JPS631552Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は絶縁ガスを封入した母線管内部に収納
する母線導体の絶縁支持構造を改良した密閉母線
に関する。

〔考案の技術的背景〕

従来の三相一括形の密閉母線においては、三相
の母線導体を一括して母線管内部に絶縁部材から
なるスペーサで支持固定するか、あるいは複数相
の母線導体を一括収納した母線管内部に、母線導
体を支持する支持がいしを母線管の対向内面に固
定させて母線導体を支持している。

このような従来の密閉母線を第１図及び第２図
に示す。三相の母線導体１を一括して収納する母
線管２は、適当な長さを一単位とする金属管より
なり、基盤３及び支柱４を介して架設されてい
る。母線管２にはその側部に等間隔に開口する３
本の分岐管５が配設される。このような母線管２
の複数本が気密に連結され、内部に約２気圧程度
の六ふつ化硫黄ガス（SF₆ガス）のような絶縁ガ
ス２ａが封入される。

分岐管５内部には分岐導体６が収納され、その
一端は母線導体１に導電接続されている。分岐管
５の母線管２との連結部近傍に、母線管２と分岐
管５とを気密にしや断するとともに、分岐導体６
を固定支持するスペーサ７が設けられる。母線管
２内部において母線導体１は柱状の支持がいし８
により絶縁支持される。

〔背景技術の問題点〕

上記のような従来の母線管２内部に第３図に示
すように、複数の支持がいし８の取付用座９を支
持がいし８の個数だけ取付けなければない。その
うえ母線導体１を母線管２内部に組込み作業をし
なくてはならない。また、母線管２の多数本を接
続するにあたつては、その接続部の確認が困難で
あり、さらに母線導体１の接続にあたつては、そ
の調整はきわめて困難で、調整装置も複雑である
等の問題点があつた。

〔考案の目的〕

本考案は上記の点を考慮してなされたもので、
その目的とするところは、母線管内壁面より母線
導体を一切支持することなく、各相の母線接続を
容易に行うことのできる密閉母線を提供すること
にある。

〔考案の概要〕

かかる目的を達成するために本考案は、複数相
の母線導体を一括して収納する母線管の端部フラ
ンジ間に金属リングを気密に挿着し、この金属リ
ング内面にのみ母線導体を支持する支持がいしを
配設し、母線管内部に絶縁ガスを封入することに
より、各相の母線接続を容易にすることをその特
徴とする。

〔考案の実施例〕

以下本考案の一実施例の密閉母線を図面を参照
して説明する。第１図及び第２図に示したものと
同一部分には同符号を付している。第４図におい
て、母線管２，２_-1の夫々の端部フランジ１３，
１３にはさまれた金属リング１０、及び母線管
２，２_-2の夫々の端部フランジ１３，１３にはさ
み込まれた金属リング１０の内面に母線導体１を
支持固定するための支持がいし８を固定する。な
お金属リング１０の内径は母線管２の内径φAと
ほぼ同径であり、また外径は端部フランジ１３の
外径φBとほぼ等しく形成される。このように母
線導体１は母線管２とは完全に絶縁した状態とな
り、母線管２内部にはSF₆ガスのような絶縁ガス
２ａを封入して密閉母線が構成される。

さらに本考案の密閉母線の組立について詳述す
る。第５図及び第６図に示すように、予め金属リ
ング内面に支持がいし８を取付けた後に、これら
の支持がいし８に導体１を夫々取付ける。このよ
うに金属リング１０内面に支持がいし８を介して
取付けられた母線導体１に、第４図に示すように
母線管２_-1及び２を挿通するようにして、夫々の
端部フランジ１３，１３間に金属リング１０を挾
み込んで締付け固着する。なお母線導体１相互は
接続部材１１によつて接続する。さらに次の金属
リング１０を母線管２及び２_-2の夫々の端部フラ
ンジ１３，１３に挾み込んで締付け固定する。

さらにまた、金属リング１０と支持がいし８及
び母線導体１との相互の組立の詳細を説明する。
第７図及び第８図において、母線管２，２_-1の
夫々の端部フランジ１３，１３にパツキング１７
を介して挾さまれた金属リング１０の側面に、母
線導体１側に開口し、断面が凸形状の溝１５を母
線導体１の軸方向に沿つた方向に、支持がいし８
の個数だけ形成する。この溝１５内部に凸形金具
１６を挿入する。挿入された凸形金具１６が移動
しないように、詰め部材１８を当接し、凸形金具
１６を固定する。固定された凸形金具１６の母線
導体１側へ突出した雄ねじ部１６ａを有し、この
雄ねじ部１６ａを支持がいし８の埋込み金具１９
の雌ねじ部１６ｂへねじ込み、支持がいし８を固
定する。一方、上側の埋込み金具２０には母線導
体１のねじ込み座２１を介して、ねじのさし込み
孔２２から挿入したねじ２３によつて母線導体１
を支持がいし８に固着する。そして端部フランジ
１３，１３間に挾まれた金属リング１０は、端部
フランジ１３，１３のボルト孔を通して、ボルト
ねじ孔２４ａにボルト２４をねじ込んで締付けら
れる。

次に本考案の作用効果について説明する。母線
管２，２_-1，２_-2の内面には、母線導体１を絶縁
支持する部材は一切設けていないから、電界集中
を発生する部位をなくすことができ、絶縁耐力を
向上し、さらに製造面からのコストダウンにつな
がる。また、支持がいし８と母線導体１との組立
は、母線管２の内部において組立てることなく、
外部で行うことができるので、信頼性の面及び経
済的な面からも従来より優れている。

なお、本考案は、母線導体の実施例について説
明したが、他のガス絶縁電気機器においても、導
体支持する手段に適用することができる。また本
考案の実施例では３相について説明したが、単相
及び多相について適用できることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の密閉母線によれ
ば、使用部品の減少、組立時間の短縮、加工部品
の省略、絶縁部材の大幅な減少及び接触部の減少
等製造面における効果が大きい。また、ガス圧を
減少させて使用した場合はシール構造が簡単にな
り、シール部分も一重で十分である。さらに金属
リングであるため、端部フランジとの接続も、相
方から締付ける構造が採用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は夫々従来の密閉母線を示す
縦断面図及び横断面図、第３図は第１図及び第２
図の母線管内面を示す斜視図、第４図は本考案の
密閉母線を示す縦断面図、第５図は第４図の−
線矢視断面図、第６図は第５図の−線矢視
断面図、第７図及び第８図は夫々第４図の支持が
いしの取付構造を示す断面図である。 １……母線導体、２，２_-1，２_-2……母線管、
２ａ……絶縁ガス、８……支持がいし、１０……
金属リング、１１……接続部材、１３……端部フ
ランジ、１５……溝、１６ａ……雄ねじ部、１６
ｂ……雌ねじ部、１６……凸形金具、１８……詰
め部材、１９，２０……埋込み金具、２１……ね
じ込み座。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 絶縁ガスを密封した複数の母線管をこの母線管
   の端部フランジを介して連結接続し、この母線管
   内に母線導体を前記母線管の軸方向に配設したも
   のにおいて、前記母線管の端部フランジ間に挿着
   し、内径が前記母線管の内径とほぼ同径であり外
   径が前記端部フランジの外径とほぼ同径であり、
   前記母線導体側に開口し断面が凸形状の溝を形成
   した金属リングと、前記溝に合致するように挿着
   し、前記開口より前記母線導体側へ突出した雄ね
   じ部を有するとともに、内面が前記金属リング内
   面に一致した詰め部材により前記金属リングに固
   着された凸形金具と、前記母線導体の前記雄ねじ
   部に対向する部位に固着したねじ込み座と、一端
   にこのねじ込み座によりこのねじ込み座に固着さ
   れる埋込み金具が埋込まれ、他端に前記雄ねじ部
   に係合する雌ねじ部を有し、この両ねじ部の係合
   により前記凸形金具に固着される埋込み金具が埋
   込まれた支持がいしとを備えてなることを特徴と
   する密閉母線。