JPS6319184Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はボールチヤツク使用のシヤープペン
シルに関するものである。

転子の座を形成したチヤツク体と、その転子の
受座面が傾斜面であるチヤツク作動体との間にチ
ヤツク用バネを張設することによつて、芯に加わ
る筆記時の力に負けて芯を後退させたりはしない
充分な芯把持力を示すシヤープペンシル用ボール
チヤツクの構造は従来公知である。かかるボール
チヤツクによつて芯を繰り出すには、芯を挟持し
ているボールチヤツク全体を一定長前進されたの
ちチヤツク体だけを更に前進させて、それ迄の芯
挟持状態を解放拡開の状態となし、つぎに解放拡
開状態のボールチヤツク全体を一定長後退させた
のちチヤツク体だけを更に後退させて再度閉塞挟
持状態とするという動作をさせる必要があり、こ
のことはよく知られているとおりである。ところ
が、芯挟持状態を保つたままボールチヤツク全体
を前進させるためには、通常のボールチヤツク構
造ではチヤツク作動体を押圧するほかなく、従つ
て始めはチヤツク作動体を、後ではチヤツク体を
押圧するという押圧個所の変更を必須とし、この
ためシヤープペンシルの構造を複雑なものとする
等の不都合を生じた。

この考案は、同じチヤツク体後端個所の押圧
で、芯挟持状態を不変としたボールチヤツク全体
の前進を可能ならしめ、その後にチヤツク体だけ
の前進も勿論可能ならしめることにより、押圧個
所の変更という不便を払拭することを、その目的
としてなされたものである。

この考案を図面に示す実施例によつて説明する
と、つぎのとおりである。

第１図において、ボールチヤツク１は転子２の
座を形成した自己拡開力を具備せるチヤツク体３
と、その転子２の受座面が傾斜面６であるチヤツ
ク作動体５との間に常時チヤツク体３を芯に接触
させるためのチヤツク用バネ９を張設していて筆
記圧に対して充分な芯把持力を示すものである。
このチヤツク作動体５は外面に突部７を形成して
いて、内装バネ１０で後方に付勢されることで突
部７後端面を軸筒１１の内方段部１２に押しつけ
その定常静止位置を占めるが、内装バネ１０の力
に抗して押圧前進させるときにはチヤツク作動体
５の前端面８が対向する軸筒１１の内方段部１３
と衝突する間を前進可能としている。一方、チヤ
ツク体３はチヤツク作動体５の前端面８が軸筒１
１の内方段部１３と衝突して停止後も前進可能と
すべく、チヤツク体３の前端面４と対向する軸筒
１１の内方段部１４との間には充分な間隔を有し
ている。図中、１９は芯戻り止め、２０はスライ
ダー、２１はスライダー２０用のバネである。以
上述べた所は通常のボールチヤツク使用のシヤー
プペンシルと特段変つた構成ではない。

この考案の特徴とする所は、内装バネ１０を圧
縮するに要する力よりも大であり且つチヤツク用
バネ９の復帰力よりも小であるような抵抗を転子
２に与える抵抗部１５を芯挟持状態にある転子２
に近接した前方に当るチヤツク作動体５の傾斜面
６に形成する点にある。かかる抵抗部１５を形成
するには、第１図に示すように、Ｏリング装着用
の溝をチヤツク作動体５に形成し、該溝内にＯリ
ングを収納し、Ｏリングが該溝から一部突出する
程度、Ｏリングの弾性変形の程度等で上記した条
件を満たすようにするほか、第５図に示すよう
に、Ｏリング等の抵抗部材を別に使用しないで、
その代りに割りを入れて外方への拡開を可能とし
たチヤツク作動体５の先端部材と一体の隆起部に
よつてもよい。

チヤツク体３を後方から押圧するには、公知の
後端ノツク方式、サイドノツク方式、その他によ
つて適宜行なうことができる。図示した例はサイ
ドスライド方式によるものであつて、ノブ１８を
前進さすと押バネ１６を圧縮して押圧管１７を前
進させ、これによりチヤツク体３は後方から押さ
れて前進することができる。第６図は押圧管１７
前端とチヤツク体３後端の変形例を示す。

そこで第１図の状態のノブ１８を前進させてチ
ヤツク体３を押したとすると、転子２が抵抗部１
５を乗り越えるに要する力は内装バネ１０を圧縮
するに要する力よりも大であること、前記したと
おりであるから、ボールチヤツク１は抵抗部１５
からの抗力によつて芯挟持状態を維持したまま前
進することになる。やがて第２図に示すようにチ
ヤツク作動体５の前端面８が軸筒１１の内方段部
１３とぶつかり、チヤツク作動体５の前進を阻止
するが、その後もノブ１８による押圧前進を継続
すると、やつと転子２は抵抗部１５を乗り越える
ことができてチヤツク体３は更に前進し、第３図
の如き解放拡開の状態となる。

つぎにノブ１８から指頭を離し、それぞれを押
バネ１６、内装バネ１０およびチヤツク用バネ９
で戻したとすると、転子２が抵抗部１５を乗り越
えるに要する力はチヤツク用バネ９の復帰力より
も小であること、前記したとおりであるから、第
４図に示すようにチヤツク作動体５の突部７が軸
筒１１の内方段部１２とぶつかり、チヤツク作動
体５の後退を阻止されるまでは解放拡開の状態を
維持し、その後に転子２は抵抗部１５を乗り越え
て再度閉塞挟持状態となる。

以上述べた所から明らかなように、この考案に
よれば、芯挟持状態にある転子２の位置に対して
その転子２に近接した前方に当る位置に抵抗部１
５を設けたから、転子２は芯挟持力を弱める方向
へは移動し易くなつている。したがつて芯消耗に
伴つて後退するスライダー２０がバネ２１の力で
元の位置に戻る際、スライダー２０に芯戻り止め
１９を設けておけば、芯戻り止め１９による芯引
き出し力程度でもチヤツク部の挟持力を弱めさせ
て、スライダー２０が戻る際には芯も同伴してい
る状態たらしめることができる。また、抵抗部１
５の抵抗は内装バネ１０を圧縮するに要する力よ
りも大、チヤツク用バネ９の復帰力よりも小であ
るような抵抗を転子２に与えるものとしたから、
芯出しするに当つて始めはチヤツク作動体５を、
あとではチヤツク体３をといつた押圧個所の変更
を必要とせずに、当初からチヤツク体３後端個所
の押圧で済み、構造の簡易化に資する所甚だ大な
るものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１実施例を示す要部の断
面図、第２図、第３図および第４図は第１実施例
の作動状態を示す半截断面図、第５図は第２実施
例の要部を示す半截断面図、第６図は押圧管の変
形例を示す半截断面図である。 １……ボールチヤツク、２……転子、３……チ
ヤツク体、５……チヤツク作動体、６……傾斜
面、９……チヤツク用バネ、１０……内装バネ、
１１……軸筒、１５……抵抗部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸筒１１内に嵌挿したボールチヤツク１のチヤ
   ツク作動体５は内装バネ１０で後方に付勢すると
   共に一定長前後動可能となし、ボールチヤツク１
   のチヤツク体３は該チヤツク作動体５との間に張
   設したチヤツク用バネ９と転子２を介して前後動
   可能に装着したシヤープペンシルにおいて、内装
   バネ１０を圧縮するに要する力よりも大であり且
   つチヤツク用バネ９の復帰力よりも小である力で
   転子２を乗り越えることのできる抵抗部１５を芯
   挟持状態にある転子２に近接した前方に当るチヤ
   ツク作動体５の傾斜面６に形成してなるシヤープ
   ペンシル用ボールチヤツクの前進後退装置。