JPS6330824Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用デイスクブレーキ装置のリテー
ナ兼パツドスプリングに関し、ガイド部を保護す
る機能と、摩擦パツドをデイスク中心方向へ押圧
保持する機能とを兼ね備えたリテーナ兼パツドス
プリングに関するものである。

本考案のリテーナ兼パツドスプリングは、車輪
と一体に回転するデイスクの両面に配置された一
対の摩擦パツドが、ブラケツトのガイド部にデイ
スク軸方向に移動可能に設けられ、キヤリパに備
えられたパツド押圧手段によりデイスクに圧接さ
れる車両用デイスクブレーキ装置に用いられる。

周知の如く、この種の車両用デイスクブレーキ
装置においては、ブラケツトのガイド部と摩擦パ
ツドとの間にリテーナ部が介在され、トルク受部
を保護するとともに、制動時に摩擦パツドのデイ
スク軸方向の摺動を円滑にしている。更に、これ
とは別に摩擦パツドの上方位置にパツドスプリン
グが、摩擦パツドをデイスク中心方向に押圧する
ように設けられ、走行時の摩擦パツドのガタつき
を防止するとともに、制動時に生ずることがある
摩擦パツドの浮き上りを抑えている。ところで、
このリテーナ部とパツドスプリングは、それぞれ
別個に形成されているため、製作コストが嵩むと
ともに、部品点数が増加し組付に手数を要する等
の不具合がある。

このため、このリテーナとパツドスプリングの
両機能を兼ね備え前記のような不具合がないリテ
ーナ兼パツドスプリングが種々提供されている。

本考案はかかる実情を背景にしてなされたもの
で、車輪と一体に回転するデイスクの両面に配置
された一対の摩擦パツドと、段状に形成されたガ
イド部によりこの摩擦パツドをデイスク軸方向に
摺動可能に支持するブラケツトと、ブラケツトと
摩擦パツドとの間に介在されかつ摩擦パツドをデ
イスク中心方向に押圧するリテーナ兼パツドスプ
リングを備えた車両用デイスクブレーキ装置にお
いて、前記リテーナ兼パツドスプリングは、連結
部で連結されブラケツトのガイド部を被覆する水
平部及び垂直部からなる一対のリテーナ部と、摩
擦パツドをそれぞれ独立して押圧するデイスク軸
方向に広巾のパツド押圧部と、このパツド押圧部
をその中心よりデイスクの制動面側に偏位した位
置で前記リテーナ部に連結するループ部とからな
り、前記ループ部はブラケツトの腕部に形成した
受面に当接する傾斜部を有し、前記連結部とリテ
ーナ部の水平部とは夫々ブラケツトに係止する係
止部を有することを特徴としている。

そして本考案の目的は、ガイド部を保護する機
能と、摩擦パツドをデイスク中心方向に押圧する
機能を兼ね備え部品点数が軽減し、製作コストが
削減されかつ組付容易であるとともに、確実に摩
擦パツドを押圧保持でき、しかもパツドのデイス
クの制動面への摺接をより一層有効に防止するこ
とができる車両用デイスクブレーキ装置のリテー
ナ兼パツドスプリングを提供するにある。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

車輪と一体に回転するデイスク１の近傍の一側
には、ブラケツト２が車体に固定して設けられ
る。このブラケツト２は所定間隔を隔てて配置さ
れた腕部３，３を有し、この腕部３，３はブリツ
ジ部４，４でデイスク１を跨いでいる。これらの
腕部３，３の相対向面には、デイスク軸方向にそ
れぞれ左右一対のガイド部５，５が段状に形成さ
れている。キヤリパ６はデイスク１の一側に位置
しシリンダ７内にピストン８を備えた作動部９
と、デイスク１の他側に位置する反力部１０とを
有している。そして、このキヤリパ６はその両側
の取付部１１，１１に固定されたスライドピン１
２，１２を、ブラケツト２の腕部３，３に摺動可
能に挿入し、これによりブラケツト２に対してデ
イスク軸方向に移動可能になつている。デイスク
１の両面には、摩擦パツド１３，１４が配置され
ており、それぞれ裏板１５，１６を備えている。
そして、この裏板１５，１６の左右両側部に形成
された耳部１７，１８は、ブラケツト２のガイド
部５，５にリテーナ兼パツドスプリング１９，１
９を介してデイスク軸方向に摺動可能に設けられ
ている。

リテーナ兼パツドスプリング１９は、第３図に
示すように一枚のステンレス等の耐摩耗性弾性鋼
板を用いて形成され、ブラケツト２のガイド部
５，５を被覆する水平部１９ｌ及び垂直部１９ｍ
からなる一対のリテーナ部１９ａ，１９ａと、こ
のリテーナ部１９ａ，１９ａを連結する連結部１
９ｂと、摩擦パツド１３，１４をデイスク中心方
向へ押圧保持する作動部側と反力部側とに独立し
たパツド押圧部１９ｃ，１９ｃと、このパツド押
圧部１９ｃ，１９ｃとリテーナ部１９ａ，１９ａ
とを連結するループ部１９ｄ，１９ｄとからなつ
ている。パツド押圧部１９ｃ，１９ｃは、デイス
ク軸方向にリテーナ部１９ａ，１９ａと略同幅の
広幅に形成されており、このパツド押圧部１９
ｃ，１９ｃとリテーナ部１９ａ，１９ａはパツド
押圧部１９ｃ，１９ｃの中心より内側、すなわち
デイスク１の制動面へ偏位した位置で細幅のルー
プ部１９ｄ，１９ｄで連結されている。

このリテーナ兼パツドスプリング１９は両摩擦
パツド１３，１４の両側部で、ブラケツト２にセ
ツトされ、その連結部１９ｂでブラケツト１を跨
ぎ、リテーナ部１９ａ，１９ａがガイド部５，５
に密着して被覆する。

この組付状態において、リテーナ兼パツドスプ
リング１９は、リテーナ部１９ａ，１９ａの水平
部１９ｌ外側に設けられた係止部となる挾持部１
９ｅ，１９ｅを、ガイド部５，５の外側に突出し
ている突部５ａ，５ａに係合し、かつ連結部１９
ｂの下部に外側へ屈曲して形成した係止部となる
係止片１９ｆを、腕部３のブリツジ部４内壁に係
合して固定される。そして、摩擦パツド１３，１
４の組付けは、リテーナ部１９ａ，１９ａおよび
パツド押圧部１９ｃ，１９ｃのそれぞれの外側に
設けられたガイド片１９ｇ，１９ｇおよび１９
ｈ，１９ｈに案内され、リテーナ部１９ａ，１９
ａとパツド押圧部１９ｃ，１９ｃ間に容易に組付
けられる。

この組付状態において、パツド押圧部１９ｃ，
１９ｃは摩擦パツド１３，１４をデイスク中心方
向へ押圧保持するが、パツド押圧部１９ｃ，１９
ｃは裏板１５，１６の上部に当接する水平部１９
ｉ，１９ｉと、この水平部１９ｉ，１９ｉの端部
より立上がる垂直部１９ｊ，１９ｊとからなつて
おり、広幅のパツド押圧部１９ｃ，１９ｃが押圧
力によつて変形することがないように強度をもた
せている。また、スプリング作用をするループ部
１９ｄ，１９ｄは、その傾斜部１９ｋ，１９ｋが
ブラケツト２の腕部３，３に形成された受面２
０，２０に当接して組付けられ、これによりパツ
ド押圧部１９ｃ，１９ｃの荷重の安定を図るよう
になつている。

そして、パツド押圧部１９ｃ，１９ｃは、その
中心よりデイスク面方向へ偏位した位置で、ルー
プ部１９ｄ，１９ｄによりリテーナ部１９ａ，１
９ａに連結されているから、組付けられた摩擦パ
ツド１３，１４の裏板１５，１６のデイスク側端
部にパツド押圧力が強く働き、これが摩擦パツド
１３，１４をデイスク１から引き離す方向へ押し
返す力となつている。

そして、制動を解除すると、ピストン８はピス
トンシール２１の復元力によつて元の位置に復帰
し、これと同時に摩擦パツド１３，１４もデイス
ク１から離れる。このとき、摩擦パツド１３，１
４がデイスク１の両面からの離間が、十分でない
場合が生じても、リテーナ兼パツドスプリング１
９のパツド押圧部１９ｃ，１９ｃに生じている押
し返す方向の力によつて戻される。これにより、
制動を解除しても、摩擦パツド１３，１４が所定
の位置に戻らない現象は有効に解消され、パツド
のデイスクの制動面への摺接は軽減される。

なお、リテーナ兼パツドスプリング１９のルー
プ部１９ｄ，１９ｄはブラケツト２とキヤリパ６
間の自由空間に位置するため、ループ部１９ｄ，
１９ｄを十分に大きくとることが可能となり、ル
ープ部１９ｄ，１９ｄをブラケツト２に当接しな
くとも十分なパツド押圧力を得ることができる。

このように本考案のリテーナ兼パツドスプリン
グはブラケツトのガイド部を保護する機能と、摩
擦パツドをデイスク中心方向へ押圧する機能を兼
ね備えているから、部品点数が削減し、製作費の
節減、組付手数が省かれる。そして、一対のパツ
ド押圧部は、それぞれ独立して摩擦パツドを押圧
し、しかもこのパツド押圧部はスプリング作用を
するループ部によつて支持されているので、所定
の設定押圧力を得ることができ、摩擦パツドのガ
タつき、制動時の浮き上りを有効に抑える。ま
た、パツド押圧部はそれぞれ独立して摩擦パツド
を押圧し、かつこれを支持しスプリング作用をす
るループ部は、パツド押圧部中心よりデイスクの
制動面側に偏位した位置で支持しているから、摩
擦パツドにデイスクの制動面から離す方向の力が
生じ、これにより制動を解除した時の摩擦パツド
の戻りが不十分であつたとしても、パツド押圧部
によつて押し戻され、パツドのデイスクの制動面
への摺接を有効に軽減することができる。

さらに本考案によれば、パツド交換等のメンテ
ナンスが良好で、しかも十分なパツド押圧力を得
ながら、パツドの引摺を回避できる等実益多大で
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案をフローテイング型デイスクブレ
ーキ装置に適用した一実施例を示すもので、第１
図は半断面背面図、第２図は第１図の−断面
図、第３図はリテーナ兼パツドスプリングの斜視
図である。 １はデイスク、２はブラケツト、５はガイド
部、６はキヤリパ、１３，１４は摩擦パツド、１
５，１６は裏板、１９はリテーナ兼パツドスプリ
ング、１９ａはリテーナ部、１９ｂは連結部、１
９ｃはパツド押圧部、１９ｄはループ部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輪と一体に回転するデイスクの両面に配置さ
   れた一対の摩擦パツドと、段状に形成されたガイ
   ド部によりこの摩擦パツドをデイスク軸方向に摺
   動可能に支持するブラケツトと、ブラケツトと摩
   擦パツドとの間に介在されかつ摩擦パツドをデイ
   スク中心方向に押圧するリテーナ兼パツドスプリ
   ングを備えた車両用デイスクブレーキ装置におい
   て、前記リテーナ兼パツドスプリングは、連結部
   で連結されブラケツトのガイド部を被覆する水平
   部及び垂直部からなる一対のリテーナ部と、摩擦
   パツドをそれぞれ独立して押圧するデイスク軸方
   向に広幅のパツド押圧部と、このパツド押圧部を
   その中心よりデイスクの制動面側に偏位した位置
   で前記リテーナ部に連結するループ部とからな
   り、前記ループ部はブラケツトの腕部に形成した
   受面に当接する傾斜部を有し、前記連結部とリテ
   ーナ部の水平部とは夫々ブラケツトに係止する係
   止部を有することを特徴とする車両用デイスクブ
   レーキ装置のリテーナ兼パツドスプリング。