JPH0437601B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、ダイバシテイ受信システムを構成す
る自動車用ガラスアンテナに関する。 走行中の自動車においてFM放送等のラジオ電
波を受信する場合、走行方向について受信電波の
電界強度が変動するために生ずる周期的なフエー
ジングや、受信点の移動に伴なうマルチパス歪の
時間変動等の原因によつて受信音質が劣化し易
く、特に、短い周期で受信音が〓バサバサ”とと
ぎれて、受信内容の認識が困難になることがあ
る。 本発明は、この問題を解消し得る受信システム
を提供するものであり、特に指向特性の異なる２
つのアンテナパターンを効果的に組合わせて指向
性ダイバシテイ受信を行い得るようにしたもので
ある。 本発明の自動車用窓ガラスアンテナは、自動車
のリア窓ガラス１に設けられた加熱用ヒーター線
２と、このヒーター線の上部及び下部に設けられ
た第１及び第２のアンテナ１３，２２とを具備す
る。上記第１のアンテナ１３は、一本の直線を折
り曲げた如くに互いに接続された上下３段の平行
な線条を少なくとも含む主素子を備えていて、自
動車の進行方向からの到来電波に対して利得が小
さい。また上記第２のアンテナ２２は、上記ヒー
ター線２に沿つて近接して配置された水平方向の
１本の線条２３ａと、この線条のほぼ中点に接続
した線条を２回折り返した如くに結合されている
３本の平行な水平方向の線条２３ｂ〜２３ｄとか
ら成る。上記第１及び第２のアンテナ１３，２２
をスイツチ回路２０に接続して何れか一方の受信
信号を選択することにより、少なくとも自動車の
進行方向と同方向の到来電波についての上記第１
のアンテナ１３の受信出力の低下を上記第２のア
ンテナ２２によつて補い得るようにしてある。 このように構成することにより、ほぼ無指向の
受信特性を得ている。 以下本発明の実施例を図面に従つて説明する。 第１図は本発明の一つの実施例を示す自動車の
リア窓ガラスの正面図及び電気回路図である。第
１図のリア窓ガラス１には曇り止めのための多数
のヒーター線２が設けられ、これらのヒーター線
２は上下二群に分けられて、バツテリー３から母
線４，５，６を経て加熱電流が流される。なお加
熱電流を供給する一対の給電線７，８には、ヒー
ター線２を高周波帯域において接地点から浮かす
ために、高周波チヨークコイル９，１０が挿入さ
れ、またホツト側の給電線７には、ノズル除去用
のデカツプリングコンデンサ１１が接続されてい
る。 なおヒーター線２を二群に分けずに、母線４，
６を共通にし、母線４，６と母線５との間に加熱
電流を流すような給電方式であつてもよい。 ヒーター線２の上部には、FM受信用の第１の
アンテナ線条１３が設けられている。このアンテ
ナ線条１３は、一本の直線を折り曲げた如くに端
部が結合された上下３段の水平方向の線条１４
ａ，１４ｂ，１４ｃから成る主アンテナ１４と、
この主アンテナ１４の上部及び下部に配置された
夫々一本の線条から成る補助アンテナ１５，１６
を備えている。 下側の補助アンテナ１６はヒーターから誘導さ
れる受信波を主アンテナ線条１４ｃの側に伝達し
てアンテナの指向特性を改善する目的で付設され
ている。この補助アンテナ１６は、窓ガラス１の
中心線上の位置において電気的に整合された状態
で主アンテナ線条１４ｃと結合されている。 また上側の補助アンテナ１５も無指向特性を得
る目的で付設され、整合作用を持つ連結線条１７
を介して、中段の主アンテナ線条１４ｂの中心線
より外れた位置に存在する１つのチユーニングボ
イントにおいて結合されている。この補助アンテ
ナ１５と最上段の主アンテナ線条１４ａとは所定
長さにわたつて近接対向していて、両者の間の誘
導結合によつても指向性の改善が図られている。 上述のパターンを持つ第１のアンテナ線条１３
の各部の好ましい寸法は、次の表の第例及び第
例の如くである。

【表】 主アンテナ線条１３の出力は、給電点１８から
プリアンプ１９を介してスイツチ回路２０に導出
される。 ヒーター線２の下部には、ダイバシテイ受信の
ための第２のアンテナ線条２２が設けられてい
る。この第２のアンテナ線条２２は、ヒーター線
２に沿つて近接配置された単一線のアンテナ線条
２３ａと、一本の直線を折り曲げた如くに結合さ
れた３本の水平方向の平行線条２３ｂ，２３ｃ，
２３ｄから成つている。最下段の線条２３ｂの一
端と、単一線のアンテナ線条２３ａの中点とが結
合されている。 これらの線条２３ａ〜２３ｄで構成された第２
のアンテナ線条２２の好ましい寸法範囲は次の如
くである。 Ａ＝10〜70mm Ｂ点：センター±100mm Ｃ＝25〜260mm C′＝13〜40mm Ｄ＝400〜700mm Ｅ＝３〜10mm Ｆ＝３〜20mm Ｌ＝600〜1100mm 第２のアンテナ線条２２の出力は、線条２３ｄ
の一端の給電点２４からプリアンプ２５を介して
スイツチ回路２０に導出される。スイツチ回路２
０の出力はFMチユーナーに与えられ、このチユ
ーナーに設けられた受信状態の弁別回路におい
て、第１及び第２のアンテナ線条１３，２２の受
信状態の良好な方の出力を選択する選択信号Ｓが
形成される。この選択信号Ｓに基いてスイツチ回
路２０が切換えられる所謂ダイバシテイ受信が行
われる。 第１のアンテナ線条１３と第２のアンテナ線条
２２とは指向特性に関して相補関係にあり、夫々
異なる角度位置においてデイツプ点または受信不
安定領域を有している。 第２Ａ図〜第２Ｃ図は第１及び第２のアンテナ
線条１３，２２の指向特性線図（電圧スケール）
であつて、Ａ、Ｂ、Ｃは受信波周波数が夫々80M
Hz、84MHz、90MHzの場合で、角度0°が電波の到
来方向である。なおヒーター線２の上側の第１の
アンテナ線条１３の各部の寸法は前記表の第例
のものであり、下側の第２のアンテナ線条２２の
各部の寸法は、Ａ＝30mm、Ｂ点＝中点、C′＝５
mm、Ｄ＝550mm、Ｆ＝５mm、Ｌ＝1000mmである。
他の寸法は既述の好ましい範囲内に設定されてい
る。 第２Ａ図〜第２Ｂ図から明らかなように第１の
アンテナ線条１３の指向特性（点線で示す）は、
0°の角度位置にデイツプ点を有している。一方、
第２のアンテナ線条２２の指向特性（実線で示
す）は、270°の角度位置にデイツプ点若しくは受
信レベルが低下する角度領域を有している。すな
わち、上側の第１のアンテナは自動車の進行方向
に対してほぼ直角な方向から到来する電波に対し
て受信感度が良好であり、下側の第２のアンテナ
は自動車の進行方向の到来電波に対して受信感度
が良好である。従つて、一方の受信能力が低下す
る部分を他方で補うダイバシテイ受信を行つて、
指向特性による劣化が少ない受信音を得ることが
できる。 次に第３図は第１のアンテナ線条１３のパター
ンを変更した別の実施例を示している。この実施
例の第１のアンテナ線条１３のパターンは、第１
図の実施例における主アンテナ１４の線条１４ｂ
と１４ｃとの間に一本の線条１４ｄを加えたもの
である。３本の平行な線条１４ｂ〜１４ｄはＥ字
状に結合されている。主アンテナ１４の上下に配
置された補助アンテナ１５，１６は、第１の実施
例と同じものであるが、夫々第１図とは異なるチ
ユーニングポイントにおいて主アンテナ線条１４
ｂ及び１４ｃに接続されている。第２のアンテナ
線条２２のパターンは第１図と同一である。 第４Ａ図〜第４Ｃ図は、第３図の第１及び第２
のアンテナ線条１３，２２の80MHz、84MHz、
90MHzにおける指向特性線図である。なおこの特
性を示す第２のアンテナ線条２２の第１図に対応
する各部の寸法は、Ａ＝30mm、Ｂ＝中点、C′＝15
mm、Ｄ＝600mm、Ｅ＝５mm、Ｆ＝５mm、Ｌ＝800mm
である。 第４Ａ図〜第４Ｃ図に示すように、この実施例
のアンテナパターンについても、第１のアンテナ
線条１３が自動車の進行方向に到来する電波に対
して受信感度が低下する傾向を持つので、これを
第２のアンテナ線条２２で補うことにより、無指
向性に近い受信出力を得ることができる。 第５Ａ図及び第５Ｂ図は、夫々第３図のアンテ
ナパターンを持つ自動車が到来電波と同方向及び
直角方向に移動する場合の第１及び第２のアンテ
ナ線条１３，２２の受信レベルの時間変動を示す
グラフである。 第５Ａ図に示すように電波到来方向と同方向に
自動車が移動する場合には、第２（下側）のアン
テナ２２の受信レベルが実線の如く大である。一
方、第１（上側）のアンテナ１３の受信レベルは
点線の如く小さい上、移動に伴なつて受信レベル
が短周期で大きく移動するような不安定な受信特
性を示す。逆に、第５Ｂ図に示すように電波到来
方向と直角方向に自動車が移動する場合には、第
１及び第２のアンテナの受信レベルはほぼ同一で
あるが、第２のアンテナは実線の如くにレベル変
動が激しく、不安定な受信特性を示す。 上述の如く、上下２つのアンテナ１３，２２は
自動車の進行方向に応じて受信特性が大きく異な
り、一方を他方で補うことができるから、ダイバ
シテイ受信を行うことにより、自動車の進行方向
による受信特性の変動が少ない受信音を得ること
ができる。 なお第１（上側）のアンテナパターンとしては
上述の実施例の外に種々のパターンを用いること
ができる。例えば、一本の水平方向のアンテナ線
条を用い、そのほぼ中央から出力を取り出すよう
にしたダイポール様のアンテナ、複数本の水平線
条を組み合わせたアンテナ、ヒーター線２と結合
されているアンテナなどを用いることができる。
これらの公知のアンテナパターンは一般に自動車
進行方向の到来波に対して受信能力が低下するの
で、下側の第２のアンテナと組合せたダイバシテ
イ受信でもつて受信特性を改善することができ
る。 本発明は上述の如く、自動車の進行方向と同方
向の到来電波について良好な受信特性を示す第２
のアンテナ線条２２をヒーター線２の下側に設け
て、ヒーター線２の上側に設けられた第１のアン
テナ線条の受信出力を補い得るようにしたので、
第１及び第２のアンテナを切換えるダイバシテイ
受信によつて、自動車進行方向による受信レベル
の変動を軽減した高品質の受信音を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一つの実施例を示す自動車の
リア窓ガラスの正面図及び電気回路図、第２Ａ図
〜第２Ｃ図は夫々80MHz、84MHz及び90MHzの電
波についての第１図の実施例の第１（上側）及び
第２（下側）のアンテナの指向特性線図、第３図
は本発明の別の実施例を示す第１図と同様な正面
図及び電気回路図、第４Ａ図〜第４Ｃ図は第３図
の第１及び第２のアンテナの指向特性を示す第２
Ａ図〜第２Ｃ図と同様な線図、第５Ａ図及び第５
Ｃ図は第３図の第１（上側）及び第２（下側）のア
ンテナについての自動車の異なる移動方向での受
信レベルの時間変動を示すグラフである。なお図
面に用いられた符号において、 １……リア窓ガラス、２……ヒーター線、１３
……第１のアンテナ線条、２０……スイツチ回
路、２２……第２のアンテナ線条である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動車のリア窓ガラスに設けられた加熱用ヒ
   ーター線と、このヒーター線の上部及び下部に設
   けられた第１及び第２のアンテナとを具備し、上
   記第１のアンテナは、一本の直線を折り曲げた如
   くに互に接続された上下３段の平行な線条を少な
   くとも含む主素子を備えて、自動車の進行方向か
   らの到来電波に対して利得が小さく、上記第２の
   アンテナは、上記ヒーター線に沿つて近接して配
   置された水平方向の１本の線条と、この線条のほ
   ぼ中点に接続した線条を２回折返した如くに結合
   されている３本の平行な水平方向の線条とから成
   り、上記第１及び第２のアンテナをスイツチ回路
   に接続して何れか一方の受信信号を選択すること
   により、少なくとも自動車の進行方向と同方向の
   到来電波についての上記第１のアンテナの受信出
   力の低下を上記第２のアンテナによつて補い得る
   ようにしたことを特徴とする自動車用窓ガラスア
   ンテナ。 ２ 上記第１のアンテナが、一本の直線を折り曲
   げた如くに互に結合された上下３段の平行な線条
   から成る主アンテナと、この主アンテナの上側及
   び下側に配置された夫々一本の線条から成る補助
   アンテナとを夫々備え、上記窓ガラスの垂直方向
   中心線位置の近傍において下側の補助アンテナ線
   条と下段の主アンテナ線条とが結合され、更に上
   側の補助アンテナの上記中心線位置と中段の主ア
   ンテナ線条の上記中心線位置から外れた位置とが
   互に結合され、また上段の主アンテナ線条が上記
   上側補助アンテナ線条と所定長さにわたつて近接
   対向した状態で上記中心線付近まで延ばされてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載
   の自動車用ガラスアンテナ。 ３ 上記第１のアンテナが、Ｅ字状に結合された
   上下３段の平行な線条及びその上段の線条の折返
   し部分から成る主アンテナと、この主アンテナの
   上側及び下側に配置された夫々一本の線条から成
   る補助アンテナとを夫々備え、上側の補助アンテ
   ナと上記主アンテナの上段線条とが結合され、ま
   た下側の補助アンテナと主アンテナの下段線条と
   が結合され、更に上記主アンテナ線条の上記折返
   し部分と上側の補助アンテナとが所定長さにわた
   つて近接対向していることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項に記載の自動車用ガラスアンテナ。