JPS6325088Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、研削砥石のドレツシング装置に関
するものである。

従来の技術 一般に、第１図に示す如く、車の軸受等に使用
される円錐ころ軸受の内輪Ａの転走面Ｂには、応
力集中を避けるため、クラウニング加工を施した
クラウニング面Ｃと、その両端に位置する急勾配
のテーパ状をしたカツト面Ｄとが形成されてい
る。そして、内輪Ａを取り付けた車軸が外力によ
り撓み、軸受内輪Ａの転走面Ｂ上を転走している
円錐ころ（図示せず）と転走面Ｂとの間に位置ズ
レが生じた時、カツト面Ｄにて荷重を受けるよう
にしている。

研削盤を用いて軸受内輪Ａの転走面Ｂを上記し
た形状に仕上げるためには、研削砥石Ｅの砥石面
Ｆを第２図に示す如く、転走面Ｂの転写形状、す
なわち、両端に急勾配のストレートな或いはほぼ
ストレートな傾斜面Ｇ，Ｇを有し、中央部には内
輪のクラウニング面Ｃと対応する形状の面Ｈを有
する糸巻状に整形する必要がある。この研削砥石
Ｅの整形には、従来第２図に示すような倣いドレ
ツシング装置が使用されている。この倣いドレツ
シング装置は、単石ドレスダイヤ１を上下方向に
スライド自在に支持する上下方向スライド２と、
上下方向スライド２を軸方向にスライド自在に支
持する軸方向スライド３とからなつており、上下
方向スライド２に固定したスタイラス４を所望の
仕上がり形状と同じに製作したテンプレート５に
倣わせ、単石ドレスダイヤ１を上下方向に移動さ
せることにより、研削砥石Ｅを所定の形状にドレ
スするものである。

考案が解決しようとする問題点 上記倣いドレツシング装置を用いて研削砥石Ｅ
を所定の形状にドレツシングすると、ドレツシン
グに時間がかかり、又テンプレートの製作が困難
であると共に、テンプレートの取付け並びに段取
り時のテンプレート取替えの作業性が悪いといつ
た欠点があつた。又倣いドレツシング装置は、単
石ドレスダイヤ１にて研削砥石Ｅをドレツシング
するため、単石ドレスダイヤの摩耗が早く、ダイ
ヤ交換を頻繁に行う必要があり、又ダイヤ交換前
後で研削面粗さが変化するため、安定した研削精
度が得られないといつた問題があつた。

この考案は、クラウニング面と対応する形状の
砥石面を有する中央部とこの中央部の外周面と連
接するとともに軸方向外側に向かつて徐々に大径
となる砥石面を有する端部とからなる研削砥石の
ドレツシングにおける上に述べたような問題を解
消しうるドレツシング装置を提供せんとするもの
である。

問題点を解決するための手段 この考案のドレツシング装置は、円柱状の中央
部と、中央部の外周面と連接するとともに軸方向
外側に向かつて徐々に小径となる円錐台状の端部
とからなるドレツサーを具備している。しかして
このドレツサーは、使用時、ドレツサーの軸線が
研削砥石の外接平面と平行な平面内において研削
砥石の軸線に対して所定の角度をな状態で、研削
砥石の半径方向に送られて研削砥石と接触する。

作 用 このようにしてドレツサーを研削砥石に対して
傾斜した状態で接触させることにより、ドレツサ
ーと研削砥石との接触線が研削砥石の軸線に対し
て傾斜した状態となり、研削砥石の砥石面のうち
ドレツサーと接触する部分は被研削物に付与すべ
き中央のクラウニング面および端部の傾斜面と対
応する形状の面となる。

実施例 まず、第１図に示した軸受内輪Ａのようにクラ
ウニング面の両側にカツト面を有する被研削物用
の研削砥石を研磨するためのドレツシング装置の
実施例について説明する。

このドレツシング装置は第４図に示すようなド
レツサー１０を使用する。このドレツサー１０
は、円柱状の中央部１０ａと、中央部１０ａの軸
方向両側に位置してそれぞれ軸方向外側に向かつ
て小径となる円錐台状の端部１０ｂとからなる。
中央部１０ａと端部１０ｂとは所定の曲率で滑ら
かに連接して連接部１０ｃを形成している。な
お、カツト面がクラウニング面の片側にだけある
被研削物用の研削砥石の場合、ドレツサー１０の
円錐台状端部も何れか一端にだけ設ければよい。

このドレツサー１０は使用時に第３図ａ，ｂに
示す状態に保持される。すなわち、ドレツサー１
０の軸線イが研削砥石Ｅの外接平面と平行な平面
第３ｂ図の紙面内において研削砥石Ｅの軸線ロに
対して所定の角度α〓をなすように、研削砥石Ｅお
よびドレツサー１０の軸方向中心Ｐもしくはその
付近にて両者の軸線イ，ロと直交する直線（第３
図ｂの紙面に対して垂直な直線）を回転中心とし
て傾いた状態で、ドレツサー１０は研削砥石Ｅと
接触する。

このようにドレツサー１０を研削砥石Ｅに対し
て傾斜した状態で接触させることにより、ドレツ
サー１０の中央部１０ａと研削砥石Ｅとの接触線
が研削砥石Ｅの軸線ロに対して傾斜した状態とな
り、研削砥石Ｅの砥石面Ｆのうちドレツサー１０
の中央部１０ａと接触する部分は内輪Ａのクラウ
ニング面Ｃと対応する形状の面Ｈとなる。また、
ドレツサー１０の端部１０ｂと接触する研削砥石
Ｅの両端部には、ストレートなもしくはほぼスト
レートな〔ドレツサー１０の傾斜角α〓による〕傾
斜面Ｇが形成される。なお、ドレツサー１０の連
接部１０ｃが研削砥石Ｅの砥石面Ｆと接触する点
D′，D″間の距離は、研削砥石Ｅの幅寸法より短
い。

次に、上述の原理に基づくこの考案に係るドレ
ツシング装置の具体的実施例を第５図乃至第８図
に従つて説明すると次の通りである。同図に於い
て、１１はこの考案に係るドレツシング装置を支
持するドレス補正装置（図示せず）のドレス補正
軸、１２はドレス補正軸１１の軸端に固定した支
持板、１３は支持板１２に固定したピン１４を中
心として支持板１２に対し回動自在に装着した支
持フレーム、１５は支持フレーム１３を支持板１
２に固定するためのクランプボルトである。１６
は支持板１２と支持フレーム１３との間に設置し
た傾き調整ネジであり、上述したクランプボルト
１５を緩めた後、傾き調整ネジ１６を手動で回転
させることにより、支持フレーム１３の支持板１
２に対する傾斜角度を調整できるようにしてあ
る。１７は支持フレーム１３にベアリング１８を
介して回転自在に支持された支点軸、１９は支点
軸１７に支持フレーム１３に対し揺動自在に支持
された揺動アームである。２０は揺動アーム１９
にベアリング２１を介して回動自在に支持された
ダイヤモンドロール組込スピンドルであり、この
ダイヤモンドロール組込スピンドル２０には、上
述したストレートな円柱状の中央部１０ａと円錐
台状の端部１０ｂ，１０ｂとからなる上述のドレ
ツサーとしてダイヤモンドロール１０が取付けて
ある。そして、このダイヤモンドロール１０の中
心Ｏは、揺動アーム１９を支持している支持フレ
ーム１３の旋回中心線ハを含む水平面上に位置す
るようにしてある。又このダイヤモンドロール組
込スピンドル２０は、これを支持するベアリング
２１と一体にユニツト化されており、ダイヤモン
ドロール１０の揺動アーム１９への着脱が容易に
行えるようにしてある。２２は支持フレーム１３
の上方に取付けたスピンドル駆動用モータであ
り、このスピンドル駆動用モータ２２と、ダイヤ
モンドロール組込スピンドル２０とはプーリ２
３，２４及びＶベルト２５を介して連結してあ
り、スピンドル駆動用モータ２２にてダイヤモン
ドロール１０を回転駆動するようにしてある。２
６はプーリ２３，２４及びＶベルト２５の外周に
被嵌されたカバー部材、２７は支持フレーム１３
の上方に固定した配線中継ボツクス、２８，２９
は揺動アーム１９の前面に取付けたクーラント飛
沫カバーである。３０は支持フレーム１３の下部
に設置したロータリーアクチユエータ３１にて回
転するカムであり、このカム３０は揺動アーム１
９の下部に固定したブロツク体３２と接触してお
り、カム３０を回転させることにより、支点軸１
７を揺動中心として揺動アーム１９を揺動させる
ことができる。そして揺動アーム１９を揺動させ
ることにより、ドレス切込を行うようにしてい
る。３３は揺動アーム１９の下端に固定したボル
ト、３４はボルト３３を介して揺動アーム１９
と、それを支持している支持フレーム１３との間
に圧入したスプリングであり、このスプリング３
４の弾力により揺動アーム１９に固定したブロツ
ク体３２をカム３０に圧接させるようになつてい
る。

上記構成に於いて、傾き調整ネジ１６を操作し
て支持フレーム１３を支持板１２に対してピン１
４まわりに所定角度だけ旋回傾斜させ、支持フレ
ーム１３に揺動アーム１９を介して取付けたダイ
ヤモンドロール１０を、研削砥石Ｅの軸線ロに対
して所定角度傾斜させた後（第３図ｂ参照）、ス
ピンドル駆動用モータ２２を始動させてプーリ２
３，２４及びＶベルト２５を介してダイヤモンド
ロール組込スピンドル２０を回転させ、ダイヤモ
ンドロール組込スピンドル２０に固定したダイヤ
モンドロール１０を回転させると同時に、ロータ
リーアクチユエータ３１を始動させ、カム３０を
回転させることにより、揺動アーム１９を支点軸
１７を中心として揺動させてドレツシングを行え
ば、前述したように、研削砥石Ｅの砥石面Ｆに、
クラウニング面に対応する面Ｈと、傾斜面Ｇとを
形成することができる。

尚、ドレツシング時の切込量を変更する時に
は、カム３０を変更すればよい。

考案の効果 以上説明したように、この考案によれば、クラ
ウニング面の片側又は両側にストレートなカツト
面を有するワークを研削するための研削砥石の研
磨を容易・迅速におこなうことができる。しか
も、ドレツサーにはストレートな円柱状の中央部
を形成するだけでよいため、安価なダイヤモンド
ロールのごときドレツサーの使用が可能になり、
更に単石ドレスダイヤに比べてドレツサーの摩耗
が遅くなり、安定した研削面粗さを得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は円錐ころ軸受の軸受内輪の断面図、第
２図は倣いドレツシング装置の略図、第３図ａ及
びｂは本考案に係るドレツシング装置の原理を説
明するための略図、第４図は本考案に係るドレツ
シング装置で使用するドレツサー（例えばダイヤ
モンドロール）の形状を示す図面、第５図はこの
考案に係るドレツシング装置の正面図、第６図は
側面図、第７図は正面断面図、第８図は側面断面
図である。 Ａ……内輪、Ｂ……転走面、Ｃ……クラウニン
グ面、Ｄ……カツト面、Ｅ……研削砥石、Ｆ……
砥石面、Ｇ……傾斜面、Ｈ……内輪のクラウニン
グ面と対応する面、１０……ドレツサー〔ダイヤ
モンドロール〕、１０ａ……円柱状中央部、１０
ｂ……円錐台状端部、１０ｃ……連接部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラウニング面と対応する形状の砥石面を有す
   る中央部と、中央部の外周面と連接するとともに
   軸方向外側に向かつて徐々に大径となる砥石面を
   有する端部とからなる研削砥石を整形するための
   ドレツシング装置であつて、円柱状の中央部と、
   中央部の外周面と連接するとともに軸方向外側に
   向かつて徐々に小径となる円錐台状の端部とから
   なるドレツサーを、その軸線が研削砥石の外接平
   面と平行な平面内において研削砥石の軸線に対し
   て所定の角度をなした状態で研削砥石の半径方向
   に送つて研削砥石と接触させることを特徴とする
   ドレツシング装置。