JPS5926428B2 - 被加工物の心なし研削方法及びその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、被加工物の心なし研削装置に関するものであ
る。

通常、フランジを有する円筒状部品の円筒部とフランジ
端面を同時に心なし研削しようとするとき、フランジ端
面を研削する砥石部分は砥石軸方向に摩耗する。

そこでこの摩耗量を補正し、フランジ端面の位置精度を
保証するため、心なし研削装置として砥石をその軸方向
に移動できる砥石軸を備えたものは知られている。しか
しこの従来の心なし研削装置では、砥石軸が複雑となり
、また摩耗の補正量を制御するための機構が必要である
こと、さらにフランジ端面の取代をあまり大きくできな
いこと、また砥石軸の剛性が低下するなどの欠点がある
。また従来の心なし研削装置では、調整卓が複数の直径
からなる段付き形状に形成されて各々の部分が被加工物
の異なる直径を有する軸部の外周面に接するため、被加
工物との接触部においていくつかの異つた周速をもち、
被加工物の周速が変動して、良い研削精度が得られない
欠点を有する。

また従来の心なし研削装置では砥石または調整車の送り
込みによつて被加工物の被研削端面の反対側に位置する
非研削端面の外周部を調整車の端面に当接させて被加工
物の軸心方向の位置決めをして研削するため、平面度が
悪い非研削端面により被加工物が軸心方向に出入りした
り、調整車の端面角部にひつかかつたりすると共に、被
加物の軸心を通る平面内で被加工物に回転モーメントが
作用しておどりの原因となり、端面の研削精度が悪いと
共に軸部の研削精度（真円度、寸法）が悪くなる欠点を
有する。本発明の目的は、上記従来技術の欠点をなくし
、特別な砥石摩耗の補正機構を必要としないと共に軸部
とフランジ端面とを同時に高精度でもつて研削できるよ
うにした被加工物の心なし研削装置を提供するにある。

即ち本発明は、上記目的を達成するために、第１の円錐
加工面と該第１の円錐加工面に連ねた第２の円錐加工面
とを有し、且，駆動装置で回転駆動される砥石と、垂直
方向において被加物の軸心が上記砥石の第１の円錐加工
面の頂点を通るように被加工物に心高を付けて砥石の軸
心に対して傾斜させて、被加工物の軸部を支持する支持
面を、水平方向において上記砥石の第１の円錐加工面に
平行に配置させた支持装置と垂直方向において上記支持
装置によつて支持された被加工物の軸心に対してリード
角傾斜させて水平方向において砥石の第１の円錐加工面
と平行に配置された軸心を有し、且つ上記被加工物の一
つの軸部のみに接触する一つの円柱形状で形成され、駆
動装置によつて回転駆動される調整車と、該調整車と砥
石とのいずれか一方を他方に対して一方向に直線的に送
り込む送り手段とを備え、該送り手段によつて送り込ん
で被加工物の一つの軸部のみを調整車ど砥石の第１の円
錐加工面とではさみ込むと共に上記リード角によつて被
加工物を軸心方向に送り込み、砥石の第１の円錐加工面
で被加工物の軸部を研削すると同時に砥石の第２の円錐
加工面で被加工物の端面を研削することを特徴とする被
加工物の心なし研削装置である。

以下本発明を図に示ず実施例にもとづいて具体的に説明
する。

第１図及び第２図は、本発明の原理図を示すもので、第
１図は心なし研削装置の一部を上方から見た平面図、第
２図はＤ−Ｄ矢視断面図である。即ち調整車２の軸心Ｊ
は第１図に示す如く水平面内で砥石１の軸心Ｇに対し、
角度θ１だけ傾斜して配置さへこの調整車２の軸心Ｊに
ほぼ平行に砥石１の作業面ＣｌＡは成形される。また角
度１Ｃ１ＡＣ２が被加工物３の軸部とフランジ端面との
なす角度の設計値θに一致するように砥石１の作業面Ｃ
２Ａは成形される。一方調整車２は軸心Ｊにほぼ平行な
、テーパ面のない作業面に成形される。しかし被加工物
３のフランジ部に軸方向に切込みを与え、且被加工物３
の一端を支持板５の一端に植設されたストツパ５ａに当
て”Ｃ被加工物３のフランジの端面の寸法精度を確保す
るために、第２図に示す垂直方向において調整車２を被
加工物３に対して被加工物３のフランジ部側において高
く被加工物３の他の一端において低くなるようにリード
角φ、即ち第２図に示す如く垂直面内で被加工物３の軸
心Ｆと調整車の軸心Ｊとのなす角φだけ傾ける。また第
２図に示す如く、砥石１の軸心Ｇと調整車２の軸心Ｊと
を垂直面内で交叉する点Ｌと、被加工物３の軸心Ｆとの
垂直方向の距離Ｈを心高といい、良好な被加工物３の真
円度を確保するためには、この心高Ｈを適切な値に設定
する必要がある。しかし、第２図において被加工物３の
軸心Ｆを砥石１の軸心Ｇを通る水平面に平行にとつたと
しても、被加物３の軸心Ｆと被加工物３のフランジ端面
とのなす角度は砥石１の成形角θと一致しない。そこで
第２図に示す如く、砥石１の被加工物軸研削部、即ち円
錐面１ａの頂点をＯとしたとき、垂直面内でこの頂点０
を被加工物３の軸心Ｆが通るように支持板５の上面を砥
石１の軸心Ｇから角度αだけ反時計方向に傾ける必要が
ある。即ち垂直面内で砥石１の軸心Ｇと調整車２の軸心
Ｊとの間に（α＋φ）なる角度だけ傾斜させる必要があ
る。なお厳密に説明すると、被加工物３の軸心Ｆが砥石
１の軸心Ｇに対して角度α傾斜して支持板５によつて支
持されているので、第１図の投影面内では、砥石１の円
錐半角度を砥石１の軸心と調整車２の軸心とのなす角θ
１に対してΔθだけずらす必要がある。即ち第１図に示
す如く砥石１の円錐頂角の半分を予めθ１＋Δθにして
おく必要がある。また調整車２は被加工物３に対してリ
ード角だけ傾斜させているため、調整車２の外周と被加
工物３の外周が直線上に接するように軸方向に僅かの凹
面を形成するように曲面を有している。次に上記原理に
もとづいて本発明の心なし研削盤の一実施例を第３図及
び第４図にもとづいて説明する。

即ち１は軸心Ｇに対して（θ１＋Δθ）傾斜した円錐面
１ａと該円錐面１ａに対して角度θをなし、軸心Ｇに対
してθ２傾斜した円錐面１ｂとを有する砥石にして、ベ
ツド１２に締着された砥石軸ヘツド１７に回転自在に支
持されている。１９は砥石１を一端に固着した軸１８の
他端に固着されたプーリにして、駆動モータの出力値２
０に固着されたプーリ２１とベルト２２を介して連結さ
れ第３図に示す如く時計方向に回転駆動されるように形
成されている。

２は軸心方向にほぼ同一半径にて形成された円筒形状を
有する調整車にして、調整車台８の両端に設けられた軸
受７によつて回転自在に支持されている。

更にこの調整車２は、駆動モータ１１によつて第３図に
示す如く時計方向に回転駆動されるように構成されてい
る。調整車台８は上記調整車２の軸心Ｊが砥石軸心Ｇか
ら垂直方向に（α＋φ）なる角度傾斜するように軸受７
を垂直方向に回動調整可能にして取付けている。１０は
第１スライダにして、調整車２の軸心Ｊが砥石１の軸心
Ｇに対して水平面内で角度θ１傾斜した位置に配置され
るように、第２スライダ９をピポツト（図示せず）を中
心に上記傾斜角θ１だけ旋回転させて締着している。

更に、この第１スライダ１０はベツド１２上に砥石１の
軸心Ｇと直角方向に摺動自在に支持され、且送り込みハ
ンドル１３に連結された送りねじ機構（図示せず）によ
つて送り込まれるように形成されている。１４は砥石１
の外形を前記所定の形状に修正成形するドレツサにして
、油圧シリンダ１６のピストンロツドに連結され、且砥
石１の軸心方向に移動するドレツサヘツド２３に砥石１
の軸心方向に直角な方向に摺動自在に支持されている。

而してドレツサ１４はベツド１２に固着されたフレーム
２６に固定され、且砥石１の円錐面１ａと円錐面１ｂと
のなす角θに等しい頂角を有する三角形のテレプレート
１５の倣い面に沿つて倣うよう形成されている。５は被
加工物３の軸部を支持する支持板にして、第２図に示す
如く、垂直面内で砥石１の軸心Ｇと調整車２の軸心Ｊと
の交点を結んだ点Ｌから所定の心高Ｈをとつた被加工物
３の軸心ど砥石１の円錐面１ａの頂点０を結んだ線Ｆと
平行、即ち水平面に対して角度αだけ傾斜させ、且上記
線Ｆから被加工物３の軸部の半径だけ低くした上面を形
成し、砥石１の円錐面の交点Ａから所定寸法離れた位置
にストツパ５ａをネジ込み植設しており被加工物３の軸
方向に伸縮自在となつている。

また、この支持板５は第２スライダ９に締着された支持
台６に対して調整自在に固定されている。このように構
成したことにより、送り込みハンドル１３を所定量回動
し、調整車２を送り込み方向ｖに送り込み、砥石１によ
り被加工物３の軸部に切込みが与えられると同時にリー
ド角φによつてスラストカが発生し、被加工物３はスト
ツパ５ａ方向に引寄せられ、フランジ端面に切込みが与
えられる。

研削サイクルの初期には、被加工物３はストツパ５ａと
離れているので、このスラスト力と、フランジ端面での
研削力の法線方向成分とが平衡した状態で研削されるが
、スラストカは比較的大きいので、フランジ端面の切込
み速度は大きく、荒研削に相当する。しかし被加工物３
がストツパ５ａと接してからは、フランジ端部の切込み
速度は軸部の切込み速度に比べて小さく中仕上げないし
精密仕上げ研削の如くなり、フランジ端面を研削したこ
とによる軸部加工精度への影響は小さく、良好な加工精
度を得ることができる。また砥石が摩耗すると、砥石作
業面ＣｌＡＣ２は研削砥石台を基準にしたドレツサ１４
により、Ｃ′１Ａ′Ｃ′２の如く、砥石１の角部Ａが常
に砥石１の軸心Ｇと直角な線ＡＢ上にあるので、砥石１
のドレツシング量の補正は、単に送り込み方向の切込み
を砥石１の半径減に相当する量だけ送り込みハンドル１
３を回して増してやれば良く、従来のように砥石１や調
整車２を軸方向に移動させる構造に比べて、構造が極め
て簡単であり、また砥石摩耗を補正するに要する複雑な
機構を必要としない。なお、上記実施例では、被加工物
３の軸部とフランジ部の研削面のなす角θが直角の場合
について述べたが、必らずしもθが直角に近い必要はな
く、もつと大きい場合にも小さい場合にも本法を用いる
ことができる。また第５図に示すように砥石１の形状を
軸心Ｇに対して角度θ，で傾斜させた円錐面１ｅと該円
錐面１ｅの径の細い一端に軸心Ｇに対して角度θ２で傾
斜させて突出させた円錐面１ｄによつて成形し、他は第
１図及び第２図に示す如く構成すれば、被加工物３の軸
部と端面とを同時に心なし研削することができ、上記実
施例と同じ作用効果を達成することができる。また第６
図に示すように被加工物３に２ケのフランジを有する場
合にも、第１図及び第２図に示す砥石１と調整車２を各
々２ケ設ければ適用することができる。以上説明したよ
うに本発明によれば、単に被加工物を支持する支持板及
び調整車の送り込み量を変えるだけで調整車が被加工物
の端部に接触することなく、被加工物の軸部と端面とを
同時に高精度でもつてしかも能率よく研削することがで
きる効果を奏する。

特に本発明によれば被加工物の端面を研削するのに関与
する砥石の砥粒個数がかなり増大するので、被加工物の
端面部を研削する部分の砥石の寿命が長くすることがで
き、このことから被加工物の端面の取代を大きくするこ
とができる。また本発明によれば調整車がほぼ円筒状に
形成されていて、被加工物の軸のみ接触しているので被
加工物の周速を一様にすることができ、被加工物の軸部
の真円度を高精度にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による心なし研削盤の原理を示した主要
部拡大平面図、第２図は第１図のＤ−Ｄ矢視断面図、第
３図は本発明による心なし研削盤の一実施例を示す側面
図、第４図は第１図のＥ−Ｅ矢視図、第５図は本発明に
よる心なし研削盤の他の一実施例を示した主要部拡大平
面図、第６図は更に本発明による心なし研削盤の他の一
実施例を示した主要部拡大平面図である。 １・・・・・・砥石、２・・・・・・調整車、３・・・
・・・被加工物、５・・・・・・支持板、５ａ・・・・
・・ストツパ、６・・・・・・支持台、７・・・・・・
軸受、８・・・・・・調整車台、９・・・・・・第２ス
ライダ、１０・・・・・・第１スライダ、１１・・・・
・・駆動モータ、１２・・・・・・ベツド、１３・・・
・・・送り込みハンドル、１４・・・・・・ドレツサ、
１５・・・・・・テンプレート、１６・・・・・・油圧
シリンダ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 第１の円錐加工面と該第１の円錐加工面に連ねた第
   ２の円錐加工面とを有し、且駆動装置で回転駆動される
   砥石と、垂直方向において被加工物の軸心が上記砥石の
   第１の円錐加工面の頂点を通るように被加工物に心高を
   付けて砥石の軸心に対して傾斜させて被加工物の軸部を
   支持する支持面を、水平方向において上記砥石の第１の
   円錐加工面に平行に配置させた支持装置と、垂直方向に
   おいて上記支持装置によつて支持された被加工物の軸心
   に対してリード角傾斜させて水平方向において砥石の第
   １の円錐加工面と平行に配置させた軸心を有し、且つ上
   記被加工物の一つの軸部のみに接触する一つの円柱形状
   で形成され、駆動装置によつて回転駆動される調整車と
   、該調整車と砥石とのいずれか一方を他方に対して一方
   向に直線的に送り込む送り手段とを備え、該送り手段に
   よつて送り込んで被加工物の一つの軸部のみを調整車と
   砥石の第１の円錐加工面とではさみ込むと共に上記リー
   ド角によつて被加工物を軸心方向に送り込み、砥石の第
   １の円錐加工面で被加工物の軸部を研削すると同時に砥
   石の第２の円錐加工面で被加工物の端面を研削すること
   を特徴とする被加工物の心なし研削装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の被加工物の心なし研削
   装置において、砥石に対して一定なる位置に備え付けら
   れ、且砥石の円錐面の各々に対応して傾斜した複数の傾
   斜面を有するテンプレートと、該テンプレートの傾斜面
   に倣つて砥石の形状を修正するドレッサとを設けたこと
   を特徴とする被加工物の心なし研削装置。 ３ 特許請求の範囲第１項記載の被加工物の心なし研削
   装置において、被加工物の一つの軸部に調整車の円柱状
   外周面が線接触するように調整車の円柱状外周面を軸心
   方向に亘つて僅か凹面に形成したことを特徴とする被加
   工物の心なし研削装置。