JP2886056B2 - 田植機の昇降制御機構 - Google Patents

田植機の昇降制御機構

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JP2886056B2 JP25389293A JP25389293A JP2886056B2 JP 2886056 B2 JP2886056 B2 JP 2886056B2 JP 25389293 A JP25389293 A JP 25389293A JP 25389293 A JP25389293 A JP 25389293A JP 2886056 B2 JP2886056 B2 JP 2886056B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行機体に対して駆動
機構により駆動昇降自在に苗植付装置を連結するととも
に、苗植付装置に上下動自在に複数の接地フロートを備
え、接地フロートに対する接地圧変動に基づく上下動量
が設定値に維持されるよう前記駆動機構を制御する制御
手段を備えてある田植機の昇降制御機構に関する。
【0002】
【従来の技術】上記田植機の昇降制御機構において、従
来では、左右中央に位置する接地フロートを後部支点周
りで上下揺動自在に支持し、接地圧変動に基づくこの接
地フロートの上下揺動量を検出して、その検出値が、操
縦者によって任意に設定された感度設定値と合致するよ
う前記駆動機構を自動制御する構成となっており、操縦
者は、泥土の硬さや機体走行速度等の作業条件を考慮し
て、適宜、感度設定を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記したよ
うな感度設定は、常に適切な感度に設定することは難し
いものであり、常に適切な値に変更設定できるとは限ら
ず、前記設定値が圃場の状況に適合しない場合には、接
地フロートの沈み込み量が大き過ぎて泥押しが発生した
り、接地フロートが浮き上がり気味になって苗の植付け
深さが浅過ぎる状態になってしまう等の弊害が発生して
いた。本発明は、人為的な判断の誤りに起因する上記し
たような不具合を解消して、常に適切な感知感度で昇降
制御が行われるようにすることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴構成は、冒
頭に記載した田植機の昇降制御機構において、左右両側
に位置する接地フロートにおける夫々の通過跡において
泥面上に形成される溝跡の深さを検出する溝跡深さ検出
手段を備え、各溝跡深さ検出手段による検出値の平均値
の変動幅が設定値以上であれば、接地圧変動に基づく前
記接地フロートの上下動検出感知感度を鈍感側に変更さ
せ、前記各溝跡深さ検出手段による検出値の平均値の絶
対値が、設定値より大きければ前記感知感度を敏感側に
変更させ、且つ、設定値より小さければ前記感知感度を
鈍感側に変更させる感度補正手段を備えてある点にあ
る。
【0005】
【作用】苗植付け作業走行に伴って、接地フロートの泥
面接地圧の変動に基づく上下揺動変位量が予め設定され
た制御目標に合致するように、即ち、接地フロートが予
め想定される沈み込み深さを維持する状態になるよう駆
動機構が自動制御される。このとき、泥の硬軟等の圃場
の状況の違いに起因して、前記制御目標が適切で無いと
き、例えば、泥土が軟かいときは接地フロートの泥土へ
の沈み込み量が大になり過ぎるから、接地フロートの泥
面上の通過後に形成される溝跡の深さが大になる。又、
泥土が硬いときは溝跡が浅くなる。このように圃場状況
によって変化する溝跡深さを直接、溝跡深さ検出手段に
よって検出して、この溝跡深さの検出情報に基づいて、
前記接地フロートの接地圧変動に基づく上下揺動変位量
の検出における感知感度を鈍感側あるいは敏感側に自動
的に補正するのである。しかも、溝跡深さ検出手段は、
左右両側に位置する接地フロートにおける溝跡の深さを
検出する構成であるから、植付け幅の左右両側部におけ
る泥硬さが異なり、局部的に特に硬い部分や軟かい部分
が存在するような場合であっても、これらの左右両側で
の溝跡深さの平均値を求めることで、常に適切な泥硬さ
情報として検出できるものとなる。つまり、前記平均値
の絶対値が設定値より大きくフロート沈み込みが大であ
るときは、感知感度を敏感側に補正することで、苗植付
装置が上昇側に昇降制御され、植付け深さが深過ぎにな
るのを抑制でき、逆に、前記平均値が設定値より小さ
く、植付け深さが浅植えなる場合は、感知感度を鈍感側
に補正することで、苗植付装置が下降側に昇降制御さ
れ、適切な植付け深さに維持されることになる。更に、
左右両側での溝跡深さの平均値の変動幅が設定値よりも
大きい場合には、感知感度が敏感過ぎて接地フロートに
よる整地作用が十分でないものと判断して、絶対値の大
小にかかわらず、感知感度を鈍感側に変更させること
で、泥面の凹凸に対して整地力を大にさせるのである。
【0006】
【発明の効果】従って、接地フロートにおける感知感度
を、常に圃場の状況に応じた適切な感知感度に自動調節
することが可能となり、どのような圃場であっても泥押
しや浅植えによる浮き苗の発生等を未然に防止でき、良
好な苗植付け作業を行うことが可能となった。しかも、
左右両側に位置する接地フロートの泥面上の通過後に形
成される溝跡の深さを直接検出する構成であるから、例
えば、苗の植付け深さの調節等のために苗植付装置に対
する接地フロートの後部支点位置の相対高さを変更した
場合、あるいは、植付け領域の左右両側で泥硬さが異な
っているような場合であっても、接地フロートの感知感
度が常に圃場に適したものに自動調節することが可能と
なる。しかも、泥面の凹凸に起因して上下変動が大であ
れば、整地作用を大にさせて、頻繁な昇降作動を抑制し
て制御の安定化を図ることができた。
【0007】
【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図1
に乗用型田植機を示している。この田植機は、乗用型走
行機体1の後部にリンク機構2を介してリフトシリンダ
3〔駆動機構の一例〕により駆動昇降自在に、且つ、ロ
ーリングモータ4により前後軸芯周りで駆動ローリング
自在に苗植付装置5を連結して構成してある。
【0008】前記苗植付装置5は、一定ストロークで往
復横移動する苗のせ台7、苗のせ台7の下端部から一株
づつ苗を取り出して圃場に植付ける植付機構8、後部側
の横支点周りで上下揺動自在に枢支された3個の接地フ
ロート9a,9b,9c等を備えて構成され、苗植付け
作業中において、この苗植付装置5は、設定対地高さに
維持されるとともに、左右傾斜姿勢が設定姿勢に維持さ
れるように、自動姿勢制御されるよう構成してある。つ
まり、前記リフトシリンダ3に対する電磁制御弁12及
びローリングモータ4を、制御手段としての、マイクロ
コンピュータを備えた制御装置13により駆動制御する
よう構成し、苗植付装置5の対地〔泥面〕高さの変化
は、中央に位置する接地フロート9bの接地圧変動に基
づく上下揺動量により検出し、対地傾斜姿勢は左右両側
に位置する接地フロート9a,9c夫々の通過後に形成
される溝跡深さに基づいて検出するよう構成してある。
詳述すると、図2、図3に示すように、中央に位置する
接地フロート9bの前部側上方に、接地圧変動に基づく
接地フロート9bの上下揺動量をリンク機構Rを介して
検出するポテンショメータ型フロートセンサ10を備
え、このフロートセンサ10の検出値が機体操縦部に備
えたポテンショメータ型感度設定器11による設定値に
合致するよう制御装置13が前記電磁制御弁12を切り
換え制御することで昇降制御を行うよう構成してある。
前記リンク機構Rにはフロート前部側を下方側に付勢す
るバネ23を連係させ、接地フロート9bの制御目標姿
勢を前上がり〔鈍感側〕に変更すると、バネ23による
付勢力も連動して強くなるよう構成してある。
【0009】又、左右両側の接地フロート9a,9cの
後部側には、夫々、溝跡深さを検出する溝跡深さ検出機
構14,14〔溝跡深さ検出手段の一例〕を備えてあ
る。この溝跡深さ検出機構14は、図4、図5に示すよ
うに、苗植付装置5のフレームから延設した支持フレー
ム15に、横軸芯周りで回動自在に筒体17をベアリン
グ支承し、この筒体17にポテンショメータPMの本体
部分16を一体的に取付けるとともに、フロート通過溝
跡の泥面に接地追従しながら上下揺動する第1接地体2
1を前記筒体17の外方側に一体回動自在に連結してあ
る。そして、ポテンショメータPMの操作軸18から一
体回動自在に延設した回動軸19を、支持フレーム15
から延設した支持具20により回動自在に支承するとと
もに、当該接地フロートと中央側接地フロート9bとの
中間位置であって前記第1接地体21の横側位置におい
て泥面に接地追従しながら上下揺動する第2接地体22
を、前記回動軸19に一体回動自在に連結してある。左
右両側の接地フロート9a,9cは、車輪通過跡を整地
する機能も備えているが、この整地作用が充分でないと
きは、溝跡が中央部分が盛り上がることがあるので、第
1接地体21はこの車輪通過跡を跨ぐ略U状に形成し
て、この盛り上がりによる誤差を除去するよう構成して
ある。又、第2接地体22は、長いレーキ状に形成し
て、泥面上に水の層が存在している場合であっても、長
く形成した切欠部分kから水の抜けが良好に行われるよ
うにしてある。前記各接地体21,22の相対回動量が
溝跡深さの検出データとして、ポテンショメータPMか
ら直接出力され、制御装置13に与えられることにな
る。このようにして左右夫々の溝跡深さ検出機構14,
14を構成し、溝跡深さ検出手段による検出情報に基づ
いて、前記接地フロート9bによる上下動量検出の感知
感度を補正する感度補正手段Aを制御装置13に制御プ
ログラムで備えてある。又、各溝跡深さ検出機構14に
よる左右の溝跡深さの差が小さくなるように制御装置1
3が、ローリングモータ4を駆動制御するのである。
【0010】以下、制御装置の制御動作について説明す
る。図6に示すように、フロートセンサ10の検出値a
及び感度設定器11の検出値bを読み込み、これらが合
致するようリフトシリンダ3を駆動制御して昇降作動を
実行する〔ステップ1〜4〕。そして、各溝跡深さ検出
機構14,14の各ポテンショメータPMの出力を読み
込み、これらの値の平均値を演算して求め、この平均値
cが設定値d1を越えている場合は、前記昇降制御にお
ける制御目標〔設定値〕を敏感側に、即ち、接地フロー
ト9bの制御目標基準姿勢が前下がり側に変更されるよ
う修正し、前記平均値cが設定値d2を下回っていると
きは、前記制御目標を鈍感側に、即ち、接地フロート9
bの制御目標基準姿勢が前上がり側に変更されるよう修
正する〔ステップ5〜10〕。尚、このように制御目標
基準姿勢が変更されると、それに連動してバネ23によ
るフロート前部側の下方付勢力も変更される。つまり、
制御目標基準姿勢が前下がり側に変更されるとバネ付勢
力が小さくなり、前上がり側に変更されるとバネ付勢力
が大きくなる。更に、前記平均値cの設定時間内におけ
る変動量が設定量以上であって大きく溝深さが変動して
いるときは、更に、制御目標を鈍感側に、即ち、接地フ
ロート9bの制御目標基準姿勢が前上がり側に変更され
るよう修正する〔ステップ11、12〕。又、前記各ポ
テンショメータPMの検出値の差が設定量以上であって
苗植付装置5の対泥面姿勢が左右に傾斜しているとき
は、これらの差が小さくなるように〔設定量以内に収ま
るように〕、ローリングモータ4を駆動制御する〔ステ
ップ13、14〕。
【0011】〔別実施例〕前記感度補正手段としては、
各溝跡深さ検出機構14,14における各ポテンショメ
ータPMの出力の平均値に基づいて、前記接地フロート
9bにおける目標基準姿勢を修正するものに代えて、図
7に示すように、前記平均値が設定値より大きければ前
記接地フロート9bの感知部における下方付勢力〔接地
圧変動に対する感知荷重〕を小さくさせ、前記平均値が
設定値より小さければ前記下方付勢力を大きくさせるよ
うに、前記バネ23のバネ受け座金23aをスライドさ
せてバネ力のみを変更させる電動シリンダ等のアクチュ
エータ30を駆動制御する構成としてもよい。
【0012】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体側面図
【図2】制御ブロック図
【図3】フロートセンサ配設部の側面図
【図4】苗植付装置の簡略化した平面図
【図5】溝跡深さ検出機構の切欠後面図
【図6】制御フローチャート
【図7】別実施例のフロートセンサ配設部の側面図
【符号の説明】
1 走行機体 3 駆動機構 5 苗植付装置 9a,9b,9c 接地フロート 13 制御手段 14 溝跡深さ検出手段 A 感度補正手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行機体(1)に対して駆動機構(3)
    により駆動昇降自在に苗植付装置(5)を連結するとと
    もに、苗植付装置(5)に上下動自在に複数の接地フロ
    ート(9a),(9b),(9c)を備え、接地フロー
    ト(9b)に対する接地圧変動に基づく上下動量が設定
    値に維持されるよう前記駆動機構(3)を制御する制御
    手段(13)を備えてある田植機の昇降制御機構であっ
    て、 左右両側に位置する接地フロート(9a),(9c)に
    おける夫々の通過跡において泥面上に形成される溝跡の
    深さを検出する溝跡深さ検出手段(14),(14)を
    備え、 各溝跡深さ検出手段(14),(14)による検出値の
    平均値の変動幅が設定値以上であれば、接地圧変動に基
    づく前記接地フロートの上下動検出感知感度を鈍感側に
    変更させ、前記各溝跡深さ検出手段(14),(14)
    による検出値の平均値の絶対値が、設定値より大きけれ
    ば前記感知感度を敏感側に変更させ、且つ、設定値より
    小さければ前記感知感度を鈍感側に変更させる感度補正
    手段(A)を備えてある田植機の昇降制御機構。
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