JPS6333927B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、カム機構を用いて平面板金帯材を
幅方向に加圧して縁押し加工をするエツジベンド
工法及びその装置に関する。

従来、自動車車体等の屈曲したフレームなどを
作成するには、第１図に示すように大型のトリム
ダイを用いて、広幅の平面板金材Ａから屈曲した
所定形状に加工品Ｋをトリム加工した後、フオー
ムダイを用いてフオーム加工をし製品Ｆとしてい
たが、加工品Ｋを切除した前記板金材Ａの残部分
は、スクラツプＳになるという無駄のあることか
ら、縁押し型として第２図に示すようなものが考
えられた。

この縁押し型は、一体に結合された前後一対の
ホルダーａ，ｂの接触部に上面から平面板金帯材
のワークＷの厚さに応じて指定された横幅の縦溝
ｍを、内部を更に深く刻設し、該溝ｍに挿入され
たワークＷに対し、上方から曲げポンチＰを当接
させて押し下げ、縁押し成形するものである。

しかしながら、このような従来の縁押し型にあ
つては、ワークを縦溝に上部から押し込む型構造
となつていたため、曲げ工程の始めにおいて早く
もシワが発生する強い傾向があり、ワークは所々
で強固にホルダーの縦溝内側面に当たるため、曲
げポンチが完全に入つて行かなくなるばかりか、
ワークに絞り傷が発生し、また、板厚の増大によ
り前記側面に固着して取り外しにくくなるという
不具合があり、素材によつては最初から所定の形
状に切り出す元の方法を用いざるを得ぬという問
題点がある。

この発明は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、プレス機のラムの下降動作に
よりカム機構を介してワークを横置姿勢で横幅方
向に加圧し、縁押し加工することにより、これら
の問題点を解決することを目的としている。

以下、この発明に使用する装置の一実施例を第
３図以下に基づいて説明する。

まず、主要構成を述べると、このエツジベンド
装置は、プレス機のボルスタＢに載設する下型
１、及びラムＲに装備する上型２、並びに前記下
型１に昇降可能に保持され、該上型２の下降に伴
なつてワークＷの縁押し加工を行うエツジベンド
機構３とからなつている。

次に主要構成部のそれぞれについて詳述する
と、下型１は、ほぼ長方形の平面形状をなしてお
り、表面にワークＷに適応した長さのエツジベン
ド機構３を収納するほぼ長方形の収容穴４ａを刻
設したために、横断面及び縦断面ともＵ字型をな
すホルダー４と、前記収容穴４ａを形成する前部
側壁４ｂ（第３図において上方）および後部側壁
４ｃ（第３図において下方）のそれぞれの内面全
長に亘り固着された縦型ウエアプレート５ａ，５
ｂと前記ホルダー４の底部４ｄ表面、すなわち、
収容穴４ａの底面４ｅにおける縁押し加工部位
６，６′内の所要箇所に縦型ウエアプレート５ｂ
に接してそれぞれ立設されたドライブカム７，
７′とから構成されている。

エツジベンド機構３については、収容穴４ａの
底面４ｅの該ドライブカム７，７′が立設された
部分を除いたほぼ全体を覆う大きさの長方形の平
面形状をした基盤８が、下面に横型ウエアプレー
ト９を固着し、かつ、該プレート９及び前記ホル
ダー４の底部４ｄを貫通してボルスタＢの所要箇
所に設けられた付勢手段、本例では複数個のクツ
シヨンピン１０によつて支承され、常に上方へ付
勢されている。また、基盤表面８ａには、縁押し
加工部位６，６′においてスライドカム１１，１
１′を収容し横幅方向（第３図で上下方向）に摺
動を許す長方形の凹部１２，１２′が刻設されて
いるが、該凹部１２，１２′のドライブカム７，
７′側（以下「後方」という）は開放されており、
該カム７，７′の反対側（以下「前方」という）
には制止壁１２ａ，１２′ａが立設された形とな
つている。そして基盤８の後方の側面には制止板
１３，１３′が基盤表面８ａから上方へ突出して
固着されている。

なお、縁押し加工部位６と６′の構成はほぼ同
様であるので、以下、縁押し加工部位６について
のみ説明し、縁曲げ加工部位６′の説明は省略す
る。

スライドカム１１は、長さが前記凹部１２の長
手方向の長さにほぼ等しい長方形の平板で、該凹
部１２内を横幅方向へ摺動可能となつており、か
つ、その表面１１ａは基盤表面８ａと同一平面で
ある。また、ワークＷの厚さｔと同じ高さに後方
の側面から盛り上り、かつ、長手方向の両端部に
表面１１ａを残して所要位置に所定の縁押し加工
型ｐを形成しており、さらに前方側面の所要箇所
に複数個のばね穴１１ｂが穿設されていて圧縮コ
イルばね１４が挿入され、制上壁１２ａを基点に
してスライドカム１１は常に制止板１３，１３へ
圧着付勢されている。なお、スライドカム１１の
後方側面は、ドライブカム７の斜面７ａに当接し
て摺動する斜面１１ｃが形成してある。

１５は、スライドカム１１の外端部の表面１１
ａに当接してその浮上りを阻止する押え板、１６
は、後方の側面に所定の縁押し加工受型ｑを形成
した受け台、１７は、スライドカム１１の内端部
の表面１１ａに当接してその浮上りを阻止する基
準板で、凹部１２を取り囲んで押え板１５は基盤
８の外端部に、受け台１６は制止壁１２ａの位置
に、基準板１７は中央部の後方側にそれぞれ基盤
表面８ａに載設されているが、それらの表面が同
一平面となるように同じ厚さＴの平板である。ま
た、受け台１６と基準板１７の内端部の内側面
は、ワークＷの幅ｗとほぼ同じ間隔をなして対面
し、ワークＷ設定時の固定溝１８を形成してい
る。

次に、上型２は、ラムＲ下面に取り付けられる
圧下板１９と、さらに該圧下板１９の下面所要位
置に固着される平坦な下面を有する補助板２０と
からなり、それらの平面形状は第６図に示すよう
に、圧下板１９は、基盤８とほぼ同大同形である
が、スライドカム１１，１１′に干渉しない程度
に縁押し加工部位６，６′における切欠き部１９
ａ，１９′ａの切欠き幅は大きくしてあり、また、
縦型ウエアプレート５ａ，５ｂに干渉しないよう
に横幅もやや小さめに形成してある。補助板２０
は、加工前と加工後のワークＷを重ね合わした形
状、すなわち、加工前のワークＷの前方側面両端
部に縁押し加工型ｐ、p′とほぼ同様の形状をした
所要幅の平板を付設したようにしてあり、かつ、
その厚さT₁は受け台１６、基準板１７などの厚
さＴよりもｔ＋αｍ／ｍ分だけ薄くしてある。例
えばαは0.3〜0.5ｍ／ｍである。

次に、作用を述べる。

前段の工程において所定寸法に切断されたワー
クＷを固定溝１８，１８′に嵌入し、かつ、両端
部をスライドカム１１，１１′上に載置し所定位
置に設定した後、ラムＲを下降させると、まず、
圧下板１９が押え板１５，１５′及び受け台１６，
１６′並びに基準板１７，１７′に当接するが、こ
のとき補助板２０の下面はワークＷの表面との間
に隙間αをもつて対することとなるので、スライ
ドカム１１，１１′の横方向の摺動は容易である。

さらに、ラムＲを下降させると基盤８は、クツ
シヨンピン１０の揚力に対し縦型ウエアプレート
５ａ，５ｂに案内されて下降し、これに伴なつて
スライドカム１１，１１′は斜面１１ｃ，１１′ｃ
をドライブカム７，７′の斜面７ａ，７′ａに押さ
れて滑り、圧縮コイルばね１４を圧縮しつつ前方
へ移動し、縁押し加工型ｐ，p′はワークＷの外端
部を前方へ押し進めるが、ワークＷは中央部を固
定溝１８，１８′に保持され、かつ、補助板２０
により上方を制せられているため、該加工型ｐ，
p′に沿つて横幅方向に湾曲し、両端部前方の側面
が縁押し加工受型ｑ，q′に当接したところで所定
の縁押し型に形成されて加工は終了する。

そこでラムＲを上昇させると、クツシヨンピン
１０の揚力により基盤８も上昇し、これに伴なつ
てスライドカム１１，１１′は圧縮コイルばね１
４の反撥力を受けてドライブカム７，７′の斜面
７ａ，７′ａに沿つて後方へ移動するが、加工済
みのワークＷは固定溝１８，１８′に保持されて
いるのでその位置に残り、基盤８が最初の高さ、
すなわち、クツシヨンピン１０の上昇限に達した
ところで上昇を停止し、また、スライドカム１
１，１１′も制止板１３，１３′に当接して元の状
態に復帰する。さらにラムＲが上昇して上型２が
エツジベンド機構３から上限位置に戻るので、ワ
ークＷを上方へ取り出し、次段の工程のトリムピ
アス加工へ移して次のワークＷの搬入に備える。

なお、加工済みのワークＷを取り出し易くする
ためスライドカム１１，１１′の適当な箇所にば
ねあるいはシリンダ等によるワーク押上げ機構を
設けてもよい。

以上説明してきたように、この発明は、下型の
ホルダー内において、ドライブカムと昇降可能な
基盤に装備した縁押し加工型付きスライドカムと
を組み合わし、上型の圧下によつて板金帯材を横
幅方向に加圧して縁曲げ加工するエツジベンド工
法及びその装置を提供するため、長尺の加工品を
横手方向の移動によつてエツジベンド装置への設
定及び取出しが可能となり、この操作中に発生し
易い傷もできることがなく生産性が向上するばか
りか、加工品のカツト、エツジベンド、トリムピ
アスの一連の工程を連設自動化することもできる
という効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、広幅の平面板から所要形状のブラン
ク材を切り取り、フオーム加工を施して製品を作
成する従来の方法を示した説明図、第２図は、従
来の縁押し型の概要を示す斜視図、第３図は、こ
の発明に使用するエツジベンド機構及び下型の平
面図で、ワーク設定時のワークの高さにおける横
断面図、第４図は、同じく、加工終了時のワーク
の高さにおける横断面図、第５図は、第４図のＶ
−Ｖ線断面図、第６図は上型の圧下板及び補助板
の平面図、第７，８，９図は、エツジベンド装置
の作用を示す説明図で、第７図は、上型が上限位
置にありワーク挿入時の状態を示す第３図の−
線断面図、第８図は、上型がエツジベンド機構
に当接し圧下を開始する時の状態を示す第３図の
−線断面図、第９図は、縁押し加工終了時の
状態を示す第４図の−線断面図である。 Ｗ……ワーク、ｐ，p′……縁押し加工型、１…
…下型、２……上型、３……エツジベンド機構、
４……ホルダー、７，７′……ドライブカム、８
……基盤、１１，１１′……スライドカム、１８，
１８′……固定溝、１９……圧下板、２０……補
助板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プレス機のボルスタに固手した下型のホルダ
   ー内において、該ホルダーに固着したドライブカ
   ムと縦方向に摺動可能で、かつ、固定溝を具備す
   る基盤内に載置された縁押し加工型を形成するス
   ライドカムとを組み合わせ、該スライドカム及び
   固定溝に横置設定した板金帯材を、上型の圧下に
   よる前記基盤の降下に伴ない前記スライドカムを
   横方向へ摺動させることによつて縁押し加工する
   エツジベンド口法。 ２ プレス機のボルスタに固定された下型と、平
   坦な下面を有しかつプレス機のラムに固定された
   上型とを備え、前記下型は、エツジベンド機構を
   昇降可能に収容するホルダーと、該ホルダーに固
   定されたドライブカムとを備え、前記エツジベン
   ト機構は、前記ドライブカムに設けた斜面に係合
   する斜面及び縁押し加工型を有するスライドカム
   と、該スライドカムを横方向に摺動可能に保持す
   るとともに板金帯材を横置設定する固定溝を有す
   る基盤と、該基盤を前記ホルダーに対して常時上
   方に付勢する手段とを備えたことを特徴とするエ
   ツジベンド装置。