンダヘツ
   ド内からブローバイガスを取入れる取入口を備え
   た第１室と、該第１室よりブローバイガスの流れ
   の下流の第２室とに仕切られ、上記仕切壁には上
   記第１室と第２室とを連通する連通路が設けられ
   ており、該連通路は仕切壁の下端から上方に向か
   つて延び上記第２室に連通する第１通路と、仕切
   壁の第１室側の側面から壁内上方に向けてあけら
   れ上記第１通路に連通する第２通路とを有し、上
   記第１通路の第２室側出口側開口は、上記仕切壁
   と上記第１室の底板との当接面と略同一高さに位
   置され、かつ、該出口側開口は上記第２連通路の
   第１室側入口側開口より低い位置に開口されると
   共に、上記連通路の出口側開口に対向して下方に
   凹状にくぼみ、かつ該ブローバイガスの流れの下
   流で徐々にそのくぼみの深さが浅くなるオイル溜
   り部が上記底板に設けられたことを特徴とするエ
   ンジンのオイルセパレータ装置。