JPS6320267Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、複数個のフロートを横方向に並設す
るとともに植付け装置の植付け面に対する上下位
置を変更調節する駆動機構を備えた田植機に関す
る。

田植機において、耕盤深さの変動等に拘わら
ず、植付け深さを設定範囲内に自動的に維持する
ために、一般には、泥面上を滑走するフロートを
利用して、そのフロート先端部の上下揺動変位量
を検出し、これに基づいて前記駆動機構を作動さ
せていたものであるが、これでは、耕盤深さの変
化には直接関係しない泥面の局部的な凹凸変化に
よつても駆動機構が作動されてしまい、正確な制
御を行い難いものである。また、軟泥面上でも敏
感に作動させるために、駆動機構制御用の操作バ
ルブも、僅かな操作力で敏感に応答することので
きる高精度のものでなくてはならないものであつ
た。

そこで従来では、泥面の局部的な凹凸による植
付け装置の無用な昇降作動を抑制する手段として
次に示すような技術が用いられていた。

○イ 複数個あるフロートの夫々の先端部どうし
を、相対的に上下動可能な状態で連結し、各フ
ロートの相対的な上下位置変化の平均値を検出
するように構成していたもの（例えば実開昭52
−52518号公報）。

○ロ 一つのフロートの揺動支点を、植付け装置に
対して一定の付勢力で下方へ付勢し、前記付勢
力に抗する方向で、揺動支点に作用するフロー
トの接地荷重を検出するように構成したもの
（例えば実開昭53−156814号公報）。

しかしながら、上記○イに示す従来技術によれ
ば、泥面の局部的な凹凸の検出に関しては、ほぼ
半減できる点で有用であるが、真に検出したい耕
盤深さの変動のみならず、走行機体の左右傾斜
や、植付け装置の左右傾斜が生じた場合にも耕盤
深さの変化と同様の検出結果が得られることとな
るため、植付け深さを安定良く設定範囲内に維持
するのは困難であつた。つまり、機体の左右傾斜
などに起因して得られた検出結果で植付け装置を
単に昇降制御しても、左右端部の植付け位置で浅
植えになつたり、深植えになり過ぎたりするだけ
であり、このような場合には、ローリング制御に
よつてしか左右植付け深さのアンバランスを修正
することができないので、昇降制御のための検出
結果と等価に検出されることは、検出値の外乱要
因となり、望ましい検出結果とはいえないもので
あつた。

また、前記○ロに示す従来技術では、揺動支点に
対する付勢力を極端に強く設定しておけば、泥面
の局部的な凹凸に殆んど影響されず、真に耕盤深
さが変化した結果を検出し易いものであるが、揺
動支点に対する付勢力は、泥面が軟らかく、か
つ、フロート接地面積があまり大きくないという
条件下でも、フロートの沈み込み量の変化による
接地の荷重の変化を敏感に検出しなければならな
いため、必要以上には強くできず、このため、泥
面が軟らかい場合には問題がなくとも、比較的硬
い場合には、やはり、ある程度の局部的な凹凸を
検出することは避けられないものであつた。さら
にまた、前記接地荷重を検出するセンサーフロー
トと、これとは別のフロートとの揺動支点位置が
必らず一致しないため、全体の植付け深さが確実
には揃い難いという欠点もあつた。

本考案は、泥面の硬軟に拘らず泥面の局部的な
凹凸を極力検出せずに、耕盤深さの変化を精度良
く検出し、植付け深さを安定良く設定範囲内に維
持し易く、しかも、各植付け箇所での植付け深さ
もほぼ一定に揃え易い田植機を提供することにそ
の目的がある。

上記目的を達成するための本考案の特徴とする
構成は、複数個のフロートを横方向に並設すると
ともに、植付け装置の植付け面に対する上下位置
を変更調節する駆動機構を備えた田植機におい
て、前記複数個のフロートの各揺動支点を、前記
植付け装置に取付けられた杆状部材で一体に連結
して各フロートの揺動支点に作用する接地荷重の
総和を検出する検出装置を構成し、この検出装置
と前記駆動機構とを連係して、前記接地荷重の総
和の変動に基づいて植付け装置の上下位置を変更
調節すべく構成した点にあり、かかる構成から次
の作用効果を奏する。

すなわち、フロート先端部の揺動量を検出する
のではなく、フロートの揺動支点に作用する接地
荷重を検出するものであり、しかも、その接地荷
重の総和の検出結果で植付け装置の昇降制御を行
うものであるから、フロート先端部の揺動量の平
均値を検出する場合に比べて、機体傾斜などによ
る外乱の影響を受け難いものであるとともに、一
つのフロートの揺動支点に作用する接地荷重のみ
を検出する場合に比べても、泥面の硬軟による影
響を受け難く、植付け深さを安定良く設定範囲に
維持し易く、また、各植付箇所での植付け深さが
不揃いになる虞れも少ないものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、乗用本機５の後部に、３つのフロートＦ…
を横方向に並設した６条植式植付け装置１を昇降
可能に連設するとともに、前記植付け装置１を油
圧シリンダ６を介して昇降させることにより、こ
の植付け装置１の植付け面（フロートＦで整地さ
れた泥面）に対する上下位置を変更調節する油圧
式駆動機構２を設けてある乗用田植機において、
前記フロートＦ…の各揺動支点Ｐ…に作用する接
地荷重の総和を検出する検出装置４を設けるとと
もに、この検出装置４を前記駆動機構２とを連係
させ、もつて、接地荷重の総和が設定範囲内に維
持されるように、植付け装置１の植付け面に対す
る上下位置を自動調節すべく構成してある。

前記検出装置４は、杆状部材３を、フロートＦ
…群の植付え装置１に対する上下移動によつてそ
の軸芯ａ周りに回転するように各フロートＦ…の
揺動支点Ｐ…を支持する取付けアーム７…を一体
に固着して、植付け装置１に取付けるとともに、
前記各フロートＦ…の揺動支点Ｐ…を接地方向
（下方）に移動付勢するスプリング８を設け、も
つて、接地荷重変化に杆状部材３の回転を追従さ
せて、この杆状部材３の基準姿勢に対する回転量
により接地荷重の総和を検出すべく構成してあ
る。

前記検出装置４と駆動機構２との連係機構は、
前記杆状部材３に、前記駆動機構２の油圧制御弁
１０にワイヤ１１を介して連動連結する部材１２
を、杆状部材軸芯ａ周りに回転自在な状態で取付
けるとともに、この連動連結部材１２に対して係
脱自在なレバー１３を杆状部材３に固着して、接
地荷重変化に伴なう杆状部材３の回動に油圧制御
弁１０の作動を連係させるべく構成してある。
尚、前記連動連結部材１２には、レバー１３が選
択係合可能な係合部１４を軸芯ａ周りに複数個形
成してあつて、レバー１３を係合部１４…に選択
係合して、レバー１３と連動連結部材１２との軸
芯ａ周りででの相対連動姿勢、つまり、フロート
Ｆ…群の植付け装置１に対する上下位置を設定変
更することにより、植付け装置１の植付け面に対
する上下位置を設定変更して植付け深さを変更で
きるように構成してあり、かつ、前記レバー１３
には、これを手動操作するための握り部１５を付
設してある。

又、前記検出装置４のスプリング８は、連動連
結部材１２に作用してフロートＦ…群を一括に接
地付勢するものである。

上記実施例では、乗用田植機への適用例を示し
たが、本考案は、歩行形式の田植機にも適用でき
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機の実施例を示し、第
１図は要部の側面図、第２図は要部の一部切欠き
背面図である。 Ｆ……フロート、Ｐ……揺動支点、１……植付
け装置、２……駆動機構、３……杆状部材、４…
…検出装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数個のフロートＦ…を横方向に並設するとと
   もに、植付け装置１の植付け面に対する上下位置
   を変更調節する駆動機構２を備えた田植機におい
   て、前記複数個のフロートＦ…の各揺動支点Ｐ…
   を、前記植付け装置１に取付けられた杆状部材３
   で一体に連結して各フロートＦ…の揺動支点Ｐ…
   に作用する接地荷重の総和を検出する検出装置４
   を構成し、この検出装置４と前記駆動機構２とを
   連係して、前記接地荷重の総和の変動に基づいて
   植付け装置１の上下位置を変更調節すべく構成し
   てあることを特徴とする田植機。