JPS6333722B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、アンテナ張設の加熱板ガラスに関
し、殊に自動車の後部窓ガラスで縦方向の中央部
に設けられた防曇用加熱導電線の上方に広帯域無
指向性の超短波発信アンテナをガラスと一体に張
設した防曇の上記加熱板ガラスに関するものであ
る。

従来加熱導電線を横方向に張設装備した自動車
用防曇ガラスにおいて、複数本平行に施された導
電線の上部のガラス空間部に導電線と平行に張設
した超短波受信アンテナを導電線とスタツプで接
続したものが知られている。

この種の板ガラスを自動車後部の窓ガラスとし
て使用するとガラス面の複数本の加熱用導電線に
通電することでガラス面の曇りを除去すること、
超短波受信アンテナによつて所謂FM放送電波を
受信し、加熱用導電線によつて中波帯域のAM放
送電波の受信が同時にできるものである。

併し乍らこの窓ガラスに取付けられた従来のア
ンテナは超短波帯域において自動車の前後方向か
らの到来電波に対し受信の利得が最小で、自動車
の横方向からの到来電波に対し受信の利得が最大
となり、自動車の進行方向に向け横８字状の指向
性（第４図破線）を有し、指向性が甚だ大きい。

従つて電界強度の弱い場所で超短波帯域の放送
を受信する場合には、自動車の向きが電波到来方
向になるとＳ／Ｎ比が悪くなり、特に超短波帯域
におけるFM放送の受信においては雑音の影響が
甚だしくなる。

本出願人はこれを改良するために特願昭54−
46947号で加熱板ガラス兼アンテナの特許出願を
したが、本発明はこれを更に改良したもので、横
向平行に複数本の加熱用導電線を張設した板ガラ
スにおいて、前記板ガラスの被加熱区域の上部ガ
ラス表面区域には、前記導電線の長さ方向中間部
を始点として少くとも片側に前記導電線に対しほ
ぼ平行に伸び且つ終端において前記導電線の側に
向けコ字状に平行に折返された超短波用アンテナ
と、前記超短波用アンテナの始点に接続されたス
タツブを介して始点と加熱用導電線を接続するリ
ード線が張設されていて、前記リード線は加熱用
導電線と二本以上で接続されたアンテナ張設の加
熱板ガラスである。

ここにスタツブとは先端を短絡した任意の伝送
路で通常平行な２本の線条の先端を短絡し、又は
コ字状に形成したもので、超短波アンテナのイン
ピーダンスマツチングを取る機能と、中波受信の
際には饋電端子からのフイーダと加熱用導電線と
を接続する機能を有している。

本発明において超短波受信アンテナの自由先端
は加熱用導電線の側に折返される。又スタツブも
２本からなる各線素子が加熱用導電線に平行に張
設されるのがよい。

上記超短波アンテナは必ずしも一本に限ること
なく饋電端に結ぶフイード線の両側に夫々設けら
れてもよい。この場合アンテナ線の長さは受信す
る電波に最適するよう夫々の長さが選ばれる。

以下実施例を示す図面を参照しつつ本発明を詳
記する。

第１図において自動車の後部窓ガラス１の表面
に加熱用導電線群１０が各導電線素子１１を互に
ガラスの横方向平行に複数本設けられ、各線素子
の両端は母線１２，１３に接続される。加熱導電
線群１０のあるガラス１の加熱領域の上部にほぼ
中心線の通る中央部から加熱用導電線素子１１に
対し平行で横に（図面上左）伸び先部が電線素子
１１側にコ字状平行に折返されて自由端となつて
いるFM放送受信に最適の長さの超短波用アンテ
ナ１４と、アンテナ１４の始点１５からガラス１
の上辺近くの饋電端１６に到るフイーダ線１７
と、アンテナ１４の始点からアンテナの向きとは
逆向に電線素子１１と平行に伸びコ字状に折返さ
れているスタツブ１８と、スタツブ１８と導電線
素子１１とを結ぶリード線１９が設けられてい
る。

上記アンテナ１４の全長とスタツブ１８の長さ
は所望の超短波帯域の電波に対し利得が最大にな
るよう調整される。また超短波用アンテナ１４の
折返し部の長さ及びリード線１９と接続すべき導
電線素子１１の数はアンテナが無指向になるよう
調整される。

上記各電線素子１１、母線１２，１３とアンテ
ナ等ガラス面に施される導電部材は、微細な銀粒
子、低融点ガラス粉末等を有機溶媒でペースト状
にした導電ペーストを窓ガラス上にシルクスクリ
ーン法等適当な方法により同時に印刷し、焼付け
ることによつて得られる。このようにして作られ
た板ガラスのアンテナは饋電端１６に接続される
べき図示せざる同軸ケーブルによつて受信機のア
ンテナ端子に接続される。母線１２，１３は図示
のようにチヨークコイル２０の各線輪を介し、負
母線１２はコイル２１を通して接地され、正母線
１３はコイル２２を通し負極が接地された電池２
３の正極に接続される。２４は電池の正側に設け
られた電源雑音防止用のコンデンサで片側が接地
されている。尚この回路にはスイツチその他の部
材が必要に応じて取付けられるが、省略する。

以上のように構成した加熱板ガラスのアンテナ
を用いて76MHz乃至90MHzの国内FM放送波帯に
わたつて受信したところほぼ第４図の実施に示す
ように平均利得を低下させることなく無指向特性
が得られ、電界強度の弱いところにおける超短波
帯域のFM放送受信に当つてもスキツプノイズを
減少することができた。即ち従来のものによると
きは破線に示すように自動車の前後方向の到来電
波に対し受信利得が低かつたが、本発明によるも
のは実線で示すよう横方向からの到来電波に対す
る受信能力を維持しつつ前後方向からの到来電波
に対しても受信の利得を大に向上することができ
た。

又実験によると76〜90MHzの放送波帯において
アンテナ１４の感度をこの周波数帯域の中央にお
いて最大になるようアンテナ線の長さ、折返し部
を調整しておき、リード線１９を加熱用導電線素
子１１の最上部の一線に接続した場合はこの帯域
の中間の周波数（例えば84MHz）の利得が大きく
76及び90MHzの低い方及び高い方の周波数の受信
利得がほぼ中間の周波数より相当低くなつた。併
し本発明においてはリード線１９が導電線素子１
１の二線以上（本実施例では五線）に接続してあ
り、実験の結果低い方及び高い方の周波数におけ
る受信利得の低下が改善された。

又、前記の受信アンテナはスタツプとリード線
により超短波用アンテナと加熱用導電線群とが接
続されているため上記FM帯域は勿論のこと、
AMの中波帯域の利得も向上できた。

第２図と第３図は本発明の他の実施例を示し、
第１図と対応する部分には第１図と同番号で示
す。第２図に示すものは超短波受信アンテナ１４
の反対側にフイーダ線１７から他の超短波受信ア
ンテナ１４ａが設けられている。この場合アンテ
ナ１４ａの長さ、折返し部の長さは上記周波数帯
域内で次に受信頻度の高い周波数に適する長さに
選定しておくのがよい。従つてアンテナ１４，１
４ａの長さは独自に定められる。

第３図に示す実施例は第２図の例の変形例で、
左側母線が１３ａ，１３ｂと分れ、左側母線に導
電線素子１１が夫々同数接続され、素子１１の他
端は右側母線１２まで平行に伸び二つの加熱用導
電線群１０ａ，１０ｂが母線１２で直列に接続さ
れたものである。この場合母線１３ａが正母線と
なつて電源正極に、母線１３ｂが負母線となつて
電源負極に夫々接続される。尚第３図のアンテナ
１４を省略してアンテナ１４ａのみにすることが
できる。

以上本発明の各種実施例について述べたが、本
発明は上記特許請求の範囲を逸脱せざる限り各種
の態様で実施される。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は加熱用導電線とこれに接続
した超短波受信アンテナを具えた本発明のアンテ
ナ張設の加熱板ガラスの各実施例を示した正面
図、第４図は本発明の加熱板ガラスのアンテナを
用いて測定したFM放送電波の受信利得の指向特
性図である。 １……窓ガラス、１０，１０ａ，１０ｂ：加熱
用導電線群、１１：加熱用導電線素子、１２，１
３，１３ａ，１３ｂ：母線、１４，１４ａ：超短
波用アンテナ、１５：アンテナ始点、１６：饋電
端、１７：フイーダ線、１８：スタツブ、１９：
リード線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 横向平行に複数本の加熱用導電線を張設した
   板ガラスにおいて、前記板ガラスの被加熱区域の
   上部ガラス表面区域には、前記導電線の長さ方向
   中間部を始点として少くとも片側に前記導電線に
   対しほぼ平行に伸び且つ終端において前記導電線
   の側に向けコ字状の平行に折返された超短波用ア
   ンテナと、前記超短波用アンテナの始点に接続さ
   れたスタツブを介して始点と加熱用導電線を接続
   するリード線が張設され、前記リード線は加熱用
   導電線と二本以上で接続されてなるアンテナ張設
   の加熱板ガラス。