JPS6326176Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム
等の潮解性組成物の吸水力を利用した吸湿剤に関
する。

〔従来の技術〕

従来のこの種潮解性吸湿組成物を使用する吸湿
剤は、顆粒状の上記吸湿剤を、容器主体の上方部
に嵌合する開放部を有する受皿に収容するか、或
いは、上半部を透湿フイルムで形成し、下半部を
不透湿フイルムで形成し、かつ、その中間部に網
状の仕切枠を介在させた袋状容器の上方室に直接
充填していたため、前者の場合には、容器が転倒
するときは、吸湿剤がこぼれ落ちる欠点を有する
と共に、後者の場合には、吸湿剤の粉末が前記網
枠の目より落下してしまう欠点を有していた。

〔考案が解決しようとする問題点〕 そこで、かかる吸湿剤の落下等を防止する目的
で、顆粒状の吸湿剤を網あるいは布等からなる通
気性の内袋に詰めて、容器に納める手段が提案さ
れている。

ところで、このような吸湿剤の潮解液は、粘性
を有すので、前記内袋を用いるときには、内袋か
らの切れ落ちが悪く、殊に、これを網状の仕切枠
などに載置するときには、該枠上並びに容器内壁
とこれに接する前記内袋との間の潮解液残留によ
つて、該内袋の大部分が潮解液によつて目詰まり
状態を起す結果、該内袋の通気性が阻害されて、
吸湿能力が大きく低下する。そのために、このよ
うな通気性内袋を用いる手段の実用化が困難視さ
れていた。

かかる状況下において、本考案は、上述した在
来のこの種吸湿剤における問題点を解決すると同
時に、前記吸湿剤の空気接触を良好ならしめ、そ
の吸湿能力を充分に発揮し得るよう配慮した容器
構成に特徴を有する吸湿剤の開発を目的とするも
のである。

〔問題点を解決するための手段〕

而して、この目的は、本考案によれば、透湿性
フイルムからなる上方部分と不透湿性フイルムか
らなる下方部分とによつて成型される容器におい
て、該容器の前記透湿性フイルム成型上方部に、
不織布等の通気性素材からなる収容袋に充填した
塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の潮解性吸
湿組成物を該収容袋外周を容器内壁から離して、
吊り下げてなる吸湿剤の構成によつて達成するこ
とが出来る。

〔作用〕

上記本考案の構成において、容器の透湿性フイ
ルム成型上方部に吊り下げた収容袋は、その外周
が容器内壁から離れて垂下状態にある。従つて、
該袋に収容した潮解性吸湿組成物は、該袋を透過
した空中水分を吸収して徐々に潮解する。

潮解液は垂下した該袋の下部から滴下し、容器
の下方部分に貯溜される。

以下、図面に示した実施例に基づき、本考案の
構成を説明する。

〔実施例〕

第１図および第２図は、本考案吸湿剤の斜視図
並びに縦断側面図で、袋状に成型した容器主体１
は、その上方部分１ａを、透湿性フイルム（ふつ
素樹脂等の微多孔皮膜構造を応用し、空気及び水
蒸気等の気体分子は通すが、水又は塩化カルシウ
ム水溶液等の液体を通さないフイルム）で形成
し、下方部分１ｂをビニール等の不透湿性フイル
ムで形成し、両部分１ａ及び１ｂをヒートシール
手段により一体的に接合構成してある。

かかる透湿性フイルムからなる上方部分１ａ内
には、顆粒状の塩化カルシウム等の潮解性吸湿組
成物２を不織布製の袋或いは目の細い網袋等の通
気性素材で形成される袋に充填した吸湿剤収容袋
３を、その上端を容器主体１の上方部分１ａの頂
部にヒートシール接合して装備せしめてある。

上述の構成からなる本考案品を使用するには、
不使用時において容器主体１を被包するセロフア
ン、ビニール等の防湿性外装材を取り除いた後、
容器主体１を洋服ダンス等の使用場所に懸吊する
などして使用する。

塩化カルシウム等の潮解性吸湿組成物２（吸湿
剤）が格納される容器主体１の上方部分１ａは、
ふつ素樹脂等の微多孔皮膜構造を応用した透湿性
フイルムによつて形成されるため、空気及び水蒸
気等の気体分子は通すが、水等の液状体は通さ
ず、この透湿性フイルムからなる容器主体１の上
方部分１ａからは、空気と共に空中水分が侵入
し、更に通気性素材からなる吸湿剤収容袋３を透
過して潮解性吸湿組成物２に吸収される。

水分の吸着によつて潮解した吸湿組成物２は、
その潮解液が徐々に降下し、吸湿剤収容袋３の下
端から滴下して容器主体１の不透湿性フイルムか
らなる下方部分１ｂに貯溜される。

本考案における容器構造にあつては、潮解性吸
湿組成物２が、容器主体１の上方部分１ａにおい
て吸湿剤収容袋３に充填されて吊り下げられてい
るため、容器主体１内の空気の流動性が極めて良
好であるとともに、下方部分１ｂを潮解液の貯溜
層として、上方部分１ａにおける吸湿性組成物２
の配置位置と明確に区劃した結果、透湿性フイル
ムを介して容器主体１内外の空気流通が円滑に行
われ、潮解性吸湿組成物２の水分吸収作用を充分
に発揮させることができることに加え、吸湿組成
物２がその潮解液に浸されることがないので、吸
湿機能を長期間に亙つて持続させ得るものであ
る。

〔考案の効果〕

叙上の如く、本考案によれば、容器主体の上方
部分を透湿性フイルムで形成し、その下方部分を
不透湿性フイルムで形成した密封容器の上方に、
潮解性吸湿組成物を不織布等の通気性素材からな
る吸湿剤収容袋に充填してこれを吊り下げ、該容
器の下方を潮解液の貯溜室とする構成を採用した
結果、不使用時或いは使用時において、吸湿剤が
こぼれ落ちることを確実に阻止すると同時に、垂
下状態にある前記袋が容器内壁から離れているの
で、該袋と容器内壁との空間を含めた容器内空間
の空気流動状態を円滑に維持し、該袋の通気性を
潮解液によつて浸される底部を除く大部分の外周
域で保ち得るので、該吸湿剤に対する空気接触を
長時間に亙つて効果的に行い、以つて、本考案吸
湿剤は顆粒状潮解解性吸湿組成物のこぼれ落ち防
止用内袋を用いた構成下に、水分吸着作用を充分
に発揮させることが可能な実用器具を提供するこ
とが出来るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案吸湿剤の一実施例を示す斜視
図、第２図は同じく縦断側面図である。 １……容器主体、１ａ……上方部分、１ｂ……
下方部分、２……潮解性吸湿組成物、３……吸湿
剤収容袋、４……網枠、５，６……捻子嵌合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 透湿性フイルムからなる上方部分と不透湿性フ
   イルムからなる下方部分とによつて成型される容
   器において、該容器の前記透湿性フイルム成型上
   方部に、不織布等の通気性素材からなる収容袋に
   充填した塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の
   潮解性吸湿組成物を該収容袋外周を容器内壁から
   離して、吊り下げてなる吸湿剤。