JPS6212821Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ロツカーカバー内に設けられブロー
バイガス中のオイルを分離するオイルセパレータ
に関する。

〈従来の技術〉 ピストンリングのすきまなどから漏れるブロー
バイガスは、一般に、ロツカーカバー上部からエ
アクリーナへ流入するようになつており、その際
ブローバイガス中に含まれるオイルをブローバイ
ガスから分離するためオイルセパレータと呼ばれ
るオイル分離器が設けられている。

このようなオイルセパレータの例としては実開
昭51−101441号公報に開示されたオイル分離装置
や実開昭56−163614号公報に開示された内燃機関
のブリーザ装置などがある。上記オイル分離装置
は、ブローバイガスの入口を一端に有しその他端
をエアクリーナに連通させたセパレータをシリン
ダヘツドカバーの内側に設け、このセパレータ内
にじやま板としてのセパレータを取り付けるとと
もにこのセパレータ等により分離凝縮された油を
シリンダヘツド側に還流させるパイプを接続させ
ている。そしてその特徴とするところはパイプの
先端を油層の中に侵入させている点である。

一方実開昭56−163614号公報に記載された内燃
機関のブリーザ装置は、ロツカー室とエアクリー
ナとの間を区画するブリーザーバルブのロツカー
室側にブリーザー主室を設け、クランク室とこの
ブリーザー主室とを逆止弁を介して連通させてな
る構造、又は上記ブリーザーバルブのエアクリー
ナ側に設けられたブリーザー副室とクランク室と
を連絡路で連結した構造のものである。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところがこのようなオイルセパレータ構造で
は、両引例にあるような単気筒エンジンなどには
充分その効果が得られても、エンジンが多気筒
（２気筒以上）となり、更に気筒の一部を休止さ
せる休筒エンジンなどではミスト状になるオイル
の量が多くなり、ブローバイガスからのオイル分
離能力が低いこれらセパレータではオイルがエア
クリーナに多量に吸い込まれてしまうという問題
があつた。

具体的には前記オイル分離装置では入口側から
出口側まで全体が直線状に形成されているためオ
イルの分離凝縮効果が小さく、更に通路の底面と
セパレータとの角部にオイルがたまりやすく、し
かも底面に傾斜がないことからオイルがパイプよ
り排出されにくく、ブローバイガスの吹き上げと
ともにエアクリーナに吸い込まれてしまうという
問題を有し、又、内燃機関のブリーザ装置では、
ボールを用いた逆止弁でそのボールをバネで押圧
して通路を塞ぐようにしていることから、オイル
のクランクケース内への流入はエンジンの回転に
よつて生ずるクランクケース内の負圧によつてお
り、そのため多気筒エンジンでは圧力変動が小刻
みとなり充分な流入が行なえないという問題があ
り、更には逆止弁等も設けずクランクケースをエ
アクリーナ側に連通させることはミスト状のオイ
ルの多いエンジンにおいては殆ど適用不可能であ
る。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案はかかる従来の問題点を解消し、ブロー
バイガス中に多量のオイルが含まれても分離でき
るとともに分離されたドレンオイルが排気側に送
り出されることのないオイルセパレータの提供を
目的とし、以下の如くオイルセパレータを構成し
たのである。それは、エンジンのシリンダヘツド
上に設けられたシリンダヘツドカバーと、同シリ
ンダヘツドカバーの裏面と前記シリンダヘツドカ
バーに設けられた第１仕切り板とにより形成され
た上部室と、前記第１仕切り板と水平面に対して
傾斜されて前記シリンダヘツドカバーに設けられ
た第２仕切り板とにより形成された中部室と、前
記第２仕切り板の下面に箱形に形成された下部室
と、前記シリンダヘツドカバーに設けられ前記上
部室とエンジンの吸気系を連通させる排出口と、
前記第１仕切り板に穿設され前記上部室と前記中
部室とを連通させる開孔と、前記中部室の一端で
前記第２仕切り板の下方側に開口されエンジンの
クランク室のブローバイガスが流入する流入口
と、前記中部室の前記流入口と前記開孔の間にブ
ローバイガス通路を屈曲させるよう設けられた湾
曲してなるバツフルプレートと、前記第２仕切り
板に前記開孔と対向するよう一端を開口し他端を
前記下部室の側面に開口したパイプと、前記下部
室の底面より垂下し設けられた管と、同管の下端
に装着され筒状に形成された本体部と同本体部よ
り偏平に延び先端にスリツト状の排油口が形成さ
れた排出部とからなるワンウエイバルブとを備え
て構成したのである。

〈実施例〉 第１図に本考案の一実施例を示す。第１図はシ
リンダヘツドカバ１１の内部を示すもので、下部
の２３はシリンダヘツドである。このシリンダヘ
ツドカバ１１は、上部にエアクリーナへの排出口
１０を具え、その下部側には仕切板１６と仕切板
２０を有し、内部に上部室１２と中部室１３を形
成し、更に中部室１３の下側には下部室１４を有
している。前記上部室１２は排出口１０と連通
し、中部室１３と上部室１２とは仕切板１６に設
けられた孔１７により連通している。そして中部
室１３は第３図（上部からの断面を示す）に示す
ように一方（図中右方）にブローバイガスの流入
口１８を有し、この流入口１８からバツフルプレ
ート１９により通路をう回させて形成しその通路
の奥に前記孔１７を図示しないがその上方に開口
させている。上記バツフルプレート１９は前記通
路を蛇行させるように湾曲しており、その上下端
部はそれぞれ仕切り板１６及び２０に接合されて
いる。そして仕切板２０は図において左方から右
方に向けて下降しており、通路奥には前記下部室
１４に通ずる連通孔２１が設けられている。下部
室１４は、ちようど前記中部室１３の下方に設け
てあり、前記連通孔２１を通してパイプ２２で中
部室２２に連結され、側面にこのパイプ２２を開
口させるとともに底面に連通管２５を設け、この
連通管２５の先端にワンウエイバルブ２６を取り
付けている。このワンウエイバルブ２６は、耐油
性のあるゴム等のチユーブ状の弾性材料を第２図
に示すようにその先端において両側より押圧した
如く開口を下方に向けて偏平に成形したものであ
る。

次に上記オイルセパレータの作用について述べ
る。ミスト状のオイルを含んでブローバイガスが
エンジンよりこのシリンダヘツドカバ１１に達す
ると、流入口１８より流入しバツフルプレート１
９に沿つて中部室１３内を流れるうちにオイルが
側壁に衝突などして凝縮分離し、更に上部室１２
に移る際に孔１７で絞り作用を受けてブローバイ
ガス中よりオイルが完全に分離される。一方中部
室１３内で分離されたオイルは連通孔２１からパ
イプ２２を通つて下部室１４に入り連通管２５，
ワンウエイバルブ２６を通過してシリンダヘツド
２３上に戻される。その際ワンウエイバルブ２６
では、オイルが溜まつてきたならその自重で自然
に開口しオイルを落下させ、又落下したなら閉じ
られるのでシリンダヘツド２３からブローバイガ
スの吹き上げがあつても下部室１４側に侵入する
ことはない。更にワンウエイバルブ２６は、通常
のブローバイガスの通路である中部室１３よりパ
イプ２２で連結された、いわば区画された下部室
１４内に設けられていることからブローバイガス
の通常の流通からは何ら影響を受けず、このワン
ウエイバルブ２６に溜められたオイルがブローバ
イガス中に再び混入されエアクリーナに流入する
ことはない。

以上述べたように本実施例によれば、上部室１
２，中部室１３に分けこの中部室１３内に湾曲し
たバツフルプレート１９を設けてブローバイガス
の流路を複雑且つ長くしたのでオイルの分離能力
を高くすることができる。しかも中部室１３を形
成する仕切板２０を傾斜させたことから分離した
オイルが通路内に滞留することがなく、又弾性体
によりオイルのワンウエイバルブ２６を形成した
ことからオイルが順次シリンダヘツドに落下さ
れ、ワンウエイバルブ２６の手前にオイルが溜ま
りそれがブローバイガスの吹き上げとともにエア
クリーナに流入されるようなことがなく、且つこ
のワンウエイバルブ２６を中部室１３より区画形
成された下部室１４に設けたことから通常のブロ
ーバイガスの流通では全く影響を受けることがな
い。

〈考案の効果〉 以上述べたように本考案によれば、通路を屈
曲させしかも底面に傾斜を設けたことからオイル
を効率よく分離し特にオイルミスト量の多い休筒
エンジンであつても充分対応ができ且つそれを通
路内に滞留させることなく排出部に流すことがで
きる。排出部を弾性体により形成したことから
オイルが流れ着きしだいその自重で落下しシリン
ダヘツド側に戻されるので排出部付近にオイルの
たまりがなく、エアークリーナに吹き上げられる
ことがない。上記排出部が通常のブローバイガ
スの通路である中部室から区画された下部室に設
けられていることから通常のブローバイガスの流
通においてオイルが混入されることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるオイルセパレータの一
実施例を示す断面図、第２図は第１図に示された
ワンウエイバルブを示す断面図、第３図は第１図
の立面断面図である。 図面中、１０は排出口、１１はシリンダヘツド
カバ、１２は上部室、１３は中部室、１４は下部
室、１６，２０は仕切板、１８は流入口、２６は
ワンウエイバルブである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンのシリンダヘツド上に設けられたシリ
   ンダヘツドカバーと、同シリンダヘツドカバーの
   裏面と前記シリンダヘツドカバーに設けられた第
   １仕切り板とにより形成された上部室と、前記第
   １仕切り板と水平面に対して傾斜されて前記シリ
   ンダヘツドカバーに設けられた第２仕切り板とに
   より形成された中部室と、前記第２仕切り板の下
   面に箱形に形成された下部室と、前記シリンダヘ
   ツドカバーに設けられ前記上部室とエンジンの吸
   気系を連通させる排出口と、前記第１仕切り板に
   穿設され前記上部室と前記中部室とを連通させる
   開孔と、前記中部室の一端で前記第２仕切り板の
   下方側に開口されエンジンのクランク室のブロー
   バイガスが流入する流入口と、前記中部室の前記
   流入口と前記開孔の間にブローバイガス通路を屈
   曲させるよう設けられた湾曲してなるバツフルプ
   レートと、前記第２仕切り板に前記開孔と対向す
   るよう一端を開口し多端を前記下部室の側面に開
   口したパイプと、前記下部室の底面より垂下し設
   けられた管と、同管の下端に装着され筒状に形成
   された本体部と同本体部より偏平に延び先端にス
   リツト状の排油口が形成された排出部とからなる
   ワンウエイバルブとを備えたことを特徴とするオ
   イルセパレータ。