JPS6340501B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車の窓ガラスに設けられたラジオ
受信用等のガラスアンテナを用いた受信装置に関
し、特にダイバシテイ受信方式の受信システムに
用いて最適なものである。

走行中の自動車においてFM放送等のラジオ電
波を受信する場合、走行方向について受信電波の
電界強度が変動するために生ずる周期的なフエー
ジングや、受信点の移動に伴なうマルチパス歪の
時間変動等によつて受信音質が劣化し易く、特
に、短い周期で受信音が“バサバサ”ととぎれ
て、受信内容の認識が困難になることがある。

このような問題を解消して高品質の受信信号を
得るために自動車に二つのアンテナを設け、スペ
ースダイバシテイ受信を行うことが試みられてい
る。しかし自動車に二つのアンテナを設けても、
夫々をダイバシテイ受信に最適な位置に配置する
ことは実際上困難であり、二つのアンテナの相互
補完が充分でなく、有効な対策となり得なかつた
のが実情である。特に自動車のリア窓ガラスに導
電線条を印刷配線しこれをアンテナとする場合、
架設面積に限りがあり、また曇り防止用の加熱用
導電線条群がリア窓ガラスの主部を占めているの
で二種のアンテナ線条を追加することは困難であ
る。

本発明はこの問題を解消し得る受信システムを
提供するものである。

本発明の自動車用受信装置は、自動車用窓ガラ
スの表面に付設された多数の平行線条から成る加
熱用導電線条群２と、この加熱用導電線条群と平
行に付設されたアンテナ線条群１０とを備え、上
記加熱用導電線条群２及びアンテナ線条群１０の
FM放送帯の電波受信状態を検出し、その検出出
力に応じて上記加熱用導電線条群またはアンテナ
線条群を選択してダイバシテイ受信するように構
成されている。そして上記アンテナ線条群１０は
FM放送帯にチユーニングした主アンテナ１２及
びほぼ無指向特性が得られるように上記主アンテ
ナに接続した補助アンテナ１３ａ，１３ｂを具備
している。

この構成により、自動車窓ガラスに付設した導
電線条を用い、限られたスペースを有効に利用し
て、効果的なダイバシテイ受が可能となる。

なお従来は、自動車は電波到来方向に帯し常時
その進行方向を変えるので、二つのアンテナの相
互補完でもつて受信する場合には、夫々の指向特
性を異ならせて、利得特性を尖鋭にし、最大受信
利得を利用するのが良いと考えられて来た。しか
し本願発明者らの探究によれば、二つのアンテナ
を共に無指向特性に近づけた方が、ダイバシテイ
受信により好ましい結果が得られることが明らか
にされた。この考えに基き、加熱用導電線条群及
びアンテナ線条群の相互補完を効果的に利用して
ダイバシテイ受信し、高品質の受信信号を得るこ
とが可能となつた。

以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図は本発明の第１の実施例を示す自動車の
リアガラスの正面図及び電気回路図である。第１
図では、自動車のリア窓ガラス１には曇り止めの
ための加熱用導電線条群２が設けられ、これらの
導電線条群にはバツテリー３からスイツチ４を介
し、母線５，６，７を経て加熱電流が流される。
なお加熱用導電線条群２を高周波数帯域において
接地点から浮かすために、その一対の給電線にラ
ジオ周波数帯域で極めて高インピーダンスを示す
高周波チヨークコイル８が挿入されている。また
給電線に乗るノイズが受信信号に混入しないよう
に、バツテリー３の出力ラインと接地点との間に
はデカツプリングコンデンサ９が挿入されてい
る。

加熱用導電線条群２の上部には、FM受信用の
アンテナ線条群１０が設けられている。このアン
テナ線条群１０は、一本の直線を折り曲げた如く
に互に結合された上下３段の平行な線条１２ａ，
１２ｂ，１２ｃから成る主アンテナ１２及びこの
主アンテナの上側及び下側に配置された夫々一本
の線条１３ａ，１３ｂからなる補助アンテナを
夫々備えている。下側の補助アンテナ線条１３ｂ
は、加熱用導電線条群２から誘導される受信波を
主アンテナ線条１２ｃの側に伝達してアンテナの
指向特性を改善する目的で付設され、窓ガラス１
の中心線上の位置において電気的に整合された状
態で主アンテナ線条１２ｃと結合されている。

また上側の補助アンテナ線条１３ａも無指向特
性を得る目的で付設され、連結線条１４を介して
主アンテナ線条１２ｂの中心線より外れたチユー
ニングポイントにおいて結合されている。補助ア
ンテナ１３ａと最上段のアンテナ線条１２ａとは
所定長さにわたつて近接対向していて、両者の間
の誘導によつても指向性の改善が図られている。
一つの好ましい実施形態では、補助アンテナ線条
１３ａ、連結線条１４及び補助アンテナ１３ｂの
水平長さは、夫々600mm、350mm、700mmで、主ア
ンテナ線条１２ｂと１２ｃとの結合部の窓枠から
の距離は30mmで、また補助アンテナ線条１３ａと
主アンテナ線条１２ａとの対向長さは100mmであ
る。

主アンテナ１２の出力は給電点１５からプリア
ンプ１６を介してスイツチ回路１７に導出され
る。

一方、この実施例では、加熱用導電線条群２も
アンテナとして用いられ、その出力は、最下段の
加熱用導電線条２の中点から位相整合及び補助ア
ンテナとしての機能を持つ導電線条パターン１８
を通つて給電点１９に導出され、ここからプリア
ンプ２０を経てAM受信機に供給される。また給
電点１９から得られる受信信号は、FM受信とし
てプリアンプ２１にも分岐され、スイツチ回路１
７にも導出される。このスイツチ回路１７は、自
動車走行時の受信点移動に伴なつて生ずるフエー
ジングまたはマルチパス歪の周期的変動が受信音
質に与える影響を極力少なくする目的で、後述の
制御信号によつて何れか一方の良好な方のアンテ
ナ出力（プリアンプ１６または２１の出力）の側
に切換えられる。スイツチ回路１７において選択
されたアンテナ出力はFM受信機に供給される。

第２図は本実施例において用いられるFM受信
機のブロツク回路図である。第２図において、ア
ンテナ１２または加熱用導電線条群２が受信され
た受信信号は第１図にも示されているスイツチ回
路１７で選択されて、フロントエンド及びIF回
路２４に供給される。このフロントエンド及び
IF回路２４において、同調増巾、中間周波数変
換及びFM検波を受けた受信信号は、高域カツト
制御フイルタ２５及びノイズブランカー２６を経
てマルチプレクサ３７に供給され、ここでステレ
オ復調されてＲチヤンネル及びＬチヤンネルの出
力端子から音声の電力増巾器に導出される。なお
マルチプレクサ３７にはIF回路２４からはステ
レオ／モノーラルの自動切換信号等の制御信号ｃ
が与えられる。

フロントエンド及びIF回路２４では、局間の
離調ノイズをミユーテイングするために受信信号
レベルの検出（IF出力または検波出力のレベル
検波）が行われていて、受信レベルが一定レベル
まで低下したときに検波出力をミユーテイングし
ている。この受信信号レベルの検出信号ａはIF
回路２４内のミユートドライブ回路に与えられる
と共に、自動レベル設定回路２７に送られる。こ
の自動レベル設定回路２７は切り換え頻度に応じ
て切り換え入力レベルのスレシホールドが変化す
る機能があり、このスレシホールド以下のときに
検出信号ｂを発生する。この検出信号ｂはアンテ
ナ切換制御回路２８に送られ、ここでクロツク発
生器３２の出力の約100KHzのクロツクに同期し
て切換パルスｄが形成される。この切換パルスｄ
はＴ型フリツプフロツプ２９のトリガ入力に与え
られ、これによつてフリツプフロツプ２９の出力
Ｑ，が反転される。

フリツプフロツプ２９のＱ出力及び出力はス
イツチ回路１７の切換制御信号として用いられ、
例えばアンテナ線条群１０の受信信号レベルが設
定基準値よりも低下したとき、フリツプフロツプ
２９が反転して、そのＱ出力が低レベルとなり、
また出力が高レベルとなつて加熱用導電線条群
２のアンテナ出力の方に切換えられる。フリツプ
フロツプ２９の出力は自動レベル設定回路２７
にも与えられ、この回路が加熱用導電線条群２の
受信レベルの低下を検出するようにその動作モー
ドが切換えられる。従つて次に加熱用導電線条群
２の受信レベルが設定基準レベルよりも低下する
と、自動レベル設定回路２７がこれを検出し、そ
の検出出力ｂに基いてアンテナ切換制御回路２８
で切換パルスｄが再び発生され、このパルスｄに
よつてフリツプフロツプ２９が反転される。この
ためスイツチ回路１７はアンテナ線条群１０の側
に切換えられる。

この結果、常に受信レベルの設定レベルより大
きいアンテナ出力に切換えて受信するダイバーシ
テイ受信が行われる。

更に、第２図に示す実施例では、マルチパス歪
の変動を検出して、歪の少ない方のアンテナ出力
に切換えて受信を行い得るようにしている。すな
わち、フロントエンド及びIF回路２４の出力は
19KHzのバンドパスフイルタ３０にも供給され、
ここでステレオパイロツト信号が抽出される。こ
のパイロツト信号はレベル変動検出回路３１に与
えられる。もしマルチパスによつて受信信号が歪
んでいれば、パイロツト信号も歪むので、そのレ
ベル変動（歪成分の変動）を検出することによつ
て、受信点の移動に伴なうマルチパス歪の増減を
検出することができる。

マルチパス歪が一定量以上増大した場合、レベ
ル変動検出回路３１の出力ｅでもつて高域カツト
制御フイルタ２５が動作され、検波出力の高域歪
成分がカツトされてマルチプレクサ２７に与えら
れる。またこれと共にレベル変動検出回路３１の
出力ｅはアンテナ切換制御回路２８にも送られ、
既述のように切換パルスｄが形成されて、受信レ
ベル変動の場合と同様に他方のアンテナ出力に切
換えられる。これによつてマルチパス歪のより少
ない受信信号が得られる。なおアンテナ切換制御
回路２８では、自動レベル設定回路２７及びレベ
ル変動検出回路３１の出力ｂ及びｅの何れか一方
の入力があつた場合に切換パルスｄを形成する。
すなわち信号ｂとｅとのオア論理で切換パルスｄ
が作成される。また選局時の受信レベル変動でア
ンテナ切換が行われることが無いように、フロン
トエンド及びIF回路２４から得られる受信レベ
ル検出信号ａは動作禁止信号としてアンテナ切換
制御回路２８に与えられ、これによつて選局時の
局間の弱電界部において切換パルスｄの形成が禁
止される。

第３図は第１図のアンテナパターンを用いた場
合の受信点移動に伴なう受信レベルの変動を示す
グラフであつて、横軸は自動車の走行距離（ｍ）
を示し、縦軸はFMラジオ受信機への受信信号レ
ベルdBを示している。また一点鎖線ｊは第１図
のアンテナ線条群１０の受信レベルを示し、点線
ｋは加熱用線条群２の受信レベルを示している。
第２図の受信回路によれば、第３図のアンテナ線
条群１０で受信しているときにその受信レベルが
一定レベルＬ以下に低下すると、加熱用導電線条
群２の受信出力の方に切換えられ、また加熱用導
電線条群２によつて受信しているときにその受信
レベルが一定レベル以下に低下すると、アンテナ
線条群１０の出力の方に切換えられる。この結
果、常に良好なレベルで受信することができ、走
行に伴なつて受信音が周期的に欠損するようなこ
とが無くなる。

第４図は第１図のアンテナパターンの指向特性
を示すグラフで、実線がアンテナ線条群１０の受
信レベルを示し、点線が加熱用導電線条群２によ
る受信レベルを示している。第４図に示すよう
に、両者の指向特性はほぼ均一であるから、第３
図に示すように切換えによつて相互に補完し得る
受信信号を得ることができる。方位角によつては
両者のアンテナ出力の受信レベルの平均値が相違
する場合も生ずるが、この場合にも第２図の受信
回路において高レベルの方の受信信号が選択され
る。

次に第５図は本発明によるガラスアンテナの第
２の実施例を示している。第５図においては、ア
ンテナ線条群１０として第１図と同一のパターン
が用いられ、また加熱用導電線条群２の母線５か
ら直接に受信出力を得ている。主アンテナ１２の
出力及び加熱用導電線条群２の受信出力は、夫々
プリアンプ１６，２１を通つてスイツチ回路１７
で切換えられラジオ受信機２２のFMフロントエ
ンドに与えられる。また主アンテナ１２及び加熱
用導電線条群２の夫々の出力がインピーダンス整
合用のコイル２３で混合され、このコイルの中点
タツプからAM受信信号としてプリアンプ２０を
介してラジオ受信機２２のAM部に与えられる。
スイツチ回路１７の切換えは第２図と同様にして
行われる。

上述の如く本発明によれば、加熱用導電線条群
の受信信号とアンテナ線条群の受信信号とを切換
えて受信するようにしたので、特別なアンテナを
付設しなくてもダイバシテイ受信を行うことがで
き、特に受信点の移動に伴なつて生ずる受信レベ
ル変動（フエージング）による影響を軽減した高
品質の受信者を得ることができる。またダイバシ
テイ受信のために一対のアンテナパターンを設け
る必要がなく、加熱用導電線条群を一方のアンテ
ナとして用いているので、自動車用窓ガラスの限
られたスペース内で受信能率の良いアンテナパタ
ーンを付設することが可能である。またアンテナ
線条群を、FM放送帯にチユーニングした主アン
テナと、ほぼ無指向性が得られるように主アンテ
ナに接続した補助アンテナとで構成したから、加
熱用導電線条群のアンテナとしての受信性能を利
用したときに、二つのアンテナの相互補完がダイ
バーシテイ受信にとつて非常に有効に作用するよ
うになり、極めて安定で高品質の受信出力が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例を示す自動車の
リアガラスの正面図及び電気回路図、第２図は第
１図の実施例において用いられるFM受信機のブ
ロツク回路図、第３図は第１図のアンテナパター
ンを用いた場合の受信点移動に伴なう受信レベル
の変動を示すグラフ、第４図は第１図のアンテナ
パターンの指向特性を示すグラフ、第５図は本発
明の第２の実施例を示す第１図と同様な正面図及
び電気回路図である。 なお、図面に用いられている符号において、１
……窓ガラス、２……加熱用導電線条群、１０…
…アンテナ線条群、１２……主アンテナ、１３
ａ，１３ｂ……補助アンテナ線条、１７……スイ
ツチ回路、２７……自動レベル設定回路、２８…
…アンテナ切換制御回路、である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動車用窓ガラスの表面に付設された多数の
   平行線条から成る加熱用導電線条群と、この加熱
   用導電線条群と平行に付設されたアンテナ線条群
   と、上記加熱用導電線条群及びアンテナ線条群の
   FM放送帯の電波受信状態を検出する手段と、こ
   の検出手段の出力に応じて上記加熱用導電線条群
   またはアンテナ線条群を選択して受信する切換ス
   イツチ手段とから成り、上記アンテナ線条群は
   FM放送帯にチユーニングした主アンテナ及びほ
   ぼ無指向特性が得られるように上記主アンテナに
   接続した補助アンテナを備えることを特徴とする
   自動車用受信装置。 ２ 上記電波受信状態の検出手段がFMマルチパ
   ス歪を検出する部分を備え、上記切換スイツチ手
   段が受信レベル検出信号及びマルチパス歪検出信
   号に応じて切換動作を行うようにした特許請求の
   範囲第１項の自動車用受信装置。 ３ 上記切換スイツチ手段の出力がFM受信信号
   として上記受信機に与えられると共に、上記加熱
   用導電線条群の受信出力がAM受信信号として上
   記受信機に導出されるようにした特許請求の範囲
   第１項の自動車用受信装置。